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○骨髄バンク事業の推進について

(平成三年一二月一八日)

(健医発第一四六二号)

(各都道府県知事、各指定都市市長あて厚生省保健医療局長通知)

骨髄移植対策については、疾病対策の一環として従来より推進を図ってきたところであるが、平成三年一二月一八日付けで財団法人骨髄移植推進財団(以下「財団」という。)の設立が許可されたことにより、別紙のとおり骨髄バンク事業の実施体制が整ったところである。骨髄バンク事業を推進させるためには、できるだけ多くの骨髄提供希望者を確保することが最も重要な課題である。貴都道府県(指定都市)関係部局におかれては、左記の点に留意されることにより、同事業の円滑な実施が可能になるよう格段のご支援、ご協力をいただきたい。

なお、骨髄移植に関する普及啓発及び骨髄提供希望者の募集のために財団が作成したパンフレット、リーフレット、ビデオ等を別途送付する予定であるので、念のため申し添える。

1 骨髄バンク事業の周知徹底に関すること

(1) 一般からの骨髄移植に関する照会に対しては、担当窓口を定め適切な対応に努められたいこと。その際には、財団作成のパンフレット、リーフレット、ビデオ等を適宜活用されたいこと。

(2) 骨髄バンク事業に関し、国及び財団が提供する情報を貴下の保健所等保健医療機関、管内市区町村(政令市を含む。)及び関係団体に周知させ、普及啓発の面での協力体制を確保されたいこと。

(3) 貴都道府県(指定都市)の有する広報手段、新聞、ラジオ、テレビ等のマスメディアの活用などにより骨髄移植対策の普及広報に努められたいこと。その際には骨髄バンク事業の推進のためのシンポジウムなど各種行事を開催することも検討されたいこと。

2 骨髄移植対策に関わる者の連携確保に関すること

貴都道府県(指定都市)下において骨髄バンク事業に従事する財団の地区調整委員・地区調整員、日本赤十字社の地方骨髄データセンター職員、骨髄移植に関する医療の専門家及び関係医療機関の医師並びに骨髄バンク事業を支援するボランティア等の連携を確保するため、関係者から成る連絡協議会の設置など、情報や意見の交換ができる場を設けることも検討されたいこと。

(別紙1)

骨髄バンク事業について

(平成三年一二月一八日)

(保健医療局疾病対策課)

1 骨髄バンクのねらい

(1) 骨髄移植は、ここ一〇年来、主に白血病や重症再生不良性貧血の治療法として行われている。しかし、骨髄移植において移植した骨髄がうまく機能するためには白血球の型(HLA型)を提供者と患者との間で一致させる必要がある。

(2) 血縁者の中でHLA型の一致する確率の高い兄弟においても、四分の一の確率でしかなく、兄弟の少ない現状では、多くの場合非血縁者に頼らなければ骨髄移植をうけることができない。非血縁者間においてHLA型は、五〇〇人~数万人に一人しか一致しないため、多くの方々から提供者を募る必要がある。骨髄バンクにおいては、広く国民一般に対し、骨髄移植に関する普及啓発を行うとともに、できるだけ多くの骨髄提供希望者にドナー登録をしていただくため、その募集活動に力を入れることとしている。

(参考)

① 骨髄とは 腰や背骨や胸の骨の内部にあるゼリー状の組織で、造血機能を有するところ。

② 骨髄移植 病に冒された骨髄幹細胞(血液中の赤血球や白血球のもとになる細胞)を健康な骨髄幹細胞と置き換え、正常な造血機能を回復させる治療法であり、提供者の腰の骨から注射針で健康な骨髄液を採取し、患者に点滴注射する方法によって行われる。

③ 対象疾患 白血病(年間約五〇〇〇人発生)、重症再生不良性貧血(年間約三〇〇人発生)等

④ 骨髄移植対象者数 年間約一〇〇〇人(現状では、血縁者からの移植が年間約二五〇例行われている。)

2 骨髄バンク事業のあらまし

(1) 骨髄バンク事業は、公平性、公共性及び広域性を確保するため、国(厚生省)の主導の下に、財団法人「骨髄移植推進財団」が主体となり、日本赤十字社の協力を得て実施する。

(2) 国、地方自治体及び財団は、それぞれの立場で広く国民一般に対し、骨髄移植に関する普及啓発を行うとともに、財団は、骨髄提供希望者に対し、骨髄移植について更に理解を深めてドナー登録をしていただくため、その募集活動等を行うこととしている。

(3) 日本赤十字社は、骨髄データバンク事業を実施することとしており、全国各地の血液センターに設置された「地方骨髄データセンター」(一二月二五日設置予定)においてドナーの登録・HLA型の検査業務を行い(本格稼働は来年一月六日以降)、中央血液センターに設置された「中央骨髄データセンター」(一二月二〇日設置予定)においてこれらのデータの管理・ドナーの検索業務を行うこととしている(本格稼働は来年一月六日以降)。

(4) 一方、財団は骨髄移植が必要な患者の受付・登録業務を行うとともに(来年二月以降)、これを受けて骨髄データセンターが検索したHLA型の適合するドナー、患者及び移植医療機関の三者間の連絡調整を財団のコーディネーターが行って骨髄移植の実施につなげていく活動を行うこととしている。また、ドナーに万が一全身麻酔等による健康障害が発生した場合に、財団において民間の損害保険を活用して補償業務も行うこととしている。

(5) 以上のような体系を整備して骨髄バンク事業を実施することとしているが、この事業の推進のためにはいかにして多くの骨髄提供希望者を確保するかが大きな課題である。このため、財団が中心となって当面五年間でドナー登録一〇万件を目標に募集活動を進めているので、骨髄バンク事業に対する一層の御支援、御協力をよろしくお願いいたしたい。

別紙2・3 略