添付一覧
○薬事法等の一部を改正する法律の施行について
(平成九年三月二七日)
(薬発第四二一号)
(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)
薬事法等の一部を改正する法律(平成八年法律第一〇四号)は、平成八年六月二六日に公布され、承認前の特例許可に係る改正規定(公布日施行)以外の部分が本年四月一日から施行される。
これに伴い、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(以下「機構」という。)による調査の範囲について薬事法施行令の一部を改正する政令(平成九年政令第三号)が本年一月八日に、手数料について薬事法施行令の一部を改正する政令(平成九年政令第五八号)が三月二四日にそれぞれ公布され、四月一日に施行される。また、医薬品の市販後調査の基準に関する省令(平成九年厚生省令第一〇号。以下「GPMSP省令」という。)が三月一〇日に、医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令(平成九年厚生省令第二一号。以下「GLP省令」という。)が三月二六日に、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成九年厚生省令第二八号。以下「GCP省令」という。)及び薬事法施行規則等の一部を改正する省令(厚生省令第二九号。以下「改正規則」という。)が三月二七日にそれぞれ公布され、四月一日から施行されることとなった。(ただし、改正規則のうち、規制緩和に係るものについては、公布日に施行されることとなった。)
貴職におかれては、左記事項に御留意の上、貴管下関係業者等に対し周知徹底を図られたい。
なお、この通知において、改正後の薬事法(昭和三五年法律第一四五号)を「法」と、改正前の薬事法を「旧法」と、改正後の薬事法施行令(昭和三六年政令第一一号)を「令」と、改正後の薬事法施行規則(昭和三六年厚生省令第一号)を「規則」と、改正前の薬事法施行規則を「旧規則」とそれぞれ略称する。
記
第一 薬局の管理者の権能の強化及び薬局開設者の遵守事項の見直しについて
一 趣旨
適正な医薬分業を進めていくため、薬局の管理者についてその責任を強化するとともに、薬局開設者との関係を明確化し、保健衛生上支障を生じるような業務の運営がなされることを防止することとしたものであること。
二 薬局開設者自らが薬局を実地に管理する場合に関する、管理者の義務に相当する義務規定の適用の明確化を図ったこと(法第八条第三項及び第九条第一項)。
三 薬局の管理者の義務の遂行のために必要な配慮と開設者の薬局業務運営方針が不一致である場合に、管理者の意見と薬局開設者の意見の優先関係が明文上規定されていなかったことから、従来、旧規則第一一条において規定されていた管理者の薬局開設者への意見陳述義務を法で規定することとし(法第九条第二項)、また、薬局開設者の管理者からの意見尊重義務を新たに規定することとしたこと(法第九条の二第二項)。
なお、薬局の管理者は、薬局開設者に意見陳述を行ったときは、その内容、それに対して講じられた措置等を、規則第一一条の二に規定する帳簿に記載すること。
第二 承認審査資料に関する事項
一 趣旨
一定の医薬品について、承認申請書に添付される資料(以下「承認審査資料」という。)を収集し、又は、作成する際に従うべき基準(以下「承認審査資料収集作成基準」という。)を定めることとしたこと(法第一四条第三項後段)。
また、前記基準の適用対象となる医薬品については、承認審査資料が基準に適合するかどうかについて書面による調査又は実地の調査(以下「承認審査資料適合性調査」という。)を行うものとし、その調査の全部を機構に行わせることができること(法第一四条第四項後段及び第一四条の二第一項並びに令第一条の五第一項第二号)。
なお、二に掲げる医薬品以外の医薬品についても、承認審査資料を収集し、又は、作成する際には、承認審査資料収集作成基準に従うことが望ましいこと。
二 基準に従うべき医薬品の範囲(規則第一八条の四の二)
(一) 日本薬局方に収められている医薬品(以下「局方品」という。)及び既に製造又は輸入の承認を与えられている医薬品(再審査期間を経過していないものを除く。)と有効成分又は投与経路が異なる医薬品
(二) 医療用医薬品((一)に示すものを除く。)
ただし、体外診断用医薬品、パッチテスト用医薬品、薬局製造医薬品、都道府県知事承認医薬品及び動物専用医薬品を除く。
三 基準の内容
(一) 医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準(以下「GLP」という。)
適用範囲、適用時期、内容等については、GLP省令及び平成九年三月二七日薬発第四二四号薬務局長通知「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令の施行について」を参照されたいこと。
(二) 医薬品の臨床試験の実施の基準(以下「GCP」という。)
適用範囲、適用時期、内容等については、GCP省令及び平成九年三月二七日薬発第四三〇号薬務局長通知「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の施行について」を参照されたいこと。
(三) 信頼性基準(規則第一八条の四の三)
資料が次に掲げるところにより、収集され、かつ、作成されたものでなければならないこととすること。
ア 資料がこれを作成することを目的として行われた調査又は試験の結果に基づき正確に作成されたものであること。
イ 申請に不利になるような調査結果、試験成績等が得られた場合には、それが隠蔽されたり、事実のみが資料に記載されるのではなく、当該調査結果、試験成績等についても検討及び評価が行われ、その結果も資料に記載されていること。
ウ 資料の根拠となった資料が承認を与える又は与えない旨の処分の日まで保存されていること。
なお、信頼性基準については、GLP及びGCPと同様、平成九年四月一日以後の申請に係る承認審査資料から適用されること。
四 調査の内容
法第一四条第四項に規定する「書面による調査」とは、申請者に、原則として承認審査資料の根拠となった資料をすべて機構に提出させ、当該承認審査資料が三の(一)から(三)までに示した基準に従って収集され、かつ、作成されたものであるかどうかを調査することをいい、これらの基準について一括して行うものであること。
同項に規定する「実地の調査」とは、調査担当者が、承認審査資料が収集され、又は作成された場所(申請者の事務所、工場、研究所、試験施設、医療機関等)に赴き、その場で調査を行うことをいい、三の(一)から(三)までに示した基準のうち、GLP及びGCPのそれぞれについて、必要に応じ、行うものであること。
五 調査の主体
承認審査資料適合性調査のうち、外国の事務所、工場、研究所、試験施設、医療機関等に対する実地の調査を行う必要がある場合には厚生省が、それ以外の場合には原則として機構が調査を行うものであること。
六 調査の申請
(一) 承認審査資料適合性調査の機構に対する申請は、令第一条の五第一項第一号に規定する同一性調査と同様に、規則第二〇条の二に基づき、様式第一一の二による承認調査申請書を承認申請書又は承認事項一部変更承認申請書に添付して行うこととされたこと。
(二) 承認審査資料適合性調査のうち書面による調査は、原則として実施するので、あらかじめ承認申請書又は承認事項一部変更承認申請書に承認調査申請書を添付して申請を行うこと。
また、承認申請を行う医薬品が次に示す医薬品のいずれかに該当する場合には、GCP適合性に係る実地の調査(以下「GCP実地調査」という。)を原則として実施するので、あらかじめ調査の申請を行うこと。
ア 昭和五五年五月三〇日薬発第六九八号薬務局長通知の記の第一の一の五に規定する新有効成分含有医薬品、別表二―(一)の一の(二)に規定する新医療用配合剤及び記の第一の一の六に規定する新投与経路医薬品(以下「新医薬品(その一)」という。)
イ 新医薬品(その一)として製造又は輸入の承認を与えられた医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有する医薬品であって、当該新医薬品(その一)の再審査期間中に承認申請を行うもの
ウ 局方品及び既に製造又は輸入の承認を与えられている医薬品(以下「既承認医薬品」という。)と効能、効果、用法又は用量が異なる医薬品(以下「新医薬品(その二)」という。)
エ 昭和五五年五月三〇日薬発第六九八号薬務局長通知の別表二―(一)の一の(七の二)に規定する類似処方医療用配合剤(以下「類似処方医療用配合剤」という。)
なお、その他の医薬品については、書面による調査を実施した後にGCP実地調査の必要性を判断するため、GCP実地調査についてあらかじめ調査の申請を行う必要はなく、厚生省からGCP実地調査が必要である旨の通知を受けた後に調査の申請を行うこと。
GLP適合性に係る実地の調査(以下「GLP実地調査」という。)の申請については、平成九年三月二七日薬審第二五三号審査課長・安全課長通知「医薬品の製造(輸入)承認申請の際に添付すべき医薬品の安全性に関する非臨床試験に係る資料の取扱い等について」を参照されたいこと。
(三) 承認調査申請書は、一品目ごとに作成されることが望ましいが、やむを得ず複数の品目の同一性調査又は承認審査資料適合性調査を同時に申請する場合には、承認調査申請書の正本を承認調査申請書の販売名欄の最初に記載された品目に係る承認申請書に添付するとともに、当該品目を含むすべての品目の承認申請書に承認調査申請書の写し(表面、裏面とも)を添付し、当該写しの販売名欄の該当部分を赤枠で囲むこと。なお、この場合にあっても、(二)のアからエまでに示した医薬品とそれ以外の品目とは分けて申請すること。
七 その他
測定項目が新しい体外診断用医薬品については、昭和六〇年六月二九日薬発第六六二号薬務局長通知「体外診断用医薬品の取扱いについて」により承認審査資料として臨床試験データに関する資料が必要とされているところであるが、当該資料の収集を目的とする試験の実施については、法第八〇条の二第一項、第四項及び第五項に基づく治験の依頼の基準、治験を行う基準及び治験の管理の基準は適用されないこと。また、これを明確にするために、「臨床試験データに関する資料」の名称を、今後は「臨床性能試験データに関する資料」と改めること。
なお、臨床性能試験については、当分の間、従来どおり旧規則第六七条の例によって実施されたいこと。
八 通知の改正〔略〕
第三 再審査資料及び再評価資料に関する事項
一 趣旨
一定の医薬品について、再審査申請書に添付される資料(以下「再審査資料」という。)及び再評価を受けるべき者が提出する資料(以下「再評価資料」という。)を収集し、又は、作成する際に従うべき基準を定めることとしたこと(法第一四条の四第四項後段及び第一四条の五第四項)。
また、再審査資料及び再評価資料が上記基準に適合するかどうかについて書面による調査又は実地の調査(以下それぞれ「再審査資料適合性調査」及び「再評価資料適合性調査」という。)の全部を機構に行わせることができること(法第一四条の四第五項後段、第一四条の四の二、第一四条の五第五項後段及び第一四条の五の二並びに令第一条の五第二項及び第三項)。
二 基準に従うべき医薬品の範囲(規則第二一条の三の二及び二一条の五第四項)
再審査及び再評価の対象となるすべての医薬品とすること。ただし、平成九年四月一日以降に収集又は作成を開始した再審査資料及び平成九年四月一日以降に公示された医薬品に係る再評価を受けるべき者が提出する資料から基準が適用される。
三 基準の内容
(一) 医薬品の市販後調査の基準(以下「GPMSP」という。)
適用範囲、適用時期、内容等については、GPMSP省令及び平成九年三月二七日薬発第四三九号薬務局長通知「医療用医薬品の市販後調査の基準に関する省令の施行について」を参照されたいこと。
(二) GLP
第二の三の(一)に同じ。
(三) GCP
第二の三の(二)に同じ。
(四) 信頼性基準(規則二一条の三の三及び二一条の五第五項において準用する規則第一八条の四の三)
第二の三の(三)に同じ。
四 調査の内容
法第一四条の四第五項後段及び第一四条の五第五項後段に規定する「書面による調査」とは、再審査資料又は再評価資料が三の(一)から(四)までに示した基準に従って収集され、かつ、作成されたものであるかどうかを調査するものであること。
また、これらに規定する「実地の調査」とは、三の(一)から(四)までに示した基準のうち、GLP、GPMSP及びGCPのそれぞれについて、必要に応じ行うものであること。
なお、GCP実地調査については、GPMSP適合性に係る実地の調査(以下「GPMSP実地調査」という。)に付随して行うものとすること。
五 調査の主体
第二の五によるほか、当分の間、再審査資料適合性調査については機構が、再評価資料適合性調査については厚生省が行うものとすること。
六 調査の申請
(一) 再審査資料適合性調査の機構に対する申請は、規則第二一条の四の三に基づき、様式第一一の二の六による医薬品再審査資料適合性調査申請書を再審査申請書に添付して行うこととされたこと。ただし、実地の調査の申請については、直接機構に対して行っても差し支えないこと。
(二) 再審査資料適合性調査のうち、書面による調査は、原則として実施するので、あらかじめ再審査申請書に医薬品再審査資料適合性調査申請書を添付して申請を行うこと。
また、再審査申請を行う医薬品が医薬品の製造原料以外のものである場合にはGPMSP実地調査(GCP実地調査を含む。)を原則として実施するので、あらかじめ調査の申請を行うこと。製造原料の場合については、書面による調査を原則とするので、GPMSP実地調査についてあらかじめ調査の申請を行う必要はないが、厚生労働省からGPMSP実地調査が必要である旨の通知を受けた場合には実地調査の申請を行うこと。
なお、GLP実地調査については、書面による調査を実施した後に必要性を判断するため、あらかじめ調査の申請を行う必要はなく、厚生労働省からGLP実地調査が必要である旨の通知を受けた後に調査の申請を行うこと。
七 その他
日・米・EU医薬品規制ハーモナイゼーション国際会議(以下「ICH」という。)において定期的安全性最新報告(PSUR)のガイドラインが合意されたことに伴い、再審査に際し提出すべき資料として、新たに医療用医薬品についての安全性定期報告の概要が加えられたこと(規則第二一条の三第一項及び第二一条の四の二第二項)。
なお、安全性定期報告書の作成については、平成九年三月二七日薬発第四三七号薬務局長通知「新医療用医薬品に関する安全性定期報告制度について」を参照されたいこと。
第四 副作用等報告に関する事項
一 趣旨
医薬品等の副作用報告については、従来より医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の製造業者若しくは輸入販売業者又は外国製造承認取得者若しくは国内管理人(以下「製造業者等」という。)に対する副作用等の報告の義務として旧規則第六二条の二の規定が設けられていたところであるが、今般、薬事法改正に伴い医薬品等の副作用及び感染症の報告について新たに法第七七条の四の二及び規則第六四条の五の二の規定が設けられた。
今回の主な改正点は、①ICHの合意に基づき報告を要する重篤な場合を明確化したこと、②血液製剤のHIV(エイズウイルス)による汚染のような事例を的確かつ迅速に把握するため、新たに医薬品の使用によるものと疑われる感染症を報告対象としたこと、③外国で使用されている物であって医薬品と同一成分のものについて製造、輸入又は販売の中止等保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置が実施された場合も報告の対象としたことの三点である。
また、医療用具についても、同様の改正を行った。
二 用語の定義
(一) 規則第六四条の五の二第一項第一号関係
ア 「外国で使用されている物であって当該医薬品と成分が同一性を有すると認められるもの」とは、外国で使用されている物(治験中の物を含む。)であって、当該医薬品と成分が同一のものを指すものであり、投与経路、用法、用量、効能、効果等が異なる場合も含まれるものであること。
外国で発生した症例が報告対象となるか否かについては、規則第六四条の五の二第一項第一号の規定により判断すべきものであるが、少なくともその症例が発生した国において、その国の政府に緊急に報告する必要がある症例については報告すべきものであること。
イ 「副作用によるものと疑われるもの」とは、因果関係が否定できるもの以外のものを指し、これには因果関係が不明なものも含まれること。
ウ 「使用上の注意から予測できないもの」とは、使用上の注意の「警告」、「一般的注意」、「相互作用」、「副作用」等に記載されていないもの、あるいは、記載されていてもその性質、症状の程度又は発生傾向が記載内容と一致しないものであること。例えば、副作用名として使用上の注意に記載されていても、予測できないような重症例は、一五日以内の報告の対象となること。
エ 「障害」とは、日常生活に支障を来す程度の機能不全の発現を示すものであること。
オ 「当該医薬品等の使用によるものと疑われる感染症」とは、生体由来の医薬品等への病原体の混入が疑われる場合等を指すものであること(例えば、血液製剤によるものと疑われるウイルス性肝炎、HIV感染等)。また、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、HIV等のウイルスマーカーの陽性化についても、感染症報告の対象となること。
カ 「外国で使用されている物であって当該医薬品と成分が同一性を有すると認められるものに係る製造、輸入又は販売の中止、回収、廃棄その他保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施」とは、外国における、有効性又は安全性の観点からの製造等の中止のほか効能若しくは効果、用法若しくは用量又は製造方法の変更、ドクターレターの配布を伴う重要な使用上の注意の改訂等も含まれるものであること。
(二) 規則第六四条の五の二第一項第二号関係
ア 「軽微であるもの」とは、症状が軽く容易に治癒することをいい、報告に当たっては担当医師及び歯科医師等の意見を参考にして判断すること。
イ 「がんその他の重大な疾病、障害若しくは死亡が発生するおそれがあること」とは、疫学調査報告、動物等を用いた試験、物理的試験又は化学的試験の成績等により、当該医薬品等の副作用又はその使用による感染症に起因する重大な疾病(例えば、がん、難聴、失明等)の発現又はその可能性を示すものであること。
ウ 「当該医薬品等の副作用による症例等若しくはそれらの使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が著しく変化したこと」とは、当該医薬品等について、副作用又は感染症の発生数、発生頻度、発生条件(例えば、全体としての発生数、発生頻度の変化は大きくないが、層別して見た場合に特定の年齢、合併症、用法、用量等で特に発生数、発生頻度の上昇が判明した等)、症状又は程度等の明らかな変化を示すものであること。
エ 「承認を受けた効能若しくは効果を有しないこと」とは、当該医薬品又はその有効成分について、精密かつ客観的な臨床試験、動物試験等により、承認された効能又は効果を有しないことを示すものであること。
オ 「研究報告」とは、国内外の学術雑誌等に掲載された研究報告、自社若しくは関連企業において行われた研究報告等を指すものであること。
(三) 規則第六四条の五の二第二項第一号関係
ア 「外国で使用されている物であつて当該医療用具と形状、構造、原材料、使用方法、効能、効果、性能等が同一性を有すると認められるもの」とは、外国で使用されている物(治験中の物を含む。)であつて、国内で承認を受けた医療用具と同一のものを指すこと。
外国で発生した症例が報告対象となるか否かについては、規則第六四条の五の二第二項第一号の規定により判断すべきであるが、少なくともその症例が発生した国において、その国の政府に緊急に報告する必要がある症例については報告すべきものであること。
イ 「(医療用具の)不具合による影響」とは、広く医療用具の具合がよくないことによる影響をいい、設計、製造、輸入、流通又は使用のいずれの段階によるものであるかを問わないこと。ただし、使用者の知識や技量の不足によることが明らかである場合には本報告の対象外であること。
ウ 「当該医療用具の不具合の発生であつて、当該不具合の発生によつて、イに掲げる症例等が発生するおそれがあることが予想されるもの」とは、当該医療用具の不具合の発生であつて、現実には死亡、障害等は発生していないが、死亡、障害等の発生し得ることが予想されるものであること。
エ 「不具合による影響であると疑われるもの」、「使用上の注意から予測できないもの」、「障害」、「当該医療用具等の使用によるものと疑われる感染症」及び「外国で使用されている物であつて当該医療用具と形状、構造、原材料、使用方法、効能、効果、性能等が同一性を有すると認められるものに係る製造、輸入又は販売の中止、回収、廃棄その他保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施」については、それぞれ前記(一)のイ、ウ、エ、オ及びカに準じること。
(四) 規則第六四条の五の二第二項第二号関係
ア 「(医療用具の)不具合若しくはそれらの使用による感染症により人の健康に重大な影響を与えるおそれがあること」とは、疫学調査報告、動物等を用いた試験、物理的試験、化学的試験又は電気的試験の成績等により、当該医療用具の不具合又はその使用による感染症に起因する重大な疾病の発現又はその可能性を示すものであること。
イ 「人の健康に影響を与える不具合若しくはそれらの使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が著しく変化したこと」とは、不具合のうち人の健康に影響を与える可能性のあるもの又は感染症であって発生数、発生頻度、発生条件(例えば、全体としての発生数、発生頻度の変化は大きくないが、層別して見た場合に特定の年齢、合併症、用法、用量等で特に発生数、発生頻度の上昇が判明した等)、症状又は程度等の明らかな変化を示すものであること。
ウ 「軽微であるもの」、「承認を受けた効能、効果若しくは性能を有しないこと」及び「研究報告」についてはそれぞれ前記(二)のア、エ及びオに準じること。
(五) 規則第六四条の五の二第三項関係
「医薬部外品又は化粧品について、有害な作用が発生するおそれがあること」とは、疫学調査報告、動物等を用いた試験成績、物理的試験又は化学的試験の成績であって、当該医薬部外品、化粧品又はそれらに含まれる成分により保健衛生上注意を要する有害な作用(例えば、がん、過敏症、皮膚障害等)が起こること又はその可能性のあることを示すものであること。この有害な作用には、医薬部外品又は化粧品の使用によるものと疑われる感染症が含まれるものであること。
三 報告期限等
(一) 医薬品の副作用の報告は従来と同様規則第六四条の五の二第一項第一号に該当する場合は一五日以内、同項第二号に該当する場合は三〇日以内に行うこととしたこと。また、医療用具の不具合による影響等の報告も従来と同様、同条第二項第一号に該当する場合は一五日以内、同項第二号に該当する場合は三〇日以内に行うこととしたこと。
また、医薬品及び医療用具の感染症報告については、規則第六四条の五の二第一項第一号及び第二項第一号に該当する場合は一五日以内、同条第一項第二号及び第二項第二号に該当する場合は三〇日以内に行うこととするとともに、外国で使用されている物であって医薬品と同一成分のもの又は医療用具と形状、構造、原材料、使用方法、効能、効果、性能等が同一性を有すると認められるものが製造、輸入、販売の中止等保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置が実施された場合についても一五日以内の対象としたこと。
さらに、報告期限内に報告すべき事項の調査が完了しない場合には、従来と同様、それまでに得られた調査結果に、調査完了に時間を要する理由を添えて報告することとしたこと。
(二) 従来より一五日以内に報告すべき死亡症例について、製造業者等がその事実を知ったときは、厚生省にファックス等により速やかに第一報の報告を求めてきたところであるが、今後は、一五日以内に報告すべき症例のうち、医薬品の副作用報告又は医療用具の不具合報告については国内の死亡症例、医薬品又は医療用具の感染症報告についてはすべての症例並びに外国で使用されている物であって医薬品と同一成分のもの又は医療用具と形状、構造、原材料、使用方法、効能、効果、性能等が同一性を有すると認められるものが製造、輸入、販売の中止等保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置が講じられた場合のすべての措置内容について、厚生省にファックス等により速やかに第一報の報告をすることとしたこと。
(三) 製造業者等は、医師等から報告を受けた場合のほか、薬局開設者、医薬品販売業者、医療用具販売業者等から規則第六四条の五の二第一項又は第二項の症例の発生が疑われる旨の報告を受けた場合にも、速やかに医師等に同条第一項又は第二項に該当するか否かの判断を求めるよう努めること。
四 報告様式
(一) 規則第六四条の五の二第一項第一号又は第二号のイ又はロに基づく報告は、別紙様式第一及び別紙様式第二により、また、同条第二項第一号又は第二号のイ、ロ又はハに基づく報告は、別紙様式第三及び別紙様式第四により行うこと。
(二) 規則第六四条の五の二第一項第一号若しくは第二号のハ、第二項第一号若しくは第二号のニ又は第三項に基づく報告は、別紙様式第五及び別紙様式第六により行うこと。
(三) 前記の報告書は、当局安全課医薬品適正使用推進室へ提出すること。
五 通知の改正〔略〕
第五 回収報告について
一 趣旨
医薬品等に係る回収報告については、製造業者等が自主的に回収に着手した場合、その事実を報告させることにより、不良医薬品等に関する情報を早期に把握し、医薬品等による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための制度として、法制化されたものであること(法第七七条の四の三)。
二 回収報告の対象
医薬品及び医療用具に係る回収報告については、従来より旧規則第六二条の三により製造業者等の義務として位置づけられていたところであるが、新たに医薬部外品及び化粧品についても、医薬品及び医療用具と同様に、回収の報告を求めることとしたこと。
三 報告先
製造業者等は、回収に着手した場合、厚生大臣(ただし、都道府県知事が許可権限を有する製造所(営業所)において製造(輸入)された医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具については都道府県知事)に速やかに報告するものであること。
四 報告の方法
報告に当たっては、まず回収に関する第一報を当局監視指導課(許可権限が都道府県知事に委任されている場合には都道府県担当課)にファックス等により連絡した後、規則第六四条の五の三に定める事項を厚生大臣(都道府県知事)に対して文書により報告するものとすること。
五 都道府県知事が受理した回収報告の取扱い
都道府県が回収報告を受理した場合においては、厚生省から当該回収に関する情報を他の都道府県に連絡する必要があるので、速やかに当局監視指導課にファックス等により連絡されたいこと。当該連絡は、製造業者等の回収に関する第一報の写しを送信すること等で差し支えないこと。
六 経過措置
この省令の施行前に医薬品又は医療用具の回収に着手した者による厚生大臣(都道府県知事)への報告については、なお従前の例によること。
第六 情報の提供に関する薬局開設者等及び薬剤師の責務について
一 趣旨
薬剤師をはじめ、薬局開設者、医薬品販売業者は、患者・消費者に対する積極的な医薬品情報の提供に努めるべきものと考えられているが、一方で服薬指導等が十分になされていないとの指摘もあるところであり、医薬品の安全性確保対策をより充実強化する一環として、これらの者に対し、医薬品の適正な使用のために必要な情報の提供を義務づけたこと。
当該規定は、医薬品又は薬剤の適正な使用の観点からの合理的な理由がない限り、すべてのケースにおいて遵守されるべきものであること。
二 薬局開設者及び医薬品の販売業者の情報提供について
医薬品を一般に購入する者又は使用する者に対し医薬品の適正な使用のために必要な情報を提供することを薬局開設者及び医薬品の販売業者の努力義務として規定したこと(法第七七条の三第四項)。
この情報提供は、口頭又は文書のいずれによってもよいが、必要に応じて添付文書に記載された事項等を一般に購入する者又は使用する者にわかりやすく説明する等、販売する医薬品の適正な使用のために必要な情報を提供するものであること。
さらに、薬局開設者にあってはその薬局に勤務する薬剤師が、一般販売業または卸売一般販売業の許可を受けた者にあってはその店舗に置いた管理者(自らが薬剤師である場合にあっては自ら)が、当該規定に基づき情報を提供する場合には、三に準じて行われるよう留意すること。
なお、卸売一般販売業の許可を受けた者は原則として薬局開設者、医薬品の製造業者等又は病院等の開設者以外の者に対して医薬品を販売することはできないが、都道府県知事の許可を受けてこれらの者以外の者に対して販売することがありうるので、特に情報提供の努力義務の主体から除外することとはしていないこと。
三 薬剤師の情報提供について
患者等に対し調剤した薬剤の適正な使用のために必要な情報を提供することを薬剤師の義務として規定したこと(薬剤師法第二五条の二)。
この情報提供は、口頭又は文書のいずれによってもよいが、調剤した薬剤の適正な使用のために、薬剤師としての専門的な見地から、薬剤の名称、保管上の注意事項、服用上の注意事項、効能・効果、副作用等について、個々のケースに応じ必要な情報を判断し、それらを適切に患者等に提供するものであること。
第七 手数料に関する事項
一 改正の概要
(一) 医薬品及び医療用具の製造業等の許可等の手数料について
ア 「医薬品の製造管理及び品質管理規則」(平成六年厚生省令第三号)のうちバリデーションに係るものが平成八年四月から施行されたことに伴い、医薬品の製造業等の許可等の手数料について、額を引き上げるとともに、新たに特別審査対象外医薬品(令第一条の二第一項第一号から第八号までに掲げる医薬品)の製造又は輸入に係る許可という区分を設けること(令第一四条第一項第一号、第二号及び第五号)。
イ 医療用具の許可審査体制の充実強化に伴い、医療用具の製造業等の許可等の手数料について額を引き上げるとともに、新たに特別審査対象外医療用具(令別表第二に掲げる医療用具)の製造又は輸入に係る許可という区分及び修理業に係る許可という区分を設けること(令第一四条第一項第一号、第二号及び第五号)。
(二) 医薬品の製造等の承認等の手数料について
ア 国の医薬品承認審査体制の充実強化に伴い、医薬品の製造等の承認の手数料について、額を引き上げること(令第一四条第一項第三号)。
イ 従来、医療用後発品と同一の区分としていた新医薬品(その二)について、独立の区分を設けること(令第一四条第一項第三号)。
ウ 従来、局方品であって、かつ、新医薬品(その二)に当たるものは、局方品として区分していたが、これを今後は新医薬品(その二)の区分に含めること(令第一四条第一項第三号)。
エ 従来、新医薬品(その一)、局方品、後発医薬品、その他の医薬品の順に手数料を規定していたが、これを新医薬品(その一)、新医薬品(その二)、後発医薬品、局方品、その他の医薬品の順にすること(令第一四条第一項第三号)。
(三) 医療用具の再審査の手数料について
新構造医療用具として製造又は輸入の承認された医療用具以外の新医療用具(新効能、新性能又は新使用方法として製造又は輸入の承認(一部変更承認を含む。)されたもの。)の再審査については、新構造医療用具に比べて申請データ等が少ないことを踏まえ、新たに区分を設けること(令第一四条第一項第四号)。
(四) 削除
(五) 基準適合性調査の手数料について
ア 薬事法等の一部改正により、機構に承認審査資料適合性調査を行わせることとしたことに伴い、その手数料を新設すること(令第一四条の二第二項及び第三項)。
イ 薬事法等の一部改正により、機構に再審査資料適合性調査を行わせることとしたことに伴い、その手数料を新設すること(令第一四条の二第四項)。
(六) 消費税率の引上げに伴う手数料の引上げ
手数料全般について、本年四月一日からの消費税率の引上げ分を加算すること。
二 令第一四条の二第二項に規定する医薬品の区分
承認審査資料適合性調査のうち書面による調査の手数料を定めた各区分(第一号イからホまで及び第二号イからニまで)において規定されている具体的な医薬品は、第二の二に示した医薬品のうちそれぞれ以下のとおりであること。
(一) 第一号(法第一四条第一項の承認関係)
イ 次の①又は②に該当する医薬品であって、法第七七条の二第一項の規定により希少疾病用医薬品として指定されていないもの。
① 新医薬品(その一)
② 新医薬品(その一)として製造又は輸入の承認を与えられた医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有する医薬品であって、当該新医薬品(その一)の再審査期間中に承認申請を行うもの。
ロ イの①又は②に該当する医薬品のうち、法第七七条の二第一項の規定により希少疾病用医薬品として指定されているもの。
ハ 新医薬品(その二)であって、同一性調査の対象であるもの。新医薬品(その二)としては、昭和五五年五月三〇日薬発第六九八号薬務局長通知の記の第一の一の七に規定する新効能医薬品、別表二―(一)の一の(五)に規定する新剤型医薬品及び記の第一の一の八に規定する新用量医薬品が該当する。
ニ 新医薬品(その二)のうち、同一性調査の対象外であるもの。この場合において、同一性調査の対象外であるものとは、法第七七条の二第一項の規定により希少疾病用医薬品として指定されているものを指す。
ホ 次の①又は②に該当する医薬品
① 医療用医薬品であって、同一性調査の対象であるもの(ハ及び②に示すものを除く)。すなわち、いわゆる医療用後発品を指す。
② 局方品であって、同一性調査の対象であるもの。ただし、規則第一八条の四の二の規定により一般用医薬品は新有効成分含有医薬品及び新投与経路医薬品を除き承認審査資料収集作成基準の適用対象とはならないことから、医療用医薬品たる局方品のみが該当し、一般用医薬品たる局方品は該当しない。
(二) 第二号(法第一四条第六項の一部変更承認関係)
イ 新医薬品(その二)であって、同一性調査の対象であるもの。すなわち、第一号ハと同じ範囲の医薬品を指す。
ロ 新医薬品(その二)のうち、同一性調査の対象外であるもの。すなわち、第一号ニと同じ範囲の医薬品を指す。
ハ 次の①又は②に該当する医薬品
① 医療用医薬品であって、同一性調査の対象であるもの(イ及び②に示すものを除く)。すなわち、いわゆる医療用後発品(新医薬品(その二)として承認を与えられた医薬品であって、その再審査期間中に効能、効果、用法又は用量以外(成分及び分量、製造方法、貯蔵方法、有効期間並びに規格及び試験方法等)について承認事項の一部変更承認申請を行うものを含む。)が該当する。
② 局方品であって、同一性調査対象であるもの。ただし、第一号ホの場合と同様に医療用医薬品たる局方品のみが該当する。
ニ 医療用医薬品(イからハまでに示すものを除く。)。すなわち、新医薬品(その一)として承認を与えられた医薬品であって、その再審査期間中に効能、効果、用法又は用量以外(成分及び分量、製造方法、貯蔵方法、有効期間並びに規格及び試験方法等)について承認事項の一部変更承認申請を行うものが該当する。
三 令第一四条の二第三項第二号に規定する医薬品の区分
機構が行う承認審査資料適合性調査のうちGCP実地調査の手数料を定めた区分(イ及びロ)において規定されている具体的な医薬品は、第二の二に示した医薬品のうちそれぞれ以下のとおりであること。
イ 新医薬品(その一)及び新医薬品(その一)として製造又は輸入の承認を与えられた医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有する医薬品であって、当該新医薬品(その一)の再審査期間中に承認申請を行うもの並びに新医薬品(その二)
ロ いわゆる医療用後発品及び医療用医薬品たる局方品(新医薬品(その二)に該当するものを除く。)
四 類似処方医療用配合剤等の手数料区分上の取扱い
従来、類似処方医療用配合剤については、機構における同一性調査の申請を必要とせず、また、手数料区分上は新医療用配合剤と同一の扱いをしてきたところであるが、今後は承認審査並びに機構における同一性調査及び承認審査資料適合性調査について、新医薬品(その二)と同様に取り扱うものとすること。
これに伴い、類似処方医療用配合剤についても今後は機構における同一性調査の申請が必要になるとともに、承認の手数料並びに機構における同一性調査及び承認審査資料適合性調査の手数料の区分としては、新医薬品(その二)と同様に取扱うものとすること。
なお、総合消化酵素、作用が緩和なパップ剤等のうち医薬品として総合的に評価して新規性がないと判断される医療用配合剤については、従来どおり新医療用配合剤としては取り扱わないものであること。
五 承認申請書に添付すべき資料がない場合の取扱い
商標権抵触等により医薬品の販売名のみを変更する承認申請及び再審査又は再評価結果に適合させるための承認事項の一部変更承認申請等の場合であって、承認申請書に添付すべき資料がない場合には、承認審査資料適合性調査の申請は不要であり、したがって、そのための手数料も不要であること。
六 機構における承認審査資料適合性調査及び再審査資料適合性調査の手数料の納付方法について
これらの手数料については、従来の機構における同一性調査の手数料の納付方法と同様に、金融機関に設けられた機構の口座に払い込むことにより行うものとすること。
なお、調査申請の際には、払い込んだことを証する書類の写しを調査申請書の裏面に貼付する必要があるので注意すること。
七 通知の改正〔略〕
第八 薬物の治験に関する事項
一 趣旨
承認申請書の添付資料のうち、臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施(治験)については、その適正を期するため、従来から、①治験の依頼の基準の遵守(旧法第八〇条の二第一項)、②治験の計画の届出(旧法第八〇条の二第二項)、③治験の依頼の取消し等保健衛生上の危害の発生の防止のための指示(旧法第八〇条の二第三項)に関する規定が設けられていたところであるが、今回の改正により、薬物を対象とする治験について、被験者の安全等の確保を徹底するため以下の改正を行ったこと。
(一) 治験の対象となる薬物につき初めて治験の計画の届出をした者は、当該届出をした日から起算して三〇日を経過した後でなければ、治験の依頼をしてはならないものとし、この場合において、厚生大臣は、治験の計画に関し保健衛生上の危害の発生を防止するため必要な調査を行うものとするとともに、機構に、当該調査の全部を行わせることができるものとすること(法第八〇条の二第三項及び第八〇条の四並びに令第一五条の三)。
(二) 治験の依頼を受けた者は、厚生省令で定める基準に従って、治験を行わなければならないものとするとともに、治験の依頼をした者は、厚生省令で定める基準に従って、治験を管理しなければならないものとしたこと(法第八〇条の二第四項及び第五項並びにGCP省令)。
(三) 治験の依頼をした者は、薬物による副作用等のうち厚生省令で定める事項を知ったときは、その旨を厚生大臣に報告しなければならないものとすること(法第八〇条の二第六項及び規則第六六条の七)。
(四) 厚生大臣は、治験が(二)の基準に適合するかどうかを調査するため必要があると認めるときは、治験の対象となる薬物を業務上取り扱う者に対して、必要な報告等をさせること等ができるものとすること(法第八〇条の二第七項)。
(五) 治験の依頼をした者等について、正当な理由なく、治験に関しその職務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないものとすること(法第八〇条の二第一〇項)。
(六) 治験計画の届出が必要となる治験の範囲が拡大すること(規則第六六条の六)。
なお、治験には、人を対象として実施する生物学的同等性に関する資料の収集を目的とする試験の実施も含まれるものであること。
二 治験の依頼の基準、治験を行う基準及び治験の管理の基準
(一) 治験の依頼をしようとする者、治験の依頼を受け治験を行う者及び治験の依頼をした者が従わなければならない基準を定めたものであり、この基準は、効能又は効果の追加等承認事項の一部変更承認のための治験にも適用されるとともに、この治験には、患者を被験者とする臨床試験の他、健康な被験者を対象とするいわゆる第一相試験等も含むものであること。
(二) これらの基準の適用範囲、適用時期、内容等については、平成九年三月二七日薬発第四三〇号薬務局長通知「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の施行について」を参照されたいこと。
三 治験の計画の届出
(一) 治験の依頼をしようとする者が、法第八〇条の二第二項の規定によりその計画を届け出なければならない治験は、次に示す被験薬(治験の対象とされる薬物をいう。以下同じ。)に係る治験であること(ただし、イからカまでに示す被験薬について生物学的同等性試験を行う場合を除く。)(規則第六六条の六)。
ア 既承認医薬品と有効成分が異なる薬物
イ 既承認医薬品と有効成分が同一の薬物であって投与経路が異なるもの
ウ 既承認医薬品と有効成分の配合割合、効能、効果、用法又は用量が異なる薬物(ア及びイに示すもの並びに医療用以外の医薬品として製造又は輸入の承認の申請を行うことを予定しているものを除く。)
エ 既承認医薬品と有効成分が異なる医薬品として製造又は輸入の承認を与えられた医薬品であってその製造又は輸入の承認のあった日後再審査期間を経過していないものと有効成分が同一の薬物
オ 生物学的製剤である薬物(アからエまでに示すものを除く。)
カ 遺伝子組換え技術を応用して製造される薬物(アからオまでに示すものを除く。)
なお、この場合の「生物学的同等性試験」とは、「人を対象として基準となる製剤と試験製剤のバイオアベイラビリティを比較し、その同等性を証明することを目的として行う試験」をいい、これには、バイオアベイラビリティの比較が困難である等の理由で人に対する薬理作用又は臨床効果を指標に両製剤の生物学的な同等性を示そうとする試験は含まれないこと。
(二) 治験の計画の届出は、規則第六六条の三第二項の規定により、当該被験薬の毒性、薬理作用等に関する試験成績の概要その他当該被験薬等に関する情報及び当該治験の依頼を科学的に正当と判断した理由を添付の上、別紙様式第七により行うこと。ただし、外国製造業者が本邦内における治験の依頼をする場合の治験の計画の届出は別紙様式第八により行うものであること。
(三) 治験の計画の届出をした者は、届出に係る事項を変更したとき又は届出に係る治験を中止し、若しくは終了したときは、それぞれ別紙様式第九、別紙様式第一一又は別紙様式第一三により届出を行うこと。ただし、前記(二)ただし書の治験の計画の届出をした外国製造業者が、届出に係る事項若しくは治験国内管理人を変更したとき又は届出に係る治験を中止し、若しくは終了したときは、それぞれ別紙様式第一〇、別紙様式第一二又は別紙様式第一四により届出を行うこと。
(四) 改正規定により新たに届出の対象とされた薬物に係る治験については、平成九年四月一日の時点で、どの医療機関とも未だ治験契約を締結していないものについて届出を行うこと。
四 治験の計画に係る調査
法第八〇条の二第三項前段は、次に掲げる薬物を対象とする治験の依頼をしようとする者に適用されること。
ア 既承認医薬品と有効成分が異なる薬物
イ 既承認医薬品と有効成分が同一の薬物であって投与経路が異なるもの
ウ 既承認医薬品と有効成分の配合割合が異なる薬物(ア及びイに示すもの、類似処方医療用配合剤として製造又は輸入の承認の申請を行うことを予定しているもの並びに医療用以外の医薬品として製造又は輸入の承認の申請を行うことを予定しているものを除く。)
この場合、治験の契約を締結した時点においてこの規定の違反が成立すること。
五 被験薬に係る副作用等報告
(一) 治験の依頼をした者は、依頼した治験に係る計画の届出の必要性の有無にかかわらず、被験薬の有効性、安全性に関し、保健衛生上重要な知見を入手した場合には、規則第六六条の七の規定により、その内容を厚生大臣あて速やかに届け出ること。
なお、当該被験薬に係る治験をすべて終了し、当該被験薬に係る医薬品の製造又は輸入の承認を申請中のもの又は承認の申請準備中のものについても、製造又は輸入の承認を受けるまでは報告の対象となるものであること。
(二) 規則第六六条の七中の用語の定義については、以下のとおりであること。
ア 「外国で使用されている物であつて当該被験薬と成分が同一性を有すると認められるもの」とは、外国で使用されている物(治験中の物を含む。)であって、当該被験薬と成分が同一のものを指すものであり、投与経路、用法、用量、効能、効果等が異なる場合も含まれるものであること。
外国で発生した症例が報告対象となるか否かについては、規則第六六条の七の規定により判断すべきであるが、少なくともその症例が発生した国において、その国の政府に緊急に報告する必要がある症例については報告すべきものであること。
イ 「副作用によるものと疑われるもの」とは、因果関係が否定できるもの以外のものを指し、これには因果関係が不明なものも含まれるものであること。
ウ 「それらの使用によるものと疑われる感染症」とは、生体由来の当該被験薬等(当該被験薬又は外国で使用されている物であって当該被験薬と成分が同一性を有すると認められるものをいう。以下同じ。)への病原体の混入が疑われる場合等を指すものであること(例えば、血液製剤によるものと疑われるウイルス性肝炎、HIV感染等)。また、HBV、HCV、HIV等のウイルスマーカーの陽性化についても、感染症報告の対象となること。
エ 「治験薬概要書から予測できないもの」とは、治験薬概要書に記載されていないもの、あるいは、記載されていてもその性質、症状の程度又は発生傾向が記載内容と一致しないものであること。例えば、副作用名として治験薬概要書に記載されていても、予測できないような重症例は、報告の対象となること。
オ 「障害」とは、日常生活に支障を来す程度の機能不全の発現を示すものであること。
カ 「外国で使用されている物であつて当該被験薬と成分が同一性を有すると認められるものに係る製造、輸入又は販売の中止、回収、廃棄その他保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施」とは、外国における、有効性又は安全性の観点からの製造等の中止のほか効能若しくは効果、用法若しくは用量又は製造方法の変更、ドクターレターの配布を伴う重要な使用上の注意の改訂等も含まれるものであること。
キ 「がんその他の重大な疾病、障害若しくは死亡が発生するおそれがあること」とは、疫学調査報告、動物等を用いた試験、物理的試験又は化学的試験の成績等により、当該被験薬等の副作用又はその使用による感染症に起因する重大な疾病(例えば、がん、難聴、失明等)の発現又はその可能性を示すものであること。
ク 「副作用によるものと疑われる疾病等若しくはそれらの使用によるものと疑われる感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が著しく変化したこと」とは、当該被験薬等について、副作用によるものと疑われる疾病又はそれらの使用によるものと疑われる感染症の発生数、発生頻度、発生条件(例えば、全体としての発生数、発生頻度の変化は大きくないが、層別して見た場合に特定の年齢、合併症、用法、用量等で特に発生数、発生頻度の上昇が判明した等)、症状又は程度等の明らかな変化を示すものであること。
ケ 「治験の対象となる疾患に対して効能若しくは効果を有しないこと」とは、当該被験薬等又はその有効成分について、精密かつ客観的な臨床試験その他動物試験等により、治験の対象となる疾患に対する効能又は効果を有しないことを示すものであること。
コ 「研究報告」とは、国内外の学術雑誌等に掲載された研究報告、自社若しくは関連企業において行われた研究報告等を指すものであること。
(三) 報告方法、報告に必要な最低限の情報及び一度報告した事項に関する追加情報の報告等については、平成七年三月二〇日薬審第二二七号薬務局審査課長通知「治験中に得られる安全性情報の取り扱いについて」を参照されたいこと。
六 その他
治験の依頼をした者は、依頼したすべての治験が終了する前に当該治験に係る医薬品の製造等の承認申請を行う場合には、承認の申請時点における当該治験の進行状況を承認申請書に添付する資料中で明らかにすること。
七 通知の改正〔略〕
第九 器具器械の治験に関する事項
一 趣旨
器具器械(歯科材料、医療用品及び衛生用品を含む。以下同じ。)に係る治験の取扱いについては、従来から、治験依頼の適正を期するため、届出義務のほか治験の依頼に際し従うべき基準等に関する規定を設けているところであるが、今般の薬物の治験の取扱いの制度改正に伴い、器具器械についても用語の整理等を行ったものであること。
二 治験の依頼の基準
(一) 新医療用具開発企業等治験の依頼をしようとする者が、依頼に際し従わなければならない基準を定めたものであり、この基準は、効能、効果の追加等承認事項の一部変更承認のための治験にも適用されるとともに、この治験には、患者を被験者とする臨床試験のほか、健康な志願者を被験者とする臨床試験も含むものであること。
(二) 規則第六七条第一号にいう「治験を依頼するのに必要な安全性、性能等に関する試験」とは、当該治験の対象となる器具器械(以下「被験用具」という。)の物理的、化学的性質、品質、性状等に関する理化学試験等、安全性、性能等に関する動物試験等のいわゆる非臨床試験等を指しているが、当該試験の具体的な項目、内容等については、当該治験の内容(使用方法、使用期間、被験者の選択等)及び類似医療用具の性質等を考慮の上、治験の依頼時点における科学的水準に照らし適正なものであること。
(三) 規則第六七条第一号の二に規定する「治験国内管理人」とは、被験用具に関し十分な医学、薬学、工学等の知識、経験を有する者であるべきものであること。
(四) 規則第六七条第三号にいう「その他必要な情報」とは、当該被験用具に関する外国における使用状況等及び物理的、化学的、工学的類似医療用具の使用状況等が該当するものであること。
(五) 規則第六七条第六号にいう「必要な方策」とは、民営損害保険への加入、資金の積立等が考えられ、その内容は当該治験の規模、被験用具の性質等に応じた適切なものであること。
(六) 規則第六七条第一〇号イに規定する記録は、当該被験用具について製造又は輸入の承認を受ける日(承認の申請を行わない場合の申請について承認を与えない旨の処分が行われた場合には、その決定又は処分の日)まで保存すること。
また、同号ロに規定する記録、治験の依頼の結果得られた資料、治験の依頼文書等は、当該治験に係る医療用具の製造又は輸入の承認後少なくとも五年間保存すること。
三 治験の計画の届出
(一) 治験の依頼をしようとする者が、規則第六八条の規定によりその計画を届け出なければならない治験は、既に製造又は輸入の承認を与えられている医療用具及び法第一四条第一項に規定する厚生大臣の指定する医療用具(品目ごとの承認を要しない医療用具)と構造、性能等が明らかに異なる器具器械に係る治験であること。
ただし、人体の構造又は機能に影響を及ぼさない器具器械については、届け出る必要がないこと。
(二) 治験の計画の届出は、規則第六八第二項の規定により、当該被験用具の安全性、性能等に係る試験成績の概要その他当該被験用具に関する情報及び当該治験の依頼を科学的に正当と判断した理由を添付の上、別紙様式第一五により行うこと。ただし、外国製造業者が本邦内における治験の依頼をする場合の治験の計画の届出は別紙様式第一六により行うものであること。
(三) 治験の計画の届出をした者は、届出に係る事項を変更したとき又は届出に係る治験を中止し、若しくは終了したときは、それぞれ別紙様式第一七、別紙様式第一九又は別紙様式第二一により届出を行うこと。ただし、前記(二)ただし書の治験の計画の届出をした外国製造業者が、届出に係る事項若しくは治験国内管理人を変更したとき又は届出に係る治験を中止し、若しくは終了したときは、それぞれ別紙様式第一八、別紙様式第二〇又は別紙様式第二二により届出を行うこと。
(四) 治験の依頼をした者は、(一)の届け出なければならない治験以外のものであっても、不具合の発生等により治験を中止する等被験用具の有効性、安全性に関し、保健衛生上重要な知見を入手した場合には、その内容を厚生大臣あてに速やかに届け出ること。
(五) 治験の依頼をした者は、依頼したすべての治験が終了する前に当該治験に係る医療用具の製造等の承認申請を行う場合には、承認の申請時点における当該治験の進行状況を承認申請書に添付する資料中で明らかにすること。
別紙様式第1
別紙様式第2(一)
別紙様式第2(二)
別紙様式第3
別紙様式第4
別紙様式第5
別紙様式第6
別紙様式第7
別紙様式第8
別紙様式第9
別紙様式第10
別紙様式第11
別紙様式第12
別紙様式第13
別紙様式第14
別紙様式第15
別紙様式第16
別紙様式第17
別紙様式第18
別紙様式第19
別紙様式第20
別紙様式第21
別紙様式第22