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○対米輸出食肉を取り扱うと畜場等の認定について

(平成二年八月三〇日)

(衛乳第六六号)

(宮崎県環境保健・鹿児島県保健環境・群馬県衛生環境部長あて厚生省生活衛生局乳肉衛生課長通知)

標記については、平成二年五月二四日衛乳第三五号及び同年八月三○日衛乳第六五号により生活衛生局長から通知したところであるが、これに係る牛のと畜検査、枝肉及び部分肉の再検査並びに残留物質モニタリングについては、それぞれ別添1、別添2及び別添3のとおりとするので御了知の上、実施方よろしくお願いする。

別添1

と畜検査の方法

1 一般事項

(1) と畜検査については、この基準に基づいて生体検査及びと殺後検査(頭部検査、内臓検査及び枝肉検査)、検査結果に基づく措置並びに検印の押印を行うものとし、この基準に定めるもの以外については、「と畜検査実施要領(昭和四七年五月二七日環乳第四八号)」により実施するものとする。

(2) 検査すべき疾病の範囲及び検査結果に基づく措置

ア 検査すべき疾病の範囲はと畜場法施行規則第六条に基づくこととする。

イ 検査結果に基づく措置はと畜場法施行規則第七条に基づくこととするが、以下のものについては全身症状を呈さないものであっても全部廃棄とする。

結核病(内部に病巣が認められるもの)、黄疸(広範囲なもの)、腫瘍(悪性なもの、転移病巣が認められるもの)、寄生虫病(筋肉部分に病変が認められるもの)

2 生体検査

(1) 生体検査の方法

ア 検査は一一○ルックス以上の照度を有する場所で行うこと。

イ 検査申請書に基づき申請事項の確認を行うこと。

ウ 生体検査はけい留状態、歩様、姿勢、元気、栄養状態、体表等を左右両側から望診すること。

エ 望診により異常等が見られたものは別に保定し、さらに触診等を行うこと。

(2) 生体検査により異常等を認めた場合

ア 精密検査等が必要な場合は、「保留」と明記された黄色の標識を付け、他の健康畜と隔離すること。

イ 疾病にかかり又はその疑いのある獣畜を病畜と室に搬入して、と殺・解体をした場合、病畜と室に搬入した獣畜のと体、内臓、皮等は、検査の結果、合格したものであっても健康畜のと殺・解体及び分割施設への搬入は行わないこと。

ウ と殺・解体禁止と判断されたものについては、「と殺・解体禁止」と明記された赤色の標識を付けるとともに、焼却、消毒等の必要な措置をとること。

3 と殺後検査

(1) 一般的留意事項

ア と殺後検査は頭部、内臓及び枝肉検査に分けて実施するものとするが、各検査は相互に関連をもって行うこと。

イ 検査において病変部を切開するときは当該病変部により肉、内臓、床、手指等を汚染しないように行うこと。

(2) 頭部検査

ア 頭部の形状等の検査

頭部の形状、左右対称性等全体について観察し、特に次の異常がないか留意して検査する。

(ア) 膿瘍、腫瘍の有無

(イ) 下顎の放線菌病の病変

(ウ) 伝染病を疑う口内炎の有無

(エ) 鼻腔、咽喉頭の各粘膜の水疱等の異常の有無

イ 頭部リンパ節の検査

次の四対、計八個のリンパ節について各四回以上細切を行い、異常の有無、特に結核性の病変がないか検査する。

(ア) 下顎リンパ節    (左右一対)

(イ) 外側咽頭後リンパ節 (左右一対)

(ウ) 内側咽頭後リンパ節 (左右一対)

(エ) 耳下線リンパ節   (左右一対)

ウ 頭部筋肉の検査

内外両側の咬筋、翼状筋(計四か所)を深く切開し、割面の嚢虫の有無を検査する。

エ 舌は触診し、特に次の異常がないか留意して検査する。

(ア) 舌、扁桃の結核性病変、特殊肉芽の増殖又は腫瘍の有無

(イ) 舌の放線菌病の病変

(ウ) 舌根部の気膿疸瘤

(3) 内臓検査

ア 内臓の摘出時の状態の検査

内臓の摘出時に、胸腔及び腹腔と内臓の剥離状態を観察し、摘出内臓を検査する前に枝肉の状態(胸腔壁、腹腔壁及び外貌所見)を観察し、異常の有無を検査する。

イ 肺の検査

肺門及び縦隔部位に存在する次のリンパ節、計五個について各四回以上細切を行い、異常の有無、結核性の病変がないか検査する。

(ア) 左右気管支リンパ節 (二か所)

(イ) 前部縦隔リンパ節  (一か所)

(ウ) 中間部縦隔リンパ節 (一か所)

(エ) 後部縦隔リンパ節  (一か所)

気管、気管支、肺及び縦隔膜について、望診及び触診を行い、異常の有無を検査すること。

なお、気管、気管支及び肺は異常があった場合を除き、検査のために切開をする必要はない。

注1) 検査員の鉤、検査刀により肺実質や気管等を傷つけてはならない。

注2) リンパ節の細切にあたっては、周囲の結合組織又は脂肪組織の部分により保定すること。

注3) 食道については、消化管の検査において行うこと。

ウ 心臓の検査

(ア) 心嚢(心外膜)を切開し、心臓外貌の望診を行う。

(イ) 左右の心房、心室を切開するとともに、左心室と中隔の心筋層をそれぞれ二回細切し次の異常がないか検査する。

(1) 心筋の病変の有無

(2) 嚢虫等の寄生虫の寄生の有無

(3) 心室の血液所見

(4) 弁膜の異常の有無

(5) 心内膜の異常の有無

(ウ) 切開後、心臓全体の触診を行う。

エ 横隔膜の検査

望診及び触診を行い異常の有無を検査する。

オ 肝臓の検査

(ア) 肛門部のリンパ節三か所を各四回以上細切し、異常の有無を検査する。

(イ) 肝内胆管を切開(総胆管の部分を起点として、左右葉に向け切開)し、特に次の異常の有無について留意して検査する。このとき肝実質の切開は行わない。

(1) 胆管の肥厚、拡張

(2) 寄生虫の寄生の有無等

(ウ) 肝実質の検査は望診及び触診により行い、特に右葉腎臓圧痕部分は膿傷等の異常の有無に注意する。

なお、望診又は触診の際に異常があった場合を除き、検査のために切開する必要はない。

カ 消化管(食道から直腸まで)の検査

(ア) 消化管の検査は、望診及び触診により行うこととし、特に異常がない場合は切開する必要はない。

望診及び触診は、食道↓胃↓第二胃↓小腸(膵臓)↓大腸↓直腸、膀胱及び子宮、卵巣の順に行う。

(イ) 第二胃の基部は触診により検査する。

(ウ) 大腸及び小腸に付属するリンパ節及び腸間リンパ節を触診し、異常の有無を観察する。

注1) 消化管、膵臓、消化管に存在するリンパ節及び腸管膜リンパ節、膀胱、子宮及び卵巣は望診又は触診において特に異常がない場合を除き切開しないこと。

注2) 鉤や検査刀により消化管を傷付けないこと。

キ 脾臓の検査

脾臓は望診及び触診により異常の有無を観察する。

なお、このとき脾臓の切開はしない(検査鉤の使用も不可)。

ク 乳房の検査

乳房部ははく皮しないままと体から切除し、その後望診及び触診により異常の有無を検査する。

なお、乳汁は、膿汁、浸出物、病変及びこれらに汚染された組織と同様に汚染源となる可能性があるので、乳房は必要な場合を除き切開しないこととし、乳汁による汚染部位はトリミングし、器具は消毒すること。

ただし、未経産牛の場合は、乳房もはく皮を行い、枝肉と併せて検査を行うこと。

(4) 枝肉の検査

ア 背割り前の検査

(ア) 内臓摘出時の胸腔、腹腔及び内臓のはく離状態の観察後、枝肉全体をよくみることができる位置から左右の外見を観察し異常の有無を検査する。

(イ) 左側枝肉の外側を上方から下方に後肢、後●、体●、前●、前肢の状態を観察し異常の有無を検査する。

(ウ) 右側枝肉を左側枝肉同様に検査する。

(エ) 枝肉の内側及び外側に存在する次の各リンパ節を上方から下方に触診及び望診し異常の有無を検査する。

〔枝肉外側の各リンパ節〕

(1) 膝●リンパ節

(2) 坐骨結節リンパ節

(3) 腸骨下リンパ節(膝窩)

(4) 腋窩リンパ節(前肢内側)

(5) 浅頚リンパ節

〔枝肉内側の各リンパ節〕

(6) 坐骨リンパ節

(7) 仙骨リンパ節

(8) 深鼠径リンパ節

(9) 浅鼠径リンパ節

(10) 外腸骨リンパ節

(11) 内腸骨リンパ節

(12) 腰リンパ節

(13) 腎リンパ節

(14) 肋間リンパ節

(15) 胸骨リンパ節

(16) 後深頚リンパ節

(17) 中深頚リンパ節

(オ) 脂肪、腹筋、枝肉部分に残っている横隔膜についても同様に異常の有無を検査すること。

注) リンパ節は必要な場合を除き細切しないこと。

イ 背割り後の検査

(ア) 背割り前の枝肉同様、触診と望診により異常の有無を検査する。

(イ) 脊柱部分(尾椎から頚椎まで)の検査も触診と望診により異常の有無を検査する。

(ウ) 腎臓を周囲脂肪組織から露出させ、触診と望診により異常の有無を検査する。

注) 腎臓は必要な場合を除き切開しない。

4 検印の押印

検査に合格した枝肉には、と畜場法施行規則(昭和二八年九月二八日厚生省令第四四号)第八条に規定するもののほかに、平成二年五月二四日衛乳第三五号の別添3不正防止基準の別記様式1に規定する印をラウンド(殿部)、フランク(下腹部腹側)、ロイン(腰部)、リブ(後胸部背側)、プレート(後胸部腹側)、ブリスケット(前胸部腹側)、チャック(前胸部背側)、シャンク(上腕部)、肝臓、舌及び心臓に押印すること。

別添2 略

別添3

残留物質モニタリング実施要領

1 目的

対米輸出食肉について、化学物質等の残留の実態を把握し、問題がある場合は必要な措置を採る。

2 対象

対米輸出食肉及びこれと同一の飼育条件(飼料、飼料添加物、使用する動物用医薬品、飼料作物に使用する農薬、給水等の飼育条件が同一)の牛群から生産された食肉、臓器について以下の物質について分析する。

(1) 抗生物質

ペニシリン類、テトラサイクリン類、アミドグリコシド類、マクロライド類、クロラムフェニコール類等

(2) 合成抗菌剤

サルファ剤等

(3) 駆虫剤

(4) ホルモン剤

(5) 重金属

(6) 農薬

有機塩素系、有機リン系、カーバメート類、ピレスロイド類等

3 検体採取及び送付

(1) 検体採取は指名検査員が対象となった個体について、別表に示す検体採取部位を部位毎に約五○○g採取し、採取した部位を別々に二重のポリエチレン袋に入れる。

(2) 別添様式1の検査記録の検査員の記入欄に必要事項を記入し、二重のポリエチレン袋の間に入れて封を閉じ、別添様式2の封印シールを用いて封印し、凍結保存する。

なお、検査記録の写しは食肉衛生検査所に保存すること。

(3) 検体の送付の際には、検体の品質保持のため、断熱剤を備えた厚手の段ボール箱を用い、十分な量の冷媒とともに検体を梱包すること。

4 分析機関

(財)日本食品分析センター

5 その他

(1) 分析項目、採取部位等については、一定期間毎に当方から連絡する。

(2) 結果については、分析機関より食肉衛生検査所及び荷主あて連絡することとする。

別紙様式1

別紙様式2