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○ホタテガイの生産及び流通について

(昭和54年5月12日)

(54水研第519号)

(都道府県知事あて水産庁次長通知)

昭和53年6月以降、一部のホタテガイ等から貝毒が検出されたことにかんがみ、当省においては、「ホタテガイ等の貝毒について」(昭和53年7月21日付け53水研第963号水産庁長官通達)により、ホタテガイ等の流通に関する指導をお願いしてきたところであるが、このたび、新たに「ホタテガイ等の貝毒について」(昭和54年5月12日付け54水研第519号水産庁長官通達。以下「54年貝毒通達」という。)が施行されたことに伴い、今後は下記によることとしたので、御了知の上、遺憾なきを期するとともに、貴管下関係者に対する周知徹底方よろしくお願いする。

なお、下記の措置は、安全な食品を供給するという見地から、ホタテガイの生産及び流通上注意すべき最低限必要な事項のみを掲げたものであり、流通上の混乱の回避、消費者の信頼の確保という見地からすれば、貝毒の蓄積が予想される時期においては、ホタテガイの採捕を極力自粛するなど、生産面における適切な対応が望まれるところであるので、地元の実態に応じ、関係者に対し、この面の指導を行うことも併せてお願いする。

1.生産海域の区分及び出荷の適否

54年貝毒通達の記の2の(2)又は3の(2)によるホタテガイの出荷の適否の判断は、次の表に掲げる生産海域の区分により行うものとする。

なお、むつ湾産ホタテガイに係る同3の(2)による出荷の適否の判断は養殖によるものと地まきによるものとに区分して行うものとする。

道県

生産海域の区分

北海道

石狩湾、日本海中部、日本海南部、津軽海峡、噴火湾湾口、噴火湾西部、噴火湾東部、太平洋西部、太平洋中部、太平洋東部、根室海峡、サロマ湖、能取湖、網走南部、網走中部、網走北部、宗谷南部、宗谷北部、日本海北部

青森県

日本海、津軽海峡西部、陸奥湾東部、陸奥湾西部、津軽海峡東部、太平洋

岩手県

宮古湾、山田湾、大船渡湾東部、大船渡湾西部、北部海域、中北部海域(宮古湾及び山田湾を除く。)、大槌湾、中部海域(大槌湾を除く。)、釜石湾、中南部海域(釜石湾を除く。)、三陸町海域、南部海域(大船渡湾を除く。)

宮城県

気仙沼湾、小泉・伊里前湾、志津川湾、追波湾、雄勝湾、女川・牡鹿半島東部、南部海域

福島県

県下一円の海域

2.出荷の自主規制等の通報

道県は、54年貝毒通達の記の2の(2)又は3の(2)に基づき、ホタテガイの出荷の自主規制が行われたときは、速やかに、貝毒の検査結果を付して、その旨を農林水産省消費・安全局及び関係都道府県に通報するものとする。

5により出荷の再開が行われるときも、同様とする。

3.搬送票

ホタテガイの生産者は、ホタテガイの原料貝を搬送する場合、採捕時期の如何にかかわらず、アからサまでに掲げる事項を記載した搬送票を添付するものとし、これを適切に使用することにより、流通・加工する上で当該搬送票に係るホタテガイと他のホタテガイとの混同を防止し、加工及び6の(1)の証紙の添付の適正を記するものとする。

なお、搬送元及び搬送先は、搬送票を最低1年間保管するものとする。

ア ホタテガイ搬送票である旨(54年貝毒通達の記の2の(2)のただし書又は3の(2)のただし書に基づく処理を行うホタテガイにあっては、処理加工用ホタテガイ搬送票である旨)

イ 54年貝毒通達の記の2の(2)のただし書又は3の(2)のただし書に基づく処理を行うホタテガイにあっては、生食できない旨(朱書とする。)

ウ 採捕(供給)漁業協同組合名

エ 生産海域区分名

オ 採捕年月日

カ 供給数量

キ 54年貝毒通達の記の2の(2)のただし書又は3の(2)のただし書に基づく処理を行うホタテガイにあっては、貝毒検査値(可食部について麻痺性貝毒 MU/g、下痢性具毒 MU/g(注))

ク 仕向製品名

ケ 搬送先

コ 搬送元

サ ホタテガイ取扱い責任者氏名 印

(注) キの貝毒検査値は、原則として、当該ホタテガイを生産した海域の54年貝毒通達に基づく貝毒検査結果の直近の数値のうち最高値を記載する。

4.処理場における加工

(1) 道県知事は、54年貝毒通達の記の2の(2)のただし書に基づき、(3)の「ホタテガイ処理要領」に従いホタテガイを処理する処理場として、道県漁業協同組合連合会が選定した処理場の中から、中腸腺の除去等の処理が適正に行われ、かつ、ホタテガイの安全性を確認する体制が整っていると認めたものを認定処理場として認定するものとする。

(2) 道県漁業協同組合連合会は、道県知事の承認を得て、54年貝毒通達の記の3の(2)のただし書に基づき、(3)の「ホタテガイ処理要領」に従いホタテガイを処理する処理場として、ホタテガイの中腸腺の除去が適正に行われ、かつ、ホタテガイの安全性を確認する体制が整っている処理場を指定処理場として指定するものとする。

なお、この場合、他の県で採捕されたホタテガイの中腸腺を除去する処理場を指定しようとするときは、当該他の県と十分連絡調整を行うものとする。

(3) 道県漁業協同組合連合会は、道県の指導のもとに、処理場におけるホタテガイの処理に係る安全性を確保するため、次に掲げる事項を内容とする「ホタテガイ処理要領」を作成し、道県を通じて農林水産省消費・安全局に提出するとともに、処理場にこれを遵守させるものとする。

ア 原料貝の規格及び性状に関する事項

イ 処理工程及び処理条件に関する事項

ウ 製品の検査に関する事項

エ 道県漁業協同組合連合会及び道県への報告に関する事項

オ その他ホタテガイの処理に伴う安全性の確保に関する事項

5.出荷の再開

出荷の自主規制が行われている生産海域におけるホタテガイの貝毒の検査の結果、すべての検体の貝毒の量が54年貝毒通達の記の2の(2)及び3の(2)の数値以下となり、かつ、1週間後及び2週間後の検査においても同様である場合には、当該生産海域におけるホタテガイの出荷を再開しで差し支えない。

6.証紙の発行及び貼付

製品であるホタテガイを出荷するもの(以下「出荷者」という。)は、採捕時期の如何にかかわらず、当該ホタテガイを出荷するに当たり、安全性を確認した上、最終包装単位ごとに、次に掲げる事項を記載した証紙(別記様式例)を貼付するものとする。

なお、証紙の発行は出荷責任団体(当該ホタテガイの原料貝の出荷について責任を負う道県漁業協同組合連合会とするが、他の道県で採捕されたホタテガイを原料として加工したホタテガイを出荷する場合にあっては、当該加工を行う加工場の所在地の道県漁業協同組合連合会とする。)が行う。

ア 出荷責任団体名

イ 生産海域区分名

ウ 採捕年月日

エ 加工したものにあっては、加工(製造)年月日

オ むつ湾産ホタテガイにあっては、養殖によるもの又は地まきによるものの区分

カ 証紙使用者登録番号(証紙使用者の住所、氏名が別途明記されている場合は、省略しても差し支えない。)

7.証紙の取扱い

出荷責任団体は、道県の指導の下に、次に掲げる事項を内容とする「証紙管理要領」を作成し、道県を通じて農林水産省消費・安全局に提出するとともに、これに基づいて証紙の発行及び貼付の適正を期するものとする。

ア 証紙の交付対象品に関する事項

イ 証紙の発行者及び交付手続きに関する事項

ウ 証紙の様式に関する事項

エ 証紙使用者登録制度に関する事項

オ 証紙の貼付方法に関する事項

カ 証紙の管理に関する事項

キ その他証紙の使用に当たって遵守しなければならない事項

ク 要領に違反した場合の措置に関する事項

8.出荷責任団体及び出荷者に対する指導

道県知事は、証紙の発行及び使用の実態を把握し、証紙の取扱いが適切に行われるよう出荷責任団体及び出荷者を指導するものとする。

9.流通関係者に対する指導

道県知事は、6の証紙が貼付されているホタテガイのみ流通するよう関係者を指導するものとする。

10.処理加工実績等の報告

道県は、別に定めるところにより毎年のホタテガイの処理加工実績等を農林水産省消費・安全局に報告するものとする。

(別記様式例)