添付一覧
○医療計画について
(平成一三年四月二七日)
(医政発第四九一―一号)
(各都道府県知事あて厚生省健康政策局長通知)
平成12年12月6日付けをもつて公布された「医療法の一部を改正する法律」(平成12年法律第141号。以下「改正法」という。)については、「医療法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」(平成13年政令第15号)により、本年3月1日から施行されたところである。
これに伴い、本年1月31日付けで、「医療法施行規則等の一部を改正する省令」(平成13年厚生労働省令第8号)が公布され、本年3月1日から施行されたところである。
また、同省令による改正後の医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号。以下「規則」という。)第30条の30の規定に基づき、本年1月31日付けで、医療法第30条の3第2項第3号に規定する必要病床数の算定に使用する数値等を定める件の一部を改正する件(平成13年厚生労働省告示第22号。)が告示され、本年3月1日より施行されたところである。
本改正により、医療法(昭和23年法律第205号。以下「法」という。)においては、「必要病床数」という語が「基準病床数」に改められたほか、「その他の病床」が「療養病床」と「一般病床」に区分されたことに伴い、新たに当該病床に係る基準病床数の算定式が定められ、地域間格差の是正のため都道府県入院率及び全国基準率が、平均在院日数の短縮化傾向に対応するため平均在院日数推移率が、各都道府県の地域の実情をより一層反映できるよう都道府県知事の裁量による流入・流出加算等がそれぞれ定められた。また、療養病床及び一般病床に係る基準病床数については、平成15年8月31日以後政令で定める日までの間は、当該病床全体として二次医療圏(法第30条の3第2項第1号に規定する区域。以下同じ。)ごとに定める数、政令で定めた日以降は、それぞれの病床の種別に応じ算定した数の合計数を基に定める数とされた。
今回の改正は、地域間格差の是正、平均在院日数の短縮化傾向への対応及び地域の医療の実情のより一層の反映等を通じ、各都道府県において、地域の実情がより反映された医療計画が作成されることを目的とするものである。
これに伴い、平成10年6月1日健政発第689号健康政策局長通知「医療計画について」を下記のとおり改正するので、都道府県においては、その趣旨にのっとり、できるだけ速やかに改正法に基づく医療計画の作成を図るとともに、医療計画作成後はその趣旨、内容の周知徹底を図り、病院等を開設する者等に対しては、当該開設等に係る病院等の機能、規模、所在地等が医療計画に適合したものとなるように助言し、日常生活圏で医療需要を充足できる体制の確立を図り、その達成の推進に遺憾なきを期されたい。
記
1 医療計画の作成について
(1) 医療計画の作成に当たつては、別紙「医療計画作成指針」を参考として、医療提供体制の現状、今後の医療需要の推移等地域の実情を十分勘案しつつ、関係者の意見を十分踏まえた上で行われたいこと。
(2) 法第30条の3第2項において医療計画に記載すべき事項が定められたが、そのうち区域の設定(第1号及び第2号)、基準病床数(第3号)に関する事項については、厚生労働省令で定める標準により実施すること。これは、病院等の病床の適正配置を図るためには、全都道府県において統一的に実施しなければ実効を期しがたいからであること。
また、第4号から第9号までの事項を医療計画については二次医療圏ごとの医療提供体制を明確に示し記載すること。これは、日常生活圏において通常必要とされる医療を確保する観点から、地域医療の体系化を図り、地域における真に効率的な医療提供体制を確立するためであること。
(3) 法第30条の3第2項第4号に基づき、地域医療支援病院の整備の目標その他機能を考慮した医療提供施設の整備の目標に関する事項として、特定の病院等が果たすべき機能につき医療計画に記載する場合には、事前にその開設者と十分な意見調整を行うものとすること。
(4) 法第30条の3第11項の「診療又は調剤に関する学識経験者の団体」としては、都道府県の区域を単位として設立された社団法人である医師会、歯科医師会及び薬剤師会が考えられること。
(5) 改正法の附則第6条の規定により、従前の医療計画は改正法の規定により定められた医療計画とみなされるが、できるだけ速やかに見直すこと。
2 基準病床数及び特定の病床等に係る特例について
(1) 医療計画に基づく基準病床数の算定は、病院の病床及び診療所の療養病床(以下「病院の病床等」という。)に対して行うものであり、いわゆる有床診療所(診療所の療養病床を除く。)の病床については、法は患者の長期入院を予定していないなど、病院の病床等とはその機能を異にすることから、基準病床数の算定の対象としないこと。
(2) 精神病床、結核病床及び感染症病床に係る基準病床数については、法第30条の3第2項第2号の区域が1都道府県において2以上設定された場合においても、当該都道府県全体について定めるものであること。
(3) 療養病床及び一般病床の基準病床数については、当該区域の病床数が少ないために他の区域の病院に入院している場合があると考えられることから、規則第30条の30第1項第1号後段の規定により、都道府県外入院患者数から都道府県内入院患者数を控除した数の3分の1を限度として、それぞれの二次医療圏にふりわけて加算を行うことができること。
また、精神病床及び結核病床に係る基準病床数については、規則第30条の30第1項第2号及び第3号後段の規定により、都道府県外入院患者数の3分の1を限度として加算を行うことができること。
(4) 各区域における入院患者の流出入数の算出に当たつて病院に対し特に報告の提出を求める場合には、医療計画作成の趣旨等を調査対象となる病院に十分説明の上、円滑な事務処理が行われるよう配慮すること。
(5) 法第30条の3第5項及び第6項における特例は、大規模な都市開発等により急激な人口の増加が見込まれ、現在人口により病床数を算定することが不適当である場合、特殊な疾病にり患する者が異常に多い場合等病床に対する特別の需要があると認められる場合に行うものとすること。
(6) 法第30条の3第7項の規定により特定の病床に係る特例の対象となる病院の病床等が定められたが、これは、特に今後各区域において整備する必要があるものに限り、各区域において基準病床数を超える病床が存在する等の場合でも必要に応じ例外的に整備できるものとしたものであること。
この場合において、特例の対象とされる数は、当該申請に係る病床と機能及び性格を同じくする既存の病床数等を勘案し、必要最小限とすること。
また、規則第30条の32の2第1項第6号の「厚生労働大臣の定める疾患」として、平成10年3月厚生省告示第107号により、合併症を伴う精神疾患が定められたこと。
なお、これらの特例の対象となつた病床については、既存病床数として算定するものであること。
(7) 法第30条の3第5項、第6項及び第7項による特例については、都道府県医療審議会に諮ること。この場合、特例としての取扱いを必要とする理由及び特例としての取扱いをしようとする病床数の算定根拠を明らかにして当該都道府県医療審議会の意見を聴くものとすること。
また、前記の規定に基づき、特例としての取扱いを受ける数について厚生労働大臣に協議するときは、特例としての取扱いを必要とする理由及び特例としての取扱いをしようとする病床数の算定根拠等を記載した申請書(別紙様式1、2)に当該都道府県医療審議会の意見を附すること。
3 既存病床数及び申請病床数について
(1) 規則第30条の33第1項第1号により国の開設する病院又は診療所であつて宮内庁、防衛庁等の所管するもの、特定の事務所若しくは事業所の従業員及びその家族の診療のみを行う病院又は診療所等の病床について、既存病床数及び当該申請に係る病床数の算定に当たり、当該病床の利用者のうち、職(隊)員及びその家族以外の者、従業員及びその家族以外の者等の部外者が占める率による補正を行うこととしたのは、それらの病院又は診療所の病床については部外者が利用している部分を除いては、一般住民に対する医療を行つているとはいえないからであること。
なお、当該病院又は当該診療所の開設許可の申請があつたときは、その開設の目的につき十分審査するものとすること。また、開設の目的につき変更の申請があつたときも同様とすること。
(2) 放射線治療病室の病床については、専ら治療を行うために用いられる病床であることから、これを既存病床数及び当該申請に係る病床数として算定しないものとすること。
無菌病室、ICU(集中強化治療室)及びCCU(心疾患強化治療室)の病床については、専ら当該の病室の病床に収容された者が利用する他の病床が同一病院内に別途確保されているものは、病床数として算定しないものとすること。なお、無菌病室、ICU及びCCUの病床数のうち、既存病床数及び当該申請に係る病床数として算定しないものの数を決定するに当たつては、当該病院及び当該病院と機能及び性格を同じくする病院の病床利用の実績等を考慮するものとすること。
(3) 国立及び国立以外のハンセン病療養所である病院の病床については、既存の病床数に算定しないこと。
4 医療計画の推進について
(1) 都道府県は、各医療圏ごとに関係行政機関、医療関係団体等との協議の場を設ける等、医療計画の推進のための体制づくりに努められたいこと。
(2) 地方公共団体の行う医療施設の整備等に対する国庫補助については、医療計画の内容を考慮しつつ行うこととしていること。
(3) 医療計画の推進の見地から、病院の開設等が法第30条の7の規定に基づく勧告の対象とされた場合においては、社会福祉・医療事業団の融資を行わないこととしていること。
(4) 法第30条の6に規定するいわゆる病院の開放化は、単に病床や医療機器の共同利用にとどまらず、当該病院に勤務しない地域の医師等の参加による症例の研究会や研修会の開催までを含めた広義のものであること。
(5) 医療計画の推進を図るに当たつては、大学における医学又は歯学に関する教育又は研究に支障を来さないよう十分配慮すること。なお、法第30条の6の「当該病院の医療業務」には、大学附属病院における当該大学の教育又は研究が含まれること。
5 都道府県知事の勧告について
(1) 法第30条の7の「医療計画の達成の推進のため特に必要がある場合」とは、原則として法第7条の2第1項に掲げる者以外の者が、病院の開設又は病院の病床数の増加若しくは病床の種別の変更の許可の申請をした場合、又は診療所の療養病床の設置若しくは診療所の療養病床の病床数の増加の許可の申請をした場合において、その病床の種別に応じ、その病院又は診療所の所在地を含む法第30条の3第2項第1号の区域(以下「二次医療圏」という。)又は都道府県の区域における既存の病床数が、医療計画に定める当該区域の基準病床数に既に達している場合又はその病院又は診療所の開設等によつて当該基準病床数を超えることとなる場合をいうものであること。
また、「病院の開設若しくは病院の病床数の増加若しくは病床の種別の変更又は診療所の療養病床の設置若しくは診療所の療養病床の病床数の増加に関して勧告する」とは、それぞれの行為の中止又はそれぞれの行為に係る申請病床数の削減を勧告することをいうものであること。なお、都道府県知事は、勧告を行うに先立ち、病院又は診療所を開設しようとする者に対し、可能な限り、他の区域における病院又は診療所の開設等について、助言を行うことが望ましいものであること。
(2) 法第30条の7の規定に基づく勧告は、第7条の許可又は不許可の処分が行われるまでの間に行うものであること。
(3) 精神病床、結核病床及び感染症病床については、都道府県の区域ごとに基準病床数を算定することとされているが、これらの病床が都道府県の一部に偏在している場合であつて、開設の申請等があつた病院の所在地を含む二次医療圏及びこれと境界を接する他の二次医療圏(他の都道府県の区域内に設定された二次医療圏を含む。)の内にその申請に係る種別の病床がないときは、当該都道府県の区域における病院の病床数が医療計画に定める当該区域の基準病床数に既に達している等の場合であつても勧告の対象としないことが適当と考えられること。なお、その際には都道府県医療審議会の意見を聴くこと。
(4) 病院又は診療所の開設者に変更があつた場合であつても、その前後で病床の種別ごとの病床数が増加されないときは、勧告は行わないこと。
(5) 病院又は診療所が移転する場合であっても、その前後で、その病院又は診療所が存在する二次医療圏内の法第7条第2項の療養病床及び一般病床の数及び都道府県内の精神病床、結核病床又は感染症病床の数が増加されないときは、勧告は行わないこと。
(6) 病院を開設している者がその病院を廃止し、当該病院を開設していた場所において診療所の療養病床を設置する場合であっても、その診療所が存在する二次医療圏内の法7条第2項の療養病床及び一般病床の数が増加されないときは、勧告は行わないこと。
(7) 国(労働福祉事業団及び簡易保険郵便年金福祉事業団を含む。以下同じ。)の開設する病院については、法第6条に基づく医療法施行令(昭和23年政令第326号)第3条の規定により、法第30条の7の規定は適用されないこととされたこと。なお、国が病院を開設し、又はその開設した病院につき病床数を増加させ若しくは病床の種別を変更しようとするときは「医療法の一部を改正する法律の施行に伴う国の開設する病院の取扱いについて」(昭和39年3月19日閣議決定)又は法第7条の2第6項の規定に基づき、主務大臣等は、あらかじめ、その計画に関し、厚生労働大臣に協議等をするものとされていること。
この場合において、当職から関係都道府県知事に速やかにその旨及びその概要を通知するとともに、当該計画の審査をするために必要な資料及び医療計画の達成の推進を図る観点からの意見の提出を求めるものとすること。
また、当該計画に係る病院の開設等の承認の申請があったとき及びこれに承認を与えたときは、当職から関係都道府県知事に通知するものとすること。
(8) 医育機関に附属する病院を開設しようとする者又は医育機関に附属する病院の開設者若しくは管理者に対して勧告しようとするときは、大学における医学又は歯学に関する教育研究に係る立場から、意見を述べる機会を与えることが望ましいものであること。
6 公的性格を有する病院の開設等の規制について
法第30条の3第13項の規定により医療計画が公示された日以降における法第7条の2第1項各号に掲げるものが開設する公的性格を有する病院の開設等の規制は、当該医療計画に定める区域及び基準病床数を基準として行われるものであること。
(別紙)
医療計画作成指針
目次
はじめに
第1 医療計画作成の趣旨
第2 医療計画作成に当たっての一般的留意事項
1 医療計画作成等に係る法定手続
2 記載事項
3 他計画等との関係
4 医療計画作成に係る条件整備
5 医療計画の作成体制の整備
6 医療計画の名称等
7 医療計画の期間
第3 医療計画の内容
1 医療計画の基本的な考え方
2 地域の現状
3 医療圏
4 基準病床数
5 医療提供体制の整備
第4 医療計画作成の手順等
1 医療計画作成手順の概要
2 医療圏の設定方法
3 基準病床数の算定方法
第5 医療計画の推進等
1 医療計画の推進体制
2 医療計画の推進状況の把握、評価及び再検討
第6 地域の現状分析の方法等(参考)
はじめに
医療計画の内容については、都道府県において、医療圏の設定、基準病床数等については厚生労働省令で示した標準に準拠しつつ、その他医療圏ごとの医療提供体制の確保に関し必要な事項等については当該都道府県の医療事情を踏まえて主体的に作成するものであるが、医療計画の作成の手法その他医療計画の作成上重要な技術的事項については、厚生労働大臣が都道府県に対し必要な助言をすることができることとされている。本指針は、そのような事項について都道府県の参考となるものを手引きの形で示したものである。
第1 医療計画作成の趣旨
我が国の医療は、病院及び診療所を始めとする施設の整備、医師・歯科医師・薬剤師等医療従事者の養成・確保及び救急医療対策、へき地医療対策、母子・成人・老人に対する保健医療対策の推進などにより着実な進展をみ、いまや平均寿命や乳児死亡率の低さについては世界の最高水準にあるなど大きな成果を上げてきている。しかし、一方では医療施設や医療従事者等医療資源に地域的な偏在がみられることやかかりつけ医(歯科医)を中心とした病診連携による医療の体系化の推進が必要とされているなど多くの課題を抱えている。
また、近年の医療を取り巻く環境には、急速な少子・高齢化の進展、がんや循環器疾患を始めとする慢性疾患中心の疾病構造の変化、医学・医術の進歩による医療の高度化・専門化の進展、さらには情報通信網の発達による情報社会の高度化等大きな変化がみられる。
こうした中で、医療の質の向上に対する国民の要望は高まっており、日常生活圏において通常の医療需要に対応できるよう医療提供体制の整備を図ること及び患者の立場に立った医療に関する情報提供を促進することが一層求められている。
他方、我が国社会に求められている構造改革においても、人的物的資源を効率的に活用し、住み良い地域社会を形成していくことが求められており、医療の分野においても地域の実情に応じ、供給の合理化を図つていくことが要請されている。
今後の医療提供体制の整備に当たっては、多様化、高度化している国民の医療需要に対応して医療資源を有効に活用し、その適正な配置を図るとともに医療関係施設相互の機能分担及び業務連携を図り、地域医療の体系化を推進し、健康増進から疾病の予防、診断・治療、リハビリテーションに至る包括的、継続的、合理的な医療提供体制の確立を目指すことが肝要である。
このため、都道府県において医療関係者等の協力の下に、地域の実情に即し、将来を見据えた医療計画を作成することとし、これに基づいて今後の医療提供体制の充実を図ることとしている。
なお、医療計画の作成に際し、医療や行政の関係者が医療の現状について共通の認識を持ち、一体となつて課題の解決に向け、協議・検討を行うことは今後の医療の進展に大きな意義を有するものである。
第2 医療計画作成に当たっての一般的留意事項
1 医療計画作成等に係る法定手続
医療計画の作成等に関しては、医療法(昭和23年法律第205号。以下「法」という。)に基づく次の手続が必要である。
(1) 医療計画の案を作成するため、診療又は調剤に関する学識経験者の団体の意見を聴く。
(2) 医療計画を定めるときは、あらかじめ、市町村(救急業務を共同処理する一部事務組合を含む。)の意見を聴く。
(3) 医療計画を定めるときは、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴く。
(4) 医療計画を定めたときは、遅滞なく厚生労働大臣に提出するとともにその内容を公示する。
(5) 少なくとも、5年ごとに医療計画に再検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更する。
なお、都道府県の境界周辺の地域における医療の需給の実情に照らし、必要があると認めるときは、関係都道府県と連絡調整を行うものとする。
2 記載事項
(1) 法第30条の3第2項に基づく次の事項については、医療計画に必ず記載しなければならない。
(ア) 区域の設定に関する事項
(イ) 基準病床数に関する事項
(ウ) 地域医療支援病院の整備の目標その他機能を考慮した医療提供施設の整備の目標に関する事項
(エ) 医療提供施設の設備、器械又は器具の共同利用等病院、診療所、薬局その他医療に関する施設の相互の機能の分担及び業務の連携に関する事項
(オ) 休日診療、夜間診療等の救急医療の確保に関する事項
(カ) へき地の医療の確保が必要な場合にあっては、当該医療の確保に関する事項
(キ) 医師及び歯科医師並びに薬剤師、看護婦その他の医療従事者の確保に関する事項
(ク) その他医療を提供する体制の確保に関し必要な事項
(2) 上記(ア)及び(イ)に関する事項については厚生労働省令で定める標準に準拠し、(ウ)から(ク)までの事項については二次医療圏(法第30条の3第2項第1号に規定する区域。以下同じ。)ごとの医療提供体制が明らかになるように定めなければならない。
3 他計画等との関係
医療計画の作成に当たっては、他の法律の規定による計画であって医療の確保に関する事項を定めるものとの調和が保たれるようにするとともに、公衆衛生、薬事、社会福祉その他医療と密接に関連を有する施策との連携を図るよう努める。医療の確保に関する内容を含む計画及び医療と密接に関連を有する施策としては、例えば次のようなものが考えられる。
(1) 介護保険法(平成9年法律第123号)に基づく都道府県介護保険事業支援計画
(2) 老人福祉法(昭和38年法律第133号)及び老人保健法(昭和57年法律第80号)に基づく老人保健福祉計画
(3) 過疎地域活性化特別措置法(平成2年法律第15号)に基づく過疎地域活性化計画
(4) 離島振興法(昭和28年法律第72号)に基づく離島振興計画
(5) 山村振興法(昭和40年法律第64号)に基づく山村振興計画
4 医療計画作成に係る条件整備
医療計画の作成に当たっては、医療従事者の養成、関係団体との意見調整、財政的な裏付け等の条件整備に十分留意し、計画の目標水準が地域の実情に即して妥当なものとなるようにする。
5 医療計画の作成体制の整備
各種の調査及び医療計画案作成に当たっては、関係行政機関、医療関係団体等との協議の場を設けるなど関係者の十分な連携の下に勧めることが望ましい。
なお、厚生労働省において補助を行っている疾病予防対策事業費等補助金(地域保健医療等推進事業費)は前述のような体制整備に活用できるものである。
6 医療計画の名称等
法に基づく手続により作成され、法に基づく事項が記載されている計画であれば、例えば○○県保健医療計画のような名称のものであっても差し支えなく、又福祉等他の関連する分野の内容を含む包括的な計画であっても差し支えない。
7 医療計画の期間
医療計画の期間については、特段の定めはなく、適宜設定して差し支えないが、第2の1(5)に示したように、作成された計画については少なくとも5年ごとに見直すことが必要である。
また、医療法の一部を改正する法律(平成12年法律第141号。以下「改正法」という。)附則第6条に定めるところにより、従前の医療計画は改正法の規定により定められた医療計画とみなされるが、できるだけ速やかに見直されたい。また、都道府県介護保険事業支援計画の作成及び見直しの時期にも配慮することが望ましい。
第3 医療計画の内容
医療計画の内容は概ね次のようになると考えられるが、その構成を含めた具体的な内容については、地域における医療事情を踏まえ、十分検討した上で都道府県において決定すべきものである。
ただし、法第30条の3第2項において医療計画の記載事項とされているものについては、必ず記載することが必要である。
1 医療計画の基本的な考え方
医療計画を作成するに当たって、都道府県における計画の目標及び基本理念等基本的な考え方を記載することとする。
2 地域の現状
医療計画の前提条件となる都道府県の地域の現状について記載することとする。その際医療に関する事項のほか、必要に応じ公衆衛生、薬事及び社会福祉に関する事項並びに社会経済条件等に関する事項を記載することとする。(詳細については第6参照)
3 医療圏
医療圏(法第30条の3第2項第1号及び第2号に規定する区域)は、地域の医療需要に対応して包括的な医療を提供していくための場であり、具体的には、医療資源の適正な配置と医療提供体制の体系化を図るための地域的単位である。
(1) 二次医療圏
(ア) 二次医療圏の区域
二次医療圏は、特殊な医療並びに法第7条第2項に規定する療養病床及び一般病床以外の病床に係る医療を除く一般の医療需要に対応するために設定する区域である。
(イ) 二次医療圏における医療提供体制
二次医療圏では、原則として入院医療((2)で示す三次医療圏で提供することが適当と考えられるものを除く。)の需要に対応することとする。
なお、アレルギー、内分泌等に関する専門外来医療等特殊な外来医療については、各地域で診療所が果たしている機能にも十分配慮し、原則として二次医療圏で対応できるよう検討することが望ましい。
その他、特に精神保健・医療、小児医療等の体制の確保についても二次医療圏に係る計画作成に当たり、十分配慮する。
(2) 三次医療圏
(ア) 三次医療圏の区域
法第30条の3第2項第2号に規定する区域(以下三次医療圏」という。)は、特殊な医療需要に対応するために設定する区域である。
(イ) 三次医療圏における医療提供体制
一般的に三次医療圏で提供することが適当と考えられる医療としては、例えば、特殊な診断又は治療を必要とする次のものが考えられる。
① 経皮的カテーテル心筋焼灼術、腎移植等の先進的技術を必要とする医療
② 高圧酸素療法、持続的血液濾過透析等特殊な医療機器の使用を必要とする医療
③ 先天性胆道閉鎖症等発生頻度が低い疾病に関する医療
④ 広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒等の特に専門性の高い救急医療
4 基準病床数
病院の療養病床及び一般病床、精神病床、結核病床及び感染症病床のそれぞれについて医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第30条の30に規定する算定式に基づき基準病床数を算定する。ただし各区域の急激な人口の増加が見込まれること及びその他の政令で定める事情があるときは、都道府県知事が厚生労働大臣と協議の上算定する数を基準病床数とすること等ができる。
以上により基準病床数が算定された後は、各区域において病院の開設、病床数の増加若しくは病床の種別の変更、又は診療所の療養病床の設置若しくは診療所の療養病床の病床数の増加の許可の申請(以下「許可申請等」という。)があつた場合において、当該区域の既存病床数が基準病床数を超えている場合又は許可申請等により病床数が基準病床数を超えることになる場合には、法第30条の7に基づく都道府県知事の勧告(当該病院等が法第7条の2に掲げられている者が開設等する公的性格を有する病院等であれば法第7条の2第1項に基づく不許可処分)の対象となり得る。
5 医療提供体制の整備
ここでは、法第30条の3第2項により医療計画の記載事項とされているものについて、医療機能を考慮した医療提供体制の確立を目指す具体的な方策を記載する。この際、二次医療圏ごとの医療提供体制が明らかになるようにしなければならない。その「例示」を次に示すが、都道府県においては、これらを参考に主体的に記載されたい。
(1) 医療関係施設相互の機能分担及び業務連携
地域の実情に応じた医療提供体制の確立を図るため、次の事項を参考の上、二次医療圏及び三次医療圏単位で記載されたい。(救急医療及びへき地医療の確保を除く。)また、在宅医療の記載に当たっては、「在宅医療の推進に関する検討会報告書(平成9年6月27日公表)」を参照にされたい。なお、医療計画作成に当たっては、当該区域における医療提供体制の現状分析を行い、それによって明らかにされた課題等を踏まえ記載することが必要である。(別添1参照)
(ア) 三次医療圏
医療提供体制の確立を図るため、地域の実情に応じた都道府県全体の医療提供体制の基本方針を次の事項を参考に記載する。
① 疾病対策の現状分析及び課題を踏まえた機能分担及び業務連携の推進方針
② 病院の共同利用を含む医療機関相互の診療機能及び業務連携の推進方針
③ 在宅医療の提供体制の整備の推進方針
④ 医薬分業の推進方針
(イ) 二次医療圏
次の事項を念頭に置き記載する。
① 医療提供体制の現状分析に基づき明らかにされた課題等に対応し、医療圏内で通常の医療需要の充足が図られることを基本に、医療機関相互の機能分担と業務連携を図り、地域の実情に応じた医療提供体制の確立を目指す。この場合、疾患対策等を踏まえた病病連携、病診連携等の推進が必要である。また、病院の共同利用についても、推進方策の検討等が必要である。その他、医療施設が少ない医療圏、交通事情の悪い医療圏等については、他の医療圏における医療機関等との連携による補完等が必要である。
② 主として患者宅において、可能な限り患者の精神的・肉体的自立を支援し、患者とその家族の生活の質の向上を図るために在宅医療の提供体制の整備を推進する。当該医療の提供に当たっては、医療分野だけでなく、福祉や医療関連サービス等の他の分野との連携による総合的な対応が必要である。
③ 医師・歯科医師と薬剤師が専門性を発揮しながら相互に連携し、重複投薬や薬剤の相互作用による副作用の未然防止、患者への処方内容の開示及び服用薬剤についての適切な情報提供、患者の薬局選択自由の確保等のため、患者を含む関係者の合意の中で医薬分業を推進する。
(2) 医療提供施設の整備の目標
(ア) 地域医療支援病院の整備の目標
地域医療支援病院は、医療施設機能の体系化の一環として、紹介患者に対する医療提供、医療機器等の共同利用の実施等を通じてかかりつけ医(歯科医)等を支援する能力を備える病院である。
全ての二次医療圏において、かかりつけ医(歯科医)等への支援を通じた地域医療の体系化と地域医療支援病院の整備目標について、次の機能及び地域の実情を考慮し検討を行う。
① かかりつけ医(歯科医)等からの紹介等、病診連携体制
② 共同利用の状況
③ 救急医療体制
④ 医療従事者に対する生涯教育等、その資質向上を図るための研修体制
その結果を踏まえ、必要に応じて当該医療圏における地域医療支援病院の整備目標を設定する。
なお、地域医療支援病院を整備しない二次医療圏にあっては、医療機関相互の機能分担及び業務連携等の充実を図ることが重要である。
(イ) その他機能を考慮した医療提供施設の整備の目標
都道府県が必要とする疾病対策別の医療機能に関する調査を行い、その整備の目標を設定する。(別添2―①参照)
その手順については①及び②を参考にされたい。また、③及び④で示すように医療機関に対する情報提供を行うことも必要である。
① 二次医療圏及び三次医療圏において、都道府県が必要とする医療機能について、当該機能を有する各医療機関の施設、設備、症例数、平均在院日数、紹介先とその件数及び専門職員数等の実態調査を行う。なお、これらの調査については医療計画の見直し時期にとらわれることなく、定期的に行うことが望ましい。
② 前述の調査に基づき医療機能の整備の必要性を検証し、不足している医療機能については、その整備の方法及び整備の目標等について記載する。(別添2―②参照)
③ また、これらの実態調査に基づき得られた各医療機関の医療機能に関する情報(施設、設備、症例数、平均在院日数、紹介先とその件数及び専門職員数等)を各医療機関に提供する。
④ 都道府県が必要とする医療機能が、二次医療圏及び三次医療圏内にない場合、当該医療機能を有する医療機関に関する情報を収集し、その情報を圏内の各医療機関に提供する。
(3) 救急医療の確保
1) 救急医療体制
救急医療体制については、初期救急医療機関(在宅当番医、休日・夜間急患センター)、第二次救急医療機関(精神科救急を含む24時間体制の救急病院、病院群輪番制病院及び有床診療所)、第三次救急医療機関(救命救急センター)並びに救急医療情報センターを体系的に整備することとするが、原則として第二次救急医療機関は二次医療圏単位で、第三次救急医療機関は概ね人口100万人単位で整備を図るものとする。救急医療情報センターについては、設置の有無、診療情報の入・出力内容及び有効な活用策について記載する。これらの記載に当たっては、「救急医療体制基本問題検討会報告書(平成9年12月11日公表)」及び別添3―①、②、③を参照し、医療機関名などを具体的に記載する。なお、初期、第二次、第三次救急医療機関の機能区分及び基準等は、次のとおりとする。
(ア) 初期救急医療機関とは、外来診療によって救急患者の医療を担当する医療機関であり、救急医療に携わることを表明する医療機関とする。
(イ) 第二次救急医療機関とは、入院治療を必要とする重症救急患者の医療を担当する医療機関とし、次の基準を満たすものとする。
① 救急医療について相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事していること。
② エックス線装置、心電計、輸血及び輸液などのための設備、その他救急医療を行うために必要な施設及び設備を有すること。
③ 救急医療を要する傷病者のために優先的に使用される病床または専用病床を有すること。
④ 救急隊による傷病者の搬送に容易な場所に所在し、かつ、傷病者の搬入に適した構造設備を有すること。
(ウ) 第三次救急医療機関とは、第二次救急医療機関では対応できない複数の診療科領域にわたる重篤な救急患者に対し、高度な医療を総合的に提供する医療機関とし、その要件は次のとおりとする。なお、医療計画において第三次救急医療機関として位置付けられたものを救命救急センターとする。
① 重篤な救急患者を、常に必ず受け入れることができる診療体制をとること。
② ICU、CCU等を備え、常時、重篤な患者に対し高度な治療が可能なこと。
③ 医療従事者(医師、看護婦、救急救命士等)に対し、必要な研修を行う体制を有すること。
(エ) 平成10年4月に、消防法(昭和23年法律第186号)に基づく救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号。以下「救急省令」という。)が改正され、「救急隊により搬送される傷病者に関する医療を担当する医療機関(以下「救急病院(診療所)」という。)」は、都道府県知事が「医療計画の内容等を勘案」し認定することとなった。上記に掲げた第二次救急医療機関の基準と救急省令の基準が一致していることから、医療計画に記載された第二次及び第三次救急医療機関を、都道府県知事が救急病院(診療所)として認定することで、医療計画で定められた救急医療体制と、救急省令に基づく救急病院(診療所)の一元化が図られることになる。
以上により、従来の救急告示病院と初期、第二次、第三次救急医療体制が併存し、住民や救急隊にとって分かりづらいものとなっていた救急医療体制が医療計画に基づき一つのものとなり、救急医療機関の機能分担による効率的な体制が構築されることとなる。このような趣旨から、医療計画に記載された第二次及び第三次救急医療機関については、救急省令第1条による申請が行われることが必要である。また、救急省令においては、救急病院(診療所)としての認定期間が3年であることから、救急医療の確保に関する事項については、必要に応じて見直すことが望ましい。
救急医療体制を検討するに当たっては、都道府県単位及び二次医療圏単位で関係する行政部門、医師会等の医療関係者及び救急搬送機関等から成る協議会を設置し、救急医療機関、搬送機関及び行政機関の連携を基本としつつ、病院前救護体制を含む救急医療体制について検討することが望ましい。
2) 小児救急医療体制
小児医療をとりまく環境の変化に留意し、通常の救急医療体制に加えて、特に休日・夜間などにおける小児救急医療について、地域の実状を踏まえた体系的な初期、二次、三次の救急医療体制を整備し、これを記載することが望ましい。なお、二次医療圏内において、小児救急医療体制整備が困難な地域にあっては、複数の二次医療圏を単位として整備計画を記載しても差し支えない。
また、地域における事故防止対策などの母子保健活動との連携を積極的に図り、救急医療情報センターや保健所、市町村保健センターなどの活用や、インターネット、IT等の電子媒体等の活用等により、子供を持つ親をはじめとする地域住民や関係者に対して、小児救急医療体制に関する情報を提供するための方策を検討し、記載することが望ましい。
3) 病院前救護体制
救急医療の質の向上という観点から、メディカルコントロールに基づく病院前救護体制の充実が必要不可欠となっていることから、救命救急センター等の救急医療機関における救急隊員の研修体制の充実強化や救急隊員が行った応急処置等を救急医療機関が評価・検証する体制の構築等救急隊員の資質の向上、救急医療機関、消防機関及び行政機関における相互の連係強化等を含む病院前救護体制の確立について、救急医療協議会等を活用して検討を行い、その方策を記載することが望ましい。
4) 大規模災害等、健康危機管理事案等発生時の医療提供体制の確保
大規模災害時における医療提供体制の確保について地域防災計画等との整合性を図り記載する。また、災害発生時等にこれらの体制が実効あるものとなるためには平時からの不断の訓練やその結果に基づく見直し、あるいは住民等への周知が必要であることから、訓練計画や計画の管理体制の構築についても記載する。なお、通常考えられる災害のみならず、感染症の蔓延等の健康危機管理事案の発生による多数の患者発生に対応するため、災害時の対応を参考にした医療提供体制についても記載することが望ましい。
(4) へき地医療の確保
都道府県は、平成13年4月2日医政発第384号医政局長通知「第9次へき地保健医療計画の策定について」に基づき、へき地医療支援機構の調整の下、へき地診療所との連携に十分配慮しつつ、へき地医療拠点病院群を中心として無医(無歯科医)地区における医療の確保を図るものとする。その際、へき地診療所における初期診療機能の向上、へき地医療拠点病院群の機能の充実及びへき地医療を総合的に支援する情報提供システムの構築等により、医療の質の向上を図るとともに、地域特性にも留意するものとする。別添4―①、②、③を参照し、医療機関名を具体的に記載することとする。
(5) 医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の医療従事者の確保について
医療圏ごとに医療従事者の確保状況(就業総数及び人口10万対医師数等)等を把握し、全国の状況及び各都道府県の状況と比較する。これらを踏まえ、医療従事者の確保の方策と必要に応じ確保の目標を設定し、医療計画に記載する。
この場合、地域の医療機関、保健・福祉施設及び薬局等の設置状況や、へき地保健医療対策、救急医療対策、医薬分業、介護保険等の実施状況等の地域の実情を考慮することが必要である。
また、充実した医療提供体制の実現には、医療従事者の数的確保のみならず資質の向上が必要であり、そのための方策についても併せて記載する。次に記載の「例示」を示す。
(ア) 三次医療圏
① 地域の実情を踏まえた、医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の医療従事者の確保の方策と必要に応じ確保の目標を設定。
② 養成施設の設置状況及び養成計画。
③ 医療従事者の地域偏在に対する方策。
④ 都道府県ナースセンター(看護職員確保センター)の活用方法。
⑤ 医師、歯科医師等の臨床研修指定病院等の研修施設の設置状況。
⑥ 医療従事者の資質の向上を目的とした、生涯学習や研修等の推進方針。例えば、地域固有の問題(全国平均より高い死亡率の疾患の対策など)についての取組みや医療従事者の保健・医療・福祉の分野にわたる幅広い研修等についての方針等。
(イ) 二次医療圏
① 地域の実情を踏まえた、医師、歯科医師、薬剤師、看護婦の確保の方策と必要に応じ確保の目標を設定。
② その他の医療従事者については、当該二次医療圏において特に確保する必要がある職種の確保状況を把握し、地域の実情を踏まえた確保の方策と必要に応じ確保の目標を設定。
③ 地域における医療従事者の資質の向上を目的とした、生涯学習や保健・医療・福祉の分野にわたる幅広い研修等の実施方法。
(6) その他医療を提供する体制の確保に関し必要な事項
1) 保健・医療・福祉の連携
保健・医療・福祉施策等の相互の連携、一体化を図り、医療提供体制を確保するためには、保健、医療、福祉それぞれのサービスが地域住民に効率的かつ総合的に提供される必要がある。このためには、保健・医療・福祉関係各機関(施設、団体等を含む)等における情報の共有や各施策の企画立案から実施までの過程における連携の強化が重要である。これらを踏まえ、医療の立場からみた次に示す連携方策や地域住民への情報提供体制を医療計画に記載する。
(ア) 三次医療圏
① 保健・医療・福祉関係各部局及び関係各機関における施策の実施についての連携及び必要な情報の共有方策。
② 保健・医療・福祉の連携が二次医療圏や市町村相互間で円滑に実施されるよう、支援及び調整する体制。
(イ) 二次医療圏
① 各保健所、精神保健福祉センター、市町村など関係各機関における施策の実施についての連携及び必要な情報の共有方策とそれらの施策及び情報の住民への提供体制。例えば、関係各機関で構成する、保健・医療・福祉に関する「調整会議」の設置等。
② 痴呆性疾患やその他の難病等に関する保健・医療・福祉の各施策を連携して行う効率的、総合的なサービス提供体制。
③ 健康診査等の保健施策を行う機関と医療機関との連携方策。
④ 地域における保健に関する計画との整合性のとれた、疾病予防対策と医療の連携方策。
⑤ 退院・退所後に係る保健・医療・福祉の連携体制。
⑥ 保健・医療・福祉関係各機関等の従事者間の連携体制。
⑦ 上記の保健・医療・福祉の連携方策に関して、地域住民への広報や関係者の情報の共有方法。
⑧ その他保健・医療・福祉の連携に関して必要な事項。
2) 医療情報システムの整備等
医療関係施設相互の機能分担及び業務連携を円滑に行うためには、患者や医療等に関する情報を速やかに伝達、検索するシステムを構築することが重要であり、健康管理情報システム、救急医療情報システム、へき地保健医療情報システム等の導入、整備、医薬品情報システムの活用等について検討し、方策を記載することが望ましい。
また、医療の安全性の向上を図るため、医療機関、医療関係団体等が実施する医療事故防止への取組みに対する支援方策を検討し、記載することが望ましい。
(7) 長期目標、整備計画
各医療圏ごとに、医療提供体制に関する長期的な到達目標を項目ごとに設定するとともに、5年程度を期間とする具体的な整備計画を記載することとする。なお、到達目標を設定する際には、その目標年次を示すことが望ましい。
第4 医療計画作成の手順等
都道府県が医療計画を作成する際、技術的見地からみて全国に共通すると考えられる項目等を参考までに次に示す。
1 医療計画作成手順の概要
医療計画の作成等に当たっては、概ね次の手順が考えられる。(別添5参照)
(1) 医療計画(案)を作成するための体制の整備
(2) 医療計画の目的、基本理念についての検討及び医療計画の基本骨子についての検討
(3) 地域医療の現状分析等に係るデータの収集、調査の実施及び将来予測の検討
(4) 医療圏及び基準病床数の検討
(5) 医療提供体制を確保するための具体的施策についての検討及び整備目標等の検討
(6) 以上の検討を踏まえた医療計画(試案)の作成
(7) 診療又は調剤に関する学識経験者の団体(医師会、歯科医師会及び薬剤師会)から医療計画(試案)についての意見の聴取(必要に応じ試案の手直し)
(8) 医療計画(案)の決定
(9) 医療計画(案)についての市町村の意見聴取(必要に応じ医療計画(案)の手直し)
(10) 医療計画(案)について都道府県医療審議会への諮問、答申
(11) 医療計画の決定
(12)医療計画の厚生労働大臣への提出及び公示
2 医療圏の設定方法
(1) 二次医療圏の設定に当たっては地理的条件等の自然的条件及び日常生活の需要の充足状態、交通事情等の社会的条件を考慮して一体の区域として病院における入院に係る医療(三次医療圏で提供することが適当と考えられるものを除く。)を提供する体制の確保を図ることが相当であると認められるものを単位として認定することとなるが、その際に参考となる事項を次に示す。
(ア) 第6に示す事項のうち特に(1)の事項については、市町村単位で地図上に表示することなどを検討する。なお、患者の受療状況の把握については統計学的に有意な方法による諸調査を実施することが望ましい。
(イ) 既存の圏域、すなわち、広域市町村圏、保健所・福祉事務所等都道府県の行政機関の管轄区域、学校区(特に高等学校に係る区域)等に関する資料を参考とする。
(2) 三次医療圏については、概ね一都道府県の区域を単位として設定するがその区域が特に広大であることその他特別の事情がある都道府県にあっては、一都道府県内に複数の三次医療圏を設定しても差し支えない。
(3) 都道府県の境界周辺の地域における医療の需給の実情に照らし、隣接する都道府県の区域を含めた医療圏を設定することが地域の実情に合い、合理的である場合には、各都道府県の計画にその旨を明記の上、複数の都道府県にまたがった医療圏を設定しても差し支えない。
なお、その際は関係都道府県間での十分な協議や調整を行うとともに必要に応じ厚生労働省にも連絡されたい。
第5 医療計画の推進等
1 医療計画の推進体制
医療計画においては、計画の達成の推進に関する方策及び体制を明らかにすることとし、例えば、各医療圏ごとに関係行政機関、医療関係団体等との協議の場を設けるなどにより計画目標の達成の推進を図ることが望ましい。
2 医療計画の推進状況の把握、評価及び再検討
医療計画の達成目標は地域住民の医療需要の変化や医療技術の進歩等、各種の社会経済的要因等の変化に応じ、変化するものである。したがって少なくとも5年ごとに各医療圏ごとの計画推進状況を把握することにより、健康に関する指標等からみた計画の評価及び再検討を行い、必要があると認めるときは、計画を変更する。
第6 地域の現状分析の方法等(参考)
医療計画の作成に当たっては、医療に関する事項のほか、関連する公衆衛生、薬事及び社会福祉に関する事項や地理的・地勢的条件、道路等交通条件、人口構造等に関するデータを整理、分析することが望ましい。
また、必要に応じ、医療計画の中で地域の現状分析の結果に基づき、健康等に関する到達目標とその達成のための方策及び体制を明らかにすることが望ましい。なお、これらの目標について、常時その達成状況を把握できるよう、第3の5(6)2)に示したような医療情報システムを整備することが望ましい。
人口動態等医療需要に密接に関係する事項については、その将来予測についても検討を行うことが望ましい。
参考までに地域の現状分析の対象として考えられる事項を次に示す。
(1) 健康に関する需要と保健医療の供給に関する基礎的事項
(ア) 人口構造、家族形態など
人口、人口構成、就業人口、人口密度、所帯の類型別状況、季節的人口移動、昼夜間人口など
(イ) 人口動態
出生、死亡(特に主要死因別死亡率、乳児・周産期・妊産婦死亡など)、死産など
(ウ) 有病の状況
住民側からみた傷病の状況など
(エ) 受療の状況
医療施設側からみた受療の状況(特に年齢階級別・疾病分類別受療率など)、診療圏など
(オ) 医療施設及び関係施設等
医療施設の分布、病床数(病床の種別及び診療科目別等)、特殊診療機器・設備の状況、大学病院、がんセンターなどの特殊な医療施設の状況、薬局、衛生検査所の状況など
(カ) 医療従事者の状況
医師、歯科医師、薬剤師、保健婦、助産婦、看護婦などの状況
(キ) 保健施設
保健所、市町村保健センター、健康増進センター、母子健康センター、精神保健福祉センターなどの状況
(ク) 社会福祉施設
老人福祉施設、心身障害者(児)施設、保育所などの状況
(ケ) 老人保健施設等
老人保健施設、訪問看護事業所(訪問看護ステーション)などの状況
(2) 医療提供体制の整備に関する事項
(ア) 救急医療
救急医療機関(精神科を含む)の分布状況及び診療体制、休日夜間診療の状況など
(イ) へき地医療
無医・無歯科医地区の状況、へき地医療の状況など
(ウ) 母子保健・医療の状況
低体重児数、小児慢性疾患患者数、危険度の高い妊娠・分娩数、母子健康手帳交付数、妊産婦・乳児・1歳6か月児・3歳児に対する健康診査・保健指導等の状況など
(エ) 老人保健・医療等の状況
健康診査、訪問指導、健康教育、健康相談、機能訓練、訪問看護員(ホームヘルパー)派遣の状況など
(オ) 精神保健・医療の状況
精神障害者に対する保健・医療(特に精神障害者社会復帰施設など)の状況及び精神科救急医療体制など
(カ) 生活習慣病の状況
悪性新生物、循環器疾患、糖尿病等の患者数及びその対策の状況など
(キ) 結核の状況
結核患者及び結核管理の状況など
(ク) 難病の状況
難病患者の状況など
(ケ) 感染症、食中毒の状況
感染症対策(特に動向調査体制など)の状況、食中毒の届出状況など
(コ) 歯科保健・医療の状況
歯科検診等、歯科疾患に対する保健・医療の状況
(サ) 医学的リハビリテーション
医学的リハビリテーションの状況など
(シ) 調剤の状況等
医薬分業の進展など
(ス) 心身障害の状況
特別児童扶養手当の支給状況、身体障害者手帳交付状況など
(3) その他
(ア) 栄養、食生活の状況
栄養指導の実施状況、栄養摂取量、食習慣など
(イ) 健康増進・体力づくりの状況
健康づくりに関する各種行事の開催等健康・体力づくり活動の状況など
(ウ) 保健・医療意識
健康・保健医療に関する住民の意識
なお、次の事項についても必要に応じ適宜データを収集、分析することが望ましい。
(ア) 地理的、地勢的条件
面積、河川、平野、都市・町村の位置など
(イ) 気象、災害などの条件
気温、降水量、積雪、台風など
(ウ) 交通、通信の条件
道路、交通機関の状況、電話普及率など
(エ) 産業、経済の状況
産業構造など
(オ) 都道府県、市町村の行財政の状況
衛生行政関係費の推移、国民健康保険財政の状況など
(カ) 社会生活の状況
生活圏など
(キ) 環境衛生の状況
上水道、下水道、ごみ、し尿処理の状況など
(ク) 環境の状況
大気汚染、水質汚濁、騒音の状況など
(ケ) 環境保健
公害に係る健康被害の状況など
(コ) 学校保健の状況
児童の体位・体力、学校給食、学校環境衛生、疾病・事故の状況など
(サ) 労働衛生の状況
工場・事業場の健康管理の状況、産業災害発生の状況など
(シ) 各種医療保険の状況
国民健康保険の加入状況・受診状況、国民健康保険以外の医療保険加入状況・受診状況など
(ス) 救急業務の状況
3 基準病床数の算定方法
(1) 基準病床数の算定方法
基準病床数の算定は、次に掲げる方式による。
(ア) 療養病床及び一般病床に係る基準病床数は、二次医療圏ごとに、新しい病床区分が定着するまでの間(平成15年8月31日以後の政令で定める日までの間)は、次の算定式により算出した数を標準とする。
なお、新たな病床区分が定着した後は、療養病床、一般病床の病床の種別に応じて算定した数の合計数を標準とする。
{(当該区域の性別及び年齢階級別人口)×(当該区域の性別及び年齢階級別入院率)の総和+(0~当該区域への他区域からの流入入院患者数の範囲内で知事が定める数)-(0~当該区域から他区域への流出入院患者数の範囲内で知事が定める数)}×(1/病床利用率)×平均在院日数推移率
ただし、上記算定式により二次医療圏ごとに設定した基準病床数の都道府県における合計数は、(当該区域の性別及び年齢階級別人口)×(当該区域の性別及び年齢階級別入院率)の総和×(1/病床利用率)×平均在院日数推移率により二次医療圏ごとに算定した都道府県における合計数を超えることができない。
なお、当該都道府県において、都道府県外への流出入院患者数が都道府県内への流入入院患者数よりも多い場合は、{(都道府県外への流出入院患者数)-(都道府県内への流入入院患者数)}×(1/病床利用率)×平均在院日数推移率で得られた流出超過加算数の3分の1を限度として適当と認める数を各二次医療圏における前記の算定式により算定した基準病床数に加えることができる。
ただし、各二次医療圏に加えた数の合計数は、流出超過加算数を超えることができない。
(注1)「人口」とは、医療計画作成時における夜間人口をいう。
その数値については、国勢調査の結果による人口、地方公共団体の人口に関する公式統計による人口等のうち最近のものによることとする。
(注2)「年齢階級」とは、5歳ごとの年齢による階級である。
(注3)「当該区域の性別及び年齢階級別入院率」とは、都道府県の性別及び年齢階級別入院率(以下「都道府県率」という。)が厚生労働大臣が各都道府県の性別及び年齢階級別入院率の分布状況を勘案して定める性別及び年齢階級別入院率(以下「全国基準率」という。)以上の場合、全国基準率を適用し、都道府県率が全国基準率未満の場合、都道府県率と地方ブロックの性別及び年齢階級別入院率(以下「地方ブロック率」という。)の範囲内で都道府県知事が都道府県の区域を単位として定める率とする。ただし、当該値は、全国基準率を超えないものとする。
(注4)「地方ブロック率」、「都道府県率」、「全国基準率」、「病床利用率」及び「平均在院日数推移率」として使用する数値については、医療法第 30条の3第2項第3号の基準病床数の算定に使用する数値等を定める件(平成13年1月厚生労働省告示第22号)により定められていること。
(注5)各地域における流入流出入院患者数については、患者調査、国民健康保険等のレセプト調査等により把握する。
(備考)「地方ブロック」とは、以下の9ブロックをいう。
ブロック名 |
都道府県名 |
北海道 |
北海道 |
東北 |
青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島 |
関東 |
茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、長野 |
北陸 |
富山、石川、福井 |
東海 |
岐阜、静岡、愛知、三重 |
近畿 |
滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山 |
中国 |
鳥取、島根、岡山、広島、山口 |
四国 |
徳島、香川、愛媛、高知 |
九州 |
福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 |
(イ) 精神病床に係る基準病床数は、都道府県の区域ごとに次の算定式により算出した数を標準とする。
ただし、算定式中「入院率」、「病床利用率」及び「入院患者数」は、それぞれ「精神病床に係る入院率」、「精神病床利用率」及び「精神病床入院患者数」と読み替えて適用する。
{(当該区域の性別及び年齢階級別人口)×(当該区域の属する都道府県を含む地方ブロックの性別及び年齢階級別入院率)の総和+(当該区域への他区域からの流入入院患者数)-(当該区域から他区域への流出入院患者数)}×(1/病床利用率)
この場合において、都道府県知事は当該区域に所在する病院の入院患者のうち当該区域に住所を有する者の数が(当該区域の性別及び年齢階級別人口)×(当該区域の属する都道府県を含む地方ブロックの性別及び年齢階級別入院率)の総和により算定される数を下回っている区域については、(他の区域への流出入院患者数)×(1/病床利用率)で得られた数の3分の1を限度として適当と認められる数をその区域における前記の算定式により算定した基準病床数に加えることができる。
(注1)「人口」とは、医療計画作成時における夜間人口をいう。
その数値については、国勢調査の結果による人口、地方公共団体の人口に関する公式統計による人口等のうち最近のものによることとする。
(注2)「年齢階級」とは、5歳ごとの年齢による階級である。
(注3)「地方ブロックの性別及び年齢階級別入院率」、「病床利用率」として使用する数値については、医療法第30条の3第2項第3号の基準病床数の算定に使用する数値等を定める件により定められていること。
(注4)各地域における流入流出入院患者数については、患者調査、国民健康保険等のレセプト調査等により把握する。
(備考)「地方ブロック」とは、療養病床及び一般病床の算定式と同様の9ブロックをいう。
(ウ) 結核病床に係る基準病床数は、都道府県の区域ごとに精神病床に係る基準病床数の算定式と同一の式により算出した数を標準とする。
ただし、同算定式中「入院率」、「病床利用率」及び「入院患者数」は、それぞれ「結核病床に係る入院率」、「結核病床利用率」及び「結核病床入院患者数」と読み替えて適用する。
(エ) 感染症病床に係る基準病床数は、都道府県の区域ごとに感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第38条第1項の規定に基づき厚生労働大臣の指定を受けている特定感染症指定医療機関の感染症病床並びに同条第2項の規定に基づき都道府県知事の指定を受けている第一種感染症指定医療機関及び第二種感染症指定医療機関の感染症病床の数を合算した数を基準として都道府県知事が定める数とする。
(2) 基準病床数の算定の特例
医療計画作成時に次のような事情があるため、都道府県知事が都道府県医療審議会の意見を聴いた上で厚生労働大臣に協議し、その同意を得た数を加えて得た数又は厚生労働大臣に協議し、その同意を得た数を基準病床数とすることができる。
① 急激な人口の増加が見込まれ、病床の増加が必要と考えられる場合
② 特定の疾患にり患する者が異常に多い場合
③ 高度の医療を提供する能力を有する病院が集中している場合
④ 基準病床数に係る特例の対象となる病床以外で、医学・医術の進歩に伴い特殊病床が必要と考えられる場合
⑤ その他当該区域において準ずる事情がある場合
(別添1)
(別添2―①)
(別添2―②)
(別添3―①)
(別添3―②)
(別添3―③)
(別添4―①)
(別添4―②)
(別添4―②―2)
(別添4―③)
(別添4―③―2)
(別添5)
(別紙様式1)
(別紙様式2)
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