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○第十二改正日本薬局方の制定等について

(平成三年三月二五日)

(薬発第三四八号)

(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)

標記については、平成三年三月二五日厚生省告示第五一号をもって、第十二改正日本薬局方(以下「新薬局方」という。)が告示され、平成三年四月一日から適用されるとともに、昭和六一年三月二八日厚生省告示第五八号による日本薬局方(以下「旧薬局方」という。)が同年三月三一日付けで廃止されることとなったので、左記の事項に御留意のうえ関係各方面に対する周知徹底及び指導に遺憾のないよう格段の御配慮を煩わせたい。また、これに伴い、昭和五五年九月二七日厚生省告示第一六八号(薬事法の規定に基づき日本薬局方に収められている医薬品のうち承認を要しないものを指定する件)第二号に該当する品目を変更することとしたので、併せて御留意頂きたい。

第一 新薬局方の要点等について

新薬局方の制定は、今日の急速な医薬品の進歩、試験法の開発等の情勢に対応して所要の整備を行ったもので、その要点等は新薬局方の「まえがき」を参照するとともに、次の点について留意されたいこと。

1 新薬局方の第一部は、通則、製剤総則、一般試験法、医薬品各条の順に、第二部は通則、生薬総則、製剤総則、一般試験法、医薬品各条の順に収載したこと。

2 新薬局方において、通則、製剤総則及び一般試験法は、必要と認められる事項について改正を行うとともに、新たに次の規定を追加したこと。

(1) 通則

数値の端数処理方法(n+一けたまで数値を求めてそのけたを四捨五入する。第一九項)及び試験の操作における「直ちに」の意味(通例三〇秒以内。第二一項)

(2) 製剤総則

エアゾール剤及び液剤

(3) 一般試験法

核磁気共鳴スペクトル測定法及び鉄試験法

また、医薬品各条の試験方法について所要の改正を行ったこと。

3 新たに新薬局方に収められたもの(以下「新規収載品目」という。)及び旧薬局方に収められている医薬品のうち新薬局方に収められていないもの(以下「削除品目」という。)は、別紙1及び別紙2のとおりであること。

4 医薬品の別名は、繁用されている名称、慣用名、略名等から定めたこと。

5 医薬品の日本名又は日本名別名を変更したものは、別紙3のとおりであること。

6 原子量として、最新の一九八九年のものを採用したこと。

7 通則第六項計量の単位に、ナノグラム(ng)、ピコグラム(pg)、オスモル(Osm)、ミリオスモル(mOsm)及びエンドトキシン単位(EU)を追加したこと。

8 旧薬局方通則第三八項の極量の規定を削除したこと。

9 製剤総則中、改正を行った主なものは次のとおりであること。

(1) エキス剤について、温度規定を削除するなどの製法の整備を行ったこと。

(2) カプセル剤について、製法を硬カプセル剤と軟カプセル剤に分けて記載するなどの整備を行ったこと。

(3) エリキシル剤、懸濁剤・乳剤、酒精剤、シロップ剤、浸剤・煎剤、チンキ剤、リモナーデ剤、流エキス剤及びローション剤について、液剤の新規収載に伴う定義の整備を行ったこと。

(4) カプセル剤、顆粒剤、丸剤及び錠剤について、溶出試験法の適用を受けるものには崩壊試験法は適用しない旨の規定を追加したこと(同じ規定は、一般試験法の崩壊試験法にある)。

(5) カプセル剤、錠剤及びトローチ剤について、含量均一性試験法の適用を受けるものには重量偏差試験法は適用しない旨の規定を追加したこと(同じ規定は、一般試験法の重量偏差試験法にある)。

(6) 顆粒剤について、粒度の試験の規定から三〇号ふるいを削除したこと及び崩壊試験に用いる試料の調製方法を削除したこと

(一般試験法の崩壊試験法に規定した)。

(7) 坐剤について、製法に適当な剤皮で被包できる旨の規定を追加したこと。

(8) 錠剤、シロップ剤及びトローチ剤について、製法を整備したこと。

(9) 剤形に付記されていたラテン名に代えて、英名を付記することとしたこと。

10 一般試験法中、改正を行った主なものは次のとおりであること。

(1) ガスクロマトグラフ法について、ガスクロマトグラフ用の充填剤の粒径などを整備したこと。

(2) 吸光度測定法について、使用実態を考慮して装置の光源からキセノンランプを削除したこと。

(3) 強熱残分試験法について、液体試料の場合の操作方法など操作法の規定を整備したこと。

(4) 蛍光光度法について、原理、装置及び操作法を現状にあわせたものとしたこと。

(5) ケトン・イソプロパノール・第三ブタノール試験法について、定義を「エタノール中に混在するアセトン、イソプロパノール、第三ブタノールなどを試験する方法」とし、エタノールを含む製剤を対象外としたこと及び操作法を整備したこと。

(6) 重金属試験法について、検液及び比較液の調製法の第四法を整備したこと。

(7) 重量偏差試験法について、適用対象として「顆粒剤(分包)」及び「散剤(分包)」を追加したこと。

(8) 生薬試験法について、鏡検の項を追加したこと。

(9) 水分測定法について、試験法名の「水分定量法(カールフィシャー法)」を「水分測定法(カールフィッシャー法)」に改めたこと並びに反応試薬のひとつである有機塩基をピリジンのみからイミダゾール及び二―メチルアミノピリジンも使用できるよう規定したこと(これらを総称して水分測定用試液とする)。

(10) 注射用ガラス容器試験法について、一般試験法として鉄試験法を収載することに伴い、着色容器の鉄溶出試験をそれを用いたものとしたこと。

(11) 粘度測定法について、極限粘度の規定を追加したこと。

(12) 発熱性物質試験法について、試験法の定義を規定したこと。

(13) 崩壊試験法について、操作法で腸溶性の製剤の第二液による試験の場合も、判定が困難なときは補助盤の使用を省くことができることとしたこと、カプセル剤の試験液を第一液から水に変更したこと及び顆粒剤の試料として三〇号(五〇〇μm)ふるいでふるった残留物を用いることとしたこと。

(14) メタノール試験法について、ケトン・イソプロパノール・第三ブタノール試験法と同様に、エタノールを含む製剤を対象外とし、これに伴う操作法の整備を行ったこと。

(15) 輸液用ゴム栓試験法について、プラスチック等で完全にコーティングしたゴム栓は適用を除外していたが、これを適用対象にしたこと。

(16) 輸液用プラスチック容器試験法について、溶出物試験のうち「アンモニウム等」の項目を整備したこと。

(17) 溶出試験法について、溶出試験の目的を記載したこと。

(18) 試薬・試液について、JIS収載品目にKナンバーを記すこと、規格の項目の順序や記載方法を医薬品各条に準拠することなど、記述を統一的に整理したこと。

(19) 色の比較液について、塩化コバルト及び硫酸銅の色の比較原液の調製法を変更したこと。

11 医薬品各条中、生薬関係品目を除いてラテン名を掲げることをやめ、主として化学薬品についてIUP―AC方式による化学名を掲げたこと。

12 附録として、次のものを付したこと。

(1) 毒薬、劇薬等の用量及び化学名表

(2) 化学名参考事項

(3) 原子量表(一九八九)

第二 昭和五五年九月二七日厚生省告示第一六八号の該当品目の変更について

薬事法(昭和三五年法律第一四五号。以下「法」という。)第一四条第一項の規定に基づき、昭和五五年九月二七日厚生省告示第一六八号をもって承認を要しない日本薬局方に収められている医薬品(以下「局方医薬品」という。)の指定を行ってきたところであるが、新薬局方の制定に伴い、製造専用であれば承認を要しないこととなる原薬及び生薬のエキス等の局方医薬品として別紙4に掲げる品目を追加し、また、別紙5に掲げる品目を削除したこと。なお、承認を要しない製剤補助剤及び衛生材料等については変更はなく、また、乳酸プレニラミン及びジャコウについては平成元年四月一日厚生省告示第八九号により局方医薬品から削除されているものであるので、念のため申し添える。

第三 新薬局方制定に伴う取扱いについて

1 削除品目の取扱い

削除品目であって、新薬局方制定の際(本年四月一日)現に製造又は輸入の許可を受けているものについては、平成四年九月三〇日までは新薬局方に収められている医薬品とみなし、その基準は旧薬局方に定めるところによることができるものとしているが、同日以後は、削除品目を局方医薬品として製造(輸入)又は販売することは認められないこと。また、削除品目のうち、新薬局方の制定の際現に当該医薬品に係る法第一二条第一項又は法第二二条第一項に規定する製造又は輸入の許可を受けている者が、引き続き製造し又は輸入するものであって、昭和五五年九月二七日厚生省告示第一六八号により指定する品目については、遅滞なく法第一四条及び第一八条(第二三条において準用する場合を含む。)の規定に基づく申請手続きを行わせること。なお、この場合の承認申請手数料は、平成四年九月三〇日までに申請されたものに限り、局方医薬品の手数料(一品目につき二万三五〇〇円)として取り扱う。

2 名称又は基準の異なる医薬品の取扱い

旧薬局方と新薬局方においてその名称又は基準が異なる医薬品については、平成四年九月三〇日までは、旧薬局方の名称及び基準を新薬局方の名称及び基準とみなすことができるものとしているが、同日以後は旧薬局方の名称又は基準により製造(輸入)又は販売することは認められないので、遅滞なく新薬局方の名称及び基準に改めさせること。ただし、名称が異なる場合であっても別名として新薬局方にある場合は、この限りではない。

3 新規収載品目の取扱い

新薬局方制定の際現に法第一四条(第二三条において準用する場合も含む。)に規定する承認を受けている医薬品であって、新規収載品目となったものについては、平成四年九月三〇日までは、なお従前の例によることができるものとしているが、同日以後は、日本薬局方に収められていない医薬品として製造(輸入)又は販売することは認められないので、遅滞なく次の手続きを行わせること。

(1) 新規収載品目であって法第一四条第一項の規定に基づき承認を要しないものとして厚生大臣が指定した医薬品については、法第一八条(第二三条において準用する場合を含む。)の手続きによって品目を変更し、併せて、昭和四六年六月二九日薬発第五八八号厚生省薬務局長通知に基づく承認の整理を行わせること。

(2) (1)以外の新規収載品目については、当該品目の規格及び試験方法等を新薬局方に適合させるため、法第一四条第四項の規定に基づく承認事項一部変更承認申請を行わせること。なお、この場合の承認事項一部変更承認申請手数料は、局方医薬品の手数料(一品目につき一万二六〇〇円)として取り扱うものであること。

4 承認事項の一部を日本薬局方による旨記載して承認された医薬品の取扱い

(1) 「成分及び分量又は本質」欄で、配合成分の規格を日本薬局方による旨(たとえば「日本薬局方〇〇〇××g」)記載して承認された医薬品

(ア) 当該品目が引き続き新薬局方に収載された場合には、平成四年九月三〇日までは旧薬局方の基準によることができるが、同日以後は新薬局方の基準によること。

(イ) 当該品目が新薬局方に収載されなかった場合には、旧薬局方の基準によること。

(2) 「規格及び試験方法」欄又は「貯蔵方法及び有効期間」欄で「日本薬局方による」旨を記載のうえ、局方医薬品として承認された医薬品

(ア) 当該品目が引き続き新薬局方に収載された場合には、平成四年九月三〇日までは旧薬局方の基準によることができるが、同日以後は新薬局方の基準によること。

(イ) 当該品目が新薬局方に収載されなかった場合には、旧薬局方の基準によること。

(3) 「規格及び試験方法」欄で試験法の一部について日本薬局方の一般試験法で定める試験法による旨を記載して承認された医薬品であって日本薬局方に収められていないもの

試験法については、承認当時の日本薬局方で定める一般試験法によって行うものとするが、承認当時の日本薬局方で定める一般試験法と新薬局方で定める一般試験法との相関性を十分に確認した上で、日常の試験検査業務において、新薬局方で定める一般試験法によって試験を行うことは差し支えないこと。

5 薬局製剤の取扱い

薬局製剤として認められる医薬品の範囲については、昭和五五年一〇月九日薬発第一、三三七号厚生省薬務局長通知「薬局製剤の承認・許可に関する取扱いについて」及び昭和六三年五月一一日薬発第四三六号厚生省薬務局長通知「都道府県知事が行う薬事法の規定による品目ごとの承認に係る医薬品の有効成分を指定する件の一部改正及び薬局製剤指針の改正について」により通知されているところであるが、新薬局方の制定に伴い、同通知で定めた「薬局製剤指針」の一部を別紙6のとおり改め、平成三年四月一日より施行することとしたこと。ただし、平成三年三月三一日までに法第一二条第一項に規定する製造の許可を受けている医薬品であって、別紙6に示す品目については、平成四年九月三〇日までは、なお従前の例によることができるものとする。なお、配合成分又は製剤が引き続き新薬局方に収載されたものは、当該成分及び製剤の規格は平成四年九月三〇日までは旧薬局方の基準によることができるが、同日以後は新薬局方の基準によること。また、配合成分又は製剤が新薬局方に収載されなかったものについては、旧薬局方の基準によること。

6 日本薬局方外医薬品成分規格一九八九

平成元年三月二八日薬発第三〇四号厚生省薬務局長通知「日本薬局方外医薬品成分規格一九八九について」の別添に掲げる品目中、別紙7に掲げる新規収載品目を削除する。

別紙1~7 略