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○病院及び診療所における放射線の利用に関し、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律等の施行に伴い注意すべき事項について

(昭和三六年一月九日)

(医発第一〇号)

(各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)

今般、昭和三五年五月二日法律第七八号をもつて公布された放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律の施行期日が昭和三五年一○月一日と定められ、これに伴い放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令の全部を改正する政令及び同法律施行規則の全部を改正する府令が、それぞれ、昭和三五年九月三○日に政令第二五九号及び総理府令第五六号として公布されるとともに、これらの法令の規定に基づく科学技術庁告示が、昭和三五年九月三○日科学技術庁告示第二二号として定められ、いずれも昭和三五年一○月一日から施行適用されることとなつたが、今回行なわれた政令等の改正にあたつては、法律の一部改正の施行に伴い必要とされる改正のほか、国際放射線防護委員会の一九五八年勧告の趣旨を採用して、放射線作業に従事する者その他一般人の被ばく放射線量等に関する許容度、放射線を利用する施設の構造及び設備の要件に関する基準等についての改正が行なわれているので、医療法施行規則に規定されている放射線障害防護の基準との関連について次の事項に留意のうえ、貴管下病院及び診療所における放射線の利用について遺憾のないよう御配意願いたい。

第一 使用の手続等に関する事項

一 今回の改正により、一病院又は一診療所当たりの総量が一○○ミリキユリー以下の密封された放射性同位元素を使用しようとする場合は、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(以下「防止法」という。)上の手続としては、科学技術庁長官に対する届出のみで足りるものとされたが(防止法第三条の二、新施行令第四条)、この場合、密封された放射性同位元素とは、金属、プラスチック等で被覆し、カプセル状にして溶接してある等の状態の放射性同位元素をいうものとされており、診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具に装備されている放射性同位元素はこれに該当するものであること。

二 前項の届出のみで使用することができる場合の数量は、一病院等当たりの総量をいうものであるから、一個当たり一○○ミリキユリー以下の放射性同位元素を装備する診療用放射線照射器具であつても、その使用について科学技術庁長官の許可を受けなければならない場合があること。

三 医薬品である放射性同位元素(診療用放射性同位元素)には、従来どおり防止法が適用されないものであり(新施行令第一条ただし書)、これが使用については医療法上の手続のみで足りること。

四 今回の改正により、防止法の適用を受ける放射線を放出する同位元素は、密封されたものについてはその数量が一○○マイクロキユリーをこえるものとされているので(新施行令第一条、新告示第一条第三号)、装備する放射性同位元素の数量が一ミリキユリー以下である機器のうち同数量が一○○マイクロキユリーをこえるものについては、今後、防止法上の届出又は使用許可申請手続が必要となるものであること。

第二 使用施設等の構造設備の基準に関する事項

一 防止法に規定される使用施設等の位置、構造及び設備の技術上の基準で、病院又は診療所における放射性同位元素の使用等に関し適用されるものについての今回の主要な改正点を医療法施行規則の現行規定と対比すると別記の(1)から(4)までのとおりであるが、これら改正規定の施行に関する経過規定の適用を受ける場合(次項参照)を除き、放射線利用の実態によつては、医療法施行規則に規定する基準による病院又は診療所の診療用放射線照射装置使用室等の構造設備が、改正後の防止法の基準を満たさない場合があることも考えられるので、第四の指導事項に従い適切な指導を行なわれたいこと。

二 次の各号に掲げる者については、改正後の防止法施行令の規定のうち前項の基準(別記の(1)から(4)までに掲げる基準)に関する規定の施行に関し、経過規定が適用され、昭和三八年九月三○日までの間は、次の第一号の者については、これらの改正規定にかかわらず、なお従前の例によることができるものとされ、第二号の者については、これらの改正規定が適用されないこととなつているが、それまでの間において必要な改築等を行なうよう指導されたいこと。

(1) 昭和三五年一○月一日現在において、改正前の防止法第三条第一項の許可を受けている者及び同条同項の許可を申請している者

(2) 防止法の一部を改正する法律附則第四項の規定に基づき、改正後の防止法第三条第一項の許可を申請した者及び防止法第三条の二第一項の届出をした者

第三 使用等の基準その他に関する事項

一 今回の改正により、放射線作業に従事する者の許容被曝(ばく)線量が引き下げられるとともに、新たに、集積線量に係る許容度が規定されることとなつたが、これを医療法施行規則の基準と対比すると別記(5)及び(6)のとおりであるので、第四の指導事項により指導されたいこと。

二 放射線障害が発生するおそれのある場所の測定について、別記の(7)のような改正がなされたこと。

第四 防止法等の改正に伴う指導に関する事項

一 使用の手続について

(1) 密封された放射性同位元素を科学技術庁長官に対する届出のみで使用する場合であつても、これが使用に伴う医療法上の手続(使用の届出、構造設備の変更許可申請、使用検査申請等)は従来どおりであるので、遺憾のないよう指導すること。

(2) 密封された放射性同位元素で、その数量が一ミリキユリー以下で一○○マイクロキユリーをこえるものの使用については、医療法上の手続は必要とされていないが、その使用状況を把握するため、貴職においても必要な報告を徴収すること。

二 診療用放射線照射装置使用室、診療用放射線照射器具使用室及び診療用放射線照射器具により診療を受けている患者を収容する病室(以下本項において「使用室等」という。)の画壁等について

(1) 診療用放射線照射装置及び診療用放射線照射器具の使用について、防止法に基づき科学技術庁長官の許可を受ける場合(第二の二の各号に掲げる者が改正後の防止法施行令の規定の施行に関し経過規定の適用を受ける場合を除く。)には、使用室等の画壁等に関し、次のような措置を講ずるよう指導すること。

(A) 使用室等の画壁等のうち、放射線照射装置の操作を行なう場所その他人が常時立ち入る場所に面する画壁等は、改正後の防止法施行令等の規定により、当該場所において人が被ばくするおそれのある放射線の線量を一週間につき一○○ミリレム以下とすることのできるものでなければならないこととなつたので、医療法施行規則の規定による構造で不十分な場合は、必要な補強又はしやへい物のとりつけを行なうこと。この場合、人が被ばくするおそれのある放射線の線量とは、放射線作業に従事する者の作業時間、作業の位置等により算定されるものであること。

(B) 放射線量が一週間につき一○ミリレムをこえるおそれのある場所に病室がある場合は、次の措置のいずれかを講ずることにより当該病室に収容される患者(放射線により診療を受けている患者を除く。)が、三月間につき一三○ミリレムをこえて放射線に被ばくすることのないようにすること。

イ 使用室等の画壁等を補強し、又は必要なしやへい物をとりつけること。

ロ 収容する患者の収容期間を制限し当該患者が放射線に被ばくする時間を短くすること。

(C) 病院又は診療所内の宿舎、居宅等人が居住する区域及び病院又は診療所の敷地の境界において放射線量が一週間につき一○ミリレムをこえないようにするため、使用室等又はその周辺に必要なしやへい壁その他のしやへい物を設けること。

(2) 第二の二の各号に掲げる者が診療用放射線照射装置及び診療用放射線照射器具を使用する場合についても、(1)に準じた措置を講ずるよう指導すること。

三 診療用放射線照射器具の貯蔵施設(以下本項において「貯蔵施設」という。)について

(1) 診療用放射線照射器具の使用について、防止法に基づき科学技術庁長官の許可を受け又は同長官に届け出る場合(いずれも第二の二の各号に掲げる者の場合を除く。)には、貯蔵施設に関し、次のような措置を講ずるように指導すること。

(A) 小量の診療用放射線照射器具を貯蔵する場合は貯蔵容器を耐火性の構造とし、その場合は専用の貯蔵箱を設けてこれを耐火性の構造とするか、又は貯蔵室を設けてその主要構造部、壁及び柱を耐火構造とし、入口には甲種防火戸を設けたものとすること。

(B) 診療用放射線照射器具の貯蔵容器の鉛当量が、医療法施行規則の規定による基準を満たしている場合であつても、貯蔵室の画壁等又は貯蔵容器若しくは貯蔵箱を置く室の画壁等に関し、前項の(1)の(A)から(C)までに掲げると同様の措置を講ずること。

(2) 第二の二の各号に掲げる者が、診療用放射線照射器具を使用する場合についても、(1)に準じた措置を講ずるよう指導すること。

四 被ばく放射線量の最大許容度について

病院又は診療所において放射線作業に従事する者その他管理区域に立入る者の被ばく防止については、改正後の防止法施行規則の基準によることとするよう指導すること。この場合、被ばく放射線量を算定するにあたつては、診療用放射性同位元素による被ばくについても、改正後の防止法施行規則の基準に従つて合算することとすること。

第五 削除

別記      医療法施行規則と改正後の防止法施行令等との対照一覧略