添付一覧
○承認事項一部変更承認申請に係る生物学的同等性に関する試験の取り扱いについて
(昭和五七年五月三一日)
(薬審第四五二号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局審査・生物製剤課長連名通知)
生物学的同等性に関する試験の取り扱いについては、昭和五五年五月三〇日、薬審第七一八号通知をもって、吸収されることによって効果を期待する医薬品については、原則として健康人を対象として試験を行うこととしたところであるが、今般、内服固形製剤(徐放性製剤を除く)に係る承認事項の一部を変更する場合であって、当該品目の新規承認申請時又はその後の一部変更承認申請時において、既に臨床試験又はヒトを対象とした生物学的同等性試験により生物学的利用性が確認されている品目については、左記によることとしたので、御了知のうえ貴管下関係業者に対し指導方御配慮願いたい。
記
次の1又は2のいずれかの条件を満たす場合は健康人を対象とした試験を別紙基準による溶出試験に代えて差し支えない。溶出試験の結果、別紙基準に適合しなかった場合は、適切な対照薬をおいて、健康人を対象とした生物学的同等性試験を行うこと。
1又は2のいずれかの条件を満たす場合であっても、有効成分自体の水に対する溶解性が低いことにより別紙基準による溶出試験が実施できない場合には、ビーグル犬又はこれに代わりうる大動物を用いた生物学的同等性試験に代えて差し支えない。ただし、この場合にあっては、動物試験の結果と、臨床効果の関係を十分考察すること。
1 作用緩和な成分のみを有効成分とする品目
2 変更内容が以下の項目又はその組合せの範囲の品目
(1) 着色剤、光沢化剤、防腐剤、流動化剤、帯電防止剤、矯味剤、安定剤、甘味剤、着香剤(香料を含む)として製剤中の含有率が一%未満の添加剤成分の変更
(2) 適量表示が可能な添加剤成分の変更
(3) 結合剤、崩壊剤、滑沢剤、賦形剤及びコーティング剤それぞれの製剤中の含有率の変動幅が五%未満の変更。ただし、過去の実績等により、当該有効成分のヒトにおける吸収、分布、代謝、排泄に影響を与えないことが学問的に明らかになっている添加剤成分の変更に限る。
(注) 結合剤、崩壊剤、滑沢剤、賦形剤及びコーティング剤とは次のようなものとする。
結合剤 |
顆粒、錠剤等を製する際、顆粒、錠剤等に十分な機械的強度をもたすため、使用成分間の結合力を補う目的で加える添加剤。 |
崩壊剤 |
成形された製剤が服用された時、口中又は胃腸内で粉末状に崩れやすくする目的で加える添加剤。 |
滑沢剤 |
錠剤及びカプセル剤を製する際、粉末が杵臼、充填ノズル等に付着するのを防ぎ、成形圧力の伝達を良くしたり、粉末の流れを良くする目的で加える添加剤。 |
賦形剤 |
薬剤に適当な形を与え、あるいは量を増し、使用に便利にする目的で加えられる添加剤。 |
コーティング剤 |
錠剤、顆粒剤等の外観を良くしたり、防湿、遮光、腸溶化、徐放化等のために皮膜を施す目的で加える添加剤。 |
(別紙)
溶出試験法に関する基準
1 試験方法
ア 対照薬は、承認事項一部変更前の製品とすること。
イ 検体は、試験薬、対照薬とも3ロットとし、各ロット3検体、合計各9検体とすること。
ウ 試験方法は次によること。ただし、適切な理由を付して変更することができる。
(ア) 第11改正日本薬局方、一般試験法46、溶出試験法の第1法又は第2法による。ただし、回転数は100r.p.mとする。
(イ) 溶出液は37℃、900ml、pHは次のとおりとする。
(Ⅰ) 酸性物質 1.2、6.5、7.2の3種。
(Ⅱ) その他 1.2、4.0、6.5の3種。
(Ⅲ) 腸溶性製剤 6.5、7.2の2種。
(注) pH1.2―日局11崩壊試験法第1液、pH4.0=0.1M酢酸緩衝液、pH6.5及び7.2=0.05Mリン酸緩衝剤
2 判定方法
A及びBの両条件を満たす場合、本基準に適合するものとし、生物学的に同等であることを推定する。
A 少なくとも1種のpH溶出液で対照薬のT75%(表示量、以下同じ)の平均値が60分未満であること。
B いずれの溶出液における試験結果も、次の(ア)~(ウ)のいずれかに適合すること。
(ア) 対照薬のT75%の平均値が20分未満の場合対照薬及び試験薬の個々のT75%値がすべて30分未満であること。
(イ) 対照薬のT75%の平均値が20~60分の場合対照薬と試験薬それぞれのT75%平均値の差が10分未満で、かつ、個々のT75%値がそれぞれのT75%平均値から±10分未満に7検体以上、±15分未満に9検体が入ること。
(ウ) 対照薬のT75%の平均値が60分をこえる場合(D60分の平均値が75%未満)対照薬と試験薬それぞれのD60分平均値の差が10%(絶対値、以下同じ)未満で、かつ、個々のD60分値がそれぞれのD60分平均値から±10%未満に7検体以上、±15%未満に9検体が入ること。
(注) T75%:有効成分が表示量の75%まで溶出する時間。
D60分:60分の時点で溶出した有効成分の量(百分率による。)