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○抗がん剤併用療法等に係る適正使用の推進について〔医療法〕

(平成16年6月2日)

(/医政発第0602004号/薬食発第0602004号/)

(日本癌学会理事長・日本癌治療学会理事長・日本臨床腫瘍学会理事長あて厚生労働省医政局長・厚生労働省医薬食品局長通知)

抗がん剤の併用療法等による適応外使用については、がんが、生命にかかわる重篤な疾患であることから、国内外において有効性及び安全性に関する根拠がある抗がん剤に関して、その適応追加の承認申請及び審査を迅速かつ円滑に行わせることができるよう、本年1月に「抗がん剤併用療法に関する検討会」を医政局及び医薬食品局において設置し、その有効性及び安全性に関する根拠情報を速やかに収集することとしたところです。

「抗がん剤併用療法に関する検討会」においては、抗がん剤の併用療法等に係る有効性及び安全性に関する根拠情報の取扱い等について審議を行ってきたところですが、今般、別記の抗がん剤併用療法等に関し、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会において、当該検討会で収集した有効性及び安全性に関する情報が一定の根拠として適当であると評価されました。

ついては、貴学会におかれましても、別記の抗がん剤の併用療法等に関し、その適正使用の推進を通じた安全確保にご理解いただき、下記の点についてご協力いただけますよう、よろしくお願いします。

第1 副作用情報の報告等について

1.別記の抗がん剤の併用療法等については、今後、関係企業により薬事法上の効能・効果、用法・用量に係る承認事項の一部変更承認申請が行われる予定ですが、現時点においては未だ厚生労働大臣による承認は行われていないため、承認取得までの間は、各医療機関及び医薬関係者の責任において当該併用療法等が行われるべきである点についてご注意願います。

2.また、別記の抗がん剤の併用療法等については、別添の都道府県知事宛て厚生労働省医政局長及び医薬食品局長連名通知により、患者の安全確保を第一に考え、治療に伴い想定される死亡等を可能な限り未然に防ぐための適正使用の確保が重要であることから、次のような注意喚起を行っていますので、貴学会会員への周知徹底をお願いします。

(1) 国立・公立がんセンター、特定機能病院、地域がん拠点病院など緊急時に適正な処置が可能であって、がん化学療法に知識・経験を有する医師が在籍する医療機関で使用されるべきものであること。

(2) 医療関係者においては、重篤な副作用を知った場合には、遅滞なく関係企業又は厚生労働省医薬食品局安全対策課に報告すべきものであること。また、抗がん剤併用療法等を実施した医療機関においては、その症例の全数把握に努めるべきであること。

(3) 抗がん剤併用療法等の実施者においては、抗がん剤併用療法等に係る抗がん剤の使用上の注意等を熟知し、治療内容や抗がん剤の使用に伴い発生しうる副作用等に関する患者への事前説明と同意の取得に努めるべきであること。

3.なお、別記の抗がん剤併用療法に関する有効性及び安全性の根拠情報については、厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp)に掲載することとしております。

第2 技能の向上について

1.抗がん剤の併用療法等においては、毒性が強い医薬品である抗がん剤等の組み合わせが行われること等から、副作用による死亡等の発生を完全に防ぐことは困難であります。よって、有効性及び安全性に係る一定の根拠情報があったとしても、単に国外での用法・用量に従うのではなく、個別の患者の状態にあわせた使用量の調整等を行った上で適切に使用する必要があります。

2.このような抗がん剤の併用療法等の特性を踏まえ、貴学会におかれても、その適正使用の確保のため、当該併用療法等を行う医師等の医療関係者に対し、専門的な知識・技能を修得する講習会などの機会の提供を行うようお願いします。

第3 実態の把握について

1.別記の抗がん剤併用療法等については、国外での使用に関する有効性及び安全性に係る根拠情報が文献等で十分に公表されていますが、国内での使用実態については必ずしも十分に公表されている状況ではありません。

2.よって、使用実態に基づき、副作用の発生頻度などの正確な安全性等の評価が可能となるように、貴学会におかれても、抗がん剤の併用療法等を行う中核的な医療機関における使用状況(レジメン)及び使用患者数等の把握に努めるようお願いします。

3.また、このような実態の把握は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構及び関係企業による解析及び評価を行う上で非常に重要であるため、当該解析及び評価に関するご協力もあわせてお願いします。

(関係企業連絡先)

○ 塩酸ドキソルビシン

協和発酵工業株式会社 Tel.03―3282―0069(医薬品情報センター)

○ イホスファミド

塩野義製薬株式会社 Tel.06―6458―5861(医薬安全管理部)

○ エトポシド

日本化薬株式会社 Tel.03―3237―5151(薬制部)

ブリストル製薬有限会社 Tel.03―5323―8385(市販後調査室)

○ パミドロン酸ナトリウム

ノバルティスファーマ株式会社 Tel.03―3797―8573(安全性情報部)

(厚生労働省連絡先)

○ 医薬食品局安全対策課 Tel.03―3595―2435

別記

(1) 乳癌のAC療法(ドキソルビシン、シクロホスファミド併用)に係るドキソルビシンの用法・用量増加(用量拡大)

(2) 乳癌の骨転移の治療薬(パミドロン酸ナトリウム)の用法・用量増加(用量拡大)

(3) 骨・軟部腫瘍に関するイホスファミド、ドキソルビシン単独療法及びその併用療法に係る効能・効果の追加(適応拡大)

(4) 小児固形癌に対するイホスファミド、ドキソルビシン、エトポシドの効能・効果の追加(適応拡大)