添付一覧
○言語聴覚士法の施行について
(平成一〇年九月一日)
(健政発九七〇号
(各都道府県知事あて厚生省健康政策局長通知)
言語聴覚士法が、平成九年一二月一九日法律第一三二号をもって、言語聴覚士法の施行期日を定める政令、言語聴覚士法施行令及び言語聴覚士法施行規則が、それぞれ平成一〇年八月二八日政令第二九八号、政令第二九九号及び厚生省令第七四号をもって公布され、平成一〇年九月一日より施行された。
都道府県の経由事務等は原則としてないこととされているが、医療機関関係者、福祉施設関係者、国家試験受験希望者、養成所設立希望者等からの照会が予想されるため、貴都道府県主管課に言語聴覚士の担当を決めるとともに、次の事項に留意の上、適切に対処されたい。
また、指定試験機関や指定講習会主催者に対して協力願いたい。
なお、この通知では、言語聴覚士法を「法」と、言語聴覚士法施行規則を「規則」とそれぞれ略称する。
記
第一 法制定の趣旨について
脳卒中等による言語機能障害や先天的難聴等の聴覚障害を有する者等に対するリハビリテーションについては、近年の人口の高齢化、疾病構造の変化等に伴い、その必要性、重要性が高まってきている。
これらのリハビリテーションの推進を図るためには、その従事者の確保及び資質の向上が喫緊の課題となっている。
この法律制定の趣旨は、このような現状を踏まえ、音声機能、言語機能及び聴覚に関するリハビリテーションを行う専門職として言語聴覚士の資格を定め、その資質の向上を図るとともにその業務が適正に運用されるよう規律し、もって医療の普及及び向上に寄与することにあること。
第二 言語聴覚士の定義について
言語聴覚士とは、厚生大臣の免許を受けて、言語聴覚士の名称を用いて、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者をいうものとすること。
第三 言語聴覚士の免許について
一 言語聴覚士の免許は、言語聴覚士国家試験に合格した者に与えられるものであること。
二 言語聴覚士の免許の申請等の手続は、規則第一条、第三条から第九条までの規定によるほか、医師免許の申請手続等と同様に扱うこととしていること。
三 言語聴覚士の登録の実施等に関する事務については、法第一二条に基づき指定登録機関を指定して行わせる予定であり、また、指定登録機関の指定が行われた場合には、免許の申請等は法第二六条の規定に基づき指定登録機関に提出することになること。
なお、指定登録機関の指定については、別途告示するものであること。
第四 言語聴覚士国家試験について
一 言語聴覚士国家試験(以下「試験」という。)の受験資格は、次の者に与えられるものであること。
(一) 大学入学資格を有する者又は規則第一三条に定める者であって、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した言語聴覚士養成所(以下「指定施設」という。)において三年以上の教科課程を修了したもの(法第三三条第一号)
(二) 学校教育法に基づく大学(短期大学を含む。)若しくは高等専門学校、旧大学令に基づく大学又は規則第一四条に定める学校、文教研修施設若しくは養成所において二年(高等専門学校にあっては、五年)以上修業し、かつ、厚生大臣の指定する科目を修めた者で、指定施設において一年以上の教科課程を修了したもの(法第三三条第二号)
なお、厚生大臣の指定する科目は、次のとおり(平成一〇年厚生省告示第二二五号)であること。
ア 人文科学のうち二科目
イ 社会科学のうち二科目
ウ 自然科学のうち二科目(統計学を含む。)
エ 外国語
オ 保健体育
カ 基礎医学(医学総論、解剖学、生理学及び病理学を含む。)、臨床医学(内科学、小児科学、精神医学、リハビリテーション医学、耳鼻咽喉科学、臨床神経学及び形成外科学を含む。)、臨床歯科医学(口腔外科学を含む。)、音声・言語・聴覚医学(神経系の構造、機能及び病態を含む。)、臨床心理学、生涯発達心理学、学習・認知心理学(心理測定法を含む。)、言語学、音声学、言語発達学、音響学(聴覚心理学を含む。)、社会福祉・教育(社会保障制度、リハビリテーション概論及び関係法規を含む。)、言語聴覚障害学総論(言語聴覚障害診断学を含む。)、失語・高次脳機能障害学、言語発達障害学(脳性麻痺及び学習障害を含む。)、発声発語・嚥下障害学(音声障害、構音障害及び吃音を含む。)及び聴覚障害学(小児聴覚障害、成人聴覚障害、聴力検査並びに補聴器及び人工内耳を含む。)のうち八科目
(三) 学校教育法に基づく大学(短期大学を含む。)若しくは高等専門学校、旧大学令に基づく大学又は規則第一五条に定める学校、文教研修施設若しくは養成所において一年(高等専門学校にあっては、四年)以上修業し、かつ、厚生大臣の指定する科目を修めた者で、指定施設において二年以上の教科課程を修了したもの(法第三三条第三号)
なお、厚生大臣の指定する科目は、次のとおり(平成一〇年厚生省告示第二二六号)であること。
ア 人文科学のうち二科目
イ 社会科学のうち二科目
ウ 自然科学のうち二科目(統計学を含む。)
エ 外国語
オ 保健体育
カ 基礎医学(医学総論、解剖学、生理学及び病理学を含む。)、臨床医学(内科学、小児科学、精神医学、リハビリテーション医学、耳鼻咽喉科学、臨床神経学及び形成外科学を含む。)、臨床歯科医学(口腔外科学を含む。)、音声・言語・聴覚医学(神経系の構造、機能及び病態を含む。)、臨床心理学、生涯発達心理学、学習・認知心理学(心理測定法を含む。)、言語学、音声学、言語発達学、音響学(聴覚心理学を含む。)、社会福祉・教育(社会保障制度、リハビリテーション概論及び関係法規を含む。)のうち四科目
(四) 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)若しくは旧大学令に基づく大学において厚生大臣の指定する科目を修めて卒業した者又は規則第一六条に定める者(法第三三条第四号)
なお、厚生大臣の指定する科目は、次のとおり(平成一〇年厚生省告示第二二七号)であること。
ア 基礎医学(医学総論、解剖学、生理学及び病理学を含む。)
イ 臨床医学(内科学、小児科学、精神医学、リハビリテーション医学、耳鼻咽喉科学、臨床神経学及び形成外科学を含む。)
ウ 臨床歯科医学(口腔外科学を含む。)
エ 音声・言語・聴覚医学(神経系の構造、機能及び病態を含む。)
オ 臨床心理学
カ 生涯発達心理学
キ 学習・認知心理学(心理測定法を含む。)
ク 言語学
ケ 音声学
コ 言語発達学
サ 音響学(聴覚心理学を含む。)
シ 社会福祉・教育(社会保障制度、リハビリテーション概論及び関係法規を含む。)
ス 言語聴覚障害学総論(言語聴覚障害診断学を含む。)
セ 失語・高次脳機能障害学
ソ 言語発達障害学(脳性麻痺及び学習障害を含む。)
タ 発生発語・嚥下障害学(音声障害、構音障害及び吃音を含む。)
チ 聴覚障害学(小児聴覚障害、成人聴覚障害、聴力検査並びに補聴器及び人工内耳を含む。)
ツ 臨床実習
(五) 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)若しくは旧大学令に基づく大学を卒業した者又は規則第一七条に定める者で、指定施設において二年以上の教科課程を修了したもの(法第三三条第五号)
(六) 言語聴覚士として必要な知識及び技能を修得させる学校又は養成所であって文部大臣又は厚生大臣が指定するものにおいて、法施行の際、既にその教科課程を修了している者又はこれを修得中であり、法施行後にその修得を終えた者(法附則第二条)
(七) 法施行の際現に病院、診療所又は規則附則第四項で定める施設(以下「病院等」という。)において適法に法第二条に規定する業務に携わっている者又は規則附則第五項で定める者であって、①厚生大臣の指定する講習会の課程を修了していること及び②法第二条に規定する業務を五年以上業として行っていることという二条件を満たすもの(法附則第三条)
なお、法施行の際現に法第二条に規定する業務に携わっていることとは、平成一〇年九月一日に病院等で音声機能、言語機能又は聴覚に関するリハビリテーション業務を行う職に就いていればよく、当日現実に業務を行ったことまでは要求されていないこと。
法第二条に規定する業務を五年以上業として行っていることとは、病院等で音声機能、言語機能又は聴覚に関するリハビリテーション業務についていた期間が五年以上であり、かつ、業務に従事していた時間が三、〇〇〇時間以上であること。したがって、聴力検査のみを行っていた期間や補聴器の調整のみを行っていた期間は上記の期間には含まれないこと。
なお、当該受験資格は平成一五年三月三一日までに限り認められるものであること。また、平成一〇年四月一日までに採用され、所要の要件を満たす者は、平成一五年春に行われる試験の受験資格を認められるものであること。
(八) 外国の法第二条に規定する業務に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で言語聴覚士に係る厚生大臣の免許に相当する免許を受けた者で、厚生大臣が(一)~(五)の者と同等以上の知識及び技能を有すると認定したもの(法第三三条第六号)
二 試験を施行する期日及び場所並びに受験願書の提出期限については、規則第一一条の規定により、あらかじめ、官報で公告することとされているが、第一回の試験は、平成一一年春に予定していること。
三 法附則第三条の規定により、平成一五年三月三一日までの間、試験を受けることができる者が受験願書に添えなければならない書類については、規則附則第三項に定めるところであるが、このほか次によること。
(一) 規則附則第三項第二号に規定する法附則第三条第一号の講習会を修了したことを証する書類(当該講習会の主催者の発行する修了証明書)
(二) 病院等で適法に法第二条に規定する業務を五年以上業として行ったこと等を証する施設長の証明書(別記様式による。)
(三) 規則附則第四項第七号に該当する場合には、当該施設の概要を示す書類
四 一―(八)の受験資格の認定を受けようとする者は、あらかじめ、厚生大臣に次の書類を添え、出願するものとすること。
(一) 国家試験受験資格認定申請理由書
(二) 履歴書
(三) 外国人登録済証明書、日本国籍を有する者の場合は戸籍謄本又は抄本
(四) 写真(申請前六か月以内に脱帽正面で撮影した六×四cmのもの)
(五) 外国の学校若しくは養成所の卒業証書又は外国の免許証及びその写し(事務局で確認後、原本は返還する。)
(六) 外国で卒業した学校又は養成所の教科課程を明らかにした書類及び成績証明書(当該学校又は養成所の長の証明のあるもの)
(七) 外国で卒業した学校又は養成所の施設現況書(当該学校又は養成所の長の証明のあるもの)
(八) 外国で免許を受けた者にあっては、その免許の根拠法令の関係条文(原文のもの及び邦訳したもの)
五 試験の実施に関する事務については、法第三六条に基づき指定試験機関を指定して行わせる予定であり、指定試験機関の指定が行われた場合には、受験願書等は、法第四〇条において準用する法第二六条の規定に基づき、指定試験機関に提出することになること。また、一―(八)により試験を受験しようとする者は、厚生大臣の受験資格の認定書を指定試験機関に提出しなくてはならないこと。
なお、指定試験機関の指定については、別途告示するものであること。
第五 言語聴覚士の業務について
一 言語聴覚士は、従来医師又は看護婦等のみができることとされていた嚥下訓練、人工内耳の調整及び規則第二二条で定める行為について、医師又は歯科医師の指示の下に診療の補助として行うことができることとされたこと。
なお、検査行為には、検査結果に基づく診断行為は含まれないものであり、診断は医師が行うべきものであること。
また、規則第二二条第一号イからニまでに掲げる定性的な聴力検査は、診療の補助行為とはされていないが、主治の医師の指導を受けなければならないこと。
二 言語聴覚士でない者が、言語聴覚士又はこれに紛らわしい名称を使用することは、禁止されていること。
別記様式