添付一覧
○救急救命士養成所の指導要領について
(平成3年8月15日)
(健政発第497号)
(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)
(公印省略)
救急救命士法(平成三年法律第三六号)第三十四条第一号、第二号及び第四号の学校又は救急救命士養成所の指定については、救急救命士学校養成所指定規則(平成三年文部省・厚生省令第二号)及び別紙「救急救命士養成所指導要領」に基づいて運用することとしているので、今後救急救命士養成所として都道府県知事の指定を受けようとする者等に対してご指導方よろしくお願いする。
別紙
救急救命士養成所指導要領
1 一般的事項
(1) 救急救命士学校養成所指定規則(以下「指定規則」という。)第二条第一項の規定の申請書は、遅くとも授業を開始しようとする日の六か月前までに都道府県知事に提出すること。
(2) 指定規則第三条第一項の変更の承認申請書は、遅くとも変更を行おうとする日の三か月前までに都道府県知事に提出すること。
(3) 養成所の設置者は、法人であること。
(4) 敷地、校舎の位置及び環境が、教育上適切であること。
2 学生に関する事項
(1) 学則に定められた学生の定員を守ること。
(2) 入学資格の審査は、法令の定めるところに従い適正に行うこと。
(3) 入学の選考は、適正に行うこと。
(4) 学生の出欠状況を確実に把握し、出席状況の不良な者(例えば欠席日数が当該学年の出席すべき日数の三分の一を超える者)については、進級又は卒業を認めないこと。
(5) 入学、進級、卒業、成績、出席状況等学生に関する記録が確実に保存されていること。
(6) 健康診断の実施、疾病の予防措置等学生の保健衛生に必要な措置を講ずること。
3 教員に関する事項
(1) 専任教員の数は、定員又は学級数に応じて増加すること。
(2) 実習には、必要に応じ、教員に加えて適正な数の実習指導員又は実習助手を配置すること。
(3) 専任教員の一人一週間当たりの担当授業時間数は過重にならないよう一五時間を標準とすること。
(4) 各教育内容を教授するのに適当な数の教員を有し、かつ、そのうち、三人以上(法第三十四条第二号及び第四号の学校又は養成所にあっては二人以上)は、医師、救急救命士又はこれと同等以上の学識経験を有する専任教員であること。
ただし、医師、救急救命士又はこれと同等以上の学識経験を有する専任教員の数は、当該学校又は養成所が設置された年度にあっては二人とすることができること。
(5) 専任教員のうち、少なくとも一人は、救急救命処置に関し相当の経験を有する医師又は免許を受けた後五年以上業務に従事した救急救命士であること。
4 授業に関する事項
(1) 指定規則別表第一、別表第二及び別表第三に定める各教育内容は、別表1に掲げる事項を修得させることを目的とした内容とすること。臨地実習にはシミュレーション、臨床実習及び救急用自動車同乗実習を含むこと。
(2) 授業の方法は対面授業によるものとすること。
(3) 単位の計算方法については、一単位の授業時間数を四五時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準とし、授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、一単位の授業時間数は、講義及び演習については一五時間から三〇時間、実験、実習及び実技については三〇時間から四五時間の範囲で定めること。
なお、時間数は実際に講義、実習等が行われる時間をもって計算すること。
(4) 臨地実習については、一単位を四五時間の実習をもって計算すること。
(5) 単位を認定するに当たっては、講義、実習等を必要な時間以上受けているとともに、当該科目の内容を修得していることを確認すること。
また、指定規則別表第一、別表第二及び別表第三の備考二に定める大学、高等専門学校、養成所等に在学していた者に係る単位については、本人からの申請に基づき、個々の既修の学習内容を評価し、養成所における教育内容に該当するものと認められる場合には、当該養成所における履修に替えることができること。
(6) 合併授業又は合同授業は原則として行わないこと。
5 施設設備に関する事項
(1) 同時に授業を行う学級の数を下らない専用の普通教室を有することとし、各学級の専用教室の広さは、学生の定員一人当たり一・六五平方メートル以上であること。
(2) 臨地実習用として次のものを有すること。
(ア) 臨地実習室
(イ) 患者輸送用自動車
(ウ) ロッカールーム又は更衣室
(3) 実習室の広さは、一学級定員の一人当たり三・三一平方メートル以上とし、かつ、適正に実習を行うことができる設備機能を有すること。
(4) 患者輸送用自動車は患者搬送及び救急救命処置の臨地実習が適正に行うことができるような設備機能を有すること。
(5) 教育上必要な機械器具、標本及び模型は、別表2を標準として整備すること。
(6) 図書室に有すべき教育上必要な専門図書は、一〇〇〇冊(ただし、救急救命士法第三十四条第二号又は第四号の養成所にあっては、五〇〇冊)以上、学術雑誌(外国雑誌を含む。)は二〇種類以上を備えていること。
6 臨地実習施設に関する事項
(1) 指定規則第四条第一項第十号の実習指導者は、医師又は免許を受けた後五年以上業務に従事した救急救命士とすること。
(2) 臨地実習施設における実習指導者の数は、学生一〇人当たり一人以上とすること。
(3) 臨地実習施設には別表3に掲げる機械器具を備えていること。
7 その他
(1) 入学料、授業料及び実習費等は適当な額であり、学生又は父兄から寄附金その他の名目で不当な金額を徴収しないこと。
(2) 指定規則第五条の報告は、確実かつ遅滞なく行うこと。
別表1
教育内容と教育目標
教育内容 |
単位数 |
教育目標 |
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指定規則 |
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別表第1 |
別表第2 |
別表第3 |
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基礎分野 |
科学的思考の基盤 |
8 |
― |
― |
医療従事者として必要な科学的思考及び教養を身につける。生命に関わる科学の基礎を理解し、疫学的な考察力を培うとともに情報化社会に対応できる知識を習得する。 |
人間と人間生活 |
人間性を磨き、自由で客観的な判断力を培い、主体的な行動力を身につける。 |
||||
(小計) |
8 |
― |
― |
||
専門基礎分野 |
人体の構造と機能 |
4 |
4 |
3 |
人体の構造と機能及び心身の発達に関する知識を系統的に習得する。 |
疾患の成り立ちと回復の過程 |
4 |
4 |
2 |
疾病及び障害に関する知識を系統的に習得する。 |
|
健康と社会保障 |
2 |
2 |
1 |
公衆衛生の基本的考え方を理解し、国民の健康及び地域・環境保健、医療及び福祉についての知識を習得する。 |
|
(小計) |
10 |
10 |
6 |
||
専門分野 |
救急医学概論 |
6 |
6 |
4 |
生命倫理と医の倫理(インフォームドコンセントを含む)の基本的な考え方を理解する。 地域における救急救命士の役割及びメディカルコントロール体制について理解する。救急現場、搬送過程における救急医療及び災害医療についての知識を系統的に習得する。また、救急救命処置に係る適応や合併症、医療事故対策について理解する。使用できる薬剤の効果や副作用について理解する。 |
救急症候・病態生理学 |
8 |
8 |
6 |
救急症候・病態生理について理解し、症候・病態ごとに観察、評価、鑑別、処置及び搬送法に関する知識を系統的に習得する。 |
|
疾病救急医学 |
8 |
8 |
5 |
各種疾患(小児、高齢者、妊産婦等を含む)の発症機序、病態、症状、所見、及び予後等について理解し、観察、評価、鑑別、処置及び搬送法に関する知識を系統的に習得する。 |
|
外傷救急医学 |
4 |
4 |
2 |
外傷の受傷機転、発生機序、病態、症状、所見及び予後等について理解し、観察、評価、鑑別、処置及び搬送法に関する知識を系統的に習得する。 |
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環境障害・急性中毒学 |
1 |
1 |
1 |
環境因子、中毒物質、放射線等による障害の発生機序、病態、症状、所見及び予後等について理解し、観察、評価、鑑別、処置及び搬送法に関する知識を系統的に習得する。 |
|
臨地実習 |
25 |
25 |
9 |
修得した知識、技術を病院前救護において的確かつ安全に応用できる実践能力を身につけ、メディカルコントロールの重要性を確認し、傷病者に対する適切な接遇を習得し、医師の指示の下で病院前救急医療を担う医療従事者としての自覚と責任感を養う。 |
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(小計) |
52 |
52 |
27 |
||
合計 |
70 |
62 |
33 |
別表2
教育上必要な機械器具、標本、模型
1 機械器具
(1) 基礎医学科目用
解剖学教育用機材、生理学教育用機材、病理学教育用機材
(2) 臨床医学科目用
気道確保実習モデル人形、自動式除細動器、心電計、血圧計、パルスオキシメーター、輸液セット、ラリンゲアルマスク、食道閉鎖式エアウェイ、気管内チューブ、ショックパンツ、自己検査用グルコース測定器、その他
(3) 患者輸送用自動車用(兼用も可)
自動車搭載用ストレッチャー、担架、患者監視装置(心電図、血圧、呼吸のモニターが可能なもの)、人工呼吸器一式(酸素吸入を含む。)、自動式除細動器、輸液セット、その他
2 標本及び模型
組織標本、人体解剖模型、人体内臓模型、人体骨格模型、呼吸器模型、血液循環系模型、心臓解剖模型、脳及び神経系模型、その他
3 視聴覚器材等
プロジェクター(スライド、OHP、ビデオ方式含む)、視聴覚教材
別表3
除細動器、酸素吸入装置、人工呼吸器、その他