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○保健機能食品制度の創設について

(平成13年3月27日)

(医薬発第244号)

(各都道府県知事・各政令市長・各特別区長あて厚生労働省医薬局長通知)

我が国では、国民の健康に対する関心が高まる中、食品に求められる機能も複雑かつ多様化している。特に、政府の規制緩和推進計画及び市場開放問題苦情処理推進会議(OTO)報告に対応して、食薬区分が見直され、これまで医薬品として使用されてきたビタミン、ミネラル等が食品として自由に流通することが許されたことなどから、特定の保健機能を有する成分を摂取することを目的とした錠剤、カプセル等の形状のものも食品として取り扱われるようになってきている。これらの食品には、単なるビタミン、ミネラル等の栄養素のみならず、ハーブ等種々の生理学的機能や生物学的活動に関与する成分を含んだものもあり、その機能も多岐にわたっている。これらの食品はその食品が持つ機能に応じて、適切に摂取すれば国民の健康の維持増進等に寄与することが評価できる反面、不適切な表示や摂取方法などにより、健康を損なうことも考えられるところである。現に、品質、広告、宣伝等に問題があるものもあるとの指摘もなされているところである。

一方、海外においてもこうした一定の機能を持つ食品について、規格基準を始め、特に表示に関して種々議論されており、コーデックス(FAO/WHO合同食品規格計画)では現在、それらの食品に対する健康強調表示について検討がなされているところである。

このような状況にかんがみ、当省では、先の食薬区分の見直しに併せて、いわゆる栄養補助食品の類型化等その取扱いについて検討してきたが、本年2月26日に薬事・食品衛生審議会より、いわゆる健康食品のうち、一定の条件を満たすものを保健機能食品と称することとし、その制度化に向けた詳細な規格基準、表示基準等をまとめた「保健機能食品の表示等について」と題した報告書に沿って施策を講じることが適当との答申を受けたところである。

言うまでもなく、栄養・食生活は、多くの生活習慣病との関連が深く、また、生活の質との関連も深いことから、有効性や安全性等を確保しつつ、消費者に適切な情報を伝え、消費者が安心してこれらの食品を個々人の食生活の状況等を踏まえ、必要に応じて選択、活用できるようにすることは、意義深いものである。

このため、当省では、この報告書を踏まえ、当該制度を法令上位置付けることとし、今般、3月27日付けで、食品衛生法施行規則等の一部を改正する省令(平成13年厚生労働省令第43号)、食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(平成13年厚生労働省告示第95号)、特定保健用食品の安全性及び効果の審査の手続を定める件(平成13年厚生労働省告示第96号。以下「審査手続告示」という。)、栄養機能食品の表示に関する基準を定める件(平成13年厚生労働省告示第97号)及び栄養表示基準の一部を改正する件(平成13年厚生労働省告示第98号)が、それぞれ公布されたところである。今後は、貴職におかれても、本制度の趣旨を御理解いただき、実施に当たっては、下記の事項に御留意の上、管下関係機関、関係団体及び消費者に対する特段の御指導、御配慮をお願いする。

なお、本制度の施行は平成13年4月1日とされているが、その周知徹底方についても特段の御配慮をお願いするとともに、本制度の運用に遺憾なきようされたい。

第1 創設の趣旨

国民生活において、消費者自らの手で健やかで心豊かな生活を送るためには、バランスのとれた食生活が重要である。消費者個々人の食生活が多様化し、しかも多種多様な食品が流通する今日では、その食品の特性を十分に理解し、消費者自らの正しい判断によりその食品を選択し、適切な摂取に努めてもらうことが重要である。そのためには、消費者が安心して、食生活の状況に応じた食品の選択ができるよう、適切な情報提供が行われることが不可欠である。

こうしたことから、国民の栄養摂取状況を混乱させ、健康上の被害をもたらすことのないよう、また国民に過大な不安を与えることのないよう、一定の規格基準、表示基準等を定めるとともに、消費者に対して正しい情報の提供を行い、消費者が自らの判断に基づき食品の選択を行うことができるようにすることを目的として、保健機能食品の制度化を図るものである。

第2 制度の要点

(1) 用語の定義と分類

いわゆる健康食品を類型化して、次のとおり、定義を行ったこと(別紙参照)。

ア 食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品を特定保健用食品としたこと。

また、特定保健用食品は、従来から栄養改善法施行規則(昭和27年厚生省令第37号)に定義づけられていたが、新たに食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号)においても規定を設けたこと(食品衛生法施行規則第5条第1項第1号キ関係)。

さらに、食品を特定保健用食品として販売するには、当該表示内容について、厚生労働大臣の定める手続に従い、個別に生理的機能や特定の保健機能を示す有効性や安全性等に関する科学的根拠に関する審査を受けなければならないこととしたこと。

なお、従前どおり、栄養改善法(昭和27年法律第248号)第12条の規定による表示の許可又は同法第15条の規定による承認も必要であること。

イ 特定の栄養成分を含むものとして厚生労働大臣が定める基準に従い当該栄養成分の機能の表示をするもの(生鮮食品(鶏卵を除く。)を除く。)を「栄養機能食品」としたこと(食品衛生法施行規則第5条第1項第1号ユ関係)。

また、栄養表示基準(平成8年5月厚生省告示第146号)にも同様に「栄養機能食品」と表示することを可能としたこと(栄養表示基準第2条第2項関係)。

栄養機能食品にあっては、厚生労働大臣に対する個別の許可申請や届出等を行うことなく、「栄養機能食品」として、製造、販売することを可能としたこと。

ウ 栄養機能食品と特定保健用食品の双方を合わせて「保健機能食品」として取扱うこととしたこと(食品衛生法施行規則第5条第1項第3号関係)。

エ ①保健機能食品以外の食品にあっては、保健機能食品と紛らわしい名称、栄養成分の機能及び特定の保健の目的が期待できる旨の表示を、②特定保健用食品でない栄養機能食品にあっては、特定の保健の目的が期待できる旨の表示をそれぞれ行ってはならないことを規定したこと(食品衛生法施行規則第5条第1項第3号関係)。

(2) 栄養機能食品の規格基準

ア 今回、栄養機能食品として栄養成分の機能を表示できる食品は、次のミネラル類2種類とビタミン類12種類のいずれかについて規格基準に適合したものであること。

なお、機能の表示ができるのは1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が規格基準の限度量を満たす場合に限られ、当該表示を行う場合には、あわせてその栄養成分を摂取する上での注意事項を表示しなければならないこと(栄養機能食品の表示に関する基準別表及び栄養表示基準別表第1の2関係)。

ミネラル類:カルシウム及び鉄

ビタミン類:ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE及び葉酸

イ 機能の表示を行うことができる栄養成分は、食品に本来含有される成分で、人体で利用されるもののうちから定めることとしているが、アで示したもの以外のミネラル類及びビタミン類並びにたんぱく質、脂肪酸、食物繊維、ハーブ類等の成分についても、今後、規格基準の設定の検討を行う予定であること。

(3) 特定保健用食品の改正内容

ア 表示事項の追加

特定保健用食品であって、保健の目的に資する栄養成分について栄養所要量が定められているものにあっては、1日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分の当該栄養所要量に対する割合を表示することとしたこと(食品衛生法施行規則第5条第1項第1号メ及び栄養改善法施行規則第9条第1項第10号関係)。

イ 食品衛生法に基づく審査の実施

特定保健用食品については、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第7条第1項に基づく成分規格として、厚生労働大臣が定める安全性及び効果の審査の手続を経たものでなければならないこととしたこと(食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月厚生省告示第370号)第1食品の部A食品一般の成分規格の項第5款関係)。

また、申請者の便宜及び審査の透明性を確保する観点から、当該食品の安全性及び効果の審査の手続を定め、申請書の様式、添付資料、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて審査を行うこと及び再評価の実施について規定したこと(審査手続告示第2条関係)。

ウ 形状規制の撤廃

従来、特定保健用食品として認められる食品形態は通常形態のみであったが、今後は錠剤、カプセル等形状の食品も認めるものであること。

(4) 保健機能食品の表示の基本的考え方及び表示事項

ア 表示の基本的考え方

保健機能食品制度における表示は、次の基本的考え方に基づいて定めていること。

① 国の栄養目標及び健康政策に合致したものであること。

② 栄養成分の補給・補完又は特定の保健の用途に資するもの(身体の機能や構造に影響を与え、健康の維持増進に役立つものを含む。)であることを明らかにするものであること。

③ 表示の科学的根拠が妥当なものであり、かつ、事実を述べたものであること。

④ 過剰摂取や禁忌による健康危害を防止する観点から、適切な摂取方法等を含めた注意喚起表示を義務づけること。

⑤ 食品衛生法、栄養改善法、薬事法(昭和35年法律第145号)等の法令に適合するものであること。

⑥ 医薬品等と誤認しないよう、保健機能食品(栄養機能食品又は特定保健用食品)である旨を明示するとともに、疾病の診断、治療又は予防に関わる表示をしてはならないこと。

イ 保健機能食品に表示すべき事項

保健機能食品には、次に掲げる事項を必ず表示しなければならないこと(食品衛生法施行規則第5条第1項第1号キからシ並び栄養改善法施行規則第9条第12項第7号から第11号並びに栄養表示基準第2条第1項第2号及び第2項関係)。

① 特定保健用食品

a 保健機能食品(特定保健用食品)である旨

b 許可又は承認を受けた表示の内容

c 栄養成分量及び熱量

d 原材料の名称

e 内容量

f 1日当たりの摂取目安量

g 摂取の方法及び摂取する上での注意事項

h 1日当たりの摂取目安量に含まれる機能表示する成分の栄養所要量に対する割合(栄養所要量が定められているものに限る)

i 調理又は保存の方法に関し特に注意を必要とするものはその注意事項

② 栄養機能食品

a 保健機能食品(栄養機能食品)である旨

b 厚生労働大臣が定める基準に適合するものとして表示をしようとする栄養成分の機能

c 栄養成分量及び熱量

d 1日当たりの摂取目安量

e 摂取の方法及び摂取する上での注意事項

f 1日当たりの摂取目安量に含まれる機能表示する成分の栄養所要量に対する割合(栄養所要量が定められているものに限る)

g 調理又は保存の方法に関し特に注意を必要とするものはその注意事項

h 本品は、特定保健用食品と異なり、厚生労働大臣による個別審査を受けたものでない旨

(5) 施行期日について

本制度は、本年4月1日より施行されるが、本年3月31日までに栄養改善法の規定による許可又は承認を受けた特定保健用食品については、施行後もなお従前の例によることができるとともに、食品、添加物等の規格基準の規定に基づく特定保健用食品の安全性及び効果の審査を経たものとみなすものであること。

また、現に栄養機能食品と類似した表示を行っている商品を製造・販売している者に対しては、本年4月1日以降は、食品衛生法第11条違反となり得ることから、今後、本制度の趣旨を十分説明するとともに、可及的速やかに適正な表示に切り換えていくよう、御指導の程をお願いする。

第3 栄養表示基準の改正について(保健機能食品制度に係るものを除く。)

(1) 栄養表示を行う場合に表示すべき栄養成分のうち、「糖質」を「炭水化物」に変更したこと(第2条第1項第1号、第3条第1項第4号及び第4条関係)。

(2) 日本人の栄養所要量(平成11年6月28日付公衛審第13号)が改定されたことに伴い、栄養表示基準に新たに追加された対象栄養成分の分折法及び分折の誤差許容範囲を定めたこと(栄養表示基準別表第1関係)。

(3) 日本人の栄養所要量が改定されたことに伴い、高い旨、含む旨又は強化された旨の表示をする際の栄養成分の追加及び数値の見直しを行ったこと(栄養表示基準別表第3関係)。

(4) この改正において、(1)から(3)までについては平成15年4月1日から適用することとなっているが、適用前であっても、改正後の規定による表示を行うことができるものであるので、業者等に対しては順次改正後の規定による表示を行うよう御指導の程お願いする。

別紙

(名称及び分類)