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○義肢装具士法の施行について

(昭和六三年四月一日)

(健政発第一九九号)

(各都道府県知事あて厚生省健康政策局長通知)

義肢装具士法が、昭和六二年六月二日法律第六一号をもつて、義肢装具士法施行令及び義肢装具士法施行規則が、それぞれ昭和六三年二月二三日政令第二三号及び昭和六三年三月二八日厚生省令第二○号をもつて公布され、昭和六三年四月一日より施行された。

都道府県の経由事務等は原則としてないこととされているが、医療機関関係者、国家試験受験希望者、養成所設立希望者等からの照会が予想されるため、貴都道府県主管課に義肢装具士の担当を決めるとともに、次の事項に留意の上、適切に対処されたい。

また、指定試験機関や指定講習会主催者に対して協力願いたい。

なお、この通知では、義肢装具士法を「法」と、義肢装具士法施行規則を「規則」とそれぞれ略称する。

第一 法制定の趣旨について

近年、リハビリテーション医療の分野において、義手、ギプス等の義肢装具を手術直後の患者に装着して早期訓練を行うことにより、円滑な社会復帰を促進することを可能とする、いわゆる超早期リハビリテーションが普及、定着しつつあるが、これに伴い、義肢装具を製作し、身体に適合させる等の業務にたずさわる者が臨床の場において重要な役割を果たすようになつてきている。また、義肢装具は近年ますます高度かつ複雑化し、その製作適合等を行うには高度の専門的技術が必要とされている。この法律制定の趣旨は、このような現状にかんがみ、義肢装具の製作適合等の業務に従事する専門技術者として、義肢装具士の資格を定め、その資質の向上を図るとともにその業務が適正に運用されるよう規律し、もつて医療の普及及び向上に寄与することにあること。

第二 義肢装具士及び義肢、装具の定義

義肢装具士とは、厚生大臣の免許を受けて、義肢装具士の名称を用いて、医師の指示の下に、義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の製作及び身体への適合を行うことを業とする者をいうものであること。

「義肢」とは、上肢又は下肢の全部又は一部に欠損のある者に装着して、その欠損を補てんし、又はその欠損により失われた機能を代替する器具器械をいうものであり、「装具」とは、上肢若しくは下肢の全部若しくは一部又は体幹の機能に障害のある者に装着して、当該機能を回復させ、若しくはその低下を抑制し、又は当該機能を補完する器具器械をいうものであること。

第三 義肢装具士の免許について

一 義肢装具士の免許は、義肢装具士国家試験に合格したものに与えられるものであること。

二 義肢装具士の免許等の申請の手続きは、規則第一条、第三条、第四条及び規則第六条から規則第九条までの規定によるほか、医師、歯科医師等の免許等の申請手続と同様に扱うこととしていること。

第四 義肢装具士国家試験について

一 義肢装具士国家試験(以下「試験」という。)の受験資格は、次の者に与えられるものであること。

(一) 大学入学資格者であつて、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した義肢装具士養成所(以下「指定施設」という。)において三年以上の教科課程を修了した者(法第一四条第一号)

(二) 学校教育法に基づく大学(短期大学を含む。)若しくは高等専門学校、旧大学令に基づく大学、防衛医科大学校若しくは職業訓練大学校(短期大学校を含む。)又は看護婦、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士若しくは保母の学校養成所若しくは高等学校の専攻科(以下「大学等」という。)において一年(高等専門学校にあつては、四年)以上修業し、かつ、厚生大臣の指定する科目を修めた者で、指定施設において二年以上の教科課程を修了した者(法第一四条第二号)

なお、厚生大臣の指定する科目は、次のとおり(厚生省告示第一○○号)であること。

(1) 心理学、倫理学、社会学、人間発達学及び社会福祉学のうち一科目

(2) 数学、物理学、生物学及び数理統計学のうち二科目

(3) 外国語

(4) 保健体育

(三) 職業能力開発促進法に基づく義肢及び装具の製作に係る技能検定の一級合格者(労働大臣が指定する講習会を終了した者として試験の免除を受けた者を除く。)及び同技能検定の二級合格者のうち第四―一―(二)に掲げる大学等又は公共職業訓練施設において六か月(高等専門学校にあつては三年六か月)以上修業し、かつ第四―一―(二)に掲げる厚生大臣の指定する科目を修めた者で、二級合格後、五年以上義肢及び装具の製作の業務経験を有する者で、指定施設において一年以上の教科課程を修了した者(法第一四条第三号)

(四) 義肢装具士として必要な知識及び技能を修得させる学校又は養成所であつて文部大臣又は厚生大臣が指定するものにおいて、法施行の際、既にその教科課程を修了している者又はこれを修得中であり、法施行後にその修得を終えた者(法附則第二条)

(五) 法施行の際現に病院、診療所、身体障害更生相談所又は身体障害者更生施設(以下「病院等」という。)において、医師の指示の下に適法に義肢装具の製作適合等に関する業務にたずさわつている者であつて、①厚生大臣の指定する講習会の課程を終了していること及び②義肢装具の製作適合等の業務に五年以上従事していることという二条件を満たす者

なお、昭和六三年四月一日に現に業務にたずさわつていることとは、四月一日に病院等で義肢装具の製作適合等を行う職についていればよく、当日現実に義肢装具の製作適合等を行つたことまでは要求されていないこと。従つて、たまたま当日に休暇をとつていてもよく、逆に当日休職となつていた者は含まれないこと。

義肢装具の製作適合等に五年以上従事していることとは、病院等で常時義肢装具の製作適合等を行うべき職についていた期間が五年以上であること。つまり、当該病院等において義肢装具の製作適合等を担当すべき者として予定されていた期間をいい、製作のみを行つていた期間やたまたま義肢装具の製作適合等を行つたものは含まれないこと。

ただし、受験資格は昭和六八年三月三一日までに限り認められるものであること。なお、昭和六三年四月一日までに採用され、所要の要件を満たす者は、昭和六八年春の受験資格を認められるものであること(法附則第三条)。

(六) 義肢装具の製作適合等に関する外国の学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で義肢装具士の免許に相当する免許を受けた者で、厚生大臣が(一)、(二)又は(三)の者と同等以上の知識及び技能を有すると認定した者(法第一四条第四号)

二 試験を施行する期日及び場所並びに受験願書の提出期限については、規則第一一条の規定により、あらかじめ、官報で公告することとされているが、第一回の試験は、昭和六三年秋に予定していること。

三 法附則第三条の規定により、昭和六八年三月三一日までの間、試験を受けることができる者(以下「特例受験者」という。)が受験願書に添えなければならない書類については、規則附則第三項に定めるところであるが、このほか、次によること。

(一) 規則附則第三項第二号に規定する法附則第三条第一号の講習会を修了したことを証する書類は、この講習会の主催者の発行する修了証明書とすること。

(二) 病院等で、医師の指示の下に、適法に義肢装具の製作適合等を五年以上業として行つたことを証する病院等の管理者の証明書(別記様式による。)

四 一―(六)の受験資格の認定を受けようとする者は、あらかじめ、厚生大臣に次の書類を添え、出願するものとすること。

(一) 国家試験受験資格認定申請理由書

(二) 履歴書

(三) 外国人登録済証明書、日本国籍の場合は戸籍謄本又は抄本

(四) 写真(申請前六か月以内に脱帽正面で撮影した6×4cmのもの)

(五) 外国の学校若しくは養成所の卒業証書又は外国の免許証及びその写し(事務局で確認後、原本は返還する。)

(六) 外国で卒業した学校又は養成所の教科課程を明らかにした書類及び成績証明書(当該学校又は養成所の長の証明のあるもの)

(七) 外国で卒業した学校又は養成所の施設現況書(当該学校又は養成所の長の証明のあるもの)

(八) 外国で免許を受けた者にあつては、その免許の根拠法令の関係条文(原文のもの及び邦訳したもの)

五 試験の実施に関する事務については、法第一七条に基づき指定試験機関に財団法人テクノエイド協会を指定して行わせる予定であること。

また、指定試験機関の指定が行われた場合は、受験願書等は義肢装具士試験事務規程に基づき指定試験機関に提出することになること。

一―(六)により受験しようとする者は、厚生大臣の受験資格の認定書を指定試験機関に提出しなくてはならないこと。

第五 義肢装具士の業務について

(一) 義肢装具の採型適合等のうち、従来医師又は看護婦等のみができることとされていた医行為の範疇にわたるものについても、義肢装具士が診療の補助として行うことができるものとされたこと。

(二) 義肢装具士は、医師の指示の下に義肢及び装具の製作適合等を行うものであるが、そのうち、手術直後の患部の採型及び当該患部への適合、ギプスで固定されている患部の採型及び当該患部への適合については、特に医師の具体的な指示の下に行わなければならないものであること。

(三) 義肢装具士でない者が、義肢装具士又はこれに紛らわしい名称を使用することは、禁止されていること。

別記様式

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