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○ヒトカリシウイルスの検査法について

(平成一一年二月一〇日)

(衛食第二〇号・衛乳第二八号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生省生活衛生局食品保健・乳肉衛生課長連名通知)

小型球形ウイルス(SRSV)の検査法については、平成九年五月三〇日付け衛食第一五六号厚生省生活衛生局食品保健課長、乳肉衛生課長通知別添「小型球形ウイルスの検査について」により示しているところですが、今般、検査法を改訂し、別添のとおり「ヒトカリシウイルスの検査について」としてとりまとめたので、業務の参考とされるよう願います。

(別添)

ヒトカリシウイルスの検査について

別紙の検査方法においては、難易度等の観点からRNA抽出にSV@ Total RNA isolation systemを、PCR産物精製法にGenEluteTM Minus EtBr Spin Columnsを用いた方法を示したが、PCR法で行うRNAの抽出法、PCR産物の精製法には多くの方法が存在するので、各機関において、別紙の方法と同等以上の感度・精度が得られる手法を用いて差し支えない。注)また、プライマーについても推奨するものを別表に示しているが、他に適切なものを加え、又は変更することも差し支えない。

1 検体採取

検体は、調査開始後、できるだけ早い時期(患者糞便については、発症後2日以内が望ましい。)に、できるだけ多くの量を採取すること。採取後、検体以外のものを何も入れずに密封して4℃以下に冷蔵して搬送、保管し、検査まで時間がかかる場合は-20℃以下で凍結保存すること。

2 検査

1) 電子顕微鏡によるウイルス粒子の検索

電子顕微鏡での検査が行える機関で、検査に十分量の糞便材料が得られた時には、電子顕微鏡によるカリシウイルスの検索を行う。カリシウイルス粒子が確認されたときは陽性とする。

2) PCR法によるウイルスの検出

電子顕微鏡での検査を行うことができないときは、PCR法でウイルスの検出を行う。食品を検体とする場合には、ウイルス量が少ないことが予測されることから、電子顕微鏡によるウイルス粒子の検出は困難であるため、専らPCR法により検出を行う。食品の検査において対象が二枚貝の場合は、中腸腺を材料とすること。

なお、原則的には糞便材料のPCRは1st PCRで行い、Nested PCRは行わない。

3) PCR法による判定

PCR法では、以下のア~ウの条件が満たされた場合のみ、PCR法の判定を行う。この条件を満たさないときには再度検査を行う。

ア RNA抽出のコントロールとして入れた、ポリオウイルス(粒子数104~105個/μl)のPCRで目的とするバンド(200bp)が認められること。

イ 検査材料の代わりにDDWを入れた陰性コントロールで目的としたバンドが見られない(遺伝子の混入がない)こと。

ウ 陽性コントロールで目的とするバンドが見られること。

4) 確認試験

PCR法で目的とするバンドが認められたときには、確認試験のハイブリダイゼーションあるいは遺伝子配列の解析を行う。

ハイブリダイゼーションで陽性の時にカリシウイルス(+)とする。

遺伝子配列で既知のカリシウイルスと類似の配列が認められたときにカリシウイルス(+)とする。

なお、当該確認が実施できない場合には、国立感染症研究所ウイルス第2部に事前に協議の上、検査を依頼すること。

注)RNA抽出法としてはCTAB法、UltraspecTM―3による方法、PCR産物精製法としてはQIAquick PCR purification kitによる方法がある。

(別紙)ヒトカリシウイルスの検査方法

1 牡蛎の前処理方法

2 RNAの抽出法(SV Total RNA Isolation Systemによる方法)

食品あるいは糞便の遠心上清を用いる。また、糞便は直接行える。

*SV Total RNA Isolation System:Promega cat#Z3100

3 RT―PCR法

35/36プライマーを用いて1st PCRを実施後、NV81/82・SM82プライマーを用いて Nested PCRを実施すること。(プライマーについては別表参照)

① RT反応

*Oligo(dT)12―18:GIBCO BRL cat#18418―012

M―MLV RT(200U/μl):GIBCO BRL cat#28025―013

② 1st PCR(35/36プライマー(50μl))

*Ex TaqTM(5U/μl):宝酒造 code#RR001B

③ Nested PCR(NV81/82・SM82プライマー(50μl)

4 ゲルからのDNA抽出及びマイクロプレートハイブリダイゼーション

① ゲルからのDNA抽出法(GenEluteTM Minus EtBr Spin Column を用いた方法)

*Spin Column:GenEluteTMMinus EtBr Spin Column:SUPELCO cat#5650T10E1(pH8.0):10mM Tris‐HCl,1mM EDTA(高圧滅菌、0.22μmろ過)

② マイクロプレートハイブリダイゼーション

(別表)