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○へき地保健医療対策事業について

(平成13年5月16日)

(医政発第529号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)

へき地における住民の保健医療の確保については、従来より地域の特性に応じた各種施策を講じてきたところであるが、平成13年度から第9次へき地保健医療計画(平成13年4月2日医政発第384号厚生労働省医政局長通知)を策定し、より総合的、体系的なへき地保健医療対策を推進することとしている。

今般、事業の円滑な実施を図るため、別添のとおり「へき地保健医療対策実施要綱」を定めたので通知する。

なお、この通知は、平成13年4月1日から適用し、平成8年5月10日健政発第441号「へき地保健医療対策実施要綱」は廃止する。

へき地保健医療対策等実施要綱

1.へき地医療支援機構

(1) 目的

この事業は、都道府県単位で「へき地医療支援機構」(以下「機構」という。)を設置し、へき地診療所(国民健康保健直営診療所を含む。)及び過疎地域等特定診療所(以下「へき地診療所等」という。)並びに医師配置標準の特例措置の許可を受けた病院(以下「特例措置許可病院」という。)からの代診医の派遣要請等広域的なへき地医療支援事業の企画・調整等を行い、へき地医療対策の各種事業を円滑かつ効率的に実施することを目的とする。

(2) 事業の実施主体

この事業の実施主体は、都道府県とする。(委託を含む。)

(3) 運営基準

ア 都道府県知事は、原則へき地での診療経験を有する医師の中から、次のいずれかにより担当者を指定する(委託する場合については、委託先で担当者を指定する。)ものとし、同担当者は、へき地医療対策の各個別事業の実施について助言・調整を行うものとする。

(ア) 常勤の医師の確保が可能な都道府県にあっては、当該医師を専任担当者として指定する。

(イ) 常勤医師の確保が困難な都道府県にあっては、非常勤医師を担当者として指定することができる。

(ウ) へき地医療拠点病院が1ヶ所しか指定されていない都道府県が、へき地医療拠点病院に機構の業務を委託した場合にあっては、へき地医療拠点病院の院内の医師の中から一人を担当者として指定することができる。

イ 「へき地保健医療対策に関する協議会」を開催し、都道府県全域に係る広域的な「へき地医療支援計画」(以下「支援計画」という。)及び、医師及び歯科医師(以下「医師等」という。)の派遣に協力する病院(へき地医療拠点病院を除く。以下「事業協力病院」という。)からへき地診療所等並びに特例措置許可病院への定期的な医師等の派遣にかかる「へき地勤務医師等派遣計画」(以下「派遣計画」という。)の策定を行うほか、へき地保健医療対策にかかる総合的な意見交換・調整等を実施する。

ウ 「へき地保健医療対策に関する協議会」の構成員は、機構の担当者、へき地医療拠点病院の代表者、地域医師会・歯科医師会の代表、関係市町村の実務者、大学医学部関係者等により構成する。

(4) 事業の内容

専任担当官を指定した機構は、支援計画及び派遣計画に基づき、次に掲げる事業を行うものとする。なお、(3)ア(イ)の場合においては、エ、カ、コ及びサの事業を、(3)ア(ウ)の場合においては、エ、カ、キ、ク、コ及びサの事業を都道府県で行うことができるものとする。

ア へき地医療拠点病院及び事業協力病院に対する下に掲げる施設への医療従事者の派遣要請に関すること。

(ア) へき地医療拠点病院からへき地診療所等への医師及び看護師等の派遣(へき地診療所等の医師及び看護師等の休暇時等における代替医師等の派遣を含む。)(以下「代診医等の派遣」という。)

(イ) 事業協力病院からへき地診療所等への定期的な医師等の派遣。

(ウ) へき地医療拠点病院及び事業協力病院から特例措置許可病院への定期的な医師の派遣。

(エ) 「一事業協力病院」が「一へき地診療所等」又は「一特例措置許可病院」に医師等を派遣する場合、その期間を「一派遣期間」とし、この間は、同一の医師等が望ましいが、これによりがたい場合でも、最低3月は同一の医師等を派遣すること。

イ へき地医療拠点病院における医師・歯科医師等派遣登録業務及び当該人材のへき地診療所等及び特例措置許可病院への派遣業務に係る指導・調整に関すること。

ウ へき地医療拠点病院における巡回診療の実施に関すること。

エ へき地診療所等への医師の派遣(へき地診療所等の医師の休暇時等における代替医師の派遣を含む。)の実施及び当該事業に必要なドクタープールの運営に関すること。

オ へき地勤務医師等に対する研修計画・プログラムの作成に関すること。

カ 総合的な診療支援事業の企画・調整に関すること。

キ へき地医療拠点病院の活動評価に関すること。

ク へき地医療拠点病院においてへき地医療支援に従事している医師に対する研究(医学研究及び学会出席に必要な経費)の配分に関すること。

ケ へき地保健医療情報システムのデータ登録、更新及び管理に関すること。

コ 就職の紹介斡旋、就職に関する相談、指導及び刊行物への広告その他情報の提供に関すること。

サ へき地勤務医師等のキャリア形成支援に関すること。

なお、就職の紹介斡旋に当たっては、資格免許証、履歴、写真等との照会を行うなど厳正な配慮を施すとともに、業務上知り得た個人の秘密を厳守すること。

(5) その他

へき地において医業を円滑に行うために必要な研修(「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部を改正する政令の施行について」平成18年3月31日付け医政発第0331022号・職発第0331028号・老発第0331011号厚生労働省医政局長・職業安定局長・老健局長連名通知)に基づくプログラムの作成、実施及び修了証明書の発行等については、機構において行うことが望ましい。

また、ドクタープールの運営については、運営要領を定め、派遣する場合の待遇や医師との契約関係等について明確にしておくことが必要である。

なお、事情により、年度当初に機構の設置が困難な都道府県にあっては、機構が設置されるまでの間、機構の業務を都道府県が暫定的に行うことができる。

2.へき地医療拠点病院

(1) 目的

この事業は、へき地診療所等への代診医等の派遣、へき地従事者に対する研修、遠隔診療支援等の診療支援事業等が実施可能な病院を都道府県単位で「へき地医療拠点病院」として編成し、へき地医療支援機構の指導・調整の下に各種事業を行い、へき地における住民の医療を確保することを目的とする。

(2) 事業の実施主体

この事業の実施主体は、へき地医療支援機構を設置している都道府県及び当該都道府県知事の指定を受けた者とする。

(3) へき地医療拠点病院の指定

都道府県知事は、原則として医療機関のない地域で、当該地区の中心的な場所を起点としておおむね半径4kmの区域内に50人以上が居住している地区であって、かつ容易に医療機関を利用することができない地区(以下「無医地区」という。)及び無医地区ではないが、これに準じて医療の確保が必要と都道府県知事が判断し、厚生労働大臣に協議し適当と認めた地区(以下「無医地区に準じる地区」という。)を対象として、機構の指導・調整の下に巡回診療、へき地診療所等への医師派遣、へき地診療所の医師等の休暇時等における代替医師等の派遣等の(4)に掲げる事業((4)ア、イ又はカのいずれかの事業は必須)を実施した実績を有する又はこれらの事業を当該年度に実施できると認められる病院をへき地医療拠点病院として指定するものとする。

(4) 事業の内容

へき地医療拠点病院は、へき地医療支援機構の指導・調整の下に次に掲げる事業を行うものとする。

ア 巡回診療等によるへき地住民の医療確保に関すること。

イ へき地診療所等への代診医等の派遣(継続的な医師派遣も含む)及び技術指導、援助に関すること。

ウ 特例措置許可病院への医師の派遣に関すること。

エ 派遣医師等の確保に関すること。

オ へき地の医療従事者に対する研修及び研究施設の提供に関すること。

カ 遠隔医療等の各種診療支援に関すること。

キ 総合的な診療能力を有し、プライマリ・ケアを実践できる医師の育成に関すること。

ク その他都道府県及び市町村がへき地における医療確保のため実施する事業に対する協力に関すること。

(5) 整備基準

ア 施設

へき地医療拠点病院の診療機能を高めるとともに、へき地地域からの入院患者の受け入れに応じるための病棟、検査、放射線、手術部門及び医師住宅を設けるものとする。

イ 設備

へき地医療拠点病院として必要な医療機器及び歯科医療機器を整えるものとする。

3.へき地診療所

(1) 目的

この事業は、無医地区及び無医地区に準じる地区(以下「無医地区等」という。)において診療所を整備、運営することにより、地域住民の医療を確保することを目的とする。

(2) 事業の実施主体

この事業の実施主体は、都道府県、市町村、日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会、厚生農業協同組合連合会、社会福祉法人北海道社会事業協会、全国社会保険協会連合会、医療法人、学校法人、社会福祉法人、医療生協及びその他厚生労働大臣が認める者とする。

(3) 設置基準

ア へき地診療所を設置しようとする場所を中心としておおむね半径4kmの区域内に他に医療機関がなく、その区域内の人口が原則として人口1,000人以上であり、かつ、診療所の設置予定地から最寄医療機関まで通常の交通機関を利用して(通常の交通機関を利用できない場合は徒歩で)30分以上要するものであること。

イ 次に掲げる地域で、かつ、医療機関のない離島(以下「無医島」という。)のうち、人口が原則として300人以上、1,000人未満の離島に設置するものであること。

(ア) 離島振興法(昭和28年法律第72号)第2条第1項の規定により離島振興対策実施地域として指定された「離島の地域」

(イ) 奄美群島振興開発特別措置法(昭和29年法律第189号)第1条に規定する「奄美群島(鹿児島県名瀬市及び大島郡の区域)」

(ウ) 小笠原諸島振興開発特別措置法(昭和44年法律第79号)第2条第1項に規定する「小笠原諸島」

(エ) 沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)第3条第3号に規定する「離島」

ウ 上記のほか、これらに準じてへき地診療所の設置が必要と都道府県知事が判断し、厚生労働大臣に協議し適当と認めた地区に設置する。

(4) 整備基準

ア 施設

へき地診療所として必要な診療部門(診察室、処置室、エックス線室、暗室、待合室、看護師居室、玄関、廊下等)、医師住宅及び看護師住宅を設けるものとする。

イ 設備

へき地診療所として必要な医療機器を整えるものとする。

4.へき地保健指導所

(1) 目的

この事業は、無医地区等に保健指導所を整備し、保健師の配置を行い、保健医療の機会に恵まれない住民に対する保健指導の強化を図ることを目的とする。

(2) 事業の実施主体

この事業の実施主体は、都道府県又は市町村とする。

(3) 設置基準

ア へき地保健指導所の整備及び保健師の配置は、無医地区のうち人口200人以上で、最寄医療機関まで通常の交通機関を利用して30分以上を要する地域について行うものとする。

イ 上記のほか、これらに準じてへき地保健指導所の設置が必要と都道府県知事が判断し、厚生労働大臣に協議し適当と認めた地区に設置する。

ウ この事業の実施に当たっては、保健衛生水準、保健医療施設の配置状況、医療確保のための他の措置の計画、交通事情、経済状況等を考慮したへき地保健医療計画の策定とその実施に十分配慮するものとする。

(4) 運営方針

保健師は、次の事項に留意し、専ら担当無医地区等の住民に対する保健指導にあたること。

ア 保健師は、原則としてへき地保健指導所に駐在するものとする。

イ 当該無医地区等の保健衛生状態を十分把握し、保健所及び最寄りの医療機関との緊密な連携のもとに計画的に地区の実情に即した活動を行うものとする。

(5) 整備基準

ア 施設

へき地保健指導所として必要な指導部門(問診室、診察室、事務室、面談指導室、図書室、計測室、集団指導室、待合室)及び住宅部門を設けるものとする。

イ 設備

へき地保健指導所に駐在する保健師が無医地区等の保健指導を行うのに必要な自動車を整えるものとする。

5.へき地巡回診療車(船)

(1) 目的

この事業は、巡回診療車、巡回診療用雪上車、巡回診療船及び歯科巡回診療車を整備し、無医地区等又は無歯科医地区及び無歯科医地区に準ずる地区(以下「無歯科医地区等」という。)に対する巡回診療を行い、へき地における住民の医療を確保することを目的とする。

(2) 事業の実施主体

この事業の実施主体は、次のものとする。

ア 都道府県

イ 市町村

ウ 都道府県又は市町村の定めた巡回診療計画により行う日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会、厚生農業協同組合連合会及び社会福祉法人北海道社会事業協会

エ 過疎地域自立促進特別措置法(平成12年法律第15号)第16条第2項、離島振興法第10条第2項、沖縄振興特別措置法第89条第2項の規定に基づき都道府県知事の要請を受けて行う病院又は診療所の開設者

オ へき地医療拠点病院の開設者

(3) 整備基準

ア 巡回診療車

原則として無医地区等を有する二次医療圏単位に整備するものとする。

イ 巡回診療用雪上車

豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年法律第73号)第2条第2項に規定する「特別豪雪地帯」に所在する無医地区等の巡回診療を実施するため、原則として無医地区等を有する二次医療圏単位に整備するものとする。

ウ 巡回診療船

離島振興法第2条第1項の規定により離島振興対策実施地域として指定された「離島の地域」に無医地区等が所在する場合に当該都道府県を単位として整備するものとする。

エ 歯科巡回診療車

無歯科医地区等の人口おおむね15,000人に対して一台程度を各都道府県の実情を勘案のうえ整備するものとする。

オ 上記以外で地域の実情を勘案し、厚生労働大臣が必要と認めた場合は、市町村単位で整備するものとする。

6.離島巡回診療ヘリ

(1) 目的

この事業は、離島地域の住民に対し、ヘリコプターを活用した巡回診療を行うことにより、当該地域における安定的な医療の確保、及び医療水準の向上を図ることを目的とする。

(2) 事業の実施主体

この事業の実施主体は、都道府県、市町村、日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会、厚生農業協同組合連合会、社会福祉法人北海道社会事業協会、全国社会保険協会連合会、医療法人、学校法人、社会福祉法人、医療生協及びその他厚生労働大臣が認める者とする。

(3) 実施対象範囲

次に掲げる地域に所在する無医地区等(へき地診療所等医師不在により同条件となる地区を含む。)とする。

ただし、特定の診療科についての専門的な巡回診療を実施する場合は、当該診療科が存在しない場合に限り、地域全体を対象範囲として差し支えないものとする。

ア 離島振興法第2条第1項の規定により離島振興対策実施地域として指定された「離島の地域」

イ 奄美群島振興開発特別措置法第1条に規定する「奄美群島(鹿児島県名瀬市及び大島郡の区域)」

ウ 小笠原諸島振興開発特別措置法第2条第1項に規定する「小笠原諸島」

エ 沖縄振興特別措置法第3条第3号に規定する「離島」

(4) 運営方針

ア 原則ヘリコプター運航会社との契約のもと事業を実施することとし、安定した運営を行えるよう調整に努めること。

イ 年度単位の巡回診療計画を策定し、巡回診療回数や必要診療科等、地域ごとの必要性に添った継続的な医療提供体制の確保に努めること。

ウ 事業の実施にあたっては、医師、看護師等の安全について配慮すること。

また、必要に応じ生命保険への加入等を行うこと。

7.へき地患者輸送車(艇)

(1) 目的

この事業は、へき地の患者を最寄医療機関まで輸送するため、患者輸送車、患者輸送艇、患者輸送用雪上車及び医師往診用小型雪上車を整備し、へき地における住民の医療を確保することを目的とする

(2) 事業の実施主体

この事業の実施主体は、都道府県又は市町村とする。

(3) 整備基準

ア 患者輸送車

整備しようとする場所を中心とするおおむね半径4kmの区域内に医療機関がなく、区域内の人口が原則として50人以上であり、当該場所から最寄りの医療機関まで通常の交通機関を利用して(交通機関を利用できない地域にあっては徒歩で)15分以上を要する地域であること。

イ 患者輸送艇

次に掲げる地域であって、上記アに定める要件に該当する地域であること。

(ア) 離島振興法第2条第1項の規定により離島振興対策実施地域として指定された「離島の地域」

(イ) 奄美群島振興開発特別措置法第1条に規定する「奄美群島(鹿児島県名瀬市及び大島郡の区域)」

(ウ) 小笠原諸島振興開発特別措置法第2条第1項に規定する「小笠原諸島」

(エ) 沖縄振興特別措置法第3条第3号に規定する「離島」

ウ 患者輸送用雪上車

豪雪地帯対策特別措置法第2条第2項に規定する「特別豪雪地帯」であって、上記アに定める要件に該当する地域(冬期無医地区等(豪雪のため冬に限り無医地区等の状態となる地区)を含む)であること。

エ 医師往診用小型雪上車

上記ウに定める要件に該当する地域

(4) その他

へき地患者輸送車(艇)の有効活用による地域住民の利用の取り扱いについては、「医療施設等設備整備費補助金により取得したへき地患者輸送車(艇)の住民利用に関する取り扱いについて」(平成12年3月31日付け健政発第415号厚生省健康政策局長通知)に基づき実施すること。

8.特定地域保健医療システム

(1) 目的

この事業は、隔絶性の高い離島や積雪のため交通が途絶する特別豪雪地帯等の無医地区等に伝送装置による保健医療情報システム体制を整備し、当該地区住民の保健医療の確保を図ることを目的とする。

(2) 事業の実施主体

この事業の実施主体は、都道府県又は市町村とする。

(3) 整備基準

次に掲げる地域に所在する無医地区等のうち、原則として人口200人以上であり、最寄りの医療機関まで通常の交通機関を利用して30分以上を要する地域であって、かつ、へき地保健指導所が設置されている地域について、最寄医療機関及びへき地保健指導所に伝送装置(ファクシミリ)を設置すること。

ア 離島振興法第2条第1項の規定により離島振興対策実施地域として指定された「離島の地域」

イ 奄美群島振興開発特別措置法第1条に規定する「奄美群島(鹿児島県名瀬市及び大島郡の区域)」のうち、アと同等と認められる地域

ウ 豪雪地帯対策特別措置法第2条第2項に規定する「特別豪雪地帯」

エ 沖縄振興特別措置法第3条第3号に規定する「離島」

オ その他厚生労働大臣が認める地域

(4) 運営方針

ア 医療情報の蓄積、管理

最寄医療機関においては、あらかじめ対象となる地区住民に対して総合検診を実施するなどにより基礎となる医療情報を収集、適宜検索できるよう整理し、保管すること。

なお、これら医療情報の管理に当たっては、秘密厳守に十分注意しなければならないこと。

イ 保健師の活動

へき地保健指導所の保健師は、あらかじめ医療情報が管理されている者について診療、健康相談等の申し出があった場合、当該患者等に関する諸情報を最寄医療機関の医師に伝送し、当該医師の指示を受けて必要な処置等を行うこと。

9.へき地医療拠点病院支援システム

(1) 目的

この事業は、小規模なへき地医療拠点病院の機能を強化するため、高度の機能を有する病院等医療機関(以下「三次機能等病院」という。)とへき地医療拠点病院との間に伝送装置を設置し、三次機能等病院がへき地医療拠点病院の診療活動等を援助することにより医療機関相互の連携を図り、へき地における医療機能の強化と医療水準の向上を図ることを目的とする。

(2) 事業の実施主体

この事業の実施主体は、へき地医療拠点病院の開設者とする。

(3) 整備基準

ア 三次機能等病院及びこれと連携する一般病床100床以下のへき地医療拠点病院に静止画像等(動画情報を含む)伝送装置(以下「静止画像等伝送装置」という。)を設置すること。

イ 上記のほか、へき地医療拠点病院の機能の実情等を勘案し、都道府県知事が必要と判断し、厚生労働大臣に協議し適当と認めた病院に設置すること。

(4) 運営方針

三次機能等病院の医師は、静止画像等伝送装置により送られた画像をもとに、へき地医療拠点病院の医師に対し適切な助言、指導等を行うものとする。

10.へき地診療所診療支援システム

(1) 目的

この事業は、へき地診療所の機能を強化するため、へき地医療拠点病院とへき地診療所との間に伝送装置を設置し、へき地医療拠点病院がへき地診療所の診療活動等を援助することにより医療機関相互の連携を強化し、へき地における医療水準の向上を図ることを目的とする。

(2) 事業の実施主体

この事業の実施主体は、へき地医療拠点病院及びへき地診療所の開設者とする。

(3) 整備基準

へき地医療拠点病院と連携するへき地診療所にファクシミリ又は静止画像等伝送装置を設置する。

(4) 運営方針

へき地医療拠点病院の医師は、ファクシミリ又は静止画像等伝送装置により送られた医学的諸情報又は画像等をもとに、へき地診療所の医師に対し適切な助言、指導等を行うものとする。

11.離島歯科診療班派遣事業

(1) 目的

この事業は、歯科医療を受ける機会に恵まれない離島に歯科診療班を派遣し、地域住民の歯科医療を確保することを目的とする。

(2) 事業の実施主体

この事業の実施主体は、都道府県とする。

(3) 運営基準

ア 近接型離島の場合

(ア) 定期船の就航が1日3便以下であり、かつ、所要時間が30分以上で、容易に歯科受診できない離島の住民を対象とする

(イ) 原則として歯科医師1人、歯科衛生士2人及び事務職員1人で診療班を編成し、2日から3日程度の日程で策定した歯科診療計画に基づき予防、応急処置及び保健指導を行う。

イ 遠隔型離島の場合

(ア) 定期船の便数が極端に少ないため、受診することが極めて困難である離島の住民を対象とする。

(イ) 原則として歯科医師1人、歯科衛生士2人、歯科技工士1人及び事務職員1人で診療班を編成し、1週間から2週間程度の日程で策定した歯科診療計画に基づき予防、治療及び保健指導を行う。

(4) 整備基準

離島歯科診療班派遣に必要な歯科医療機器を備えるものとする。

12.へき地勤務医師等確保修学資金貸与事業

(1) 目的

この事業は、大学において医学又は歯学を専攻する学生で将来へき地診療所等都道府県知事の指定する医療機関に勤務しようとする者に対して修学資金を貸与し、へき地診療所等における医師等の確保を図ることを目的とする。

(2) 事業の実施主体

この事業の実施主体は、都道府県とする。

(3) 被貸与者の条件

平成2年度までの間に、へき地勤務医師等確保修学資金(以下「修学資金」という。)の貸与を受けた者(昭和61年10月17日健政発第662号「へき地保健医療対策事業について」に基づき修学資金の貸与を受けた者。以下「被貸与者」という。)は、学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学において医学又は歯学を専攻し、卒後都道府県知事の指定する医療機関に勤務しなければならない。

(4) 都道府県知事の指定する医療機関

都道府県知事は、被貸与者が勤務すべき医療機関として、次に掲げるものを指定する。

ア へき地診療所

イ へき地医療支援機構

ウ へき地医療拠点病院

エ 公的医療機関

医療法第31条に規定する病院又は診療所であって、へき地医療の確保のため都道府県知事が必要と認めるもの

オ その他の医療機関

上記アからウ以外の医療機関であって、市町村長及び保健所長の意見を聴いて、都道府県知事が必要と認めるもの

(5) 保証人

保証人は、被貸与者と連帯して債務を負担するものとする。

(6) 貸与契約の解除

都道府県知事は、被貸与者が修学資金貸与の目的を達成する見込がなくなったと認められるときは、その契約を解除する。

(7) 返還の債務の当然免除

都道府県知事は、被貸与者が次の各号の一に該当するに至ったときは、修学資金の返還の債務を免除することができる。

ア 大学を卒業し、医師又は歯科医師の免許を取得した後、直ちに修学資金の貸与を受けた都道府県知事の指定する医療機関において、貸与を受けた期間の2分の3に相当する期間(臨床研修2年間を含む。)以上在職したとき。

イ 前号に規定する在職期間中に、業務上の事由により死亡したとき及び業務上に起因する心身の故障のため業務を継続することができなくなったとき。

(8) 返還の債務の裁量免除

都道府県知事は、被貸与者が知事の指定する医療機関に在職中に業務上以外の事由により死亡、心身の障害その他やむを得ない理由により、その返還の債務を免除することが適当と認めた場合には、修学資金の返還、債務の全部又は一部を免除することができる。

(9) 返還

都道府県知事は、被貸与者が次の各号の一に該当する事由が生じたときは、その事由が生じた日から原則として1か月以内に貸与金額の全額を返還させなければならない。ただし、在職期間がある場合には、その在職期間の3分の2に相当する貸与額を控除するものとする。

ア 修学資金の貸与契約を退学、死亡等により解除されたとき。

イ 大学を卒業した日から原則として1年以内に医師又は歯科医師の免許を取得しなかったとき。

ウ 医師又は歯科医師の免許を取得した後、都道府県知事の指定する医療機関において業務に従事しなかったとき。

(10) 返還債務の履行猶予

都道府県知事は、被貸与者が次の各号の一に該当し、修学資金を返還することが困難であると認められるときは、その理由が継続する期間、修学資金返還の債務の履行を猶予することができる。

ア 修学資金の貸与契約を解除された後も引き続き大学に在学しているとき。

イ 都道府県知事が指定する医療機関以外の病院で臨床研修を行っているとき。ただし、その期間は2年間とする。

ウ 災害、疾病、その他やむを得ない事由があるとき。

(11) 延滞利子

都道府県知事は、被貸与者が正当な理由がなく、返還額を返還しなければならない日までにこれを返還しなかったときは、当然返還すべき日の翌日から返還の日までの期間の日数に応じ、返還すべき額につき14.5%の割合で計算した延滞利子を徴収するものとする。

(12) 経理区分

ア 都道府県は、この制度の会計経理を明確にしておかなければならない。

イ 都道府県は、平成3年度以降返還金の2分の1に相当する金額を国庫に返還するものとする。

(13) その他

この事業の実施のための手続きその他必要な実施細則については、都道府県において定めるものとする。

13.過疎地域等特定診療所整備事業

(1) 目的

この事業は、過疎地域等における住民の眼科、耳鼻いんこう科又は歯科の特定の診療科を確保することを目的とする。

(2) 事業の実施主体

事業の実施主体は、都道府県又は市町村とする。

(3) 整備基準

ア 当該市町村内に眼科、耳鼻いんこう科又は歯科の診療機能を有する医療機関がなく、当該診療科の医療の確保が極めて困難であるため、眼科、耳鼻いんこう科又は歯科の診療施設を整備する事業であること。

イ 当該医療施設は、当該診療科の診療に従事する医師又は歯科医師が確保されていること。

ウ 当該医療施設を設置する市町村の、平成8年度から平成10年度までの各年度における財政力指数(地方交付税(昭和25年法律第211号)第14条の規定により算定した市町村の基準財政収入額を、同法第11条の規定により算定した当該市町村の基準財政需要額で除して得た数値をいう。)を合算したものの3分の1の数値が0.42以下または平成18年度から平成20年度までの各年度における財政力指数を合算したものの3分の1の数値が0.56以下であること。

(4) 施設及び設備

ア 施設

眼科、耳鼻いんこう科又は歯科の診療部門並びに医師、歯科医師及び看護婦の住宅部門を設けるものとする。

14.へき地・離島診療支援システム設備整備事業

(1) 目的

この事業は、へき地・離島において恒常的な社会問題となっている医師不足について、医師が当該地域への勤務を敬遠する理由の一つである、「全ての医療に精通していないため、へき地や離島における診療に不安がある」という点に着目し、IT等を活用した設備を整備し、へき地医療拠点病院等とへき地や離島診療所間で、診療所で抱える疾患の症例検討会やテレビ会議等を開催し、へき地・離島診療所に勤務する医師を積極的に参加させるなど、診療に対する不安の解消を図ることを目的とする。

(2) 事業の実施主体

都道府県、市町村、厚生労働大臣が適当と認める者

(3) 補助条件

以下に規定する支援側医療機関と依頼側医療機関の間において症例検討会やテレビ会議等に必要な画像伝送・受信システム及び付属機器等(ソフトウェアの導入を含む。)の整備を行うことにより一体的に情報通信機器を運用する事業であること。

ア 支援側医療機関

(ア) 都道府県知事の指定を受けたへき地医療拠点病院

(イ) その他厚生労働大臣が適当と認める医療機関

イ 依頼側医療機関

(ア) へき地診療所等

(4) 整備対象

へき地や離島診療所で抱える疾患の症例検討会やテレビ会議等に必要な画像伝送・受信システム、テレビ会議システム及び付属機器等(ソフトウェアの導入を含む。)の購入経費

15.離島等患者宿泊施設・設備整備事業

(1) 目的

この事業は、気象条件等によっては交通網が寸断されてしまうおそれのある、もしくは特定の診療科が存在せず、一定水準の医療を受けるのに必要な医療機関まで相当の時間を要する離島等地域の住民のうち、へき地医療拠点病院、特定の医療機関に通院・入院せざるを得ない患者及びその家族のための宿泊施設を整備することにより、患者の療養環境の向上に資することを目的とする。

(2) 事業の実施主体

この事業の実施主体は、都道府県、市町村、日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会、厚生農業協同組合連合会、社会福祉法人北海道社会事業協会、全国社会保険協会連合会、医療法人、学校法人、社会福祉法人、医療生協及びその他厚生労働大臣が適当と認める者とする。

(3) 対象施設

ア 施設

離島等患者宿泊施設として必要な宿泊施設の新築、増改築及び改修に要する工事費又は工事請負費

イ 設備

離島等患者宿泊施設の初度設備に必要な備品購入費

(4) 整備基準

整備対象となる施設とは、以下のア~エ全てを満たすものとする。

ア 台風や降雪等、気象条件等によって比較的容易に交通網が寸断されてしまうおそれがある、もしくは特定の診療科が存在せず、一定水準の医療を受けるために必要な医療機関まで相当の時間を要し、容易に当該医療機関を利用できない地域として都道府県知事が判断し、厚生労働大臣に協議し認められた地域の住民のうち、医師がその医学的判断により、通院又は入院が必要と認めた患者、及び付き添い等の必要があると認めた家族を利用対象としていること。

イ 宿泊費用を徴収する場合は、光熱水料等の実費程度とすること。

ウ 設置場所が病院の敷地内もしくは隣接地であること。

ただし、その他の場所に設置すべき相当の事由があり、都道府県知事が厚生労働大臣に協議し、適当であると認めた場合はその限りとしない。

エ 居室が個室であり、家族での宿泊や長期滞在にも支障を期さないよう配慮されているものであること。