添付一覧
○医薬品等の規制に関する行政管理庁の勧告に対する改善の方策について
(昭和五三年三月二三日)
(薬発第三二七号)
(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)
薬務行政の運営についてはかねてより種々ご配慮を煩わしているところであるが、先般、行政管理庁より「医薬品等の規制に関する行政監察結果に基づく勧告」が出され、薬務行政の運営について必要な改善措置が勧告されたところである。今後は、当該勧告の趣旨に基づき、左記方針により必要な改善措置を講ずることとしたので、十分御留意のうえ、医薬品の規制の強化を図るとともに、貴管下関係業者に対する指導方よろしくお願いいたしたい。
記
1 医薬品の再評価結果及び副作用評価結果に基づく措置の確保について再評価が終了した単味剤たる医療用医薬品及び副作用等により措置を講ずる医薬品の取扱いについては、その都度薬務局長通知等をもつて各都道府県知事、又は衛生主管部(局)長あて通知されているところであるが、製造業者(輸入販売業者を含む。以下同じ。)、販売業者における当該通知に基づく措置の励行確保を図るため、今後、次のことについて一層徹底を期されたい。
(1) 再評価及び副作用評価結果とそれに基づく措置の内容について、当該医薬品の管下製造業者に対し文書によつて通知の徹底を図るとともに、当該医薬品の販売先たる医療機関への再評価及び副作用評価結果とそれに基づく措置の内容の伝達、周知に一層努めるよう、当該製造業者に対する指導を強化すること。
(2) 再評価及び副作用評価結果に基づく当該製造業者の措置状況については、所定の期間を経過後、速やかに製造業者から報告書を徴し、措置状況のは握、確認を行うこと。
(3) 再評価及び副作用評価結果に基づいて市場からの回収を要するとされた医薬品で、医療機関に在庫するものについては、医療機関の協力を得て、できるだけ引取りに努めるよう、当該製造業者を指導すること。また、効能効果等の表示について改訂した文書を添付して販売しなければならないとされた医薬品についても、当該医薬品の販売先たる医療機関へ効能効果等の改訂内容を知らせる文書を配布する等の措置に一層努めるよう、当該製造業者への指導を強化すること。
(4) 再評価の結果、有用性を示す根拠がないと判定された医薬品及び再評価該当品目であつて再評価申請を行わなかつた医薬品については、従前より薬務局長通知をもつて当該品目を示し速やかに当該医薬品製造業者に対し、承認整理及び許可の廃止を行うよう指導してきたところであるが、一部品目について変更(品目廃止)届書及び承認整理届書の未提出又は提出手続の遅延がみられるので、今後、更に趣旨の徹底を図ること。
なお、今後再評価該当品目に係る変更届書及び承認整理届書の進達に当たつては、他の品目と区別し、当該進達書の右肩に(評)の表示を朱書のうえ速やかに進達されたいこと。
2 製造業者における医薬品の副作用情報の収集、評価及び報告の確保について
医薬品の副作用情報の収集は、医薬品の安全対策上の重要事項であるところから、製造業者の副作用に関する情報の収集及び報告に関し、新開発医薬品については、昭和四二年九月一三日薬発第六四五号薬務局長通知「医薬品の製造承認に関する基本方針について」、昭和四二年一〇月二一日薬発第七四七号薬務局長通知「医薬品の製造承認等に関する基本方針の取扱いについて」及び昭和四四年七月一八日薬発第五四二号薬務局長通知「新開発医薬品の副作用報告について」をもつて、また、新開発医薬品以外の医薬品については、昭和四六年一一月一五日薬発第一、〇五九号薬務局長通知「医薬品の副作用報告について」をもつて、それぞれ各都道府県知事あて通知されているところであるがこれらの通知に基づく副作用情報の収集、評価及び報告の適切な実施について、製造業者に対する指導を更に強化されたい。
3 薬事監視体制の整備及び監視指導の方策について
薬事監視については、昭和四六年一一月二日薬発第一、〇〇八号薬務局長通知「薬事監視要領」に基づき実施されているところであるが、近年医薬品の再評価及び副作用評価等医薬品の有効性及び安全性の確保のための対策が重要な課題となつており、このため、薬事監視業務が増大し、かつ多様化している実状にあるが、このような状況の下で薬事監視業務を効率的に遂行するため、今後、次のことについて留意し、薬事監視の実施に遺憾なきを期されたい。
(1) 薬事監視員を必要数確保することは薬事監視の根幹をなすものである。各都道府県においても薬事監視員の増強に鋭意ご努力を頂いているところであるが、薬事監視業務の増大及び多様化に対応するため、薬事監視員の増員になお一層の努力を願いたいこと。
(2) 医薬品再評価の結果に基づく措置等医薬品の安全対策に係る事項についても、監視指導業務の一環として遺漏なきを期されたいこと。特に前記1の(2)及び(3)については、十分留意されたいこと。
(3) 薬事監視業務を効率的に遂行するため、次の諸点について留意されたいこと。
① 薬事監視の対象の選定に当たつては、地域的、業種別分布、過去の違反の傾向等を考慮し、計画的に薬事監視を行うこと。
② 薬事監視の対象の大部分を占める薬局、販売業については、監視指導項目のうち、管理薬剤師の勤務状況等管理に関する事項、毒劇薬、要指示薬の取扱い、不良・不正表示医薬品等の有無、無承認、無許可医薬品等の有無、虚偽・誇大広告など保健衛生に係わりの深い項目について重点監視するなど、監視指導の効率的な実施を図ること。
③ 薬事監視を行つた場合は原則として指導票を相手方に交付し、薬事監視の結果を周知させ、相手方の今後の改善の指針とさせること。
(4) 消費者の苦情等については、保健所・消費者センター等関係機関と連携を密にし、通報のあつた苦情については、監視指導上における違反発見の端緒として有効に活用するよう努められたいこと。