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○水質基準に関する省令の制定及び水道法施行規則の一部改正等並びに水道水質管理における留意事項について

(平成15年10月10日)

(健水発第1010001号)

(各都道府県・市・特別区水道行政担当部(局)長あて厚生労働省健康局水道課長通知)

水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号。以下「新基準省令」という。)、「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法」(平成15年度厚生労働省告示第261号。以下「検査方法告示」という。)、「水道法施行規則の一部を改正する省令」(平成15年厚生労働省令第142号)及び「水道法施行規則第17条第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める遊離残留塩素及び結合残留塩素の検査方法」(平成15年厚生労働省告示第318号。以下「残留塩素検査方法告示」という。)の制定については、平成15年10月10日付健発第1010004号にて厚生労働省健康局長より通知されたところであるが、これらの施行に当たっての留意事項と水道水質管理に関する基本的留意事項を併せて下記のとおりとりまとめたので、御了知の上、貴管下水道事業者等に対する周知指導方、よろしく御配意願いたい。

なお、平成16年4月1日付けをもって、厚生省生活衛生局水道環境部水道整備課長通知「水質検査にあたっての留意事項について」(平成4年12月21日付衛水第268号)、「水質基準を補完する項目に係る測定方法について」(平成5年3月31日付衛水第104号)、「簡易水道等における水質検査の頻度について」(平成5年8月16日衛水177号)、「水質基準に関する省令の施行に当たっての留意事項について」(平成5年12月1日付衛水第227号)、「「水質基準を補完する項目に係る測定方法について」等の一部改正について」(平成11年6月29日衛水第39号、平成11年12月27日付衛水第67号、平成12年9月11日付衛水第43号、平成12年12月26日付衛水第63号)、本職通知「「水質基準を補完する項目に係る測定方法について」等の一部改正について」(平成13年3月30日付健水発第34号)及び「水質基準に関する省令等の一部改正について」(平成14年3月27日付健水発第0327003号)は廃止する。

第1 水道法施行規則(昭和32年厚生省令第45号)関係

1 第3条関係(工事設計書に記載すべき水質試験の結果)

水源において水質が最も悪化していると考えられる時期、すなわち、降雨、降雪、洪水、渇水時等においてもなお水質基準に適合する水を供給するようにしなければならないので、この時期を含んで過去1年以内に行った原水の総トリハロメタン、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルム、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、塩素酸、臭素酸、ホルムアルデヒド及び味を除く全項目の試験結果並びに必要に応じて行うその他の項目の試験結果を記載すること。なお、本試験における水質基準項目の検査方法は、検査方法告示に準じて行うこと。

2 第10条関係(給水開始前の水質検査)

給水開始前の水質検査は新設、増設又は改造に係る施設を経た給水栓水についての全項目検査(新基準省令の表の上欄に掲げるすべての事項の検査をいう。以下同じ。)及び残留塩素の検査を行うこと。この場合、採水場所の選定は、水道法施行規則第15条第1項第2号の規定の例に準じるものとし、また、全項目検査は検査方法告示により、残留塩素の検査は残留塩素検査方法告示により、それぞれ行うこと。なお、必要に応じて水源、配水池、浄水池等における水質についても検査すること。

3 第15条関係(定期及び臨時の水質検査)

(1) 水道法施行規則第15条第1項第2号の検査に供する水の採取場所たる給水栓の選定に当たっては、原則として配水系統ごとに1地点以上選定し(ただし、一の配水系統において検査を行うことにより、他の配水系統において供給される水が水質基準に適合するかどうかを判断できる場合を除く。)、また、検査項目ごとに異なった給水栓が選定されることがないようにすること。

(2) 水質基準項目のうち「鉛及びその化合物」に係る検査に供する水の採取方法については、毎分約5リットルの流量で5分間流して捨て、その後15分間滞留させたのち、先と同じ流量(毎分約5リットル)で流しながら開栓直後から5リットルを採取し、均一に混合してから必要量の検査用試料を採水容器に分取する方法とすること。

(3) 検査に供する水の採取場所の数については、当該水道により供給される水が水質基準に適合するかどうかを判断できるよう、水道の規模に応じ、水源の種別、浄水施設及び配水施設ごとに合理的な数となるように設定するとともに、配水管の末端等水が停滞しやすい場所も選定することが必要であること。また、必要に応じて水源、浄水池及び配水池における水質も検査すること。

(4) 水道法施行規則第15条第1項第3号イの「連続的に測定及び記録がなされている場合」とは、自動測定機器による測定・記録のほか、日常の点検による監視、測定及び記録も含むものであること。

(5) 水道法施行規則第15条第1項第4号に基づき、省略を行った場合であっても、概ね3年に1回程度は、省略をした項目についても水質検査を行い、水道水質の状況に変化がないことを確認すること。

(6) 水質基準項目のうち年間の変動パターンが明らかとなっているものについては、年間の最高値が測定される時期が含まれるよう検査を行うこと。

(7) 臨時の水質検査は次のような場合に行うこと。

イ 水源の水質が著しく悪化したとき。

ロ 水源に異常があったとき。

ハ 水源付近、給水区域及びその周辺等において消化器系感染症が流行しているとき。

ニ 浄水過程に異常があったとき。

ホ 配水管の大規模な工事その他水道施設が著しく汚染されたおそれがあるとき。

ヘ その他特に必要があると認められるとき。

(8) 水道法施行規則第15条第6項において策定することとされた水質検査計画に関しては、以下のとおりとすること。

イ 水道法施行規則第15条第7項第1号「水質管理において留意すべき事項のうち水質検査計画に係るもの」とは、原水から給水栓に至るまでの水質の状況、汚染の要因や水質管理上優先すべき対象項目等の水質管理上の留意すべき事項であって、水質検査計画を策定する上で関係する事項であること。

ロ 同項第4号「臨時の水質検査に関する事項」とは、臨時の水質検査を行うための要件、水質検査を行う項目等であること。

ハ 同項第6号「その他水質検査の実施に際し配慮すべき事項」とは、水質検査結果の評価に関する事項、水質検査計画の見直しに関する事項、水質検査の精度及び信頼性確保に関する事項、関係者との連携に関する事項等であること。

ニ 水質検査計画は水道法第20条第1項の規定に基づく水質検査を対象としたものであるが、水質管理目標設定項目及び原水に係る水質検査についても、必要に応じて当該水質検査に準じて当該計画に位置付けられたいこと。

ホ 水質検査計画に係る規定は、毎事業年度開始前に策定するものであるため、平成17年度に実施する検査より水質検査計画を策定することが義務づけられるが、可能な限り平成16年度に実施する検査についても同様の計画を策定すること。

ヘ 「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針」(平成19年3月30日付け健水発第0330005号通知の別添。以下、「指針」という。)に基づき実施する、原水の指標菌の検査及びクリプトスポリジウム等による汚染のおそれのある施設における原水のクリプトスポリジウム等の検査についても、平成20年度以降においては水道法第20条第1項の規定に基づく水質検査に準じて、水質検査計画に位置付けられたいこと。

(9) 水道法施行規則第15条に係る検査に供する水の採取場所、検査回数及び検査の省略について、別添1のとおりとりまとめ、また、第15条関係並びに上記1の第3条関係及び上記2の第10条関係における水質試験・検査の結果を記載する書類の例を別添2に示したので参考にされたい。

4 第16条関係(健康診断)

(1) 病原体検索は、赤痢菌、腸チフス菌及びパラチフス菌を対象とし、必要に応じてコレラ菌、赤痢アメーバ、サルモネラ等について行うものとし、急性灰白髄炎(小児麻痺)、流行性肝炎、泉熱、感染性下痢症及び各種下痢腸炎にも注意すること。

(2) 病原体検索は、主として便について行い、必要に応じて尿、血液、その他について行うこと。

5 第17条関係(衛生上必要な措置)

(1) 水道事業者、水道用水供給事業者及び専用水道の設置者は、取水場、貯水池、導水きよ、浄水場及び配水池ポンプせい等の周辺は、常に充分な清掃を励行し、汚物等によって水が汚染されないよう留意するとともに、当該施設には柵を設け、施錠設備をする等のほか汚染防止のため一般の注意を喚起するに必要な標札、立札、掲示等をすること。

(2) 前項の施設の構内においては、便所、廃棄物集積所及び汚水溜等の施設は、汚水の漏れない構造とし、排水は良好な状態にしておくとともに、し尿を用いる耕作及び園芸並びに家畜及び家禽の放し飼等をしてはならないこと。

(3) 水の消毒は塩素によることを基本とすること。

(4) 消毒設備については、水道施設の技術的基準を定める省令(平成12年厚生省令第15号)第5条第1項第5号の規定によるほか、消毒が中断しないよう、常に整備を行うこと。

(5) 消毒剤の注入については、量水せい又は配水池等において、消毒剤が充分水に混合するように行うこと。

(6) 次のような場合には、遊離残留塩素を0.2mg/L(結合残留塩素の場合は1.5mg/L)以上にすること。

イ 水源付近、給水区域及びその周辺等において消化器系感染症が流行しているとき。

ロ 全区域にわたるような広範囲の断水後給水を再開するとき。

ハ 洪水等で水質が著しく悪化したとき。

ニ 浄水過程に異常があったとき。

ホ 配水管の大規模な工事その他水道施設が著しく汚染されたおそれのあるとき。

ヘ その他特に必要があると認められるとき。

第2 水質異常時の対応について

1 水質検査の結果、水質基準を超えた値が検出された場合には、直ちに原因究明を行い、基準を満たすため下記2から5に基づき必要な対策を講じること。なお、水質検査結果に異常が認められた場合に、確認のため直ちに再検査を行うこと。その際、初回及び再検査の結果を双方とも破棄せず保存し、どちらの検査結果を正式な結果として採用したかの記録を残すこと。また、分析操作に不備があったと考えられる等合理的な理由がある場合には、再検査の結果を正式な結果とすることができるが、原則として初回の結果を水質検査の正式な結果とすること。

2 一般細菌及び大腸菌については、その水道水中の存在状況は病原微生物による汚染の可能性を直接的に示すものであるので、それらの評価は、検査ごとの結果を基準値と照らし合わせて行うべきであり、基準を超えている場合には、水質異常時とみて直ちに別添3に従い、所要の措置を講ずる必要があること。また、塩化物イオンなど病原微生物の存在を疑わせる指標としての性格も有する項目(水道法施行規則第15条第1項第4号において省略が可能とされていない項目のうち、総トリハロメタン、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルム、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、塩素酸、臭素酸及びホルムアルデヒド以外の項目をいう。)についても、その値が大きな変動を示した場合には、上記に準じて対応する必要があること。

3 シアン化物イオン及び塩化シアン並びに水銀及びその化合物については、生涯にわたる連続的な摂取をしても、人の健康に影響が生じない水準を基とし安全性を十分考慮して基準値が設定されているが、従前からの扱いを考慮して、上記2に準じて対応をとることが適当であること。

4 新基準省令の表中1の項から31の項までの上欄に掲げる事項のうち上記2及び3に示した項目を除いては、長期的な影響を考慮して基準設定がなされているが、検査ごとの結果の値が基準値を超えていることが明らかになった場合には、直ちに原因究明を行い所要の低減化対策を実施することにより、基準を満たす水質を確保すべきであること。基準値超過が継続すると見込まれる場合には、水質異常時とみて別添3に従い所要の対応を図るべきであること。

5 新基準省令の表中32の項から51の項までの上欄に掲げる事項については、その基準値を超えることにより利用上、水道水として機能上の障害を生じるおそれがあることから、検査ごとの結果の値を基準値と照らし合わせることにより評価を行い、基準値を超えていることが明らかになった場合には、水質異常時とみて別添3に従い所要の対応を図るべきであること。

第3 水質管理目標設定項目に係る留意事項について

1 基本的考え方

(1) 水質管理目標設定項目は、浄水中で一定の検出の実績はあるが、毒性の評価が暫定的であるため水質基準とされなかったもの、又は、現在まで浄水中では水質基準とする必要があるような濃度で検出されてはいないが、今後、当該濃度を超えて浄水中で検出される可能性があるもの等水質管理上留意すべきものであること。このため、水質管理目標設定項目については、将来にわたり水道水の安全性の確保等に万全を期する見地から、水道事業者等において水質基準に係る検査に準じた検査等の実施に努め、水質管理に活用されたいこと。また、水質管理目標設定項目の結果については、水道事業者等においてとりまとめ、厚生科学審議会生活環境水道部会水質管理専門委員会の「水質基準の見直しにおける検討概要」等の当該項目に係る関連情報と併せて公表し、関係者の注意喚起等に努められたいこと。

(2) なお、水質管理上、着目すべき水質管理項目を以下のとおり水源の種別等ごとにまとめたので、参考にされたいこと。

イ 水源が湖沼等停滞性の水域である場合に着目すべき項目

アンチモン及びその化合物、フタル酸ジ(2―エチルヘキシル)、農薬類、カルシウム及びマグネシウム等(硬度)、マンガン及びその化合物、遊離炭酸、1,1,1―トリクロロエタン、有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)、臭気強度(TON)、蒸発残留物、濁度、pH値、腐食性(ランゲリア指数)、従属栄養細菌

ロ 水源が河川水である場合に着目すべき項目

上記イに掲げる項目、ウラン及びその化合物

ハ 水源が地下水である場合に着目すべき項目

上記ロに掲げる項目、1,2―ジクロロエタン、トルエン、メチル―t―ブチルエーテル、1,1―ジクロロエチレン

ニ 使用する資機材及び薬品の観点から着目すべき項目

ニッケル及びその化合物、亜塩素酸、二酸化塩素、臭気強度(TON)、pH値、アルミニウム及びその化合物

ホ 消毒副生成物等の観点から着目すべき項目

亜塩素酸、二酸化塩素、ジクロロアセトニトリル、抱水クロラール、残留塩素、臭気強度(TON)、pH値

2 水質の測定等

(1) 水質検査にあたっての地点や頻度設定の考え方は水質基準に係る検査に準じ、基本的には水質検査を行う地点と同一とすること。

(2) ニッケル及びその化合物、ジクロロアセトニトリル並びに抱水クロラールについては、目標値の10分の1を超えて検出される事例が見られるものの、毒性評価が暫定的であることから、水質基準とすることが見送られたものであり、これらの項目に係る水質検査については、国民の関心の高い農薬類とともに、他の水質管理目標設定項目に比して優先的に取り扱うこと。

(3) 浄水又は浄水処理過程で二酸化塩素を注入する水道事業者等においては、二酸化塩素及び亜塩素酸について、水質基準に準じて取扱うこととし、これらの項目及び塩素酸について毎日水質検査を行い、これらの目標値又は水質基準値を超過しないことを確認し、それらを超えた場合には、二酸化塩素の使用の中止等、直ちに対策を実施すること。

(4) 水質管理目標設定項目のうち、有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)については、現在まで、多くの事業者において浄水処理の工程管理の指標として活用されてきたことから、当面、TOCと併せて測定を行うことによりTOCとの相関の把握に努め、浄水の工程管理に支障のないようにされたいこと。

(5) 残留塩素、カルシウム、マグネシウム等(硬度)、遊離炭酸、有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)、臭気強度(TON)、蒸発残留物、濁度、pH値、腐食性(ランゲリア指数)、アルミニウム及びその化合物の目標値は、おいしい水等より質の高い水道水の供給を目指すための目標との位置づけであること。また、有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)の目標値3mg/Lについては、上記(4)によりTOCとの相関を把握した上で、これに対応するTOCの値を目標値として水質管理を行っても問題ないこと。

(6) なお、水質管理目標設定項目に係る標準的な検査方法及び測定精度を別添4に示したこと。

第4 その他留意事項

1 水質基準項目等の定量限界及び測定精度について

(1) 水質基準項目及び水質管理目標設定項目(農薬類を除く。)に関する水質検査方法における定量下限は、原則として基準値及び目標値の10分の1であること。ただし、固相抽出―吸光光度法による非イオン界面活性剤の定量下限は原則として基準値の4分の1、農薬類に係る検査方法の定量下限は原則として目標値の100分の1であること。また、各機関において定量下限を設定するにあたっては、厚生労働省健康局水道課長通知「水道水質検査方法の妥当性評価ガイドラインについて」(平成24年9月6日付健水発0906第1~4号)を参考とされたいこと。なお、技術的に実施可能な機関において、ここに示す桁数・最小値よりも詳細に測定することは差し支えないこと。

(2) 水質基準項目の水質検査の実施に当たっては、別添5「水質基準項目の測定精度」に示されている精度を確保すること。

2 原水に係る水質検査の実施について

すべての水源の原水について、水質が最も悪化していると考えられる時期を含んで少なくとも毎年1回は定期的に全項目検査(総トリハロメタン、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルム、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、塩素酸、臭素酸、ホルムアルデヒド及び味を除く。)を実施し、また必要に応じて水質管理目標設定項目等についても検査を実施し、その結果を一定期間保存されたいこと。

3 水道水源の汚染源等の把握について

平常より、水源付近及びその後背地域について汚染源及び汚染源となるおそれのある工場、事業場等の有無及び種類並びに汚染物質の排出状況などの把握に努めること。また、そのために、必要に応じ関係行政機関などの協力を得るよう努めること。

4 汚染の早期発見及び連絡通報体制の整備について

水道水源が汚染されるおそれのある水道事業者等にあっては水源の監視を強化し、また必要に応じ水道原水による魚類の飼育、自動水質監視機器の導入を考慮するなど、毒劇物等による汚染の早期発見に努めること。また、水源の汚染又はそのおそれのある事実を発見したときは、直ちに適切な対策が講ぜられるよう平常より連絡通報体制を整備し、関係者に周知しておくこと。なお、必要に応じ、各水系ごとに関係水道事業者等及び関係行政機関の間の相互連絡通報体制を整えるよう努めること。

5 水質検査における精度管理及び信頼性確保について

水道法第20条第1項の規定に基づく水質検査の実施に当たっては、その精度管理と信頼性の保証が重要であることから、当該検査を行う水道事業者等においては、「水道法施行規則の一部改正について」(平成23年10月3日健水発1003第1号から第4号まで)を踏まえ、信頼性確保部門と水質検査部門に各責任者を配置した組織体制の整備や標準作業書の作成等を行うなどにより、正確な検査結果を得るための体制の構築に努められたいこと。

6 給水管等に係る衛生対策の推進について

給水管等に係る衛生対策の推進については、引き続き、鉛管の布設替え、pH値の調整、広報活動の実施等の一層の強化・推進に努め、鉛の水質基準の確保に万全を期されたい。

7 原水に係る指標菌及びクリプトスポリジウム等の検査の実施について

水道原水におけるクリプトスポリジウム等による汚染のおそれの程度を把握するため、指針に基づき、できるだけ早期に原水に係る検査の実施体制の整備等につき必要な措置を講じ、定期的に原水のクリプトスポリジウム等及び指標菌の検査を実施すること。

別添1 新水質基準項目等の検査における、給水栓以外での採取の可否、検査の回数、検査の省略の可否

番号

項目名

給水栓以外での水の採取

検査回数

検査回数の減

省略の可否

色、濁り及び消毒の残留効果

不可

1日1回以上

不可

不可

1

一般細菌

不可

概ね1月に1回以上

不可

不可

2

大腸菌

3

カドミウム及びその化合物

一定の場合可注1

概ね3月に1回以上

注2の通り

注3の通り

4

水銀及びその化合物

5

セレン及びその化合物

6

鉛及びその化合物

不可

注4の通り

7

ヒ素及びその化合物

一定の場合可注1

注3の通り

8

六価クロム化合物

不可

注4の通り

9

亜硝酸態窒素

一定の場合可注1

不可

10

シアン化物イオン及び塩化シアン

不可

不可

11

硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素

一定の場合可注1

注2の通り

12

フッ素及びその化合物

注3の通り

13

ホウ素及びその化合物

注3の通り。(海水を原水とする場合不可。)

14

四塩化炭素

当該事項についての過去の検査結果が基準値の2分の1を超えたことがなく、かつ、原水並びに水源及びその周辺の状況(地下水を水源とする場合は、近傍の地域における地下水の状況を含む。)を勘案し、検査を行う必要がないことが明らかであると認められる場合、省略可。

15

1,4―ジオキサン

16

シス―1,2―ジクロロエチレン及びトランス―1,2―ジクロロエチレン

17

ジクロロメタン

18

テトラクロロエチレン

19

トリクロロエチレン

20

ベンゼン

21

塩素酸

不可

不可

不可

22

クロロ酢酸

23

クロロホルム

24

ジクロロ酢酸

25

ジブロモクロロメタン

26

臭素酸

注3の通り。(浄水処理にオゾン処理、消毒に次亜塩素酸を用いる場合不可。)

27

総トリハロメタン(クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン及びブロモホルムのそれぞれの濃度の総和)

不可

28

トリクロロ酢酸

29

ブロモジクロロメタン

30

ブロモホルム

31

ホルムアルデヒド

32

亜鉛及びその化合物

注2の通り

注4の通り

33

アルミニウム及びその化合物

34

鉄及びその化合物

35

銅及びその化合物

36

ナトリウム及びその化合物

一定の場合可注1

注3の通り

37

マンガン及びその化合物

不可

38

塩化物イオン

概ね1月に1回以上

自動連続測定・記録をしている場合、概ね3月に1回以上とすることが可。

不可

39

カルシウム、マグネシウム等(硬度)

一定の場合可注1

概ね3月に1回以上

注2の通り

注3の通り

40

蒸発残留物

41

陰イオン界面活性剤

42

(4S,4aS,8aR)―オクタヒドロ―4,8a―ジメチルナフタレン―4a(2H)―オール(別名ジェオスミン)

不可

概ね1月に1回以上(左記の事項を産出する藻類の発生が少なく、検査を行う必要がないことが明らかであると認められる期間を除く。)

不可

当該事項についての過去の検査結果が基準値の2分の1を超えたことがなく、かつ、原水並びに水源及びその周辺の状況(湖沼等の停滞水源を水源とする場合は、当該基準項目を産出する藻類の発生状況を含む。)を勘案し、検査を行う必要がないことが明らかであると認められる場合、省略可。

43

1,2,7,7―テトラメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン―2―オール(別名2―メチルイソボルネオール)

44

非イオン界面活性剤

一定の場合可注1

概ね3月に1回以上

注2の通り

注3の通り

45

フェノール類

46

有機物(全有機炭素(TOC)の量)

不可

概ね1月に1回以上

自動連続測定・記録をしている場合、概ね3月に1回以上とすることが可。

不可

47

pH値

48

49

臭気

50

色度

51

濁度

注1 一定の場合とは、送水施設及び配水施設内で濃度が上昇しないことが明らかであると認められる場合であり、この場合には、浄水施設の出口、送水施設又は配水施設のいずれかにおいて採取をすることができる。

注2 水源に水又は汚染物質を排出する施設の設置の状況等から、原水の水質が大きく変わるおそれが少ないと認められる場合(過去3年間に水源の種別、取水地点又は浄水方法を変更した場合を除く。)であって、過去3年間における当該事項についての検査結果が、基準値の5分の1以下であるときは、概ね1年に1回以上と、過去3年間における当該事項についての検査結果が、基準値の10分の1以下であるときは、概ね3年に1回以上とすることができる。

注3 当該事項についての過去の検査結果が基準値の2分の1を超えたことがなく、かつ、原水並びに水源及びその周辺の状況を勘案し、検査を行う必要がないことが明らかであると認められる場合、省略可。

注4 当該事項についての過去の検査結果が基準値の2分の1を超えたことがなく、かつ、原水並びに水源及びその周辺の状況並びに薬品等及び資機材等の使用状況を勘案し、検査を行う必要がないことが明らかであると認められる場合、省略可。

別添2

別添3

水質異常時の対応について

水質異常時の対応については、以下によるものとする。

1 新基準省令の表中1の項から31の項までの上欄に掲げる事項

(1) 基準値超過が継続することが見込まれる場合の措置

基準値超過が継続することが見込まれ、人の健康を害するおそれがある場合には、取水及び給水の緊急停止措置を講じ、かつ、その旨を関係者に周知させる措置を講じること。具体的には次のような場合が考えられる。

イ 水源又は取水若しくは導水の過程にある水が、浄水操作等により除去を期待するのが困難な病原生物若しくは人の健康に影響を及ぼすおそれのある物質により汚染されているか、又はその疑いがあるとき

ロ 浄水場以降の過程にある水が、病原生物若しくは人の健康に影響を及ぼすおそれのある物質により汚染されているか、又はその疑いがあるとき

ハ 塩素注入機の故障又は薬剤の欠如のために消毒が不可能となったとき

ニ 工業用水道の水管等に誤接合されていることが判明したとき

また、水源又は取水若しくは導水の過程にある水に次のような変化があり、給水栓水が水質基準値を超えるおそれがある場合は、直ちに取水を停止して水質検査を行うとともに、必要に応じて給水を停止すること。

イ 不明の原因によって色及び濁りに著しい変化が生じた場合

ロ 臭気及び味に著しい変化が生じた場合

ハ 魚が死んで多数浮上した場合

ニ 塩素消毒のみで給水している水道の水源において、ごみや汚泥等の汚物の浮遊を発見した場合

(2) 関係者への周知

水質に異常が発生したこと又はそのおそれが生じたことを、その水が供給される者又は使用する可能性のある者に周知するときは、テレビ、ラジオ、広報車を用いることなどにより緊急事態にふさわしい方法をとること。

(3) 水源の監視

原水における水質異常を早期に把握するため、各水道にあっては水源の監視を強化するとともに、水道原水による魚類の飼育、自動水質監視機器の導入等を図ること。また、水源の水質異常時に直ちに適切な対策が講じられるよう、平常より関係者との連絡通報体制を整備すること等を図ること。

2 新基準省令の表中32の項から51の項までの上欄に掲げる事項

基準値を超過し、生活利用上又は施設管理上障害の生じるおそれのある場合は、直ちに原因究明を行い、必要に応じ当該項目に係る低減化対策を実施することにより、基準を満たす水質を確保すべきであること。なお、色度、濁度のように、健康に関連する項目の水質汚染の可能性を示す項目や、銅のように過剰量の存在が健康に影響を及ぼすおそれのある項目については、健康に関連する項目に準じて適切に対応すること。

別添4

水質管理目標設定項目の検査方法

(平成15年10月10日付健水発第1010001号)

(最終改正 平成29年3月28日)

厚生労働省健康局水道課

―目次―

目標1 アンチモン

目標2 ウラン

目標3 ニッケル

目標4 削除

目標5 1,2―ジクロロエタン

目標6 削除

目標7 削除

目標8 トルエン

目標9 フタル酸ジ(2―エチルヘキシル)

目標10 亜塩素酸

目標11 削除

目標12 二酸化塩素

目標13 ジクロロアセトニトリル

目標14 抱水クロラール

目標15 農薬類

目標16 残留塩素

目標17 カルシウム、マグネシウム等(硬度)

目標18 マンガン

目標19 遊離炭酸

目標20 1,1,1―トリクロロエタン

目標21 メチル―t―ブチルエーテル

目標22 有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)

目標23 臭気強度(TON)

目標24 蒸発残留物

目標25 濁度

目標26 pH値

目標27 腐食性(ランゲリア指数)

目標28 従属栄養細菌

目標29 1,1―ジクロロエチレン

目標30 アルミニウム及びその化合物

別添方法1 パージ・トラップ―ガスクロマトグラフ―質量分析計による一斉分析法

別添方法2 ヘッドスペース―ガスクロマトグラフ―質量分析計による一斉分析法

別添方法3 溶媒抽出―ガスクロマトグラフ―質量分析計による一斉分析法

別添方法4 誘導結合プラズマ―質量分析装置による一斉分析法

別添方法5 固相抽出―ガスクロマトグラフ―質量分析計による一斉分析法

別添方法5の2 固相抽出―ガスクロマトグラフ―質量分析計による一斉分析法

別添方法6 固相抽出―誘導体化―ガスクロマトグラフ―質量分析計による一斉分析法

別添方法7 パージ・トラップ―ガスクロマトグラフ―質量分析法

別添方法8 ヘッドスペース―ガスクロマトグラフ―質量分析法

別添方法9 固相抽出―高速液体クロマトグラフによる一斉分析法

別添方法10 固相抽出―高速液体クロマトグラフ法

別添方法11 固相抽出―高速液体クロマトグラフ法

別添方法12 誘導体化―高速液体クロマトグラフ法

別添方法13 誘導体化―高速液体クロマトグラフ法

別添方法14 高速液体クロマトグラフ―ポストカラムによる一斉分析法

別添方法15 高速液体クロマトグラフ―ポストカラム法

別添方法16 固相抽出―高速液体クロマトグラフ―ポストカラム法

別添方法17 溶媒抽出―高速液体クロマトグラフ―ポストカラム法

別添方法18 固相抽出―液体クロマトグラフ―質量分析計による一斉分析法

別添方法19 固相抽出―液体クロマトグラフ―質量分析法

別添方法20 液体クロマトグラフ―質量分析計による一斉分析法

別添方法20の2 液体クロマトグラフ―質量分析計による一斉分析法

別添方法21 固相抽出―液体クロマトグラフ―質量分析計による一斉分析法

別添方法22 誘導体化―固相抽出―液体クロマトグラフ―質量分析計による一斉分析法

別添方法23 パージ・トラップ―ガスクロマトグラフ―質量分析法

別添方法24 ヘッドスペース―ガスクロマトグラフ―質量分析法

別添方法25 固相抽出―ガスクロマトグラフ―質量分析法

別紙1 水質管理目標設定項目の測定精度

別紙2 農薬類(水質管理目標設定項目15)の測定精度

別紙3 水質管理設定項目の検査の信頼性確保

※ 本紙中、「検査方法告示」は平成15年厚生労働省告示第261号(最終改正平成30年厚生労働省告示第138号)「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法」をいい、「残留塩素検査方法告示」は平成15年厚生労働省告示第318号(最終改正平成17年厚生労働省告示第75号)「水道法施行規則第17条第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める遊離残留塩素及び結合残留塩素の検査方法」をいう。

目標1 アンチモン

第1 水素化物発生―原子吸光光度法

1 試薬

(1) 精製水

測定対象成分を含まないもの

(2) 硝酸

(3) 塩酸(1+1)

(4) 塩酸(1+3)

(5) 塩酸(2+3)

(6) ヨウ化カリウム溶液(20w/v%)

(7) 水素化ホウ素ナトリウム溶液

検査方法告示の別表第8の1(6)の例による。

(8) アンチモン標準原液

別添方法4の1(9)の例による。

(9) アンチモン標準液

アンチモン標準原液を精製水で1000倍に薄めたもの

この溶液1mlは、アンチモン0.001mgを含む。

この溶液は、使用の都度調製する。

2 器具及び装置

(1) 水素化物発生装置

(2) 原子吸光光度計及びアンチモン中空陰極ランプ

(3) アルゴンガス

検査方法告示の別表第3の2(2)の例による。

(4) 加熱吸収セル

3 試料の採取及び保存

検査方法告示の別表第3の3の例による。

4 試験操作

(1) 前処理

検水20~100ml(検水に含まれるアンチモンの濃度が0.01mg/Lを超える場合には、0.0001~0.01mg/Lとなるように精製水を加えて調製したもの)を採り、塩酸(1+1)4ml及びヨウ化カリウム溶液(20w/v%)2mlを加え、静かに加熱する。液量が20ml以下になったら加熱をやめ、冷後、精製水を加えて20mlとし、これを試験溶液とする。

ただし、濁りがある場合はろ過し、ろ液を試験溶液とする。

(2) 分析

水素化物発生装置にアルゴンガスを流しながら、試験溶液、塩酸(2+3)及び水素化ホウ素ナトリウム溶液を連続的に装置内に導入し、水素化物を発生させる。発生した水素化物を加熱吸収セル―原子吸光光度計に導入し、波長217.6nmで吸光度を測定し、下記5により作成した検量線から試験溶液中のアンチモンの濃度を求め、検水中のアンチモンの濃度を算定する。

5 検量線の作成

アンチモン標準液を段階的にメスフラスコに採り、それぞれに塩酸(1+1)4ml及びヨウ化カリウム溶液(20w/v%)2mlを加え、更に精製水を加えて20mlとする。以下上記4(2)と同様に操作して、アンチモンの濃度と吸光度との関係を求める。

第2 水素化物発生―誘導結合プラズマ発光分光分析法

1 試薬

(1) 精製水

第1の1(1)の例による。

(2) 硝酸

(3) 塩酸(1+1)

(4) 塩酸(1+3)

(5) 塩酸(2+3)

(6) ヨウ化カリウム溶液(20w/v%)

(7) 水素化ホウ素ナトリウム溶液

検査方法告示の別表第8の1(6)の例による。

(8) アンチモン標準原液

別添方法4の1(9)の例による。

(9) アンチモン標準液

第1の1(9)の例による。

この溶液1mlは、アンチモン0.001mgを含む。

2 器具及び装置

(1) 水素化物発生装置

(2) 誘導結合プラズマ発光分光分析装置

(3) アルゴンガス

検査方法告示の別表第3の2(2)の例による。

3 試料の採取及び保存

検査方法告示の別表第3の3の例による。

4 試験操作

(1) 前処理

第1の4(1)の例による。

(2) 分析

水素化物発生装置にアルゴンガスを流しながら、試験溶液、塩酸(2+3)及び水素化ホウ素ナトリウム溶液を連続的に装置内に導入し、水素化物を発生させる。発生した水素化物を誘導結合プラズマ発光分光分析装置のプラズマトーチに導入し、波長217.581nmで発光強度を測定し、下記5により作成した検量線から試験溶液中のアンチモンの濃度を求め、検水中のアンチモンの濃度を算定する。

5 検量線の作成

アンチモン標準液を段階的にメスフラスコに採り、それぞれに塩酸(1+1)4ml及びヨウ化カリウム溶液(20w/v%)2mlを加え、更に精製水を加えて20mlとする。以下上記4(2)と同様に操作して、アンチモンの濃度と発光強度との関係を求める。

第3 誘導結合プラズマ―質量分析装置による一斉分析法

別添方法4に定める方法

目標2 ウラン

第1 誘導結合プラズマ―質量分析装置による一斉分析法

別添方法4に定める方法

第2 固相抽出―誘導結合プラズマ発光分光分析法

1 試薬

(1) 精製水

測定対象成分を含まないもの

(2) 硝酸

(3) 硝酸(1+13)

(4) 硝酸(2+13)

(5) 酢酸アンモニウム

(6) 酢酸アンモニウム溶液(0.1mol/L)

(7) 水酸化ナトリウム溶液(1mol/L)

(8) CyDTA溶液(0.1mol/L)

トランス―1,2―シクロヘキサンジアミン―N,N,N',N'―四酢酸(1水塩)(CyDTA)3.6gを水酸化ナトリウム溶液(1mol/L)に溶かして100mlとしたもの

(9) アンモニア水

(10) 内部標準原液

検査方法告示の別表第5の1(2)の例による。

(11) 内部標準液

内部標準原液を精製水で2000倍に薄めたもの

この溶液1mlは、イットリウム0.0005mgを含む。

(12) ウラン標準原液

この溶液1mlは、ウラン0.001mgを含む。

(13) ウラン標準液

ウラン標準原液を精製水で10倍に薄めたもの

この溶液1mlは、ウラン0.0001mgを含む。

2 器具及び装置

(1) 固相カラム

イミノ二酢酸キレート樹脂を充填したディスク若しくはミニカラム又はこれと同等以上の性能を有するもの

(2) 誘導結合プラズマ発光分光分析装置

超音波噴霧装置を備えたもの

(3) アルゴンガス

検査方法告示の別表第3の2(2)の例による。

3 試料の採取及び保存

検査方法告示の別表第3の3の例による。

4 試験操作

(1) 前処理

固相カラムに硝酸(2+13)20ml、精製水50mlを2回、酢酸アンモニウム溶液(0.1mol/L)50mlを順次注入する。次に、検水1000ml(検水に含まれるウランの濃度が0.02mg/Lを超える場合には、0.0002~0.02mg/Lとなるように精製水を加えて1000mlに調製したもの)を採り、試料採取のときに加えた量を含めて硝酸の量が10mlとなるように硝酸を加え、更に酢酸アンモニウム7.7gを加え、溶解させた後、CyDTA溶液(0.1mol/L)10mlを加える。この溶液をアンモニア水を用いてpH値を5.6に調整した後、毎分50~100ml(ミニカラムの場合は毎分10~20ml)の流量で固相カラムに流す。次いで、固相カラムの上端から硝酸(1+13)5mlを2回緩やかに流し、試験管に採る。試験管の溶出液に内部標準液2mlを加え、更に精製水を加えて20mlとし、これを試験溶液とする。

(2) 分析

上記(1)で得られた試験溶液を誘導結合プラズマ発光分光分析装置に導入し、ウランの測定波長385.958nm及びイットリウムの測定波長371.029nmでそれぞれの発光強度を測定し、イットリウムに対するウランの発光強度比を求め、下記5により作成した検量線から試験溶液中のウランの濃度を求め、検水中のウランの濃度を算定する。

5 検量線の作成

ウラン標準液を段階的にメスフラスコに採り、それぞれに硝酸1ml及び内部標準液10mlを加え、更に精製水を加えて100mlとする。以下上記4(2)と同様に操作して、ウランの濃度と発光強度比との関係を求める。

目標3 ニッケル

第1 フレームレス―原子吸光光度法

1 試薬

(1) 精製水

測定対象成分を含まないもの

(2) 硝酸

(3) 硝酸(1+1)

(4) 硝酸(1+160)

(5) ニッケル標準原液

別添方法4の1(11)の例による。

(6) ニッケル標準液

ニッケル標準原液を精製水で1000倍に薄めたもの

この溶液1mlは、ニッケル0.001mgを含む。

この溶液は、使用の都度調製する。

2 器具及び装置

(1) フレームレス―原子吸光光度計及びニッケル中空陰極ランプ

(2) アルゴンガス

検査方法告示の別表第3の2(2)の例による。