添付一覧
○食品添加物表示に関する資料の送付について
(平成三年六月二八日)
(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)食品化学担当官あて厚生省生活衛生局食品化学課事務連絡
食品添加物表示については、昭和六三年七月二七日衛化第四二号「食品衛生法施行規則及び乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部改正等について」(各都道府県知事、各政令市市長及び各特別区区長あて厚生省環境衛生局長通知)及び平成元年一一月二八日衛化第六六号「食品衛生法施行規則等の一部改正等について」(各都道府県知事、各政令市市長及び各特別区区長あて厚生省環境衛生局長通知)に基づき、食品関係営業者等に対する指導方をお願いしているところであるが、この指導にあたっての留意事項を別添のとおり「食品添加物表示Q&A」としてとりまとめたので参考までに送付する。
〔別添〕
食品添加物表示Q&A
(平成三年六月)
(厚生省生活衛生局食品化学課)
1 表示すべき食品添加物の範囲
(問1) 「化学的合成品以外の食品添加物リスト」に収載されていない化学的合成品以外の食品添加物を使用した場合、どのように表示を行うのか。
(答) 「化学的合成品以外の食品添加物リスト」に収載されていない化学的合成品以外の食品添加物を使用する場合には、食品衛生法施行規則(以下「施行規則」という。)第二五条の三に基づき、遅滞なく厚生大臣あて報告が必要である。この報告を行うことにより、厚生大臣が名称を定める日まで当該食品添加物の表示が免除されることとなっている。
なお、報告がなされていない化学的合成品以外の食品添加物を使用した場合には、表示の免除規定は適用されないため、当該食品添加物の表示を行う必要がある。
(問2) 「B食品添加物としても使用される品目リスト」(以下「Bリスト」という。)に収載されていない食品は、添加物的に使用しても、食品添加物表示は不要と解してよいか。
(答) 食品添加物の目的で使用した場合は、当該物が食品であっても、食品添加物としての表示が必要である。
なお、リストに収載されていない場合には、使用者より報告を提出するよう指導されたい。
(問3) アミノ酸液はどのように表示すればよいか。
(答) 調味料の用途に使用されるものの内、L―グルタミン酸ナトリウムやDL―アラニン等のように単一の成分からなるアミノ酸は添加物として扱われており、添加物表示は必要である。一方、動植物蛋白を加水分解して得られたアミノ酸液のように、個々のアミノ酸まで単離せず種々のアミノ酸等が複合した状態を保っているものは、肉エキスと同様に食品として扱われており、添加物表示は不要である。
なお、アミノ酸液にL―グルタミン酸ナトリウム等の添加物が添加されている場合には、当該添加物について表示が必要である。
(問4) 寒天を使用した食品において、「寒天」はどのように表示すればよいか。
(答) 寒天を食品として使用する場合には、食品添加物表示は不要である。なお、食品添加物としての目的で使用する場合には、現在Bリストに収載されていないので報告を行う必要があり、また、食品添加物としての表示が必要である。
2 食品添加物表示を行う食品の範囲
(問5) 食品添加物表示の義務のある食品はどのような範囲か。
(答) 食品添加物表示を行う食品の範囲は、施行規則別表第三に掲げるものであり、昭和六三年の施行規則改正時に「かんきつ、バナナ」を追加した以外変更していない。
したがって、従来、施行規則第五条に基づく表示を要するとされてきた食品並びにかんきつ及びバナナについては、食品添加物表示を行う必要がある。
3 表示の方法
(1) 一般的事項
(問6) 一括名又は食品添加物の機能を示す名称を物質名表示を行なった上で、付記してもよいか。
(答) 食品衛生法に基づく添加物表示が適正になされていれば、それに付加して表示を行なうことは差し支えない。ただし、一括名を付加的に用いる場合には、表示する当該添加物は一括名の範囲の食品添加物であることを要し、また、食品添加物の機能を示す名称についても消費者に誤解を与えるようなものは使用しないよう指導されたい。
(問7) 一括名の表示に、使用した食品添加物の例示を付加してもよいか。
(例) 酸味料(クエン酸等)、乳化剤(レシチン)
(答) 施行規則第五条に基づき、一括名が適正に使用されている場合には差し支えない。ただし、例示する食品添加物については、効果の高いものから順に表示を行うとともに、複数のものを使用しているにもかかわらず、単品のみ使用しているかのような表現(例:レシチン以外に乳化剤を使用していながら、乳化剤(レシチン)と表示する等)は使用しないよう指導されたい。
(問8) 豆腐に塩化マグネシウム又は塩化マグネシウム含有物を使用した場合、付加的に「(にがり)」を表示してもよいか。
(答) 一般に、「にがり」は塩化マグネシウムを主成分とする海水から塩をとった残留物をいうことから、豆腐に塩化マグネシウム又は塩化マグネシウム含有物を使用した場合に限って当該付加表示を行っても差し支えない。
(問9) あらかじめ表示を印刷した缶に改正前の食品添加物表示を抹消せず、改正後の食品添加物表示部分のみをシール等により追加して表示することは可能か。
(答) 改正後の食品添加物表示は、改正前の表示を抹消する形で表示することが原則である。しかし、あらかじめ表示を印刷した缶への抹消を伴うシール貼付が困難な場合においては、改正後の食品添加物表示部分のシールを貼付した後において食品添加物表示以外の食品衛生法に基づく表示事項が明確に判読でき、かつ消費者に分かりやすい部分に表示がなされている場合に限り、改正前の食品添加物表示を抹消せず、改正後の食品添加物表示部分のみをシール等により追加して表示しても差し支えない。
(2) 物質名表示
(1) 化学的合成品の食品添加物
(問10) パラオキシ安息香酸エステル類をパラベンと表示できるか。
(答) できない。簡略名は、昭和六三年七月二七日衛化第四二号別紙1に示された名称を使用すること。
(2) 化学的合成品以外の食品添加物の表示
(問11) 「香辛料抽出物」の表示に際して、個別の原材料名を付与した名称である「香辛料(基原物質名)+抽出物」(例えば「コショウ抽出物」)を用いてもよいか。
(答) 香辛料を原材料とし、香辛味の付与の目的で使用される食品添加物の表示は「香辛料抽出物」又は「スパイス抽出物」(食品への表示においては簡略名、又は類別名である「スパイス」、「香辛料」も使用できる。)を用い、その他の名称は使用できない。
(3) 用途名併記
(問12) 醤油に使用されたエタノールは保存料として表示すべきか。
(答) 醤油に一般に使用されているエタノールは、安息香酸、ソルビン酸等の保存料と同等の効果を有するレベルでないことから、物質名を表示するば足りる。
(4) 一括名
(問13) 調味料(アミノ酸、核酸)と表示することができるか。
(答) 施行規則第五条第六項に基づく別表第五の二に調味料としてアミノ酸と他の種類のものを二種以上使用した場合の表示は、「調味料(アミノ酸等)」と表示することが規定されているが、「等」の部分を具体的に表示しても差し支えない。
(問14) 豆乳に膨張を目的として炭酸水素ナトリウムを添加して油揚げを製造した場合「膨張剤」の一括名を使用できるか。また、「ふ」の場合はどうか。
(答) いずれも一括名を使用できる。他に「がんもどき」にも使用できる。
4 表示の免除
(1) 加工助剤
(問15) カステラ等の包装時の保存のため、二酸化炭素でガス置換する場合、当該食品添加物の表示は必要か。
(答) 食品中に残存しないことから、加工助剤に該当し、表示は免除される。
(2) キャリーオーバー
(問16) プロピレングリコールを○・六%以下で使用した場合に表示は必要か。
(答) キャリーオーバーに該当する場合を除き、食品添加物表示が必要である。
(問17) すし揚げを醤油、砂糖等で調味したものに豆腐用凝固剤の表示は必要か。
(答) 豆腐用凝固剤は調味工程を経て、最終食品では効果を有しないと考えられ、キャリーオーバーに該当する。
5 化学的合成品以外の食品添加物の報告
(問18) 生薬エキスを化学的合成品以外の食品添加物として報告したいとの相談があるが、留意点は何か。
(答)(1) 食品添加物としての使用目的を確認すること。食品添加物としての用途がなく、当該物を摂取する目的で食品に使用されるものは食品添加物に該当しない。
なお、食品として使用する場合には、栄養改善法、薬事法等の他の規制に十分留意すること。
(2) 基原・製法等については、リストの記載内容を十分クリアする内容であること。
(3) 今後の安全対策の参考に供するため、安全性試験結果及び食品としての使用経験の有無についての情報があれば添付すること。
6 食品添加物製剤の表示
(問19) エタノールを主要成分とする製剤の成分重量パーセントはどのように表示すればよいか。
(答) 食品用変性アルコール(専売アルコール)は化学的合成品以外の食品添加物であり、化学的合成品以外の食品添加物リストの品名を表示すること。
また、エタノールは容量パーセントでなく、重量パーセントで表示すること。
なお、専売アルコールの製剤においては、変性剤として含まれている香料は着香による不可飲措置のためであり、着香の目的と解され、成分重量パーセントの表示は省略できるものであること。
(問20) ベニコウジ色素に抽出溶剤として含まれるエタノールは表示する必要があるか。
(答) 色素部分と分離できない状態にある抽出溶剤については、抽出溶剤を含め、当該物を原体として取り扱う。
(問21) 窒素と二酸化炭素の製剤において成分分量はどのように表示したらよいか。
(答) 使用時においては、容量パーセントの表示が必要とされることから、容量パーセントの表示で差し支えない。