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○保健婦助産婦看護婦法の一部改正について
(昭和二六年四月二五日)
(看第五三号)
(各都道府県衛生部長あて厚生省医務局看護課長通達)
保健婦助産婦看護婦法(昭和二三年法律第二○三号)の一部が別紙官報写の通り改正されたから通知する。
なお同法改正の経過及び要点について別紙の通り参考までに供する。
(別紙)
今回保健婦助産婦看護婦法の一部が改正されるに至るまでには、看護制度の今後のあり方について、各方面で熱心に検討が行われていたのであります。則ち厚生省においては医務局内に臨時に看護制度審議会を設け、定期的に審議を重ね、日本助産婦看護婦保健婦協会では法律研究会を新設し、会員の世論調査に基き研究がつづけられました。一方国会においても参衆両院の厚生委員会にそれぞれ看護法小委員会を設け、実態調査等によつて研究をすすめていたのであります。又全国医療従業員組合は日本教職員組合の協力を求めて、本法改正の意見を集め、国会内に事務所を設けて活動する等多種多様なうごきがあつたのであります。そして結局本年三月に至り衆議院より議員提出として提案され関係方面との接渉の後、衆参両院の可決を見たものであります。
改正の要点は左記の通りであります。
記
一 甲種乙種の区別を廃し「看護婦」一本建としたこと。
二 保健婦、助産婦の教育水準は看護婦教育が滲透教育となることにより、それぞれ最低六カ月の純粋な専門教育としたこと。
三 看護婦をたすけ看護の総力を構成する要員として准看護婦の制度を新たに設けたこと。
(一) 准看護婦となるには都道府県知事が与える准看護婦免許を必要とする。
(二) 准看護婦免許を取得するには都道府県知事の施行する准看護婦試験に合格しなければならない。
(三) 准看護婦試験の受験資格は、准看護婦養成所において二年以上教育をうけた者である。
(四) 准看護婦養成所は厚生大臣の定める基準に従い、都道府県知事の指定を受けて設置することができる。
(五) 准看護婦養成所の入所資格は新制中学校卒業以上である。
(六) 准看護婦は医師、歯科医師又は看護婦の指示のもとに看護業務を行うものである。
(七) 准看護婦は、准看護婦の免許を得た後、高等学校の課程を終了(夜学、通信教育も可)したもの又は准看護婦として三年以上業務に従事しているものは指定看護婦学校養成所に於て二年以上教育をうけ、看護婦国家試験をうけることが出来る。
四 乙種看護婦について
(一) 乙種看護婦学校養成所は、昭和二九年三月三一日まで従前通り存続するものとする。(換言すれば二七年四月入学を最後とする)
(二) 乙種看護婦試験は当分のうちこれを行い、これに合格したものは旧看護婦規則による看護婦試験に合格したものとみなすこととしたこと。
即ち乙種看護婦は旧法による業務制限を廃し、旧看護婦規則による看護婦と同等とすること。
五 保健婦規則に基く講習(五カ月)及び試験についてはこれを一年延期し昭和二七年八月三一日まで実施することができることとしたこと。
六 旧看護婦規則により免許を得た看護婦が新法による看護婦免許を得るには次の方法によること。
(一) 看護婦国家試験に合格すること。(従前通り)
(二) 普通教育と看護婦教育及び看護婦実務(免許を得た後)の年数を通算して一三年以上になる者が厚生大臣の定める講習を受けたとき。
七 改正法律は昭和二六年九月一日から施行すること。
(官報写略)