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○狂犬病予防法の一部を改正する法律等の施行について

(昭和二九年八月二七日)

(発衛第二五七号)

(各都道府県知事各政令市長あて厚生事務次官通達)

さきの第一九通常国会において成立をみた狂犬病予防法の一部を改正する法律(昭和二九年法律第八○号)は去る四月三○日公布施行せられ、これに伴い、狂犬病予防法施行令の一部を改正する政令(昭和二九年政令第一六六号)が六月二六日に、狂犬病予防法施行規則の一部を改正する省令(昭和二九年厚生省令第四○号)が七月一七日にそれぞれ公布施行されることとなつた。

狂犬病の発生は本法施行以来、年々減少の一途をたどつているが未だ根絶するには至らず、毎年なお相当数の発生をみている現状であるので、これをその根源において防止するため更に野犬の捕獲を徹底するとともに、野犬化防止対策を確立せんとするのが今回の法律改正の趣旨であるが、この改正法律の運営にあたつては、その社会に及ぼす影響からみて慎重を期すべき点が多々あると考えられるので、特に左記事項に留意のうえ、この実施にあたり遺憾のないよう期せられたく、命により通知する。

第一 犬の引取

一 第五条の二の規定が設けられた趣旨は、所有者に対し不要となつた犬の処分について便宜を与え、野犬化をその根源において防止しようとするものであること。

従つて、一般民衆に対する本条の規定の趣旨の周知徹底方については特に配慮し、本条が活用されるように十分指導されたいこと。

二 犬の所有者から不要犬の引取を求められたときは、犬の引取の場所を指定することができるが、その指定にあたつては犬の所有者の便宜を考慮し、所有者の家或いは保健所等を指定して個々の場合に即して適切な措置をとるよう指導すること。

第二 抑留

一 第六条第三項から第五項までの規定が設けられた趣旨は、野犬の捕獲をより徹底させるため予防員に対し必要最少限の立入権を付与したものであること。

しかしながら、本項の実施に当つては、一面住居の自由を制限することともなるので、特に法の所期する範囲を超えて、不当な権利の行使を行うことのないよう慎重を期せられたいこと。

二 第六条第五項の規定は、あくまでも予防員の立入権の行使を慎重ならしめる趣旨をもつて期間と区域を限定したのであるが、その決定にあたつては、不当に長期間にわたり、又は広範囲の地域を指定することのないように具体的場合に即して決定すること。

三 第六条第九項の猶予期間を一日に改めた趣旨は、抑留犬の返還状況からみて、おおむね通知を受け取つたことを確認して後、或いは公示期間満了後一日の抑留で足りる実情であり、且つ、抑留所の収容能力の回転率を高め、併せて飼料等の節減を考慮したものであるが、実際にはやむを得ない事情のためにこの期間中にとりに来られない場合もあると考えられるので、但書においてそのための例外規定を設け万全を期したものであること。

四 第一八条の規定による犬の抑留については、法的にはけい❜❜留されていない犬はすべて抑留することができることになつているが、予防注射をした犬については、その所有者に対しけい❜❜留するよう注意を与える程度にとどめ(再三の注意にもかかわらずけい❜❜留しない場合は、この限りでない。)、主として未注射犬を抑留するように指導すること。

このため、省令を改正して、注射済票の標識を見易くするために、各回の注射ごとに所定の着色を施すこととしたものであること。

第三 けい❜❜留されていない犬の薬殺

一 法律第一八条の二の規定によるけい❜❜留されていない犬の薬殺は、あくまでも最後の非常手段として実施すべきであつて、狂犬病のまん❜❜延の防止及び撲滅の手段としては、できる得る限り抑留の方法をもつて措置し、抑留することが不可能な場合にのみ薬殺の方法をもつてすること。

従つて、本条の適用にあたつては、社会に与える影響の大なるにかんがみ、人はもとより家畜等に被害を与えることが絶対にないように慎重な考慮を払い、その区域を必要最小限度にとどめる等行き過ぎのないよう適切な措置を講ずること。

二 毒えさの使用にあたつては、あらかじめ毒えさの数を限定し、散置する場所を定め、且つ、薬殺の実施時間中は、予防員は、毒えさの置かれた場所を巡視し、人畜に危害を及ぼさぬように努め、回収にあたつては必ずその数を確めること。特に積雪地或いは積雪時においては、回収の困難性が増すと考えられるので、その期間を避ける等の措置を講じ十分注意して実施すること。

三 薬殺された犬の有無については、毒えさの回収状況との関係において徹底的に捜さくし、それを街頭に放置することのないよう十分注意すること。

第四 肉の措置

引取により処分し、或いは薬殺した犬の肉を利用する場合は、これを肥料又は飼料に利用せしめることとし、絶対に食用に供せしめないよう厳重に指導すること。