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○水道法の施行について

(平成14年3月27日)

(健水発0327001号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区水道関係担当部局長あて厚生労働省健康局水道課長通知)

水道法の一部を改正する法律(平成十三年法律第百号)は、平成十三年七月四日に公布され、これに伴う水道法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成十三年十二月十九日政令第四百十二号)が公布され、同法は平成十四年四月一日より施行される。また、水道法施行令の一部を改正する政令(平成十三年十二月十九日政令第四百十三号)及び水道法施行規則の一部を改正する省令(平成十四年三月二十七日厚生労働省令第四十一号及び第四十二号)が公布された。

今回の水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)の改正は、水道の管理を適正なものとし、かつ、水道水の安定供給を図るため、水道事業等の管理業務の委託に関する規定を整備し、専用水道の範囲を拡大し、貯水槽水道に関する責任を明確化する等の措置を講ずるものである。併せて事業認可の特例等が規定されたことから、平成十四年四月一日施行後の水道法(以下「改正水道法」という。)の全般にわたっての留意点を下記のとおりとりまとめたので通知する。

第一 全般的事項

一 水道法は、法目的にあるとおり、水道の管理の適正、合理化等を図ることにより、清浄で豊富低廉な水の供給を図り、公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与するものとして、必要な措置を規定したものである。

二 この法律において、水道事業は、一般の需要に応じて水を供給するものであり、専用水道は、社宅等の自家用の水道のほか、水道事業の用に供する水道以外の水道をいうものであるが、その区分はおおむね次の基準によることが適当である。

(一) 自家用水道及び自家用水道の集合体と認められる水道、家主が借家人に給水する水道等給水する者と給水を受ける者について特別の関係が存在するものについては、専用水道として取り扱う。

(二) 分譲住宅、分譲地等において分譲者が分譲後もその地域の住民に対し給水する水道等給水する者と給水を受ける者との間に前号のような特別な関係がない水道その他当該給水について原価を充足する程度の金額を、料金として徴収するような水道については、水道事業として取り扱う。

三 水道用水供給事業は水道用水を供給する事業であり、分水については適用除外とする旨規定されているが、これは水道事業者又は専用水道の設置者が当該水の分与をその主たる目的としない場合をいうものであり、水道用水の供給が一時的なものでなく継続する事業として実施される場合については、併せて水道用水供給事業としての認可が必要である。

四 改正水道法においては、専用水道の定義を変更し、従来の給水人口100人を超える施設との定義に、一日最大給水量が20m3を超える施設を追加して、専用水道に関する規定を適用することとしたことから、適切な指導、監督を行うよう十分配慮されたい。新たな要件に規定される一日最大給水量は、飲用等人の生活の用に供することを目的とする水量に限るもので、これについては、設計上の必要水量に基づき判断するものであるが、必要に応じ、自己水源取水量等の原水量や供給施設の各種設計基準等も参考にしつつ判断されたい。また、人の生活の用に供する水量に限定したことから、施設設計・敷設のあり方により、事業用、営農用等の人の生活の用に供しないその他の用途に供する施設容量が区分できる場合おいては、前述の施設容量からこれを除外・減算して適用しても支障ないものである。

専用水道の適用除外の施設に関する基準は、地中又は地表に設置される水道施設が当該基準に該当するか否かで定まるものであって、地表から汚染の影響を受けない高架施設を除外する趣旨により規定されたものである。

専用水道が、併せて一般の需要に応じて水を供給する場合、その部分の給水人口が100人を超える場合は、水道事業として取り扱う。この部分が100人以下の場合については、これは水道事業には該当しないことから、これを含めて専用水道として取り扱う。

五 簡易専用水道は、水道事業者から供給を受ける水のみを水源とする、ビル、マンション等に設置される貯水槽その他の給水のための水道であって、一定規模を超えるものである。改正法においては、簡易専用水道を含め、水槽の規模によらない建物内水道の総称として、「貯水槽水道」を新たに定義し、水道水を供給する立場の水道事業者として、貯水槽水道の管理者等との間で貯水槽水道に関する責任関係を供給規程において明確化するよう規定された。さらに、水道事業者の立場から設置者に対する助言等を行う根拠を規定したことから、適切な助言等を行い貯水槽水道の適正管理に向けた取り組みがなされるようお願いしたい。なお、地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)に基づく保健所の水道に関する衛生管理の業務や建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和四十五年法律第二十号)の適用については、従来から変更はない。

第二 広域的水道整備計画

計画の策定に当たっては、当該地域の自然的社会的条件に照らし合理的なものとするとともに、条件の変化に合わせ適切に見直すべきものであり、5~10年をめどに計画の見直し、修正を行うことが望ましい。

今般、市町村合併が推進されていること、人口や水需要の動向が変化してきていること、水資源の安定性の低下など水循環全体に係る問題が指摘されている状況にあること等を踏まえた適切な計画となるよう特に留意する必要がある。

第三 事業に関する事項

一 水道事業者の給水義務は、水道事業の公共性確保のための中心をなす規定であり、免責理由たる正当な理由は、正常な企業努力にもかかわらず水量が不足する、又はそれが予想される場合、地勢等の関係で給水が技術的に著しく困難な場合等水道事業者の努力にもかかわらずその責に帰すに当たらない場合に限るものである。

二 水道事業、水道用水供給事業の認可は、事業経営主体を一にできる範囲で行うもので水道施設の一体性等を問うものではない。このため、連続しない2つ以上の水道施設を一つの事業とする、いわゆるソフトな統合も可能である。

三 事業の軽微な変更及び他の水道事業又は水道用水供給事業の全部を譲り受けることに伴う変更については、認可を要せず、届出によることとしており、この旨水道事業者及び水道用水供給事業者に周知徹底等を図るとともに、事業の廃止許可手続きの簡素化と併せてこれらの規定を活用し、水道の広域化による管理体制の強化等を図られたい。ここで、軽微な変更と認められるものの要件については、直近の認可内容を基準に判断されるべきものである。

また、市町村合併等により、新たに設置された市町村等が新たに事業の認可申請を行う際に添付書類についての特例措置が設けられている。

四 改正法により、水道事業者、水道用水供給事業者、専用水道の設置者(以下「水道事業者等」という。)は、水道の管理に関する技術上の業務の全部又は一部を他の水道事業者、水道用水供給事業者又は当該業務を実施できるだけの経理的・技術的基礎を有する者に委託することができるものとした。この委託した業務の範囲内においては、委託者である水道事業者等は水道法上の責務について適用除外され、水道管理業務受託者がその責務を負うこととなる。このように水道法に基づく罰則適用がなされる刑事責任についての移管を伴う委託である点が、従来からの、いわゆる手足の業務委託と異なる点である。

しかしながら、水道事業者等については、受託者の要件に照らして適切に受託者を選定し委託を行う義務があり、業務遂行が経済的、技術的に可能な業者選定を行うことが必要である。また、この委託制度の対象は、上記のとおり水道の管理に関する技術上の業務とされており、公共の消防のために水道事業者に求められる消火栓の設置及び管理については対象とならない。

さらに、給水義務等の需要者に対する責任は、水道事業者固有の責任であり、受託者が原因でこれらの責任が果たされない場合であっても水道事業者がその責任を負うこととなる。すなわち、今回導入された委託制度は、水道事業の運営に関する選択肢を拡大する旨の制度であり、このような制度の性格、内容を熟慮した上で活用するか否かを含め検討すべきものである。

本制度は、認可等を受けた水道事業者等と受託者との関係を規定したものであり、受託者からの委託制度を設けておらず、いわゆる丸投げの再委託のための制度は用意されていない。ただし、水道事業者等が手足の業務委託を行っているように、受託者が同様の業務委託を行うことは可能であるが、この場合の水道法上の責務はあくまで委託者たる水道管理業務受託者にあるものである。

また、当該業務の委託については、以下の措置を求められている。

(1) 委託の届出等

水道事業者等は、業務を委託したときは、遅滞なく、厚生労働大臣に届け出なければならない。都道府県知事認可の水道事業等については、都道府県知事への届出となる。

(2) 受託水道業務技術管理者

水道管理業務受託者は、水道の管理について技術上の業務を担当させるため、水道技術管理者の資格要件を満たす受託水道業務技術管理者一人を置かなければならない。

受託水道業務技術管理者は、委託された業務の範囲内において水道技術管理者の行うべき事務に従事し、及びこれらの事務に従事する他の職員を監督しなければならない。

なお、都道府県知事が認可する水道事業、水道用水供給事業の第三者委託について、みなし規定に基づき、水道管理業務受託者の監督、報告徴収・立入検査についても併せて当該都道府県知事が行うものである。

第四 管理に関する事項

一 水道技術管理者は、水道の技術管理の中心責任者となるものであるから、その設置に当たっては、当該水道の規模、構造等に適応する十分な技能を有する者を選定するとともに、その業務を適正に実施可能な業務体制、情報管理体制等を備えることが必要である。

二 水道水質管理に関して、汚染の早期発見を図るため、水源の監視、魚類の飼育等の導入を図る等の体制整備を図り、また、外部からの情報を活用するべく情報受付窓口の設定等も併せて行うことが望ましい。

また、水源の汚染等を発見したときに、直ちに適切な対策が講ぜられるよう平常より関係者の体制整備に努めること。

水道事業者等及び簡易専用水道の設置者は、水質管理を強化するためには、必要な水質検査体制の整備が肝要であり、水質検査能力の充実及び検査施設の整備に努めるべきものである。また、水質検査の実施に当たっては、正確で信頼性の高い検査結果を常に得るため、採水から分析に至る全過程において精度管理に努めるべきであり、水質検査を委託して行う場合についても、その検査結果の活用能力の充実に努めるべきである。

第五 情報提供

改正水道法において、水道事業者、水道用水供給事業者が需要者に対して、水質検査の結果等について情報提供を行うことを義務付けることとしたものである。この規定は、行政処分や罰則適用を伴うものではないものの、水道事業者、水道用水供給事業者が、今後ますます積極的な情報提供を求められる状況の中、その責任を可能な限り明確とする観点から定められたものである。併せて情報提供事項についてまで規定されているが、その方法、形式等については、各事業者の判断に委ねることとしており、事業者として需要者の入手しやすい方法や理解しやすい形式を工夫すべきである。また、水道事業の効率化、水道料金の妥当性などを含め、需要者に対して、規定された情報提供事項以外の情報についても積極的に提供し、水道事業に対する理解を得るよう努力することが望ましい。

第六 その他

一 各種申請様式等について

各種申請様式については、政省令において特に定められた様式以外は特に様式を定めない。しかしながら、これまで通知等で示されていた各種様式を活用することについては差し支えない。

二 水質関連について

水質関連については、水道水質基準の改正を予定しているところである。