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○シアン化合物を含有する亜麻の実の取扱いについて

(平成一二年三月三一日)

(衛食第四九号)

(各都道府県・各政令市・各特別区食品衛生主管部(局)長あて厚生省生活衛生局食品保健課長通知)

標記について、別添のとおり照会があり、左記のとおり回答したので御了知ください。

なお、最近、国内においても、いわゆる健康食品として、亜麻の実を含む食品が流通していることから、貴管内の監視に当たっては、適切な対応をお願いします。

照会の亜麻の実については、食品衛生法第四条第二号ただし書きの規定に該当するものと考えられ、貴見のとおり取り扱って差し支えない。

(別添)

シアンを検出した亜麻の実の取扱

問 標記の輸入食品は、亜麻の実に安定化と防腐を目的としてビタミンB6、ビタミンEを加え、これを焼いたものであり、輸入者の経営する店舗にて製パン用原料として用いられ、約四%の割合で当該品を混合しパン生地を作り、パンを製造するものである。

当該品について、シアンの検査を指導したところ、シアンイオンとして一三五ppm(ピリジン・ピラゾロン法による。)検出したが、当該品は天然にシアン配糖体を含有することから、食品衛生法第四条但書の規定による人の健康を損なう虞がないと認められる場合に該当するか否か疑義が生じた。

当該品については、その使用方法により食品としてのシアン含有量は減少する。また、直接消費者に販売されるものではないことから、亜麻の実からのシアン摂取量のコントロールが可能であると思慮する。

よって、前記製法により製造業者においてパンを製造することを条件に、当該品の販売等を認めても差し支えないと思慮する。

(成田空港検疫所食品監視課)

(別紙)

亜麻の実入りパンの製造方法

原材料及び配合割合

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

原材料           配合割合(生地430g中)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

小麦粉                227

砂糖                 27

塩                  3

亜麻の実               16

油脂                 5

イースト               5

水                  147

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(430)

製造方法

油脂を除いた原材料をミキサーに入れ撹拌する。

生地がまとまったら、油脂を入れる。

第1発酵をとる。2時間

生地を分割する。430g

モルダーに通して、型に入れる。

ホイロにいれる。40分

オーブンに入れ、焼成する。25分

焼成後重量約400g

パン1個当たり亜麻の実は約16g

(参考)

1 亜麻の実については、シアン化合物として、シアン配糖体であるリナマリンが含まれていることが知られている。こうした、天然に有毒な又は有害な物質が含まれる食品については、その程度又は処理により一般に人の健康を害う虞がないと認められる場合、食品衛生法第4条の規定に違反しない食品であるとされている。

2 食品の国際規格を設定するFAO/WHO合同食品規格委員会においては、キャッサバ粉に関し、HCNとして、10mg/kgを上限値とする基準が設定されている。

キャッサバ粉は、主食として摂取される食品であり、この食品中にもリナマリンが含まれることが知られている。

3 照会の食品については、当該食品そのものを摂取するのではなく、製パン業者において、パン生地に約4%程度の割合で混ぜ合わされ、パンとして製造、販売されるものであり、試験成績から単純に計算すれば、パン生地中に約5mg/kg程度含有することとなる。

また、亜麻の実をパンに混ぜたものは、欧米において販売されているとのことである。

4 なお、少量を摂取する食品の場合には、キャッサバ粉の国際基準値と比較することは適当でない。ただし、その場合であっても、消費に際して何ら管理がなされず、その食品の有害性に関する社会的認知度が低い等により、食品が多量に摂取されるおそれがある場合には、主食的な摂取形態を想定することが適当と考えられる。