添付一覧
○医療法の一部を改正する法律の一部の施行について
(平成五年二月一五日)
(健政発第九八号)
(各都道府県知事あて厚生省健康政策局長通知)
平成四年七月一日付けで公布された医療法の一部を改正する法律(平成四年法律第八九号。以下「改正法」という。)のうち、医療提供の理念等に関する規定、老人保健施設に関する規定、医療法人の業務に関する規定等については、既に平成四年七月一日から施行されているところであるが、特定機能病院に関する規定、療養型病床群に関する規定、病院、診療所等の業務委託に関する規定並びに医業等に係る掲示及び広告に関する規定等については、本年一月二二日付けで公布された医療法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(平成五年政令第六号。別添1参照。)により、本年四月一日から施行されることとなった。これに伴い、医療法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成五年政令第七号。以下「改正政令」という。別添2参照。)が本年一月二二日付けで、医療法施行規則等の一部を改正する省令(平成五年厚生省令第三号。以下「改正省令」という。別添3参照。)が本年二月三日付けで、それぞれ公布され、また、医療法第六九条第一項第九号の規定に基づき、広告し得る事項を定める件(平成五年厚生省告示第二三号。以下「六九条告示」という。別添4参照。)及び医療法第七一条第一項第七号の規定に基づき、広告し得る事項を定める件(平成五年厚生省告示第二四号。以下「七一条告示」という。別添5参照。)が本年二月三日付けで告示され、併せて医療法第六九条第四項及び第七一条第四項の規定に基づき広告し得る事項(昭和二五年厚生省告示第七二号)の廃止が告示されたところである。
これらの施行に当たっては、特に左記の事項に留意の上、その運用に遺憾なきを期されたい。なお、特定機能病院制度は、個々の病院からの申請に基づき、医療審議会の意見を聴いて厚生大臣が承認するものであり、その運用に係る事務は厚生省において直接行うものであるが、地域医療の推進を図る上で同制度の果たす役割が大きいこと等に鑑み、貴職におかれても制度の趣旨等について十分に御了知ありたい。
記
第一 特定機能病院に関する事項
1 趣旨
特定機能病院制度は、医療施設機能の体系化の一環として、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び評価、医療の高度の安全の確保並びに高度の医療に関する研修を実施する能力を備え、かかる病院としてふさわしい人員配置、構造設備等を有するものについて特定機能病院の名称を承認するものであること。なお、がん、循環器疾患その他の国民の健康に重大な影響のある疾患に関し、高度かつ専門的な医療を提供する特定機能病院については、その他の特定機能病院と異なる承認要件を設定すること。
2 承認手続等
(1) 特定機能病院の承認を受けようとする者は、医療法施行規則の一部を改正する省令(令和三年厚生労働省令第六十三号。以下「令和三年改正省令」という。)による改正後の医療法施行規則(昭和二十三年厚生省令第五十号)第六条の三第一項の規定により、同項各号に掲げる事項を記載した承認申請書に同条第二項各号に掲げる書類を添えて厚生労働大臣に提出するものであること。その際の承認申請書及び添付書類の標準様式は様式第1~第8のとおりであること。
(2) 承認申請書及び添付書類は、正本一通、副本二通を厚生労働省医政局総務課あて送付するものであること。
(3) 医療法施行規則第六条の三第一項第七号に規定する「管理者の医療に係る安全管理の業務の経験」とは、下記のいずれかの業務に従事した経験を有するものであること。
① 医療安全管理責任者、医薬品安全管理責任者、医療機器安全管理責任者の業務
② 医療安全管理委員会の構成員としての業務
③ 医療安全管理部門における業務
④ その他上記に準じる業務
(4) 医療法施行規則第六条の三第一項第十一号に規定する「紹介率の前年度の平均値」及び同項第十二号に規定する「逆紹介率の前年度の平均値」とは、それぞれ医療法施行規則第九条の二十第一項第六号イ及び第七号イに規定するそれぞれの要素について、申請を行う年度の前年度の総数をあてはめて算出する値を意味するものであること。
(5) 医療法施行規則第六条の三第二項第六号に規定する書類については、医療法施行規則第九条の二十二の規定により、診療に関する諸記録が閲覧に供することができる書類とされていないため、当面、添付を省略する取扱いとするものであること。
(6) 医療法施行規則第六条の三第二項第十六号に規定する「第一条の十一第一項各号に掲げる体制を確保していること、第七条の二の規定による公表並びに第九条の二十の二第一項第一号から第十三号の二まで及び第十五条の四第四号に掲げる事項を行っていることを証する書類」には、医療に係る安全管理のための指針の整備状況、医療安全管理委員会の設置及び業務実施状況、医療法施行規則第一条の十一第一項第三号に規定する医療に係る安全管理のための職員研修の実施状況、医療機関内における事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策の状況、医療安全管理責任者及び専任の院内感染対策を行う者の配置状況、医薬品安全管理責任者の業務実施状況、医療法第一条の四第二項に規定する説明に関する責任者及び診療録その他の診療に関する記録の管理に関する責任者の配置状況、医療安全管理部門の業務実施状況、医療安全管理部門における専従の医師、薬剤師及び看護師の配置状況、医療法施行規則第一条の十一第二項第四号に規定する高難度新規医療技術(以下「高難度新規医療技術」という。)の実施の適否等を決定する部門の設置状況、医療法施行規則第一条の十一第二項第四号に規定する未承認新規医薬品等(以下「未承認新規医薬品等」という。)の使用の適否等を決定する部門の設置状況、入院患者が死亡した場合等の医療安全管理部門への報告状況及び当該報告に係る医療安全管理委員会の業務の状況、他の特定機能病院及び臨床研究中核病院(以下「特定機能病院等」という。)の管理者と連携した従業者の相互立入り及び技術的助言の実施状況、当該病院内に患者からの安全管理に係る相談に適切に応じる体制の確保状況、医療法施行規則第九条の二十の二第一項第十二号及び第十三号に規定する医療に係る安全管理のための職員研修の実施状況に関する書類、医療法施行規則第十五条の四第四号に規定する医療安全管理の適正な実施に疑義が生じた場合等の情報提供を受け付けるための窓口の設置状況、令和三年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の二十の二第十三号の二に規定する第三者による評価の受審状況、当該評価に基づき改善のために講ずべき措置の内容の公表状況、当該評価を踏まえ講じた措置の状況を含むものであること。
(7) 承認申請書等が提出された場合、医療法施行規則第六条の三第四項の規定により、病院所在地の都道府県知事あてに当該申請書の写しを送付することとしているので、貴職におかれても特定機能病院の承認申請状況に留意するとともに、地域医療の推進に当たって参考とされたいこと。なお、厚生労働大臣において特定機能病院の承認又は承認の取り消しを行った場合には、その旨を病院所在地の都道府県知事にも速やかに通知するものであること。
(8) 医療法施行規則第六条の四第二項において読み替えられた同条第一項に規定する「アレルギー疾患と内科とを組み合わせた名称」は、「アレルギー疾患内科」又は「アレルギー科」とすること。
(9) 医療法施行規則第六条の四第二項において読み替えられた同条第一項に規定する「心臓と外科とを組み合わせた名称」、「血管と外科とを組み合わせた名称」は、これらを併せて「心臓血管外科」とすることができること。この場合において、「心臓血管外科」を標榜していれば「心臓と外科とを組み合わせた名称」及び「血管と外科とを組み合わせた名称」を標榜しているといえること。
(10) 医療法施行規則第六条の四第五項の規定により標榜する診療科として歯科を含まない特定機能病院については、将来的にはより充実した歯科医療体制を整備することが望まれること。
(11) なお、病院の管理運営や管理者の選任等の透明化を図る観点から、次に掲げる事項及び書類を公表すること。
ア 医療法施行規則第七条の二の二の規定に基づく管理者の資質及び能力に関する基準として定める事項
イ 法第十条の二第二項の規定に基づく合議体の設置に関する書類
ウ 法第十六条の三第二項の規定に基づく合議体の運営に関する書類
エ 法第十九条の二第一号の規定に基づく管理者が有する権限に関する書類
オ 法第十九条の二第二号の規定に基づく監査委員会を設置していることを証する書類
カ 法第十九条の二第三号の規定に基づく管理者の業務の執行が法令に適合することを確保するための体制及び開設者による特定機能病院の業務の監督に係る体制に関する書類
3 管理者の選任
(1) 医療法施行規則第七条の二の二第一項に規定する「管理者の選任」に当たり、特定機能病院の開設者は次のことに留意しなければならないこと。
ア 選挙等による選任では、医療安全管理経験をはじめ管理者に必要な資質・能力の優劣を反映する結果にならないおそれがあるため、法第十条の二第二項に規定する合議体の審査結果を踏まえ、選考過程の透明性が確保されるよう留意すること。
イ 法第十条の二第二項に規定する合議体の審査結果を踏まえて行うこと。
(2) 医療法施行規則第七条の二の二第一項第一号に規定する「医療の安全の確保のために必要な資質及び能力」には、医療安全管理業務の経験や、患者安全を第一に考える姿勢及び指導力が含まれること。
(3) 医療法施行規則第七条の二の二第一項第二号に規定する「組織管理能力等の当該病院を管理運営する上で必要な資質及び能力」には、当該病院内外での組織管理経験が含まれること。
(4) 医療法施行規則第七条の三第一項第一号に規定する「委員名簿及び委員の選定理由」の公表の際には、委員の経歴についても公表すること。
(5) 医療法施行規則第七条の三第二項第二号に規定する「一定額」とは、年間五十万円を基本とすること。
(6) 医療法施行規則第七条の三第二項第三号に規定する「一定額」とは、年間五十万円を基本とすること。
4 承認後の変更手続
(1) 特定機能病院の開設者は、医療法施行令(昭和二十三年政令第三百二十六号)第四条の三の規定により、医療法施行規則第三条の二に規定する事項に変更があった場合には、十日以内にその旨を厚生労働大臣に届け出なければならないものであること。その際の届出の様式は様式第9のとおりであること。
(2) 届出書は、正本一通、副本一通を厚生労働省医政局総務課あて送付するものであること。
5 業務報告書
(1) 特定機能病院の開設者は、医療法施行規則第九条の二の二第一項各号に掲げる事項を記載した業務報告書を毎年十月五日までに地方厚生(支)局長に提出しなければならないものであること。その際の標準様式は様式第2から第7まで及び第10のとおりであること。
(2) 業務報告書は、正本一通、副本二通を特定機能病院の開設地を管轄する地方厚生(支)局医政主管部局あて送付するものであること。
(3) 医療法施行規則第九条の二の二第一項第十六号に規定する「第一条の十一第一項各号に掲げる体制の確保、第七条の二の規定による公表並びに第九条の二十の二第一項第一号から第十三号の二まで並びに第十五条の四第二号及び第四号に掲げる事項の状況」には、医療に係る安全管理のための指針の整備状況、医療安全管理委員会の設置及び業務実施状況、医療法施行規則第一条の十一第一項第三号に規定する医療に係る安全管理のための職員研修の実施状況、医療機関内における事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策の状況、医療安全管理責任者及び専任の院内感染対策を行う者の配置状況、医薬品安全管理責任者の業務実施状況、医療法第一条の四第二項に規定する説明に関する責任者及び診療録その他の診療に関する記録の管理に関する責任者の配置状況、医療安全管理部門の業務実施状況、医療安全管理部門における専従の医師、薬剤師及び看護師の配置状況、高難度新規医療技術の実施の適否等を決定する部門の設置状況、未承認新規医薬品等の使用の適否等を決定する部門の設置状況、入院患者が死亡した場合等の医療安全管理部門への報告状況及び当該報告に係る医療安全管理委員会の業務の状況、他の特定機能病院等の管理者と連携した従業者の相互立入り及び技術的助言の実施状況、当該病院内に患者からの安全管理に係る相談に適切に応じる体制の確保状況、医療法施行規則第九条の二十の二第一項第十二号及び第十三号に規定する医療に係る安全管理のための職員研修の実施状況に関する書類、医療法施行規則第十五条の四第二号に規定する監査委員会の設置状況、同条第四号に規定する医療安全管理の適正な実施に疑義が生じた場合等の情報提供を受け付けるための窓口の設置状況、令和三年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の二十の二第十三号の二に規定する第三者による評価の受審状況、当該評価に基づき改善のために講ずべき措置の内容の公表状況、当該評価を踏まえ講じた措置の状況を含むものであること。
(4) 医療法施行規則第九条の二の二第一項各号に掲げる事項のうち、第六号に掲げる事項及び第五号に掲げる事項のうち閲覧の実績については、業務報告書を提出する年度の前年度の年間実績を報告するものであること。
(5) 医療法施行規則第九条の二の二第一項各号に掲げる事項のうち、第四号、第七号、第八号及び第十五号に掲げる事項並びに第五号に掲げる事項のうち閲覧方法については、業務報告書を提出する年度の十月一日現在の状況を報告するものであること。
(6) 医療法施行規則第九条の二の二第一項各号に掲げる事項のうち、第九号及び第十号に掲げる事項については、業務報告書を提出する年度の前年度の一日当たり平均値を報告するものであること。
(7) 医療法施行規則第九条の二の二第一項各号に掲げる事項のうち、第六号、第九号及び第十号に掲げる事項並びに第五号に掲げる事項のうち閲覧の実績については、特定機能病院の承認後初めて行う業務報告書の提出に当たっては、各年度の四月一日から十月五日までの間に承認を受けた病院の場合は報告を省略する取り扱いとし、各年度の十月六日から三月三一日までの間に承認を受けた病院の場合は報告書を提出する年度の前年度の承認後の期間の実績を報告する取り扱いとするものであること。また、各年度の四月一日から十月五日までの間に承認を受けた病院が承認後二度目に行う業務報告書の提出に当たっては、前記の事項については、報告書を提出する年度の前年度の承認後の期間の実績を報告する取り扱いとするものであること。
(8) 業務報告書が提出された場合、医療法施行規則第九条の二の二第三項の規定により、病院所在地の都道府県知事あてに当該報告書の写しを送付することとしているので、貴職におかれても特定機能病院の業務遂行状況に留意するとともに、地域医療の推進に当たって参考とされたいこと。
(9) 医療法施行規則の一部を改正する省令(平成二十八年厚生労働省令第百十号)の施行(平成二十八年六月九日)の際現に医療法第四条の二第一項の規定による承認を受けている特定機能病院の開設者に対する医療法施行規則第九条の二の二第一項第八号の規定の適用については、平成三十年四月一日以後に任命した管理者に関するものに限り、同項に規定する報告書に記載しなければならないものとすること。
6 管理者の業務遂行
(1) 医療法施行規則第九条の二十第一項第一号イ及び第二号イに規定する「特定機能病院以外の病院では通常提供することが難しい診療」とは、
① 先進医療(厚生労働大臣が定める評価療養、患者申出療養及び選定療養(平成十八年厚生労働省告示第四百九十五号)第一条第一号に規定するものをいう。以下同じ。)
② 指定難病(難病の患者に対する医療等に関する法律(平成二十六年法律第五号)第五条第一項に規定する指定難病をいう。以下同じ。)に係る特定医療(同項に規定する特定医療をいう。以下同じ。)
を主に想定したものであること。この場合において、①の先進医療の提供は必須とし、厚生労働大臣の承認を受けた①の先進医療の数が一件の場合には、併せて②の指定難病に係る特定医療を年間五百人以上の患者に対して行うものであること。
また、既に特定機能病院に係る承認を受けている病院について、その提供する先進医療が、診療報酬の算定方法(平成二十年厚生労働省告示第五十九号)に規定する医療技術に採り入れられたことにより、前記の要件に適合しなくなった場合には、おおむね三年以内を目途に、適合するようにすべきものであること。
なお、以上このことは一般に「高度の医療」を①又は②に限定する趣旨ではなく、また、これらの医療の提供機能、開発及び評価機能並びに研修機能を特定機能病院に限定する趣旨ではないこと。
(2) 医療法施行規則第九条の二十第一号ロに規定する「臨床検査及び病理診断を適切に実施する体制を確保すること」とは、病院内に臨床検査及び病理診断を実施する部門を設けることを意味するものであること。なお、臨床検査を実施する部門と病理診断を実施する部門は別々のものである必要はなく、また、その従業者は、業務が適切に実施されていれば、必ずしも専任の者でなくとも差し支えないものであること。
(3) 医療法施行規則第九条の二十第一項第一号ハに規定する「第一条の十一第一項各号に掲げる体制を確保」するに当たっては、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の一部の施行について」(平成十九年三月三十日医政発第〇三三〇〇一〇号:厚生労働省医政局長通知)(最終改正:平成二十八年六月十日)の第二に掲げる事項を満たすこと。
また、医療法施行規則第九条の二十第一項第一号ハに規定する「次条第一項第一号から第十三号の二までに掲げる事項を行うこと」とは、具体的には以下のものを指すこと。
ア 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第一号に規定する「医療安全管理責任者」は、次に掲げる要件を満たす必要があること。
(ア) 医療安全、医薬品安全及び医療機器安全について必要な知識を有するもの。
(イ) 当該病院の副院長(管理者を補佐する者のうち副院長と同等のものを含む。)のうち管理者が指名するもの。
(ウ) 当該病院の常勤職員であり、医師又は歯科医師の資格を有していること。
イ 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第二号に規定する「専任の院内感染対策を行う者」は、当該病院における院内感染対策を行う部門の業務に関する企画立案及び評価、病院内における職員の院内感染対策に関する意識の向上や指導等の業務を行うものであり、次に該当するものであること。
(ア) 医師、歯科医師、薬剤師又は看護師のうちのいずれかの資格を有していること。
(イ) 院内感染対策に関する必要な知識を有していること。
ウ 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第三号イに掲げる「医薬品の安全使用のための業務に資する医薬品に関する情報の整理、周知及び当該周知の状況の確認」とは、医薬品安全管理責任者から同号ハの規定に基づき指名された薬剤師等が、院内の医薬品の使用状況を月一回程度定期的に確認し、その結果を踏まえて添付文書情報(禁忌等)、緊急安全性情報、未承認医薬品の使用時又は医薬品の適応外使用時等の医薬品安全管理に係る情報を整理し、必要に応じてその結果を医薬品安全管理責任者に報告することをいうこと。
また、医薬品安全管理責任者は、報告された情報を踏まえ、必要に応じて、当該情報に係る医薬品の使用実績のある診療科等のみならず院内全体に医薬品の適正使用のための注意喚起情報を周知するとともに、必要な診療科等に周知されたか等について確認することを、同号ハの規定に基づき指名された薬剤師等に対し行わせることをいうこと。さらに、医薬品安全管理責任者は、これらの医薬品情報の周知状況の確認の方法を定め、必要に応じて手順の見直しを行うことをいうこと。
エ 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第三号ロに規定する「未承認等の医薬品の使用に関し、当該未承認等の医薬品の使用の状況の把握のための体系的な仕組みの構築並びに当該仕組みにより把握した未承認等の医薬品の使用の必要性等の検討の状況の確認、必要な指導及びこれらの結果の共有」とは、医薬品安全管理責任者から同号ハの規定に基づき指名された薬剤師等が医師の処方した薬剤を調剤する場合、以下に掲げる事項を行うことをいうこと。
① 医師の処方した薬剤の使用が、未承認の医薬品の使用若しくは適応外又は禁忌等の使用方法に該当するか否かを把握すること。
② ①の使用に該当する場合には、薬学的知見に基づき、必要に応じて処方した医師等に対して処方の必要性や論文等の根拠に基づくリスク検討の有無、処方の妥当性等を確認すること。
③ ①②の結果を踏まえ、必要に応じて処方した医師等に対し処方の変更等の提案を行うとともに、その結果を医薬品安全管理責任者に報告すること。
さらに、医薬品安全管理責任者は、①の把握方法を定めるとともに、把握の状況を定期的に確認し、必要に応じて当該把握方法の見直しを行うこと。また、③の報告を踏まえ、必要に応じて医師等に対する指導等を行うとともに、院内全体に未承認等の医薬品の使用に関して必要な情報の共有等を行うことを、同号ハの規定に基づき指名された薬剤師等に対し行わせることをいうこと。
オ 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第三号ハに規定する「イ及びロに掲げる措置を適切に実施するための担当者の定め」とは、医療法施行規則第九条の二十の二第一項第三号イ及びロに掲げる措置を適切に実施するための担当者を医薬品安全管理責任者が指名することをいうこと。
カ 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第四号に規定する「法第一条の四第二項の説明に関する責任者」は、同号に規定する規程に定められた事項の遵守状況を定期的に確認し、確認の結果、適切でない事例が認められる場合は、必要な指導を行うとともに、当該事例を病院の各部署に通知し、又は研修で取り上げるなどして、適切に説明が行われるようにすること。
キ 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第五号に規定する「診療録等の管理に関する責任者」は、診療録等の記載内容等の確認を定期的に行い、十分でない事例が認められる場合は、必要な指導を行うとともに、当該事例を病院の各部署に通知し、又は研修で取り上げるなどして、適切に診療録等の管理が行われるようにすること。
ク 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第六号に規定する「医療安全管理部門」は、医療安全管理委員会で決定された方針に基づき、組織横断的に当該病院における医療に係る安全管理業務に関する企画立案及び評価、病院内における医療安全に関する職員の安全管理に関する意識の向上や指導等の業務を行うものであり、次に掲げる基準を満たす必要があること。
(ア) 「専従」とは、医療安全管理部門の業務に専ら従事していることをいうものとし、常勤で雇用されている職員において、その就業時間の八割以上を当該業務に従事している場合とすること。
(イ) 専従の構成員は、特定機能病院の臨床業務の管理運営上重要な役割を担っていることを踏まえ、臨床業務に係る十分な知識と技能及び当該病院の医療安全確保を図る上で優れた識見、意欲を有する者とすると共に、当該病院は、当該医療安全業務の専従経験を将来にわたって生かせるよう、従事経験を適正に評価するよう配慮すること。
(ウ) 構成員は、当該病院の医療安全管理委員会に出席すること。
(エ) 歯科診療に関連する医療安全に係る事案が発生した場合には、歯科医師が適切に関与できる体制を確保すること。
ケ 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第六号に掲げる「医療安全管理部門」の業務については、次のことに留意すること。
(ア) 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第六号イに規定する「医療安全管理委員会に係る事務」とは、医療安全管理委員会で用いられる資料及び議事録の作成及び保存、その他医療安全管理委員会の庶務に関することを指すこと。
(イ) 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第六号ロに規定する「事故その他の医療安全管理部門において取り扱うことが必要なものとして管理者が認める事象」の基準については、医療安全管理委員会において検討し、管理者が定めるものとすること。
(ウ) 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第六号ホに規定する「医療に係る安全の確保に資する診療の状況の把握」とは、手術時の血栓予防策実施率のモニタリング等、医療安全管理委員会において定める医療安全に資する診療内容についてのモニタリングを平時から行うことをいうこと。
(エ) 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第六号ホに規定する「従事者の医療の安全に関する意識の向上の状況の確認」とは、医療安全管理委員会において定める、全職員の医療安全に関する研修の受講状況等の従事者の医療安全の認識についてのモニタリングを平時から行うことをいうこと。
コ 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第七号に規定する高難度新規医療技術を用いた医療を提供する場合に講ずる措置については、「医療法施行規則第9条の20の2第1項第7号ロの規定に基づき高難度新規医療技術について厚生労働大臣が定める基準について」(平成二十八年六月十日医政発〇六一〇第二一号:厚生労働省医政局長通知)を参照すること。
サ 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第八号に規定する未承認新規医薬品等を用いた医療を提供する場合に講ずる措置については、「医療法施行規則第9条の20の2第1項第8号ロの規定に基づき未承認新規医薬品等を用いた医療について厚生労働大臣が定める基準について」(平成二十八年六月十日医政発〇六一〇第二四号:厚生労働省医政局長通知)を参照すること。
シ 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第九号に規定する「医療に係る安全管理に資するため」の措置を講ずるに当たっては、次のことに留意すること。
(ア) 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第九号イの報告の対象となる事項については、行った医療等に起因するか否か、また、当該事例を予期していたか否かは問わないこと。
(イ) 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第九号イ(2)に規定する「管理者が定める水準以上の事象」とは、管理者が定める水準以上の処置や治療を要した事象であり、軽微な処置や治療を必要とした事象は含まないこと。
(ウ) 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第九号ロ(1)に規定する「イの規定による報告の実施の状況の確認」の際、必要な検証を行うものとすること。
ス 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第十号に規定する「他の特定機能病院等の管理者と連携し」講ずる特定機能病院等従業者の相互立入に当たり、特定機能病院等の管理者は、次のことに留意しなければならないこと。
(ア) 他の特定機能病院等に立ち入る従業者に、医療安全管理責任者又はその代理者を含めること。
(イ) 別に定める「特定機能病院等医療安全連絡会議」に、従業者の相互立入の結果やその他の医療安全管理に係る取組を報告すること。
セ 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第十号イ及びロに規定する「技術的助言」とは、次に掲げる事項その他の医療安全の観点から必要な事項等に関するものであること。
(ア) インシデントやアクシデントの報告等の状況(報告、分析、改善策の立案及び実施等
(イ) 医療安全管理委員会の業務の状況
(ウ) 医薬品等の安全使用体制の状況(医薬品安全管理責任者の業務等)
(エ) 高難度新規医療技術又は未承認新規医薬品等を用いた医療の提供の適否等を決定する部門の運用状況
(オ) 監査委員会の業務の結果及び監査委員会からの指摘への対応状況
ソ 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第十一号に規定する「患者からの安全管理に係る相談に適切に応じる体制を確保すること」とは、当該病院内に患者相談窓口を常設し、患者等からの苦情、相談に応じられる体制を確保するものであり、次に掲げる基準を満たす必要があること。また、これらの苦情や相談は医療機関の安全対策等の見直しにも活用されるものであること。
(ア) 患者相談窓口の活動の趣旨、設置場所、担当者及びその責任者、対応時間等について、患者等に明示されていること。
(イ) 患者相談窓口の活動に関し、相談に対応する職員、相談後の取扱、相談情報の秘密保護、管理者への報告等に関する規約が整備されていること。
(ウ) 相談により、患者や家族等が不利益を受けないよう適切な配慮がなされていること。
タ 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第十二号に規定する職員研修では、インシデント・アクシデント報告の流れ、医療安全に係る具体的事例の改善策等について取り上げることが望ましいこと。また、研修実施後にe―learningなどを活用して、研修実施後の学習効果の測定を実施することが望ましいこと。
チ 医療法施行規則第九条の二十の二第一項第十三号に規定する「医療に係る安全管理のための研修」とは、病院の医療安全管理体制を確保するために、各職種が当該業務を適切に行うための知識及び技術を習得することを目的として管理者、医療安全管理責任者、医薬品安全管理責任者及び医療機器安全管理責任者を対象に適切に行われるものとすること。
ツ 令和三年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の二十の二第一項第十三号の二に規定する「特定機能病院における医療の安全の確保に資すると認められる方法により医療機関内における事故の発生の防止に係る第三者による評価」とは、特定機能病院に求められる医療安全の確保に資する広域を対象とする第三者評価であり、具体的には以下の第三者評価が該当すること。
(ア) 公益財団法人日本医療機能評価機構が実施する病院機能評価のうち、一般病院3による評価
(イ) Joint Commission Internationalが実施する、JCI認証による評価
(ウ) ISO規格に基づく、ISO 9001認証による評価
テ 令和三年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の二十の二第一項第十三号の二に規定する「評価及び改善のため講ずべき措置の内容を公表」することについては、第三者評価の結果と、改善のために講ずべき内容について、ホームページで公表することが望ましいこと。ただし、ホームページを有しない場合には、事務所に備えて置くこと等により一般の閲覧に供していることでも差し支えないこと。
ト 令和三年改正省令施行の際、現に医療法第四条の二第一項の規定により承認を受けている特定機能病院であって公益財団法人日本医療機能評価機構が実施する一般病院2の認定を受けている病院については、認定の更新までの間、令和三年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の二十の二第一項第十三号の二の規定を満たしていると見なして差し支えないこと。ただし、当該一般病院2の評価及び改善のため講ずべき措置の内容を公表し、並びに当該評価を踏まえ必要な措置を講ずるよう努めることが求められること。また、更新の際には、ツ(ア)~(ウ)のいずれかの第三者評価を受けることが求められること。
ナ 令和三年改正省令施行の際、現に医療法第四条の二第一項の規定により承認を受けている特定機能病院であって、特定機能病院における医療の安全の確保に資すると認められる方法により医療機関内における事故の発生の防止に係る第三者による評価を受けていないものについては、第三者評価を受けるための計画を記載した書類を提出した場合に限り、令和四年四月一日までの間(当該計画に基づき第三者評価を受けることとなったときまでの間)は、なお従前の例による。その際の作成様式は、様式第八のとおりであること。
(4) 医療法施行規則第九条の二十第一項第二号イに規定する「特定機能病院以外の病院以外では通常提供することが難しい診療に係る技術の研究及び開発を行うこと」とは、当該特定機能病院に所属する医師等の行う研究が、国若しくは地方公共団体又は一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第五十号)による改正前の民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定に基づき設立された法人若しくは一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)の規定に基づき設立され、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第四条の認定を受けた法人から補助金の交付又は委託を受けたものであること並びに当該特定機能病院に所属する医師等が発表した英語による論文の数が年間七十件以上であること及び次に掲げる基準を満たすことを意味するものであること。なお、「英語による論文」とは、筆頭著者の所属先が当該特定機能病院である論文であり、査読のある学術雑誌に掲載されたものに限るものであること。ただし、実態上、当該特定機能病院を附属している大学の講座等と当該特定機能病院の診療科が同一の組織として活動を行っている場合においては、筆頭著者の所属先が大学の当該講座等であっても、論文の数の算定対象に含めるものであること(筆頭著者が当該特定機能病院に所属している場合に限る)。
ア 臨床研究の実施又は継続の適否その他臨床研究に関し必要な事項について、被験者の人間の尊厳、人権の尊重その他の倫理的観点及び科学的観点から調査審議するための倫理審査委員会が設置されていること。
イ 利益相反(Conflict of Interest:以下「COI」という。)の管理に関する規定の策定、COI委員会の設置など、COIの管理について適切な措置を講じていること。
ウ 院内の医療従事者に対して臨床研究の倫理に関する講習その他必要な教育を受けることを確保するために必要な措置を講じていること。
(5) 医療法施行規則第九条の二十第一項第二号ロに規定する「医療技術の有効性及び安全性を適切に評価すること」とは、医療技術による治療の効果、患者の侵襲の程度等を勘案し、当該技術を実際に用いることの是非等を判定することを意味するものであること。
(6) 医療法施行規則第九条の二十第一項第三号に規定する「高度の医療に関する臨床研修(医師法第十六条の二第一項及び歯科医師法第十六条の二第一項の規定によるものを除く。)を適切に行わせること」とは、医師法及び歯科医師法の規定による臨床研修を修了した医師及び歯科医師に対する専門的な研修を実施することを意味するものであり、次に掲げる基準を満たすこと。また、医師、歯科医師以外の医療従事者についても、研修プログラム等を作成して、高度な医療等に関する研修を行うことが望まれること。特に、高度な医療の提供に当たっては、業務が適切に管理されていることが求められるため、医師及び歯科医師を含めた全ての医療従事者に対して業務の管理に関する研修を行うことが望まれること。
① 当該専門的な研修を受ける医師及び歯科医師の数が、年間平均三十人以上であること。
② 医療法施行規則第六条の四第一項に規定する診療科ごとに、研修プログラムを管理し、研修を統括する者(以下「研修統括者」という。)を置くこと。
③ 研修統括者は、担当する診療領域における臨床経験を十年以上有していること。
(7) 医療法施行規則第九条の二十第一項第三号において、高度の医療に関する臨床研修を特定機能病院の管理者の業務として規定していることは、当該病院が医師法及び歯科医師法の規定による臨床研修その他の研修を実施することを妨げる趣旨ではないこと。
(8) 医療法施行規則第九条の二十第一項第四号に規定する「診療並びに病院の管理及び運営に関する諸記録の管理に関する責任者及び担当者」は、専任の者を配置することが望ましいこと。
(9) 医療法施行規則第九条の二十第一項第四号に規定する諸記録の管理方法は、病院の実情に照らし適切なものであれば、必ずしも病院全体で集中管理する方法でなくとも差し支えないものであること。ただし、診療録を病院外に持ち出す際に係る指針の策定等の適切な管理を行うこと。また、分類方法についても、病院の実情に照らし、適切なものであれば差し支えないものであること。
(10) 医療法施行規則第九条の二十第一項第五号に規定する「診療並びに病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧に関する責任者及び担当者」は、業務が適切に実施されていれば、必ずしも専任の者でなくとも差し支えないものであること。
(11) 医療法施行規則第九条の二十第一項第五号に規定する「閲覧の求めに応じる場所」は、閲覧に支障がなければ、必ずしも閲覧専用の場所でなくとも差し支えないものであること。なお、閲覧に供することによって諸記録が散逸することのないよう、十分に留意する必要があるものであること。
(12) 医療法施行規則第九条の二十第一項第六号イに規定する「紹介患者の数」、「救急用自動車によつて搬入された患者の数」及び「初診の患者の数」の値は、それぞれ、次のものを指すものであること。
紹介患者の数:初診患者のうち、他の病院又は診療所から紹介状により紹介されたものの数(次の①及び②の場合を含む。)
① 紹介元である他の病院又は診療所の医師からの電話情報により、特定機能病院の医師が紹介状に転記する場合
② 他の病院、診療所等における検診の結果、精密検診を必要とされた患者の精密検診のための受診で、紹介状又は検査票等に、紹介目的、検査結果等についての記載がなされている場合(①と同様、電話情報を特定機能病院の医師が転記する場合を含む。)
救急用自動車によつて搬入された患者の数:地方公共団体又は医療機関に所属する救急自動車により搬入された初診の患者の数(搬入された時間は問わない。)
初診の患者の数:患者の傷病について医学的に初診といわれる診療行為があった患者の数(休日又は夜間に受診した患者及び自他覚的症状がなく健康診断を目的とする当該病院の受診により疾患が発見された患者について特に治療の必要性を認めて治療を開始した患者を除く。)
(13) 医療法施行規則第九条の二十第一項第七号イに規定する「他の病院又は診療所に紹介した患者の数」及び「初診の患者の数」の値は、それぞれ、特定機能病院の医師が、紹介状により他の病院又は診療所に紹介した患者の数(次に掲げる場合を含む。)及び患者の傷病について医学的に初診といわれる診療行為があった患者の数(休日又は夜間に受診した患者及び自他覚的症状がなく健康診断を目的とする当該病院の受診により疾患が発見された患者について特に治療の必要性を認めて治療を開始した患者を除く。)を指すものであること。
ア 当該特定機能病院での診療を終えた患者を、電話情報により他の病院又は診療所に紹介し、紹介した特定機能病院の医師において、紹介目的等を診療録等に記載する場合
イ 他の病院又は診療所から紹介され、当該特定機能病院での診療を終えた患者を紹介元である他の病院又は診療所に返書により紹介する場合(アと同様に電話情報による場合を含む。)
(14) (12)及び(13)において、「休日」とは日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)第三条に規定する休日、一月二日及び三日並びに一二月二九日、三十日及び三十一日をいい、「夜間」とは、午後六時から翌日の午前八時まで(土曜日の場合は、正午以降)をいうものであること。
(15) (12)及び(13)において、紹介状には、紹介患者の氏名、年齢、性別、傷病名又は紹介目的、紹介元医療機関名、紹介元医師名、その他紹介を行う医師において必要と認める事項を記載しなければならないものであること、なお、紹介状の様式としては、診療報酬点数表において診療情報提供料を算定する場合の所定の文書として定められている様式を用いることが望ましいものであること。
(16) 医療法施行規則第九条の二十第一項第六号ロに規定する紹介率に係る年次計画については、計画期間経過後になお紹介率が五十%に達していない場合は、五十%に達するまで、引き続き年次計画を作成し、前の年次計画の計画期間終了後速やかに厚生労働大臣に提出しなければならないものであること。その際の作成様式は、様式第8のとおりであること。
(17) 承認当初において紹介率が五十%以上であった病院が、その後に紹介率が五十%に満たなくなった場合にあっては、(16)に準じ、五十%に満たなくなった年度の次年度からの年次計画を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならないものであること。
(18) 紹介率に係る年次計画書は、正本一通、副本一通を厚生労働省医政局総務課に送付するものであること。
(19) 仮に、紹介率に係る五年間の年次計画書が達成されない場合であっても、紹介率を向上させるために合理的な努力を行ったものと認められる場合には直ちに特定機能病院の承認の取り消しを行うことは想定されないものであり、その際の具体的な取り扱いについては、社会保障審議会の意見を聴いて定めるものであること。
(20) 医療法施行規則第九条の二十第一項第七号ロに規定する逆紹介率に係る年次計画については、計画期間経過後になお逆紹介率が四十%に達していない場合は、四十%に達するまで、引き続き年次計画を作成し、前の年次計画の計画期間終了後速やかに厚生労働大臣に提出しなければならないものであること。その際の作成様式は、様式第8のとおりであること。
(21) 承認当初において逆紹介率が四十%以上であった病院が、その後に逆紹介率が四十%に満たなくなった場合にあっては、(20)に準じ、四十%に満たなくなった年度の次年度からの年次計画を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならないものであること。
(22) 逆紹介率に係る年次計画書は、正本一通、副本一通を厚生労働省医政局総務課に送付するものであること。
(23) 仮に、逆紹介率に係る五年間の年次計画書が達成されない場合であっても、逆紹介率を向上させるために合理的な努力を行ったものと認められる場合には直ちに特定機能病院の承認の取り消しを行うことは想定されないものであり、その際の具体的な取り扱いについては、社会保障審議会の意見を聴いて定めるものであること。
(24) 特定機能病院においては、紹介患者に係る医療を円滑に実施するため、病院内に地域医療の連携推進のための委員会等(病院内の関係者を構成員とすることでも可。)を設けることが望ましいものであること。
(25) 特定機能病院については、「高度の医療の提供」、「高度の医療技術の開発及び評価」及び「高度の医療に関する研修」の三つの機能について専門性の高い対応を行う観点から、次に掲げる取組を行うことが望ましいものであること。
ア 住民及び患者が医療機関を適切に選択できるよう、その果たしている役割を地域住民に対して、適切に情報発信すること。
イ 複数の診療科が連携して対応に当たる体制を有すること。
(26) 医療法等の一部を改正する法律(平成二十九年法律第五十七号)による改正後の医療法十六条の三第二項に規定する「当該管理者並びに当該特定機能病院に勤務する医師、歯科医師、薬剤師及び看護師その他の者をもつて構成する合議体」について、特定機能病院の開設者は、次のことに留意しなければならないこと。
ア 合議体は多職種で構成されるという趣旨であり、全ての職種が合議体に参画することは必須ではないこと。
イ 合議体が外部有識者の意見を聴くことも有益であることから、必要に応じて外部有識者を参画させることを検討すること。
7 開設者の業務遂行
(1) 医療法施行規則第十五条の四第一号に規定する「管理者が有する当該病院の管理及び運営に必要な人事及び予算執行権限」について明確化するに当たり、特定機能病院の開設者は、次のことに留意しなければならないこと。
ア 管理者が有する権限について一律に定めることは、それぞれの法人形態が異なるため困難であるが、医療提供の責任者である管理者が、病院の管理運営に必要な指導力を発揮し、医療安全等を確保できるよう、必要な権限を有するべきであること。
イ 管理者のみで病院の管理運営状況を把握するには限界があるため、副院長に加え、院長補佐、企画スタッフ等、管理者をサポートする体制を充実・強化していくことが重要である。その際、外部有識者の意見を聴くことも有益であることから、必要に応じて外部有識者を参画させることを検討すること。
ウ 管理者をサポートする体制については、病院の内部規程上、副院長等の役割を明確化すること。
エ 病院のマネジメントを担う人員については、病院の管理運営に精通するよう、適切な人事・研修による育成を図っていくこと。
(2) 医療法施行規則第十五条の四第二号イに規定する「利害関係のない者」とは、以下の条件を満たす者を基本とすること。
ア 過去十年以内に当該病院と雇用関係にないこと。
イ 委員に属する年度を含む過去三年度の期間において、年間五十万円を超える額の寄付金・契約金等(監査委員会に係る費用を除く。)を当該病院から受領していないこと。
(3) 医療法施行規則第十五条の四第二号ロ(1)に規定する「医療に係る安全管理に関する識見を有する者」とは、医療機関において医療安全に関する業務に従事した経験を持つ者又は医療安全に係る研究に従事した経験を有する者であること。
(4) 医療法施行規則第十五条の四第二号ロ(1)に規定する「法律に関する識見を有する者」とは、法律学に関する専門知識に基づいて、教育、研究又は業務を行っている者を意味するものであること。
(5) 医療法施行規則第十五条の四第二号ロ(2)に規定する「医療を受ける者その他の医療従事者以外の者」とは、医療等の内容及び説明並びに同意文書が一般的に理解できる内容であるか等、医療を受ける者の立場から意見を述べることができる者を意味するものであること。なお、当該者については、医療安全管理についての知識を有することが望ましいこと。
(6) 特定機能病院の開設者は、医療法施行規則第十五条の四第二号ハに規定する監査委員会の開催の際は、議事録を作成し保存すること。
(7) 医療法施行規則第十五条の四第二号ニ(3)に規定する「結果を公表すること」については、監査委員会は当該病院の監査で確認された事項について、ホームページで公表することが望ましいこと。ただし、ホームページを有しない場合には、事務所に備えて置くこと等により一般の閲覧に供していることでも差し支えないこと。
(8) 医療法施行規則第十五条の四第一項第三号イに規定する「特定機能病院の管理者の業務が法令に適合することを確保するための体制」については、特定機能病院の開設者は、法令に適合することを確保するための専門部署の設置や内部規程の整備等、体制の構築のみならず、法令の遵守状況を踏まえて取組の有効性を検証し、適時に見直しを行うこと。
(9) 医療法施行規則第十五条の四第三号ロに規定する「特定機能病院の開設者又は理事会等による当該特定機能病院の業務の監督に係る体制」の整備に当たり、特定機能病院の開設者は、次のことに留意しなければならないこと。
ア 法人のガバナンス構造によっては、理事会等とは別に、病院の管理運営の状況を点検する会議体を設置し、予算執行状況等、病院の管理運営に関する重要事項について監督すること。例えば、医学部以外の多くの学部を複数有する総合大学等においては、開設者各法人の判断として理事会等とは別に設置することを検討すること。
イ 病院の管理運営の状況を点検する会議体を設置する場合、会議体の委員の半数を超える者は、当該病院と利害関係のない者から選任すること。利害関係のない者とは、監査委員会に関する規定に準じること。
ウ 法人の理事会等の会議において、病院運営に関する重要事項が審議・決定される際には、管理者を参画させる等により、病院側の意向を十分に聴取できるよう配慮すること。
(10) 医療法施行規則第十五条の四第四号に規定する「医療安全管理の適正な実施に疑義が生じた場合等の情報提供を受け付けるための窓口を設置する」際には、情報提供者が単に情報提供したことを理由に不利益な取扱いを受けることのないよう留意し、適切な運用を行うこと。なお、窓口の設置については、病院外の適切な機関に設置しても差し支えないこと。
8 人員配置
(1) 従業者の員数の算定に当たっては、非常勤の者は、当該病院の常勤の従業者の通常の勤務時間により常勤換算するものであること。
(2) 従業者の員数の算定に当たっては、当該病院と雇用関係にない者の員数は含めないものであること。
(3) 従業者の員数の算定に当たっては、同一組織における他の施設の職員を兼任している者については、勤務の実態、当該病院において果たしている役割等を総合的に勘案して評価するものであること。
(4) 医療法施行規則第二十二条の二第一項第一号に規定する医師の員数の算定に当たっては、医師免許取得後二年以上経過していない医師の員数は含めないものであること。
(5) 医療法施行規則第二十二条の二第一項第二号に規定する「歯科、矯正歯科及び小児歯科の外来患者についての病院の実状に応じて必要と認められる数」とは、歯科の外来患者がいる場合には最低限度として一名の歯科医師の配置が必要との趣旨であること。
(6) 医療法施行規則第二十二条の二第一項第三号において、薬剤師の員数として入院患者数に対する員数と調剤数に対する員数が規定されているが、これは、それぞれの員数を加算する旨ではなく、員数について二つの尺度を示したものであること。
(7) 医療法施行規則第二十二条の二第一項第三号において、薬剤師の員数として調剤数八十又はその端数を増すごとに一を標準としていることについては、特定機能病院以外の病院と同様の取り扱いとする趣旨であること。標準の員数を満たしていない病院にあっては、改善に向けた考え方を厚生労働大臣に提出するものであること。
(8) 医療法施行規則第二十二条の二第一項第六号に規定する「病院の実状に応じた適当数」については、具体的な数は定まっていないものであること。
(9) 医療法施行規則第二十二条の二第三項に規定する専門の医師については、「広告が可能な医師等の専門性に関する資格名等について」(平成十九年六月十八日付け医政総発〇六一八〇〇一号医政局総務課長通知)の別紙において広告することが可能とされている「整形外科専門医」、「皮膚科専門医」、「麻酔科専門医」、「放射線科専門医」、「眼科専門医」、「産婦人科専門医」、「耳鼻咽喉科専門医」、「泌尿器科専門医」、「総合内科専門医」、「外科専門医」、「救急科専門医」、「小児科専門医」、「脳神経外科専門医」又は「精神科専門医」を指すものであること。
9 構造設備・記録
(1) 医療法施行規則第二十二条の三第一号に規定する「集中治療管理を行うにふさわしい広さ」とは、一病床当たり一五m2程度を意味するものであること。
(2) 医療法施行規則第二十二条の三第一号に規定する「人工呼吸装置その他の集中治療に必要な機器」とは、人工呼吸装置のほか、人工呼吸装置以外の救急蘇生装置、心電計、心細動除去装置、ペースメーカー等を想定しているものであること。
(3) 医療法施行規則第二十二条の三第二号に規定する病院日誌、各科診療日誌、処方せん、手術記録、検査所見記録及びエックス線写真並びに同条第三号に規定する入院患者及び外来患者の数を明らかにする帳簿については、第二十条第十一号に規定する諸記録と同じものであること。
(4) 医療法施行規則第二十二条の四に規定する「無菌状態の維持された病室」とは、免疫状態の低下した患者が細菌感染を起こさないよう、細菌が非常に少ない環境で診療を行うことができる病室を意味するものであること。なお、病室全体がいわゆる無菌病室になっているものでなくとも、無菌状態を維持するための機器(無菌テント等)を備えていれば差し支えないものであること。
(5) 細菌が非常に少ない環境とは、空気清浄度がクラス一万以下程度の環境を想定しているものであること。
(6) 医療法施行規則第二十二条の四に規定する「医薬品情報管理室」は、医薬品に関する情報の収集、分類、評価及び提供を行う機能を備えていれば、他の用途の室と共用することは差し支えないものであること。
(7) 特定機能病院においては、救急用又は患者輸送用自動車を備えていることが望ましいものであること。
10 特定の領域に関し高度かつ専門的な医療を提供する特定機能病院
がん、循環器疾患その他の国民の健康に重大な影響のある疾患に関し、高度かつ専門的な医療を提供する特定機能病院の承認等に際しては、2から7までのほか、次に掲げるとおりとすること。なお、次に掲げる事項に関連する2から7までの一部の事項については適用しないこととすること。
(1) 標榜する診療科については、医療法施行規則第六条の四第四項の規定によるものとすること。
(2) 医療法施行規則第九条の二十第一項第一号イに規定する「特定機能病院以外の病院では通常提供することが難しい診療」は、5の(1)に記載されている事項に加え、特に先駆的な診療(他の医療機関ではあまり実施されておらず、既存の治療方法では十分な治療を行うことが困難な患者について高い治療効果が期待される治療等)を行っているものとすること。
(3) 医療法施行規則第九条の二十第一項第三号に規定する「高度の医療に関する臨床研修(医師法第十六条の二第一項及び歯科医師法第十六条の二第一項の規定によるものを除く。)を適切に行わせること」は、5の(6)に記載されている事項に加え、日本全国の医療機関に勤務する医療従事者を対象とした専門的な人材育成を行うものとすること。
(4) 医療法施行規則第九条の二十第一項第六号イに規定する紹介率及び同項第七号イに規定する逆紹介率については、同条第二項の規定により、それぞれ、八十%以上、六十%以上とすること。
(5) 医療法施行規則第六条の四第一項に規定する診療科のうち、標榜を行っている診療科ごとに、研修統括者を配置すること。
(6) その有する能力に鑑み、救急患者に対して必要な医療を提供する体制が確保されていることが望ましいものであること。
11 その他
特定機能病院制度は、特定機能病院と他の地域医療機関が患者の紹介等を通じて緊密に連携し、かつ、患者が適切な受療行動をとることによって、その趣旨が生かされるものであることから、貴職におかれても、地域の医療関係者及び患者に対して制度の趣旨を十分に周知徹底するよう特段の配慮をお願いするものであること。
第二 療養型病床群に関する事項
1 趣旨
療養型病床群制度は、人口の高齢化等に対応し、医療施設機能の体系化の一環として、人員配置、構造設備等において、主として長期にわたり療養を必要とする患者を収容するためにふさわしい療養環境を有する一群の一般病床を療養型病床群として許可するものであり、この許可は、療養型病床群を設けようとする病院の申請に基づいて行うものであること。
2 療養型病床群への収容
(1) 療養型病床群への収容が想定される患者の疾病としては、例えば高血圧症、脳血管疾患、慢性関節リウマチ、慢性腎疾患等の疾患が想定されるものであること。なお、療養型病床群への収容の適否は疾病名によって一律に規定されるものではなく、当該患者の病状が安定しているという担当医師の判断によるものであること。
(2) 療養型病床群への収容の適否の判断に当たっては、当該患者の入院期間によって一律に取り扱うことがあってはならないものであること。
(3) 療養型病床群は、長期にわたり療養を必要とする、病状が安定した患者を主に収容するものであるが、病床の利用状況等の事情からやむを得ず病状の安定していない患者を療養型病床群に一時的に収容することは差し支えないものであること。
(4) 療養型病床群に新生児を収容することは想定されていないものであること。
(5) 療養型病床群は、長期にわたり療養を必要とする患者を収容するための病床として制度化したものであり、入院加療の必要のない患者を長期にわたり収容することを目的としてはいないものであること。
3 許可
(1) 療養型病床群を有する病院としては、療養型病床群のみから成る病院と療養型病床群とそれ以外の病床を有する病院の両方が想定されるものであること。
(2) 療養型病床群に一時的に歯科の入院患者を収容することは差し支えないが、本来的に歯科の入院患者を想定した病床ではないため、歯科医業のみを行う病院に対する療養型病床群の許可は、想定されていないものであること。
(3) 療養型病床群を設けることに関して許可を与える際には、療養型病床群に係る病室及びその利用に係る施設(療養型病床群に係る病室に隣接する廊下、機能訓練室、談話室、食堂及び浴室)を平面図上明示させるとともに、当該療養型病床群が、新省令の本則のみの適用を受けるものであるか、改正省令附則に規定する経過措置の適用を受けるものであるか、識別できるようにするものとすること。
(4) 新省令第一九条の二に規定する療養型病床群を有する病院の人員配置は、病院全体としてのものであるが、制度の趣旨に鑑み、療養型病床群に収容されている患者の看護を担当するために、療養型病床群の入院患者の数が六又はその端数を増すごとに一人以上の看護婦及び准看護婦並びに療養型病床群の入院患者の数が六又はその端数を増すごとに一人以上の看護補助者が配置されていることを勤務表等から確認した上で許可を行う取り扱いとするものであること。
4 人員配置
(1) 新省令第一九条の二第一項第五号に規定する「看護補助者」とは、医師、看護婦等の指示に基づき、看護の補助として介護に当たる者を意味し、特段の公的な資格を必要とはしないものであること。
(2) 病院の実状により、看護婦又は准看護婦を看護補助者として計算することは、何ら差し支えないものであること。
(3) 療養型病床群を設ける許可を与える際の人員配置の算定基礎となる入院患者数及び外来患者数については、次により取り扱うものであること。
① 前年度の入院患者数及び外来患者数の平均値が算出可能な場合にあっては、入院患者数については、療養型病床群とそれ以外の病床のそれぞれの病床数により前年度の平均入院患者数を按分するものとし、外来患者数については、前年度の平均外来患者数をそのまま用いるものとすること。
② 前記①以外の場合にあっては、患者収容予定数等を推計値として用いるものとすること。
5 構造設備等
(1) 新省令第二〇条第一二号に規定する「必要な器械、器具」とは、訓練マットとその附属品、姿勢矯正用鏡、車椅子、各種杖、各種測定用具(角度計、握力計等)を想定しているものであること。
(2) 機能訓練室、談話室、食堂及び浴室は、療養型病床群以外の病床に収容されている患者と共用するものであっても差し支えないものであること。
(3) 患者の利用に支障がなければ、食堂等を談話室として用いても差し支えないものであること。
(4) 新省令第二一条第二項第一号に規定する「療養型病床群の入院患者同士や入院患者とその家族が談話を楽しめる広さ」については、具体的な面積を規定するものではないが、療養型病床群に収容されている患者数を勘案して適切な広さを確保するよう指導されたいこと。
(5) 新省令第二一条第二項第三号に規定する「身体の不自由な者が入浴するのに適したもの」とは、特殊浴槽を設けるか、又はそうでない場合には、通常の浴槽等に必要な工夫を施すことにより、入浴することが可能となるような構造とすることをいうものであること。
(6) 療養型病床群の廊下には適当な手摺りを両側に設けることが望ましいが、その際には、手摺りは廊下の幅に含めて差し支えないものであること。
6 特例許可に関する取り扱い
(1) 改正政令により、療養型病床群を有する病院においても、医療法第二一条第一項ただし書に基づく都道府県知事の許可(以下「特例許可」という。)を受けることにより、新省令第一九条の二に規定する人員配置の標準によらないことができるものであること。その際の許可準則は、平成五年二月一五日厚生省発健政第二〇号厚生事務次官通知による改正後の昭和三三年一〇月二日厚生省発医第一三二号厚生事務次官通知及び昭和五八年一月二〇日厚生省発医第一一号厚生事務次官通知(以下「五八年通知」という。)であること。
(2) 療養型病床群は、医療法(昭和二三年法律第二〇五号。以下「法」という。)第七条第二項にいうその他の病床の一群であることから、精神病床、伝染病床、結核病床及びらい病床については、療養型病床群としての許可はできないものであること。
(3) 療養型病床群が五八年通知にいう老人病棟の基準を満たすものであっても、同一の病棟に対して、療養型病床群としての許可と老人病棟としての特例許可とを重ねて行うことはできないものであること。
(4) 老人病棟の一部を療養型病床群に転換する場合においては、当該許可申請に併せて特例許可の変更許可申請を行うことが必要であること。
(5) 老人病棟をすべて療養型病床群に転換する場合にあっては、当該許可申請に際してその旨を申し出させるとともに、療養型病床群を設ける許可と併せて特例許可の取り消しを行うものであること。
7 経過措置
(1) 改正省令附則第二条に規定する「病床転換による療養型病床群」とは、平成五年四月一日の時点で既に開設許可を受けている病院の、平成五年四月一日の時点で現存する建物内の病床を転換して設ける療養型病床群をいうものであること。
(2) 平成五年四月一日の時点で現存する建物には、建設中の建物で、基礎工事に着手しており、基本的な構造設備(各室の間取り、柱の位置等)の変更が不可能な状態にあるものを含むものであること。
(3) 平成五年四月一日の時点以降に増築された部分については、当該部分が平成五年四月一日の時点で現存する建物と廊下等で連絡していても、平成五年四月一日の時点で現存する建物には含まれないものであること。
(4) 平成五年四月一日の時点で現存する建物を平成五年四月一日以降に取り壊して全面的に建て替えた場合にあっては、病床転換による療養型病床群として経過措置に係らしめることはできないものであること。なお、工期を分けて逐次建て替えた場合にあっても、建て替えの完了した部分については、経過措置に係らしめることはできないものであること。
(5) 病床転換による療養型病床群に係る病室の床面積の測定に当たっては、内法による測定でなく、図面上、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により、患者一人当たり六・〇m2以上の床面積が確保されていれば差し支えないものであること。
(6) 改正省令附則第五条に規定する「病床転換による療養型病床群を有する病院」には、平成五年四月一日以降に新築(既存の建物との間に連絡通路等が設けられていない場合をいう。以下同じ。)、増築又は全面的な改築がなされた部分の建物に療養型病床群を設ける病院は含まれないものであること。したがって、そのような病院の場合は、改正省令附則第五条及び第六条の規定は適用されないものであること。
(7) 改正省令附則第五条にいう「機能訓練を行うために十分な広さ」とは、内法による測定で四〇m2以上の床面積を必要とせず、機能訓練に支障がなければ差し支えない趣旨であること。
(8) 病床転換による療養型病床群を有する病院(改正省令附則第五条及び第六条の規定の適用を受けるものに限る。)が、療養型病床群を設けない建物について新築、増築又は全面的な改築を行う場合にあっては、当該部分に新省令第二〇条第一二号の規定に適合する機能訓練室並びに談話室、食堂及び浴室を極力設置するよう、指導されたいこと。
第三 業務委託に関する事項
1 業務委託全般について
(1) 趣旨
病院、診療所又は助産所の管理者は、医療法等の一部を改正する法律(平成二十九年法律第五十七号。以下「平成二十九年改正法」という。)による改正後の医療法第十五条の三第一項及び新政令第四条の七各号に掲げる業務を委託する場合には、業務の種類に応じ、それぞれ医療法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の一部を改正する省令(平成三十年厚生労働省令第九十三号。以下「平成三十年改正省令」という。)による改正後の医療法施行規則第九条の八及び第九条の九から第九条の十五までに規定する基準に適合する者に委託しなければならないものであること。
(2) 受託者の選定
病院、診療所又は助産所の管理者は、平成二十九年改正法による改正後の医療法第十五条の三第一項及び新政令第四条の七各号に掲げる業務を委託しようとする場合には、受託者の有する標準作業書、業務案内書等により、当該受託者が、業務の種類に応じ、それぞれ平成三十年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の八及び第九条の九から第九条の十五までに規定する基準に適合する者であることを確認した上で、受託者を選定すること。
(3) 標準作業書及び業務案内書
標準作業書は、受託業務の適正化及び標準化を図るためのものであり、業務案内書は、受託する業務の内容、方法等を明確にするためのものであること。また、受託者は、医療機関から標準作業書又は業務案内書の開示の求めがあった場合には、速やかに提示することができるよう、標準作業書及び業務案内書を整備しておくものであること。
(4) 労働者派遣契約との関係
平成二十九年改正法による改正後の医療法第十五条の三第一項及び新政令第四条の七各号に掲げる業務の委託は、請負契約に基づく業務委託であって、労働者派遣契約とは異なるものであるので、病院、診療所又は助産所の管理者は、業務委託に際し、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和六十一年四月労働省告示第三十七号)」に留意されたいこと。
2 検体検査の業務(新省令第九条の八関係)
(1) 人員に関する事項
ア 受託業務の責任者(以下「受託責任者」という。)について
新省令第九条の八第一項第一号に規定する相当の経験とは、原則として三年以上の検査業務についての実務経験をいうものであること。
イ 受託業務を指導監督するための医師(以下「指導監督医」という。)について
新省令第九条の八第一項第一号に規定する指導監督医は、検査業務について三年以上の実務経験を有する者であること。
なお、受託責任者として、受託業務を行う場所に医師が配置されている場合には、指導監督医が選任されていることは要しないこと。
ウ 従事者について
新省令第九条の八第一項第二号に規定する必要な数とは、受託する検査の種類、数等の実情に応じた必要数をいうものであること。
エ 専ら精度管理を職務とする者(以下「精度管理責任者」という。)について
(ア) 新省令第九条の八第一項第三号に規定する検査業務に関する相当の経験とは、検査業務(受託業務の全てを含むことが望ましいこと。)についての六年以上の実務経験(次の精度管理についての実務経験を含むこと。)をいうものであること。
また、新省令第九条の八第一項第三号に規定する精度管理に関する相当の知識及び経験とは、検査業務の全ての作業工程における精度管理に精通していること及び精度管理についての三年以上の実務経験をいうものであること。
なお、精度管理責任者は、検査業務に関して学会誌に論文を発表した実績があることが望ましいこと。
(イ) 精度管理は日々適正に行われる必要があることから、精度管理責任者は、受託業務を行う場所に常勤する者(他の医療機関、衛生検査所等に就業していないこと)であることが望ましいこと。
なお、受託する検査の種類や数等の実情に応じて、精度管理責任者を非常勤の者とすることも可能とするが、この場合にあっても、精度管理が日々適正に行われる体制を確保するとともに、少なくとも週に一日(血清分離のみを請負う場合にあっては少なくとも月に一日)は受託業務を行う場所に赴き、精度管理の業務に携わること。
(ウ) 精度管理責任者は、新省令第九条の八第一項第三号に規定するとおり、専ら精度管理を職務とする者であって、受託業務の各作業工程に従事するものではないこと。
ただし、精度管理責任者が常勤の者であるときは、精度管理の業務に支障がない場合に限り、受託業務の各作業工程に従事することができるものとすること。
オ 遺伝子関連検査・染色体検査の精度の確保に係る責任者について
(ア) 遺伝子関連・染色体検査を行う場合の精度の確保に係る責任者については、医師又は臨床検査技師(歯科医療機関においては歯科医師又は臨床検査技師)のほか、遺伝子関連・染色体検査の専門知識及び経験を有する他の職種を認めるものとする。なお、遺伝子関連・染色体検査以外の検体検査の精度の確保に係る責任者との兼任は妨げない。
(イ) 遺伝子関連・染色体検査の専門知識及び経験を有する他の職種の例としては、以下の者のうち、検体検査の業務について3年以上の実務経験及び精度管理についての3年以上の実務経験を有する者が考えられる。
・ 大学院、大学、短期大学、専門学校又は高等専門学校において分子生物学関連科目(分子生物学、遺伝子検査学、細胞遺伝学、人類遺伝学、微生物学、生化学、免疫学、血液学、生理学、病理学、解剖学、動物細胞工学、生物科学等をいう。)を履修した者
(ウ) 医師又は臨床検査技師を遺伝子関連・染色体検査を行う場合の精度の確保に係る責任者とする場合、上述(イ)を参考にするなど適切に判断すること。
(2) 構造・設備に関する事項
ア 血清分離のみを請負う受託者にあっては、電気冷蔵庫、電気冷凍庫及び遠心器を有すれば足りるものであること。
なお、施設の賃貸借については、検査業務を委託する病院又は診療所の開設者と受託者の契約により明確にするものとし、当該病院又は診療所の検査用機械器具を使用する場合には、当該機械器具の賃貸借についても、契約により明確にすること。
イ 遺伝子関連・染色体検査のうち、病原体核酸検査は、当該検査の前処理の工程まで専用の検査室で行うことが望ましいこと。
(3) 運営に関する事項
ア 標準作業書、日誌及び台帳
平成三十年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の八第一項第六号に規定する標準作業書、同項第八号に規定する作業日誌及び同項第九号に規定する台帳に記載すべき事項の留意点は、「衛生検査所指導要領の見直し等について(平成三十年十月三十日付け医政発一〇三〇第三号厚生労働省医政局長通知)」別添1の衛生検査所指導要領(以下「衛生検査所指導要領」という。)に準じて取り扱うこと。
イ 業務案内書
平成三十年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の八第一項第七号に規定する業務案内書に記載すべき事項の留意点については、衛生検査所指導要領の検査案内書に準じて取り扱うこと。
なお、血清分離のみを請負う場合にあっては、その旨を業務案内書の表紙に明記すれば足りるものであること。
(4) 従事者の研修に関する事項
平成三十年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の八第一項第十号に規定する研修は、検査業務を適切に行うために必要な知識及び技能を修得することを目的とし、次に掲げる事項を含む研修であること。
① 各標準作業書の記載事項
② 患者の秘密の保持
③ 受託責任者にあっては、医療法、医師法、臨床検査技師等に関する法律等の医療関係法規及び労働関係法規
3 医療機器等の滅菌消毒の業務(新省令第九条の九関係)
(1) 業務の範囲等に関する事項
ア 業務の範囲
「医療機器」とは、鉗子、ピンセット、注射筒等の医療機器をいい、「医学的処置若しくは手術の用に供する衣類その他の繊維製品」とは、医学的処置又は手術の際に医師、看護師等が用いる手術衣、手術の清潔を確保するために用いる布等の繊維製品をいうものであること。
イ 委託できる医療機器又は繊維製品の範囲
病院、診療所若しくは助産所が滅菌消毒業務を委託することができる医療機器又は繊維製品は、次に掲げるもの以外のものとすること。
① 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第六条第二項から第五項まで又は第七項までに規定する感染症の病原体により汚染された医療機器又は繊維製品(汚染されたおそれのある医療機器又は繊維製品を含む。)であって、医療機関において、同法第二十九条の規定に基づいて定められた方法による消毒が行われていないもの。
ただし、医療機関において滅菌消毒業務を行う場合であって、運搬専用の密閉性、防水性及び耐貫通性の容器による運搬体制及び防護服の着用等による作業体制が確立されている場合は、同条の規定に基づく消毒が行われていないものを委託することができるものであること。
② 診療用放射性同位元素により汚染されている医療機器又は繊維製品(汚染されているおそれのある医療機器又は繊維製品を含む。)
ウ 繊維製品の消毒のみを委託する場合の基準
繊維製品の洗濯の前処理としての消毒のみを委託する場合の受託者の基準は、クリーニング業法(昭和二十五年法律第二百七号)第五条第一項の規定に基づき、都道府県知事にクリーニング所の開設の届出を行っている者であること。
エ 受託業務を行う場所
受託業務を行う場所とは、医療機関以外の滅菌消毒施設を使用して滅菌消毒業務を行う場合にあっては、当該滅菌消毒施設のことであり、医療機関において滅菌消毒業務を行う場合にあっては、当該医療機関のことであること。また、受託業務の内容によっては、業務を行う場所が複数箇所の場合もあり得ること。なお、医療機関において滅菌消毒業務を行う場合であって、受託場所が複数箇所の場合には、主たる業務を行う場所に受託責任者を配置すること。
(2) 人員に関する事項
ア 受託責任者について
① 新省令第九条の九第一号に規定する相当の経験とは、原則として三年以上の滅菌消毒業務についての実務経験をいうものであること
② 医療機関において滅菌消毒業務を行う場合の相当の知識とは、滅菌消毒の方法、滅菌機器の保守管理、感染防止及び従事者の健康管理等に関する知識をいい、相当の経験とは原則として三年以上の滅菌消毒業務についての実務経験をいうものであること
イ 受託業務の指導及び助言を行う者(以下「指導助言者」という。)について
新省令第九条の九第二号に規定する相当の知識とは、滅菌消毒の方法、滅菌消毒の処理に使用する機器の管理方法、滅菌消毒済の医療機器及び繊維製品の取扱い等に関する知識をいい、相当の経験とは、原則として三年以上の滅菌消毒業務についての実務経験をいうものであること。
ウ 従事者について
新省令第九条の九第三号に規定する機器の取扱いに関する必要な知識及び技能とは、機器の操作、機器の保守点検、故障時の対応方法等に関する知識及び技能をいい、その他受託業務を行うために必要な知識及び技能とは、滅菌消毒の意義と効果、感染の予防と主な感染症、医療機器の名称と機能、滅菌消毒機器の名称と使用目的等に関する知識及び技能をいうものであること。
(3) 構造・設備に関する事項
ア エチレンオキシドガスボンベを有する場合にあっては、当該ボンベは、滅菌消毒作業室の外であって、エチレンオキシドガス滅菌器に近接した場所に配置されていること。
イ 新省令第九条の九第十号イ、ロ及びニに掲げる滅菌の処理に使用する機器及び装置は、滅菌処理が行われる医療機器等を搬入する扉と滅菌処理が行われた医療機器等を搬出する扉を有する両扉方式であることが望ましいこと。
(4) 標準作業書に関する事項
ア 運搬
運搬に関する標準作業書には、医療機器等を医療機関から受け取る際の確認事項、感染症患者に使用された医療機器等の取扱い、運搬容器の取扱い、運搬方法及び滅菌消毒済の医療機器等を医療機関に引き渡す際の確認事項が記載されていること。
なお、運搬とは、医療機関において滅菌消毒業務を行う場合にあっては、使用済の医療機器等の回収及び滅菌消毒済の医療機器等の納品に係る運搬を、医療機関以外の滅菌消毒施設を使用して当該業務を行う場合にあっては、委託した医療機関と当該滅菌消毒施設の間の医療機器等の運搬をいうものであること。
また、医療機関において滅菌消毒業務を行う場合にあっては、使用済及び滅菌消毒済の医療機器等について、運搬方法、緊急時の運搬体制などが記載されていること。
イ 滅菌消毒の処理の方法
滅菌消毒の処理の方法に関する標準作業書には、取り扱う医療機器等の品目ごとに、消毒、洗浄、包装、滅菌及び保管の各業務に係る作業手順が、図式化するなど、わかりやすく記載されていること。
ウ 滅菌消毒の処理に使用する機器の保守点検
滅菌消毒の処理に使用する機器の保守点検に関する標準作業書には、各滅菌又は消毒機器について、自ら行う保守点検の方法、保守点検業者等に委託する内容と計画、故障時の対応等が記載されていること。
エ 滅菌消毒の処理に係る瑕疵があった場合の責任の所在に関する事項
滅菌消毒の処理に係る瑕疵があった場合の責任の所在に関する事項に関する標準作業書には、滅菌消毒の処理を行った医療機器等について、適切な処理がされていなかった場合の対応方法等が記載されていること。
(5) 従事者の研修に関する事項
新省令第九条の九第十六号に規定する研修は、滅菌消毒業務を適切に行うために必要な知識及び技能を修得することを目的とし、次に掲げる事項を含む研修であること。
① 標準作業書の記載事項
② 受託責任者にあっては、医療法、医師法等の医療関係法規及び労働関係法規
4 患者等の食事の提供の業務(新省令第九条の十関係)
(1) 患者等の食事の提供の業務の範囲及び委託方法に関する事項
ア 業務の範囲
(ア) 患者等給食業務の範囲
医療法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整理に関する政令(平成三十年政令第二百三十号。以下「平成三十年政令」という。)による改正後の医療法施行令第四条の七第二号に規定する食事の提供(以下「患者等給食」という。)の業務は、食材の調達、調理、盛付け、配膳、下膳及び食器の洗浄並びにこれらの業務を行うために必要な構造設備の管理に加えて、食器の手配、食事の運搬等をいうものであること。
(イ) 病院が自ら実施しなければならない業務の範囲
患者等給食業務のうち、病院が自ら行わなければならない業務は、別表のとおりとすること。なお、献立表の作成については、病院が定めた作成基準に基づき、病院又は患者等給食業者のいずれが作成しても差し支えないが、実際に調理作業に従事する者の意見を十分に聴取し、調理作業に無理や支障を来さないよう配慮する必要があること。
イ 委託の方法等
(ア) 院外調理
これまでは病院内の給食施設を使用して調理を行う、いわゆる代行委託のみが認められていたが、今後は病院外の調理加工施設を使用して調理を行う、いわゆる院外調理も認められるものであること。ただし、喫食直前の再加熱については、病院内の給食施設において行うべきものであること。
(イ) 複数業者への委託
患者等給食業務を病院が直接複数の業者に委託することも差し支えないものであること。また、業者は受託した業務のうち、食事の運搬、食器の洗浄等の一部の業務については、新省令第九条の十で定める基準を満たす者に再委託することも差し支えないものであること。
(ウ) 受託業務を行う場所
受託業務を行う場所とは、病院内の給食施設を使用して調理を行う場合にあっては、当該病院の給食施設のことであり、病院外の調理加工施設を使用して調理を行う場合にあっては、当該調理加工施設のことであること。
また、受託業務の内容によっては、業務を行う場所が複数箇所の場合もあり得ること。なお、業務を行う場所が複数箇所の場合には、主たる業務を行う場所に受託責任者を配置すること。
ウ 食品衛生法との関係
「食品衛生法等の一部を改正する法律」(平成三十年法律第四十六号。)の施行により、営業以外の場合で病院において継続的に不特定又は多数の者に食品を提供する集団給食施設の設置者又は管理者は、都道府県知事等に営業届出を行うこととされたこと。ただし、一回の提供食数が二十食程度未満の、少数特定の者に食品を供与する営業以外の給食施設については届出を不要とすること。
また、営業届出の対象となる集団給食施設の設置者又は管理者は、食品衛生責任者を設置するとともに、食品衛生施行規則(昭和二十三年厚生省令第二十三号)に規定された基準に従い、公衆衛生上必要な措置を定め、これを遵守することとされたこと。公衆衛生上の措置には、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理も含まれるが、従来示されている「大量調理施設衛生管理マニュアル」(平成九年三月二十四日付け衛食第八十五号生活衛生局長通知)はHACCPの概念に基づき作成されており、引き続き当該マニュアルの活用等により対応が可能であること。
なお、食品衛生法の改正に伴う営業許可制度の見直しにより、病院が外部事業者に調理業務を委託している場合、院内調理であっても、当該受託事業者は通常の営業者と同様に飲食店営業の許可を受けなければならないと整理されたこと。
エ 調理方式
病院外の調理加工施設を使用して調理を行う場合には、患者等給食の特殊性に鑑み、その調理加工方式として、クックチル、クックフリーズ、クックサーブ及び真空調理(真空パック)の四方式があるが、これらの調理方法には食味の面からそれぞれに適した食品があり、いずれか一つの調理方式に限定することは好ましいものではないこと。したがって、これらの調理方式を適切に組み合わせて、患者等給食業務を行うことが望ましいこと。
ただし、いずれの調理方式であっても、HACCPの考え方を取り入れた適切な衛生管理が行われている必要があること。
オ 食事の運搬方法
病院外の調理加工施設から病院へ食事を運搬する場合には、患者等給食の特殊性に鑑み、原則として、冷蔵(三℃以下)若しくは冷凍(マイナス一八℃以下)状態を保って運搬すること。
ただし、調理・加工後の食品を、二時間以内に喫食する場合にあっては、六五℃以上を保って運搬しても差し支えないものであること。この場合であっても、食中毒の発生等がないよう、衛生管理に十分配慮を行うこと。
なお、缶詰め等常温での保存が可能な食品については、この限りではないこと。
カ 労働関係法令の遵守
患者等給食業務の委託に際しては、病院、患者等給食業者双方とも、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)等労働関係法令を遵守すること。特に、複数業者への委託や受託した業務の一部を再委託する場合には十分留意すること。
キ 食材
患者等給食において使用される食材については、栄養面及び衛生面に留意して選択されたものであることが当然の前提であるが、食味についての配慮もなされたものであること。
(2) 人員に関する事項
ア 受託責任者
(ア) 受託責任者について
新省令第九条の十第一号に規定する相当の知識とは、次に掲げる事項に関する知識をいうものであること。
① 病院の社会的役割、病院の組織、医療従事者の資格と業務
② 病院の栄養部門の現状と病院内のその他の組織との連携
③ 疾病の診療と患者等の食事の提供の役割及び治療食の必要性
④ 栄養指導の重要性
⑤ 病院における患者等に対するサービスの意義と食事の提供サービスの課題
⑥ 栄養管理と食事の提供の評価
⑦ 食品衛生と労働安全衛生
⑧ HACCPに関する専門的知識
また、相当の経験とは、次に掲げるものをいうものであること。
① 栄養士又は管理栄養士の資格を有する者にあっては、患者等給食業務に従事した経験
② 調理師の資格を有する者にあっては、患者等給食業務に通算二年以上従事した経験
③ 学校教育法に基づく高等学校卒業以上の学歴を有する者にあっては、患者等給食業務に通算三年以上従事した経験
④ 前各号と同等以上の技能及び学歴を有すると認められること
(イ) 受託責任者の業務
受託責任者は、従事者の人事・労務管理、研修・訓練及び健康管理、業務の遂行管理、施設設備の衛生管理等の業務に責任を負う者であること。また、病院の管理者、担当者等と患者等給食業務の円滑な運営のために随時協議するとともに、必要な帳票を業務を行う場所に備え、開示できるように整えておくこと。
(ウ) 食品衛生責任者との関係
受託責任者は、食品衛生責任者を兼務しているか、あるいは食品衛生責任者と密接に連携することができる者であること。
(エ) 複数の病院における患者等給食業務の兼務
病院外の調理加工施設を使用して調理を行い、複数の病院から業務を受託する場合にあっては、受託責任者を調理加工施設に設置し、同一人が兼務することも差し支えないこと。
イ 指導助言者
「医療法施行規則の一部を改正する省令」(平成八年厚生省令第十三号)による改正後の医療法施行規則(以下「改正後の省令」という。)第九条の十第二号に規定する指導助言者が日常的に指導及び助言を行うことができる体制を整備しておくこと。特に、委託者である病院から食事の内容に関して必要な改善措置を求められた場合に対応することができる体制を整備しておくこと。
ウ 栄養士又は管理栄養士
受託業務の責任者が栄養士又は管理栄養士である場合には、改正後の省令第九条の十第三号の規定を満たすものであること。
エ 従事者
改正後の省令第九条の十第四号に規定する必要な知識及び技能とは、食中毒の予防等受託業務の衛生水準を確保するために必要な知識及び技能をいい、調理業務に従事する者は、常勤の調理師であることが望ましいこと。
(3) 施設、設備及び食器に関する事項
ア 施設、設備及び食器の衛生管理
患者等給食に係る施設、設備及び食器については、病院内の給食施設及び病院外の調理加工施設いずれにおいても、HACCPの考え方を取り入れた適切な衛生管理が行われ、衛生状態が常に良好に保たれている必要があること。
イ 必要な給食施設
病院内の給食施設において調理のすべてを行う必要はないが、病院外の調理加工施設を使用して調理を行う場合であっても、加熱等の病院内での調理作業は残ると考えられるので、病院内の給食施設のすべてが不要となることはないと考えられること。
ウ 病院と介護保険施設等とを併設する場合又は再編対象病院同士を併設する場合における病院の給食施設
病院と介護保険施設等又は地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第六十四号)第十二条の七に規定する認定再編計画に基づく再編を行う病院同士を併設する場合(同一敷地内にある場合又は公道を挟んで隣接している場合をいう。)においては、「病院又は診療所と介護保険施設等とのを併設等について」(平成三十年三月二十七日付け医政発〇三二七第三十一号・老発〇三二七第六号厚生労働省医政局長・老健局長連名通知)、「病院、診療所又は助産所と産後ケアセンターとの併設等について」(令和二年八月五日付け医政発〇八〇五第一号・子発〇八〇五第四号厚生労働省医政局長・子ども家庭局長連名通知)及び「病院の併設について」(令和五年三月三十一日付け医政発〇三三一第十号厚生労働省医政局長通知)に基づき、併設する施設等の給食施設を病院の給食施設として共用することが認められること。
ただし、病院又は介護保険施設等のそれぞれの患者又は入所者等への食事の提供に支障を来すことがないよう十分に配慮されていなければならないこと。また、食事の運搬については、衛生管理に特段の留意が図られていること。
エ 食器の清潔保持
食事を盛り付ける食器は洗浄後に消毒されたものを用いること。また、食器は食事の提供に支障を生じることがないよう必要数を備えていること。なお、食器を運搬する場合には、食器が細菌等に汚染されることがないよう専用の保管庫又は保管容器を用いること。
(4) 運営に関する事項
ア 業務案内書
改正後の省令第九条の十第九号に規定する業務案内書には、次に掲げる事項が記載されていること。また、求めに応じて、常時開示することができるようにすること。
① 受託責任者、食品衛生責任者、栄養士又は管理栄養士、調理師の氏名、配置場所等
② 適切な時刻に適切な温度の食事を提供することの可否、患者がメニューを選択できる食事を提供することの可否並びにこれらが可能な場合にあっては、その具体的な内容及び方法
③ 衛生管理方法、従事者の研修、指導助言体制、緊急時の対処方法等の業務の管理体制
イ 患者等給食の継続的な提供
患者等給食については、その業務の特殊性にかんがみ、継続的な提供が特に重要であることから、病院及び患者等給食業者は患者等給食の継続的かつ安定的な提供に最大限の努力を行う必要があること。したがって、何らかの事由により患者等給食業者が当該業務を遂行することが困難となった場合に備えて、患者等給食が滞ることがないよう必要な措置を講じておくこと。なお、必要な措置としては、複数の調理加工施設を有する患者等給食業者と業務委託契約を結ぶこと、複数の患者等給食業者と業務委託契約を結ぶこと、あらかじめ代行業者を定めて代行契約を結ぶこと、病院が自ら調理を行うことができる施設及び人員を確保しておくこと等が考えられること。
また、患者等給食業務においては厳に衛生管理を徹底すべきであり、食中毒の発生により、患者等給食業務の遂行が困難になるということはあってはならないものであること。
(5) 従事者の健康管理及び研修に関する事項
ア 従事者の健康管理
改正後の省令第九条の十第十二号に規定する健康管理とは、従事者に対する健康教育の実施によって、従事者の日常的な健康の自己管理を促し、食中毒の発生と感染症の流行を予防することをいうものであること。
イ 従事者の研修
改正後の省令第九条の十第十三号に規定する研修は、患者等給食業務を適切に行うために必要な知識及び技能を修得することを目的としたものであり、次に掲げる事項を含むものであること。
① 標準作業書の記載事項
② 患者の秘密の保持
③ 食中毒と感染症の予防に関する基礎知識
④ 従事者の日常的な健康の自己管理
5 患者等の搬送の業務(新省令第九条の十一関係)
(1) 業務の範囲に関する事項
平成三十年政令による改正後の医療法施行令第四条の七第三号に掲げる業務は、患者、妊婦、産婦又はじょく婦の病院、診療所若しくは助産所相互間の搬送の業務及びその他の搬送の業務で重篤な患者について医師又は歯科医師を同乗させて行うものをいい、病院、診療所又は助産所内の患者等の移動は含まないこと。
(2) 人員に関する事項
ア 受託責任者について
新省令第九条の十一第一号に規定する相当の知識とは、医師法、医療法等関係法規に関する知識をいい、相当の経験とは、原則として三年以上の患者等の搬送業務についての実務経験をいうものであること。
イ 従事者について
新省令第九条の十一第二号に規定する必要な知識及び技能とは、次に掲げる知識及び技能をいうものであること。
① 用手法による気道確保、胸骨圧迫心マッサージ、呼気吹き込み法による人工呼吸、安静及び必要な体位の維持並びに保温等の応急手当
② 体温、脈拍、呼吸数、意識状態、顔色の観察等の観察要領
③ 主治医との連携
④ 搬送用自動車及び積載資器材の消毒の方法並びに保守管理の方法
(3) 運営に関する事項
ア 標準作業書
新省令第九条の十一第五号に規定する標準作業書の具体的記載内容は、次のとおりであること。
① 搬送途上の患者の急変に対する応急手当の方法については、用手法による気道確保、胸骨圧迫心マッサージ、呼気吹き込み法による人工呼吸、安静及び必要な体位の維持、保温等の方法
② 患者の観察要領については、体温、脈拍、呼吸数、意識状態、顔色の観察等の方法
③ 主治医との連携については、搬送に際して事前に医師に説明すべき事項及び搬送途上の患者の急変の際に医師に連絡すべき事項
④ 搬送用自動車及び積載する資器材の滅菌又は消毒及び保守管理
イ 業務案内書
医師の同乗を前提とした搬送を行わない場合には、この旨を業務案内書に明記すること。
(4) 従事者の研修に関する事項
新省令第九条の十一第七号に規定する研修は、患者等の搬送の業務を適切に行うために必要な知識及び技能を修得することを目的とし、次に掲げる事項を含む研修であること。
① 標準作業書の記載事項
② 患者の秘密の保持
③ 受託責任者にあっては、医療法、医師法等の医療関係法規、道路運送法、道路交通法等運輸関係法規及び労働関係法規
6 医療機器の保守点検の業務(平成三十年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の八の二及び第九条の十二関係)
(1) 業務の範囲に関すること
ア 平成三十年政令による改正後の医療法施行令第四条の七第四号に定める業務
平成三十年政令による改正後の医療法施行令第四条の七第四号に定める業務は、平成三十年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の八の二に定める医療機器の保守点検の業務をいうものであること。
なお、平成三十年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の八の二に定める医療機器は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律第二条第八項の規定により厚生労働大臣が指定する特定保守管理医療機器」(平成十六年厚生労働省告示第二百九十七号)とし、その詳細については、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第五項から第七項までの規定により厚生労働大臣が指定する高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器(告示)及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第八項の規定により厚生労働大臣が指定する特定保守管理医療機器(告示)の施行について(通知)」(平成十六年七月二十日付薬食発第〇七二〇〇二二号厚生労働省医薬食品局長通知)の例によるものとすること。
イ 保守点検と修理
保守点検とは、清掃、校正(キャリブレーション)、消耗部品の交換等をいうものであり、故障等の有無にかかわらず、解体の上点検し、必要に応じて劣化部品の交換等を行うオーバーホールを含まないものであること。
また、修理とは、故障、破損、劣化等の箇所を本来の状態・機能に復帰させること(当該箇所の交換を含む。)をいうものであり、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「医薬品医療機器等法」という。)に基づく医療機器の製造業又は修理業の業許可を得た者でなければ、業として行ってはならないものであること。
ウ 保守点検の実施主体
医療機器の保守点検は、病院、診療所又は助産所(以下「医療機関」という。)の業務であり、医療機関が自ら適切に実施すべきものであるが、新省令第九条の十二で定める基準に適合し、医療機器の保守点検を適正に行うことができる者と認められるものに委託して行うことも差し支えないものであること。
エ 患者の居宅等における業務
改正後の省令第九条の十二に規定する基準は、病院、診療所、老人保健施設その他の医療を提供する施設における当該業務のみならず、医療を受ける者の居宅等(以下「患者の居宅等」という。)において、医療機関からの委託を受けて、当該業務を行う場合にも適用される基準であること。
また、患者の居宅等において、当該業務を行う場合には、次の業務も含まれるものであること。
① 医療機器の取扱方法についての患者、家族等への説明
② 医療機器の故障時等の対応と医療機関への連絡
オ 危険又は有害な物質を用いて診療を行うための医療機器
改正後の省令第九条の十二第二項ロに掲げる「危険又は有害な物質」とは、爆発、燃焼等のおそれがあるもの又は身体若しくは生命に傷害を生じるおそれがあるものであること。また、「危険又は有害な物質を用いて診療を行うための医療機器」とは、具体的な例を挙げれば、次のとおりであること。
① 放射性同位元素(コバルト、セシウム、イリジウム、ラジウム、ストロンチウム)を用いる放射性同位元素治療器
② 支燃性麻酔ガス(笑気ガス)を使用する人工麻酔器
③ 引火性麻酔ガス(エーテル、シクロプロパン)を使用する人工麻酔器
④ 火薬を使用する結石破砕装置
⑤ 高圧ガス(酸素ガス)を使用する人工呼吸器又は酸素供給装置
(2) 医薬品医療機器等法との関係
ア 対象とする医療機器の範囲
(ア) 添付文書等への保守点検事項の記載
平成三十年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の八の二に定める医療機器については、医薬品医療機器等法第六十三条の二、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号。以下「医薬品医療機器等法施行規則」という。)第二百二十六条により、保守点検に関する事項が添付文書又は医薬品の容器若しくは被包に記載されていなければならないとされているものであること。
(イ) 医療機器の保守点検の適切な実施
平成三十年改正省令による改正後の医療法施行規則第九条の八の二に定める医療機器については、医薬品医療機器等法第六十八条の二の六第三項により、病院若しくは診療所の開設者又は医師、歯科医師等は、医療機器の適正な使用を確保するため、医療機器の製造業者、輸入販売業者等が提供する情報を活用し、医療機器の保守点検を適切に実施するよう努めなければならないとされているものであること。
イ 修理業の業許可を有する者
医薬品医療機器等法第四十条の二第一項に規定する医療機器の修理業の許可を受けた者については、当該医療機器の保守点検を医療機関内において行う場合に限り、改正後の省令第九条の十二に定める医療機器の保守点検の業務を適正に行う能力のある者として取り扱って差し支えないこと。
(3) 保守点検を行う人員に関する事項
ア 受託責任者の業務
受託責任者は、当該業務の遂行に際して、第一義的な責任を負うべき者であり、他の従事者に対して保守点検に係る品質管理に関する教育訓練を実施するとともに、指導、監督する立場にあるものであること。
イ 受託責任者が有すべき知識
改正後の省令第九条の十二第一号に規定する相当の知識とは、次に掲げる事項に関して、当該業務の責任者として有すべき相当程度の知識をいうものであること。
① 医療機関の社会的役割と組織
② 医療機器の保守点検に関する保健、医療、福祉及び保険の制度
③ 医療機器の原理、構造及び規格
④ 高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三十二年法律第百六十七号)等安全管理関係法規
また、患者の居宅等において、当該業務を行う場合には、次に掲げる事項に関する知識も含まれること。
① 在宅酸素療法等在宅医療に関する保健、医療、福祉及び保険の制度
② 患者、家族等との対応の方法
③ 在宅酸素療法等在宅療法の意義
ウ 受託責任者の配置
医療機器の保守点検業務を行う者が複数の事業所を有する場合には、保守点検業務を行う事業所ごとに受託責任者を配置するものとすること。
エ 修理業における責任技術者
医薬品医療機器等法施行規則第百八十八条に定める医療機器の修理業の責任技術者の資格を有する者は、医療機関内において当該医療機器の保守点検を行う場合に限り、改正後の省令第九条の十二第一号に定める保守点検の受託責任者としての知識及び経験を有している者として取り扱って差し支えないこと。
オ 従事者の有すべき知識及び技能
改正後の省令第九条の十二第二号に規定する受託業務を行うために必要な知識及び技能とは、次に掲げる事項に関して、業務の適正な遂行に必要不可欠な程度の知識及び技能をいうものであること。
① 医療機関の社会的役割と組織
② 医療機器の保守点検に関する保健、医療、福祉及び保険の制度
③ 医療機器の原理、構造及び規格
④ 高圧ガス保安法、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律等安全管理関係法規
⑤ 保守点検の方法
⑥ 緊急時の対応
また、患者の居宅等において、当該業務を行う場合には、次に掲げる事項についても業務の適正な遂行に必要不可欠な程度の知識及び技能を併せて有する者に従事させるべきであること。
① 在宅酸素療法等在宅医療に関する保健、医療、福祉及び保険の制度
② 患者、家族等との対応の方法
③ 在宅酸素療法等在宅療法の意義
(4) 標準作業書に関する事項
改正後の省令第九条の十二第三号に規定する標準作業書は、保守点検の業務を行う者が作成し、必要に応じて医療機関に開示することができるよう整備されたものであること。
標準作業書の内容は、製造業者等が各医療機器に添付する文書に記載されている保守点検に関する事項と十分に整合性があるものであって、少なくとも医療機器の保守点検手順、保守点検後の医療機器の動作確認手順、警報装置の動作確認手順、保守点検を行った医療機器に関する苦情の処理方法等の事項が具体的に記載されているものであること。なお、保守点検の業務は、原則として標準作業書にのっとって行われるものであるから、その内容は従事者が実際に業務を遂行できる程度に具体的かつ詳細なものである必要があることに留意すること。
(5) 業務案内書に関する事項
改正後の省令第九条の十二第四号に規定する業務案内書には、少なくとも左記の事項が具体的に記載されていること。
① 保守点検作業に関する標準作業方法の要点及び定期保守点検の標準作業方法の要点
② 医療機器の故障時及び事故時の連絡先及び対応方法
③ 業務の管理体制として規模及び配置人員
④ 保守点検に関する過去の苦情事例及びその原因と対処方法
7 医療用ガスの供給設備の保守点検の業務(新省令第九条の十三関係)
(1) 業務の範囲等に関する事項
ア 医療用ガスの供給設備
平成三十年政令による改正後の医療法施行令第四条の七第五号に規定する医療の用に供するガス(以下「医療用ガス」という。)の供給設備とは、アウトレット、ホースアセンブリー、遠隔警報板、供給源装置、供給源機器(吸引ポンプ、空気圧縮機)等をいうものであること。
イ 保守点検
平成三十年政令による改正後の医療法施行令第四条の七第五号に規定する保守点検とは、正常な状態などを維持するための点検、予備の附属品の補充等をいい、補修等の工事は含まないものであること。
ウ 高圧ガス保安法の規定により医療機関が自ら行わなければならず、委託することができない業務
次の業務は、高圧ガス保安法の規定により、高圧ガスを製造又は消費する者として医療機関が自ら行わなければならず、委託することができないので、注意されたい。
① 高圧ガス保安法第五条第一項の規定に基づき、都道府県知事の許可を受けている者(第一種製造者)にあっては、同法第二十七条の二又は第二十七条の三の規定に基づき、高圧ガス製造保安統括者、高圧ガス製造保安技術管理者、高圧ガス製造保安係員、高圧ガス製造保安主任者又は高圧ガス製造保安企画推進員に行わせなければならない業務
② 高圧ガス保安法第二十四条の二第一項に規定する特定高圧ガスを消費する者(特定高圧ガス消費者)にあっては、高圧ガス保安法第二十八条第二項の規定に基づき、特定高圧ガス取扱主任者に行わせなければならない業務
(2) 人員に関する事項
ア 受託責任者について
新省令第九条の十三第一号に規定する受託責任者とは、次に掲げる事項に関する高度な知識を有する者であることとし、受託者が複数の事業所を有する場合にあっては、事業所ごとに一名置かれるものとすること。
① 医療用ガスの供給設備及びその保守点検の方法
② 医療法、医薬品医療機器等法及び高圧ガス保安法並びに消防法、建設業法等の関係法規
③ 医療用ガスの種類と性質
イ 従事者について
新省令第九条の十三第二号に規定する必要な知識とは、次に掲げるものをいうものであること。
① 医療用ガスの供給設備及びその保守点検の方法
② 医療法、医薬品医療機器等法及び高圧ガス保安法
③ 医療用ガスの種類と性質
(3) 構造設備に関する事項
新省令第九条の十三第三号に規定するその他医療の用に供するガスの供給設備の保守点検に必要な資器材とは、遠隔警報板及び供給源装置並びに供給源機器等の保守点検を行う場合にあっては、電流計、電圧計、絶縁抵抗計をいうものであること。
(4) 従事者の研修に関する事項
新省令第九条の十三第六号に規定する研修は、医療用ガスの供給設備の保守点検の業務を適切に行うために必要な知識及び技能を修得することを目的とし、次に掲げる事項を含む研修であること。