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○看護職員需給計画について

(昭和六三年七月二一日)

(健政発第四二六号)

(各都道府県知事あて厚生省健康政策局長通知)

近年の著しい医学・医術の進歩、高齢化社会に向けての在宅医療を始めとする国民の医療ニーズの多様化等我が国の医療環境は大きく変動しつつある。そのような状況の中で、看護行政についても、地域の医療需要の変化に伴う医療供給体制の多様化、医療計画の策定等により、まさに大きな転換期を迎えている。

従来の厚生省の看護職員の需給対策は、看護婦の絶対数の確保を目的として、これまで二次にわたる全国レベルの需給計画を策定しその確保を図つてきたところであり、現在、一応その計画数値の水準には達成したところである。しかし、未だに地域において看護婦の不足を訴えるところが少なくない。これは、各地域の労働条件の不均一、新しい需要への対応能力の不足、看護職員の質的アンバランスや地域的な偏在等看護婦の絶対数を十分活かし切れていないことにより、各地域の需給バランスが必ずしもとれていないこと等に起因するものであり、従来の全国レベルでの絶対数の確保を目的とした需給対策では対応出来なくなつてきたことを示すものと考える。

今後は、全国レベルにおける絶対数の確保を目的とした需給計画に基づく政策から、地域住民のニーズに十分に応える医療を行うため質の向上を図り地域の医療状況を十分に踏まえて需給状況を考える総合的なものとしていく必要がある。このため、厚生省では、今回の新しい需給見通しの策定を始め、訪問看護需要に対応するための訪問看護モデル事業の実施と訪問看護婦の養成、資質の向上のためのカリキュラムの改正等総合的な施策を行おうとしているところである。

看護職員を始めとするマンパワーの確保等地域住民のニーズに十分に応える医療供給体制を整備することは、医療計画の基本理念にもあるように、地域医療行政を預かる各都道府県の責務でもある。今回策定をお願いする需給計画はそのための基盤整備の一環をなすものであるので、実効性ある計画を策定されるようお願いするとともに、今後は、その需給計画に基づき、地域住民のニーズに十分に応える看護行政を総合的に行つて頂くようお願いする。

なお、需給計画の策定に当たつては、別紙の基本的考え方に十分留意されるよう念のため申し添える。

一 提出期限 昭和六三年八月三一日

二 様  式 別添様式

別紙

策定に当たつての基本的考え方

基本的考え方

(一) 基本的事項

① 計画の策定期間は、昭和六三年から昭和六八年までの五か年間とすること。

② 計画は、二年毎に見直すものとし、見直し前であつても著しい変化があつた時は、随時修正するものとすること。

③ 計画の目標水準は、都道府県における看護職員の需給の実情を踏まえ十分な検討の上で決定すべきものであるが、現有及び将来の養成力に即した妥当なものでなければならないこと。

④ 計画は、医療計画を始め、看護職員を必要とする他の計画と整合性を有することが必要であること。

⑤ 計画は、夜勤体制の充実、夜勤条件の改善等の諸要素を考慮する必要があること。

⑥ 計画の策定に当たつては、あらかじめ関係団体等の意見を十分聞くことが望ましいこと。

(二) 計画策定時の考慮すべき要素

① 需要

次の分野別の必要数

*病院

*診療所

*看護婦等学校・養成所

*老人保健施設・社会福祉施設

*保健所・市町村

*助産所

*その他

② 供給

次の要素別の就業者数

*年当初就業者数

*退職者数

*新卒就業者数

*その他就業者数

(三) 必要数について

① 病院

病院における看護職員の需要要因は、病院の新設をはじめ既存の病院においても種々多岐にわたつて存在する。したがつて、病院の種別、病床規模、勤務条件、診療機能、組織など多角的視点から要因を分類し、それぞれの現状を十分に把握のうえ目標水準を設定し必要数を検討すること。

なお、病院における必要数を考えるうえの視点に関し、参考例を別表で示す。

② 診療所

有床・無床別に現状及び今後の動向を踏まえて必要数を検討すること。

③ 看護婦等学校・養成所

学校・養成所の現状及び新設計画等を踏まえて必要数を検討すること。

④ 老人保健施設・社会福祉施設

今後の整備目標を十分踏まえて、必要数を検討すること。

⑤ 保健所・市町村

保健所保健婦及び市町村保健婦について、現状及び今後の増員計画を踏まえて必要数を検討すること。

⑥ 助産所

助産所に就業する助産婦について、現状及び今後の動向を踏まえて必要数を検討すること。

⑦ その他

前記①~⑥以外の分野における看護職員の必要数について検討すること。

(四) 就業者数について

① 退職者数

退職者数等の推計に当たつては、過去の実績等を踏まえること。

② 新卒就業者数

現在の入学状況及び養成所の新設、新卒者の域外流出等を考慮すること。

別表

(参考)病院における必要数を考えるうえの視点

区分

留意点等

病床の種別等

・一般、精神、結核、らいの別

勤務条件

・勤務形態(三交替制、二交替制、その他)の別

・夜勤看護体制の別

・労働時間の短縮、週休二日制の普及の動向

・休暇(産前

・産後休業、生理休暇、年次休暇、育児休業等)の動向

診療機能

・外来部門、手術部門、中央材料室部門、ICU等特殊診療部門等

組織関係

・看護部長、総看護婦長、看護婦長等

その他

・基準看護の類別構成等

様式 略