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○遺伝子組換え食品に関する表示について

(平成13年3月21日)

(/食企発第3号/食監発第47号/)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬局食品保健部企画課長・監視安全課長通知)

食品衛生法施行規則及び乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令(平成13年厚生労働省令第23号)の一部改正については、平成13年3月15日付食発第79号により厚生労働省食品保健部長より通知されたところであるが、遺伝子組換え食品に関する表示に係る詳細及び留意事項は別添「遺伝子組換え食品に関する表示Q&A」のとおりであるので了知のうえ、関係営業者等に対し周知指導されたい。

遺伝子組換え食品に関する表示Q&A

厚生労働省医薬局食品保健部企画課

(遺伝子組換え食品に関する表示)

1 なぜ遺伝子組換え食品に関する表示を義務化するのですか。

(答)

1 遺伝子組換え食品については、従来、「安全性評価指針」(生活衛生局長通知)に基づき厚生大臣が個別に安全性審査を行ってきましたが、法律に基づかない任意の仕組みとなっていました。

2 しかし、遺伝子組換え食品は国際的にも広がってきており、今後さらに新しい食品の開発が進むことも予想され(未審査のものは安全とはいえないことから)、安全性未審査のものが国内で流通しないよう、食品衛生法に基づく食品の規格基準(厚生労働大臣告示)に規定を設けることにより、平成13年4月から安全性審査を法的に義務化することとします。

3 安全性審査の法的義務化の実効を確保するため、食品等輸入届けにおいて安全性未審査のものが輸入されないよう適切な届出をさせるほか、輸入され又は国内流通する食品のモニタリング検査(抜取り検査)を実施することとしていますが、遺伝子組換え食品の表示制度も、食品の内容を消費者に明らかにするものであり、安全性審査の義務化と一体のものとして必要となるものです。

2 遺伝子組換え食品に関する表示の考え方を教えて下さい。

(答)

1 食品衛生法に基づく遺伝子組換え食品の安全性審査制度において、食品は、①審査済みの遺伝子組換え食品、②未審査の遺伝子組換え食品、③非遺伝子組換え食品の3つに分類できます。

2 食品衛生監視を徹底する観点からは、上記三種類すべての表示を義務付け、市場に流通している食品がその表示通りとなっているか否かをチェックするという方法も考えられますが、未審査の組換え食品を輸入、販売等を法的に禁止する審査制度の下では、未審査である旨の表示を義務化する必要性はなく、また、「審査済み」である旨も当然のことであることから表示を義務化する必要性はないと考えます。

3 そこで、食品衛生法においては、次のような考え方から、遺伝子組換え食品であるか、非遺伝子組換え食品であるかの区分について、表示を行う必要があります。

・食品衛生法では、食品添加物の表示を義務付けているが、これも安全性審査を経たものであり、その上で、食品の内容を明らかに示すための表示を義務付けて消費者に食品の内容を理解できるようにしているところであり、安全性審査を義務付ける遺伝子組換え食品においても同様とするもの。

※ 分別生産流通管理が行われていない場合(遺伝子組換え食品が含まれていたとしても審査済みのものでなければならない)は、遺伝子組換え食品が含まれている可能性があるので、遺伝子組換え食品と非遺伝子組換え食品が分別されていない旨表示する必要がある。

※ 非遺伝子組換え食品について、表示を義務付けることは食品衛生法の目的からは必要がないので、義務表示とはしないが、その旨の表示があっても特段問題はないので、事業者が任意に表示することは禁止しない。

3 遺伝子組換え食品に関する表示の具体的な表示例を示して下さい。

(答)

○大豆を主原料とする食品の例

ア 分別生産流通管理が行われている遺伝子組換え食品の場合(義務表示)

① 品名 大豆加工食品

② 原材料名 大豆(遺伝子組換え)

③ 内容量 50グラム

④ 品質保持期限 2001.6.1

⑤ 保存方法 10度以下で保存

⑥ 製造者 ABC株式会社 東京都千代田区××町

イ 遺伝子組換え食品と非遺伝子組換え食品の分別生産流通管理が行われていない場合(義務表示)

① 品名 大豆加工食品

② 原材料名 大豆(遺伝子組換え不分別)

③ 内容量 50グラム

④ 品質保持期限 2001.6.1

⑤ 保存方法 10度以下で保存

⑥ 製造者 ABC株式会社 東京都千代田区××町

(参考) 分別生産流通管理が行われている非遺伝子組換え食品の場合(任意表示)

① 品名 大豆加工食品

② 原材料名 大豆(遺伝子組換えでない)

③ 内容量 50グラム

④ 品質保持期限 2001.6.1

⑤ 保存方法 10度以下で保存

⑥ 製造者 ABC株式会社 東京都千代田区××町

注) 例示はJAS法で定められているものを含む。

4 どういった食品が表示義務の対象となるのですか。

(答)

1 食品衛生法に基づき、既に消費済みの遺伝子組換え食品と同一の料に属する作物である食品及びこれを原材料とする加工食品が対象となります。

・平成13年4月1日現在

○作物:大豆、トウモロコシ、菜種、ばれいしょ、綿実

○加工食品:①豆腐類及び油揚げ類、②凍豆腐、おから及びゆば、③納豆、④豆乳類、⑤みそ、⑥大豆煮豆、⑦大豆缶詰及び大豆瓶詰、⑧きな粉、⑨大豆いり豆、⑩①から⑨までに掲げるものを主な原材料とするもの、⑪調理用の大豆を主な原材料とするもの、⑫大豆粉を主な原材料とするもの、⑬大豆たんぱくを主な原材料とするもの、⑭枝豆を主な原材料とするもの、⑮大豆もやしを主な原材料とするもの、⑯コーンスナック菓子、⑰コーンスターチ、⑱ポップコーン、⑲冷凍トウモロコシ、⑳トウモロコシ缶詰及びトウモロコシ瓶詰、・コーンフラワーを主な原材料とするもの、・コーングリッツを主な原材料とするもの(コーンフレークを除く。)、・調理用のトウモロコシを主な原材料とするもの、・⑯から⑳までに掲げるものを主な原材料とするもの

2 ただし、次の加工食品については、それぞれ以下のような技術的理由等があることから、当面表示義務の対象とはしないものの任意に表示することを禁止しないこととし、今後、検証技術の向上、国際的議論の推移等をみるとともに、関係者の意見を聴いた上で、具体的内容、実施時期を検討し、状況が整えば表示義務化を実施していくこととします。

・食品中において、組換えDNA及びこれにより生成したたんぱく質が除去、分解されているもの

例:醤油、大豆油、コーン油、コーンフレーク、マッシュポテト等遺伝子組換え食品か否かが技術的に検証困難であることや、組換えDNA及びたんぱく質が除去、分解されている場合まで表示させる必要性があるかという考え方もあることから、当面JAS法と同様の整理で義務表示としないこととする。

・主な原材料となっていないもの

含有量がごく少量な場合まで表示を義務づけることは現実的でなく、何らかの線引きが必要であるが、当面JAS法と同様の整理で、全原材料中重量が上位3品目以内で、かつ、食品中に占める重量が5%以上のものに限り義務表示とする。

5 「分別生産流通管理」とは、具体的にどのようなものですか。

(答)

1 遺伝子組換え食品及び非遺伝子組換え食品を生産、流通及び加工の各段階で善良なる管理者の注意をもって分別及び管理を行い、その旨を証明する書類により明確にした管理をいいます。

2 分別生産流通管理の具体的な方法は、産地、作目、加工食品の種類等に応じて多様なものがありますが、圧倒的に輸入量が多く、バルク輸送される北米産の大豆及びデント種のトウモロコシについて、(財)食品産業センターにおいて分別生産流通管理の「流通マニュアル」を作成しており、これが参考となります。

3 同マニュアルは、生産、流通及び加工の各段階ごとのチェックポイント、管理方法、必要な記録等を示し、それらに基づき確認したことを示す証明書の様式例、証明書発行の流れ、証明書の保存期間等を記載していますので、バルク輸送される北米産の大豆及びデント種のトウモロコシに関しては、このマニュアルに即した管理及び確認が行われていれば、食品衛生法施行規則でいう分別生産流通管理が行われ、かつ、適切な確認がなされたと認めることができます。

4 なお、このマニュアルとは異なる分別生産流通管理の方法を用いることもできますが、その場合には、マニュアルによる分別生産流通管理と同等又はそれ以上の信頼性及び追跡可能性のある方法を用いる必要があります。

6 国産大豆や国産トウモロコシ、北米産以外の大豆やトウモロコシ、コンテナや袋詰めで輸送される大豆やトウモロコシについても、分別生産流通管理が必要なのですか。また、どのような分別生産流通管理をすればよいのですか。

(答)

1 現在のところ、我が国において栽培が行われており、安全性が承認されている組換えDNA技術応用作物はありません。したがって、国産作物である場合には、輸入作物との混入の可能性が生じないかぎり、現在のところ分別生産流通管理は必要ありませんが、輸入作物との混入の可能性が生じる段階、具体的には国産作物と輸入作物の両方を取り扱っている問屋等の段階以降には「流通マニュアル」に即した管理及び確認が行われる必要があります。

2 北米産以外の大豆やトウモロコシについては、当該国から輸入しようとする当該作物について当該組換えDNA技術応用作物の栽培が行われている場合には、分別生産流通管理の「流通マニュアル」に即し、生産段階からの管理及び確認が行われていることが必要です。当該国の公的機関等により当該作物について当該組換えDNA技術応用作物の栽培が行われていないことを確認している場合、若しくは当該国の輸出者が当該国において当該組換えDNA技術応用作物の栽培が行われていないことを確認した場合には、その作物の原産国を確認するとともに、組換えDNA技術応用作物の意図せざる混入の可能性が生ずる段階、具体的には、日本の港に入った段階以降「流通マニュアル」に即した管理及び確認が必要となります。

3 コンテナや袋詰めで輸送される大豆やトウモロコシについては、当該作物がコンテナや袋詰めされる以前の生産、流通の段階と、コンテナや袋詰めの密封状態が解かれた以降の流通、加工の段階において、「流通マニュアル」に即した管理及び確認をすることが必要です。コンテナや袋詰めされている間は、他の作物と混ざることはありませんので、その積み卸し等があったとしても、その間の特段の管理及び確認は必要ありません。

4 大豆やトウモロコシ以外の対象作物(ばれいしょ、菜種、綿実)について、「遺伝子組換えでない」等の表示をする場合には、組換えDNA技術応用作物の意図せざる混入の可能性がある生産、流通及び製造の段階で大豆やトウモロコシについての「流通マニュアル」に準じた管理及び確認をして下さい。

7 食品衛生法施行規則第5条第15項で規定する「意図せざる組換えDNA技術応用作物又は非組換えDNA技術応用作物の一定の混入」とは具体的にどのような値ですか。

(答)

1 大豆及びトウモロコシについては5%以下です。「流通マニュアル」に即した分別生産流通管理が適切に行われた場合には、混入率5%以下を目安とした大豆やトウモロコシの取引が可能です。

2 なお、当然のことながら、大豆やトウモロコシの場合の混入率5%以下というのは、分別生産流通管理が適切に行われたという前提の上での、意図せざる組換えDNA技術応用作物又は非組換えDNA技術応用作物の一定の混入率を示しているものであり、例えば、分別生産流通管理を確認していないが結果として遺伝子組換え食品の混入率が5%以下であった場合や、意図的に遺伝子組換え作物を混入した場合などは、施行規則第5条第15項の規定は適用されません。

8 遺伝子組換え表示の監視でまず最初に行うべきことは何ですか。

(答)

遺伝子組換え食品の表示には「遺伝子組換え」「遺伝子組換え不分別」(表示義務)「遺伝子組換えでない」(任意任意)の三通りがあります。この遺伝子組換え食品の表示の監視及び検証は「遺伝子組換えでない」(任意表示)または記載の無いものについて、その原料となる大豆やトウモロコシが分別生産流通管理がなされている旨の書類が整っていることの確認を行います。この確認が出来なければ、分別生産流通管理が十分になされていないこととなり、「遺伝子組換え不分別」と表示する必要があります。

9 加工品への定量検査は確立しているのでしょうか。

(答)

定量PCR等で遺伝子組換え穀物の含有率を推定できるのは、大豆やトウモロコシの穀粒に限られています。現在のところ、加工品中に含まれる遺伝子組換え作物の含有量の直接の検知方法は確立していません。

10 定量検査で5%以上の遺伝子組換え大豆やトウモロコシの混入があることが判明した場合、どのような措置が取られるのでしょうか。

さらに分別生産流通管理の書類が確認されたものであっても、この分別生産流通管理精度を再確認する事が考えられます。検査の結果5%以上混入していることが判明した場合、その農作物は適切な分別生産流通管理が実施されていない可能性があり、この分別生産流通管理の適切さを検証するためには、生産・流通の過程をさかのぼって、分別生産流通管理の証明書・輸入時の届出票・伝票、分別生産流通の実際の取り扱い等をチェックし分別生産流通管理が適切に行われていたかを確認する必要があります。これらの社会的検証の結果を含め、不適切な分別生産流通管理であると判断される場合、不適切な管理があった流通段階以降の食品については、食品衛生法に基づき、指示、販売の禁止、改善措置等所要の措置を講じます。

11 監視及び検証にあたって他に留意すべき点はありませんか。

(答)

行政上の措置を採る際にはその食品中に原材料として含有量で5%以上占めているか、上位3品目などの確認も必要となります。

また、当然の事ながら大豆やトウモロコシの場合の混入率5%以下というのは分別生産流通管理が適切に行われていた前提の上でのことであり、例えば分別生産流通管理を確認していないが結果として遺伝子組換えの混入率が5%以下であった場合や、意図的に遺伝子組換え作物を混入した場合には「遺伝子組換え不分別」若しくは「遺伝子組換え」と表示する必要があります。

12 遺伝子組換え食品に関する表示が適切にされていない場合、どのような措置が取られるのですか。

(答)

食品衛生法第11条第2項の規定によると、厚生労働大臣により表示の基準が定められていた食品、添加物、器具及び容器包装は、その基準に合う表示がなければ、これを販売し、販売の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならないこととなっております。この規定に違反した場合、都道府県知事は、

① 営業者に対して、表示事項を表示し、又は遵守すべき事項を遵守すべき旨を指示

② 営業者が①に違反した場合、営業許可を取り消し、又は営業の全部若しくは一部を禁止し、期間を定めて停止することができることとなり、その命令に従わない場合は、6ヶ月以下の懲役又は3万円以下の罰金に処せられることとなります。

13 遺伝子組換え食品に関する表示に係る質問、相談はどのような機関に対して行えばよいのですか。

(答)

遺伝子組換え食品に関する表示については、食品衛生法に基づく義務であることから厚生労働省が所管しており、食品衛生法上の表示の考え方等全般については厚生労働省医薬局食品保健部企画課にお問い合わせ下さい。

<参考>

併せて遺伝子組換え食品の品質表示基準は農林水産省が担当しており、

(1) 表示の考え方等全般については総合食料局品質課

(2) 分別生産流通管理の「流通マニュアル」については(財)食品産業センター

(3) 具体的な表示の仕方等については農林水産消費技術センター

(4) 一般的な問い合わせについては農林水産省消費者の部屋

(5) 各地方農政局

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