添付一覧
○瀉下薬製造(輸入)承認基準について
(昭和五七年五月一七日)
(薬発第四六三号)
(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)
一般用医薬品のうち、瀉下薬の製造(輸入)の承認については、別記の瀉下薬製造(輸入)承認基準(以下「基準」という。)により行うこととしたので、左記にご留意のうえ関係製造(輸入販売)業者に対し、周知徹底を図るとともに、円滑な事務処理が行われるよう何分のご配慮を煩わしたい。
記
1 便秘症状又は腸内容物の排除に関する効能効果をうたう内服用の薬剤(胃腸薬製造(輸入)承認基準に該当する製剤及び漢方処方に基づく製剤を除く。)は、すべてこの基準が適用されること。
2 別添のビタミン類を配合する場合は、配合理由及び安全性についての資料を添付する必要はないこと。
3 基準に基づき製造(輸入)承認を受けようとする者は、申請書の備考欄に「一般用」に併せて「瀉下薬製造(輸入)承認基準による」と記載すること。
4 現に製造(輸入)承認申請中のもの及び既に製造(輸入)承認を受けているものについては、この基準に照らし、所要の措置をとらせること。
(別記)
瀉下薬製造(輸入)承認基準
1 瀉下薬の範囲
ここでいう瀉下薬の範囲は、便秘症状又は腸内容物の排除に用いることを目的として調製された内服用薬剤(胃腸薬製造(輸入)承認基準に該当する製剤及び漢方処方に基づく製剤を除く。)とする。
2 基準
瀉下薬の基準は次のとおりとする。
なお、この基準に適合しないものにあっては、有効性、安全性及び配合理由についての資料の提出を求め、それに基づき審査する。
(1) 有効成分の種類
(ア) 配合できる有効成分の種類は、別表1及び別表2に掲げるものとする。
(イ) 配合しなければならない有効成分は、別表1に掲げるもののいずれか一種類以上とする。
(ウ) 別表1のA欄のうち、Ⅰ項、Ⅱ項、Ⅲ項又はⅣ項に掲げる有効成分を主体とした製剤は、Ⅰ項、Ⅱ項、Ⅲ項又はⅣ項の有効成分を相互に配合することができるほか、別表2に掲げる有効成分を配合することができる。
(エ) 別表1のA欄に掲げる有効成分のうち、Ⅰ項、Ⅱ項又はⅢ項に掲げる有効成分を配合する場合は、同一項内においては一種とする。また、Ⅳ項に掲げる有効成分を配合する場合は、同一項内においては四種までとする。
ただし、Ⅰ項、Ⅱ項、Ⅲ項又はⅣ項のうち、二以上の項に掲げる有効成分を配合する場合は、別表1のA欄(Ⅴ項を除く。)内においては四種までとする。
(オ) 別表1のA欄のⅣ項に掲げる有効成分のうち、アロエはアロインと、アスカラサグラダはカサントラノールと、ケンゴシはケンゴシ脂と、センナ又はセンナ実はセンノシド又はセンノシドA・Bと、ヤラッパはヤラッパ脂とそれぞれ配合してはならない。
(カ) 別表1のA欄のうち、Ⅴ項に掲げる有効成分を主体とした製剤にあっては、この基準に掲げる他の有効成分を配合してはならない。
(キ) 別表1のB欄に掲げる有効成分を主体とした製剤にあっては、同欄に掲げる有効成分一種のみとし、この基準に掲げる他の有効成分を配合してはならない。
(ク) 別表2のⅠ欄又はⅡ欄に掲げる有効成分を配合する場合は同一欄内においては四種までとする。
ただし、Ⅰ欄及びⅡ欄に掲げる有効成分を相互に配合する場合は、別表2内においては五種までとする。
(ケ) 別表1及び別表2に掲げる有効成分のほか、ビタミン類であって配合理由があり、かつ作用が緩和なものについては、別添により配合して差し支えない。
(2) 有効成分の分量
(ア) 別表1のA欄に掲げる各有効成分の一回及び一日最大分量は同表に掲げる量とする。
(イ) 別表1のB欄に掲げる各有効成分の一回最大分量は、同表に掲げる量とする。
(ウ) 別表2のⅠ欄(整腸生菌成分を除く。)及びⅡ欄に掲げる各有効成分の一日最大分量は同表に掲げる量とし、一回最大分量は一日最大分量の三分の一とする。
(エ) 別表1のA欄に掲げる有効成分を二種以上配合する場合は、当該有効成分ごとに配合する分量をそれぞれの一日最大分量で除して得た数値の和が二を超えてはならない。
(オ) 別表2のⅠ欄又はⅡ欄に掲げる有効成分を二種以上配合する場合には、当該有効成分ごとに配合する分量をそれぞれの一日最大分量で除して得た数値の同一欄内における和が二を超えてはならない。
(カ) 別表2のⅠ欄に掲げる有効成分のうち、整腸生菌成分の一日最小分量は同項に掲げる量とし、一回最小分量は一日最小分量の三分の一とする。
(3) 剤型
剤型は、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、細粒剤、散剤、舐剤(別表1のA欄Ⅴ項を主体とした製剤に限る。)、錠剤、浸剤・煎剤用製剤、チョコレート剤及び内用液剤(シロップ剤並びに別表1のA欄のⅠ項又はB欄を主体とした製剤に限る。)とする。
(4) 用法及び用量
(ア) 用法は原則として一日一~三回の範囲内で服用するものとし、服用時期又は服用間隔を明記すること。一日二回以上服用する場合の服用間隔は、四時間以上おくこと。
ただし、別表1のB欄に掲げる有効成分を主体とした製剤については、一日一回を限度とし、必要時頓用するものとする。
(イ) 別表1のA欄に掲げる有効成分を主体とする製剤の用量は便秘の程度や状態に従って幅をもって記載する。
なお、便秘の程度、状態には個人差があるので、初回は最小量を用い、便通の具合や状態をみながら、少しずつ増量又は減量する旨を記載する。
(ウ) 原則として三歳未満の者を対象とする用法は認められない。
(エ) (ア)、(イ)又は(ウ)の規定にかかわらず、別表1のA欄のⅤ項に掲げる有効成分を主体とした製剤については、乳幼児の場合に限り認めることとし、その用法及び用量は別表5に定めるとおりとする。
(オ) 浸剤・煎剤用製剤にあっては、服用時の調製法を明記するものとする。
(カ) カプセル剤並びに直径六mmを超える丸剤及び錠剤については、五歳未満の者を対象とする用法は認められない。
(キ) 一五歳未満の者における一回及び一日最大分量は、別表1又は別表2に掲げる一回及び一日最大分量に別表3の当該年齢区分に対応する係数欄の数値を乗じた量とする。
ただし、別表2のⅠ欄の整腸生菌成分の一日最小分量については、年齢区分に関係なく適用する。
(5) 効能又は効果
(ア) 別表1のA欄に掲げる有効成分を主体とした製剤の効能又は効果の範囲は、別表4のⅠ欄のとおりとする。ただし、別表1のA欄のⅤ項の有効成分を主体とした製剤の効能又は効果の範囲は、別表5に定めるとおりとする。
(イ) 別表1のB欄に掲げる有効成分を主体とした製剤の効能又は効果の範囲は、別表4のⅡ欄のとおりとする。
(6) 包装単位
シロップ剤の容器の最大容量は成人(一五歳以上の者)の一日最大服用量の二日分を限度とする。
別表1
区分 |
有効成分名 |
1回最大分量(g) |
1日最大分量(g) |
|||
A欄 |
Ⅰ項 |
酸化マグネシウム |
0.7(2) |
2 |
||
水酸化マグネシウム |
0.7(2.1) |
2.1 |
||||
炭酸マグネシウム |
2.7 |
8 |
||||
硫酸ナトリウム |
5 |
15 |
||||
硫酸マグネシウム |
5 |
15 |
||||
Ⅱ項 |
カルボキシメチルセル |
2 |
6 |
|||
ロースカルシウム |
|
|
||||
カルボキシメチルセル |
2 |
6 |
||||
ロースナトリウム |
|
|
||||
プランタゴ・オバタ種皮(イスパグラ種皮) |
3.5 |
10.5 |
||||
Ⅲ項 |
ジオクチルソジウムスルホサクシネート |
0.067(0.12) |
0.2 |
|||
Ⅳ項 |
アロイン |
0.02 |
0.06 |
|||
イオウ |
0.5 |
1.5 |
||||
カサントラノール |
0.067(0.1) |
0.2 |
||||
センノシド(センノシドA・Bとして) |
0.016(0.024) |
0.048 |
||||
センノシドA・B |
0.016(0.024) |
0.048 |
||||
ビサコジル |
0.007(0.015) |
0.02 |
||||
|
粉末(g) |
エキス(g) (原生薬換算量) |
粉末(g) |
エキス(g) (原生薬換算量) |
||
アロエ |
0.25(0.38) |
0.25(0.38) |
0.75 |
0.75 |
||
エイジツ |
0.67 |
1.7 |
2 |
5 |
||
カスカラサグラダ |
― |
1(1.5) |
― |
3 |
||
ケンゴシ |
0.1 |
― |
0.3 |
― |
||
ケンゴシ脂 |
0.05 |
― |
0.15 |
― |
||
センナ |
0.5(0.75) |
2(3) |
1.5 |
6 |
||
センナ実(センナ果) |
0.5(0.75) |
― |
1.5 |
― |
||
ダイオウ |
1(1.5) |
1.4(2) |
3 |
4 |
||
フラングラ皮 |
― |
1(1.5) |
― |
3 |
||
ヤラッパ |
0.1 |
― |
0.3 |
― |
||
ヤラッパ脂 |
0.05 |
― |
0.15 |
― |
||
Ⅴ項 |
マルツエキス |
別表5のとおり |
||||
B欄 |
加香ヒマシ油 |
20ml |
― |
|||
ヒマシ油 |
20ml |
― |
(注) ( )は1日1~2回の用法の場合の1回最大分量である。