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○臓器の移植に関する法律施行規則等の施行について

(平成九年一〇月八日)

(健医発第一三二八号)

(各都道府県知事、指定都市市長、中核市市長あて厚生省保健医療局長通知)

臓器の移植に関する法律(平成九年法律第一〇四号。以下「法」という。)については、本年七月一六日に公布され、法が委任する事項について定める臓器の移植に関する法律施行規則(平成九年厚生省令第七八号。以下「規則」という。)及び臓器の移植に関する法律附則第一一条第一項の法律を定める政令(平成九年政令第三一一号。以下「政令」という。)が本日公布され、いずれも本年一〇月一六日から施行することとされたところである。

法の趣旨及び内容については、本日付け厚生省発健医第二九六号厚生事務次官通知「臓器の移植に関する法律の施行について(依命通知)」により貴職あて別途通知したところであるが、規則及び政令の内容については、左記のとおりであるので、御了知の上、法及び法に基づく命令の適正な施行につき遺漏なきを期されるとともに、貴管下市町村、関係機関、関係団体等に対する周知方につき御配慮願いたい。

第一 臓器の移植に関する法律施行規則の制定

一 臓器の範囲

法の対象となる臓器として、すい臓及び小腸を規定したこと。(規則第一条関係)

二 臓器の摘出に係る脳死の判定

(一) 臓器の摘出に係る脳死の判定は、脳の器質的な障害により深昏睡及び自発呼吸を消失した状態と認められ、かつ、器質的脳障害の原因となる疾患が確実に診断されていて、原疾患に対して行い得るすべての適切な治療を行った場合であっても回復の可能性がないと認められる者について行うものとしたこと。ただし、次の①から④までのいずれかに該当する者については、この限りでないこと。(規則第二条第一項関係)

① 六歳未満の者

② 急性薬物中毒により深昏睡及び自発呼吸を消失した状態にあると認められる者

③ 直腸温が摂氏三二度以下の状態にある者

④ 代謝性障害又は内分泌性障害により深昏睡及び自発呼吸を消失した状態にあると認められる者

(二) 臓器の摘出に係る脳死の判定は、次の①から⑤までに掲げる状態が確認され、かつ、当該確認の時点から少なくとも六時間を経過した後に、次の①から⑤までに掲げる状態が再び確認されることをもって行うものとしたこと。ただし、自発運動、除脳硬直、除皮質硬直又はけいれんが認められる場合は、判定を行ってはならないこと。(規則第二条第二項関係)

① 深昏睡

② どう孔が固定し、どう孔径が左右とも四ミリメートル以上であること。

③ 脳幹反射(対光反射、角膜反射、毛様せき髄反射、眼球頭反射、前庭反射、いん頭反射及びかく反射)の消失

④ 平坦脳波

⑤ 自発呼吸の消失

(三) (二)⑤の自発呼吸の消失の確認については、(二)①から④までに掲げる状態が確認された後に行うものとしたこと。(規則第二条第三項関係)

(四) 臓器の摘出に係る脳死の判定に当たっては、中枢神経抑制薬、筋緩薬その他の薬物が判定に影響していないこと及び収縮期血圧が九〇水銀柱ミリメートル以上あることを確認するものとしたこと。(規則第二条第四項関係)

(五) 臓器の摘出に係る脳死の判定に当たっては、聴性脳幹誘発反応の消失を確認するよう努めるものとしたこと。(規則第二条第五項関係)

三 使用されなかった部分の臓器の処理

法に基づき摘出された臓器であって移植術に使用されなかった部分については、焼却により処理しなければならないこととしたこと。(規則第四条関係)

四 医師が作成すべき脳死の判定等に関する記録

(一) 法第六条第五項の規定により脳死の判定を行った医師が作成しなければならないこととされている脳死の判定が的確に行われたことを証する書面に記載すべき具体的な事項について定めたこと。(規則第三条関係)

(二) 法第一〇条第一項(法附則第四条第二項により読み替えて適用される場合を含む。)に基づき医師が作成しなければならないこととされている脳死の判定に関する記録、臓器の摘出に関する記録及び摘出した臓器を使用した移植術に関する記録に記載すべき具体的な事項及び添付すべき書面について定めたこと。(規則第五条から第七条まで及び附則第三条関係)

(三) 臓器の摘出を行った医師が摘出した臓器を移植術に使用しないこととした場合には、その理由を臓器の摘出に関する記録に記載しなければならないこととしたこと。

また、臓器の摘出を行った医師以外の医師が、摘出した臓器を移植術に使用しないこととした場合は、臓器を移植術に使用しないこととした理由等につき記録を作成しなければならないこととしたこと。(規則第一五条関係)

(四) 医師は、移植術を受ける者又はその家族に対して、移植術の前に、当該移植術について説明を行った場合は、説明した事項等につき記録を作成しなければならないこととしたこと。(規則第一六条関係)

五 脳死の判定等に関する記録の閲覧

(一) 法第一〇条第三項に基づき脳死の判定等に関する記録の閲覧の請求をすることができる者は、移植術に使用されるための臓器を提供した遺族、移植術を受けた者又はその者の家族及び業として行う臓器のあっせんの許可を受けた者(以下「臓器あっせん機関」という。)とすることとしたこと。(規則第八条関係)

(二) 脳死の判定等に関する記録を保存する者は、記録を閲覧に供するときは、請求に係る記録の別等を記載した請求書の提出を求めることができることとしたこと。(規則第九条関係)

(三) 閲覧に供する記録の範囲は次のとおりとすることとしたこと。(規則第一〇条関係)

① 移植術に使用されるための臓器を提供した遺族が閲覧を請求する場合については、脳死の判定に関する記録及び臓器の摘出に関する記録を閲覧の対象とすることとしたこと。

② 移植術を受けた者又はその家族が閲覧を請求する場合については、摘出した臓器を使用した移植術に関する記録を閲覧の対象とすることとしたこと。

③ 臓器あっせん機関が閲覧を請求する場合については、脳死の判定に関する記録、臓器の摘出に関する記録及び摘出した臓器を使用した移植術に関する記録を閲覧の対象とすることとしたこと。

六 臓器あっせん機関に関する事項

業として行う臓器のあっせんの許可の申請及び申請事項の変更の届出並びに臓器のあっせんの帳簿に記載すべき具体的な事項を定めたこと。(規則第一一条から第一三条まで関係)

七 その他

(一) 医師は、臓器の摘出を行う場合は、臓器が細菌その他の病原体に汚染され、又は損傷を受けることのないよう注意しなければならないこととしたこと。また、摘出した臓器の取扱いについても、同様とすることとしたこと。(規則第一四条第一項関係)

(二) 医師は、臓器の摘出を行った場合は、摘出後の摘出部位等に適当な措置を講じなければならないとしたこと。(規則第一四条第二項関係)

(三) 医師は、臓器の摘出を行った場合は、摘出した臓器ごとに一定の事項を表示しなければならないとしたこと。(規則第一四条第三項関係)

(四) 摘出した臓器の取扱いに当たっては、礼意を失わないように注意しなければならないこととしたこと。(規則第一四条第四項関係)

(五) 規則は、法の施行の日(平成九年一〇月一六日)から施行するものであること。(附則第一条関係)

(六) 角膜及びじん臓の移植に関する法律施行規則(昭和五五年厚生省令第四号)は、廃止することとしたこと。(附則第二条関係)

第二 臓器の移植に関する法律附則第一一条第一項の法律を定める政令の制定

一 法の施行に伴い、法第六条第二項の脳死した者の身体に対し、継続して行われる処置を医療の給付とみなすため、法附則第一一条第一項に規定する健康保険法、国民健康保険法「その他政令で定める法律」の政令で定める法律として、国家公務員共済組合法ほか五二の法律を定めたものであること。

二 政令は、法の施行の日(平成九年一〇月一六日)から施行するものであること。