添付一覧
○看護師等修学資金の貸与について
(昭和三七年六月一九日)
(発医第一七七号)
(各都道府県知事あて厚生事務次官通知)
昨今、著しい不足の事態を生じている保健師、助産師、看護師及び准看護師の確保については、種々の御配意を煩わしているところであるが、今般、これが対策の一環として、新たに都道府県が行う看護師等修学資金貸与事業について国庫補助を行うこととし、当該国庫補助対象貸与事業の実施準則として別紙のとおり「看護師等修学資金貸与制度実施要綱」を定め、昭和37年4月1日から実施することとしたので、次の事項に留意のうえ、貴管下の実情に則して事業の適正な実施に努められたく、通知する。
1 制度の周知徹底
この制度は、貸与事業実施都道府県の区域内において業務に従事する保健師、助産師、看護師及び准看護師数の増加確保を図ることを目的として、養成施設在学中に修学資金を貸与し、かつ、所定の要件のもとに当該貸与金の返還の債務を免除することとしているので、これが主旨及び内容の周知徹底に努める等、この制度が十分活用され初期の目的を達成することができるよう格段の配意を願いたいこと。
2 制度の適正な運営
修学資金の貸与対象者は、養成施設に在学している者であって、卒業後貸与を受けた都道府県の区域内で看護職員の確保が困難な施設において業務に従事する意思を有するものとし、その養成施設の公私の別及び設置主体の如何を問わないこととしているので、広く、公正に対象者を選定し、この制度の適正、かつ、効果的な運営に努められたいこと。
3 国庫補助の配分方法
この制度は、看護師等の不足対策の一環として実施されるものであるので、国庫補助は看護師等の不足の度合の著しい都道府県に優先的に配分するものであること。
別紙
看護師等修学資金貸与制度実施要綱
第一 目的
この制度は、保健師、助産師、看護師又は准看護師を養成する学校又は養成所(以下「養成施設」という。)に在学する者、及び大学院の修士課程において看護に関する専門知識を修得しようとする者に修学資金を貸与し、もってこれらの者の修学を容易にすることにより、貸与事業実施主体が管轄する地域内の保健師、助産師、看護師及び准看護師の確保及び質の向上に資することを目的とする。
第二 貸与事業の実施主体
看護師等修学資金(以下「修学資金」という。)の貸与は、都道府県が行うものとする。
第三 貸与対象
修学資金貸与の対象となる者は、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)(以下「法」という。)第19条、第20条、第21条又は第22条の規定に基づき文部科学大臣若しくは厚生労働大臣又は都道府県知事が指定した養成施設に在学する者、及び学校教育法(昭和22年法律第26号)第62条に規定する国内の大学院の修士課程又はこれと同等以上と認められる国外の大学院の修士課程において、看護に関する専門知識を修得しようとする者とする。
第四 修学資金の種類及び貸与の額
修学資金の種類及び貸与の額は、次のとおりとする。
(1) 保健師修学資金
自治体立養成施設 月額 32,000円
民間立養成施設 月額 36,000円
法第19条の規定に基づき、文部科学大臣が指定した学校又は厚生労働大臣が指定した保健師養成所に在学する者に貸与する修学資金をいう。
(2) 助産師修学資金
自治体立養成施設 月額 32,000円
民間立養成施設 月額 36,000円
法第20条の規定に基づき、文部科学大臣が指定した学校又は厚生労働大臣が指定した助産師養成所に在学する者に貸与する修学資金をいう。
(3) 看護師修学資金
自治体立養成施設 月額 32,000円
民間立養成施設 月額 36,000円
法第21条の規定に基づき、文部科学大臣が指定した学校又は厚生労働大臣が指定した看護師養成所に在学する者に貸与する修学資金をいう。
(4) 准看護師修学資金
自治体立養成施設 月額 15,000円
民間立養成施設 月額 21,000円
法第22条の規定に基づき、都道府県知事が指定した准看護師養成所に在学する者に貸与する修学資金をいう。
(5) 大学院修学資金(修士課程)
国内大学院 月額 83,000円
国外大学院 月額 200,000円
看護師の免許を取得し、学校教育法第62条の規定に基づく国内の大学院の修士課程及びこれと同等以上と認められる国外の大学院の修士課程において、看護に関する専門知識を修得しようとする者に貸与する修学資金をいう。
第五 貸与方法及び利子
修学資金は、都道府県知事と貸与対象者との契約により無利子で貸与するものとする。
第六 保証人
1 修学資金の貸与を受けようとする者は、保証人を立てなければならない。
2 保証人は、修学資金の貸与を受けた者と連帯して債務を負担するものとする。
第七 貸与契約の解除及び貸与の休止
1 都道府県知事は、貸与契約の相手方(以下「修学生」という。)が資金貸与の目的を達成する見込がなくなったと認められるに至ったときは、その契約を解除するものとする。
2 都道府県知事は、修学生が休学し、又は停学の処分を受けるときは、休学し又は停学の処分を受けた日の属する月の翌月から復学した日の属する月の分まで修学資金の貸与を行わないものとする。
第八 返還の債務の当然免除
都道府県知事は、修学資金の貸与を受けた者が次の各号の1に該当するに至ったときは、修学資金の返還の債務を免除するものとする。
(1) 第四の(1)から(4)のいずれかの修学資金の貸与を受けた者が次のア及びイに規定する施設において、他種の養成施設への進学、疾病、負傷等やむを得ない事由により業務に従事できなかった期間を除き、引き続き5年間保健師、助産師、看護師又は准看護師(以下「看護職員」という。)の業務に従事したとき。
ただし、他種の養成施設への進学、疾病、負傷等やむを得ない事由がなくて、当該養成施設卒業後1年を経過するまでに看護職員の免許を取得できなかったとき、及び当該免許取得後直ちに次のア及びイに規定する施設において看護職員の業務に従事しなかったときを除く。
ア 当該養成施設卒業後修学資金の貸与を受けた都道府県の区域内で次の(ア)~(サ)に規定する施設。
(ア) 医療法(昭和23年法律第205号)第7条の規定に基づく許可病床が200床未満の病院
(イ) 医療法第7条の規定に基づき許可を受けた病床数のうち精神病床数が80%以上を占める病院
(ウ) 国立及び国立以外のハンセン病療養所
(エ) 医療法第1条の5第2項に規定する診療所
(オ) 医療法等の一部を改正する法律(平成12年法律第141号)の施行の際現に同法第1条の規定による改正前の医療法第21条第1項ただし書の規定による都道府県知事の許可を受けていた特例許可老人病院又は65歳以上の収容比率が60%以上の老人病院
(カ) 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条に規定する児童福祉施設のうち重症心身障害児施設
(キ) 児童福祉法第27条第2項の規定に基づき指定された国立療養所
(ク) 母子保健法(昭和40年法律第141号)第22条に規定する母子健康センター(助産婦に限る。)
(ケ) 地域保健法第21条第2項第1号に定める特定町村(保健師に限る。)
(コ) 介護保険法(平成9年法律第123号)第7条第22項に規定する介護老人保健施設(以下「介護老人保健施設」という。)
(サ) 介護保険法第41条第1項本文の指定に係る同法第7条第5項に規定する居宅サービス事業(同条第8項に規定する訪問看護に限る。)を行う事業所(以下「訪問看護事業所」という。)
なお、訪問看護事業所の業務に従事する場合にあっては、修学資金の貸与を受けた都道府県の区域内で上記(ア)~(ク)に規定する医療機関又は(コ)に規定する介護老人保健施設において3年以上の実務経験を有している者に限ることとする。この場合、当該実務経験については、5年間の看護職員の業務に含めて算定して差し支えないこと。
イ 知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第19条に規定する知的障害者援護施設のうち心身障害者福祉協会法(昭和45年法律第44号)第17条第1項第1号に規定する施設
(2) 第四の(5)の修学資金の貸与を受けた者が貸与を受けた都道府県の区域内の医療機関、介護老人保健施設及び訪問看護事業所等において、博士課程への進学、疾病、負傷等やむを得ない事由により業務に従事できなかった期間を除き、引き続き5年間看護職員の業務に従事したとき。なお、訪問看護事業所の業務に従事する場合にあっては、医療機関又は介護老人保健施設において3年以上の実務経験を有している者に限ることとする。この場合、当該実務経験のうち修士課程修了後のものは、上記5年間の看護職員の業務に含めて算定して差し支えないこと。
ただし、博士課程への進学、疾病、負傷等やむを得ない事由がなくて、修士課程修了後1年を経過するまでに上記の医療機関等において看護職員の業務に従事しなかったときを除く。
(3) (1)及び(2)に規定する業務従事期間中に、業務上の事由により死亡し、又は業務に起因する心身の故障のため業務を継続することができなくなったとき。
第九 返還
修学資金は、修学資金の貸与を受けた者に次の各号の1に該当する事由が生じた場合(他種の養成施設又は博士課程への進学、疾病、負傷等やむを得ない事由がある場合を除く。)には、その事由の生じた日の属する月の翌月から起算して、第四の(1)から(4)のいずれかの修学資金の貸与を受けた者については貸与を受けた期間に相当する期間内に、第四の(5)の修学資金の貸与を受けた者については10年以内に、月賦又は最長半年賦の均等払方法により返還しなければならないものとする。
なお、上記の返還期間は、修学資金が貸与されなかった期間を除くものとし、返還債務の履行が猶予されたときは、当該猶予された期間を加えた期間とする。
(1) 修学資金の貸与契約が解除されたとき。
(2) 第四の(1)から(4)のいずれかの修学資金の貸与を受けた者が、当該養成施設を卒業した日から1年以内に看護職員の免許を取得しなかったとき。
(3) 第四の(1)から(4)のいずれかの修学資金の貸与を受けた者が、看護職員の免許を取得後直ちに修学資金の貸与を受けた都道府県の区域内で第八の(1)に規定する施設において看護職員の業務に従事しなかったとき。
(4) 第四の(5)の修学資金の貸与を受けた者が、修士課程修了後1年を経過するまでに修学資金の貸与を受けた都道府県の区域内で第八の(2)に規定する医療機関等において看護職員の業務に従事しなかったとき。
(5) 返還の債務の当然免除を受ける前に業務外の事由により死亡し、又は当該区域内で第八の(1)又は(2)に規定する施設において看護職員の業務に従事しなくなったとき。
第十 返還の債務の履行猶予
1 当然猶予
都道府県知事は、修学資金を受けた者が次の各号の1に該当する場合には、当該各号に掲げる事由が継続する期間、修学資金の返還の債務の履行を猶予するものとする。
(1) 修学資金の貸与契約を解除された後も引き続き当該養成施設又は修士課程に在学しているとき。
(2) 当該養成施設を卒業後さらに他種の看護職員の養成施設又は博士課程において修学しているとき。
2 裁量猶予
都道府県知事は、修学資金の貸与を受けた者が次の各号の1に該当する場合には、当該各号に掲げる事由が継続する期間、履行期の到来していない修学資金の返還の債務の履行を猶予することができる。
(1) 資金の貸与を受けた都道府県の区域内で第八の(1)又は(2)に規定する施設において、看護職員の業務に従事しているとき。
(2) 災害、疾病、その他やむを得ない理由があるとき。
第十一 返還の債務の裁量免除
都道府県知事は、修学資金の貸与を受けた者が、次の各号の1に該当するに至ったときは、貸与した修学資金のうち履行期が到来していない部分に係る返還の債務を当該各号に定める範囲内において免除することができる。
(1) 死亡し、又は障害により貸与を受けた修学資金を返還することができなくなったとき。返還の債務の額(履行期が到来していない部分に限る以下同じ。)の全部又は一部。
(2) 第四の(1)から(4)のいずれかの修学資金の貸与を受けた者が、貸与を受けた都道府県の区域内で第八の(1)に規定する施設において修学資金の貸与を受けた期間に相当する期間以上看護職員の業務に従事したとき。当該都道府県の区域内で第八の(1)に規定する施設における業務従事期間を、修学資金の貸与を受けた期間(この期間が2年に満たないときは2年とする。)の2分の5に相当する期間で除して得た数値(この数値が1を超えるときは、1とする。)を返還の債務の額に乗じて得た額。
第十二 延滞利子
都道府県知事は、資金の貸与を受けた者が正当な理由がなくて修学資金を返還しなければならない日までにこれを返還しなかったときは、当該返還すべき日の翌日から返還の日までの期間の日数に応じ、返還すべき額100円につき年14.5%の割合で計算した延滞利子を徴収すべきものとする。
第十三 国の財政措置
国は、毎年度都道府県が修学資金として支出する金額(当該年度の前年度において返還された修学資金の額に相当する金額を除く。)の2分の1を都道府県に補助するものとする。
第十四 その他
1 都道府県は、この制度の会計経理を明確にしなければならないものとする。
2 都道府県は、各年度において、貸与する修学資金の額が当該年度の前年度において返還された修学資金の額に満たないときは、その満たない額の2分の1に相当する金額を国庫に返還するものとする。
3 都道府県は、この事業を廃止したときは、その年度において返還金の2分の1に相当する金額を国庫に返還するとともに、その翌年度以降毎年度その年度の返還金の2分の1に相当する金額を国庫に返還するものとする。
4 平成14年4月1日前に貸与契約をした者については、なお従前の例によるものとする。