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○「対EU輸出水産食品の取扱いについて」の一部改正について

(平成13年2月13日)

(食発第31号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長・あて厚生労働省医薬局食品保健部長通知)

標記については、平成7年7月5日付衛乳第110号及び平成11年3月24日付生衛発第464号にて対EU輸出水産食品加工施設に関する認定等を行っているところであるが、平成13年1月6日の省庁再編に伴い、組織改編が行われたため、平成7月7月5日付衛乳第110号中の別紙「対EU輸出水産食品の取扱い要領」を別添のとおり改定することとしたので、関係営業者等への指導方お願いする。

○「対EU輸出水産食品の取扱いについて」の一部改正について

(平成13年2月13日)

(食発第32号)

(各地方厚生局長あて医薬局食品保健部長通知)

標記については、平成7年7月5日付衛乳第110号及び平成11年3月24日付生衛発第464号にて対EU輸出水産食品加工施設に関する認定等を行っているところであるが、平成13年1月6日の省庁再編に伴い、組織改編が行われたため、平成7年7月5日付衛乳第110号中の別紙「対EU輸出水産食品の取扱い要領」を改定し、別添のとおり各都道府県知事、政令市市長及び特別区区長あて通知したので御了知願います。

なお、貴管内の都道府県等が発行した衛生証明書の件数について、四半期毎に別紙様式により当職あて報告願います。

(別紙様式)

別紙

対EU輸出水産食品の取扱い要領

1 目的

本要領は、欧州連合(以下「EU」という。)域内に輸入される水産食品については、輸出国の衛生当局による衛生証明書の発行が求められていることから、わが国において食品衛生に関する事務を所掌する厚生労働省が、EUと協議の上、関係営業者が遵守すべき必要な衛生要件、衛生証明書発行の手続等を定めるものである。

2 用語の定義

本要領において使用する用語の定義は、以下のとおりとする。

(1) 水産食品:海水産又は淡水産の動物(ただし、水棲ほ乳類、蛙及び別に定める水生生物を除く。)及びその卵並びにこれらを含む食品をいう。

(2) 製造者:EUに輸出する水産食品の処理、加工又は製造(船上における場合を含む。)を行おうとする者をいう。

(3) 都道府県知事等:都道府県知事、保健所設置市長及び特別区長をいう。

(4) 認定施設:製造者の施設について、都道府県知事等がその構造設備、施設の衛生管理等を審査し、EUに水産食品を輸出することが可能な施設として認定した船上において処理、加工又は製造を行う船舶(以下「加工船」という。)及び処理、加工又は製造を行う陸上の施設をいう。

(5) 加工船:水産物を、船上で薄切り、切り身、皮剥、細切、冷凍又は加工した後、包装する船舶をいう。ただし、船上で海老及び軟体動物のみを調理する漁船並びに船上で冷凍だけを行う漁船を除く。

(6) 施設等の基準:別添の「施設の構造設備及び衛生管理等に関する基準」をいう。

3 対EU輸出水産食品を取り扱う施設等の要件

(1) 認定施設

ア 認定施設は、施設の区分に応じ、施設等の基準の第2又は第4に定める基準に適合すること。

イ 製造者は、施設等の基準の第9の2((3)のウ及びエを除く。)に基づく検査を行うこと。

ウ 処理、加工又は製造を行う陸上の施設にあっては、製造者は、施設等の基準の第10及び第11に定めるHACCPを用いた自主衛生管理を実施すること。

(2) 認定施設以外のEU輸出水産食品を取り扱う施設の構造設備及び衛生管理は、施設の区分に応じ、施設等の基準の第1又は第3に定める基準に適合すること。

(3) 各施設において取り扱われる個別の生鮮品、冷凍品、解凍品及び加工品は、それぞれ施設等の基準の第5に定める基準に適合すること。

(4) 製品の包装、識別表示、保管及び運搬は、それぞれ、施設等の基準の第6から第8までに定める基準に適合すること。

4 指名食品衛生監視員の指名

厚生労働省医薬局食品保健部長は、都道府県知事等から推薦された食品衛生監視員について、別表1の厚生労働省が実施する講習会を受講させた上で、適当と認めた場合、対EU輸出水産食品に対する指名食品衛生監視員として指名すること。

なお、厚生労働省医薬局食品保健部長は、指名食品衛生監視員について、適当でないと判断した場合は、その指名を取り消すものとすること。

5 認定施設に係る手続等

(1) 申請

対EU輸出水産食品を取り扱う施設としての認定を受けようとする製造者は、別紙様式1の施設認定申請書により都道府県知事等あて関係資料を添付して申請すること。

(2) 書類審査及び現地調査

ア 都道府県知事等は、施設認定申請書類について指名食品衛生監視員に書類審査を行わせるとともに、問題がないと判断した場合には、施設の現地調査を行わせること。

イ 指名食品衛生監視員が行う施設の調査については、別表2のチェックリストにより実施すること。

(3) 地方厚生局との協議及び認定

ア 都道府県知事等は、指名食品衛生監視員の書類審査及び現地調査結果に基づき、施設設備等が上記3の認定要件を満たしていると認めた場合は、当該施設等がある地域を所管する地方厚生局(以下「地方厚生局」という。)に別紙様式2により、上記3の認定要件を満たしていることを示し、地方厚生局の了解を得たうえで、当該施設を認定施設として別紙様式3の施設認定書により認定番号を付して認定すること。

イ この場合において地方厚生局長は、都道府県知事等から示された書類を審査し、指名食品衛生監視員とともに現地調査を実施のうえ、上記3の要件を満たしていると認めた場合は、都道府県知事等に別紙様式4により通知すること。

ウ なお、認定番号は、施設ごとに「都道府県別市町村符号及び保健所符号一覧」(厚生労働省大臣官房統計情報部)を活用し、上2桁は都道府県符号、次の2桁は保健所符号、5桁目以降に施設の番号を001から付すこと。

(4) 地方厚生局への報告等

都道府県知事等は、申請のあった施設について認定した場合は、別紙様式5の認定報告書により地方厚生局長に報告すること。

(5) 「対EU輸出水産食品認定施設リスト」の作成

厚生労働省は、都道府県知事等から地方厚生局長へ報告された認定施設について、「対EU輸出水産食品認定施設リスト」を作成し、欧州委員会へ通報すること。

(6) 変更の届出

ア 製造者は、(1)の申請事項について変更しようとするときは、別紙様式6によりあらかじめ都道府県知事等の承認を得るものとすること。都道府県知事等は、変更内容が上記3の要件を満たしていることを認めた場合、別紙様式7により申請者あて通知すること。

イ この場合、都道府県知事等は、HACCPプランの変更を伴う変更にあっては、別紙様式8によりあらかじめ地方厚生局の了解を得た上で、承認すること。HACCPプランの変更を伴わない場合は、承認後速やかに別紙様式9により地方厚生局に報告すること。

ウ 地方厚生局長は、都道府県知事等から示された書類を審査の上、上記3の要件を満たしていると認めた場合は、都道府県知事等に別紙様式10により通知すること。

(7) 認定の取下げ

都道府県知事等は、製造者から認定の取下げの申出があった場合は、認定を取り消すとともに、その製造者の氏名及び住所、取下げに係る施設の名称及び所在地並びに認定番号について、地方厚生局長に報告すること。

6 認定後の事務

(1) 衛生証明書の発行手続

ア 都道府県知事等は、製造者より別紙様式11の衛生証明書発行申請書があらかじめ提出された場合、輸出のつど指名食品衛生監視員が、荷口と申請内容を確認した上で、別途欧州委員会から示される様式により衛生証明書を発行すること。

また、衛生証明書の署名者は、荷口を確認した指名食品衛生監視員とすること。

なお、都道府県知事等は、別表3のEUに輸出できない魚種リストに掲げる魚介類及びその製品については、衛生証明書を発給してはならないこと。

イ 衛生証明書は、原本及びその写しを一部ずつ申請者に発行するとともに、別の原本の写し一部を都道府県知事等が保管すること。

ウ 申請者は、水産食品の輸出に当たり衛生証明書の原本を当該食品に付して輸出すること。

(2) 指名食品衛生監視員による施設の監視

都道府県知事等は、認定施設について、施設等の基準の第9の1に定める基準により、指名食品衛生監視員を施設の状況に応じて定期的に派遣し、監視、検査等を実施すること。

なお、指名食品衛生監視員の監視、検査等が拒否された場合には、すみやかに認定を取り消すものとすること。

また、都道府県知事等は(1)のアの荷口と申請内容の確認の際にも、監視、検査等を実施すること。

ア 監視項目

指名食品衛生監視員は、認定施設について、上記3の認定の要件が適正に実施されていることの確認を、別表2のチェックリストにより行うこと。

イ 監視結果の報告

都道府県知事等は、指名食品衛生監視員の監視結果について、4か月に1回、地方厚生局長あてチェックリストの写しをもって報告すること。

ウ 認定の取消し等

都道府県知事等は、監視等の結果、上記3の認定の要件が適正に実施されていないと判断した場合は、改善指導、衛生証明書発行の停止及び認定の取消し等の措置をとるとともに、速やかに地方厚生局長に報告すること。

エ 衛生証明書を発行した場合、翌月10日までに当月分の衛生証明書の発行件数等を認定施設毎に別紙様式12により報告すること。

(3) 都道府県知事等による検査

都道府県知事等は、施設等の基準の第9の1及び2の基準により検査を行うこと。

(4) 地方厚生局の現地査察等

地方厚生局は、輸出水産食品検査担当官を6か月に1回以上、認定施設に派遣し、査察等を実施するものとすること。

ア 査察内容

地方厚生局の輸出水産食品検査担当官は、上記3の認定要件が適正に実施されていることを確認すること。

イ 認定の取消し等

地方厚生局長は、輸出水産食品検査担当官の査察の結果、上記3の認定要件が適正に実施されていないと判断した場合は、都道府県知事等に対し、次の措置を採るよう、文書により通知し、都道府県知事等はこれに従うものとすること。

(ア) 改善指導

(イ) 衛生証明書発行の停止

(ウ) 認定取消し

(5) 認定取消等の通報

厚生労働省は、5(7)、6(2)及び(4)のイ(ウ)に基づき認定施設の認定を取り消した場合並びに6(4)のイ(ア)及び(イ)に基づく措置をとった場合には、当該措置について遅滞なく欧州委員会に通報すること。

(別紙様式1 施設認定申請書様式)

画像3 (17KB)別ウィンドウが開きます

(別紙様式2 認定事前確認書様式)

(別紙様式3 認定書様式)

(別紙様式4 施設認定事前確認結果様式)

(別紙様式5 施設認定報告書様式)

(別紙様式6 変更承認申請書様式)

(別紙様式7 変更承認書様式)

(別紙様式8 変更承認事前確認書様式)

(別紙様式9 変更承認報告書様式)

(別紙様式10 変更承認事前確認結果様式)

(別紙様式11 衛生証明書発行申請書様式)

(別紙様式12 施設認定申請書様式)

別添

施設の構造設備及び衛生管理等に関する基準

第1 漁船(加工船を除く。)の構造設備及び衛生管理等に関する基準

1 一般基準

(1) 水産物の保管用に区画された場所には、有害な物質等が水産物に移行するおそれのあるものを置かないこと。

(2) 水産物の保管用の容器は、有害な物質等が水産物に移行するおそれのないものを使用すること。

(3) 水産物の保管用に区画された場所や保管用容器の使用にあたっては、十分に洗浄するとともに、特に漁船の燃料や船底の汚水(ビルジ)によって汚染されることのないよう配慮すること。

(4) 水産物が船上に揚げられた場合、直ちに汚染を防止するとともに、日光等熱による影響を避けること。

(5) 水産物の洗浄に使用する水は、水産物の品質を損なわないよう、飲用適の水又は清浄な海水を使用すること。

(6) 水産物は、魚体に傷が付かないよう適切に取り扱うとともに、保管すること。特にスパイクが付いている器具の使用にあたっては、十分に配慮すること。

(7) 生きたまま保管する場合を除き、水産物は漁獲後、迅速に冷却すること。ただし、冷却が困難な漁船の場合にあっては、水産物を8時間以上船内に保持しないこと。

(8) 水産物を冷却するために使用する氷は、飲用適の水又は清浄な海水から製造されたものであること。また、氷は、使用されるまでの間、汚染を防止するような状態で保管すること。

(9) 水産物を漁船から積み出した後、直接、水産物に接触した船内の容器、器具、保管用に区画された場所は、飲用適の水又は清浄な海水で洗浄すること。

(10) 船上で魚類の頭や内臓を除去する場合は、衛生的に行い、頭、内臓の除去後、迅速に飲用適の水又は清浄な海水で洗浄すること。

また、公衆衛生上、問題が生じるおそれのある内臓、その他の部位は、食用に供される水産物と隔離すること。

なお、食用に供される肝臓、魚卵は、冷蔵又は冷凍保存すること。

(11) 魚類の頭部、内臓及びひれを除去するために使用される器具及び水産物と接触する器具容器は、耐水性、耐腐食性材料で製造されるか、又は覆われ、平滑で、洗浄消毒が容易な構造であること。

(12) 水産物を取り扱う者は、常に食品衛生の確保に努めるとともに、清潔な作業衣を着用すること。

2 水産物を24時間以上船内に保存する漁船(水産物を生きたまま保管する設備を有する漁船を除く。)の個別基準

(1) 漁船は、第5の2の(1)のイ及び第8の1の(2)で規定されている温度で水産物を冷蔵又は冷凍するための魚倉、タンク又は容器が設けられていること。また、これらの魚倉は、保管された水産物の汚染が防止できるよう、機械室及び乗組員の居住区から間仕切りで区画されていること。

(2) 魚倉、タンク又は容器の内面は、耐水性材料で作られ、洗浄消毒が容易な構造であること。また、これらの内面は、人体に有害な物質が水産物に移行することがないよう、平滑な材質で作られているか、又は塗装が良い状態に保たれていること。

(3) 魚倉は、解けた氷の水が水産物と接触し続けることのない構造とすること。

(4) 水産物を保管するための容器は、解けた氷の水の排水が容易な構造であるとともに衛生的な状態で保管すること。

(5) 作業台、器具類、魚倉、タンク及び容器は、使用のつど、飲用適の水又は清浄な海水で洗浄すること。

(6) 消毒及び鼠族昆虫の駆除が必要な場合は、そのつど実施すること。

(7) 洗浄剤、消毒剤、駆除剤その他の毒性物質は、鍵のかかる場所又は棚に保管することとし、使用にあたっては、水産物を汚染するようなことのないようにすること。

(8) 水産物を船内で凍結させる場合にあっては、第5の2の(1)及び(3)の規定に基づいて行うこと。なお、凍結に塩水を使用する場合は、塩水が水産物を汚染することのないようにすること。

(9) 冷却海水で水産物を冷却する設備を有している漁船は、氷を用いての冷却であるのか、又は、機械的な方法での冷却であるのかに係わらず、以下の要件を満たしていること。

ア タンクは、海水の注入及び排水のための設備を有し、かつ、タンク内の海水を一定の温度に維持すること。

イ タンクには、タンク内で温度が最も高くなるところに設置された温度感知機と連結した温度記録計が備えられていること。

ウ タンク又は容器システムの操作は、魚類と海水の混合物を、魚類を収容してから6時間で3℃、その後16時間で0℃に達するような冷却速度で行うこと。

エ 荷卸のつど、タンク、循環システム及びコンテナは、完全に空にし、飲用適の水又は清浄な海水で洗浄すること。

オ タンクについての日付け及び番号は、指名食品衛生監視員が見ることのできるよう、温度記録表に示されていること。

(10) 都道府県知事等は、検査の目的のため、上記(8)及び(9)の規定に従って装備された漁船の最新リストを備えておくこと。ただし、第1の1の(7)の規定に抵触することなく、また、常時、冷却海水で魚類を保存しない取り外し可能なコンテナを備えている漁船の場合はこの限りではない。

(11) 漁船の所有者又は代表者は、水産物を取り扱う者が水産物を汚染することのないよう、必要な措置を講じること。

第2 加工船の構造設備及び衛生管理等に関する基準

1 構造設備の基準

(1) 一般の基準

ア 漁獲物受入れ区域

(ア) 操業の規模に応じた十分な広さを有すること。

(イ) 連続的に漁獲操業を行う船にあっては、各操業ごとの漁獲物の区分けが可能であること。

(ウ) 受入れ区域及びその設備は清掃が容易な構造であること。

(エ) 日光、塵埃等の影響及び汚染を受けない構造であること。

イ 受入れ区域から作業区域への搬入設備

衛生的な設備であること。

ウ 処理・加工・製造区域

(ア) 衛生的な処理・加工・製造が可能な十分な広さを有すること。

(イ) 水産物(処理、加工、製造工程のものを含む水産物をいう。以下同じ。)が汚染を受けないような構造であること。

エ 水産物保管区域

(ア) 規模に応じた十分な広さを有し、清掃が容易な構造であること。

(イ) 船上において廃棄物処理を行う場合にあっては、廃棄物等の保管場所とは隔壁により区分されていること。

オ 包装資材の保管場所

処理・加工・製造区域とは隔壁により区画されていること。

カ 廃棄物、食用に供さない漁獲物等は専用の耐水性材料で作られた設備に保管すること。

キ 飲用適の水又は清浄な海水が供給可能であること。

ク 取水口は排水、廃棄物、エンジンの冷却水の影響を受けない場所にあること。

ケ 適切な数の更衣室、手洗い設備、水洗トイレを有し、水洗トイレは水産物の処理、加工、製造、保管場所に直接出入りできない構造であること。手洗い設備は衛生保持に必要な手洗いと乾燥が可能なものであり、自動式又は足踏み式等蛇口を手で操作しない方式のものであること。

(2) 処理・加工・製造・冷凍区域の個別基準

ア 床は洗浄消毒が容易で排水が良好な滑りにくいものであり、廃棄物や汚水の排出が容易な構造であること。

イ 内壁、天井(配管、鎖、電気配線等の設備を含む。)は洗浄が容易な構造であること。

ウ 油圧配管は、水産物が油漏れにより汚染されないような構造であること。

エ 十分な換気が可能で、必要に応じ換気設備が設けられていること。

オ 十分な照度が確保されていること。

カ 機械、器具、設備の洗浄消毒設備が設けられていること。

キ 手洗い設備は、自動式又は足踏み式等蛇口を手で操作しない方式のものであること。

ク 作業台、容器、コンベアー、内臓摘出装置、分割装置等は海水に対し耐腐食性で洗浄消毒等の維持管理が容易であること。

ケ 水産物を冷凍する船舶にあっては、次の要件に適合すること。

(ア) 冷凍設備は水産物の中心温度が速やかに規定の温度以下になる能力を有すること。

(イ) 冷凍設備は水産物を規定温度以下で保存可能な能力を有し、庫内の温度を確認するための温度記録計が設けられていること。

2 衛生管理基準

(1) 船舶内に衛生管理責任者を置き、次の業務を行っていること。

ア 処理、加工、製造等の衛生管理に責任を負うこと。

イ 本基準を遵守し、船上における衛生管理に係る重要管理点の自主的な検査、管理計画を策定、実施し、その計画及び従事者に対する指導内容、温度の管理記録等の結果を指名食品衛生監視員から指示があった場合、提示できるようにしておくこと。

(2) 第4の2を遵守すること。

(3) 除頭、内臓摘出、分割は第5の1の(2)から(4)に掲げる要件によること。

(4) 加工品については、第5の3から5に掲げる要件によること。

(5) 水産物の包装は、第6に掲げる要件によること。

(6) 水産物の保存は、第8に掲げる要件によること。

第3 陸揚げ時及びその後の水産物を取り扱う施設の構造設備及び衛生管理に関する基準

1 積卸し及び陸揚げに関する基準

(1) 積卸し、陸揚げに用いる機械器具は洗浄消毒が容易なものであって、補修等の維持管理が適切で清潔な状態に保たれていること。

(2) 積卸し、陸揚げの際の水産物の汚染を避けるため、特に次に掲げる事項を配慮すること。

ア 積卸し、陸揚げ作業は速やかに行うこと。

イ 品質保持上、必要な場合は水産物の温度保持のため氷を用いて冷却しながら冷蔵施設、市場の施設又は加工処理施設に搬入すること。

ウ 水産物の可食部分に不要な損傷を与えるような機械器具の使用、取扱い等を避けること。

2 産地市場及び消費地市場に関する基準

(1) 屋根で覆われ、壁は清掃が容易なものでなければならないこと。

(2) 床は洗浄消毒が容易で、速やかに排水がなされるよう敷かれた防水性の床で、衛生的な排水処理設備を有すること。

(3) 適切な数の手洗い設備及び水洗トイレを設けなければならないこと。手洗い設備には手指の洗浄剤及び使い捨てタオルが備えられていること。

(4) 第9の検査が容易に行えるよう充分な照度が確保されていること。

(5) せり場又は卸売り場を水産物の保管、陳列に使用する場合にあっては、これ以外の目的で施設を使用しないこと。また、水産物の品質を損なう排気ガスを放出する車両を施設内に入れてはならないこと。(好ましくない動物についても同様である。)

(6) 定期的(少なくともせり売りが終了するたび)に、清掃しなければならないこと。容器(水産物を入れるもので、耐水性で密閉できるもの)についてはせり売りが終了するたびに、飲用適の水又は清浄な海水を用いて清潔に容器の外部及び内部の両側を洗浄し、洗剤を洗い流さなければならないこと。また、必要に応じて消毒を行うこと。

(7) 喫煙、唾を吐くこと、飲食を禁ずる表示を見やすい場所に掲示すること。

(8) 出入口は、扉等により閉めることができ、指名食品衛生監視員が必要と認めた場合には、閉めておくこと。

(9) 第4の1の(7)に掲げる要件に適合する給水設備を備えていること。

(10) 不可食部分を入れる容器は、耐腐食性でつくられ、耐水性の専用のものでなければならないこと。

(11) 販売のために陳列される数量に応じて、現場又はごく近い場所に施設所有の部屋を設けていない場合は、指名食品衛生監視員が検査に使用するための適切な器具を備えた施錠可能な部屋があること。

3 陸揚げ後、せり売り後等の水産物の輸送に関する基準

陸揚げ後又はせり売り後等においては、水産物は本要領の第8に掲げる要件に基づき遅滞なく輸送しなければならないこと。

4 陳列の前後、取引後及び輸送待機中における保管に関する基準

3に掲げる要件に適合しない場合であって、陳列の前後、取引き後、及び輸送待機中における保管は、第4の1の(3)に掲げる要件により十分な広さを有する冷蔵室で行うこと。なお、この場合、水産物の保管温度は氷温付近とする。

5 衛生管理の一般基準

衛生管理の一般的な事項は第4の2の(1)に掲げる要件によることとし、市場、保管庫等に必要に応じ読み替えて適用する。

6 水産物の展示、貯蔵施設を有する消費地市場に関する基準

水産物の展示、貯蔵施設を有する消費地市場は、本項の2及び4に掲げる要件及び第4の1の(4)、(10)及び(11)の要件に適合すること。

第4 処理、加工等を行う陸上の施設の一般基準

1 構造設備基準

(1) 構造設備の一般基準

ア 作業区域は、適切な衛生状態のもとで作業を行うための十分な広さを有すること。

イ 作業区域の構造及びレイアウトは、水産物の汚染を防ぎ、建物の清潔な部分と汚染した部分を完全に分離したものであること。

(2) 水産物の取扱い、処理、加工、製造区域の構造設備の個別基準

ア 床は洗浄消毒が容易で、防水性材料で作られ、排水を良好にするように傾斜がつけられたもの又は水を除去する装置が備えられたものであること。

イ 内壁は耐久性のある不浸透性材料で作られ、表面が平滑で、清掃が容易な構造であること。

ウ 天井又は屋根の裏張りは清掃容易な構造であること。

エ ドアは耐久性のある材料で作られ、清掃が容易な構造であること。

オ 適切な換気装置、必要に応じて蒸気の排出装置を有すること。

カ 自然光又は人工光により十分な照度が得られていること。

キ 適切な数の手指の洗浄、消毒設備が設けられていること。

ク 作業区域及び便所には自動式又は足踏み式等の蛇口を手で操作しない方式の手洗い設備が設けられていること。また、これらの設備には、使捨てのタオルが備えられていること。

ケ 加工場、装置、設備及び機械器具の清掃設備を有すること。

(3) 冷蔵室の構造設備基準

ア (2)のア~エ及びカの要件に適合していること。

イ 必要に応じ、本要領に示された温度を保つことができる強力な冷蔵設備が設けられていること。

(4) 昆虫、鼠族、鳥等の有害な小動物の侵入を防ぐ適切な設備を設けること。

(5) まな板、容器、コンベアベルト、ナイフ等の機械器具は耐腐食性材質で作られ、洗浄消毒が容易なものであること。

(6) 食用を目的としない水産物を専用に収容するための耐腐食性材質で作られ、水が漏れることのない構造の容器を必要数備えること。また、1日の作業が終了した時点で、当該容器が空になっていない場合には、これらの容器を保管する廃棄物保管場所が設けられていること。

(7) 給水設備は、圧力のかけられた十分な量の飲用適の水、清浄な海水又は適切なシステムで処理された海水を適切に供給できるものであること。ただし、例外として、配管を他の目的で使用せず、水産物を汚染させる危険性がない場合に限り、蒸気発生、消火、冷蔵装置の冷却用に飲用に適しない水を供給することが認められる。この場合、飲用に適しない水の配管は、飲用適の水又は清浄な海水の基準に適合する水の配管と明確に区別されていなければならないこと。

(8) 適切な能力を有する衛生的な排水処理設備を有すること。

(9) 適切な数の平滑で防水性があり、洗浄可能な内壁及び床を備えた更衣室、手洗い設備及び水洗トイレが備えられていること。また、水洗トイレの開口部は作業区域に直接つながっていてはならないこと。手洗い設備には、手指の洗浄剤及び使捨てタオルを備えていなければならないこと。また、手洗い設備の蛇口は、自動式又は足踏み式等蛇口を手で操作しない方式のものであること。

(10) 指名食品衛生監視員の定期的又は恒常的な検査が必要な場合には、指名食品衛生監視員が専用に使用する適切な器具を備えた施錠できる検査室を有すること。

(11) 運搬車両等を洗浄消毒するための設備を有すること。

(12) 施設内において甲殻類、魚類等を畜養する施設には、有害な微生物、有毒物質等が動物に移行することのない水質の水を供給し、最良の生存条件を確保するための適切な装置が設けられていること。

2 衛生管理基準

(1) 施設設備に適用される衛生に関する一般基準

ア 水産物の処理に使用される床、内壁、間仕切り、天井、屋根の裏張り及び機械器具は、水産物の汚染源とならないよう清潔で良好な状態が保たれていること。

イ 施設又は機械器具から鼠族、昆虫類及びその他の害虫を計画的に根絶しなければならないこと。殺鼠剤、殺虫剤、消毒剤その他の薬剤は施錠可能な場所(室又は棚)に保管すること。また、これらの薬剤を使用する場合にあっては、水産物を汚染させることのないよう十分配慮すること。

ウ 水産物取扱い区域、設備された機械器具等は水産物の処理、加工等に専用に使用すること。ただし、衛生上支障ないとして都道府県知事等から認められた場合はこの限りではない。

エ 飲用適の水又は清浄な海水を全ての用途に使用しなければならないこと。ただし、配管を他の目的に使用せず、水産物を汚染させる危険性がない場合に限り、蒸気発生、消火、冷蔵装置の冷却用に飲用に適しない水を用いることができること。

オ 洗浄剤、消毒剤及びこれらの類似物質は、別紙Aに掲げられているもののみを機械器具及び水産物に悪影響を与えないように使用すること。

(2) 従事者に適用される衛生に関する一般基準

ア 従事者の衛生管理については、次の事項を特に配慮し、最高の清潔基準の維持に努めること。

(ア) 製品取扱い区域では、従事者は適切で清潔な作業着と髪の毛を完全に覆う帽子を着用すること。

(イ) 水産物の処理及び調製を担当する従事者は、少なくとも作業を再開するときは必ず手指の洗浄を行うこと。なお、手に傷がある従事者は、耐水性の指サック又は手袋を着用すること。

(ウ) 製品取扱い区域(保管区域を含む。)においては、喫煙、放たん、飲食を行わないこと。

イ 製造者は、従事者が水産物を汚染させる恐れなしに作業ができることが証明されるまで、水産物を汚染する可能性のある者を水産物取扱業務から排除するために必要なあらゆる措置を講じなければならないこと。

ウ 製造者は、従事者を採用する場合、次の(ア)及び(イ)が記載された診断書が無ければ採用してはならないこと。なお、従事者の雇用が継続される場合は年一回以上の健康診断を受けさせること。

(ア) 検便により、赤痢、腸チフス、パラチフス、サルモネラが不検出である旨

(イ) 胸部X線検査により、結核にり患していない旨

第5 陸揚げ後の水産物の取扱いに関する基準

1 生鮮品に関する基準

(1) 冷蔵状態の無包装製品は、施設に到着した直後に配送、調整又は加工せず、施設の冷蔵室において氷を上にのせて保管又は陳列すること。必要に応じて継続的に氷で冷やすこと。塩の使用の有無に係わらず、冷却に使用する氷は、飲用適の水又は清浄な海水で作られ、専用の場所に衛生的に保管すること。氷の保管場所は、清潔に保ち、適切に補修を行い、良好な状態に管理すること。また、包装された製品は、氷又は氷温条件を維持できる冷凍装置で冷却すること。

(2) 船上で処理されていないものにあっては、除頭、内臓摘出等の処理は、衛生的に行うこと。これらの処理直後に、水産物は、飲用適の水又は清浄な海水で十分に洗浄すること。

(3) 薄切り、切り身等の処理は、汚染及び腐敗しない方法により行い、除頭及び内臓摘出作業とは別の場所で行うこと。切り身は、調製に必要な時間以上は作業台に放置しないこと。また、生鮮品として販売される切り身は、調製後速やかに冷蔵すること。

(4) 公衆衛生上の危害を及ぼす可能性のある内臓及び部位は、食用に供される部位から隔離すること。

(5) 生鮮水産物の輸送又は保管に用いられる容器は、水産物の汚染防止及び十分な衛生的な条件の下での保存が可能なように設計されていること。特に、これらの容器は、解けた氷の水が適切に排出できるものであること。

(6) 特別な連続式の廃棄物処理設備がない限り、廃棄物は、有蓋で清掃消毒が容易で、汚液のもれない構造の容器に入れること。また、廃棄物は、作業区域に貯めておかないこと。連続的に、又は廃棄物容器が一杯になり次第片付け、少なくとも作業日終了時点で、第4の1の(6)に規定する廃棄物保管場所に搬出すること。廃棄物用容器、保管場所、施設等は、常に十分に清潔にしておかなければならず、必要に応じ、使用後に消毒すること。保管された廃棄物が、施設及びその周囲の汚染源とならないよう注意すること。

2 冷凍品に関する個別基準

(1) 構造設備基準

ア 水産物を本規定に定める温度に速やかに冷却することが可能な強力な急速冷凍装置を有すること。

イ 外気温にかかわらず、本規定に定める温度を超えない温度で水産物を冷凍庫に保管できる強力な冷凍装置を有すること。

ただし、冷凍方法及びこれらの取扱いに関する技術的理由から、又は、塩水中で冷凍され、缶詰製造用に使用される丸のままの原料魚類については、-9℃を超えない限り、本要領に定める温度よりも高い温度が認められること。

(2) 冷凍、又は、急速冷凍される生鮮品については、本項1.の要件によること。

(3) 冷凍庫には、読み取りが容易な場所に温度記録装置を設けること。

なお、温度センサーは冷却源から最も遠く、冷凍庫内で温度が最も高い場所に設けること。また、指名食品衛生監視員の監視の際には、水産物保管中の温度記録表が確認ができるよう保存すること。

3 解凍品に関する個別基準

解凍作業を行う施設は、以下の条件を遵守すること。

(1) 水産物は、衛生的な条件の下で解凍すること。つまり、汚染を防止し、解けた氷の水を排出するための適切な排水溝を設けること。解凍中、水産物の温度が過度に上昇してはならないこと。

(2) 解凍後、水産物は、本要件に従って取り扱うこと。調製又は加工する場合は、これらの作業を遅滞なく実施すること。

4 加工品に関する個別基準

(1) 加工用の生鮮品、冷凍品及び解凍品の基準は、第5の1、2及び3の要件によること。

(2) 加工処理が病原微生物の増殖を防止するために実施される場合又は加工処理が水産物を保存する上で重要な要素である場合、その処理は、科学的に認められたものでなければならないこと。

(3) 施設の衛生管理責任者は、実施した加工処理に関する記録簿を保管しておかなければならないこと。その際、加工処理の方法に応じて、加熱時間及び温度、塩分含有率、pH及び水分含有率を監視、管理しなければならないこと。

また、少なくとも製品の予想される保管期間中は、指名食品衛生監視員に提示できるよう記録を保管しておくこと。

(4) 塩漬品、燻製品、乾燥品、マリネード漬等の処理のため限定された期間保存される製品に関しては、適切な保管条件を包装に明確に示さなければならないこと。

次に掲げる加工品にあっては、さらに、以下の要件を遵守すること。

ア 缶詰(密封の缶容器に入れて殺菌消毒される水産物)

(ア) 缶の洗浄に使用する水は飲用適の水でなければならないこと。

(イ) 加熱処理

a 加熱処理工程は、加熱時間、温度、充填、容器の容量、その他の主要基準に関して適切なものでなければならず、これらの記録を保管しておかなければならないこと。

b この加熱処理によって病原微生物及びその芽胞病原体微生物を死滅又は不活化させなければならないこと。

c 加熱装置には、容器が適切な加熱処理をされているかどうかを確認する装置が設けられていること。

d 装置および容器の腐食を防ぐ適切な技術に従って使用される化学添加物の使用を除いて、加熱後の容器の冷却に使用する水は、飲用適の水を使用しなければならないこと。

e aに掲げる事項の記録は保管しておくこと。

(ウ) 加工品が適切な加熱処理をされたことを確認するため、製造者が無作為に検査を実施すること。

a 培養試験:37℃で7日間、35℃で10日間又はその他の同等の組み合わせにより培養試験を実施すること。

b 施設の試験室又は食品衛生法に基づく指定検査機関での内容物及び容器の微生物学的検査。

(エ) 密封効果を確認するため、毎日、あらかじめ定められた間隔で製品サンプルを採取しなければならないこと。この目的のために、缶の合わせ目の断面を検査するために適切な装置を用意しなければならないこと。

(オ) 缶に損傷がないことを確認する検査を行うこと。

(カ) 実際に同一条件下で加熱殺菌されたすべての容器に、その食品の属するロットを識別するための表示又はマークを付けなければならないこと。

イ 燻製品

(ア) 燻製は、別の施設又は特に区画された場所で行うこと。必要に応じて燻製のための燃焼及び熱が、水産物の調製、加工、保管されている他の施設又は場所に影響を及ぼさないよう換気システムを備えた特別の場所で行うこと。

(イ) 魚類の燻煙用の煙を作りだすために用いられる材料は、燻煙場所から離れたところに保管しておかなければならず、製品を汚染させないような方法で使用すること。

(ウ) 塗料、ニス塗装、接着剤、その他の化学処理を行った木材を燃焼して燻煙を行ってはならないこと。

(エ) 燻煙後、製品を包装前に保存するための温度まで、速やかに冷却しなければならないこと。

ウ 塩蔵品

(ア) 塩蔵作業は、他の作業が行われている場所から十分に離れた別の場所で行わなければならないこと。

(イ) 水産物の処理に使用する塩は、清潔で、汚染を防ぐ方法で保管すること。また、使用した塩は再使用しないこと。

(ウ) 塩漬又は塩水漬けに用いる容器は、塩漬又は塩水漬け中の汚染を防ぐ構造であること。

(エ) 塩漬又は塩水漬けに用いる容器及びその区域は、使用前に清潔にしておかなければならないこと。

エ 甲殻類及び軟体動物の調理品

(ア) 調理後は急速に冷却しなければならないこと。このために使用される水は飲用適の水又は清浄な海水でなければならないこと。また、何らかの保存の方法を用いない場合にあっては、温度が氷温に達するまで冷却し続けなければならないこと。

(イ) 殻剥き又は殻取りは、製品の汚染を防ぐため、衛生的な条件の下で行わなければならないこと。これらの作業を人手によって行う場合には、作業員は手洗いに特に注意しなければならず、すべての作業面を徹底的に清潔にしておかなければならないこと。また、機械を使用する場合には、頻繁に清掃し、作業日終了後に消毒しなければならないこと。

(ウ) 殻剥き又は殻取り後、調理済製品は、病原体の増殖を防ぐ温度で急速冷却するか、冷蔵状態に保ち、適切な施設に保管しなければならないこと。

(エ) 製造者は、別紙Bに定められた基準に従って、定期的に製品の微生物学的検査を行うこと。

オ 機械を使用して回収する魚肉

(ア) 内臓を摘出した魚類から機械によって魚肉を回収する場合は、内臓のない原料を切り身にしたあと、遅滞なく行わなければならないこと。丸のままの魚類を使用する場合は、あらかじめ内臓を取り出したうえで、洗浄しておかなければならないこと。

(イ) 少なくとも2時間毎に、頻繁に機械を清掃しなければならないこと。

(ウ) 回収された魚肉は、できるだけ速やかに凍結するか、冷凍品又は加工処理される製品と同様に取扱うこと。

5 寄生虫に関する個別基準

(1) 魚類の製品は、製造加工又は食用に供するための出荷前に視覚による寄生虫に関する検査を行うこと。検査の結果、寄生虫の感染が明らかな魚類及び除去された魚類については、食用として出荷されないようにすること。

(2) (3)に掲げる魚類の製品を製造する業者は、製品の全ての原材料、未加工又は加工後の完成品の状態で、-20℃以下で24時間以上の冷凍処理を行うこと。また、これらの製品については、販売時に処理・加工に関することを記載した文書を添付すること。

(3) (2)の対象食品

ア 生食用のもの又はほとんど生の状態で消費される魚類(例:生ニシン)

イ 製品の中心温度が60℃以下の低温で燻煙を行ったニシン、サバ、ニシン属の小魚、養殖以外の大西洋及び太平洋のサケ類

ウ 線虫類の幼虫を死滅させるには不十分なマリネード漬け又は塩漬けを施されるニシン

(4) 製造者等は、(3)に掲げる製品及び未加熱の原料について食用に供するものとして販売する前に(2)に掲げる処理を行うこと。

(5) (3)に掲げる製品については、販売時に処理加工に関することを記載した文書を添付すること。

6 水銀に関する個別基準

魚類は、冷蔵未加熱の状態で、可食部の平均総水銀量が0.5ppm(0.5mg/Kg)を超えないこと。

ただし、次に掲げる魚類の場合は、可食部の平均総水銀量が1ppm(1mg/Kg)を超えないこと。

さめ類、まぐろ類、かつお類、はがつお類、そうだがつお、めかじき、ばしょうかじき、まかじき類、うなぎ類、すずき、ちょうざめ類、おひょう、めばる、ちごだら類、おおかみうお(北西大西洋産)、パイク(淡水産)、こめざめ(大西洋)、えい類、たちうお、あんこう類

7 全揮発性窒素に関する個別基準

以下に示す魚種を原料とする未加工の水産食品について、官能検査の結果、鮮度が低下していると疑われる場合にあっては、以下の基準に従って、全揮発性窒素の検査を行い、魚種毎に定める基準を超えないことを確認すること。

魚種

基準値

メヌケ類、ユメカサゴ、メバル

25mg/100g

カレイ類(オヒョウを除く)

30mg/100g

大西洋サケ、メルルーサ類、タラ類

35mg/100g

第6 包装基準

1 水産物の包装は、汚染を防止するため、十分に衛生的な場所で行われること。

2 水産物に直接接触する包装資材及び製品は、次の要件に適合すること。

(1) 水産物の官能的特性を損なうものでないこと。

(2) 有毒有害物質が製品に移行しないものであること。

(3) 製品を保護するための十分な強度を有すること。

3 平滑で不浸透性・耐腐食性の材料が用いられ、かつ、洗浄消毒が容易な構造で、洗浄消毒後に再使用できる容器以外は、再使用してはならないこと。

なお、氷により冷却する生鮮品に用いられる容器は、解けた水が適切に排水する溝が備えられていること。

4 未使用の包装資材にあっては、作業区域から離れ、塵埃や汚染の要因から保護された別の保管場所に保管すること。

第7 表示基準

製品の表示及びその添付書類により検査の目的で、出荷施設の追跡が可能でなければならないこと。このため、製造者は、次の事項を個々の製品の容器包装及び包装(ダンボール等の外包装を含む。)について表示すること。

1 出荷国

2 施設の認定番号

第8 保管及び運搬基準

1 保管、運搬中の製品は、本要領に記載された温度が維持され、次の事項が守られていること。

(1) 生鮮品又は解凍品及び調理・冷蔵した甲殻類及び軟体動物については、氷温で保存すること。

(2) 缶詰食品の製造を目的として海水に漬けて凍結されたもの以外の冷凍製品については、中心温度が-18℃以下の均一な温度で保存すること。なお、運搬途中において3℃以内の変動は差し支えないものとすること。

(3) 必要な場合にあっては、加工品は、製造者によって定められた温度に保存すること。

2 冷凍品が冷凍倉庫から処理、加工、製造の目的で認定施設に運搬され、到着後解凍される場合であって、倉庫と認定施設の距離が50km以内又は運搬に必要な時間が1時間以内の場合については、1の条件を緩和させることができる。

3 十分に保護するような包装がされていない限り、水産物を汚染させる又は衛生上影響を与える可能性がある他の製品とともに保管又は輸送してはならないこと。

4 水産物を輸送する車両は、輸送期間を通じて本要領に規定された温度を維持できる設備が備えられていること。また、冷却に氷を使用している場合にあっては、解けた水が製品に接触しないよう排水装置が設けられていること。輸送に用いる容器の内面は、製品に悪影響を与えないよう仕上げられていて、平滑で、洗浄消毒が容易な構造であること。

5 水産物の輸送に用いる器具・容器は、十分に洗浄した結果、他の水産物を輸送することにより、当該水産物を汚染しないことが保証できる場合を除いて、水産物を損傷・汚染するおそれのある他の製品の輸送用に使用してはならないこと。

6 水産物は、不潔な又は消毒する必要がある車両又は容器に入れて運搬してはならないこと。

7 生きたまま市場に出荷される水産物の輸送条件が、製品の品質に悪影響を与えないよう配慮すること。

第9 検査に関する基準

1 一般基準

都道府県知事等は、認定施設に関し次の検査を実施すること。

(1) 寄港中の船舶の立入り検査

(2) 陸揚げし、販売する時の検査

(3) 認定施設の次の事項についての定期的な立入り検査

ア 構造設備要件の遵守

イ 製品の適正な取扱い

ウ 施設、設備、機械、器具等の適切な衛生管理

エ 適正な表示

(4) 産地市場及び消費地市場の立入り検査

(5) 製品の保存、運搬状態についての検査

2 個別検査基準

製造者は、次の検査((3)のウ及びエを除く。)を実施すること。

なお、都道府県知事等は、製造者が行う検査について定期的に検証すること。

(1) 官能検査

ア 陸揚げ後、販売前の生鮮、冷蔵の製品については食用に適するか否かを任意に検体を採取して検査すること。

イ アの検査の際に本基準に適合しないと判断された場合等必要と認める場合には、販売先において再度検査を実施すること。

ウ 食用に適さないと判断された場合にあっては、販売を禁止し、食用を目的として販売ができないよう措置すること。

エ 検査の際に製品の鮮度に問題がある場合にあっては、必要に応じて理化学的検査又は微生物学的検査を実施すること。

(2) 寄生虫学的検査

ア 食用に供するために販売される前に、未加工の製品について、任意に検体採取して寄生虫感染の有無を視覚により検査すること。

イ 寄生虫の感染が明らかなものにあっては、当該製品を除去し、食用に供されないように措置すること。

ウ 寄生虫の検査は、以下の視覚検査により行う。

(ア) 視覚検査は、製品を傷つけずに、また、拡大鏡を使用することなく、目視で検査できるよう充分に明るい状態のもとで行うこととするが、必要があれば、キャンドリングにより行うこともできる。

(イ) 視覚検査は、当該ロットを代表する十分な検体数で行うこと。

(ウ) 検査の頻度及び検査率については、工場の責任者等が、当該製品の特性、漁獲海域及びその使用方法により決定すること。

(エ) 内臓を除去した魚類の視覚検査は、教育された相応しい者により、腹腔内面及び食用に供される肝臓、卵巣について行うこと。なお、検査は、内臓を除去する方法により、次のように行うこと。

a 内臓の除去が手作業で行われている場合には、その除去や洗浄時に継続的に行うこと。

b 機械的に除去が行われている場合には、1ロット毎に少なくとも10検体以上行うこと。

(オ) 魚類のフィレやスライスの視覚検査は、フィレやスライスの後のトリミングの際に行うこと。なお、フィレのサイズやフィレにする作業工程が原因で、個々の検査が不可能な場合、適切なサンプリング計画を策定すること。

(3) 理化学検査

次の項目について検体を採取し、基準に適合するか否かを試験室内で検査すること。

ア TVB―N(全揮発性窒素)及びTMA―N(トリメチルアミン窒素)

(ア) TVB―Nの検査は、コーンウェイの微量拡散法その他別に定められた方法により行うこと。

(イ) TVB―Nの検査に供する検体は、異なる3か所以上の部位から魚肉を約100g採取し、これを細切・混合したものとすること。

(ウ) なお、上記(ア)により行われた検査結果に疑いがある場合等にあっては、別に定められた標準法により確認すること。

(エ) 検査の結果、第5の7のTVB―Nに関する個別基準を超えるTVB―Nが検出された場合、当該検体と同一ロットの水産物が輸出されないような措置を講ずること。

イ ヒスタミン

(ア) 1ロット当たり9検体について検査を実施し、次により判定すること。全ての検体の平均値が100ppmを超えないこと。

(イ) 2検体が100ppm以上200ppm未満であれば差し支えない。

(ウ) 全ての検体が200ppmを超えないこと。

本判定基準については、サバ科及びニシン科の魚種について適用するものとするが、これらの魚種であっても塩漬け等の発酵処理を行ったものにあっては、上記の基準を2倍にして適用するものとする。

試験法については、食品衛生検査指針等にあるHPLC等すでに広く適用されている科学的検査方法によるものとする。

ウ 水銀

(ア) 都道府県知事等は、認定施設において取扱われる各々の魚種について、魚種毎、漁獲地域毎に漁獲期間を勘案のうえ、年1回以上水銀の検査を実施すること。

(イ) 検体採取及び送付

a 第5の6のただし書に掲げる魚種については、1ロット中の最低10個体から10サンプル、その他の魚種については1ロット中の最低5個体から5サンプルを無作為に選び、その可食部位から約60gずつを採取して混和した約600g又は300gを1検体とすること。

b 検体採取は、指名食品衛生監視員が魚種毎、漁獲地毎に、上記(ア)に従い採取し、別紙Cの検査送付票の検査員の記入欄に必要事項を記入し、二重にした合成樹脂製袋の間に入れて、封を閉じ、別紙Dの封印シールを用いて封印し、凍結保存すること。

c 検体の送付の際には、検体の品質保持のため、断熱材を備えた厚手の段ボール箱を用い、十分な量の冷媒とともに検体を梱包すること。

(ウ) 分析機関

a 都道府県、保健所設置市、特別区の食品等の検査施設

b 厚生大臣の指定検査機関

(エ) 検査法

別に定められた検査法によること。

(オ) その他

検査の結果、第5の6の水銀に関する個別基準を超える水銀が検出された場合、検査を実施した都道府県知事等は、遅滞なく厚生省に報告するとともに、当該検体と同一ロットの水産物がEUに対し輸出されないような措置を講じること。

エ 水銀以外の環境汚染物質

都道府県知事等は、水銀を除く重金属、農薬等の環境汚染物質により、漁獲の規制が行われていない海域において漁獲される場合にあっては、当該漁獲海域の必要なモニタリング検査を実施すること。

(4) 調理済み甲殻類及び軟体動物の微生物学的検査

ア サンプリングプログラムは、製品の特性、危害評価等を踏まえて、営業者により適切に設定されていること。

イ 検査の結果、サルモネラが検出された場合及び黄色ぶどう球菌が別紙Bに示す基準を超えた場合には、EUに輸出されないような措置を講じること。

ウ 別紙Bの2の非衛生的な取扱いであることを示す指標菌の検査の結果、製造工程中等で非衛生的な取扱いがあることが判明した場合にあっては、当該施設で実施されているHACCPについて、早急に見直しを行い、改善すること。

また、別紙Bの3についても同様とすること。

(5) 施設における使用水の検査

ア 水産物の処理・加工及び製造(船上における場合も含む。)において使用する水については、水道法の規定に適合しているかどうか年1回以上検査を行うこと。

ただし、微生物学的検査については、次に規定する検査項目及び基準値を適用する。

なお、水道水を受水槽に受けている場合及び井戸水にあっては、一般生菌数及び大腸菌群について、月1回以上、検査を実施すること。

使用水の検査項目及び基準値