添付一覧
○くん蒸処理された米の取扱いについて
(昭和五九年五月二九日)
(環食化第二九号)
(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省環境衛生局長通知)
現在、食糧庁においては昭和五三年産米を一部主食用として供給しているが、当該米にはこれまで数回くん蒸処理を受けているものがあることから、その残留をめぐって社会的関心が高まっているところである。
このため厚生省は食糧庁とともにくん蒸剤の残留調査を行ってきたところであるが、昭和五九年五月二八日に開催された食品衛生調査会残留農薬部会において検討された結果、別添1のとおり部会報告が提出された。
厚生省は本報告を踏まえ、今後食用に供される米について左記のとおり取扱うこととしたので、御了知のうえ遺憾のないよう後配意願いたく通知する。
記
1 米について臭素の暫定基準を五○ppm以下とすること。
2 米については食糧庁が一元的に管理していることに鑑み、厚生省としては、同庁に対し別添2のとおり要請したところであり、今後同庁において暫定基準に適合することが確認された米が売却されるものであること。
3 関係業者に対し、速やかに本基準設定の趣旨の周知徹底に努めるとともに、本年七月一日以降本基準を超えるものが販売、加工されることのないよう適切な指導をされたいこと。
別添1
くん蒸処理米の取扱いに関する部会報告について
(昭和五九年五月二八日食調第七号)
(食品衛生調査会委員長あて残留農薬部会長報告)
臭化メチル等のくん蒸剤により処理された五三年産米について、残留調査結果等に基づき検討した。
残留調査結果によれば、臭化メチル等くん蒸剤の有効成分は、いずれも検出されなかつたが、臭化メチルの分解物である臭素が二~六八ppm、平均二五ppm検出された。
臭素は日常摂取する食品にも含まれているものであり、日常の食事において、一日当たり一○~一五mg程度が摂取されているとの報告がある。一方、FAO/WHO残留農薬専門家委員会は、臭素の一日摂取許容量を1mg/kg(体重)と評価しているが、当部会は各種知見からこの許可量を妥当と考える。
今回の調査結果、米の摂取量及びその他日常食事の臭素量から臭素の摂取量を推定した場合、その一日摂取量は許容量を下回り、このような米の摂取により人の健康に影響するものとは考えられないが、米について一層の安全性を確保する観点に立つて、左記のとおりの審議結果を得たので報告する。
記
残留臭素については、FAO/WHOの国際食品規格において、穀類について五○ppm以下と定められていることをも考慮し、米についての臭素の残留基準を暫定的に五○ppm以下とすることが適当であると考える。
別添2
くん蒸処理された米の臭素の暫定基準について
(昭和五九年五月二九日環食化第二八号)
(食糧庁長官宛厚生省環境衛生局長通知)
五三年産米については、貴職と協力し、くん蒸剤の残留について調査を進めてきたところであるが、今般、これら調査結果等について食品衛生調査会残留農薬部会において審議され、別添のとおり臭素の暫定基準を五○ppm以下とすることが適当である旨の意見が提出されたところである。
ついては、貴職におかれては、今後の取扱いに当たつて本基準に適合するよう適切な措置を速やかに講じられるようお願いする。