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○フグの衛生確保について

(昭和58年12月2日)

(環乳第59号)

(各都道府県知事、各政令市市長、各特別区区長あて厚生省環境衛生局長通知)

フグの消費は、従来、一部地域に限られていたが、近時、全国的に消費されるようになり、その流通も広域化し、また、消費需要の増大等の理由により、日本近海以外で漁獲されるもの又は輸入されるものに依存する傾向が強まり、我が国では見られなかったフグによる食中毒事件が発生するなどの問題が提起されている。

ついては、これらフグによる食中毒の防止を図るため、今般、下記によりフグの衛生対策を講じることとしたので、関係営業者等に対する指導の徹底、一般消費者に対する啓蒙等の措置に遺憾なきをお願いする。

なお、ドクサバフグ等魚体すべてが有毒なフグ及び種類不明フグによる食中毒の防止については、漁獲段階における対策が肝要であることから、水産庁に対して別紙のとおりの要請を行っているので、念のため申し添える。

1 フグについて食品衛生法第6条第2号の運用を全国的に統一する観点から、有毒部位の除去という処理により人の健康を損なうおそれがないと認められるフグの種類及び有毒物質の程度により人の健康を損なうおそれがないと認められる部位(以下「可食部位」という。)並びに長期間塩蔵という処理により人の健康を損なうおそれがないと認められる部位をそれぞれ別表1及び別表1の2並びに別表2のとおり定めたこと。

これに伴い、今後は、別表1及び別表1の2に掲げる種類のフグの可食部位以外の部位並びに別表1及び別表1の2に掲げる種類以外の種類のフグ(別表1の注2本文で定める海域以外で漁獲されるフグ及び同表注2ただし書により同表が適用されないフグを含む。以下同じ。)又はその部位は、次の場合を除き、販売等が認められないものであること。なお、次の(1)及び(2)で示す場合のうち、個別の毒性検査により有毒でないことを確認しようとするときは、当該検査の方法、検査対象部位等について、厚生労働省医薬・生活衛生局食品監視安全課にあらかじめ協議されたい。

(1) 別表1及び別表1の2に掲げる種類のフグの可食部位以外の部位にあっては、個別の毒性検査により有毒でないことを確認した上で販売等する場合又は別表2の塩蔵処理を行った上で、若しくはその原料として販売等する場合

(2) 別表1及び別表1の2に掲げる種類以外の種類のフグにあっては、個別の毒性検査により有毒でないことを確認された部位を販売等する場合

なお、一般消費者に対して未処理のフグを販売することは、その適正な処理を期し得ないことから、食品衛生法第6条第2号ただし書に定める場合に該当しないものとして取り扱われたいこと。

2 フグの処理に当たっては、次に掲げる事項を遵守させること。

(1) フグの処理は、有毒部位の確実な除去等ができると都道府県知事等が認める者及び施設に限って行うこと。

(2) 原料フグの選別を厳重に行い、特に、ドクサバフグ等魚体すべてが有毒なフグ及び種類不明フグを確実に排除すること。

(3) 凍結したフグを使用する場合は、急速凍結法により凍結したものを用い、解凍は、有毒部位の毒が筋肉部に移行することがないよう流水等を用いて迅速に行い、解凍後は直ちに処理に供することとし、再凍結は行わないこと。

(4) 卵巣、肝臓等の有毒部位の除去は、的確に行うこと。

(5) 除去した有毒部位は、別表2の塩蔵処理の原料となるものを除き、焼却等により確実に処分すること。

(6) 別表1の2に掲げるフグの処理等は、有毒部位の毒が筋肉部に移行することがないよう都道府県知事等が認める方法で行うこと。

(7) 別表2の卵巣及び皮の塩蔵処理は、次の事項に留意し、適切に行うこと。

ア 原料であるフグの卵巣及び皮が未処理のまま処理施設以外へ搬送されることがないよう管理を十分行うこと。

イ 塩蔵は十分行うこととし、卵巣にあっては2年以上、皮にあっては6月以上行うこと。

ウ ロットごとに製品の毒性検査を行い、その毒力がおおむね10MU/gを超えないことを確認すること。

3 削除(平成21年9月に食品表示に関する業務が消費者庁へ移管されたことから、フグ加工品の表示事項については、「フグ加工品等の表示について」(平成22年9月10日付け消食表第326号消費者庁次長通知)を参照。)

4 フグについては、標準和名のほか地域的に用いられている名称が多く、これによりフグの部位別の毒性の判断を誤まるおそれもあるので、今後は、別表3に基づき、標準和名を用いるよう関係者等を指導すること。

5 ドクサバフグ等魚体すべてが有毒なフグ及び種類不明フグによる食中毒の防止のため、次の事項に留意すること。

(1) 水揚げ地又は出荷地の魚介類市場営業者等関係者に対し、取り扱うフグの漁獲海域、種類及び販売先等を常に把握するとともに、フグの鑑別について専門的な知識を有する者を配置し、魚体すべてが有毒なフグ及び種類不明フグを確実に排除するよう指導すること。

特に、東シナ海の北緯31度以南、東経127度以西の海域において以西底びき網漁業及びまき網漁業等により漁獲されるサバフグ類にはドクサバフグが、黄海及び東シナ海で漁獲されるサンサイフグにはコモンダマシがそれぞれ混獲されるので、これら海域において漁獲されるサバフグ類及びサンサイフグについては、昭和57年10月22日環乳第68号「ドクサバフグについて」及び昭和58年12月2日環乳第60号「サンサイフグの取扱いについて」を参考に、鑑別を十分行わせ、ドクサバフグ及びコモンダマシを確実に排除させること。

(2) 出荷地及び消費地の市場等においてドクサバフグ等魚体すべてが有毒なフグ及び種類不明のフグが発見された場合、当該発見市場等を管轄する都道府県等の食品衛生担当部局は、流通経路等を確認の上、水揚地を管轄する都道府県等の食品衛生担当部局に通報する等連絡を密にし、有毒フグの流通防止に努めること。

6 その他

次に掲げる通知は、廃止する。

(1) 塩蔵ふぐ卵巣の製造販売について

(昭和29年6月30日衛環発第21号厚生省環境衛生部長から各都道府県衛生部長あて)

(2) 塩蔵ふぐ卵巣の衛生について

(昭和35年4月27日環乳第21号厚生省乳肉衛生課長から各都道府県衛生部長あて)

(3) 南方海域産ふぐの取扱いについて

(昭和35年5月4日衛発第389号厚生省公衆衛生局長から各都道府県知事あて)

(4) 輸入フグについて

(昭和41年3月19日環乳第5022号厚生省環境衛生局長から各都道府県知事、指定都市市長あて)

(5) 輸入フグについて

(昭和45年3月2日環食第92号の1厚生省環境衛生局長から各都道府県知事、指定都市市長あて)

別表1 処理等により人の健康を損なうおそれがないと認められるフグの種類及び部位

科名

種類(種名)

部位

筋肉

精巣

フグ科

クサフグ

コモンフグ

ヒガンフグ

ショウサイフグ

マフグ

メフグ

アカメフグ

トラフグ

カラス

シマフグ

ゴマフグ

カナフグ

シロサバフグ

クロサバフグ

ヨリトフグ

サンサイフグ

ハリセンボン科

イシガキフグ

ハリセンボン

ヒトヅラハリセンボン

ネズミフグ

ハコフグ科

ハコフグ

注1.本表は、有毒魚介類に関する検討委員会における検討結果に基づき作成したものであり、ここに掲載されていないフグであっても、今後、鑑別法及び毒性が明らかになれば追加することもある。

注2.本表は、日本の沿岸域、日本海、渤海、黄海及び東シナ海で漁獲されるフグに適用する。ただし岩手県越喜来湾及び釜石湾並びに宮城県雄勝湾で漁獲されるコモンフグ及びヒガンフグについては適用しない。

注3.○は可食部位

注4.まれに、いわゆる両性フグといわれる雌雄同体のフグが見られることがあり、この場合の生殖巣はすべて有毒部位とする。

注5.筋肉には骨を、皮にはヒレを含む。

注6.フグは、トラフグとカラスの中間種のような個体が出現することがあるので、これらのフグについては、両種とも○の部位のみを可食部位とする。

別表1の2 処理等により人の健康を損なうおそれがないと認められるフグの種類及び可食部位(漁獲海域が限定されているもの。)

科名

種類(種名)

可食部位

フグ科

ナシフグ

(有明海、橘湾、香川県及び岡山県の瀬戸内海域で漁獲されたものに限る。)

筋肉

ナシフグ

(有明海及び橘湾で漁獲され、長崎県が定める要領に基づき処理されたものに限る。)

精巣

注1.

1 有明海とは、次に掲げる直線及び陸岸によって囲まれた海面のうち、長崎県及び佐賀県の県境から熊本県及び福岡県の県境に至る直線より南側の海面をいう。

ア 長崎県瀬詰崎から熊本県天神山に至る直線

イ 熊本県染岳から高松山三角点に至る直線

ウ 熊本県天草上島恵比須鼻から大矢野岳に至る直線

エ 熊本県三角灯台から中神島を経て三角岳に至る直線

2 橘湾とは、長崎県瀬詰崎から熊本県天神山に至る直線、長崎県脇岬南端から南に樺島に至る直線、樺島南端から熊本県魚貫崎に至る直線及び陸岸によって囲まれた海面をいう。

注2.香川県及び岡山県の瀬戸内海域とは、愛媛県土居町仏崎から愛媛県魚島東端見通し線、香川県と徳島県の境界から兵庫県上島灯台見通し線及び陸岸によって囲まれた海面のうち香川県及び岡山県の漁業者が操業できる海面で漁獲されたものであること。

注3.筋肉には骨を含む。

別表2 長期間塩蔵処理することにより人の健康を損なうおそれがないと認められるフグの部位

別表1に記載されているフグの卵巣及び皮であって、その毒力がおおむね10MU/g以下となったもの

別表3 フグの名称

1 トラフグ

(1) 標準和名

トラフグ(フグ科)

(2) 学名

Takifugu rubripes(Temminck & Schlegel,1850)

(3) 地方名A

トラフグ(札幌市) トラフグ、クマフグ(金沢市) トラフグ(東京都) トラ、シロ(京都市) シロ、トラフグ(大阪市) シロ、テツ、トラフグ(神戸市) トラフグ(広島市) ホンフグ、トラフグ(境港市) ホンフグ、シロ、モンフク(徳山市) モンブク、トラフグ、マフグ(高知市) シロ、ホンフグ(下関市) ダイマル、シロマル、シロフグ、ホンフグ(北九州市) トラフグ、モンフグ(宮崎市) トラフグ(枕崎市) トラフグ(青森市) トラフグ、シロ(仙台市) トラフグ、シロフグ(名古屋市) シロ、ホンフグ(萩市) トラフグ(福岡市) モンフグ(長崎市) フグ、マフグ、ダイマル(大分市) クマサカ(浜田市) トラフグ、トラ(鹿児島)

(4) 地方名B

イカフグ(富山、浜田) イガフグ(富山県一般、石見浜田) オオフク(備前児島郡呼松) オオフグ(岡山、香川) オオブク(岡山、広島、香川県木田郡庵治、讃州本多郡庵治) オヤマフグ(和歌山県、和歌浦、田辺、白崎、武州羽田) カンバ(有明海) キタマクラ(高知市) クマサカ(男鹿) クマサカフグ(新潟県石地) クマタカフグ(秋田県象潟) クロ(豊後杵築) クロモンフグ(別府) ケシフグ(豊前中津) ゲンカイフグ(下関、大分県長洲、壱岐、玄海) ドジラフグ(福岡県柳河、有明海) トラフグ(神奈川県三崎、紀州串本、塩屋、周参見、有明海、江ノ島、寺泊、東京) フク(能生、福岡、下関) フグ(能生、有明海) フクツトウ(浦戸) フクト(高知) ホンフグ(別府、下関) マグロ(浦戸) マフグ(下関、広島、明石) モンツキ(下関) モンフク(高知) モンフグ(高知、別府) モンブク(別府、高知、玄海)

2 カラス

(1) 標準和名

カラス(フグ科)

(2) 学名

Takifugu chinensis(Abe,1949)

(3) 地方名A

ガートラ(札幌市) ガトラ(東京都) カラス、クロ(京都市) クロ、カラス(大阪市) クロ、カラス(神戸市) ヒゲグロ(広島市) ホンフグ、トラフグ(境港市) ガー、クロ、カラス(徳山市) カラス(高知市) クロ、ガーブク(下関市) クロ、ガーブク(萩市) ダイマル、クロマル、ホンフグ、ガータロ(北九州市) カラスフグ、クロ、ガトラ(仙台市) カラスフグ、クロフグ(名古屋市) カラス(福岡市) クロモンフグ(長崎市) フグ、ダイマル(大分市)

(4) 地方名B

ナメラフグ(秋田県象潟)

3 マフグ

(1) 標準和名

マフグ(フグ科)

(2) 学名

Takifugu porphyreus(Temminck & Schlegel,1850)

(3) 地方名A

ナメラフグ、マフグ(札幌市) マフグ、ナメラ(金沢市) ナメラフグ(東京都) ナメラ(京都市) ナメラ(大阪市) ナメラ(神戸市) ナメタフグ(広島市) ナメタ、ナメラフグ(境港市) ナメラ、ナメット(徳山市) ナメラ、ナメタ(下関市) ナメラ、ナメタ(北九州市) ナメラ(青森市) ナメフグ(仙台市) ナゴヤフグ(名古屋市) ナメタ(萩市) ナメラフグ(福岡市) ナメラ(長崎市) ナメタ(浜田市)

(4) 地方名B

クロフグ(小名浜) ショウサイ(東京) ナメタロウ(ナメタロオ)(島根) ナメラ(下関、東京) ナメラフグ(下関) ナラメ(東京) フグ(玄海) フグト(和歌山市雑賀崎、白浜) フグトン(雑賀崎、白浜) マフグ(神奈川県三崎) メアカ(御畳瀬、高知市) メイジョ(メイジヨ)(越後、新潟) モンツキ(広島県賀茂郡)

4 シマフグ

(1) 標準和名

シマフグ(フグ科)

(2) 学名

Takifugu xanthopterus(Temminck & Schlegel,1850)

(3) 地方名A

シマフグ(東京都) シマフグ(京都市) シマフグ(大阪市) キタマクラ、シマフグ(神戸市) サバフグ、ゲイシャフグ(徳山市) シマフグ、キタマクラ(高知市) シマフグ、オテラ、オマン、キタマクラ(下関市) シマフグ、アオフグ、アオマル(北九州市) シマフグ(仙台市) シマフク、オテラ、オマン、キタマクラ(萩市) シマフグ(福岡市) シマフグ(長崎市) キタマクラ(大分市) シマフグ(名古屋市)

(4) 地方名B

アカメフグ(柳河、中島、有明海) オヤマ(明石) オヤマフグ(和歌山市雑賀崎、和歌山県南部、鳥羽) カンバ(有明海) ゲンカイフグ(須崎、玄海) サバフグ(広島、明石) シマフグ(富山県東岩瀬、新湊、氷見、寺泊、象潟) スゲフグ(長崎) トラフグ(有明海、柳河)

5 ショウサイフグ

(1) 標準和名

ショウサイフグ(フグ科)

(2) 学名

Takifugu snyderi(Abe,1988)

(3) 地方名A

ショウサイフグ、ゴマフグ(東京都) ナゴヤ、ショウサイ(大阪市) ナゴヤ(神戸市) ナゴヤ、ナゴヤフグ(徳山市) ナゴヤ(下関市) モフグ、ナゴヤ(北九州市) メアカフグ(青森市) シオサイフグ(仙台市) ナゴヤ(萩市) ショウサイ(福岡市) ナゴヤ(長崎市) ナゴヤフグ、コマル(大分市) ナゴヤ(浜田市)

(4) 地方名B

アオシバ(房州高の島) イソフグ(壱岐) カマヤフグ(鳥羽) ガンバ(長崎) ガンバチ(長崎) ゴマフグ(東京) コメフグ(秋田県象潟) シホサイフグ(紀州各地) シホサエフグ(紀州各地) ショウサイフグ(ショオサイフグ、シヨオサイフグ)(大阪、東京、江ノ島) ショサイフグ(シヨサイフグ)(志摩国浜島) シワブク(讃岐国香川郡雌雄島村) ススメフグ(熊本) スズメフグ(熊本、新潟、福岡県柳河、有明海) チヤンフグト(鹿児島) チンチンブク(島根、石見浜、田唐鐘村) ドクフグ(長崎) ナゴヤフグ(三崎、泉州岸和田、伊予国宇和島、石見浜田、玄海、下関) ナゴヤブク(広島県) フク(滑川、高知、小野田、熊本) フグ(熊本、小名浜、越後、新発田、有明海) フクツトオ(高知浦戸) フクト(土佐柏島、壱岐、浦戸) フグト(鹿児島、和歌山市雑賀崎、白浜) フグトン(雑賀崎、白浜) マガンバ(長崎) マフク(熊本県、富山県) マフグ(小名浜、肥後国天草郡牛深、富山、東京、有明海) マメフグ(越後) モフグ(福井県) モブク(福井)

6 ナシフグ

(1) 標準和名

ナシフグ(フグ科)

(2) 学名

Takifugu vermicularis(Temminck & Schlegel,1850)

(3) 地方名A

ナシフグ、ゴマフグ(東京都) ナゴヤ(大阪市) スナフグ、ナゴヤ(下関市) コマル、ナゴヤ(北九州市) ナゴヤフグ、ショウサイフグ(名古屋市) ナゴヤフグ(福岡市)

(4) 地方名B

ショウサイフグ(東京) ナジブク(柳河) フグト(和歌山市雑賀崎、白浜) フグトン(雑賀崎、白浜)

7 コモンフグ

(1) 標準和名

コモンフグ(フグ科)

(2) 学名

Takifugu flavipterus Matsuura,2017

(3) 地方名A

コメフグ(金沢市) コモンフグ、ゴマフグ(東京都) ナゴヤフグ(高知市) ナゴヤ(下関市) コマル、ナゴヤ、ヒガンフグ、モフグ(北九州市) ナゴヤフグ(名古屋市) ナゴヤ(大阪市) コモンフグ(福岡市) ナゴヤ(長崎市)

(4) 地方名B

カンバ(有明海) ギシフグ(伊予川之江) ギンブク(広島県賀茂郡、佐伯郡) コメフグ(富山県新湊、東岩瀬) コモンフグ(相模三崎、玄海) ダイコンフグ(玄海、志賀島) ナヅフグ(松島) ヒガンフグ(三崎) フグト(和歌山市雑賀崎、白浜) フグトン(雑賀崎、白浜) ホシフグト(鹿児島) メアカフグ(宮崎県)

8 ヒガンフグ

(1) 標準和名

ヒガンフグ(フグ科)

(2) 学名

Takifugu pardalis(Temminck & Schlegel,1850)

(3) 地方名A

ヒガンフグ(札幌市) アカメフグ(東京都) アカメ(大阪市) アカメフグ(境港市) モブク(徳山市) コウヨシ、ヒガンフグ(下関市) ヒガンフグ、モフグ(北九州市) ナメラ(青森市) アカメ(仙台市) ナゴヤ(神戸市) ヒガンフグ(福岡市)

(4) 地方名B

アカフグ(富山県氷見) アカメ(館山、天草、東京) アカメフグ(東京、房州館山、肥後天草、陸前渡ノ波、男鹿、白浜) オンビキ(播磨明石地方、明石) サンガツフグ(松島) チンチンフグ(石見那賀郡浜田) トラフグ(富山県魚津、長崎、秋田県象潟) ナゴヤフグ(三崎、淡路) ナメラフグ(玄海) ヒガンフグ(相模三崎、福岡県柳河、下関、玄海、江ノ島) ヒガンブク(志賀島、寺泊) ヒンガンフグ(三崎、相州三崎) マフグ(三崎、浅虫、天草、有明海、陸奥浅虫、肥後天草、相州三崎) メアカフグ(伊豆) モチダブク(広島県賀茂郡) モフグ(讃岐雌雄島、小野田) モブク(広島県) モンバフグ(但馬浜坂) ヨリトフグ(三重県、相模三崎)

9 クサフグ

(1) 標準和名

クサフグ(フグ科)

(2) 学名

Takifugu alboplumbeus(Richardson,1845)

(3) 地方名A

クサフグ(東京都) アカメフグ(神戸市) アカメフグ(境港市) シャジャブク、スナブク、イソフク(徳山市) スナフグ、ハマフグ、チーチーブク(下関市) コマル、クサフグ、スナフグ(北九州市) クサフグ(青森市) ハマフク(萩市) クサフグ(福岡市)

(4) 地方名B

アカメフグ(島根) カンバ(有明海) ギンフグ(富山) クサフグ(三崎、江ノ島) サメ(富山) ショウサイフグ(シヨオサイフグ)(三崎、鳥羽) ジンブク(佐渡ケ島) スズメフグ(天草、有明海) スナフグ(広島) スナブク(広島県) チイチイフグ(山口) ナシフグ(有明海) ハマフグ(下関) フク(富山県) フグ(浜名湖) フクットウ(高知市) フグト(和歌山市雑賀崎、白浜) フグトン(雑賀崎、白浜) マメフグ(長崎五島) メアカフグ(静浦)

10 ゴマフグ

(1) 標準和名

ゴマフグ(フグ科)

(2) 学名

Takifugu stictonotus(Temminck & Schlegel,1850)

(3) 地方名A

ゴマフグ(札幌市) サメフグ、サバフグ(金沢市) ゴマフグ(東京都) ゴマ(大阪市) ギンナン、サバフグ(神戸市) ゴマ(徳山市) サバフグ(下関市) ゴマフグ、サバフグ(北九州市) サバフク(萩市) ゴマフグ(福岡市) サバフグ(浜田市)

(4) 地方名B

サバフグ(東京、下関、秋田県象潟) サフグ(東北地方) サワフク(富山県) フグト(雑賀崎、白浜) フグトン(雑賀崎、白浜)

11 アカメフグ

(1) 標準和名

アカメフグ(フグ科)

(2) 学名

Takifugu chrysops(Hilgendorf,1879)

(3) 地方名A

アカメフグ(東京都) アカメ(大阪市) アカメフグ(境港市) モブク(徳山市)

(4) 地方名B

アカフグ(志摩御座村) アカメ(高知) アカメフグ(相模三崎、玄海、江ノ島) オキフグ(紀州白崎、辰ケ浜) ヒガンフグ(下関) メアカ(紀州白崎、瀬戸、二木島、辰ケ浜) メアカフグ(紀州塩屋)

12 ムシフグ

(1) 標準和名

ムシフグ(フグ科)

(2) 学名

Takifugu exascurus(Jordan & Snyder,1901)

(4) 地方名B

コモンフグ(三崎) ナゴヤフグ(三崎)

13 メフグ

(1) 標準和名

メフグ(フグ科)

(2) 学名

Takifugu obscurus(Abe,1949)

14 シロサバフグ

(1) 標準和名

シロサバフグ(フグ科)

(2) 学名

Lagocephalus spadiceus(Richardson,1845)

(3) 地方名A

ギンフグ(金沢市) サバフグ(東京都) サバフグ(名古屋市) サバフグ(京都市) サバフグ(大阪市) ギンフグ(神戸市) ギンフグ(高知市) キンフグ、カナフグ(境港市) ギロ、ギンフグ(徳山市) カナフグ(萩市(越ケ浜)) ギロ、カナト、ギンフグ(下関市) カナト、シロカナト、ホンカナト、キンカナト(北九州市) シロサバフグ(福岡市) サバフグ(長崎市) カナト、ギンフグ(大分市) キンフグ(宮崎市) キンフグ、サバフグ(枕崎市) チャンプク、サバフグ、キンプク(鹿児島市) キンフグ(浜田市)

15 クロサバフグ

(1) 標準和名

クロサバフグ(フグ科)

(2) 学名

Lagocephalus cheesemanii(Clarke,1897)

(3) 地方名A

サバフグ(大阪市) サバフグ(高知市) ギロ、アオカナト、アオマル(下関市) カナト、クロカナト、アオカナト(北九州市) アオフグ(宮崎市) クロサバフグ(福岡市) カナト(大分市) チャンプク、サバフグ、クロ(鹿児島市) チャンプク、サバフグ、クロ(枕崎市)

(4) 地方名B

(シロサバフグも含む) カナト(玄海、下関) カナトウ(志賀島) キタマクラ(長崎) キロフグ(広島) キロブク(広島県佐伯郡、広島市) キンカンバ(長崎) キンガンバ(長崎) キンキュウ(キンキユウ)(丹波宮津、宮津) キンフグ(玄海、有明海) キンブク(福井県、長崎県、熊本県三角、有明海) ギンフク(新潟) ギンフグ(東京、三崎、高知、室戸、長崎、肥後天草郡牛深、下関、鳥羽) ギンブク(高知、室戸、石川県宇出津、長崎県、御畳瀬、広島県賀茂郡、三角、福井、有明海) ギンプク(福井、長崎、三角、柳河、有明海) キンフグト(鹿児島) ギンフグト(鹿児島) クロフグ(長崎) コガネ(銚子) サバフグ(富山県東岩瀬、紀州各地、静浦、長崎、玄海、和歌山県) サバブク(高知県宿毛、須崎、江ノ島、寺泊) サンキュウ(サンキユウ)(宮津) シオサイフグ(志摩国鳥羽) ショウサイフグ(シヨオサイフグ)(鳥羽) ドクフグ(大村湾) メアカフグ(須崎) ワタルフグ(富山県東岩瀬)

16 カナフグ

(1) 標準和名

カナフグ(フグ科)

(2) 学名

Lagocephalus inermis(Temminck & Schlegel,1850)

(3) 地方名A

カナフグ(東京都) ギンフグ(広島市) キンフグ、カナフグ(境港市) キタマクラ(高知市) ギロ、キタマクラ(下関市) カナフグ(北九州市) カナフグ(福岡市)

(4) 地方名B

アヲフグト(鹿児島) カナフグ(房州高の島、東京、玄海) カナブク(長崎) キタマクラ(長崎) ギロオ(伊予波止浜) タカトオフグ(三崎) ヨリトフグ(三崎)

17 ヨリトフグ

(1) 標準和名

ヨリトフグ(フグ科)

(2) 学名

Sphoeroides pachygaster(M画像1 (18KB)別ウィンドウが開きます
ller & Troschel,1848)

(3) 地方名A

ヨリトフグ(東京都) ヨリトフグ(北九州市) ミズフグ(大分市)

(4) 地方名B

チョウチンフグ(愛知県三谷) デデフグ(小田原) ミズフグ(沼津)

18 クマサカフグ

(1) 標準和名

クマサカフグ(フグ科)

(2) 学名

Lagocephalus lagocephalus(Linnaeus,1758)

(4) 地方名B

クマサカフグ(新潟県寺泊)

19 ホシフグ

(1) 標準和名

ホシフグ(フグ科)

(2) 学名

Arothron firmamentum(Temminck & Schlegel,1850)

20 サザナミフグ

(1) 標準和名

サザナミフグ(フグ科)

(2) 学名

Arothron hispidus(Linnaeus,1758)

21 モヨウフグ

(1) 標準和名

モヨウフグ(フグ科)

(2) 学名

Arothron stellatus(Anonymous,1798)

(4) 地方名B

キタマクラ(高知市、下関)

22 イシガキフグ

(1) 標準和名

イシガキフグ(ハリセンボン科)

(2) 学名

Chilomycterus reticulatus(Linnaeus,1758)

(4) 地方名B

イガフグ(辰ケ浜、田辺、下関) イシガキフグ(三崎、江ノ島) イバラフグ(周参見、田辺) コンペ(越後、新潟) チョウチンフグ(白浜) トーアバター(沖縄) バラフグ(高知県沖ノ島) バラフクト(高知県沖ノ島) ハリフグ(塩屋、白崎)

23 ハリセンボン

(1) 標準和名

ハリセンボン(ハリセンボン科)

(2) 学名

Diodon holacanthus Linnaeus,1758

(4) 地方名B

アバス(奄美) イガフグ(小野田、下関) イバラフグ(富山県魚津、四方、新湊、富山) イラフグ(須崎、安芸、室戸、土佐、高知) イラブク(高知県須崎、安芸、室戸) イラブクト(土佐 須崎、高知) カセフグ(宮古湾) カゼフグ(宮古湾) スズメフグ(福井県高浜) バラフグ(高知、千葉県高島、三崎) バラブク(伊予、愛媛、高知) バラフクト(高知、土佐柏島) バラブクト(高知) ハリオ(ハリヲ)(越後、新潟) ハリセンボ(越後、新潟) ハリセンボン(相模三崎、富山県生地、東岩瀬、富山、江ノ島、寺泊、秋田県象潟) ハリフク(富山県) ハリフグ(茨城県大津、紀州各地、和歌山、鳥羽) ハリブク(広島県)

24 ヒトヅラハリセンボン

(1) 標準和名

ヒトヅラハリセンボン(ハリセンボン科)

(2) 学名

Diodon liturosus Shaw,1804

(3) 地方名A

ハリセンボン(金沢市) ハリセンボン(名古屋市) ハリセンボン、チョウチンフグ(高知市) シジュウフグ(境港市) ハリフグ、イゲフグ(北九州市)

25 ネズミフグ

(1) 標準和名

ネズミフグ(ハリセンボン科)

(2) 学名

Diodon hystrix Linnaeus,1758

(4) 地方名B

イノーアバサー(沖縄)

26 ハコフグ

(1) 標準和名

ハコフグ(ハコフグ科)

(2) 学名

Ostracion immaculatum Temminck & Schlegel,1850

(4) 地方名B

ウミスズメ(白崎) カクフグ(高知県安芸) キツネ(富山県新湊) コウコウフグ(玄海) コウゴウフグ(広島県賀茂郡) コウゴウブク(志賀島) コウゴウヲ(和泉地方) コウボウフグ(小野田) ゴオゴオフグ(広島県賀茂郡) コオボオフグ(小野田) コゴウオ(コゴウヲ)(和歌山県田辺、塩屋、辰ケ浜) ゴコウオ(高知) コゴメフク(高知) コゴメフグ(高知) コブク(富山県東岩瀬) コンゴウフグ(柏島) シュウリ(シユウリ)(和歌山県、紀州鉛山、周参見、串本、西向、木ノ本、二木島) シュウレ(シユウレ)(太地) スッポ(スツポ)(鹿児島) セキフグ(鹿児島) ハコシュウリ(ハコシユウリ)(紀州木ノ本) ハコシュウレイ(ハコシユウレイ)(和深) ハコフグ(神奈川県三崎、東京、下関、室戸、江ノ島、寺泊) ハコマクラ(和歌山市雑賀崎) マクライオ(有明海) マックワバク(沖縄) モチゴメブク(宿毛) モチゴメユオ(高知県須崎) モモシュウリ(尾鷲) ヨメジョウフグ(津屋崎)

27 サンサイフグ

(1) 標準和名

サンサイフグ

(2) 学名

Takifugu flavidus(Li,Wang & Wang,1975)

(3) 地方名

イロモノ、モフグ、ウグイス、アカボシフグ、コウライフグ

1) 標準和名及び学名はシロサバフグ及びクロサバフグを除き、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編)又は『原色魚類検索図鑑』(北隆館)に基づくものであり、シロサバフグ及びクロサバフグは、現在までの研究報告を基に有毒魚介類に関する検討委員会において検討した結果に基づくものである。

2) 学名において、命名者をかっこでくくってあるものは、その人の命名後に属名などの変更があったことを示す。

3) 地方名Aは、山口県下関水産事務局の調査結果に基づくものであり、卸売市場で使用される名称で、下線を付した部分は最もよく使用される名称である。

4) 地方名Bは『日本産魚名大辞典』に基づくものである。なお、クロサバフグの地方名Bには、シロサバフグの地方名も含まれているため、ここに地名の記載のあるところにあっては、昭和57年10月22日環乳第68号「ドクサバフグについて」の通知に基づき、シロサバフグかクロサバフグかの確認を行っておく必要がある。

別紙 フグの取扱いについて

(昭和58年12月2日)

(環乳第59号)

(水産庁長官あて厚生省環境衛生局長通知)

従前から我が国で食用に供されたフグの多くは、日本近海で漁獲されたものであり、筋肉部については、通常食用としても食品衛生上特に問題はないとされていたところである。しかしながら、近年、フグの筋肉部が原因となる食中毒事件が発生したことから、原因究明のため種々調査研究を行ってきたところ、筋肉部に毒性を有するドクサバフグが東シナ海において以西底びき網漁業、まき網漁業等により漁獲されるサバフグ類に混入し流通していること。また、ドクサバフグと同様に筋肉部に毒性があるといわれるコモンダマシが黄海及び東シナ海において漁獲されるサンサイフグに混入し流通するおそれのあることが判明した。

ついては、フグによる危害の発生防止のため、貴庁におかれても、ドクサバフグ等筋肉部に毒性を有するフグ及び種類不明フグを水揚げしないよう、特に東シナ海の北緯31度以南で、かつ、東経127度以西の海域で漁獲されるサバフグ類についてはドクサバフグの、黄海及び東シナ海で漁獲されるサンサイフグについてはコモンダマシの選別を厳重に行うとともに、船上においてフグの処理を行わないよう関係者に対する十分な指導をお願いする。

なお、フグの衛生確保については、別添のとおり各都道府県等に通知したので、念のため申し添える。

別添 略