添付一覧
○狂犬病予防施策の徹底方について
(昭和二六年三月三一日)
(発衛第六〇号)
(各都道府県知事・各政令市長あて厚生事務次官通達)
狂犬病予防法施行以来、同法に基いて鋭意本病予防施策の推進方に努力中のことと思うが、狂犬病は依然として相当数の発生を見、又地域的にも従来殆ど関東地方に限局されていた本病が今年二月以降兵庫県下へも波及し、本病終そくの兆を見ないことは、公衆衛生上、又社会一般に対する影響上、甚だ遺憾とするところである。
ついてはこの際法施行上特に左記の点に留意の上、本病の撲滅とまん延防止について速やかに多大の成果を収められるよう特段の配意を煩わしたい。
記
一 警察との協力
警察の協力を得ることは、本病予防施策を強力に推進する上に甚だ重要なことであるので、貴都道府県(市)における狂犬病予防担当部局をして警察との間に、違反の摘発、野犬の通知、未登録或いは未注射犬、けい留命令があつたにかかわらずけい留されていない犬の通告及びこれに関する飼主に対する注意喚起、犬捕獲時における助力等の部面における協力関係を樹立させ、常時密接な連絡の下に協力を得られるようにされたい。
尚本件については別紙(写)のとおり国家地方警察本部長官に依頼したから念のため。
二 犬の抑留
現在狂犬病の温床となつている多数の非合法飼育犬及び野犬の一掃は本病予防対策上第一義的なものであるから、一保健所区域に少くとも二名の専従犬捕獲人を置き、一抑留所を設置することを最低目標とし、之が実現に努力されたい。なお今後はなるべく犬抑留所は、保健所構内に設けぬようにされたい。
三 けい留命令、移動の制限
法第一○条によりけい留を命じ、又は法第一五条により移動の禁止若しくは制限を行つた場合は、これを徹底的に励行せしめられたい。
犬の移動の取扱については、昭和二五年一二月一九日厚生省発衛第一九二号で通知したところであるが、狂犬病の発生の無い所において犬の移入のみならず犬の移出迄を禁止する等厚生省発衛第一九二号の線以上に亘る厳重な取扱をすることは控えられたい。又各政令市においてはこの措置に関し、その市の所在する道府県と密接に連絡し、その統一を図られたい。
四 違反の摘発
現在迄本法の違反に対する罰則の適用の例は極めて少数であるが、今後は単に指導的取締を行うばかりでなく、少くとも悪質者に対しては厳罰主義をもつて臨み、警察及び検察当局に十分連絡の上告発の励行をはかられたい。