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○精神病院建築基準の改正について

(昭和四四年六月二三日)

(衛発第四三一号)

(各都道府県知事あて厚生省公衆衛生局長通知)

精神病院の建築基準については、昭和二九年発衛第二九五号「精神病院建築基準について」により指導されているところであるが、最近の精神医学ならびに建築技術の実情に合致させるため、中央精神衛生審議会において検討のうえ、その議をへて、今般別紙のとおり「精神病院建築基準」を改めることとした。

改正の要点は次のとおりである。

1 精神病院の規模について、従来は病床数四○○床程度を標準としていたのを二○○床ないし三○○床を標準とすることとしたこと。

2 患者の居室については、長期在院という実情にかんがみ、出来る限り家庭的雰囲気を持たせ、また開放的にするよう配慮したこと。

3 保護室については、暖房装置のほか冷房装置をもうけるようにしたこと。

4 基準の構成については、全般的に検討を加え、整理統合し、理解しやすいものとしたこと。

この「精神病院建築基準」は、医療法および、建築基準法等に基づく基準のように拘束力を有するものではないが、精神病院の設置および整備にあたつては、なるべく本基準によるよう指導されたい。

なお、本通知に伴ない、昭和二九年発衛第二九五号「精神病院建築基準」は廃止する。

〔別紙〕

精神病院建築基準

第一 まえがき

精神病院建築基準は、昭和二九年に定められたものであるが、その後の精神医学ならびに建築技術の進歩に伴い、必ずしも現状に適応しなくなつたので、今般、本改正基準を作成したものである。この基準はさらに今後も改善すべき点があれば修正して実情に即したものとしなければならないと考える。

この基準は、精神病院を建築する場合の望ましい基準を示すものであつて、最低基準のような性格をもつものではない。また、この基準は、一応二○○床ないし三○○床程度の病院を想定して作成したので、実際に病院を建設するにあたつては、病院の規模に応じてそれぞれその内容を適宜変更することは差し支えない。

建築にあたつては、本建築基準によるもののほか、医療法、建築基準法及び消防法等の法令に準拠して実施されなければならないことはいうまでもない。

第二 基本事項

1 精神病院においては、建築自体の医療に及ぼす影響が殊に大きいから、その企画設計は、病院長、精神病院管理に経験のある者、精神科担当医師等と建築家との密接な連絡の下に行なわれなければならない。また医療看護の都合のみでなく、患者の入院生活の立場が十分に尊重されなければならない。

2 敷地

(1) 敷地の選定にあたつては、できるだけ社会とのつながりを保てるような土地を選定すること。

(2) 選定する土地は、病院を建設するにふさわしい環境であることはいうまでもないが、特に交通機関が便利で水利がよく、かつ、排水の処理が可能な場所を選ぶこと。

(3) 敷地の面積は、病院の特徴、地域的条件によつても異なるが、一般に建築面積以外に屋外運動場、作業用地等がとれるだけの広さが必要である。

3 配置

病院全体の配置計画としては、十分な敷地面積を有する場合には、平面に広がる方が自然との親しみ、開放感等が得られ、各病棟ごとにそれぞれの特徴を生かしやすい。しかし、敷地、設備等の関係で分散することができない場合は高層化するのもやむを得ないであろう。

いずれにせよ、全般的配置は、治療、管理、経費等の観点から十分検討したうえで、最も効率的に計画する必要がある。

4 建物

(1) 建物全体として統一があり、精神医療に適する内容及び外観を備え、明るく親しみやすいものとする。

内装及び外装についての仕上げや色彩のみならず、周辺の樹木の植込み、庭園計画等環境造成にも周到な配慮が必要である。

(2) 建物は、耐震耐火構造とする。堅固であることは当然であるが、精神病院ということにこだわりすぎて、あまりにも閉鎖的になりすぎないようにする。

5 設備

(1) 保安、避難等の設備を完備することはいうまでもないが、患者の健康保持のため、換気、採光、照明、防湿等の設備に特に留意する。

(2) 暖房は、温水、蒸気等を採用し、直接火気を使用することは避けること。

(3) 基準看護、基準給食、基準寝具設備が行なえるよう配慮すること。

6 部門

(1) 病院内の諸施設は、それぞれの機能に従つて次の各部に分ける。

(1) 病棟部 (2) 中央診療部 (3) 外来診療部 (4) 生活療法施設部 (5) サービス部 (6) 管理部 (7) 宿舎部

(1) 外来患者は、入院患者と明確に区分できるように考慮すること。

第三 病棟部の設計

1 基本事項

(1) 病棟部は看護上、管理上三○床ないし五○床の看護単位を基本とし、性別、年齢別、病態別、病状別に応じた区分をする。男女の患者は分離するが、男女の病室が明確に区分されていれば同一病棟内でも差し支えない。

(2) 患者の在院期間は、比較的長期にわたることが多く、肉体的には健康のものが多いので、医療面のみならず生活面についても細心の考慮を払わなければならない。そのため病室とデイルームは区別し、また、できるだけ戸外に出られやすいように設計し、生活が無味単調になることを避け、生活空間はなるべく変化ある豊かなものとする。

(3) 病棟部には、次の室又は機能を営む場所を必要とする。ただし、これらの室の一部については、必らずしも別々に設ける必要はなく、兼用することも差し支えない。

ア 病室

一般病室、保護室、合併症病室

イ 患者の生活的施設

デイルーム、食堂、配膳室、浴室、便所、洗面所、足洗場、患者用洗濯室及び物干場、面会室、患者私物格納庫

ウ 診療及び看護関係施設

診療室、処置室、看護員室、看護員仮眠室、汚物処理室、職員便所、リネン室

エ その他の施設

倉庫、掃除具置場

(4) 病棟部の面積は、病室以外に生活面のスペースを必要とするので、病棟共通部分を含めて、一床当り約二五平方メートル(平成一三年三月一日に既に存するものにあつては、約二〇平方メートル)程度とする。

(5) 合併症病棟を設ける場合は、一般病棟と区分し、種類の異なる合併症患者ごとに分離又は隔離できるよう配慮する。また、中央配膳、中央食器消毒方式を採用する場合でも伝染性の合併症患者のみは、病棟配膳、病棟消毒とする。

(6) 保護室の数は、収容する患者の種類によつて異なるが、一般には全病床数の五%程度とする。

(7) 病棟内の開口部は、室内を明るくし夏の通風をよくするために開口部を十分に設ける必要があるが、同時に脱院等事故防止の方策を講じる必要がある。

注1 病室にあつては、その床面積の一四分の一以上に相当する面積を直接外気に面して開放できるようにすること。(医療法施行規則(以下「医規」という。)第一六条)

2 採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、病室にあつては床面積の七分の一以上、病院のその他の居室にあつては床面積の一○分の一以上とする。(建築基準法第二八条)

(8) 病棟の鍵は、非常の際の混乱を避けるためすべて共通のものとする。

参考Ⅰ 病室は、地階には設けないこと。第三階以上に病室を設ける場合は、その建物を耐火構造としなければならない。(医規第一六条、建築基準法施行令(以下「建令」という。)第一○七条)

注1 病室の床面積は、内法によつて測定することとし、患者一人につき六・四平方メートル以上とすること。(医規第一六条)

2 小児だけを入院させる病室の床面積は、前注1に規定する病室の床面積の三分の二以上とすることができること。ただし、1の病室の床面積は、六・三平方メートル以下であつてはならない。(医規第一六条)

Ⅱ 第二階以上に病室を設ける場合は、患者の使用する屋内の直通階段を二以上適当に配置しなければならない。(医規第一六条、建令第一二一条)

注1 階段及び踊場の幅は、内法を一・二メートル以上とすること。(医規第一六条)

2 けあげは○・二メートル以下、踏面は○・二四メートル以上とすること。(医規第一六条)

3 適当な手すりを設けること。(医規第一六条)

Ⅲ 第三階以上に病室を設ける場合は、避難に支障がないように避難階段を二以上設けなければならない。

ただし、直通階段のうち1又は2を避難階段としての構造とする場合は、その直通階段の数を避難階段の数に算入することができる。(医規第一六条、建令第一二三条)

注1 この避難階段の出入口の戸にくぐり戸を設ける場合は、高さを一・三メートル以上、幅を○・八メートル以上とすること。(医規第一六条)

Ⅳ 患者が使用する廊下の幅は、内法を一・八メートル以上とすること。ただし、中廊下の幅は、内法を二・七メートル以上としなければならない。(医規第一六条)

Ⅴ 大学附属病院(特定機能病院及び精神病床のみを有する病院を除く。)並びに内科、外科、産婦人科、眼科及び耳鼻いんこう科を有する一〇〇床以上の病院の精神病棟については、中廊下の幅は二・一メートル程度とすること。(医規第四三条の二)

2 病室

(1) 一般病室

ア 病室が個人の生活場所となるには四床ないし六床(最大)以下がのぞましい。

イ 病室は洋室(ベッド式)、和室(畳式)を問わず、生活場所としての雰囲気を出すことが必要である。例えば、洋室にする場合には、テーブル、椅子、戸棚、ロッカー等を置き、和室の場合には、押入れ、私物入れ場所、縁側等を設ける。押入の内部は不燃性とし、天井は天井裏へ入れないように堅固なものとする。

ウ 各部室のドアー又は引違い戸は、病状視察の上からその一部を透明硝子にすることが便利である。しかし、患者の立場からいうと落ちつかない気分がするので、患者の種類によつては、遮へい・・しなければならないこともある。

(2) 保護室

ア 保護室は、個室で一○平方メートル(六帖)程度の広さとする。

イ 他患者に悪影響がないように配慮する。堅固であることが必要であるが、そのために圧迫感を与えないように考慮し、時には普通病室として使用し得るような配慮も必要である。

ウ 保護室のまわりでは細部設計に特別の注意を払い、採光、換気、通風、冷暖房等の環境条件には特に考慮する必要がある。

窓は特に採光、通風、換気がよく操作容易で堅固なものであるよう考慮する。一般廊下側にはあまり露骨にのぞきこむ感じを与えない小窓をつける。壁は堅固で、外傷の危険が少なく、しかもやわらかい感じのするものがよい。例えば板張りとし部屋の四隅は丸くする。床は縁甲板張りで頑丈な板がよい。モルタル塗りは冬季に寒く、また、陰惨な感じを与えるのでよくない。掃除に便利であるように床面との境は丸くする。扉は外面開きとし、内面に把手をつけないで堅固なものとする。

便所を設ける場合は水洗式とし、不潔にならないようにその設計には特に注意が必要である。

エ 暖房設備は患者の暴行によつてラジエーターが破損したり、ラジエーターそのものによつて外傷を受けないようにするためカバーが必要である。また、二室の間仕切壁に埋込むことも双方からの会話のおそれがあるので、特別の考慮が必要である。室内の温度は廊下より調節できるようにするのがよい。

(3) 合併症病室

ア 合併症病棟を設けない場合は、一般病棟内に合併症状、精神症状の別に収容できるように個室を多く設ける。この場合、洋式(ベッド式)が望ましい。

イ 伝染性の合併症患者を収容する病室は、他の病室と明確に遮断又は隔離しなければならない。

3 患者の生活的施設

入院患者の大部分は、他科の入院患者とは異なり、常時臥床の必要のない者が多く、日中の生活は殆んど起きているのが常態であるので、生活スペースを十分に考慮することが必要である。したがつて、患者用の家具や調度品を入れて、入院生活を活動的でしかもくつろいだ家庭的雰囲気の中で楽しくすごせるように配慮すべきである。

(1) デイルーム

病室以外にもつぱら患者の談話、娯楽、生活療法等の用に供するための室を設けること。

(2) 食堂

患者が一度に食事できるような広さが必要である。この場合、スペース等の関係で独立して設けることができない場合は、デイルームの一部を食堂としてもよい。

(3) 配膳室

ア 配膳室は、食堂と区切り、膳はカウンターから受渡しする。

イ 設備としては、食器洗場、配膳台、食器戸棚等を整備する。

(4) 浴室

ア 浴室は、各病棟内に設けることが望ましい。

イ 看護者が入浴の介補をする必要がある場合を考慮して、できるだけ広めに設計する。

ウ なるべく上がり湯及びシャワーを取付ける。脱衣場には、鏡、体重計等を設置することが望ましい。

(5) 便所

ア 便所は男女別に設ける。

イ 便所は、看護員室から出入りの監視ができる位置に設け、水洗式とし、防臭、換気には充分配慮する。職員用便所は別に設ける。

ウ ドアーは、内部から鍵のかからないようにする。顛倒等を考慮して病室の廊下面と同じ高さにし、下駄は用いないですむようにする。

(6) 洗面所

必らずしも一室を設ける必要はなく、廊下の一側にアルコーブをとつたり、窓から流しを持ち出しにしたりして、使用に当つて便利なように設備する。この場合、洗面介補の必要ある患者もいるので、それに便利であるように考慮する。

(7) 足洗場

屋外の出入口に近接して、なるべく設けるように考慮する。

(8) 患者用洗濯室

患者自身の持物を簡単に洗える場所を設ける。洗面所等を利用してもよい。電気洗濯機を置くよう考慮されればさらに便利である。また、簡単な干し場を付設する。

(9) 面会室

看護員室の近くに設ける。

(10) 患者私物格納庫

一室を設けて出し入れに便利なように棚を設け、かつ換気を十分にする必要がある。

4 診療及び看護関係施設

(1) 診察室

看護員室に隣接した位置に設ける。

(2) 処置室

診察室の隣に位置するよう設け、必要に応じ電気ショック治療室及びインシュリンショック室等として使用できるよう設備する。

(3) 看護員室(ナースステーション)

常に患者と接し易いように、病棟中央部で特に見透しのよい所に設ける。外部との連絡は電話の外に非常ベル等を設ける。診療録、看護日誌及び薬品器具の戸棚、作業台、机、椅子、コンセント等を予め設け、戸棚にはすべて鍵がかかるようにする。

(4) 看護員仮眠室

看護員室の近くに設け、通風には特に配慮する。

(5) 職員便所

患者用便所とは別に設ける。

(6) 汚物処理室

汚物が簡単に廃棄、消毒、洗浄され、失禁患者の汚染衣類等汚物が洗濯されるような設備が必要である。

(7) リネン室

5 その他の施設

(1) 倉庫

(2) 掃除具置場

第四 その他各部の設計

以下の各部に設けるべき室及び施設は、次のとおりである。これらの各室は、必ずしも独立した室を意味するものではなく、数室をまとめてもよく、また機能に応じてさらに細分された室を設けてもよい。

1 中央診療部

高度の設備を有するものや、病棟部、外来診療部の各部から共用される諸施設は、外来診療部にも病棟部にも置かず、中央診療施設として何れからの連絡にも便利な位置に設けることが望ましい。

(1) 検査室

ア 心理検査室 病棟部及び外来診療部の双方から使用できるようにする。

イ 脳波室 病棟部及び外来診療部の双方から使用できるようにし、電気的にシールドすると共に特に湿気を避けるよう留意する。

ウ その他の検査室 一般臨床検査及びその他必要に応じ、病理組織、化学、細菌等の検査を設ける。

注 臨床検査施設は、喀痰、血液、尿糞便等について通常行われる臨床検査のできるものでなければならない。(医規第二○条第五号)

(2) X線室 病棟部及び外来診療部の双方から使用されるもので、透視室、撮影室、暗室、フィルム事務室等が必要である。

(3) 手術室 主として病棟部から使用されるもので手術室及び準備室を設ける。

(4) 中央滅菌材料室 医療器具材料の消毒はすべて一括してここで行なう。

(5) 歯科診療室 主として入院患者用のもので小規模病院では省略してもよい。

(6) 薬局 院内及び外来投薬に便利な位置に置く、調剤室、製剤室、薬品庫(冷暗所)等が必要である。

注 調剤所の構造設備は次によること。(医規第一六条第一項第一六号)

イ 採光及び換気を十分にし、且つ、清潔を保つこと。

ロ 冷暗所を設けること。

ハ 感量一○ミリグラムの天秤及び五○○ミリグラムの上皿天秤その他調剤に必要な器具を備えること。

(7) 解剖室 霊安室、礼拝堂と接して設ける。

(8) 研究室

2 外来診療部

外来診療部においても病棟部と同じように落ちつきがあり、親しみやすい外観と構造が必要である。

外来診療部としては、外来診察室、相談室、処置室を主とし、特殊設備を要する診療施設、検査室等は、中央診療施設として中央化するのがよい。

(1) 待合室 一般待合、薬局待合、診察待合、入退院待合等諸種の性格を持つ。

精神科の診察は他科にくらべて時間がかかるので、待合時間が長くなる。

その間に患者の心が動揺して診察を受けにくくなることも多いので待合場所は廊下等を利用するのでなく、できるだけ一室を設け、落ちつきのある、快適な雰囲気の出るように設備することが必要である。また、患者には附添人が多いことも考慮してスペースを考える必要がある。

(2) 相談室 室内は、落ちついた親しみのある雰囲気となるように配慮する必要がある。室数は二室程度がよい。

(3) 診察室 通常二室以上あればよい。一部に検査用の暗室スペースが必要である。

(4) 処置室 診察室の隣に位置するよう設け、必要に応じ電気ショック治療室及びインシュリンショック室等として使用できるよう設備する。

(5) その他 受付、案内、会計窓口、下足預り所、便所等必要な設備を設ける。

3 生活療法施設部

入院患者の生活療法として作業療法及びレクリエーション療法等を行なうための施設で病棟部とは別に設ける。これらの施設は病院の規模に応じて考慮する必要があるが、農場、運動場等は相当の面積を要するので、計画の当初から配慮されていなければならない。

(1) 作業療法施設

ア 治療施設 農場、園芸場、畜産舎、木工室、印刷室、手芸室、裁縫室等がある。

イ 付属施設 事務室、更衣室、休憩室、浴室、洗面所、便所、倉庫等がある。

(2) レクリエーション療法

ア 屋外施設 野球場、バレーコート、テニスコート、プール等がある。

イ 屋内施設 集会室、遊戯室、娯楽室、図書室、体育館等がある。

4 サービス部

サービス部は特に設備を能率的にし、従業員の働き易い環境とする。

(1) 給食施設

ア 給食施設は、病棟配膳室との連絡を十分考慮して位置を定めなければならない。

イ 給食施設には、下拵室、調理室、特別調理室、食品庫、配膳室、配膳車置場、食器洗浄消毒室、事務室等を設ける。

注1 給食施設は入院患者のすべてに給食することのできる施設とし、調理室の床は耐水材料をもつて洗浄及び排水に便利な構造とし、直火式炊事の場合にはかまどの周囲二メートル以上にわたり防火構造とし、食器及び野菜の消毒施設をそなえなければならない。(医規第二○条第八号)

2 食堂、調理室、配膳室には、はえが入らないようにするため、窓に金網を張る等必要な設備を設けること。(医規第一六条第一項第一七号)

(2) 給水施設 自家給水の場合は、消毒設備を設ける。

(3) 暖房施設 ボイラー室、石炭庫、灰置場等を設ける。

(4) 消毒施設 S・K消毒室を含む。

注1 消毒施設は病室、食堂、調理室又は配膳室から相当な間隔を保つて設けること。ただし、これらの構造設備が完全で、かつ、他を汚染するおそれがない場合は、この限りでない。(医規第一六条第一項第一五号)

(5) 洗たく施設 仕分け整理室、アイロン室、乾燥機物干し場を含む。

(6) 汚物処理施設 焼却炉、浄化槽、便槽、汚物溜等を含む。

注1 汚物処理施設又は便槽その他の汚物溜は、病室、食堂、調理室又は配膳室から相当な間隔を保つて設けること。ただし、これらの構造設備が完全でかつ、他を汚染するおそれがない場合は、この限りではない。(医規第一六条第一項第一五号)

2 汚物処理施設には、はえが入らないようにするため、窓に金網を張る等必要な設備を設けること。(医規第一六条第一項第一七号)

(7) 消防用施設 消火器、簡易消火用具、消火栓その他の消火設備、火災警報設備、すべり台、避難はしご等の避難設備その他必要な設備を設けること。

(8) 電気室

(9) 機械室

(10) ガレージ

(11) 職員用諸施設 食堂、更衣室、洗面所、便所、休憩室等を設ける。

(12) その他 売店、理容室、公衆電話室などは患者の利用に便利な場所に設ける。

5 管理部

管理部は従来のいわゆる「本館」式の観念にとらわれず、利用者が接近し易い位置に能率的に配置すべきである。

(1) 院長(副院長)室 事務との連絡密なる位置におく。

(2) 事務室 事務長はなるべく事務と同一室とする。文具類、書類倉庫を含む。

(3) 看護事務室 外来診療部が小規模の場合には病棟部に近く位置する。

(4) 応接室 院長用は院長室内の一部にとつてもよい。事務用は出入商人等の応接に当てるものであるから余り病院内に入り込まない位置が望ましい。医局員用は医局の近くに置く。

(5) 会議室 診療、運営管理、研修等に使用する。

(6) 講義室

(7) 医局 医局員の執務が行なわれる。必要に応じソーシャルワーカー、心理技術者等の事務室を考慮する。

(8) 図書室

(9) 医療記録室 診療録その他の医療記録の整備保管を行なう。

(10) 電話交換室 電池室、休憩室を含む。

(11) 事務倉庫 管理部の用度、器材等を収める。

(12) 宿直室

(13) 守衛詰所

(14) 用務員室 宿泊設備を考慮する。

(15) 湯沸室

(16) 浴室、洗面所、便所(職員専用)

(17) 霊安室、礼拝室

6 宿舎部

宿舎部には医師、看護婦及び看護人その他職員のための宿舎を設ける。これらは病院との連絡容易なる位置に男女別に設ける。

(1) 看護婦宿舎

(2) 看護人宿舎

(3) 職員宿舎