添付一覧
○臓器のあっせん業の許可等について
(平成九年一〇月一三日)
(健医発第一三五三号)
(各都道府県知事あて厚生省保健医療局長通知)
臓器の移植に関する法律(平成九年法律第一〇四号。以下「法」という。)及び同法施行規則(平成九年厚生省令第七八号。以下「施行規則」という。)の施行については、一〇月八日付け厚生省発健医第二九六号厚生事務次官通知「臓器の移植に関する法律の施行について(依命通知)」及び健医発第一三二八号当職通知「臓器の移植に関する法律施行規則等の施行について」により通知したところであるが、法第一二条に規定する業として移植術に使用されるための臓器を提供すること又はその提供を受けることのあっせん(以下「臓器のあっせん業」という。)の許可に関する事項等については、左記のとおり取り扱うこととしているので、御了知されるとともに、貴管下の医療機関等関係者に対する周知方につきよろしく御配意願いたい。
なお、厚生省昭和五五年三月一八日付け医発第二七五号厚生省医務局長通知「眼球提供あっせん業及び腎臓提供あっせん業の許可について」は、本通知の施行に伴い廃止する。
記
第一 臓器のあっせん業の範囲等について
一 臓器のあっせん業を行う場合には、法第一二条第一項の規定により、厚生労働大臣の許可を受けなければならないものであるが、この臓器のあっせん業とは、移植術の実施のために必要な臓器が、臓器提供施設から移植実施施設に平穏かつ迅速にもたらされるように、臓器提供施設と移植実施施設の間にあって、必要な媒介的活動を反復継続して行うことをいうものであること。
二 臓器のあっせんの具体的内容としては、①臓器の提供者の募集及び登録、②移植を希望する者の募集及び登録、③臓器の提供者、臓器提供施設、移植実施施設等との間の連絡調整活動などがあり、これらの全部又は一部を業として行う場合が臓器のあっせん業に該当すること。
ただし、医療機関が当該医療機関の患者の治療のために臓器を摘出し、又は使用することは、当該医療機関の診療業務の一部であって、臓器のあっせん業には該当しないこと。
第二 許可の手続について
一 臓器のあっせん業の許可は、臓器の別ごとに行われるものであること。したがって、ある臓器のあっせん業の許可を受けた者が、別の臓器のあっせんを行おうとするときは、新たな許可が必要であること。
二 臓器のあっせん業の許可申請書は、厚生労働大臣に提出するものであること。
三 施行規則第一二条に規定されているとおり、臓器のあっせん業の許可を受けた者が臓器のあっせんを行う事務所の所在地又は臓器のあっせん手数料を変更したときは、速やかに、臓器のあっせんを行う具体的手段又は申請の翌事業年度までの事業計画及び収支予算を変更しようとするときは、変更しようとする日の一五日前までに、厚生労働大臣に届け出なければならないこと。
四 臓器あっせん機関は、交通、通信、移植術に使用されるための臓器の摘出、保存若しくは移送又は移植術等に要する費用であって、移植術に使用されるための臓器のあっせんをすることに関して通常必要であると認められるものにつき、移植実施施設又は登録患者への費用負担を求めることができるものとすること。
厚生労働省においては、対象とされている経費の内容及びあっせん手数料等の額について確認した上で、是正の必要性が認められる場合には必要な指導を行うものとすること。
五 移植を希望する者の臓器のあっせん機関への登録については、医療機関が医学的な観点から臓器移植の適応があると判断した患者についてのみ行うものとすること。
第三 眼球に係る臓器のあっせん業の許可について
今後において、眼球に係る臓器のあっせん業についての許可の申請があった場合には、法に基づく許可が行われることとなるが、この許可に当たっての審査基準については、当分の間、別添のとおり取り扱うこととしていること。
第四 角膜及び腎臓の移植に関する法律第八条の規定による眼球又は腎臓の提供のあっせん業の許可について
法の施行の際現に法附則第三条の規定による廃止前の角膜及び腎臓の移植に関する法律第八条の規定により業として行う眼球又は腎臓の提供にあっせんの許可を受けている者は、法第一二条第一項の規定により当該臓器について業として行う臓器のあっせんの許可を受けた者とみなされること。
第五 臓器売買等の禁止等
一 法第一一条において、臓器を経済取引の対象とすることは、人々の感情に著しく反すること、移植機会の公平性を損なうこと、さらに善意・任意の臓器提供という臓器移植の基本的な考え方にも支障を来すことから、生体臓器も含め、臓器売買、臓器の有償あっせんを、その約束、要求、申込みも含めて禁止することとされていること。
特に、臓器のあっせん業との関係では、法第一一条第三項において、何人も、移植術に使用されるための臓器を提供すること若しくはその提供を受けることのあっせんをすることの対価としての財産上の利益の供与を受け、又はその要求若しくは約束をしてはならないこととされていること。
法第一一条の臓器売買等の禁止の規定に違反した者は、五年以下の懲役若しくは五〇〇万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する旨の規定が定められていること。(法第二〇条第一項)
また、これらの罪は、刑法(明治四〇年法律第四五号)第三条の例に従うこととされており、日本国外においてこれらの罪を犯した日本国民についても処罰できることとされていること。(法第二〇条第二項)
二 法第一二条第一項の許可を受けないで、業として行う臓器のあっせんをした者は、一年以下の懲役若しくは一〇〇万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する旨の規定が定められていること。(法第二二条)
別添
眼球に係る臓器のあっせん業の許可についての審査基準
1 開設主体
次に掲げる者のうちいずれかの者とする。
(1) 眼球(角膜等)の摘出、保存及び移植を行う病院又は診療所を開設する者であって当該病院又は診療所の事業として眼球の提供のあっせんを行うもの。
(2) 眼球の提供のあっせんを行うことを事業内容とする営利を目的としない法人であって、当該法人の役員に眼球(角膜等)の移植を行う医師又は(1)に掲げる病院若しくは診療所を開設する者を含むもの。
(3) 別に定める病院又は診療所の一に対して眼球の提供のあっせんを行うために設立された法人であって、営利を目的としないもの。
2 財政及び会計
(1) 基本財産からの果実、会費、寄附金等の確実な収入により業務の永続が可能であること。
(2) 眼球の提供のあっせんに関する会計は、他の会計と明確に区分し、他の会計への繰り出しを行わないこと。
3 業務
(1) 名目の如何を問わず、眼球について対価を支払わないこと。
(2) あっせん料金は、原則として無料とすること。ただし、通信、摘出、保存及び移送に要する実費又はそれ以下を徴収することは差し支えないこと。
(3) あっせん業務の遂行に必要な人員及び設備を有すること。