添付一覧
○へい獣処理場等に関する法律の一部を改正する法律等の施行について
(昭和三一年一〇月一七日)
(衛発第七一〇号)
(各都道府県知事あて厚生省公衆衛生局長通達)
標記の件については、昭和三一年九月一九日厚生省発衛第三三七号各都道府県知事あて厚生事務次官通知「へい獣処理場等に関する法律の一部を改正する法律等の施行について」をもつて通達したところであるが、へい獣処理場等の構造設備基準の適用等については左記事項に御留意の上その運営に遺憾のないようにされたい。
記
一 へい獣処理場等に関する法律(以下「法」という。)第五条の衛生措置について
(一) 第二号中「こん虫の発生の防止及び駆除に努めること」を「こん虫の発生の防止及び駆除を十分にすること」としたのは、改正前の規定では単なる主観的なもので、客観的に判断し得ずその徹底を欠くおそれがあつたからであること(法第五条第二号)。
(二) 第三号に新たに臭気の処理に関する規定を設けたのは、従来の施設における臭気の処理が極めて不十分であり、一定の構造設備を具備しているにもかかわらず、その取扱等の措置が不適当であるため臭気の処理が十分行われなかつたうらみもあつたので、施設の構造設備の基準に臭気の処理が十分に行える設備を設けることを規定することに対応して取扱措置にも特に規定したものであること(法第五条第三号)。
(三) 第四号の「その他都道府県知事が定める衛生上必要な措置」の規定は、従来どおりであるが、この規定に基き都道府県知事が定める衛生上必要な措置とは、次に掲げるようなものが考えられるので、必要により適宜都道府県規則等をもつて定められたいこと(法第五条第四号)。
(イ) へい獣の埋却を行うへい獣取扱場については、埋却方法等につき必要な措置を定めること。
(ロ) 化製場については、化製場において製造される製品(事実上は半製品)が著しく悪臭を発散するものである場合にはそれを一定の容器に収納して貯蔵させるか又は原料貯蔵室を併用させること等必要な措置を定めること。
(ハ) 人畜共通伝染病にかかつた獣畜を処理する施設については、一定の消毒薬及び消毒器具をもつて消毒を行わせしめること等必要な措置を定めること。
二 法第八条について
今回の改正により魚類が魚介類に改められたが、この魚介類には従来の魚類のほかに甲穀類、海獣その他の水産動物をも含むものであること。ただし、魚介類の肉、皮、骨、臓器であつても、環境衛生上の危害を発生するおそれが全くないと認められるに至つたものを更に製造若しくは貯蔵するものについては、適用を除外されるものであること(法第八条)。
三 施設の構造設備の基準について
(一)(イ) 換気扇を備えた排気装置」とは、普通、フアン(必要により天かい附設)とこれに接続する「適当な高さ」の排気筒若しくは管を備えたものであること。「適当な高さ」とは土地の状況を勘案することが必要であるが、通常一○メートル以上の高さをいうものであること(法第四条、へい獣処理場等に関する法律施行令(以下「令」という)第一条第二項第二号ニ及び第四条第一項第一○号ロ)。
(ロ) 「臭気を適当な高さで屋外に放散することができる設備」とは、ボイラー等の煙突に臭気を吸い込ませて一定の高さに放散させることができる設備等をいうものであること(法第四条、令第一条第二項第二号ニ及び第四条第一項第一○号ロ)。
(ハ) 汚水の浄化装置は、当分の間、沈でん腐敗が十分に行い得る構造、容積の外槽式浄化装置を最低なものと考えられたいこと(法第四条、令第一条第一項第一号ホ、第二項第三号及び第六号、第四条第一項第六号及び第八号、第二項第五号)。
(二) 畜舎の内壁は、特に腰張りを必要とするものではなく、不浸透性材料又は板で作られており、かつ、清掃に支障をきたさない平滑な構造であれば差し支えないものであること(法第九条第五項、令第四条第一項第二号)。
(三)(イ) 鶏の家禽舎の規定(令第四条第二項第二号)中「清掃に支障をきたさない材料」とは不浸透性材料、板、たたき等をいい、土間は含まないものであること(法第九条第五項、令第四条第二項第二号)。
(ロ) バタリー式の家禽舎の床は、「採ふんに便利な構造」でなければならないが、この場合の「採ふんには便利な構造」とは、各層間のふんの落下に適当な構造の簀子又は引出式のふん受台等をいうものであること(法第九条第五項、令第四条第二項第二号)。
(四) 令第四条第一項第六号及び第二項第五号の規定に基き、畜舎及び家禽舎の汚物処理設備には、汚物だめ及び汚水だめ(鶏の家禽舎を除く。)を有することが必要であるが、飼養動物の種類、頭羽数の多少により、拝せつ汚物量及び汚水量が著しく多くなり、その立地条件等から汚水のくみ取り搬出等に困難をきたし当該施設の衛生保持に悪影響を与える結果ともなりかねないので、このような場合には汚水の浄化装置を設けさせるよう指導されたいこと(法第九条第五項、令第四条第一項第六号及び第二項第五号)。
四 令第三条に基き指定する区域の基準について
(一) 令第三条に規定する町又は字は、清掃法施行令(昭和二九年政令第一八三号)第一条に規定する町又は字と同様の意味であること(法第九条第一項、令第三条)。
(二) 令第三条の基準に基き、都道府県知事が地域を指定するときは、町又は字ごとに本条の基準を適用して区域を定めるべきであつて、町又は字の区域をこえ又は細分して行うことはできないこと。ただし、或る区域内の町又は字ごとに令第三条の基準を適用して区域を定めた結果、その区域(又は一部の町又は字を除く他の区域)内のすべての町又は字を指定することとなつたときは、その区域内のすべての町又は字(又は一部の町又は字を除く他のすべての町又は字)と指定することは差し支えないものであること(法第九条第一項、令第三条)。
五 畜舎及び家禽舎の構造設備基準の適用を除外される施設について
(一) 令第五条第二号の競馬場には、これに附設しているきゆう舎も含むものであること(法第九条第七項、令第五条第二号)。
(二) 令第五条第三号の施設としては、サーカス、移動動物園等が考えられるものであること(法第九条第七項、令第五条第三号)。