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○薬事法の一部を改正する法律の施行について

(昭和五五年四月一〇日)

(薬発第四八三号)

(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)

薬事法の一部を改正する法律(昭和五四年法律第五六号)及び関係政省令の施行については、昭和五五年四月一○日厚生省発薬第一二五号厚生事務次官依命通達によるほか、細部に関しては左記によられたい。

なお、この通知において、改正後の薬事法(昭和三五年法律第一四五号)を「法」と、改正後の薬事法施行令(昭和三六年政令第一一号)を「令」と、改正後の薬事法施行規則(昭和三六年厚生省令第一号)を「規則」とそれぞれ略称する。

第一 医薬品等の製造又は輸入の承認に関する事項

1 承認拒否事由

(1) 医薬品等の製造又は輸入の承認がどのような場合に与えられ、又は与えられないかという判断については、従来は厚生大臣の専門的裁量にのみ委ねられていたところであるが、今回、承認が拒否される事由として、いわゆる有効性、安全性及び性状・品質に係る事由が明示されたこと。

法第一四条第二項及び規則第一八条の二により明示された承認拒否事由は次のとおりであること。

ア 申請された効能、効果又は性能があると認められないとき(同項第一号)。

イ 効能、効果又は性能に比して著しく有害な作用を有することにより、使用価値がないと認められるとき(同項第二号)。

ウ 性状、品質が保健衛生上著しく不適当なとき(同項第三号、規則第一八条の二)。

(2) 今回の改正により前記承認拒否事由が明示されたが、医薬品等の承認、すなわち医薬品等として適当か否かの判断は依然として高度の専門的裁量に委ねられるべきものであるため、承認拒否事由として明示された事由に該当する場合以外の場合であっても、承認を与えない場合があることとされており、その例を示すと次のような場合が考えられること。

ア 医薬品等の名称、形状等が、他の医薬品や食品等との誤用、混同を招くおそれがあるとき。

イ 有効成分を二以上含有する医薬品(以下「配合剤」という。)であって、その使用目的に照らし、配合の合理的理由が認められないとき。

ウ 添付資料に不備があり、相当の期間内にその不備が補正されないとき又は添付資料に虚偽の記載があるとき。

2 承認申請書の添付資料

(1) 承認申請書に添付すべき資料の範囲については、昭和四二年九月一三日薬発第六四五号通知により新医薬品について必要とされる資料の基本的な範囲を示し、さらに同年一○月二一日薬発第七四七号通知ほか多数の通知等により医薬品の種類等に応じ、詳細にその範囲を示してきたところであるが、これを踏まえ、今般その基本となる範囲を法令で示すこととし、規則第一八条の三により、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具の区分に応じ、それぞれ必要とされる添付資料の範囲が示されたところであること。

(2) 医薬品等の製造又は輸入の承認のため必要とされる添付資料の具体的な範囲、内容については、申請に係る医薬品等の有効成分の種類、投与経路、剤型、構造、性能等に応じて異なり、また、申請に係る事項が医学薬学上公知であると認められる場合、その他資料の添付を必要としない合理的理由がある場合には、その資料の添付を要しないこととされているところであり、その具体的な取扱いについては、従来の通知の整理見直し等を行い、近く別途通知する予定であるので、それまでの間は従来の通知等により取り扱われたいこと。

3 日本薬局方に収められている医薬品の製造又は輸入の承認

(1) 日本薬局方に収められている医薬品についても、その用法、用量、効能、効果等を審査し、その有効性と安全性の確保に万全を期するため、原則としてその製造又は輸入を承認にかからしめることとされたこと。

(2) この改正規定は、昭和五五年九月三○日から施行されるものであること。

第二 新医薬品等の再審査に関する事項

1 目的

新医薬品の製造又は輸入の承認に当たっては、従来から詳細な資料の提出を求めて厳格に審査を行ってきているところであり、さらにその徹底を図るため今般関係規定の整備が図られたところであるが、承認時までの臨床試験症例数等には自ら制約があるため、承認後にも引き続き新医薬品の使用成績等の調査を行わせ、原則として六年後にその安全性等の再確認を行うため、再審査制度が設けられたものであること。

2 新医薬品の範囲等

(1) 申請に係る医薬品が再審査の対象とされるか否かは、その有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が既に承認を与えられている医薬品と明らかに異なるか否か、換言すれば新医薬品として承認後の使用成績等の調査を行う必要のある新規性があるか否かによって決められるものであり、個々の医薬品の製造又は輸入の承認を与えるに際し、厚生大臣が申請者に指示するものであること。

(2) 削除

(3) 次の医薬品は、再審査制度の趣旨、目的に照らし、再審査の対象となる新医薬品等には該当しないものであること。

ア 人体に直接使用しない、いわゆる体外診断薬、殺虫剤等の医薬品

イ 総合消化酵素、作用が緩和なパップ剤等のうち医薬品として総合的に評価して新規性がないと判断される医療用配合剤

ウ 専ら疾病の診断に使用されることが目的とされている医薬品であって、人又は動物の皮膚にはり付けられるもの

3 再審査申請書の添付資料

(1) 再審査申請書に添付すべき資料については、第四―一に定めるところにより申請に係る医薬品について承認後に行われる調査に基づく副作用その他の使用成績に関する資料がその中心となるものであるが、この他、当該医薬品の効能、効果、安全性に関し承認後の調査により得られた研究報告に関する資料も添付すべきこととされていること。

(2) (1)の他、厚生大臣が再審査につき必要と認めて資料の提出を求めたときには、申請者は当該資料を提出しなければならないこととされていること。

4 都道府県知事の経由等

再審査申請書の様式が規則様式第一一の二の五(一)として新たに定められ、また再審査の申請は、原則として申請者の住所地(法人の場合にあっては、主たる事務所の所在地。以下同じ。)の都道府県知事を経由して行うこととされたこと。

第三 医薬品の再評価に関する事項

1 厚生大臣が中央薬事審議会の意見を聴いて指定した医薬品について製造又は輸入の承認を受けている者は、厚生大臣の再評価を受けなければならないこととされたところであるが、具体的な医薬品の範囲、提出すべき資料及び資料の提出期限は、再評価の必要性の内容に応じ、個別に公示することにより示すこととされていること。

2 再評価申請書の様式が規則様式第一一の三(一)として新たに定められ、また、再評価の申請は、原則として申請者の住所地の都道府県知事を経由して行うこととされたこと。

第四 医薬品等の副作用報告等に関する事項

1 新医薬品等の使用の成績等に関する調査及び結果の報告

(1) 新医薬品の安全性等の確保を図るため、従来より新医薬品の副作用調査を行うよう製造業者等を指導してきたところであるが、今回あらたに法第一四条の四第四項の規定に基づき規則第二一条の四の規定が設けられ、新医薬品等について承認後定められた期間、副作用その他の使用成績等に関する調査を行うこととされたこと。

なお、この調査は、新医薬品等の再審査の申請書の添付資料の基礎となるとともに、この調査の結果に基づいて(3)の副作用の発現状況に関する定期報告が行われるものであり、制度上重要な位置づけを有するものであること。

(2) 調査事項としては、おおむね次のものが考えられること。

ア 副作用の発現状況(種類、程度、発現頻度等)及び有効性と使用状況(用法、用量、使用期間、使用理由、使用中止理由等)、患者の状態(年齢、性別、合併症、既往歴、体質等)、併用薬及び併用療法等との関係

イ 特に注意を要する副作用(例えば、視・聴覚器障害、筋・骨格系障害、神経系障害、血液障害、臓器障害等)における症状の程度、改善に要する期間、予防方法、治療方法等

ウ 承認時に得られていなかつた副作用、有効性に関する事項

(例) 遅発性副作用、長期連用時の副作用及び有効性、乳・小児、老人又は妊産婦等での使用症例等

エ 当該新医薬品の安全性、有効性に関する研究報告

(例) 国内外の学術誌又は自社若しくは関連企業等で行われた研究報告等に見られる症例報告、疫学調査報告、動物等を用いた試験成績又は物理・化学試験等

なお、当該新医薬品等の効能、効果、用法、用量、承認時までの試験成績に応じ、これら以外のものであつても必要な事項については調査を行われたい。

(3) 新医薬品等について製造又は輸入の承認を受けた者は、前記調査の結果に基づき、承認を受けた日から原則として一年ごとに、その期間満了後二月以内に報告をしなければならないこととされているが、この報告は、別紙様式第1により行うこと。

(4) 新医薬品等のうち専ら他の医薬品の製造の用に供されることが目的とされている医薬品(以下「製剤原料」という。)の使用成績等に関する調査報告については、当該製剤原料より製造される医薬品の調査報告と合わせることにより、製剤原料の調査報告を省略しても差し支えないこと。

(5) 昭和四二年九月一三日薬発第六四五号、「医薬品の製造承認等に関する基本方針について」中第五及び昭和四二年一○月二一日薬発第七四七号「医薬品の製造承認等に関する基本方針の取扱いについて」中4は、これを廃止すること。また、昭和四四年七月一八日薬発第五四二号「新開発医薬品の副作用報告について」は、これを廃止すること。

2 削除

第五 監督に関する事項

1 緊急命令

(1) 医薬品等による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため、今回の改正により、厚生大臣は医薬品等の製造業者、販売業者等に対して、医薬品等の販売又は授与の一時停止その他の応急措置を採るべきことを命ずることができることとされたところであり、この緊急命令に関する規定が新たに設けられた趣旨を踏まえ、将来この規定が発動される事態に至った場合には、迅速かつ、確実に命令が履行されるよう、関係者への周知徹底を図られたいこと。

(2) 医薬品等の販売、授与の一時停止のほか応急の措置の具体的内容としては、例えば、ドクターレター等による医師等に対する緊急の情報伝達の指示、広報機関を利用した一般へのPRの指示等が考えられること。

2 回収命令

(1) 不良医薬品等については、従来、廃棄のほか公衆衛生上の危険の発生を防止するに足る措置の解釈運用として回収措置を講じてきたところであるが、今回の改正によりこれを法律上明記するとともに、不良医薬品等にとどまらず、承認を取り消された医薬品等についても、回収を命じることができることとしたこと。

(2) 不良医薬品、承認を取り消された医薬品等の廃棄、回収等については、今回の改正の趣旨を関係者に周知徹底されたいこと。

3 承認の取消し等

(1) 既に与えた承認について、その後の事態の変化があった場合にこれを取り消すことについては、従来、解釈運用により行うこととしてきたところであるが、今回これを明記したものであること。

(2) 正当な理由なく引き続く三年間製造又は輸入を行っていない場合に承認の取消し等を行うことができることとした趣旨は製造又は輸入の意思がないにも拘らず受けている承認を整理するということであり、このような承認については、この規定に基づく厚生大臣の取消し等をまつまでもなく、昭和四六年六月二九日薬発第五八八号通知により自主的に円滑な整理が進められるよう関係者に対しての促進を指導されたいこと。

4 その他

医薬品等の副作用報告等の規定の制定に伴い、従来の報告命令については規則第六二条の五により規定されたところであるが、これによってその趣旨、内容等が異なるものではないこと。

なお、同条による理由の通知は、文書又は口頭でさしつかえないこと。

第六 手数料に関する事項

1 法第一四条に基づく承認手数料

法第七八条及び令第一四条により、昭和五五年四月一日以降は、医薬品等製造業及び輸入販売業の許可又はその更新の申請のほか、法第一四条(第二三条において準用する場合を含む。)の規定に基づき承認申請する者についても医薬品等の承認の区分に応じ、それぞれ所定の手数料を納めなければならないこととされたこと。

ただし、日本薬局方に収められている医薬品に係る法第一四条の改正規定が九月三○日から施行されることとされたため、これの審査に要する手数料はおって定めることとし、また、法第一四条の三の規定に基づく再審査に係る手数料については、別途定めることとしていること。

2 令第一四条に規定する医療用医薬品

令第一四条第三号イ(1)(イ)に規定する医療用医薬品として厚生大臣が定めるものは次のとおりであること。

医師若しくは歯科医師によって使用され又はこれらの者の処方せん若しくは指示によって使用されることを目的として供給される医薬品であること。

ただし、体外診断用医薬品及び専ら疾病の診断に使用されることが目的とされている医薬品であって、人又は動物の皮膚にはり付けられるものを除くものであること。

なお、医療用医薬品及び一般用医薬品の両方に使用される製剤原料として製造又は輸入の申請をする場合は、医療用医薬品として取り扱うこととすること。

3 令第一四条第三号イ(1)(イ)に規定する医薬品の範囲

令第一四条第三号イ(1)(イ)に規定する医薬品は、第二―2―(2)ア(ア)から(ウ)までに掲げる医薬品及びこれらに係る第二―2―(2)ウの医薬品であること。

ただし、体外診断用医薬品及び第二―2―(3)イ及びウの医薬品を除くものであること。

4 削除

5 法第一四条第一項及び第六項

製造又は輸入の承認を受けた医薬品等の承認内容を変更する場合において法第一四条第一項(令第一四条第三号イ)の規定に基づく承認申請によるが、同条第六項(令第一四条第三号ロ)の規定に基づく承認事項の一部変更承認申請によるかは、その変更により当該品目の同一性が失われるか否かにつき総合的に判断して決めるべきものであるが、おおむね次によること。

(1) 医薬品、医薬部外品及び化粧品

ア 販売名、有効成分(化粧品にあっては厚生大臣の指定する成分)若しくはその分量又は剤型の変更については、法第一四条第一項(令第一四条第三号イ)の承認申請によること。

イ 有効成分以外の成分若しくは分量、用法、用量、効能、効果又は規格及び試験方法等の変更については、法第一四条第六項(令第一四条第三号ロ)の承認申請によること。

(2) 削除

6 新医薬品等として承認された医薬品の取扱いについて規則第六四条の六第一号ロかっこ書に規定する医薬品の有効成分及び再審査該当医薬品については、今後は、当該医薬品の承認の都度都道府県に対し通知により周知を図ることとしている。

7 手数料の納付方法

(1) 医薬品等の製造又は輸入の承認(一部変更承認を含む。)の申請に係る手数料の納付について、規則第六五条及び申請書の様式の改正により申請書の正本の、その申請に係る手数料に相当する収入印紙を貼布することとされたので、都道府県の当該主管課(保健所を含む。)において額面を確認のうえ、消印すること。

(2) 法第一四条に規定する権限のうち都道府県知事に委任されているものに係る手数料については、(1)の取扱いから除外されており、これについては、それぞれ別途各都道府県において納付方法等を定め遺漏のないよう取扱われたいこと。

第七 その他の事項

許可の更新期間の延長

(1) 医薬品等の製造業、輸入販売業、薬局及び医薬品の販売業の許可の更新期間は従来二年とされていたところであるが、許可の更新の実態に照らし、今回三年に延長されたところであり、この改正規定は昭和五五年九月三○日から施行されるものであること。

(2) 改正規定の施行に伴い、既に二年の有効期間として許可を受けている者についても自動的に三年に延長されることとなるため、その切り換えが円滑に行われるよう関係者の指導に遺憾なきを期せられたいこと。

別紙様式第1