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○食鳥処理場におけるHACCP方式による衛生管理指針について

(平成四年三月三〇日)

(衛乳第七一号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生省生活衛生局乳肉衛生課長通知)

食鳥肉のサルモネラ、カンピロバクター等の微生物による汚染は従来から食品衛生上の問題になっており、衛生的な食鳥処理により、その衛生水準を向上させる必要性が指摘されています。

食鳥処理場における衛生管理については、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(平成二年法律第七〇号)第一一条に基づき、同法施行規則別表第三により衛生管理基準が定められているところでありますが、食鳥肉の微生物汚染防止対策のより一層の充実を図るため、「食鳥処理場における危害度分析重要管理点(Hazard Analysis Critical Control Point、以下「HACCP」という。)方式による衛生管理指針」(以下「指針」という。)を別添のとおり策定しましたので、貴管下食鳥処理業者に対する周知指導方よろしくお願いします。

〔別添〕 略

別表1

食鳥処理の衛生管理に係る重要管理点(CCP)、目標基準(Critical Limits)、モニタリング方法及びモニタリング結果に基づく措置

処理工程

重要管理点と目標基準

モニタリング方法

モニタリング結果に基づく措置

生体受入れ(CCP―1)

1 搬入前の食鳥の餌切りは行われているか。目標基準:12時間以上

1 生体受入れ部門の責任者は養鶏場における給餌打ち切り時間を聴取する。必要に応じ、餌切りの確認は、剖検により餌が消化管内に残っているか否かを調べる。

1 養鶏場に対し、餌切り時間(12時間以上)を遵守するよう厳重に要請するとともに、当該ロットの食鳥は最後に処理する。

2 搬入された食鳥は各ロット(同一の鶏舎で同一の条件下で養鶏された鶏群等で、同日中に搬入され、処理されるものをいう。)ごとに区別されているか。

2 搬入された鳥は各ロットごとに区別され、荷札等により各ロットを確認することが可能かを調べる。

2 不良の場合は、各ロットごとに識別できるよう必要な措置を講じじる。

3 体表が糞便等により著しく汚染されているロットの場合(ロット中の食鳥の30%以上が汚染されている場合)、当該ロットは、良好なものと明らかに区別して保管され、最後に処理されているか。

3 糞便汚染鳥は良好なものと明らかに区別して搬入され、保管されているかを調べる。

3 糞便汚染鳥が30%以上に達するロットの食鳥は、最後に処理するとともに、養鶏場の飼育環境の改善を要請する。

生体輸送用容器の洗浄(CCP―3)

1 容器の消毒温度(83℃以上)又は薬剤の使用方法が適切か。

1 消毒温度(煮湯)を温度計で直接測定する。薬剤を用いる場合は、使用薬剤の種類、名称及び使用濃度を調べる。

1 不良の場合は、基準温度を守るようにする。薬剤を用いている場合は適正な方法で使用する。

2 洗浄済の生体輸送用容器に糞便、羽毛等が残存していないか。目標基準:10%未満の汚染

2 50個以上の生体輸送用容器の汚染状態を調べる。この場合、容器に糞便が明らかに付着(数か所~全体)しているもの及び羽毛の付着が多いものを汚染容器として判定する。

2 10%以上の生体輸送用容器が汚染している場合、洗浄用機械ブラシを調節する等必要な措置を講じ、全ての容器を再度洗浄消毒する。

3 洗浄済の生体輸送用容器は再汚染しないように保管されているか。

3 洗浄済みの生体輸送用容器は未洗浄容器と区別され、再汚染されないように保管されているか否かを調べる。

3 不良の場合は、洗浄済みの生体輸送用容器は再汚染が生じないように清潔で衛生的な場所に保管する。

懸鳥(CCP―2)

1 疾病又は異常を有する疑いがある食鳥は区別されているか。

1 疾病又は異常を有する疑いがある食鳥は適切に区別されて懸鳥されているか、また外された食鳥は区別して保管されているかを調べる。

1 不良の場合は、懸鳥担当者に異常鳥を区別して異常鳥専用容器に収容させた上、食鳥検査員等の指示のもとに処理する。

2 糞便等により肛門周囲や体表が汚染されていないか。目標基準:30%未満の汚染

2 100羽以上の食鳥について肛門周囲や体表が糞便等により汚染されていないかを調べる。肛門周囲に消化管の内容物(特に下痢便)の付着が見られるもの、又は体表(特に胸部)の汚染が著しいものは汚染鳥として判定する。

2 30%以上の食鳥の肛門周囲や体表が糞便等により汚染されている場合、当該ロットの食鳥は区別して保管し、最後に処理するとともに、養鶏場の飼育環境の改善を要請する。

3 懸鳥用シャックルが糞便、血液、羽毛等により汚染されていないか。目標基準:10%未満の汚染

3 100本以上のシャックルについて糞便、血液、羽毛等により汚染されていないかを調べる。糞便、血液、羽毛等の付着(数か所~多量)が明らかに認められるシャックルを汚染シャックルと判定すること。

3 10%以上のシャックルが糞便、血液、羽毛等により汚染されている場合、必要に応じ処理ラインを止める等により、速やかにその原因を調査し、当該原因を排除する対策を講じた後、汚染シャックルから汚染物を取り除き、十分に洗浄消毒する。なお、一定時間作業した後、再点検する。

放血(CCP―3)

1 放血室での血液等によるとさつ後の食鳥の汚染はないか。

1 放血室の汚染状況を調べる。特に、血液の飛散、粉塵の状態を観察する。

1 汚染が著しい場合は、その原因を調査し、当該原因を排除する対策を講じる。

湯漬(CCP―2)

1 湯漬水は衛生的な温湯で十分に換水されているか。目標基準:1羽当たり1L以上

1 換水量は別紙の1に記載した方法により測定する。

1 不良の場合は、直ちに換水量を1羽当たり1L以上にする。

2 湯漬水が糞便、羽毛等により汚染されていないか(湯漬水の汚染が高く、浮遊物も多い状態)。+++(極度)の汚染++(中等度)〃+(通常)

2 湯漬水の糞便、羽毛等の汚染状態は湯漬槽中の浮遊物の多少によって判定する。

2 湯漬水の汚染が高く、浮遊物が多い場合(1)(+++)の場合、速やかに浮遊物を除去し、湯漬水をすべて換水する。(2)(++)の場合、作業休憩時等に浮遊物を除去し、湯漬水をすべて換水する。

3 湯漬水の水温は定められた温度になっているか。

3 水温は湯漬槽への食鳥の入口及び出口付近で測定し、その平均値で表す。

3 食鳥処理場ごとに標準温度を定め、定められた温度になっていない場合は、速やかに調節する。

脱羽(CCP―2)

脱羽機の検査(休憩時にチェック)

作業休憩又は作業終了時に脱羽機内を調べる。

 

1 フィンガーの破損がないか。

1 フィンガーの破損を調べる。

1 フィンガーに破損が見られる場合は、直ちに交換する。

2 フィンガーが糞便、羽毛等により汚染されていないか。+++(極度)の汚染++(中等度)〃+(通常)

2 フィンガーの糞便、羽毛等の付着状態及び脱羽機内の羽毛の多少を調べる。

2 フィンガーが汚染されている場合(1)(+++)の場合、必要に応じ処理ラインを止める等により、速やかにシャワー水の不足等汚染の原因を調査し、当該原因を排除する対策を講じた後、汚染物を取り除く。なお、一定時間作業した後、再点検する。(2)(++)の場合、作業休憩時等に汚染原因を調査し、当該原因を排除する対策を講じた後、汚染物を取り除く。

3 脱羽機周辺に羽毛が飛散していないか。+++(飛散多い)++(中等度)+(通常)

3 脱羽機周辺の羽毛飛散の多少を調べる。

3 脱羽機周辺に羽毛が飛散している場合(1)(+++)の場合、必要に応じ処理ラインを止める等により、速やかにその原因を調査し、当該原因を排除する対策を講じた後、羽毛を除去する。なお、一定時間作業した後、再点検する。(2)(++)の場合、作業休憩時等に汚染原因を調査し、当該原因を排除する対策を講じた後、汚染物を取り除く。

4 食鳥とたいに損傷(皮膚剥離、手羽折れ)がないか。目標基準:10%未満の損傷

4 食鳥とたいについて、一定時間(100羽以上)観察し、食鳥とたいの破損(皮膚の剥離、手羽折れ等)の出現率を調べる。

4 10%以上の食鳥とたいに損傷(皮膚剥離、手羽折れ)が認められた場合、必要に応じ処理ラインを止める等により、速やかにその原因を調査し、フィンガーの調節等の対策を講じるとともに、一定時間作業した後、再点検する。

5 食鳥とたいが糞便等により汚染されていないか。目標基準:10%未満の汚染

5 食鳥とたいについて、一定時間(100羽以上)観察し、食鳥とたいの糞便等による汚染の出現率を調べる。

5 10%以上の食鳥とたいに糞便等による汚染が認められた場合、必要に応じ処理ラインを止める等により、速やかにその原因を調査し、当該原因を排除する対策を講じる。なお、一定時間作業した後、再点検する。汚染された食鳥とたいは、当該汚染部位をトリミングし、洗浄消毒後、処理ラインに戻す。

6 食鳥とたいに羽毛が残留していないか。目標基準:10%未満の残留

6 食鳥とたいについて、一定時間(100羽以上)観察し、羽毛が残留した食鳥とたいの出現率を調べる。

6 羽毛が残留した食鳥とたいが10%以上認められた場合、必要に応じ処理ラインを止める等により、速やかにその原因を調査し、当該原因を排除する対策を講じる。なお、一定時間作業した後、再点検する。残留した羽毛は手焼き等により除去した後、当該食鳥とたいを処理ラインに戻す。

シャックルの掛換え(CCP―3)

1 掛換機が糞便、血液及び脂肪等により汚染されていないか。+++(極度)の汚染++(中等度)〃+(通常)

1 掛換機の糞便、血液及び脂肪等による汚染の多少を調べる。なお、観察し難い時は休憩時にこれを行う。

1 掛換機が糞便、血液等により汚染されている場合(1)(+++)の場合、必要に応じ処理ラインを止める等により、速やかに汚染の原因を調査し、当該原因を排除する対策を講じた後、直ちに洗浄消毒する。なお、一定時間作業した後、再点検する。(2)(++)の場合、休憩時に汚染原因を調査し、当該原因を排除する対策を実施した後、洗浄消毒する。

2 シャックルが糞便、血液及び脂肪等により汚染されていないか。+++(極度)の汚染++(中等度)〃+(通常)

2 掛換機のシャックルの糞便、血液及び脂肪等による汚染の多少を調べる。なお、観察し難い時は休憩時にこれを行う。

2 シャックルが糞便、血液等により汚染されている場合(1)(+++)のシャックルが多く見られる場合、必要に応じ処理ラインを止める等により、速やかに汚染の原因を調査し、当該原因を排除する対策を講じた後、直ちに洗浄消毒する。なお、一定時間作業した後、再点検する。(2)(++)の場合、休憩時に汚染原因を調査し、当該原因を排除する対策を講じた後、洗浄消毒する。

3 脱羽ラインから内臓摘出ラインへ食鳥とたいがスムーズに掛換えられているか。目標基準:落下が毎分2羽未満(自動掛換機を用いた時)

3 自動掛換機が用いられている場合、掛換場所において食鳥とたいが落下することなく、スムーズに掛換えられているかを調べる。自動掛換機が用いられていない場合、掛換場所に食鳥とたいが滞っていないか、決められた清潔な容器内に衛生的に保管されているかを調べる。

3 自動掛換機を用いている場合、1分間の観察中、2羽以上が落下する場合、必要に応じ処理ラインを止める等により、速やかに原因を調査し、当該原因を排除する対策を講じる。落下した食鳥とたいは、当該汚染部位をトリミングし、洗浄消毒後、処理ラインに戻す。自動掛換機を用いていない場合、掛換場所に食鳥とたいが長時間放置されたり、定められた場所から溢れ、床面に放置されること等のないよう脱羽と内臓摘出の速度を調節する。

内臓摘出(中抜)(CCP―1)

1 消化管の内容物、胆汁等により汚染された食鳥中抜とたい又は消化管のからみつき若しくは損傷した消化管の垂れ下がりを起こしている食鳥中抜とたいが出現していないか。目標基準:10%未満の出現率

1 中抜直後の食鳥中抜とたいについて、一定時間(100羽以上)観察し、消化管の内容物、胆汁等により汚染された食鳥中抜とたい又は消化管のからみつき若しくは損傷した消化管の垂れ下がりを起こしている食鳥中抜とたいの出現率について調べる。

1 10%以上の食鳥中抜とたいが消化管の内容物等により汚染されたり、消化管のからみつき等を起こしている場合、必要に応じ処理ラインを止める等により、速やかに自動総排泄腔切除機、自動開腹機、自動中抜機のうち、どこに原因があるかを調査し、当該原因を排除する対策を講じるとともに、一定時間作業した後、再点検する。汚染の著しい食鳥中抜とたいは、処理ラインから外し、当該汚染部位をトリミングし、洗浄消毒後、処理ラインに戻す。

2 自動総排泄腔切除機、自動開腹機及び自動中抜機は的確に洗浄消毒されているか。

2 自動総排泄腔切除機、自動開腹機及び自動中抜機の運転中、シャワーリング等により、これら機械に付着した消化管の内容物等は洗い流されているか。

2 自動中抜機等が汚染されている場合、必要に応じ処理ラインを止める等により、速やかにその原因を調査し、当該原因を排除する対策を講じるとともに、一定時間作業した後、再点検する。汚染された自動中抜機等は、作業休憩時等に洗浄消毒する。

内臓の食用部分の区分(CCP―1)

1 内臓の食用部分を区分する際に、食鳥中抜とたい又は内臓の食用部分が消化管の内容物等により汚染されていないか。目標基準:10%未満の汚染

1 内臓の食用部分を区分した後の食鳥中抜とたい及び内臓の食用部分について、一定時間観察し(100羽以上)、消化管の内容物等による汚染の出現率を調べる。

1 内臓の食用部分を区分する際に、10%以上の食鳥中抜とたい又は内臓の食用部分が汚染されている場合、速やかに関係従事者に対し、消化管の内容物等による食鳥中抜とたい及び内臓の食用部分の汚染を防ぐよう指導する。汚染の著しい食鳥中抜とたい等は、処理ラインから外し、当該汚染部位をトリミングし、洗浄消毒後、処理ラインに戻す。

2 汚染された食鳥中抜とたい等と接触した従事者の手指(手袋を含む)は洗浄消毒されているか。

2 汚染された食鳥中抜とたい等と接触した従事者の手指の洗浄消毒の状況を調べる。汚染手袋とは明らかに消化管の内容物等の付着しているものをいう。また、従事者用の消毒剤の有無についても確認する。

2 不良の場合、食鳥処理衛生管理者を通じて手指又は手袋を十分に洗浄消毒後、作業を再開するよう従事者を指導する。

内外洗浄(CCP―3)

1 洗浄は十分な水量、水圧で行われているか。

1 内外洗浄機の水量、水圧を調べる。なお、洗浄後の食鳥中抜とたい体表面に汚染がないことを確認する。

1 不良の場合、洗浄は十分な水量、水圧で行うようにする。

汚染された食鳥とたい等の処理(CCP―1)

1 消化管の内容物等により汚染された食鳥とたい、食鳥中抜とたいは冷却槽に入れる前に適切にトリミングされ、洗浄消毒されているか。目標基準:不適切率20%未満

1 無作為に10羽の汚染された食鳥とたい、食鳥中抜とたいを抽出し、汚染が残っているもの、トリミングが不適切なものがないか調べる。

1 2羽以上不適切なものが認められれば、作業全般を見直す。

冷却予備冷却(CCP―1)

1 水温は16℃以下に保たれているか。

1 水温は冷却槽への食鳥中抜とたいの入口及び出口付近で測定し、その平均値で表す。

1 不良の場合は、速やかに5℃以下の冷却水又は砕氷等を入れ、水温を10℃以下に下げる。

2 衛生的な冷却水で十分に換水されているか(1羽当たり1L以上)。

2 換水量は別紙の1に記載した方法で測定する。

2 不良の場合、換水量を1羽当たり1L以上とする。

3 冷却水が消化管の内容物、血液等により汚染されていないか。+++(極度)の汚染++(中等度)〃+(通常)

3 冷却槽中における食鳥中抜とたいの出口付近の浮遊物の量及びビーカー等に採取した冷却槽水中の浮遊物の量を調べる。

3 冷却水が汚染されている場合(1)(+++)の場合、速やかに汚染原因を調査し、当該原因を排除する対策を実施するとともに、換水量を増やし、(+)の状態になるような措置を講じる。(2)(++)の場合、換水量を増やし、(+)の状態になるような措置を講じる。

 

4 冷却水の透視度は4度以上に保たれているか。

4 冷却水の透視度は別紙(2)に記載した方法で測定する。

4 不良の場合、換水量を増やし透視度を4度以上にする。

本冷却(CCP―1)

1 水温は5℃以下に保たれているか。

予備冷却の項と同様に行う。

1 不良の場合、直ちに冷却水又は砕氷等を入れ、水温を5℃以下に下げる。

2 衛生的な冷却水で十分に換水されているか(1羽当たり1.5L以上)。

 

2 不良の場合、換水量を1羽当たり1.5L以上とする。

3 冷却水が消化管の内容物、血液等により汚染されていないか。+++(極度)の汚染++(中等度)〃+(通常)

 

3 冷却水が汚染されている場合(1)(+++)の場合、速やかに汚染原因を調査し、当該原因を排除する対策を実施するとともに、換水量を増やし、(+)の状態になるような措置を講じる。(2)(++)の場合、換水量を増やし、(+)の状態になるような措置を講じる。

4 冷却水の透視度は10度以上に保たれているか。

 

4 不良の場合、換水量を増やし透視度を10度以上にする。

冷却後の食鳥とたい、食鳥中抜とたい及び食鳥肉等(CCP―3)

1 冷却後の食鳥とたい、食鳥中抜とたい及び食鳥肉等の内部温度は10℃以下に保たれているか。

1 胸部深部(ササミの部分)の温度を直接温度計で測定する。

1 不良の場合(1)直ちに食鳥とたい、食鳥中抜とたい及び食鳥肉等の内部温度が10℃以下となるよう本冷却工程を点検する。(2)無作為に抽出した食鳥中抜とたい等に目標基準を超えるものがある場合は、冷却水又は砕氷等を十分加える。

2 先に処理された食鳥とたい、食鳥中抜とたい及び食鳥肉等から順番に解体が行われているか。

2 処理された食鳥とたい、食鳥中抜とたい及び食鳥肉等の保管状況を調べる。

2 不良の場合、先入れ先出しを徹底する。

汚染器具の処理(CCP―1)

1 消化管の内容物等に汚染された機械器具の洗浄消毒は適切に行われているか。

1 消化管の内容物等に汚染された機械器具の洗浄消毒はその都度、適切に行われているかを調べる。

1 不良の場合、適切に洗浄消毒する。

食鳥中抜とたい等の一時保管(CCP―3)

1 製品は冷蔵保存する場合にあっては10℃以下に、冷凍保存する場合にあっては-15℃以下に保管されているか。

1 製品保管室の温度を測定するとともに、胸部深部の温度を直接測定する。

1 不良の場合、温度管理を適切に行い、室温を冷蔵保存の場合にあっては10℃以下、冷凍保存の場合にあっては-15℃以下にするとともに、先入れ先出しを徹底する。

別表2 略

別表3

食鳥処理場における処理工程別日常管理項目

処理工程

日常管理項目

生体受入れ

(CCP―1)

1 作業終了後、生体受入施設は十分に清掃及び洗浄し、整理整頓すること。

2 生体受入施設での汚染を防ぐため十分に換気すること。

生体輸送用容器の洗浄

(CCP―3)

生体輸送用容器の洗浄消毒を行う場所は、作業終了後、十分に清掃及び洗浄し、整理整頓すること。

懸鳥

(CCP―2)

1 懸鳥場所は作業中、整理整頓に心掛けること。

2 作業終了後、懸鳥場所は十分に清掃及び洗浄すること。

放血

(CCP―3)

作業終了後、放血室は十分に清掃及び洗浄すること。

湯漬

(CCP―2)

作業終了後、湯漬水は全て排水し、湯漬槽は十分に洗浄消毒すること。

脱羽

(CCP―2)

作業終了後、脱羽機は十分に洗浄消毒すること。特に、脱羽機内に羽毛の付着がないこと。

シャックルの掛換え

(CCP―3)

作業終了後、とたい掛換機、シャックルは十分に洗浄消毒すること。

内臓摘出

(中抜)

(CCP―1)

作業終了後、自動総排泄腔切除機、自動開腹機及び自動中抜機に脂肪等が付着していないように十分に洗浄消毒すること。

内臓の食用部分の区分

(CCP―1)

作業終了後、中抜室は十分に清掃及び洗浄すること。

内外洗浄

(CCP―3)

作業終了後、内外洗浄機は十分に洗浄消毒すること。

冷却

・予備冷却

(CCP―1)

1 作業終了後、冷却槽は空にし、十分に洗浄消毒(特にバルブ孔、排水口は注意して洗浄)すること。

2 バブリング装器を使用している施設においては、バブリング管内も十分に洗浄消毒すること。

冷却

・本冷却

(CCP―1)

1 作業終了後、冷却槽は空にし、十分に洗浄消毒(特にバルブ孔、排水口は注意して洗浄)すること。

2 バブリング装置を使用している施設においては、バブリング管内も十分に洗浄消毒すること。

3 冷却槽を洗浄消毒後、水を注入した場合、羽毛、脂肪等の浮遊がないこと。

別表4

食鳥処理場における微生物学的目標基準及び検査結果に基づく措置

処理工程

微生物学的目標基準

検査結果に基づく措置

生体輸送用容器の洗浄

(CCP―3)

1 洗浄消毒後の容器からサルモネラ、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌が検出されないこと。

2 洗浄消毒後の容器の生菌数は1.0×103/㎝2以下であること。

1 サルモネラ、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌が検出される場合、又は生菌数が目標基準値以上検出された場合には、原因の究明、洗浄消毒方法の改善等の措置及び措置後の再検査を実施する措置(以下「洗浄消毒方法の改善等の措置」という。)を実施すること。

懸鳥

(CCP―2)

1 洗浄消毒後のシャックルの生菌数は1.0×102/㎝2以下であること。

1 1.0×103/㎝2以上の場合は不良値とし、洗浄消毒方法の改善等の措置を講じること。

湯漬

(CCP―2)

1 湯漬水の生菌数は1.0×105/ml以下であること。

2 洗浄消毒後、湯漬槽の生菌数は1.0×103/㎝2以下であること。

1 1.0×106/ml以上の場合は不良値とし、原因の究明、原因を排除する措置及び措置後の再検査を実施する措置(以下「必要な措置」という。)を実施すること。

2 5.0×104/㎝2以上の場合は不良値とし、消毒改善等の措置を講じること。

脱羽

(CCP―2)

1 食鳥とたいの体表面の生菌数は1.0×104/㎝2以下であること。

2 洗浄消毒後の脱羽機の食鳥とたいとの接触面の生菌数は1.0×103/㎝2以下であること。

1 1.0×105/㎝2以上の場合は不良値とし、必要な措置を講じること。

2 5.0×104/㎝2以上の場合は不良値とし、洗浄消毒方法の改善等の措置を講じること。

シャックルの掛換え

(CCP―3)

1 洗浄消毒後のシャックルの生菌数は1.0×102/㎝2以下であること。

1 1.0×103/㎝2以上の場合は不良値とし、洗浄消毒方法の改善等の措置を講じること。

内臓摘出

(中抜)

(CCP―1)

1 洗浄消毒後の自動総排泄腔切除機、自動開腹機、自動中抜機の食鳥とたいとの接触面の生菌数は1.0×102/㎝2以下であること。

1 1.0×103/㎝2以上の場合は不良値とし、洗浄消毒方法の改善等の措置を講じること。

内臓の食用部分の区分

(CCP―1)

1 食鳥中抜とたいの体表面の生菌数は1.0×104/㎝2以下であること。

1 1.0×105/㎝2以上の場合は不良値とし、必要な措置を講じること。

内外洗浄

(CCP―3)

1 内外洗浄後の食鳥中抜とたいの体表面の生菌数は1.0×102/㎝2以下であること。

1 1.0×103/㎝2以上の場合は不良値とし、必要な措置を講じること。

冷却

・予備冷却

(CCP―1)

1 予備冷却水の生菌数は1.0×104/ml以下であること。

2 予備冷却後の食鳥中抜とたいの体表面の生菌数は5.0×103/㎝2以下であること。

3 洗浄消毒後の冷却槽の生菌数は1.0×102/㎝2以下であること。

1 1.0×105/ml以上の場合は不良値とし、必要な措置を講じること。

2 5.0×104/㎝2以上の場合は不良値とし、必要な措置を講じること。

3 1.0×103/㎝2以上の場合は不良値とし、洗浄消毒方法の改善等の措置を講じること。

冷却

・本冷却

(CCP―1)

1 本冷却水の生菌数は1.0×103/ml以下であること。

2 本冷却後の食鳥中抜とたいの体表面の生菌数は1.0×103/㎝2以下であること。

3 洗浄消毒後の冷却槽の生菌数は1.0×102/㎝2以下であること。

1 1.0×104/ml以上の場合は不良値とし、必要な措置を講じること。21.0×104/㎝2以上の場合は不良値とし、必要な措置を講じること。31.0×103/㎝2以上の場合は不良値とし、洗浄消毒方法の改善等の措置を講じること。

冷却後の食鳥とたい、食鳥中抜とたい及び食鳥肉等

(CCP―3)

1 冷却後の食鳥とたい、食鳥中抜とたい及び食鳥肉等の体表面の生菌数は1.0×103/㎝2以下であること。

11.0×104/㎝2以上の場合は不良値とし、必要な措置を講じること。

なお、検査法については別紙を参考にすること。また、5検体を採取し、その平均値をとって評価することが望ましい。

モニタリング方法及び細菌検査法の解説

1 湯漬水及び冷却水(予備冷却水、本冷却水)の換水量の測定方法

(1) あらかじめ各槽(湯漬、予備冷却、本冷却の槽)の給水量をそれぞれ調べておき、1分間の処理羽数から換算して求める。

具体的な方法としては、一定時間に給水蛇口から出ている水を適当な容器に貯めて測定する。例えば5秒間に10Lの給水量があった場合、1分間では120Lとなり、この時の処理羽数が80羽/分であれば、換水量は120L/80羽(1.5L/羽)となる。

(2) (1)で規定以上の給水量が確認され、かつその時の特定場所のオーバーフロー水量が確認されている場合には、日常検査においては、その特定場所のオーバーフロー水量を測定し、確認されている水量と比較し、規定量以上の水量が出ているか否かを調べてもよい。

具体的な方法としては、一定時間に特定場所からオーバーフローしている水を適当な容器に一定時間貯めて測定し、規定量の給水が行われている時のオーバーフロー水と比較する。(この方法はあくまでも目安である。)

2 冷却水(予備冷却水、本冷却水)の透視度測定方法

(1) 検体採取:冷却槽(予備、本冷)の中心付近の水を採取する。

(2) 器  具:外径33~35cm、高さ52cmの無色透明な平底ガラス円筒であって、

(透視度計)低部から0.5cmごとに目盛りがあり、下部に流出口を有するものである。これは低部を透視度0とし、各1cmを透視度1としたものであり、かつ観測用標識として、白板上に幅5mmの黒線2本ずつを、1mmの間隔で十字を描いたものをガラス円筒の低部に置いたものである。

(3) 試験操作:試料を透視度計に満たし、照度約1,000~1,500ルックスの明るさの場所において、上方から管口に眼を接して低部の標識を観察する。液面の動遥を避けながら、流出口から試料を流し出し、標識の相接する2本の黒線の間隔を認識し得たときの試料水槽の高さ(cm)を透視度とする。

*:判定には、2本の黒線の間隙(周辺を除く)の白線の存在が確実に認め得る点とする。黒線と白線との境界線が明瞭な線として見えるまでと解釈すべきでない。ここに示した明るさは、晴天の日中直射日光のない窓際の明るさに相当する(衛生試験法注解から)。

3 細菌検査

(1) 検体採取及び試料調製

① とたい

Ⅰ) 検体採取:とたい胸部(5×5cm)をガーゼタンポン(10×10cm)又はカット綿(5×5cm)で拭き取る。1タンポンで1羽分を拭き取り、3羽分をもとめて1検体とする。

Ⅱ) 試料調製:拭き取り検体は、滅菌生理食塩水30mlを加えてストマッカー80で30秒間処理し、これを試料原液として検査に供する。

② 施設の機械器具

Ⅰ) 検体採取

ア 拭き取り法:機械器具(5×5cm)をガーゼタンポンあるいはカット綿で拭き取る。1タンポンで1箇所を拭き取り、1検体とする。(必要な場合には、とたいの拭き取りと同様に3箇所を拭き取り、まとめて1検体とする。)

イ スタンプ法(※):生菌数測定用及び大腸菌群測定用のアガースタンプ(N社、G社、D社あり)を用い、直接、機械器具にスタンプして採取する。なお、スタンプ法は施設の機械器具の洗浄消毒後の衛生管理の判定に有効である。

Ⅱ) 試料調製:拭き取り検体は、とたい拭き取り検体と同様に、滅菌生理食塩水10mlを加えてストマッカー80で30秒間処理し、これを試料原液として検査に供する。

(2) 検査法

① 細菌数

Ⅰ) 拭き取り法:各試料原液を適宜10倍段階希釈し、標準寒天培地で混釈培養(35℃、24時間)後、菌数を計測し、1cm2当りの菌数を算出する。

Ⅱ) スタンプ法(※):スタンプした各プレートを直接培養(35℃、24時間)した後、菌数を計測し、アガースタンプの大きさ(cm2)から1cm2当りの菌数を算出する。

※ 食鳥処理業者が自主的に検査を行う場合には、スタンプ法を用いて構わないが、その場合においても定期的に拭き取り法による検査を併用し、両法の測定値に関する関係について把握しておくこと。

② 大腸菌群

①の細菌数測定と同様に、拭き取り法は試料を10倍段階希釈し、デソキシコレート培地で混釈培養(35℃、24時間)後、赤色集落を計測し、1cm2当りの菌数を算出する。なお、赤色集落をEMB培地に塗抹培養(35℃、24時間)後、典型的集落(金属光沢、その他)が形成されることを調べる(確定試験)。さらに、必要に応じて完全試験(乳糖ブイヨンでの乳糖分解とガス産生、グラム染色陰性の菌)を実施する。

③ サルモネラ

とたいの拭き取り検体の場合は、試料原液10mlを2倍濃度EEM培地(10ml)各1本にそれぞれ接種する。また、機械器具の拭き取り検体の場合は、試料原液1mlを普通濃度EEM培地(10ml)各1本にそれぞれ接種する。そして、35.0±1.0℃で、18±2時間培養した後、各培養液1mlをセレナイトブリリアントグリーン培地、セレナイトシスチン培地又はテトラチオン酸塩培地15mlに接種し、43.0±1.0℃、20±2時間選択増菌培養を行う。培養後、サルモネラ分離培地MLCBまたはDHL寒天平板に塗抹培養(35.0±1.0℃、24±2時間)を行う。培養後、サルモネラの典型的または疑わしい集落を確認培地(LIM培地及びTSI寒天培地)に接種後、食品衛生検査指針に従ってサルモネラと同定する。

④ カンピロバクター

サルモネラと同様に、とたいの拭き取り検体の場合は各試料原液10mlを2倍濃度プレストン培地(10ml)に、それぞれ接種し、また、機械器具の拭き取りの場合は各試料原液1mlを普通濃度プレストン培地(10ml)に接種する。そして、42℃、24時間微好気培養する。培養後、各培養液の1エーゼをバツラー寒天平板に塗抹し、培養(42℃、48時間)する。培養後、カンピロバクターの典型的及び疑わしい集落についてグラム染色を行い、グラム陰性の波長状の形態を確認する。さらに、運動性及びオキシダーゼ試験を行い陽性を確認し、推定試験陽性とする。以下、確認試験は、食品衛生検査指針に従って行うか、または専門検査機関に送付してカンピロバクターと同定する。

⑤ 黄色ブドウ球菌

試料液0.1mlについて3%卵黄加マンニット食塩寒天培地2枚に接種し、35.0±1.0℃の温度で48±3時間培養し、集落の周囲に真珠色かやや乳黄色の白濁環を伴った黄色ブドウ球菌の定型的集落のすべてを数え菌数を算定する。

集落を形成した場合には、定型的集落を釣菌して、生理食塩水(塩化ナトリウム0.85g、精製水1,000ml)で4倍に希釈した家兎血漿0.5mlに接種し、35.0±1.0℃の温度で保存して血漿凝固が起こるか否かを観察する。観察は30分間隔で4時間行い、凝固が認められなかった場合はさらに6時間目及び24時間目に観察する。凝固が観察された場合は、先に算定した菌数を黄色ブドウ球菌の菌数とし、観察されなかった場合は、黄色ブドウ球菌数を0とする。

なお、3%卵黄加マンニット食塩寒天培地の標準処方は、肉エキス1.0g、ペプトン10.0g、塩化ナトリウム75.0g、D―マンニット10.0g、フェノールレッド0.025g及び寒天15.0gを精製水1,000mlに加え、加熱溶解し、pHを7.4±0.1に修正し、滅菌する。50℃に冷却したのち、10%量の卵黄液を無菌的に加えてよく混和後分注し、平板とする。品質の安定した市販品がある。

また、卵黄液の標準処方は、全卵1個を95%エタノール中に1時間浸したのち、よくぬぐい、卵殻を割って無菌的に卵黄を滅菌10%塩化ナトリウム溶液30mlに加え懸濁液とする。