アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について

(昭和三七年一〇月一二日)

(医発第九四六号)

(各都道府県知事あて厚生省医療局長通知)

標記の件については、別途厚生事務次官依命通達により通知されたところであるが、今回の改正の要点及びこれが施行にあたり留意すべき事項は、左記のとおりであるので遺憾のないよう御指導願いたい。

なお、この省令における放射線防護の基準については、従前は、放射線診療従事者等の被ばくする放射線量を一週間当たり三○○ミリレム以下にすることとされていたが、今回の改正により、これを一週間当たり一○○ミリレム以下とすることと改められるとともに、放射線診療従事者等以外の者の被ばくする放射線量についても、従前は、一週間当たり三○ミリレム以下にすることとされていたものを、今回の改正により放射線診療従事者等以外の者であつて病院又は診療所内で働く者については、従前通り一週間当たり三○ミリレム以下に、その他の一般人については、新たに一週間当たり一○ミリレム以下にすることにされたものである。

また、今回の改正による放射線防護の技術的基準については、放射線障害防止の技術的基準に関する法律(昭和三三年法律第一六二号)の規定により放射線審議会に諮問し、適当である旨の答申を受けたものである。

おつて、医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について(昭和三一年一月三一日医発第七九号)及び医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について(昭和三四年五月三○日医発第五一三号)は廃止したので後了知ありたい。

第一 届出に関する事項

一 エツクス線装置の届出(第二四条)

エツクス線装置の管電圧については、連続定格出力によることとされていたが、エツクス線装置には、連続定格出力の表示がないものがあるので、今回の改正により、定格出力によることととされたこと。

なお、第二五条の規定により、一○○万電子ボルト以上のエネルギーを有する電子線又はエツクス線の発生装置は診療用高エネルギー放射線発生装置とされたのでエツクス線装置から除かれたこと。

二 診療用高エネルギー放射線発生装置の届出(第二五条)

ベータートロン、ソニアアクセレレーター、フアンデグラフ式加速装置等の加速管を使用した高エネルギー放射線の医療への利用が行なわれるようになつたため、これらの装置を診療用高エネルギー放射線発生装置として、その届出について新たな規定が設けられたこと。

三 放射性同位元素の数量、濃度等

この規則の対象となる放射性同位元素の数量が別表第一のとおり改められたほか、その濃度について同表のとおり定められたこと。

なお、放射性同位元素について密封されたものと、密封されていないものとに明確に規定され、診療用放射線照射装置及び診療用放射線照射器具に装備される放射性同位元素については密封されたもの、医薬品である放射性同位元素については密封されていないものとされたこと。

四 診療用放射線照射器具の届出(第二七条)

診療用放射線照射器具については、届出の対象となる数量の下限が一ミリキユリーから一○○マイクロキユリーに引き下げられたこと。

また、届出事項に運搬容器及び診療用放射線照射器具により治療を受けている患者を収容する病室の放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置の概要が加えられたこと。

ラドンシード等その装備する放射性同位元素の物理的半減期が三○日以下の診療用放射線照射器具については、第二項及び第三項の規定により診療用放射性同位元素に準じた届出を行うこととされたこと。

五 診療用放射性同位元素の届出(第二八条)

本条に規定する診療用放射性同位元素は、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三二年法律第一六七号)(以下「防止法」という。)の適用を除外されている医薬品である放射性同位元素をいうものであること。

届出事項に運搬容器及び診療用放射性同位元素により治療を受けている患者を収容する病室の放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置の概要が加えられたこと。

六 廃止後の措置の届出(第二九条第三項)

診療用放射性同位元素を備えなくなつたときは、その旨を届け出るほか、放射性同位元素による汚染の除去のための措置の概要を届け出なければならないこととされたこと。

第二 エツクス線装置等の防護に関する事項

一 エツクス線装置の防護(第三○条)

(一) 第一項第一号のエツクス線管の容器及び照射筒に関する防護については、従前は、鉛当量によることとされていたが、今回の改正により、エツクス線量によることとされたこと。この場合において、「利用線錐以外のエツクス線」とは当該容器または照射筒からのろうえい線のみをいうこと。また、「エツクス線量が………一時間につき」とは次の表の上欄に掲げるエツクス線装置の種類に応じて下欄に掲げる集積線量をいうものとする。

エツクス線装置の種類

集積線量

治療用エツクス線装置

連続定格による一時間の集積線量

透視用エツクス線装置

通常の使用状態における一時間の集積線量

直接撮影用エツクス線装置

通常の使用状態において二○人程度使用したときの集積線量

間接撮影用エツクス線装置

通常の使用状態において一○○人程度使用したときの集積線量

なお、透視を行なう場合であつて、使用時間の長いとき、特殊な体位の患者を透視するときなどには、放射線診療従事者等が放射線による障害を受けることも予想されるので、防護眼鏡、防護衣、防護手袋、透視机を使用すること等により、放射線障害の防止につとめるよう指導されたいこと。

(二) 第一項第二号の附加濾過板は、従前は、管電圧が六○キロボルト以上で操作する場合に附することとなつていたが、今回の改正により、定格出力の管電圧が六○キロボルト以上の全てのエツクス線装置に附さなければならないこととされたこと。この場合の「総濾過」には装置自身による自己濾過をも含むものであること。定格出力の管電圧が六○キロボルト未満のエツクス線装置についても、その利用線錐の総濾過がアルミニウム当量一・五ミリメートル以上になるような附加濾過板を附することが望ましい旨指導されたいこと。

なお、附加濾過板の質は診療上適宜定められるものであるが、その基準は、おおむね次のようなものであること。

管電圧(波高値とする。)

使用濾過板

二○キロボルト以下

セロフアン

二○キロボルト~一二○キロボルト

アルミニウム

一二○キロボルト~四○○キロボルト

四○○キロボルト以上

(三) 第二項第五号の蛍光板の防護については、従前は、鉛当量によることとされていたが、今回の改正ではエツクス線の線量率によることとされたこと。このエツクス線の線量率は、一週間の透視時間の合計が一二時間以下であるものとして定められたものであること。

(四) 第三項の規定は、直接撮影の際患者が不必要に放射線に被ばくすることを少なくすること及び患者からの散乱線の発生を少なくすることの理由により、新たに加えられたものであること。

(五) 第四項第二号の螢光箱の防護については、従前は、鉛当量によることとされていたが、今回の改正では放射線量によることとされたこと。この放射線量は、一週間の撮影件数が二、五○○回以下であるものとして定められたこと。この場合の放射線量は、エツクス線管容器及び無射筒からのろうえい線を含むものであること。

なお、実際の測定にあたつては、適当な回数をまとめて測定し、その平均値とすること。

(六) 第四項第三号の規定は、エツクス線管の予熱及び暗流により発生するエツクス線による障害を防止するために、新たに加えられたものであること。

(七) 第四項第四号の「しやへい物」は、従前は、改正前の医療法施行規則(以下「旧規則」という。)第二九条第三項第三号に「適当な散乱線防護の設備」として規定されていたものであるが、間接撮影時の放射線診療従事者等の被ばくの実態を考慮して、今回の改正により、具体的にその要件が定められたこと。この場合のエツクス線量は、第四項第二号と同じく一週間の撮影件数が二、五○○回以下であるものとして定められたものであること。

(八) 治療用エツクス線装置については、従前は、旧規則第二九条第四項第二号に対向板(被照射体を通過した後の利用線錐に対する適当な防護物をいう。以下同じ。)に関する規定が置かれていたが、今回の改正ではこの規定が削除され、運動式のものであつても必ずしも対向板を設けることを必要としないこととされ画璧等の外側において所定の線量率以下になればよいこととされたこと。

(九) 移動用又は携帯用エツクス線装置については、原則として撮影のみに使用し、透視は行なわない旨、また、小型の手持螢光箱は原則として使用しない旨指導されたいこと。

(一〇) 歯科用エツクス線装置については次のような措置を講ずるよう指導されたいこと。

(ア) 撮影専用とし、透視は行なわないこととすること。

(イ) 焦点皮膚間距離は、一五センチメートル以上に保つこと。ただし、やむを得ず一五センチメートル以内に近づけるときは、放射線障害の防止に注意すること。

(ウ) 照射野の直径は、皮膚面において八センチメートルをこえないようにすること。

二 診療用高エネルギー放射線発生装置の防護(第三○条の二)

(一) 第一号の「利用線錐以外の放射線量」は当該発生管の容器からのろうえい線のみをさすこと。

(二) 第二号の規定は、患者が不必要な被ばくをすることを少なくする等のために設けられたものであり、電路を開放した後照射を開始するまでに発生する不必要な放射線及び電路を閉鎖した後に発生する不必要な放射線をしやへいするために設けられた規定であること。

(三) 第四号の規定は、いわゆるインターロツクであつて、不注意に使用室内に人が立ち入る場合等に発生する放射線障害を未然に防ぐために設けられた規定であること。

三 診療用放射線照射装置の防護(第三○条の三)

(一) 第一号の放射線源の収納容器に関する防護については、従前は、鉛当量によることとされていたが、今回の改正により放射線量率によることとされたこと。この放射線量率は、放射線診療従事者等が使用室内に立ち入る時間が一週間当り一二時間以下であるものとして定められたものであること。

なお、旧規則第三○条第一号ただし書に規定されていた照射時における容器のしやへい能力については、医療行為を制約することとなる場合が考えられるので規制されないこととなつたが、個々の場合に応じてできるだけ患者が不必要な放射線により被ばくすることのないよう指導されたいこと。

(二) 旧規則第三○条第四号に規定されていた対向板についての規定は、治療用エツクス線装置についてと同様の趣旨で削除されたものであること。

(三) 診療用放射線照射装置については、診療用高エネルギー放射線発生装置と同様にインターロツクを設けることが望ましいが、病院及び診療所の実情にかんがみ、今回の改正では使用室に自動表示装置を設けること(第三○条の六第三号)とすることにとどめられたものであるので、できる限り、インターロツクとするよう指導されたいこと。

第三 エツクス線診療室等の構造設備に関する事項

一 エツクス線診療室(第三○条の四)

(一) 第一号のエツクス線診療室の画壁等の防護については、従前は、鉛当量によることとされていたが、今回の改正により放射線量率によることとされたこと。

この放射線量率は、それぞれの使用時間に応じて放射線量が一週間につき一○○ミリレム以下となるように定められていること。「一週間当たりの延べ使用時間」としては、原則として、第三○条の二三第一項の規定により記帳されたもののうちの最高値をとるものとすること。なお、新たにエツクス線装置を備えようとする場合については推定によること。

また、第一号ただし書に規定する「その外側が、人が通行し、又は停在することのない場所」とは、床下がただちに土地である場合、壁の外側ががけ、地盤面下等である場合など極めて限定された場合であり、特に天じよう及び窓等について防護が不完全な場合が予想されるので、その適用については十分注意して指導されたいこと。

これらの放射線量率以下とすることができる鉛当量については、別途指示する予定であること。

なお、この場合の放射線量率は、画壁等の外側の最も近接した点で通常の使用状態において測定するものとすること。

(二) 第二号のただし書のうち「体腔管照射を行なう等の場合」とは、当該医師みずからの操作により透視、体腔管治療若しくは超軟線治療又は歯科用エツクス線装置による撮影を行なう場合に限られるものであること。

なお、歯科用エツクス線装置による撮影のみを行なうにつき、一週間につき二○○○ミリアンペア秒以下で操作する場合であつてエツクス線管及び被照射体から一・五メートル離れて操作するときは、必要な防護物を設けることを要しないこと。

(三) 第三号の規定は、他の装置使用室との関連上統一がはかられたものであること。

二 診療用高エネルギー放射線発生装置使用室(第三○条の五)

第一号の使用室の画壁等の防護については、第三の一の(一)を参照されたいこと。

なお、この場合の放射線量率の測定は、放射線発生装置の定格出力を最高値にとり画壁等の外側の最も近接した点で行なうものとすること。

三 診療用放射線照射装置使用室(第三○条の六)

(一) 耐火構造又は不燃材料を用いた構造としなければならないのは、従前は、建築基準法第二条第五号に規定する主要構造部のみであつたが、防火上の安全性を期するため今回の改正により第一号に「当該使用室を区画する壁及び柱」が加えられたこと。

(二) 第二号の使用室の画壁等の防護については、第三の一の(一)を参照されたいこと。

(三) 第三号の後段については、第二の三の(三)に記したとおりの趣旨で設けられた規定であること。

四 診療用放射線照射器具使用室(第三○条の七)

第二号の使用室の画壁等の防護については、第三の一の(一)を参照されたいこと。

この場合の放射線量率の測定は、通常の場合に患者に対して使用する最大量を、通常使用する場所に置き、画壁等の外側の最も近接した点で行なうものとすること。

なお、「使用」とは、診療用放射線照射器具を患者に装着することであるので、診療用放射線照射器具を装着した外来患者は、放射線治療病室又はこれと同様の防護のなされた室等に収容するよう指導されたいこと。

五 診療用放射性同位元素使用室(第三○条の八)

(一) 第一号の規定は、放射性同位元素が火災に際して近隣を汚染することの多いことにかんがみ、防火上の安全をはかるために新たに設けられた規定であること。

(二) 第二号の規定については、表現の整理が行なわれたが、従前の規定と趣旨は変りはないので、準備室(小分け、分注、調剤等を行なう室をいう。)と診療を行なう室とを区画し、準備室の放射性同位元素によつて汚染された空気、水等が診療を行なう室を汚染することをなるべく少なくするよう指導されたいこと。

(三) 第三号の画壁等の外側における放射線量については、従前は、三○○ミリレム毎週以下の放射線量率とされていたが、今回の改正により、一週間につき一○○ミリレム以下の放射線量とされたこと。

この場合の放射線量は、一週間の集積線量として測定することが望ましいが、これが困難な場合には通常の診療又は調剤等を行なう場所において、通常使用する最大量による放射線量を測定し、通常の一週間当たり使用時間を考慮して算出して差し支えないこと。

なお、従前は、放射線の防護について必要なしやへい物によることができることとなつていたが、今回の改正により、これによることができなくなつたのでその旨指導されたいこと。

(四) 第八号の規定は、旧規則第三○条の五第七号に規定するもののほか、新たに、汚染の除去に必要な器材としてブラシ、洗浄剤等を備えることとされたものであること。

(五) 旧規則第三○条の五第八号に規定されていた換気設備は今回の改正では廃棄施設の排気設備として第三○条の一一第三号に規定されることとなつたが、同条同号ただし書に規定する場合を除き、実際上は、従前通り準備室に排気設備を設けることとなること。

(六) 第一○号の規定は、準備室に設けられる洗浄設備について、診療用放射性同位元素又は放射性同位元素によつて汚染された液を安全に廃棄するために廃棄施設の排水設備に連結することとされた規定であること。

(七) 第一二号の規定は、フード、グローブボツクス等の装置の設置を義務づけたものではないが、これを設けた場合に廃棄施設の排気設備に連結すべきものとされたものであること。

六 貯蔵施設(第三○条の九)

(一) 第二号の規定は、貯蔵施設の放射線防護の基準が新たに設けられたものであること。この放射線量率は、貯蔵施設の外側に人が一週間当たり四八時間居在するものとして定められたものであること。この場合の放射線量率は、通常貯蔵される最大量を貯蔵して測定するものとすること。

(二) 第三号及び第四号の規定は、従前のように貯蔵する診療用放射性同位元素の数量による例外は認められないこととされたが、貯蔵室の主要構造部等を耐火構造とするか、又は貯蔵箱等を耐火性の構造とすることとされたこと。ただし診療用放射線照射器具を耐火性の構造の容器に入れて貯蔵する場合は、貯蔵室又は貯蔵箱等を耐火構造又は耐火性の構造としなくても差し支えないものとされたいこと。

(三) 第八号の「貯蔵容器」については、従前は、貯蔵室又は貯蔵箱等の外側における放射線量率が三○○ミリレム毎週以下となるような鉛当量によることとされていたが、今回の改正により、貯蔵施設の外側における放射線の防護については第二号に規定されることとなり、貯蔵容器については取扱い時における放射線防護の観点から貯蔵容器から一メートルの距離における放射線量率によることとされたこと。

この場合の放射線量率は、貯蔵し得る最大量を貯蔵して測定するものとすること。

なお、同号ただし書に規定する貯蔵箱等とは、当該貯蔵箱等の内部が引き出し式、つめ込み式等となつており、当該貯蔵箱等のとびら、ふた等を開放した場合においても一メートルの距離における放射線量率が一○ミリレム毎時以下になるように放射線をしやへいすることができる構造となつているものをいうこと。

この放射線量率は、第三○条の一○に規定する運搬容器並びに放射性物質車両運搬規則(昭和三三年運輸省令第一六号)第二条に規定する容器及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則(昭和三五年総理府令第五六号)第一八条第一項第七号に規定する容器と同様のものであること。

七 廃棄施設(第三○条の一一)

(一) 第一号の規定は、廃棄の際の放射線障害を防止するため、新たに他の使用室等と同様にその外側における放射線量を一週間につき一○○ミリレム以下にしなければならないこととされたものであるが、排液処理槽、保管廃棄設備等継続的に放射線を放出するものについては特にその防護について留意するよう指導されたいこと。

(二) 旧規則第三○条の八第二号に規定されていた焼却炉については、病院又は診療所において同号に規定されていた基準に適合するものを設けることは、実体上極めて困難であるので削除されたものである。従つて、今後は病院又は診療所においては焼却による廃棄は行なえないこととなつたこと。

(三) 患者の糞便、汚染された衣類を洗濯した水等についても、その放射性同位元素の濃度が別表第三に定める濃度をこえる場合は本条の適用を受けるものであり、排水設備により廃棄すべきものであること。

(四) 第三号の規定による排気設備は、従前は、準備室の構造設備として規定されていたものであるが、今回の改正により廃棄施設として規定されたものであること。従つて、第三号ただし書に掲げる場合を除くほか、気体状の診療用放射性同位元素又は放射性同位元素によつて汚染された空気を廃棄する場合は、準備室以外の場所であつても排気設備を設けなければならないこととなること。

(五) 保管廃棄については、今回の改正により保管廃棄設備として規定され、これに第四号ハに定める容器を設けることとされたこと。

なお、今回の改正により土中埋没及び焼却炉に関する規定が削除されたので病院又は診療所における診療用放射性同位元素又は放射性同位元素によつて汚染された物の廃棄については、なるべく保管廃棄設備により廃棄するよう指導されたいこと。

八 放射線治療病室(第三○条の一二)

(一) 放射線治療病室の放射線防護については、従前は、その画壁等の外側における放射線量率が三○○ミリレム毎週以下とされていたが、今回の改正により、二ミリレム毎時以下とすることとされたこと。

この放射線量率は、放射線治療病室の外側に人が一週間当たり四八時間居在するものとして、定められたものであること。

この場合の放射線量率は、通常の場合における患者に使用する最大使用量、患者の数及び各患者から画壁等までの距離を考慮して測定するものとすること。

なお、第一号ただし書により放射線治療病室相互の画壁等については、第一号本文に規定するしやへいを必要としないこととされているが、この場合であつても隣室の患者が不必要に放射線に被ばくすることのないよう適当な防護措置を講ずるよう指導されたいこと。

また、二人以上を収容する病室については、各患者の間に適当な防護物を設け、又は、適当な距離をとる等患者が不必要な放射線に被ばくすることのないよう指導されたいこと。

(二) 第三号の規定は、診療用放射性同位元素により治療を受けている患者を収容する放射線治療病室の患者の嘔吐物、排せつ物等による放射性同位元素による汚染の除去に関する規定であること。

なお、診療用放射性同位元素により治療を受けている患者の使用する便所は、第三の七の(三)に記したとおり廃棄施設としての構造設備の基準に適合させなければならない場合が多く、他の患者と共用しないことが望ましいので、なるべく専用のものとするよう指導されたいこと。

(三) 第一六条第一項第二号の改正により放射線治療病室は地階に設けることができることとなつたが、その防湿、採光、換気等については、従前のとおり医療法、建築基準法及びこれに基づく法令による規則を受けるものであること。

第四 管理者の義務に関する事項

一 使用の場所等の制限(第三○条の一四)

表中のエツクス線装置の使用に関し、下欄に掲げる「特別の理由により移動して使用する場合」とは、移動用又は携帯用エツクス線装置(間接撮影用エツクス線装置を除く。)を、移動することが困難な患者に対して使用する場合及び歯科用エツクス線装置を臨時に移動して使用する場合であること。

二 管理区域(第三○条の一六)

(一) 管理区域の設定にあたつては、許容線量及び許容濃度のほか、新たに許容表面密度をも考慮することとされたこと。

(二) 管理区域内に人がみだりに立ち入らないような措置を講ずることとされたので、第一項に規定する標識を附するほか、注意事項を掲示し、また、必要に応じてさくを設ける等の措置を講ずること。

(三) 放射線診療従事者等(放射線診療に従事する医師若しくは歯科医師又はこれを介助する診療エツクス線技師、看護婦等)以外の者を管理区域に立ち入らせる場合の許容度を業務上立ち入る者(放射線科以外の看護婦、事務職員等)及びこれら以外の者(患者、営繕職員等)に分けて規定されたこと。なお、これらの者を管理区域内に立ち入らせる場合は、立入時間の制限を行なうほか、必要に応じ被ばく線量を測定し、これを記録する等の措置を講ずるよう指導されたいこと。

三 敷地の境界等における防護

本条の規定は、病院又は診療所内に居住する者及び登院又は診療所の近隣に居住する者等の一般人の放射線による被ばくを防止するために新たに設けられたものであること。

四 放射線診療従事者等の被ばく防止(第三○条の一八)

(一) 一項の規定は、旧規則第三○条の一七、第三○条の一八及び第三○条の一九の規定が一括して規定されたものであること。

(二) 放射線診療従事者等の被ばく防止については、従前は、一週間の被ばく放射線量によることとされていたが、今回の改正により最大許容被ばく線量及び最大許容集積線量によることとされたこと。

(三) 従前は、被ばく放射線量の測定について明確な規定がなかつたが今回の改正により、第二項において最大許容被ばく線量及び最大許容集積線量の測定及び算出方法について新たに規定されることとなつたので、ポケツト線量計、フイルムバツヂ等を携行するとともに、定期健康診断(特に血球算定の施行)を実施する等の措置を講ずるよう指導されたいこと。

五 患者の被ばく防止(第三○条の一九)

放射線により治療を受けている患者以外の患者については、一般人に準じて被ばく防止のための措置を講ずることとなつたが、病院及び診療所の特殊性を考慮して、その被ばく放射線量を三月間につき一三○ミリレム以下とすることとされたこと。

六 取扱者の遵守事項(第三○条の二○)

(一) 放射線治療病室及び管理区域からの放射性同位元素によつて汚染された物の持ち出しの制限についての規定が設けられたこと。

なお、放射性同位元素等による汚染の除去を行なうときは、診療用放射性同位元素使用室内の汚染を除去するために設けられた場所、専用の洗濯場等において行なうよう指導されたいこと。

(二) 診療用放射線照射装置使用室の出入口の標示については、第三○条の六第三号の規定により自動標示装置を設けることとなつたので、これを要しないこととなつたこと。

七 エツクス線装置の測定(第三○条の二一)

「照射線量計」については計量法の規定と表現の統一がはかられたものであること。

また、旧規則第三○条の二一第二項の規定は削除されたが、照射線量計の精度は当然確保されるべきものであること。

八 放射線障害の発生するおそれのある場所の測定(第三○条の二二)

(一) 各号列記以外の部分のただし書は、病院及び診療所のエツクス線装置等の使用の実態を考慮して特例が設けられたものであること。

九 記帳(第三○条の二三)

(一) 第一項の規定による記帳は、エツクス線診療室等について、第三○条の四から第三○条の七までに掲げる各表の該当欄を知るために設けられた規定であること。この場合の一週間当たりの使用時間は、原則として、各使用時間の累積によることとするが、次に掲げる装置についてはそれぞれに掲げるところにより算出して差し支えないこと。

(ア) 直接撮影用エツクス線装置

一週間の撮影回数×(/骨の場合     一秒/その他の場合一○分の一秒/)

(イ) 間接撮影用エツクス線装置

蓄電器放電型のもの一週間の撮影回数×二○分の一秒

変電器型のもの  一週間の撮影回数×一○分の八秒

(二) 第二項の規定は、旧規則第三○条の二三の規定に診療用放射線照射器具の廃棄に関する記帳が加えられたものであること。

一○ 廃止後の措置(第三○条の二四)

本条の規定は、診療用放射性同位元素を備えなくなつた後の病院又は診療所内の放射性同位元素による汚染を除去するために、新たに設けられたものであること。

なお、診療用放射性同位元素使用室、放射線治療病室の用途を変更する場合は、予め本条による措置を講ずるよう指導されたいこと。

また、第二号の規定による譲渡の相手方は防止法による許可を受けた廃棄業者に限られるものであるので遺憾のないよう指導されたいこと。

一一 事故の場合の措置(第三○条の二五)

事故による放射線障害は、病院又は診療所のみならず一般社会に与える影響が大きいので、速やかに関係機関に通報するよう徹底されたいこと。

なお、放射線障害を防止するための作業には女子は従事することのないよう指導されたいこと。

第五 経過措置に関する事項

この省令の施行の際、現にエツクス線装置等を備えている病院又は診療所の構造設備については、この省令によつて改正された規定のうち、特に早急に適用することが困難であるものについては昭和三八年九月三○日までの間、その他のものについては昭和三七年一○月三一日までの間、なお、従前の例によることができることとなつているが、それまでの間に必要な改築等を行ない新規則の規定に適合させるよう指導されたいこと。