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○臨床工学技士法の施行について

(昭和六三年四月一日)

(健政発第一九八号)

(各都道府県知事あて厚生省健康政策局長通知)

臨床工学技士法が、昭和六二年六月二日法律第六○号をもつて、臨床工学技士法施行令及び臨床工学技士法施行規則が、それぞれ昭和六三年二月二三日政令第二一号及び昭和六三年三月二八日厚生省令第一九号をもつて公布され、昭和六三年四月一日に施行された。

都道府県の経由事務等は原則としてないこととされているが、医療機関関係者や国家試験受験希望者、養成所設立希望者等からの照会が予想されるため、貴都道府県主管課に臨床工学技士の担当を決めるとともに、次の事項に留意の上、適切に対処されたい。

また、指定試験機関や指定講習会主催者に対して協力願いたい。

なお、この通知では、臨床工学技士法を「法」と、臨床工学技士法施行規則を「規則」とそれぞれ略称する。

第一 法制定の趣旨について

近年、医療機器は目覚ましい進歩を遂げ、医療の重要な一翼を担うようになつており、特に、血液浄化装置、人工心肺装置、人工呼吸器等人の呼吸、循環又は代謝の機能を代替又は補助するために使用される生命維持管理装置は、医療の分野に新たな可能性を開くものとして大きな役割を果たしている。

しかし、生命維持管理装置の操作及び保守点検には、単に医学的知識ばかりでなく、工学的知識も必要とし、装置そのものも時代とともにますます高度かつ複雑なものとなつてきている。

この法律制定の趣旨は、このような現状にかんがみ、生命維持管理装置の操作及び保守点検に従事する専門技術者として臨床工学技士の資格を定め、その資質の向上を図るとともにその業務が適正に運用されるよう規律し、もつて医療の普及及び向上に寄与することにあること。

第二 臨床工学技士及び生命維持管理装置の定義について

臨床工学技士とは、厚生大臣の免許を受けて、臨床工学技士の名称を用いて、医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行うことを業とする者をいうものであること。

生命維持管理装置とは、人の呼吸、循環又は代謝の一部を代替し、又は補助する装置をいうものであるが、その例としては、人工呼吸器、高気圧治療装置、人工心肺装置、補助循環装置、体外式ペースメーカー、除細動器、血液浄化装置等があること。

第三 臨床工学技士の免許について

一 臨床工学技士の免許は、臨床工学技士国家試験に合格したものに与えられるものであること。

二 臨床工学技士の免許等の申請の手続きは、規則第一条、第三条、第四条及び規則第六条から規則第九条までの規定によるほか、医師、歯科医師等の免許等の申請手続と同様に扱うこととしていること。

第四 臨床工学技士国家試験について

一 臨床工学技士国家試験(以下「試験」という。)の受験資格は、次の者に与えられるものであること。

(一) 大学入学資格を有する者であつて、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した臨床工学技士養成所(以下「指定施設」という。)において三年以上の教科課程を修了した者(法第一四条第一号)。

(二) 学校教育法に基づく大学(短期大学を含む。)若しくは高等専門学校、旧大学令に基づく大学、防衛医科大学校若しくは職業訓練大学校(短期大学校を含む。)又は看護婦、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士若しくは義肢装具士の学校養成所において二年(高等専門学校にあつては、五年)以上修業し、かつ、厚生大臣の指定する科目を修めた者で、指定施設において一年以上の教科課程を修了した者(法第一四条第二号)。

なお、厚生大臣の指定する科目は、次のとおり(厚生省告示第九七号)であること。

(1) 人文科学のうち二科目

(2) 社会科学のうち二科目

(3) 自然科学のうち二科目

(4) 外国語

(5) 保健体育

(6) 公衆衛生学、解剖学、生理学、病理学、生化学、免疫学、看護学概論、保健技術学、応用数学、医用工学概論、システム工学、情報処理工学、電気工学、電子工学、物性工学、機械工学、材料工学、計測工学、放射線工学概論、臨床医学概論及び内科診断学のうち八科目

(三) 学校教育法に基づく大学(短期大学を含む。)若しくは高等専門学校、旧大学令に基づく大学、高等学校の専攻科、防衛大学校、防衛医科大学校、水産大学校、海上保安大学校、気象大学校若しくは職業訓練大学校(短期大学校を含む。)又は看護婦、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士若しくは義肢装具士の学校養成所において一年(高等専門学校にあつては、四年)以上修業し、かつ、厚生大臣の指定する科目を修めた者で、指定施設において二年以上の教科課程を修了した者(法第一四条第三号)。

なお、厚生大臣の指定する科目は、次のとおり(厚生省告示第九八号)であること。

(1) 人文科学のうち二科目

(2) 社会科学のうち二科目

(3) 自然科学のうち二科目

(4) 外国語

(5) 保健体育

(6) 公衆衛生学、解剖学、生理学、病理学、生化学、免疫学、看護学概論、保健技術学、応用数学、医用工学概論、システム工学、情報処理工学、電気工学、電子工学、物性工学、機械工学、材料工学、計測工学、放射線工学概論、臨床医学概論及び内科診断学のうち四科目

(四) 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)又は旧大学令に基づく大学において厚生大臣が指定する科目を修めて卒業した者(法第一四条第四号)。

なお、厚生大臣の指定する科目は、次のとおり(厚生省告示第九九号)であること。

(1) 公衆衛生学

(2) 医学概論

(3) 解剖学

(4) 生理学

(5) 病理学

(6) 生化学

(7) 薬理学

(8) 免疫学

(9) 看護学概論

(10) 応用数学

(11) 医用工学

(12) 電気工学

(13) 電子工学

(14) 物性工学

(15) 機械工学

(16) 材料工学

(17) 計測工学

(18) 医用機器学概論

(19) 生体機能代行装置学

(20) 医用治療機器学

(21) 生体計測装置学

(22) 医用機器安全管理学

(23) 臨床医学総論

(24) 関係法規

(25) 臨床実習

(五) 臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得させる学校又は養成所であつて文部大臣又は厚生大臣が指定するものにおいて、法施行の際、既にその教科課程を修了している者又はこれを修得中であり、法施行後にその修得を終えた者(法附則第二条)。

(六) 法施行の際現に病院、診療所において、医師の指示の下に適法に生命維持管理装置の操作及び保守点検に関する業務にたずさわつている者であつて、(1)大学入学資格を有する者又は准看護婦(士)であること、(2)厚生大臣の指定する講習会の課程を修了していること及び(3)生命維持管理装置の操作及び保守点検業務に五年以上従事していることという三条件を満たす者。

なお、昭和六三年四月一日に現に業務にたずさわつていることとは、四月一日に医療機関で生命維持管理装置の操作及び保守点検を行う職についていればよく、当日現実に生命維持管理装置を操作したことまでは要求されていないこと。したがつて、たまたま当日に休暇をとつていてもよく、逆に、当日休職となつていた者は含まれないこと。

生命維持管理装置の操作及び保守点検業務に五年以上従事していることとは、医療機関で常時生命維持管理装置の操作及び保守点検を行うべき職についていた期間が五年以上であること。つまり、当該医療機関において生命維持管理装置を使用するときにはその一連の操作を担当すべき者として予定されていた期間をいい、保守点検のみを行つていた期間やたまたま生命維持管理装置の操作を行つたものは含まれないこと。

なお、生命維持管理装置の操作とは、呼吸、循環、代謝の機能の一部を代替又は補助する目的で現に使用しているものの操作であること。例えば、集中治療室における検査や採血室における血液の成分分離を目的として専ら使用する装置の操作は含まれないものであること。

ただし、受験資格は昭和六八年三月三一日までに限り認められるものであること。なお、昭和六三年四月一日までに採用され、所要の要件を満たす者は、六八年の春の受験資格を認められるものであること(法附則第三条)。

(七) 生命維持管理装置の操作及び保守点検に関する外国の学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で臨床工学技士免許に相当する免許を受けた者で、厚生大臣が(一)~(四)の者と同等以上の知識及び技能を有すると認定した者(法第一四条第五号)。

二 試験を施行する期日及び場所並びに受験願書の提出期限については、規則第一一条の規定により、あらかじめ、官報で公告することとされているが、第一回の試験は、昭和六三年秋に予定していること。

三 法附則第三条の規定により、昭和六八年三月三一日までの間、試験を受けることができる者(以下「特例受験者」という。)が受験願書に添えなければならない書類については、規則附則第三項に定めるところであるが、このほか、次によること。

(一) 規則附則第三項第二号に規定する学校教育法第五六条第一項の規定により大学に入学できる者とみなされる者であることを証する書類は、最終学校の卒業証明書等又は准看護婦免許証の写しとすること。

(二) 規則附則第三項第三号に規定する法附則第三条第二号の講習会を修了したことを証する書類は、この講習会の主催者の発行する修了証明書とすること。

(三) 病院又は診療所で医師の指示の下に、適法に生命維持管理装置の操作及び保守点検を五年以上業として行つたことを証する病院又は診療所の管理者の証明書(別記様式による。)

四 一―(七)の受験資格の認定を受けようとする者は、あらかじめ、厚生大臣に次の書類を添え出願するものとすること。

(一) 国家試験受験資格認定申請理由書

(二) 履歴書

(三) 外国人登録済証明書、日本国籍の場合は戸籍謄本又は抄本

(四) 写真(申請前六か月以内に脱帽正面で撮影した6×4cmのもの)

(五) 外国の学校若しくは養成所の卒業証書又は外国の免許証及びその写し(事務局で確認後、原本は返還する)

(六) 外国で卒業した学校又は養成所の教科課程を明らかにした書類及び成績証明書(当該学校又は養成所の長の証明のあるもの)

(七) 外国で卒業した学校又は養成所の施設現況書(当該学校又は養成所の長の証明のあるもの)

(八) 外国で免許を受けた者にあつては、その免許の根拠法令の関係条文(原文のもの及び邦訳したもの)

五 試験の実施に関する事務については、法第一七条に基づき指定試験機関に財団法人医療機器センターを指定して行わせる予定であること。

また、指定試験機関の指定が行われた場合には、受験願書等は、臨床工学技士試験事務規程に基づき指定試験機関に提出することになること。一―(七)により受験しようとする者は、厚生大臣の受験資格の認定書を指定試験機関に提出しなくてはならないこと。

第五 臨床工学技士の業務について

(一) 生命維持管理装置の操作のうち、従来、医師又は看護婦等のみができることとされていた医行為の範疇にわたるものについても、臨床工学技士が診療の補助として行うことができるものとされたこと。

(二) 臨床工学技士は、医師の指示の下に生命維持管理装置の操作を行うものであるが、そのうち、身体への血液、気体又は薬剤の注入、身体からの血液又は気体の抜き取り(採血を含む。)、身体への電気的刺激の負荷に係る操作については、特に医師の具体的な指示の下に行わなければならないものであること。

(三) 臨床工学技士でない者が、臨床工学技士又はこれに紛らわしい名称を使用することは禁止されていること。

別記様式

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