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○脳死した者の身体からの分割肝移植の実施について

(平成一一年七月二二日)

(健医発第一〇四三号)

(社団法人日本臓器移植ネットワーク理事長あて厚生省保健医療局長通知)

臓器の移植に関する法律(平成九年法律第一〇四号)における脳死した者の身体からの肝臓移植に関し、当該肝臓を分割して移植すること(分割肝移植)については、公衆衛生審議会疾病対策部会臓器移植専門委員会分割肝移植に係る作業班における医学的な検討を踏まえ、同専門委員会において、別紙のとおり了承されたところである。

以後、肝臓のあっせんを行うに当たっては、左記の事項に留意の上、適正に行われたい。

なお、第一選択の移植患者(以下「レシピエント」という。)が小児等である場合以外の分割肝移植の実施については、今後、検討することとしているので、念のため申し添える。

1 「臓器提供者(ドナー)適応基準及び移植希望者(レシピエント)選択基準について(平成九年一〇月一六日健医発第一、三七一号)」の「肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準」に従い、小児等がレシピエントとして選択された場合にあっては、社団法人日本臓器移植ネットワークは、当該レシピエントに係る移植実施施設に連絡する際に、当該レシピエントが肝臓の移植を受けることについて承諾する場合であって、当該レシピエントに肝臓の一部を移植してもなお、残余の部分が移植に使用できる可能性があると当該移植実施施設が判断したときには、その旨を社団法人日本臓器移植ネットワークに連絡するよう、要請すること。

2 社団法人日本臓器移植ネットワークは、当該レシピエントが肝臓移植を受けることについて承諾したこと及び当該レシピエントに肝臓の一部を移植してもなお、残余の部分が移植に使用できる可能性があることについて、当該レシピエントに係る移植実施施設より連絡があった場合にあっては、当該レシピエントの次順位以下の者に係る移植実施施設に対して、その旨の連絡を行う等、一般の脳死下での肝臓移植と同様に、当該残余の部分の肝臓についてのあっせんを行うこと。

別紙

分割肝移植について

(公衆衛生審議会疾病対策部会)

(臓器移植専門委員会)

1 分割肝移植の実施

臓器の移植に関する法律(平成九年法律第一〇四号)における脳死した者の身体からの肝臓移植に関し、当該肝臓を分割して移植すること(以下「分割肝移植」という。)については、第一選択の移植を受ける患者(以下「レシピエント」という。)が小児等であって、かつ、当該レシピエントに係る移植実施施設が、当該レシピエントに肝臓の一部を移植してもなお、残余の部分が移植に使用できる可能性があると判断したときに、その実施を考慮するものとする。

2 分割肝移植を実施する場合におけるドナーの望ましい状態等

分割肝移植を実施する場合には、全肝移植の肝臓と比べて肝臓の状態がよいことが求められることから、移植実施施設による分割肝移植の実施に当たっては、「臓器提供者(ドナー)適応基準及び移植希望者(レシピエント)選択基準について(平成九年一〇月一六日健医発第一、三七一号)」の「(肝臓)臓器提供者(ドナー)適応基準」に規定された条件等に加えて、臓器提供者(以下「ドナー」という。)が、以下の状態等にあることが望ましい。

1) 六〇歳以下であること。

2) 循環動態が安定していること。

3) 生化学的肝機能検査で著しい異常がないこと。

4) 肉眼的に脂肪肝が認められないこと。

5) 摘出前の循環管理において、ドナーに対して、カテコラミン等の強心薬が多量に使用されていないこと。(ドパミン及びドブタミンにあっては、15γ(μg/kg/min)以下であること。)

ただし、ドナーがこれらの状態等にない場合であっても、当該レシピエントの主治医が、医学的な観点から総合的に考慮して、移植を実施することが可能であると判断した場合にあっては、分割肝移植を実施することができる。

3 分割の方法

移植に用いられる肝臓を分割する方法については、ドナーの体内において分割する方法(以下「体内分割」という。)及びドナーの体外から肝臓を摘出した後に分割する方法(以下「体外分割」という。)の二種類があるが、移植成績等の観点から考慮すると、体内分割による場合の方が体外分割よりもすぐれていることから、原則として、体内分割によることが望ましい。ただし、多臓器が提供される場合における体内分割は、心臓、肺等の他の臓器に係る摘出チームと事前に調整し、体内分割の実施について合意が得られた場合に実施すること。

4 その他

なお、肝臓の移植を受けることとなる第一選択の患者が小児等である場合以外の分割肝移植の実施については、今後検討する。

(参考)