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○「健康食品」に係る制度に関する質疑応答集について

(平成17年2月28日)

(食安新発第0228001号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室長通知)

「健康食品」に係る制度の見直しについては、「「健康食品」に係る制度の見直しについて」(平成17年2月1日付け薬食発第0201001号厚生労働省医薬食品局長通知)等により通知したところであるが、当該制度の見直し内容等の正確な理解を進めるため、今般、別添のとおり質疑応答集を作成したので、貴管下事業者への指導に際し活用いただくとともに、関係者への周知方よろしくお願いする。

なお、「保健機能食品制度に関する質疑応答集について」(平成14年3月8日付け食新発第0308001号厚生労働省医薬局食品保健部企画課新開発食品保健対策室長通知)は廃止する。

別添

「健康食品」に係る制度に関する質疑応答集

目次

《「健康食品」に係る制度について》

問1 「健康食品」、「いわゆる健康食品」及び保健機能食品とは何か。

問2 保健機能食品制度とはどのような制度か。

問3 特定保健用食品は法令上どのように規定されているか。

問4 栄養機能食品は法令上どのように規定されているか。

問5 特定保健用食品と栄養表示基準はどのような関係にあるのか。

問6 コーデックス(FAO/WHO合同国際食品規格委員会)における「健康食品」に係る議論の動向はどのようになっているか。

問7 保健機能食品等の英語名は何か。

問8 保健機能食品の表示が望ましくない食品はあるか。

問9 保健機能食品以外の食品については、保健機能食品と紛らわしい名称を表示してはならないこととされているが、具体的にはどのような名称か。

《特定保健用食品について》

問10 特定保健用食品の表示許可等に係る申請はどのようにすればよいか。

〔条件付き特定保健用食品〕

問11 条件付き特定保健用食品とは何か。

問12 条件付き特定保健用食品を創設した目的は何か。

問13 条件付き特定保健用食品の許可等を受けるにはどのようにすればよいか。

問14 条件付き特定保健用食品の有効性の審査はどのように行うのか。

問15 条件付き特定保健用食品から特定保健用食品への移行は可能か。

問16 非無作為化比較試験とは具体的にどのように行うのか。

問17 条件付き特定保健用食品として、既に許可等されたものと全く同一の食品であっても許可等を受けることは可能か。

問18 条件付き特定保健用食品の科学的根拠にはランク付けがあるのか。

問19 作用機序が明確・不明確であるという判断はどのようになされるのか。

問20 条件付き特定保健用食品の広告等について注意すべき点は何か。

〔特定保健用食品(規格基準型)〕

問21 特定保健用食品(規格基準型)とは何か。

問22 特定保健用食品(規格基準型)を創設した目的は何か。

問23 特定保健用食品(規格基準型)の許可等を受けるにはどのようにすればよいか。

問24 特定保健用食品(規格基準型)の審査はどのように行うのか。

〔疾病リスク低減表示〕

問25 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)とは何か。

問26 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)を創設した目的は何か。

問27 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)の許可等を受けるにはどのようにすればよいか。

問28 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)の有効性の審査はどのように行うのか。

問29 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)の安全性の審査はどのように行うのか。

問30 若い女性がカルシウムを摂取することによる骨粗鬆症のリスク低減の表示許可等を申請するに当たっての留意事項は何か。

問31 女性が葉酸を摂取することによる子どもの神経管閉鎖障害のリスク低減の表示許可等を申請するに当たっての留意事項は何か。

問32 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)を摂取するに当たって注意することはあるか。

問33 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)の広告等について注意すべき点は何か。

〔その他〕

問34 「健康食品」に係る制度の見直し(平成17年2月)に伴い、特定保健用食品の許可等及び審査の申請の受付時期について変更があるか。

問35 特定保健用食品の審査はどのような順序で行われるか。

《栄養機能食品について》

問36 栄養機能食品の表示の対象となる栄養成分とはどのようなものか。

問37 栄養機能食品として栄養成分の機能を表示できる食品はどのようなものか。

問38 栄養機能食品における栄養機能表示及び注意喚起表示は、趣旨が同じであれば、規格基準に定められた文言に変化を加えたり、省略したりすることは可能か。

問39 一つの食品で、二つ以上の栄養成分について栄養機能表示及び注意喚起表示を行う際、栄養機能表示及び注意喚起表示が同一の場合であればまとめて記載しても差し支えないか。また、ビタミンAと葉酸のように、一つの栄養成分に二つの栄養機能表示がある場合には、まとめて記載することで差し支えないか。

問40 栄養機能食品において、規格基準が定められている栄養成分を複数表示する場合、その順序は決められているか。

問41 栄養機能食品において、1日当たりの摂取目安量を「○○粒~○○粒お召し上がりください。」旨の幅の両端をもって表示することは可能か。また、「~以上お召し上がりください。」、「~以内をお召し上がりください。」旨の幅の一端のみをもって表示することは可能か。

問42 栄養機能食品の規格基準に適合していれば、栄養機能食品に「厚生労働省の規格基準適合」と表示しても差し支えないか。

問43 生鮮食品(鶏卵を除く。)は栄養機能食品の表示の対象外とされているが、米は生鮮食品に該当するか。

問44 栄養機能食品における表示禁止規定により表示が禁止されるのはどのような場合か。

問45 栄養機能食品における表示禁止規定に違反した場合は罰則がかかるのか。

《表示の適正化について》

問46 保健機能食品において「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の表示を義務づける目的は何か。

問47 義務表示事項を表示していなかった場合は罰則がかかるのか。

《錠剤、カプセル状等食品の適正な製造に係る基本的考え方について》

問48 錠剤、カプセル状等といった食品の形態に着目して適正な製造に係る基本的考え方(以下「基本的考え方」という。)を示した目的は何か。

問49 基本的考え方に従って製造工程管理を行おうとする場合、具体的には何をすればよいか。

《錠剤、カプセル状等食品の原材料の安全性に関する自主点検ガイドラインについて》

問50 錠剤、カプセル状等といった食品の形態に着目して原材料の安全性に関する自主点検ガイドライン(以下「ガイドライン」という。)を作成した目的は何か。

問51 過剰摂取の問題は摂取目安量や摂取方法、注意事項等の表示で担保するのが適当ではないか。

問52 錠剤、カプセル状等の「いわゆる健康食品」の食経験はガイドラインにおいてどのように考慮されるのか。

問53 ガイドラインに示されている点検手法以外の手法により安全性を確認してもよいか。

《普及啓発等について》

問54 独立行政法人国立健康・栄養研究所のホームページにおいて設けられているデータベースである「「健康食品」の安全性・有効性情報」とはどのようなものか。

問55 「健康食品」の利用に当たって、アドバイザリースタッフはどのような役割を担うのか。

問56 「健康食品」についての虚偽誇大広告等の禁止とはどのような制度か。

《「健康食品」に係る制度について》

問1 「健康食品」、「いわゆる健康食品」及び保健機能食品とは何か。

「健康食品」は法令上に規定された食品ではないが、一般的には、健康に関する効果や食品の機能等を表示して販売されている食品(栄養補助食品、健康補助食品、サプリメントなど)を指すと考えられている。

一方、保健機能食品とは、このような「健康食品」のうち、個別に、生理的機能や特定の保健機能を示す有効性及び安全性等に関する国の審査を受け、厚生労働大臣によって有効性に係る表示を許可又は承認(以下「許可等」という。)された食品(特定保健用食品)及び特定の栄養成分を含むものとして厚生労働大臣が定める基準に従い当該栄養成分の機能を表示する食品(栄養機能食品)を指し、法令上に規定された食品である。

なお、「健康食品」から保健機能食品を除いたものを「いわゆる健康食品」と呼んでいるが、「健康食品」と同様、法令上の定義があるものではない。

問2 保健機能食品制度とはどのような制度か。

保健機能食品制度とは、一定の条件を満たした食品について「保健機能食品」と称することを認めるために平成13年に創設された制度で、表示する機能等の違いによって、特定保健用食品と栄養機能食品の2つのカテゴリーに分類される(創設の経緯については、「保健機能食品の表示等について(報告書)」(平成13年2月26日薬事・食品衛生審議会)を参照されたい。)。

特定保健用食品は、身体の生理学的機能や生物学的活動に影響を与える保健機能成分を含み、食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品である。特定保健用食品として食品を販売するには、個別に生理的機能や特定の保健機能を示す有効性や安全性等に関する国の審査を受け、その表示内容について許可等を得なければならない(許可等を受けている品目については、厚生労働省のホームページを参照されたい。)。

一方、栄養機能食品は、身体の健全な成長、発達、健康の維持に必要な栄養成分(ミネラル、ビタミン等)の補給を目的として、栄養成分の機能の表示をする食品である。栄養機能食品として食品を販売するには、国が定めた規格基準に適合する必要があり、規格基準に適合すれば国等への許可申請や届出の必要はなく、製造・販売することができる。

なお、保健機能食品制度については、平成17年2月の「健康食品」に係る制度の見直しに伴い、条件付き特定保健用食品の創設等の改正が行われた(見直しの経緯については、「「健康食品」に係る今後の制度のあり方について(提言)」(平成16年6月9日「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会)を参照されたい。)。

問3 特定保健用食品は法令上どのように規定されているか。

特定保健用食品は、健康増進法(平成14年法律第103号)第26条第1項の特別用途食品の表示の許可及び同法第29条の承認の一つである。許可等の際は同法第26条に定める手続に従って申請をし、当該表示をしようとする食品の有効性及び安全性について、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第11条に基づく厚生労働大臣の審査を受けなければならない。

許可等を受けた食品を特定保健用食品として販売するに当たっては、健康増進法第26条第5項に定める表示事項を表示する必要があり、適正に表示していない場合等は同法第28条に基づく許可等の取消し対象となる。

問4 栄養機能食品は法令上どのように規定されているか。

栄養機能食品は、栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号)第2条第2項及び食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号)第21条第1項シに定められており、栄養表示基準別表第1及び栄養機能食品の表示に関する基準(平成13年厚生労働省告示第97号)別表に定める規格基準に従った表示をするものである。栄養機能食品として販売するに当たっては、これらの条項に定める表示事項を表示する必要がある。

問5 特定保健用食品と栄養表示基準はどのような関係にあるのか。

特定保健用食品は特別用途食品の一つであるが、特別用途食品はその表示の許可等に当たって個別に審査を行うことから、栄養成分量等の表示に関する基準にかからしめる必要はないため、栄養表示基準の適用除外とされている(健康増進法第31条)。

問6 コーデックス(FAO/WHO合同国際食品規格委員会)における「健康食品」に係る議論の動向はどのようになっているか。

食品の規格については、コーデックスが国際的な規格を策定し、国際協調を図っているところであるが、健康強調表示(Health claim。概ね日本で言う「健康食品」に係る表示に相当する。)についても、コーデックスの下部組織の一つである食品表示部会及び栄養・特殊用途食品部会において検討がなされている。食品表示部会は、食品全般に適用される表示の基準に関する議論の場であり、「健康食品」に関しては、栄養強調表示、健康強調表示等(後述)に係る定義及びその適用条件を検討している。一方、栄養・特殊用途食品部会は、食品の栄養に関する全般的な規格に関する議論の場であり、「健康食品」に関しては、ビタミン・ミネラル補助食品の表示に係る科学的根拠を検討としている。

なお、「健康食品」の表示については、「健康・栄養強調表示の使用に関するガイドライン(DRAFT GUIDELINES FOR USE OF NUTRITION AND HEALTH CLAIMS)」が平成16年に採択されており、栄養強調表示(食品が持つ特別な栄養上の特性に関する表示で、栄養素の含有に関するものをいう。)及び健康強調表示(食品と健康の関係に関する表示で、栄養素の生理学的な機能に関するもの、栄養素以外の成分の機能に関するもの及び疾病リスクの低減に関するものを指す。)に関する考え方が示されている。

問7 保健機能食品等の英語名は何か。

以下のとおりである。

保健機能食品:Food with health claims(FHC)

特定保健用食品:Food for specified health uses(FOSHU)

条件付き特定保健用食品:qualified FOSHU

特定保健用食品(規格基準型):standardized FOSHU

特定保健用食品(疾病リスク低減表示):reduction of disease risk FOSHU

栄養機能食品:Food with nutrient function claims(FNFC)

問8 保健機能食品の表示が望ましくない食品はあるか。

例えば、ビール等のアルコール飲料や、ナトリウム、糖分等を過剰に摂取させることになる食品等は、保健機能食品の表示をすることによって、当該食品が健康の保持増進に資するという一面を強調することになるが、摂取による健康への悪影響も否定できないことから、保健機能食品の表示をすることは望ましくない。

問9 保健機能食品以外の食品については、保健機能食品と紛らわしい名称を表示してはならないこととされているが、具体的にはどのような名称か。

例えば「特定健康食品」「特定機能食品」、「保健○○食品」「機能○○食品」等で、特に「機能」「保健」の文字が含まれているものを指す。

《特定保健用食品について》

問10 特定保健用食品の表示許可等に係る申請はどのようにすればよいか。

特定保健用食品の表示の許可等に係る申請及び許可等に係る流れは以下のとおりである。申請に当たっては、表示の許可申請書を都道府県経由で、審査申請書を直接厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室(以下「対策室」という。)に提出する。このほか、許可を受けようとする食品についての分析試験を受けなければならない。

〔条件付き特定保健用食品〕

問11 条件付き特定保健用食品とは何か。

特定保健用食品のうち、その許可等に際し要求している科学的根拠のレベルには届かないものの、一定の有効性が確認される食品について、その摂取により特定の保健の目的が期待できる旨について限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件として許可等を受けたものを指す。

具体的には、「根拠は必ずしも確立されていませんが」及び「(特定の保健の用途に適する)可能性がある食品です」という条件文を付した表示とする。

(例)本品は○○を含んでおり、根拠は必ずしも確立されていませんが、△△に適している可能性がある食品です。

また、条件付き特定保健用食品の許可証票又は承認証票として、健康増進法施行規則(平成15年厚生労働省令第86号)別記様式第4号の2に定める許可証票又は同別記様式第6号の2による承認証票を付することとする。

<様式第4号の2>

<様式第6号の2>

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画像3 (58KB)別ウィンドウが開きます

問12 条件付き特定保健用食品を創設した目的は何か。

従前の表示制度においては、身体の構造又は機能に影響を及ぼすことを目的とする表示(以下「身体の構造/機能表示」という。)が保健機能食品を除き認められていないため、それが要因となって曖昧な表示を増加させているという一面もあった。従って、国民に対する正確で十分な情報提供を推進するため、一定の科学的根拠が存在する食品については、当該科学的根拠が必ずしも確立されているわけではない旨の表示をつけることを条件として、身体の構造/機能表示を認めることとし、特定保健用食品の制度の中に位置づけたものである。

問13 条件付き特定保健用食品の許可等を受けるにはどのようにすればよいか。

条件付き特定保健用食品と特定保健用食品の違いは、その有効性の科学的根拠に係る部分のみであり、許可等を受けるための申請手続は特定保健用食品と同じである。なお、条件付き特定保健用食品はあくまで条件付き特定保健用食品として申請がなされたものについて許可等がなされるものであり、特定保健用食品として申請がなされたが科学的根拠が十分でなく特定保健用食品の許可等を受けることができなかったものについて、条件付きで許可等がなされるというものではない。

問14 条件付き特定保健用食品の有効性の審査はどのように行うのか。

特定保健用食品として求められる科学的根拠には満たないものの、条件付き特定保健用食品としての有効性を示すものとして認められる場合は、以下のとおりである。

① 無作為化比較試験において、危険率5%以下で統計的処理を行っても有意差は出ないが、同10%以下とすると有意差が出るもの

② 非無作為化比較試験(割付を無作為化せずに行う比較試験)において、危険率5%以下で統計的処理を行った結果有意差が出るもの

③ 作用機序に関する試験が適切になされているものの、作用機序が明確にならなかった場合

(ただし、②かつ③の場合を除く。)

いずれも、品質の担保のために関与成分の特定が必要である。

なお、安全性については、特定保健用食品と同等の科学的根拠が必要であり、内閣府食品安全委員会(以下「食品安全委員会」という。)の審査を受けることとなる。

問15 条件付き特定保健用食品から特定保健用食品への移行は可能か。

科学的根拠が蓄積する等、特定保健用食品として求められる基準を満たすものとなれば、特定保健用食品として再度申請をした上で許可等を受けることは可能である。

問16 非無作為化比較試験とは具体的にどのように行うのか。

非無作為化比較試験とは、割付を無作為化せずに行う比較試験を指す。比較試験における介入群と対照群の比較可能性は、本来、無作為割付を行うことによって自動的に担保されるものであるが、無作為割付を行わない場合は、最初に集めた介入群と性、年齢、指標等をある程度揃えた対象者を集める必要がある。

問17 条件付き特定保健用食品として、既に許可等されたものと全く同一の食品であっても許可等を受けることは可能か。

そうした事例は想定していない。ただし、関与成分が同じであっても、表示しようとする保健の用途が異なる場合や関与成分量を増加させている場合等は条件付き特定保健用食品の許可等の対象となりうる。

問18 条件付き特定保健用食品の科学的根拠にはランク付けがあるのか。

条件付き特定保健用食品については、特定保健用食品と比べて作用機序及び試験方法の2点について審査基準を緩和しているが、科学的根拠の強さは実施された試験の質等を含めて総合的に判断されるものであるため、一概にランク付けを行うことは不可能である。

問19 作用機序が明確・不明確であるという判断はどのようになされるのか。

関与成分のin vitro及び動物を用いたin vivoの試験又はヒト試験において作用機序が判明していることをもって明確であると判断する。なお、作用機序を検証していないものまで不明確とみなすわけではなく、作用機序が不明確である食品として審査を申請する場合であっても、作用機序を明らかにするための資料として関与成分のin vitro及び動物を用いたin vivoの試験又はヒト試験の結果を添付する必要がある。

問20 条件付き特定保健用食品の広告等について注意すべき点は何か。

条件付き特定保健用食品は、特定保健用食品として求められる科学的根拠のレベルには届かないものの、一定の有効性が確認される食品について条件付きの表示の許可等をするものであるから、科学的根拠が限定的である旨を省略した広告等を行うと虚偽の表示に当たり、健康増進法第28条に定める許可等の取消しの対象となる。

なお、広告等とは、顧客を誘引するための手段として当該食品等の内容に関する事項等について行う表示を意味し、媒体としては例えば以下に掲げるものをいう(以下同じ。)。

ア 見本、チラシ、パンフレット、説明書面その他これらに類似する物(ダイレクトメール、ファクシミリ等を含む。)

イ ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオンサイン、アドバルーンその他これらに類似する物

ウ 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備による放送を含む。)、映写又は電光によるもの

エ 情報処理の用に供する機器によるもの(インターネット、パソコン通信等によるものを含む。)

〔特定保健用食品(規格基準型)〕

問21 特定保健用食品(規格基準型)とは何か。

特定保健用食品であって、その許可件数が多い食品等科学的根拠が蓄積したものについて、許可手続の迅速化のため、新たに規格基準を作成し、薬事・食品衛生審議会(以下「審議会」という。)の審査を省略して対策室において規格基準に適合すると確認されたものを指す。

問22 特定保健用食品(規格基準型)を創設した目的は何か。

特定保健用食品の表示の許可等及び審査に要する標準的事務処理期間は、申請書が受理された日から6ヶ月と定めているが、実際には提出書類の不備を修正する期間、審議会における指摘事項に対して回答するまでの期間等が別途必要となるため、許可等を受けるまでにはかなりの時間を要することが指摘されている。従って、審議会の審査を省略してもよいと考えられるものについては、対策室での審査のみを行い、許可等手続の迅速化を図ることとした。特定保健用食品(規格基準型)については、標準的事務処理期間を3ヶ月と定めた。

なお、審議会の審査を省略できるものは、既に許可等の件数が多く科学的根拠が蓄積していると考えられるものとし、

① 許可件数が100件を超えている保健の用途に係る関与成分であること。

② ①を満たす関与成分であって、最初の許可等から6年以上経過しており、その6年間に健康被害が出ておらず、かつ複数の企業が許可等を取得しているもの。(複数の企業が許可を取得しているか否かの判断に当たっては、試験結果を共有する等共同開発である場合は一企業として取り扱う。)

を満たすものについて、規格基準の作成を検討していくこととする。

問23 特定保健用食品(規格基準型)の許可等を受けるにはどのようにすればよいか。

関与成分ごとに定められた規格基準を満たす食品について、許可等申請書及び審査申請書を提出して随時申請を行うことができる。申請書の記載に当たっては、「特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領」(平成13年3月27日付け食発第111号厚生労働省医薬局食品保健部長通知別添1。以下「取扱い要領」という。)を参照し、特定保健用食品(規格基準型)である旨等を明記することが必要である。

問24 特定保健用食品(規格基準型)の審査はどのように行うのか。

特定保健用食品(規格基準型)として申請された食品について、対策室において規格基準に適合しているか否かを確認する。関与成分以外の原材料や食品形態が既許可品の範囲を逸脱している等規格基準に不適合のものについては、審議会で有効性についての審査を行うものとする。

〔疾病リスク低減表示〕

問25 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)とは何か。

特定保健用食品のうち、その特定の保健の用途として疾病リスクの低減に資する旨の表示の許可等を受けたものを指す。具体的には、疾病リスクの低減に資する関与成分を含有する旨及び疾病リスク低減の具体的な内容について表示するものとする。なお、表示は、関与成分の摂取による疾病リスクの低減が医学的・栄養学的に広く認められ確立されているものに限り認めることとする。

(例)「この食品は○○を豊富に含みます。適切な量の○○を含む健康的な食事は、疾病□□にかかるリスクを低減するかもしれません。」

また、医学的・栄養学的に広く認められ確立されているものであっても、疾病には多くの危険因子があることや十分な運動も必要であること、過剰摂取のおそれがあること等について、注意喚起を図る表示をすることとする。

現在の科学的知見により、関与成分の摂取による疾病リスクの低減が医学的・栄養学的に広く認められ確立されていると考えられるものとしては、若い女性のカルシウム摂取と、将来の骨粗鬆症になるリスクの関係及び女性の葉酸摂取と、神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクの関係(以下「カルシウムと葉酸の疾病リスク低減」という。)の2つが挙げられる。

問26 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)を創設した目的は何か。

国際的に、身体の構造/機能表示とは別に疾病リスク低減表示を認める方向にあるため、表示の選択肢を拡げ、消費者に対して明確な情報を提供する観点から、特定の保健の用途の表示の一つとして許可等の対象とすることとした。

問27 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)の許可等を受けるにはどのようにすればよいか。

特定保健用食品(疾病リスク低減表示)と特定保健用食品の違いは、表示する特定の保健の用途に係る部分のみであり、許可等を受けるための申請手続は基本的に特定保健用食品と同じである。しかしながら、特定保健用食品(疾病リスク低減表示)は、当該保健の用途について「医学的・栄養学的に確立されている」ことを証明する必要があるため、特定保健用食品の許可等及び審査の申請に必要な添付資料に加えて、当該関与成分の有効性を検証した論文からなるメタアナリシスの論文及び当該メタアナリシスの論文に引用された論文に基づいて有害事象を生じない摂取量を検証した資料を添付する必要がある(カルシウムと葉酸の疾病リスク低減に係る表示の許可等申請に当たっては、当該検証は不要。)。

なお、申請書の記載に当たっては、取扱い要領を参照し、特定保健用食品(疾病リスク低減表示)である旨等を明記することが必要である。

問28 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)の有効性の審査はどのように行うのか。

当該食品の摂取による特定の保健の用途については、本来、ヒトによる有効性の検証が行われている必要があるが、疾病リスク低減に関する有効性の検証については、特定保健用食品の審査で求めている検証を課すことが困難な場合に、当該関与成分による疾病リスク低減を検証した論文の審査をもって代えることとする。

問29 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)の安全性の審査はどのように行うのか。

安全性については、特定保健用食品と同じく食品安全委員会の審査(食品健康影響評価)を受けることとなる。なお、特定保健用食品について食品健康影響評価が明らかに必要でないと食品安全委員会が判断しているものは、特定保健用食品(疾病リスク低減表示)についても同様に取り扱われる。

参考:「食品安全基本法第11条第1項第1号の食品健康影響評価を行うことが明らかに必要でないときについて(回答)」(平成15年8月28日府食第70号厚生労働大臣宛食品安全委員会委員長)

問30 若い女性がカルシウムを摂取することによる骨粗鬆症のリスク低減の表示許可等を申請するに当たっての留意事項は何か。

関与成分として用いるカルシウムは、食品として流通できるものである必要があることから、食品添加物公定書に収載されているもの又は食品等として人が摂取してきた経験が十分に存在するものに由来するものとする。

なお、表示は以下のとおりとする。

「この食品はカルシウムを豊富に含みます。日頃の運動と、適切な量のカルシウムを含む健康的な食事は若い女性が健全な骨の健康を維持し、歳をとってからの骨粗鬆症になるリスクを低減するかもしれません。」

問31 女性が葉酸を摂取することによる子どもの神経管閉鎖障害のリスク低減の表示許可等を申請するに当たっての留意事項は何か。

関与成分として用いる葉酸は、有効性の検証が行われているプテロイルモノグルタミン酸に限ることとし、食品由来の葉酸は関与成分量として計上しないこととする。

なお、表示は以下のとおりとする。

「この食品は葉酸を豊富に含みます。適切な量の葉酸を含む健康的な食事は、女性にとって、二分脊椎などの神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクを低減するかもしれません。」

問32 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)を摂取するに当たって注意することはあるか。

特定保健用食品(疾病リスク低減表示)は、その摂取により疾病に対するリスク要因の一つを十分に改善するものではあるが、疾病には複合的なリスク要因があるため、完全に予防すると言い切れるものではない。許可表示はこの点を踏まえた内容となっているので、その趣旨を十分理解した上で摂取することが大切である。同様に、多量に摂取すればするほど疾病リスク低減の効果が増大するものでもないため、表示されている一日摂取目安量を守り、過剰摂取にならないよう注意する必要がある。

問33 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)の広告等について注意すべき点は何か。

疾病リスク低減表示については、疾病には多くの危険因子があることや十分な運動も必要であること、過剰摂取のおそれがあること等について注意喚起を図る表示をすることにより、疾病の予防効果がある等医薬品と誤認することのないよう担保しているものであるから、その旨を省略した広告等を行うと虚偽の表示に当たり、健康増進法第28条に定める許可等取消しの対象となる。

〔その他〕

問34 「健康食品」に係る制度の見直し(平成17年2月)に伴い、特定保健用食品の許可等及び審査の申請の受付時期について変更があるか。

従前通り四半期に一度であるが、特定保健用食品(規格基準型)については随時受け付ける。

問35 特定保健用食品の審査はどのような順序で行われるか。

以下のとおりである。なお、条件付き特定保健用食品、特定保健用食品(疾病リスク低減表示)についても、同様の順序で行われる。

《栄養機能食品について》

問36 栄養機能食品の表示の対象となる栄養成分とはどのようなものか。

栄養機能食品の表示の対象となる栄養成分は、人間の生命活動に不可欠な栄養素であって科学的根拠が医学的・栄養学的に広く認められ確立されたものであり、現在の科学的知見においてはビタミン・ミネラルを指す。

問37 栄養機能食品として栄養成分の機能を表示できる食品はどのようなものか。

栄養機能食品として栄養成分の機能を表示できる食品は、次のミネラル類5種類とビタミン類12種類について、栄養機能食品の規格基準に適合するものである。規格基準に適合するとは、当該食品の1日当たりの摂取目安量に含まれる表示栄養成分量が規格基準の下限量と上限量の範囲内にあり、当該栄養成分の機能表示に併せて、当該栄養成分を摂取する上での注意事項を適正に表示することをいう。

ミネラル類

カルシウム、亜鉛、銅、マグネシウム、鉄

ビタミン類

ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸

問38 栄養機能食品における栄養機能表示及び注意喚起表示は、趣旨が同じであれば、規格基準に規定された文言に変化を加えたり、省略したりすることは可能か。

栄養機能食品においては、当該規格基準に規定されている栄養成分の栄養機能表示及び注意喚起表示について、規定されたとおりに表示しなければならない。

問39 一つの食品で、二つ以上の栄養成分について栄養機能表示及び注意喚起表示を行う際、当該栄養機能表示及び注意喚起表示が同一の場合にはまとめて記載しても差し支えないか。また、ビタミンAと葉酸のように、一つの栄養成分に二つの栄養機能表示がある場合には、まとめて記載することで差し支えないか。

差し支えない。

例えば、栄養機能表示及び注意喚起表示が同一の場合は、「ナイアシン、ビオチン及びビタミンB2は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」とすること、また、ビタミンAと葉酸のように、二つの栄養機能表示がある場合には、「ビタミンAは、夜間の視力維持を助けるとともに、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」、「葉酸は、赤血球の形成を助けるとともに、胎児の正常な発育に寄与する栄養素です。」とすることは差し支えない。

問40 栄養機能食品において、規格基準が定められている栄養成分を複数表示する場合、その順序は決められているか。

特に決められていない。

問41 栄養機能食品において、1日当たりの摂取目安量を「○○粒~○○粒お召し上がりください。」旨の幅の両端をもって表示することは可能か。また、「~以上お召し上がりください。」、「~以内をお召し上がりください。」旨の幅の一端のみをもって表示することは可能か。

栄養機能食品において、1日当たりの摂取目安量を、「○○粒~○○粒」のように幅の両端をもって表示することは可能である。ただし、この場合においては、幅の両端それぞれの1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養機能表示成分量が、栄養機能食品の規格基準に適合する必要があるのはいうまでもない。

一方、「○○粒以上」等幅の一端のみをもって表示することは、1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養機能表示成分量が、栄養機能食品の規格基準の上限値と下限値をはずれる可能性があるので、当該基準を満たすことにはならない。

問42 栄養機能食品の規格基準に適合していれば、栄養機能食品に「厚生労働省の規格基準適合」と表示しても差し支えないか。

差し支えない。ただし、「厚生労働省認定規格基準適合」等、厚生労働大臣の個別の審査を受けたものではない旨の表示の趣旨を没却するような表示は適切でない。また、「厚生労働省の栄養機能食品の規格基準を(軽々、軽く、完全に)クリア」等の誇大な表現についても適切でない。

問43 生鮮食品(鶏卵を除く。)は栄養機能食品の表示の対象外とされているが、米は生鮮食品に該当するか。

米は、ビタミン等の添加物を使用して加工しているものを除き、生鮮食品に該当する。

問44 栄養機能食品における表示禁止規定により表示が禁止されるのはどのような場合か。

栄養機能食品の表示をするものについて、機能表示が認められていない成分の機能の表示が禁止される。機能の表示とは身体の構造/機能表示を指し、例えば「痩せる」「体力増強」等を指す。禁止されている表示を行っている栄養機能食品は、栄養機能食品としての表示(栄養素の機能の表示、栄養機能食品である旨の表示等)を削除するか、当該禁止されている機能の表示を削除するかのいずれかの対応をしなければならない。

問45 栄養機能食品における表示禁止規定に違反した場合は罰則がかかるのか。

健康増進法第31条違反として同法第32条第1項に基づく勧告及び同条第2項に基づく命令の対象となるほか、同時に食品衛生法第19条第2項違反となる。罰則については、当該命令違反として健康増進法第37条に定める50万円以下の罰金(法人については同法第39条に定める両罰規定あり。)に処せられ、食品衛生法第19条第2項違反として同法第72条に定める2年以下の懲役又は200万円以下の罰金(法人については同法第78条第1号に定める両罰規定あり。)に処せられる。

《表示の適正化について》

問46 保健機能食品において「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の表示を義務づける目的は何か。

国民の健康づくりにおいては、一人一人がバランスの取れた食生活を送ることが重要であるが、過度に「健康食品」に期待し、偏重して摂取する傾向があるとの指摘がある。こうした傾向を是正し、バランスの取れた食生活に関する普及啓発を図るため、保健機能食品について「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の表示を義務づけることとした。表示箇所は、消費者が商品選択する際の情報提供とするため容器包装の前面とし、容器の底面に表示する等表示義務づけの趣旨を没却するような表示方法は適切でない。

なお、「いわゆる健康食品」についても、同様の表示をすることが望ましい。

問47 義務表示事項を表示していなかった場合は罰則がかかるのか。

特定保健用食品の場合、健康増進法第26条第5項違反として同法第28条の規定に基づく許可等の取消し対象となるほか、同時に食品衛生法第19条第2項違反ともなる。罰則については、当該許可の取消し後も特定の保健の用途の表示をしている場合、健康増進法第26条第1項違反として同法第37条に定める50万円以下の罰金(法人については同法第39条に定める両罰規定あり。)に処せられるほか、食品衛生法第19条第2項違反として同法第72条に定める2年以下の懲役又は200万円以下の罰金(法人については同法第78条第1号に定める両罰規定あり。)に処せられる。

栄養機能食品の場合は問45を参照のこと。

《錠剤、カプセル状等食品の適正な製造に係る基本的考え方について》

問48 錠剤、カプセル状等といった食品の形態に着目して適正な製造に係る基本的考え方(以下「基本的考え方」という。)を示した目的は何か。

錠剤、カプセル剤、粉末剤、液剤等の形態の食品(以下「錠剤、カプセル状等食品」という。)については、原材料等に関して安全性確認がなされていても、濃縮等の工程を経ることにより個々の製品レベルで成分の偏りが生じる可能性があり、必ずしも確認された安全性レベルが保証されない、期待される有効性が確保されない等の問題がある。従って、最終製品で不良品が生じる前に、各製造段階において不良品が生じないようなチェックを行うべきであるという製造工程管理の考え方に基づく製品の品質の確保を図る必要がある。

問49 基本的考え方に従って製造工程管理を行おうとする場合、具体的には何をすればよいか。