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○狂犬病予防法の施行について

(昭和二五年一〇月五日)

(発衛第一七〇号)

(各都道府県知事・市長あて厚生事務次官通達)

さきの臨時国会において成立をみた狂犬病予防法(昭和二五年法律第二四七号)は、本年八月二六日公布施行され、又同法施行規則も本年九月二二日厚生省令第五二号をもつて公布施行されることになつたが、本法制定の主旨は、近年狂犬病の発生が激増し、これによる被害が甚大である状況に鑑み、本病の予防防疫体制を一層徹底強化するため狂犬病発生時における防疫措置を完璧ならしめるとともに、通常時においても本病の予防防疫体制の万全を期するため、予防防疫対象を確実に把握し、常時すべての犬に免疫を与え、我が国をして狂犬病の無毒地域たらしめようとすることにあるのであり、左記事項に留意の上、その運営に遺憾なきを期せられたい。なお本病の予防については、犬の所有者の責任自覚が第一条件であるので、新に犬の所有者に種々の義務を課した本法の施行を機として、犬の所有者の啓蒙指導に特に努力せられたく命によつて通知する。

第一 予防注射

一 法第五条の規定による予防注射は、原則として開業獣医師に行わせることとし、予防員が予防注射を行うことは、近隣に開業獣医師の居ない保健所において犬の所有者が希望する場合等とせられたい。

二 予防注射の実施については、左の方式によられたい。

A 予防注射の実施計画樹立にあたつては、予め地方獣医協会等と十分協議すること。

B 定期予防注射は集合注射によることとし、その際は保健所職員が立ち会い、注射施行と同時に所有者に注射済票を交付すること。

C 定期予防注射漏、及び注射期間以外において注射の必要を生じた犬については、開業獣医師が個個に注射を行うことを原則とすること。

D その場合、予防注射を受けた犬の所有者が個個に保健所へ注射済票の交付を受けに行く煩雑を避けるため、予め開業獣医師に注射済票を渡しておき、その交付について保健所長に報告せしめるような便法を講じても差し支えない。但し、この場合には注射済票の保管及び交付について十分に監督すること。

E 開業獣医師が予防注射を行うに当つては、狂犬病予防液の品質を十分保持し得る設備、及び器具を十分に殺菌し得る設備を整備するように指導すること。

三 予防注射済票については、四、五、六月の分と一○、一一、一二月の分とは、これの色彩を異にする等識別し易いようにすること。

四 輸入された犬であつて外国で次期の予防注射時期まで有効な注射を受けていることを証明する書面(外国で発行した証明書は、動植物検疫所(出張所を含む。以下同じ。)で保管し、同所においてその写を発行する。)があるもの又は動植物検疫所において犬の輸入検疫のため予防注射を実施した旨を証明する書面のあるものについては、当該書面により注射済票を交付すること。

五 犬の所有者が開業獣医師に対して支払う注射料金については不当に高額とならぬよう予め開業獣医と協議して決定すること。

六 法第一三条の臨時の予防注射の実施については可及的開業獣医師の協力を得てこれを行うようにすること。

第二 犬の抑留

一 法第六条第一項の運用については、生後九○日未満の犬並びに犬の輸入検疫を受けた旨を証明する書面のある犬であつて、その定着地に送付するもの及びその後の手続を完了するのに必要な期間内のもの等正当な理由により鑑札及び注射済票を着けていない犬については所有者にこれをけい❜❜留するように指導するとともに抑留しないよう十分徹底せられたい。

二 抑留期間は従来よりも長期となり、抑留犬数も増加する見込であるから、早急に法第二一条の規定により、犬の抑留所の設置を図られたい。この抑留所は各保健所管轄区域に一カ所ずつ設置することを原則とし、概ね左の基準によられたい。

一 抑留室の床は排水よく、清掃に便なること。

二 一頭ずつけい❜❜留出来る設備のあること。

第三 狂犬病予防員

狂犬病予防員は、本法施行の第一線機関として重要なものであるから、十分な活動をするため、必要数を任命し、各保健所毎に配置するようにせられたい。

第四 権限の委任

左記の事務は、保健所法第三条の規定に基いて都道府県知事より都道府県保健所長(又は保健所法第一条の規定に基く政令で定める市の市長より市保健所長)に委任せられたい。

一 犬の登録の申請を受理すること。(法第四条第一項)

二 犬の原簿を保管し、犬の鑑札を交付すること。(法第四条第二項)

三 狂犬病発生の届出について市町村長から報告を受けること。(法第八条第二項)

四 交通のしや❜❜断又は制限を命ずること。(法第一六条)なお法第八条第二項の報告を受けた保健所長は知事に報告するようにせられたい。

第五 手数料

犬の鑑札再交付手数料並びに狂犬病予防注射済票の交付手数料及び同票再交付手数料を徴収し得るよう、地方公共団体手数料令の改正について目下手続中である。