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○畜水産食品の残留有害物質モニタリング検査の実施について

(平成三年一〇月一一日)

(衛乳第九四号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生省生活衛生局乳肉衛生課長通知)

畜水産食品の安全性確保については、平素から種々御配慮を煩わしているところですが、近年、畜水産食品の生産形態の変化及び流通範囲の拡大、消費者の残留物質問題への関心の増大等により、これらの食品の有害物質の残留防止対策の充実強化が必要不可欠となっており、また、平成三年一月の「動物用医薬品等に関する行政監察結果に基づく勧告」においてもその充実が求められているところであります。

ついては国産畜水産食品について、我が国の残留有害物質対策の一環として全国規模の残留実態の把握及びその結果に基づく必要な措置等を行うとともに農林水産部局を通じた生産者の指導等を推進するため、平成三年度における畜水産食品の残留有害物質モニタリング検査を別添1の「畜水産食品の残留有害物質モニタリング検査実施要領」により一○月一五日から来年三月三一日までの間実施することとしたので、遺漏のないようにお願いします。

また、畜水産食品の残留有害物質モニタリング検査の実施に当たっては、食肉類についてはと畜場及び食鳥処理場、養殖魚介類については卸売市場等において検体を採取し、試験を実施することが最も効率的であることから、都道府県等においてもこれらの施設に対する検査体制の整備、強化等についても特段の御配慮をお願いします。

なお、輸入畜水産食品については、従来より残留有害物質のモニタリング検査を実施し、違反が発見された場合には、輸出国に対し残留防止対策を求めるとともに輸入時の検査を強化し、その安全性確保を図っているところであり、本年度も一○月から来年三月までの六か月間「輸入畜水産食品の残留有害物質モニタリング検査」を実施することとしたところであります。

おって、前年度のモニタリング検査の結果は別添2のとおりですので参考までに送付します。

(別添1)

畜水産食品の残留有害物質モニタリング検査実施要領

1 対象食品

別表に示す食肉、食鳥肉、鶏卵、はちみつ及び養殖魚介類とすること。

原則として本モニタリング検査を実施する当該都道府県等で生産されたもので、かつ、出荷段階又は出荷後のものであって、生産者を把握できるものを対象とすること。

また、注射痕があるものなど明らかに特殊な投与歴があるものは対象としないこと。

2 対象物質

別表に示す抗生物質、合成抗菌剤及び有機塩素系農薬とすること。

3 試験実施機関

食肉衛生検査所、市場衛生検査所等流通拠点を管轄する機関において試験を実施すること。これによりがたい場合は、衛生研究所等で試験を実施すること。

4 検体採取方法

(1) 採取部位

ア 牛及び豚

一個体から、筋肉(横隔膜又は頚筋)及び腎臓を各一○○g程度採取し、これらをそれぞれ一検体とすること。

また、有機塩素系農薬の試験を実施する場合には筋肉をさらに一○○g程度採取して一検体とすること。

イ 鶏

一個体から筋肉(モモ肉)及び腎臓(困難な場合は同一生産ロットに属する複数個体の腎臓)を各一○○g程度採取し、それぞれを一検体とすること。

また、有機塩素系農薬の試験を実施する場合には筋肉をさらに一○○g程度採取して一検体とすること。

ウ 養殖魚

一個体(困難な場合は同一生産ロットに属する複数個体)から可食部を五○g程度採取し、これを一検体とすること。

エ はちみつ

同一生産ロットから五○g程度採取し、これを一検体とすること。

オ 鶏卵

同一生産ロットの殻付きの鶏卵(一個当たり約六○g)を八個程度採取し、これを一検体とすること。

(2) 収去

原則としてモニタリング検査を実施する当該都道府県等において生産されたもので、かつ、出荷段階又は出荷後のものであって、生産者を把握できるものから食品衛生法第一七条第一項に基づいて収去することとし、当該食品の流通は認めて差し支えないものとする。

(3) 検体数

各都道府県等において、各畜水産食品ごとの生産量、生産者数、過去の残留事例等を勘案して検体数を決定する。

次の検体を目標とするが、少なくとも前年度実績を上回るよう配慮されたい。

なお、有機塩素系農薬については、本年度は特に目標とする検体数の規定を設けない。

検体数

抗生物質   合成抗菌剤(注)

―――――――――――――――――――――――――――

牛   ‥一○以上     七以上

豚   ‥一五以上     七以上

鶏   ‥一五以上     七以上

養殖魚 ‥魚類ごとに、主要生産県にあっては一○以上とす

る。

はちみつ‥一○以上

鶏卵  ‥一○以上

(注) 合成抗菌剤については、抗生物質の検体を重複使用する。

5 試験方法

(1) 抗生物質

別紙1「畜水産食品中の残留抗菌性物質簡易検査法」(「畜水産物中の残留物質検査法」第一集の5の変法による簡易検査法)(以下「簡易検査法」という。)によることとし、陽性と判定された検体については、別紙2「畜水産食品中の残留抗生物質の分別推定法」(ミニカラムによる系統別推定法(以下「系統別推定法」という。)によること。

(2) 合成抗菌剤

別紙3「合成抗菌剤の一斉分析法・実施の手引書」を踏まえ、平成二年一二月二一日衛乳第一○五号中の「畜水産物中の残留合成抗菌剤の一斉分析法」によること。

なお、ジフラゾンについては畜水産食品中の残留物質検査法第二集の2、デコキネートについては同第二集の3、アンプロプリウムについては同第二集の3及びモランテルについては同第二集の8によること。

また、鶏卵についてはスルファメラジン、スルファモノメトキシン、スルファジメトキシン及びスルファキノキサリンの個別試験法によること。

(3) 有機塩素系農薬

昭和六二年八月二七日衛乳第四二号中の「牛肉中の有機塩素系化合物の分析法」によること。

6 判定方法

(1) 抗生物質については、簡易検査法により阻止円が確認されたものについて、系統別推定法で系統を同定し、同定できたものを陽性と判定する。

(2) 合成抗菌剤については、「畜水産物中の残留合成抗菌剤の一斉分析法」より検出されたものを陽性と判定する。

また、個別試験法のものについても検出されたものを陽性とする。

7 措置

モニタリング検査において、抗生物質若しくは合成抗菌剤が陽性と判定されたもの又は有機塩素系農薬が総DDTとして五ppm、ディルドリン(アルドリンを含む。)○・三ppm若しくはヘプタクロル(ヘプタクロル・エポキサイドを含む。)○・二ppmを超えて脂肪中に検出されたものについては、食品衛生法に基づき必要な措置を講ずるとともに、被収去者を通じ生産者に対しその結果を通報し、当該物質の残留原因の究明、動物用医薬品の使用規制の遵守等残留防止対策の実施について所轄の家畜保健衛生所又は関係部局に対し、生産者の指導を依頼すること。

8 報告

(1) モニタリング検査の集計結果は、別紙様式1により、平成四年四月末日までに厚生省生活衛生局乳肉衛生課まで報告すること。

(2) 抗生物質、合成抗菌剤及び基準値を超える有機塩素系農薬が検出された場合にはそのつど当課まで連絡すること。

(3) 各都道府県等で平成三年度において独自にモニタリング検査した結果(病畜、注射痕がある等特別に残留の疑いのある動物を対象としたものは除く。)については、別紙様式2により、平成四年四月末日までに厚生省生活衛生局乳肉衛生課まで報告すること。

別添2、別紙1~3、別紙様式1・2 略