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○救急救命士養成所の臨床実習施設における実習要領及び救急救命士に指示を与える医師の確保について

(平成四年一一月二七日)

(指第八一号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省健康政策局指導課長通知)

救急救命士養成所に対する指導等については、「救急救命士養成所の指導要領について」(平成三年八月一五日付健政発第四九七号厚生省健康政策局長通知)等に基づいて行われてきたところであるが、今般、別紙の「臨床実習施設における実習要領」を策定するとともに、選定している臨床実習施設について別紙様式により報告を求めることとしたので、救急救命士養成所等に対してご指導方よろしくお願いする。なお、当職からも救急救命士養成所あて通知することとしている。

また、救急救命士が業務を遂行するに当たっては、医師の指示が必要不可欠であるので、医療機関、消防機関等と十分に連絡をとり、救急救命士の配置状況及び地域の救急医療体制の整備状況に合わせて、救急救命士に指示を与える医師が確保できるよう併せてお願いしたい。

別紙

臨床実習施設における実習要領

1 施設について

原則として次の条件を満たす施設とすること。

なお、これらの施設以外の施設であって、これらの施設に準ずる施設を臨床実習施設とする場合にあっては厚生省健康政策局指導課まで協議すること。

(1) 二次又は三次救急医療を担うものとして都道府県により位置付けられた医療機関であること。

(2) 病床数は二〇〇以上であること。

(3) 二年以上大学の医学部若しくは大学附置の研究所の附属施設の病院又は臨床研修指定病院であること。

(4) 内科、循環器科、小児科、外科、脳神経外科、整形外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、麻酔科等を有すること。

(5) 救急部門が独立していること。

(6) 救急入院患者が年間概ね三〇〇人以上であること。

(7) ICU、CCU等の集中治療室を有すること。

(8) 除細動器、酸素吸入装置、人工呼吸器、血管連続撮影装置、大動脈バルーンパンピング装置、血液浄化装置(血液透析装置、持続的血液濾過透析装置等)その他救急医療に必要と判断される医療機器が整備されていること。

(9) 救急医療を担当する常勤の医師を複数有しており、うち少なくとも一名は救急部門の専従であること。

(10) 実習担当管理責任者(病院長又は救急部門の管理者等)を定めていること。

(11) その他、臨床実習施設としてふさわしいこと。

2 実習指導医について

(1) 救急医療に五年以上従事していること。

(2) 実習指導医の数は、学生一〇名当たり一名以上であること。

(3) 救急医療に関する学会や生涯教育に参加していること。

3 実習の内容

(1) 実習時間

救急救命士法第三四条第四号の厚生省令で定める救急救命士養成所にあっては、八〇時間以上とし、その他の養成所にあっては、一六〇時間以上であること。

(2) 内容

救急医療に関連した知識の応用と、救急救命処置に係わる技能の習得を主体とすること。さらに、医療現場の見学と医行為の介助等を通じて、診療の補助に対する理解を深めること。

実習の内容は概ね次の通りとし、検査や手技に係わる細目及び標準目標数を別表1及び別表2に示す。

(ア) 心肺機能停止患者に対する観察及び救命処置を理解すること。

(イ) 骨折、心筋梗塞、脳血管障害、出血、異物等に対する観察及び救急処置を理解すること。

(ウ) 心電図、パルスオキシメーター値、血圧測定法、心音・呼吸音聴取等諸検査について理解すること。

(エ) 救急患者に対する手術を見学すること。

(オ) 医師、看護婦等医療従事者の業務及びその連携について理解すること。

(カ) 症例検討会に参加すること。

(キ) 救急患者及びその家族に対する接遇について理解すること。

(ク) インフォームド・コンセントの重要性を理解すること。

(ケ) その他、救急救命士として必要な事項を理解すること。

(3) 評価

(ア) 実習生は経験した症例ごとに、実施された救急処置の要点を整理し、実習指導医に提出すること。

(イ) 実習生は、提出された前記の報告に基づき、総合的な評価を実習担当管理責任者より受けること。

4 報告について

臨床実習施設を選定し、又は変更した場合は、厚生省健康政策局に速やかに報告すること。

5 契約について

(1) 実習生を受け入れてもらう場合は、契約書を交わすこと。

(2) 謝金、諸経費について明記すること。

(3) 生徒数は実習内容が十分保証される範囲内とすること。

6 その他

臨床実習施設は養成所の近隣にあることが望ましいが、止むをえない場合は、臨床実習施設の実習指導医との連携を特に密にして実習内容が十分把握できるようにすること。

(別表1)

臨床実習施設における実習の細目

A:指導者の指導・監督のもとに、実施が許容されるもの

B:指導者が介助する場合、実施が許容されるもの

C:指導者の指導・監督のもとに、医行為を行う者を介助するもの

D:見学にとどめるもの

 

実習細目

実習水準

1

バイタルサインの観察(血圧、脈拍、呼吸数など)

A

2

身体所見の観察(視診、触診、聴診など)

A

3

モニターの装着(心電図、パルスオキシメータなど)

A

4

酸素投与

A

5

バッグマスクによる人工呼吸

A

6

経口・経鼻エアウェイによる気道確保

A

7

気管内挿管

C

8

食道閉鎖式エアウェイ、ラリンゲアルマスクによる気道確保

B

9

気道内吸引

B

10

喉頭鏡の使用

A

11

人工呼吸器の使用

D

12

胸骨圧迫

A

13

開胸心マッサージ

D

14

末梢静脈路確保と輸液

A

15

点滴ラインの準備

A

16

中心静脈確保

D

17

血糖測定

A

18

輸血

C

19

除細動

B

20

エピネフリンの使用

A

21

ブドウ糖溶液の使用

A

22

薬剤(エピネフリンとブドウ糖溶液以外)の使用

D

23

循環補助(ペースメーカー、IABP)

D

24

創傷の処置

C

25

骨折の処置

C

26

胃チューブ挿入

C

27

胸腔ドレナージ

D

28

ナーシング・ケア(清拭、体位変換など)

A

29

精神科領域の処置

A

30

小児科領域の処置

A

31

産婦人科領域の処置

B

(別表2)

臨床実習項目別の標準経験目標数

 

実習項目

標準目標数(回)

実施するもの

バイタルサインの観察(血圧、脈拍、呼吸数など)

15

身体所見の観察(視診、触診、聴診など)

15

モニターの装着(心電図、パルスオキシメータなど)

15

酸素投与

10

バッグマスクによる人工呼吸

3

経口・経鼻エアウェイによる気道確保

3

食道閉鎖式エアウェイ、ラリンゲアルマスクによる気道確保

3

気道内吸引

10

喉頭鏡の使用

3

胸骨圧迫

3

末梢静脈路確保と輸液

10

点滴ラインの準備

10

エピネフリンの使用

10

ブドウ糖溶液の使用

3

血糖測定

5

除細動

10

ナーシング・ケア(清拭、体位変換など)

10

精神科領域の処置

3

小児科領域の処置

3

産婦人科領域の処置

3

介助に留めるもの

気管内挿管

3

輸血

3

創傷の処置

3

骨折の処置

3

胃チューブ挿入

3

<備考>

・標準目標数の欄は臨床実習施設における実習細目の実習水準A~Cのもの(Dを除く。)について標準目標数を示したもの。

・実習期間中の経験数が標準目標数に満たない場合は、救急救命士の資格取得後、勤務先において行われる就業前の病院内実習等の機会等を通じて、養成課程中の病院内実習における経験数と合わせてこれを満たすよう努めること。

(別紙様式)