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○化粧品規制緩和に係る薬事法施行規則の一部改正等について

(平成一二年九月二九日)

(医薬発第九九〇号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省医薬安全局長通知)

化粧品の規制については、「化粧品規制の在り方に関する検討会」の最終とりまとめを踏まえ、規制緩和推進三ケ年計画(平成一二年三月三一日閣議決定)に基づき、今般、「薬事法施行規則の一部を改正する省令(平成一二年厚生省令第一二五号)」、「薬事法第一四条第一項の規定に基づき厚生大臣の指定する化粧品の成分を定める件(平成一二年九月厚生省告示第三三〇号)」、「化粧品基準を定める件(平成一二年九月厚生省告示第三三一号)」及び「薬事法第五九条第六号及び第六一条第四号の規定に基づき名称を記載しなければならないものとして厚生大臣の指定する医薬部外品及び化粧品の成分を定める件(平成一二年九月厚生省告示第三三二号)」が平成一二年九月二九日にそれぞれ別添一から別添四までのとおり公布又は告示され、平成一三年四月一日から施行又は適用されることとなったので、貴職におかれては、左記事項に御留意の上、貴管下関係業者に対し周知徹底を図られたい。

なお、本通知において薬事法(昭和三五年法律第一四五号)を「法」と薬事法施行規則(昭和三六年厚生省令第一号)を「規則」とそれぞれ略称する。

第一 改正の趣旨

一 今回の化粧品規制の改正の基本的な方向は、消費者への必要な情報提供を確保した上で、消費者の需要の多様化に対応したより多くの選択を可能とするため、「今後の化粧品規制の在り方に関する検討会」により検討されたものである。当該検討会の最終とりまとめにおいて、現行の種別毎の承認制は廃止し、欧米と同様に配合禁止・配合制限成分リスト及び特定成分群の配合可能成分リストによる規制に移行するとともに、配合したすべての成分の名称を表示する制度に移行することとする提言がとりまとめられた。

二 今回の薬事法施行規則の一部改正等は、前記の最終とりまとめを踏まえ、平成一一年一二月一四日の規制改革委員会第二次見解に沿って、可能な限り配合禁止・配合制限成分リスト及び特定成分群の配合可能成分リストの国際整合化を図るとともに、化粧品の全成分表示に関し、小型容器への記載について消費者に見やすくかつ事業者の過大な負担とならないようにするための必要な措置を実施するものであり、規制緩和推進三カ年計画(平成一二年三月閣議決定)に盛り込まれているものである。

第二 成分規制に関する事項(化粧品基準を定める件関係)

一 趣旨

化粧品に使用できる成分については、従来、「化粧品品質基準(昭和四二年厚生省告示第三二一号)」において、配合を禁止する成分等を規定するとともに、「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令(昭和四一年厚生省令第三〇号)」により、使用することができるタール色素を規定していたところであるが、今般、化粧品への「防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素以外の成分の配合の禁止・配合の制限(以下、「ネガティブリスト」という。)」及び「防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素の配合の制限(以下、「ポジティブリスト」という。)」を「化粧品基準(平成一二年九月厚生省告示第三三一号)」として定めるとともに、基準の規定に違反しない成分については、企業責任のもとに安全性を確認し、選択した上で配合できることとした。なお、「化粧品品質基準」はこれに伴い廃止する。

二 概要

(一) 原料全般について

化粧品の原料は、それに含有される不純物等も含め、感染のおそれがある物を含む等その使用によって保健衛生上の危険を生じるおそれがあるものであってはならないこととしたこと。

(二) ネガティブリスト

ア 防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素以外の成分にあっては、別表第一に掲げる成分を配合できないこと。また、別表第二の一に掲げる成分については一〇〇g中の最大配合量の欄に掲げる範囲内、別表第二の二の成分については、化粧品の種類又は使用目的により一〇〇g中の最大配合量の欄の範囲内である制限を設けたこと。これらの禁止及び制限規定に違反しない限り、配合する防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素以外の成分については、企業責任において選択できることとしたこと。

イ 化粧品は、添加剤としてのみ使用される成分を除く医薬品の成分を配合してはならないこと。ただし、医薬品の成分であって、平成一三年三月三一日までに既に承認を受けた化粧品の成分であるもの又は化粧品種別許可基準(昭和三六年二月厚生省告示第一五号別表)に掲げられていた医薬品の成分については、承認に係る成分の分量又は化粧品種別許可基準に掲げられていた成分の分量に限り、化粧品に配合することができることとしたこと。

(三) ポジティブリスト

ア 防腐剤については別表第三に掲げる物、紫外線吸収剤については別表第四に掲げる物であって、それぞれ一〇〇g中の最大配合量の欄に掲げる範囲内でなければならないとしたこと。

イ 防腐剤とは、化粧品中の微生物の発育を抑制することを目的として化粧品に配合される物をいい、精油、アルコール等製品の防腐を助ける物は含まない。また、紫外線吸収剤とは、紫外線を特異的に吸収する物であって、紫外線による有害な影響から皮膚や毛髪を保護することを目的として化粧品に配合されるものをいい、紫外線から製品を保護することのみを目的として配合される物は含まないこと。

ウ 別表第三又は別表第四に掲げる成分を防腐剤又は紫外線吸収剤以外の配合目的を持つものとして配合することは通常想定され得ないものであるが、仮にこのような場合であっても、配合制限に関する規定を守るべきであること。

エ タール色素については、「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令(昭和四一年厚生省令第三〇号)」第三条の規定を準用するとしたこと。ただし、赤色第二一九号及び黄色二〇四号については、省令の規定に関わらず、毛髪及び爪のみに使用される化粧品に限り配合できることとしたこと。

(四) その他

ア 今回の規制緩和は企業責任を前提とする改正であり、製造(輸入販売)業者の責任において安全性を十分に確認した上で配合の適否を判断すること。また、配合した成分及び製品の安全性に関する資料は、製造(輸入販売)業者において収集、作成及び保管すること。

イ 化粧品基準の別表第三に掲げられている一、三―ジメチロール―五、五―ジメチルヒダントイン又はN、N”―メチレンビス[N’―(三―ヒドロキシメチル―二、五―ジオキソ―四―イミダゾリジニル)ウレア]を配合する際には、購入時及び使用時の注意表示として、「ホルムアルデヒドに過敏な方および乳幼児のご使用はおさけください。」と記載すること。

第三 成分表示に関する事項(規則第六〇条の五及び薬事法第五九条第六号及び第六一条第四号の規定に基づき名称を記載しなければならないものとして厚生大臣の指定する医薬部外品及び化粧品の成分を定める件関係)

一 趣旨

法第五九条第六号及び第六一条第四号に基づき直接の容器又は直接の被包に名称を記載しなければならない医薬部外品及び化粧品の成分を定め、化粧品については、原則として配合するすべての成分の名称を表示すること(以下、「全成分表示」という。)としたこと(平成一二年九月厚生省告示第三三二号)。

また、成分表示に要する面積が拡大するため、規則における表示に関する特例規定を改正したこと。

なお、「薬事法の規定に基づき、成分の名称を記載しなければならない医薬部外品及び化粧品の成分を指定する件(昭和五五年九月厚生省告示第一六七号)」は廃止したこと。

二 概要

(一) 化粧品については、表示対象成分として、消費者が医師からの情報をもとにアレルギー等の皮膚障害を起こすおそれのある製品の使用を自ら避けることを目的として一〇二種類を指定していたところであるが、消費者の選択をより容易にするための情報を充実することを目的として、承認に係る化粧品を除き、全成分表示することとしたこと。

医薬部外品の表示対象成分は、従前のとおり、人体に直接使用されるものについては消費者が医師からの情報をもとにアレルギー等の皮膚障害を起こすおそれのある製品の使用を自ら避けることを目的として指定し、人体に直接使用されない殺虫剤、殺そ剤等については誤用又は誤飲等による事故時に迅速な応急措置がとれるようにすることを目的として指定しているものであり、今回の改正において指定している成分は従前指定している成分と同様のものであること。

(二) 化粧品に配合する成分の名称は、広く一般に認められている名称が望ましく、消費者に理解されやすい名称であると同時に、成分に関する正確な情報が伝わるものであること。

(三) 化粧品については、直接の容器又は直接の被包(以下、「直接の容器等」という。)への成分の名称を省略できる場合として、規則第六〇条の四を準用していたところであるが、新たに第六〇条の五を設け、以下の場合について新たに認めることとしたこと。

ア 外部の容器又は外部の被包(以下、「外箱等」という。)を有しない化粧品のうち、内容量が五〇g又は五〇mL以下の直接の容器等に収められた化粧品にあっては、直接の容器等に添付する文書

イ 外箱等を有する化粧品のうち、内容量が一〇g又は一〇mL以下の直接の容器等に収められた化粧品にあっては、外箱等に添付する文書、又は、直接の容器等に添付する文書及びディスプレイカード

なお、この場合、添付する文書は当該容器へ固着していないものも含むが、購入時に製品とともに持ち帰ることができるものに限ること。また、イにおいて認められるディスプレイカードは当該容器へ固着していないものも含むが、購入時に成分が確認できるように設置されているものに限ること。

(四) 全成分表示の特例期間について

ア 法第一二条第一項又は第二二条第一項の許可を受けて製造または輸入されたことのある化粧品のうち、平成一三年三月三一日の時点で現に出荷されているものであって、消費者からの電話等による問い合わせに対し、製造(輸入販売)業者が、製品への全成分表示と同等以上の情報を提供することができるものは、(ア)又は(イ)のいずれかの条件を満たす場合、平成一四年九月三〇日までは従前のとおり製造(輸入)することができるとしたこと。

(ア) 当該化粧品に添付する文書に全成分表示しているもの。

(イ) 当該化粧品に配合されたすべての成分名称が一般の閲覧に供されているもの。

なお、この場合、添付する文書は当該容器へ固着していないものも含むが、購入時に製品とともに持ち帰ることができるものに限ること。一般の閲覧に供されているとは、配合したすべての成分の名称が出版物又はインターネットへ掲載されていること、配合されたすべての成分の名称を記載した文書が製造(輸入販売)業者の窓口に設置されていること等を指すこと。

イ 施行日以前に、法第一二条第一項又は第二二条第一項の許可を受けて製造又は輸入されたことのある化粧品であっても、出荷されたことのないものについては、特例期間の対象とはならないとすること。

平成一三年三月三一日までに出荷された化粧品については、今回、成分表示に関する特段の措置は義務付けないこと。

第四 承認に関する事項(規則第一八条の二及び薬事法第一四条第一項の規定に基づき厚生大臣の指定する化粧品の成分を定める件関係)

一 趣旨

法第一四条第一項において、「厚生大臣が指定する成分を含有するもの」については、品目毎に厚生大臣の承認を要するとされており、従来、厚生大臣が指定する成分として、化粧品を一一種別に分類したうえで、種別毎に承認を必要とする化粧品の成分を定めていたところであるが、原則として承認制を廃止し、成分の名称を表示しない成分を配合する化粧品についてのみ、承認を要することとしたこと。

二 概要

(一) 「薬事法第一四条第一項の規定に基づき品目ごとの承認を受けなければならない化粧品の成分を指定する件(昭和三六年二月厚生省告示第一五号)」を廃止し、これに伴い、種別許可・承認制は廃止する。したがって、承認を必要としない化粧品については、化粧品全体を一品目として製造(輸入販売)業の許可を与えることとなること。当該許可に係る個々の製品については、後日通知する販売名届の様式に従い、あらかじめ、届出を行うこととする。

なお、既に受けている製造(輸入販売)業の許可及び製造(輸入)品目許可は、平成一三年四月一日以降化粧品全体を一品目として製造(輸入販売)業の許可を受けているものとみなす。

(二) 成分の名称を表示しない成分を配合する化粧品の承認について

ア 法第一四条第一項の規定に基づき品目ごとの承認を受けなければならない化粧品の成分として、「薬事法第六一条第四号の規定による名称の記載を省略しようとする成分」(以下、「非開示成分」という。)を指定したこと。

イ 承認に当たっては、非開示成分の名称に代えて、例えば、「その他の成分一」、「その他の成分二」等を直接の容器等に記載することを承認条件として付すこととする。

ウ 平成一三年四月一日以降承認された化粧品において、非開示とされた成分の名称を表示することが公衆衛生の観点等から必要と判断された場合にあっては、承認条件に関わらず、当該成分の名称を記載させる措置を執ることがあり得ること。

(三) 承認拒否事由

承認が拒否される事由として、規則第一八条の二において性状又は品質が保健衛生上著しく不適当な場合とされていたが、化粧品に含有されている成分が非開示成分として不適当な場合を追加したこと。

具体的に承認を拒否する場合としては、非開示にしようとする成分が公知である場合、またその成分を非開示とすることにより、消費者に保健衛生上の危害が発生するおそれがある場合等が挙げられるが、承認の可否については、公衆衛生の観点等から個別に審査するものであることに留意されたい。

第五 既存の通知の改正について

一 昭和五五年四月一〇日薬発第四八三号「薬事法の一部を改正する法律の施行について」の記の第一の一の(一)中、ウの次にエとして「化粧品については、含有されている成分が法第六一条第四号の規定による名称の記載を省略しようとする成分として不適当なとき(同項第三号、規則第一八条の二第二項)。」を加える。

二 昭和五五年一〇月九日薬発第一三三〇号「薬事法の一部を改正する法律の施行について」の記の第五を次のように改める。

(一) 一を次のように改める。

一 香料含有の医薬部外品(人体に直接使用されるもの)は香料を含有する旨の表示をするよう指導されたいこと。

(二) 二(二)中「(第六二条において準用する場合を含む。)」を「及び第六〇条の五第二号」に、同(三)中「(第六二条において準用する場合を含む。)」を「及び第六〇条の五第三号」に改める。