アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○医療用医薬品添付文書の記載要領について

(昭和五八年五月一八日)

(薬発第三八五号)

(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)

標記については、昭和五一年三月二九日薬発第二八七号薬務局長通知「医療用医薬品添付文書の記載方式について」等により、その適切な運用に努めてきたところであるが、医療の場で医薬品が適正に使用されるために必要な情報を提供するという添付文書の目的に鑑み、医薬品の薬効を裏付ける薬理作用に関する情報、実際の臨床適用に関する情報等を充実させることに重点をおいて、全般的に見直しを行い、今般別添のとおり「医療用医薬品添付文書の記載要領」を定めたので、左記の点に御留意のうえ貴管下関係業者、団体等に対する周知徹底を図るとともに、医療用医薬品添付文書に関する指導につき格段の御配慮を願いたい。

おつて、昭和五一年三月二九日薬発第二八七号薬務局長通知は廃止する。

1 本記載要領の要点

(1) 臨床適用に関し、より密接した情報を充実させる見地から、次のとおり記載項目を新設するとともに、その記載内容についてもヒトでのデータを重視したものとしたこと。

① 効能又は効果と薬理作用の結びつきを明確にするため、ヒト、動物等による薬効薬理に関する試験の結果を記載する「薬効薬理」の項目を設けたこと。

② ヒトでの薬物の吸収、分布、代謝、排泄等に関する情報を記載する「体内薬物動態」の項目を設けたこと。

③ 臨床試験の成績(比較試験成績、副作用等)を記載する「臨床適用」の項目を設けたこと。

④ 毒性、一般薬理等に関する動物実験の結果を記載する「非臨床試験」の項目を設けたこと。

(2) 添付文書がより有効に活用されるよう「効能又は効果」、「用法及び用量」、「警告」、「使用上の注意」等医療の場で特に利用度が高いと考えられる項目を添付文書の前の方に配列し、他の項目に比較してより見やすくすることとしたこと。

2 適用の範囲

本記載要領は医療用医薬品のうち体外診断薬及び生物学的製剤(血漿分画製剤を除く。)以外のものに適用すること。

3 実施時期

今後作成する添付文書は原則として本記載要領に基づくこととし、既に作成した添付文書については遅くとも昭和六一年四月末日までを目途にできるだけ速やかに本記載要領に基づいた改訂を行うこととすること。

別添

医療用医薬品添付文書の記載要領

第一 記載項目

1 作成又は改訂年月

2 日本標準商品分類番号

3 薬効分類名

4 規制区分

5 名称

6 開発の経緯及び特徴

7 組成

8 効能又は効果

9 用法及び用量

10 警告

11 使用上の注意

12 薬効薬理

13 体内薬物動態

14 臨床適用

15 非臨床試験

16 性状

17 取扱い上の注意

18 包装

19 主要文献及び文献請求先

20 製造業者又は輸入販売業者の氏名又は名称及び住所

第二 記載要領

1 作成又は改訂年月

2 日本標準商品分類番号

日本標準商品分類により中分類以下詳細分類まで記載すること。

3 薬効分類名

当該医薬品の薬効又は性格を正しくあらわすことができる場合には記載することとし、使用者に誤解を招くおそれのある表現は避けること。

4 規制区分

毒薬、劇薬、麻薬、向精神薬、覚せい剤、覚せい剤原料、習慣性医薬品、指定医薬品及び要指示医薬品にあってはそれぞれ(毒)、(劇)、(麻)、(向)、(覚)、(覚原)、(習)、(指)、(要指)の印を販売名に併記すること。

5 名称

(1) 日本薬局方外医薬品にあっては、承認を受けた販売名を記載すること。なお、一般的名称がある場合には、その一般的名称を併せて記載すること。

(2) 日本薬局方に収められている医薬品にあっては、日本薬局方で定められた名称を記載すること。

(3) 薬事法第四二条第一項の規定に基づく基準(以下「法定の基準」という。)により記載は義務づけられている医薬品にあっては、基準名を併せ記載すること。

6 開発の経緯及び特徴

当該医薬品の開発の経緯及び特徴を簡潔に記載すること。

7 組成

(1) 有効成分の名称(一般的名称など。有効成分が不明なものにあつては、その本質および製造方法の要旨)及びその分量を記載すること。

(2) 医薬品添加物については、昭和六三年一〇月一日薬発第八五三号薬務局長通知「医療用医薬品添加物の記載について」により記載すること。

(3) 日本薬局方に収められている医薬品又は「法定の基準」が定められている医薬品にあつては、(2)に規定するもののほか、日本薬局方又は「法定の基準」で添付文書への記載が義務付けられている医薬品添加物について記載すること。

8 効能又は効果

承認を受けた効能又は効果を記載すること。

9 用法及び用量

承認を受けた用法及び用量を記載すること。

なお、効能又は効果に応じて用法及び用量が定められているものはこれを書きわけること。

10 警告

昭和五一年二月二〇日薬発第一五三号薬務局長通知「医療用医薬品の使用上の注意記載要領について」により記載すること。

11 使用上の注意

昭和五一年二月二〇日薬発第一五三号薬務局長通知「医療用医薬品の使用上の注意記載要領について」により記載すること。

12 薬効薬理

効能又は効果を裏付ける薬理作用及び作用機序を記載すること。

該当する薬効群又は化学構造式からみて期待される主要な薬理作用であるが、効力を裏付ける試験等により有効性が期待できない場合はその旨を記載すること。なお、動物実験の結果を用いる場合には動物種を、また、in vitro試験の結果を用いる場合にはその旨をそれぞれ記載すること。

13 体内薬物動態

ヒトでの吸収、分布、代謝及び排泄に関するデータを記載すること。

14 臨床適用

(1) 精密かつ客観的に行われた臨床試験の成績について、投与量、投与期間、症例数、有効率等を承認を受けた用法及び用量に従つて記載すること。

(2) 他剤との比較を記載する場合には、その対照が繁用医薬品であり、精密かつ客観的に行われた比較試験の成績がある場合にのみ、記載することができる。この場合、その表現は、「比較試験の結果有用性が認められた」旨にとどめるものとする。

(3) 類薬で承認を受けている効能又は効果のうち、当該医薬品について承認を受けていない効能又は効果にあつては、次により記載すること。

ア 薬効薬理からみて当該医薬品の主要な効能又は効果と考えられるものについては、有用性が認められなかつた理由を記載すること。

イ その他の効能又は効果で、十分評価しうるデータが得られていない場合には、代表的な効能又は効果を挙げ、その旨を記載すること。

(4) 副作用及び副作用としての臨床検査値の変動について調査した症例数及び副作用等の発生率等を記載すること。

15 非臨床試験

毒性試験及び安全性に関する事項を簡潔に記載すること。また、ヒトでの吸収、分布、代謝及び排泄に関するデータが得られないものについては、これを補足するために本欄に動物実験の結果を記載すること。

16 性状

(1) 製剤の性状

識別上に必要な色、味、におい、形状(粉末、顆粒などの別)、識別コードなどを記載すること。また、水性注射液にあつては、pH及び浸透圧比を、無菌製剤(注射剤を除く。)にあつては、その旨を記載すること。

(2) 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称、化学名、分子式、化学構造式、核物理学的特性(放射性物質に限る。)などを必要に応じて記載すること。

17 取扱い上の注意

(1) 日本薬局方に収められている医薬品、法定の基準が定められている医薬品又は承認を受けた医薬品であつて、それぞれ日本薬局方、基準又は承認の中で取扱い上の注意事項が定められているものにあつては、少なくともそれぞれの当該注意事項を記載すること。その他の医薬品にあつては、取扱上の注意事項があればそれを記載すること。

(2) 日本薬局方に収められている医薬品若しくは法定の基準が定められている医薬品であつて、日本薬局方若しくは基準の中で有効期間が定められたもの又は薬事法第五〇条第一〇号の規定によつて使用の期限が定められたものは、有効期間又は使用の期限が容器又は被包に記載されている旨を記載すること。

(3) 毒薬、劇薬、麻薬、向精神薬、覚せい剤、覚せい剤原料、習慣性医薬品、指定医薬品及び要指示医薬品にあつては、その旨を記載すること。

18 包装

19 主要文献及び文献請求先

文献請求先にあつては、その氏名又は名称及び住所を記載すること。

20 製造業者又は輸入販売業者の氏名又は名称及び住所