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(注) 陰性:検出限界値5cfu/cm2以下

(2) スポンジ法を用いて検査を実施した場合、認定施設は次の統計学的手法を用いて検査結果を評価すること。

ア 過去1年間の当該施設における検査結果の標準偏差(S.D.)を算出し、基準値(平均値±2S.D.又は平均値±3S.D.)を設定し、検査結果の評価を行うこと。

イ 基準値の設定にあたっては、1cm2当たりの菌数(不検出の場合は検出限界値)を用いること。

(3) 検査結果が合格とならない場合、認定施設における糞便汚染を防ぐための処理工程管理が十分に実施されていないと判断されるため、認定施設は指名検査員等の指導のもと、適切な改善措置をとること。

6 検査等の中止

指名検査員は認定施設において上記の2~4の規定が遵守されていないと認めた場合はと畜検査業務等を中止し、当該施設による改善措置が行われない限り、作業を開始させないこと。

参考1:大腸菌検査法<大腸菌(E.coli)測定用プレート法(AOAC法)>

3Mペトリフィルム大腸菌測定プレートの概要 ※ 詳細は取扱説明書を参照のこと。

1 使用培地は、バイオレッド胆汁培地(VRB培地)(赤色)であること。

2 グルクロニダーゼ指示薬(大腸菌を確認)及びテトラゾリウム指示薬(大腸菌以外のグラム陰性菌を染色)を含有すること。

3 コロニー周囲にガスを発生すること。

4 コロニーは青色(大腸菌により製造されたグルクロニダーゼが指示薬と反応し、青く染色する。)であること。

保管方法

1 ホイルパックを開封するまで8℃以下で保管すること。

2 使用の際は、開封前に製品を室温に戻すこと。

3 開封後は未使用のプレートをアルミパックに戻し、テープで密封すること。

4 アルミパックは室温25℃以下及び湿度50%以下で保管すること。なお、室温が25℃を超える場合、もしくは、湿度50%を超える場合には、冷凍庫で保管することが望ましい。

5 開封後のパックは冷蔵庫に入れないこと。

6 開封後のパックは1ヶ月以内に使用すること。

7 開封後のパックを冷凍保管する場合には、密閉できる容器に入れ、自動霜取り装置のない冷凍庫で保管すること。

8 冷凍したプレートを使用する場合は、必要枚数を密閉容器から取り出し、残ったプレートを密閉容器に戻し、速やかに冷凍すること。

9 オレンジ色又は茶色に変色したプレートは使用しないこと。

10 菌の培養に使用したプレートは廃棄方法に注意(滅菌等)すること。

使用方法

1 ペトリフィルムを平らなところに設置する。

2 上部フィルムをあげ、下部フィルムの中央部に検体液を1ml流す。

3 気泡が入らないように上部フィルムをかぶせる。

4 スプレッダーの平面部を下にして、注意深く中心部を押し、検体を均一に広げる。

5 スプレッダーを離し、プレートをそのままにして、ゲル化するまで1分間待つ。

6 透明なフィルムを上にし、35±1℃24±2時間培養する。

使用上の注意点

1 培養器内で、プレートは水平になる場所に設置すること。

2 培養後、直ちに大腸菌を計測すること。場合によっては培養時間が24時間以上必要なときもある。

3 培養後、やむを得ず直ちに大腸菌を計測できない場合、24時間以内に計測する場合に限り、冷凍庫に保管しておいてもよい。

判定方法

1 ガスの気泡を伴う青いコロニーは、大腸菌と判定できる。

2 ガスを発生しない青いコロニーは、大腸菌として算定しないこと。

3 コロニーからガス気泡までの距離がコロニー1個の直径より長い場合はそのコロニーは大腸菌として数えないこと。

参考2:検出限界値の算出方法

例) 10mlのペプトン水又はリン酸緩衝液を含んだスポンジで300cm2を拭き取った後、スポンジに15mlのペプトン水等を加え、試料液を25mlとし、試料液1mlを3Mペトリフィルムを用いて培養し、大腸菌のコロニーが現れなかった場合の検出限界の算出方法

1ml当たりの拭き取り面積は、12cm2(300cm2/25ml)であることから、ペトリフィルム上に1コロニー現れた場合には、0.08CFU/cm2(1コロニー/12cm2)となる。

参考3:処理工程管理表

検体番号

日付

採取時間

検査結果

(cfu/cm2)

検査結果不合格

(注1)

検査結果条件付き合格

(注2)

直近13検体結果条件付き合格数又は不合格数

合否

1

 

 

 

 

 

2

 

 

 

 

 

3

 

 

 

 

 

4

 

 

 

 

 

5

 

 

 

 

 

6

 

 

 

 

 

7

 

 

 

 

 

8

 

 

 

 

 

9

 

 

 

 

 

10

 

 

 

 

 

11

 

 

 

 

 

12

 

 

 

 

 

13

 

 

 

 

 

14

 

 

 

 

 

15

 

 

 

 

 

16

 

 

 

 

 

17

 

 

 

 

 

注:1及び2の欄は、「はい」もしくは「いいえ」を記入する。

第3 HACCPシステムを用いた自主衛生管理

1 定義

この規定において、以下の定義を適用する。

(1) 改善措置

逸脱がおこったとき、引き続いてとられる措置

(2) 重要管理点

食肉等の処理加工において、その部分を衛生的に管理することにより食品の安全性を損なうおそれのある危害因子を防止し、除去し、許容範囲内に納めることができる工程中のある時点、ある段階又は工程そのもの

(3) 管理基準

特定の食品の安全性を損なうおそれのある危害の発生を防止し、除去し、許容範囲内に収めるために、重要管理点において管理しなければならない生物学的、科学的、物理的危害の最高値又は最低値

(4) 食品の安全性を損なうおそれのある危害(危害)

安全でない食品を消費することにより起こる生物学的、化学的、物理的特性

(5) 防止措置

特定の食品の安全性を損なうおそれのある危害の発生を防止するための化学的、物理的又は他の方法

(6) 危害分析

原材料及び処理加工の段階で、食品の安全性を損なうおそれのある危害を明らかにし、これらの起こりうる可能性、起きた場合の被害の重篤性を評価すること

(7) HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Points)

食品の安全性を保証するため、特異的な危害因子及びそれらを管理するための防止措置を明らかにすることによる危害分析及び重要管理点監視からなるシステムのこと

(8) HACCP計画

HACCP原則に基づく、特定の工程又は手続きの管理を保証するために従わなければならない事項を文書にした計画

(9) HACCPシステム

HACCP計画に基づく実施中のHACCPのこと

(10) モニタリング

重要管理点が適切に管理下にあるかどうか評価するとともに、将来、検証を実施する際の正確な記録を作成するため、計画された一連の観察又は測定

(11) 製造工程モニタリング装置

重要管理点において、処理加工時の条件・状態を示すために用いられる器具又は装置

(12) 施設内責任者

施設の処理加工現場にいる全体責任者、又はより高い地位の管理職

2 危害分析及びHACCP計画

(1) 危害分析

ア 認定施設は、科学的な根拠に基づき、製造工程で発生する可能性のある食品の安全性を損なうおそれのある危害因子(以下「危害」という。)を特定するため危害分析を実施し、その危害の防止措置を定めること。

イ 危害分析では、当該施設への搬入前、搬入時(とさつ、解体、処理等)及び搬入後のすべての工程において発生する可能性があるすべての危害を分析すること。

ウ 危害は、過去にその施設で発生したことがあるか、又は適切な管理対策が実施されなければ発生する可能性があり、施設が管理できるものであること。

エ 認定施設は最終的に食肉になるまでのとさつ、解体及び処理の各工程の流れを記載したフローチャートを作成すること。また、(危害発生防止のため、重要管理点において定める管理基準設定の際に特に留意しなければならない場合に限り)想定される食肉の用途(喫食方法等)又は販売等の対象とする消費者層を特定すること。

オ 危害の原因となる物質には、以下のものが含まれていること。

(ア) 天然毒素

(イ) 微生物学的汚染物質

(ウ) 化学的汚染物質

(エ) 農薬

(オ) 残留動物用医薬品

(カ) 人畜共通感染症

(キ) 腐敗

(ク) 寄生虫

(ケ) 食品添加物の不適切な使用

(コ) 物理的危害

(サ) 特定危険部位(脊柱を含む。)

(2) HACCP計画

ア 認定施設は、認定施設内において製造される食肉(以下「製品」という。)毎に危害分析を行った後、当該製品についてHACCP計画を文書化し、その計画を実施すること。

イ ただし、複数の異なった製品でも次の(3)で定めた特定及び実施が義務づけられる危害、重要管理点(以下「CCP」という。)、管理基準、その他の手順が同一であり、適切に計画に記載され、モニタリングされる場合は、単一のHACCP計画により実施できるものとすること。

(3) HACCP計画の内容

HACCP計画は、次の要件を満たしていること。

ア 危害の原因物質及び危害発生工程毎の防止措置を明示すること。

イ 特定された各々の危害の防止措置のうち、次のCCPを明示すること。

(ア) 当該施設内で発生する可能性のある危害の防止を目的とするCCP

(イ) 当該施設への搬入前、搬入時、搬入後に発生する危害及び施設外から持ち込まれる危害の防止を目的とするCCP

ウ 各CCPで遵守しなければならない管理基準を明示すること。この管理基準は、少なくとも、本通知で定める達成基準、達成規格及びその他の衛生管理基準を確実に満たすものであること。

エ 各CCPにおいて管理基準が常に確実に遵守されていることを連続的な又は相当の頻度で確認するための測定方法(モニタリング方法)を明示すること。

オ CCPにおいて管理基準からの逸脱があった際に実施される、下記の3に規定する改善措置を明示すること。

カ 下記の5に規定するCCPにおけるモニタリングの記録方法を明示すること。当該記録は、モニタリング時における実際の数値、観察事項、実施担当者を含むものとすること。

キ 下記4に規定する認定施設による検証の方法及びその実施頻度を明示すること。

(4) HACCPへの署名及び日付の記載

ア HACCP計画には、認定施設がHACCP計画を記述通りに実施し、管理する責任を明確にするため、当該施設内責任者が署名し、日付を記載すること。

イ HACCP計画では、以下の時点で署名及び日付を記入すること。

(ア) HACCP計画の施行日

(イ) 改訂時

(ウ) 下記の4(1)ウに定めた最低年1回のHACCP計画の再評価時

(5) 認定施設が上記2により定めるHACCP計画を作成しているにも関わらず、当該計画を実施しない場合、又はその他の規定にしたがって作業をしない場合、そのような状態で製造された製品は、指名検査員等により不衛生な製品と判断されること。

3 改善措置

(1) HACCP計画の文書には、各CCPにおいて管理基準から逸脱した際の改善措置、その実施責任者を明記すること。管理基準からの逸脱とは、人の健康に有害であったり、粗悪な製品を製造することであり、改善措置は、次の要件を満たすものであること。

ア 逸脱の原因を特定し、これを排除するために実施すべき改善措置

イ 改善措置実施後のCCPの管理方法(及び管理状態が正常に戻ったと判定する検証、検証結果)

ウ 再発防止のための対策

(2) 明記された改善措置によって逸脱が解消されない場合、又はその他の予想外の危害が発生した場合、当該施設は以下の措置を実施すること。

ア 最低でも次のイ及びウの要件が満たされるまでは、危害の影響を受けた製品を他の製品と分離し、保管すること。

イ 当該製品の流通の是非を判断するための評価を実施すること。

ウ 当該製品については、必要に応じて、製品を販売しないようにする措置を実施すること。

エ 下記7に定める講習を受けた者は、再評価を実施し、新たに特定された逸脱又はその他の予想外の危害についての検討がHACCP計画に盛り込まれているかを判断すること。

(3) 全ての改善措置については、下記5に定める要件に従って記録すること。また、下記4(1)イ(ウ)に従って検証した場合についても記録すること。

4 確証、検証、再評価

(1) 認定施設は、危害分析において特定された危害がHACCP計画で適切に防止されていることを確証すること。また、当該計画が効果的に実施されていることを検証すること。

ア 施行時の確証

危害分析及びHACCP計画の作成が完了した時点で、認定施設は、HACCP計画が目的通り危害の発生防止に機能するかを判断するための認証方法として次の事項を実施すること。

(ア) CCP、管理基準、モニタリング方法、記録方法、改善措置の適正について繰り返し検査すること。

(イ) HACCPシステムに従って日常的に作成される記録自体の点検を行うこと。

イ HACCPシステムの検証

検証には以下の事項を満たすこと。ただし、これに限定されないこと。

(ア) 製造工程モニタリング(監視)装置の保守点検(計器の校正を含む。)

(イ) モニタリング及び改善措置の直接的な観察

(ウ) 下記5(1)ウに定める記録の点検

ウ HACCP計画の再評価

(ア) 認定施設は、最低年1回、及び危害分析に影響を及ぼしたり、HACCP計画を改訂する必要が生じた際に、HACCP計画の妥当性を再評価すること。

(イ) この改訂とは、原料・その供給源、製品の組成、とさつ・解体・処理加工方法、製造量、従業員、包装、最終製品の流通方法、及び最終製品の用途・消費者層等の変更のことであるが、これらに限定されない。

(ウ) 再評価は、下記7に定める講習を受けた者が実施すること。

(エ) 再評価によって当該計画が上記2(3)の要件に適合していないことが明らかになった場合は、直ちにHACCP計画を改訂すること。

(2) 危害分析の再評価

ア 危害分析によって危害が存在しないことが明らかになったため、HACCP計画を策定していない施設は、危害の発生するおそれのある変更が生じた際には危害分析の妥当性を再評価すること。

イ この変更とは、上記(1)ウ(イ)に定める変更と同様のものである。

5 記録

(1) 認定施設はHACCP計画に関する以下に定める文書及び記録を作成し、維持管理すること。また、これらの文書等には、作成された日付を記載すること。

ア 上記2(1)に定める危害分析に関する文書、その他の補助文書

イ HACCP計画(危害分析、CCP、モニタリング、改善措置)の文書、CCPの選定及び管理基準の設定における検討結果に関する文書、モニタリングと検証の手順及びこれらの手順の実施頻度の選定について説明する文書

ウ 施設のHACCP計画に記載されている実際の時間、温度その他の数量化可能な数値の記録を含むCCP及び管理基準のモニタリングに関する記録、製造工程モニタリング装置の保守点検(計器の校正)記録、改善措置の記録、検証方法及び結果の記録、製品名又はその他の表示、製造ロット等

(2) HACCP計画の記録事項は、現場において、当該計画に定めた時点で、記録日時とともに記入すること。また、当該記録を記入した施設の従業員が氏名又はイニシャルもあわせて記入すること。CCPの検証記録には、検証日時、検証結果を記載するとともに、検証者が署名を行うこと。

(3) 認定施設は、製品を出荷する前に、全ての管理基準が遵守されたか、また必要に応じて製品の適切な廃棄等の改善措置がとられたかどうかを確認するため、上記(1)及び(2)に定めた当該製品の製造に関する記録を点検し、対米輸出食肉についてはその結果を記録した文書を作成すること。

当該作業は、記録の作成者以外の下記7に定めた講習を受けた者又は施設内責任者が実施し、日時の記入と署名を行うこと。

(4) 記録の保管

ア 認定施設は上記(1)ウの記録を指名検査員等が閲覧できる状態で1年以上保管すること。

イ 当該記録は、作成後半年間は製造現場に保管し、それ以後は、指名検査員等の要請から1日以内に閲覧できることを条件に、現場以外に保管できること。

(5) 指名検査員等による評価

ア 記録、計画及び手順は、指名検査員等に副本を提出し、評価を受けること。

6 不適切なHACCPシステム

認定施設が以下の事項に該当する場合、当該施設のHACCPプランは不適切であると判定されること。

(1) HACCPシステムが本規定の要件を満たしていない場合

(2) 施設の従業員がHACCP計画に明記された業務を遂行していない場合

(3) 施設が上記3に定める改善措置を実施していない場合

(4) 施設が上記5に定めるHACCPの記録を維持管理していない場合

(5) 管理基準を逸脱した製品が製造又は出荷されている場合

7 講習

以下に定める事項を遂行する者は、必ずしも施設の従業員である必要はないが、食肉・食鳥肉製品の処理加工に対するHACCPの7原則の適用、HACCP計画の作成及び記録の評価に関しての講習を滞りなく修了している者とすること。

(1) 2(2)に定めるHACCP計画を作成すること。(特定の製品に対する一般的なHACCPモデルの適用を含む。)

(2) 3に定めるHACCP計画の再評価及び改訂を行うこと。

第4 指名検査員等による検証

1 SSOPの検証

(1) 指名検査員等は、認定施設が作成したSSOPに記載された衛生管理手順の妥当性及び効果を検証すること。

(2) 検証は次の事項を満たしていること。

ア SSOPの評価

イ SSOPの手順、モニタリング及び改善措置の実施記録の点検

ウ SSOPの手順、モニタリング及び改善措置の現場での実際の査察

エ 微生物学的検査等による当該施設の衛生状態の評価

(3) (2)ウの査察は、次の手順により実施すること。なお、査察は当該施設が行う作業前点検及び作業中のSSOPのモニタリングに同行して行うことができるものとし、同行の頻度は、施設の遵守事項違反の履歴、指名検査員の所持する記録及びSSOPに関する記録等を考慮して決定すること。

ア 作業前点検

施設周囲、施設・設備及び器具の洗浄が適正であるかを確認すること。特に製品が接触する部分、洗浄が困難で洗浄が十分に行われない設備について重点的に点検すること。なお、いずれかの部位に洗浄の不備又は不衛生な部位が発見された場合は、完全に再洗浄又は改善が行われない限り、作業を開始させてはならないこと。

イ 作業中点検

製品の取扱い、一般的な作業方法が衛生的であるか否か、すなわち、分割・細切方法、器具の消毒、手の洗浄、床の掃除、廃棄物の取扱い、従業員の不衛生な行動の管理、不可食部の取扱い等の状態を点検すること。

2 HACCPシステムの検証

(1) 指名検査員等は、施設のHACCP計画が第3に規定した全ての要件を遵守しているかを評価することにより、HACCP計画の妥当性を検証すること。この検証には以下の事項を含むこと。

ア HACCP計画の点検

イ CCPの記録の点検

ウ 逸脱が起こった場合に実施される改善措置の内容及びその点検

エ 管理基準の点検

オ HACCP計画・システム関連のその他の記録の点検

カ CCPにおける直接的な監視及び測定

キ 食肉の安全性を判断するための微生物等の検査

ク 製造現場の監視及び記録の点検

3 検証結果に基づく措置

検証の結果、当該施設のSSOP及びHACCPシステム等が不適切と判断された場合は、その内容を文書により衛生管理責任者に通知すること。衛生管理責任者は、その改善措置を文書により回答すること。

なお、と畜処理速度の加速による処理の不備、特定の動物の健康状態に鑑み、当該動物についてより詳細な検査を必要とする等の理由により、現在のと畜処理速度では十分な検査が行えないと判断された場合には、指名検査員はと畜処理速度を落とすよう要求する権限を有する。

4 病原微生物削減達成規格

(1) 指名検査員は、上記2キとして、病原微生物の削減を達成するための規格として製品のサルモネラ検査を実施すること。

(2) 製品のサルモネラ達成規格値(病原微生物削減達成規格値)は下表のとおりとし、検査検体数(n)中、最大許容検体数(c)以上の検体数が達成規格値(サルモネラ陽性率)を超えてはならないこと。

表 サルモネラ達成規格値

製品分類

達成規格値

(サルモネラ陽性率a)

検査検体数

(n)

最大許容検体数

(c)

去勢牛肉/未経産牛肉

1.0%

82

1

廃用牛肉/種雄牛肉

2.7%

58

2

(3) 指名検査員によるサルモネラ検査の実施

ア 指名検査員は、予告なしに認定施設内の製品を採取し、サルモネラ菌について検査を実施し、達成規格値以下であることを確認すること。

イ 指名検査員が検査する頻度は、当該施設に対して過去に行われた検査の結果及び当該施設の検査結果実績に関するその他の情報に基づいて決定すること。

ウ サルモネラ菌の検査は、米国農務省食品安全検査局(FSIS)が監修している微生物試験室ガイドブック(Microbiology Laboratory Guidebook)で示されている方法又は当該方法と同等以上の検査方法で実施すること。

(4) 違反時の対応

ア 指名検査員等は、製品について上記の基準を満たしていないと判断した場合、次の措置をとること。

(ア) 認定施設による基準を満たすための対策を実施させること。

(イ) 製品について次回の検査で同基準を満たしていないと判断された場合、当該施設は製品のHACCP計画の点検を行うこと。

(ウ) 当該施設が、(イ)の対策を実施していないと指名検査員等により判断された場合、あるいは製品について3度目の検査で同基準を満たしていないと指名検査員等により判断された場合、当該施設が第3で規定した、製品に関する衛生状態の維持管理及び適切なHACCP計画の実施を怠ったと見なし、指名検査員等は検査業務を停止すること。

(エ) 検査業務の停止は、当該施設がHACCPシステムの改善措置及び病原微生物汚染の削減を目的とした対策を詳細に記述した文書を指名検査員等に提出するまで継続すること。

5 糞便、消化管内容物及び乳房内容物に関する衛生的なとさつ・解体の検証

(1) 指名検査員は、糞便、消化管内容物及び乳房内容物に関する衛生的なとさつ・解体を検証するため、枝肉が糞便、消化管内容物及び乳房内容物に汚染されていないことを検証すること。

(2) (1)の検証は、枝肉検査を行う指名検査員が行うとともに、作業中点検を行う指名検査員は、原則として、枝肉の最終洗浄前に下表の頻度により行うこと。

(3) 指名検査員が、枝肉に糞便、消化管内容物及び乳房内容物による汚染を認めた場合は、その監督の下で汚染された部位を迅速に除去させるとともに、施設が、糞便、消化管内容物及び乳房内容物による枝肉の汚染チェックをCCPとしている場合にあっては、第4の3に基づき、指名検査員は、当該施設に改善措置について回答を求め、提出された改善措置を検証すること。

表 糞便、消化管内容物及び乳房内容物に関する衛生的なとさつ・解体の検証のための枝肉検査頻度

当日の処理頭数

検査頭数

100以下

2

101~250

4

251~500

7

501以上

11

(注) 検査は左右の枝肉について実施すること。

別添4 不正の防止基準

第1 検印等

1 検印等の承認

(1) 検印及び封印シール

都道府県知事等は認定を受けたと畜場等毎に、検査に合格した枝肉等に押印する認定番号をいれた検印(別記様式1)を作成し、厚生労働省医薬食品局食品安全部長にその印影を届け出て、承認を得なければならない。

容器包装の封印シール(別記様式2)についても同様とする。

(2) 容器包装に印刷する検査済証

都道府県市は認定を受けたと畜場等毎に、製品の容器包装に印刷する検査済証(別記様式3)及び必要な表示事項(別記様式4)の印刷見本をあらかじめ作成し、厚生労働省医薬食品局食品安全部長にその印刷見本を届け出て、承認を得なければならない。

なお、別記様式4の1の部位名及び6については、製品毎にラベルを貼付することが可能であり、その場合には、当該ラベルの見本を届け出て、承認を得なければならない。

2 検印等の保管・管理

(1) 都道府県市は、承認を受けた検印について、その大きさ、形、通し番号、作成年月日を記した保管台帳を作成し、その写しを厚生労働省に届け出なければならない。

検印を廃棄したり、新たに作成した場合にもその都度、台帳に記入し、その写しを厚生労働省に届け出なければならない。

(2) 都道府県市は、承認を受けた封印シールについて、その大きさ、形、通し番号、作成年月日を記した保管台帳を作成し、その写しを厚生労働省に届け出なければならない。

(3) 検査済証の印刷済容器包装については、衛生管理責任者が管理し、注文・入荷台帳を作成し、検査員の求めがあればいつでも提出しなければならない。

(4) 検印の使用にあたっては、洗浄・消毒を行い、清潔な状態で使用しなければならない。

(5) 検印は、枝肉等への押印以外の目的に使用してはならない。

3 格付印等

格付印その他枝肉等に使用される印については、都道府県市より厚生労働省にその印影を届け出なければならない。

〔別記様式1〕

〔別記様式2〕

JAPAN INSP'D & P'S'D XXXXXXXX

〔別記様式3〕

〔別記様式4〕

1 獣畜の種類及び部位名

2 製造者名及び所在地

3 原産国名

4 認定番号

5 保存方法

6 処理年月日

(備考) 和英併記とすること。

第2 不可食部及び廃棄物の管理

1 保留及び廃棄枝肉の管理

施錠できる保留用ケージの中に、「保留」又は「廃棄」のタグ(番号、日付、検査員の署名の記入されたもの)を付して保管し、検査員が施錠すること。

2 不可食部及び廃棄物(動物用又は工業用原料となるものも含む。)については、専用の容器に収納し、着色・着臭等の処理を施し、当日中にすべて施設から搬出すること。

なお、当日中に搬出が不可能な場合には、施錠のできる専用の容器に収納し、搬出時まで検査員が施錠して管理すること。

3 不可食部及び廃棄物(動物用又は工業用原料となるものも含む。)を施設から搬出する場合は、食用品搬出口とは別の専用の搬出口から搬出すること。