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○洋生菓子の衛生規範について

(昭和五八年三月三一日)

(環食第五四号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生省環境衛生局食品衛生課長通知)

食品の衛生規範については、食品の安全性確保の推進及び全体的衛生水準の積極的な向上を図るため、先に「弁当及びそうざいの衛生規範」(昭和五四年六月二九日環食第一六一号)及び「漬物の衛生規範」(昭和五六年九月二四日環食第二一四号)を定め、その設定趣旨及び運用上の注意を示したところであるが、これに続き今般、別紙のとおり「洋生菓子の衛生規範」を定めたので、貴職におかれても御了知の上、貴管下関係者に対し指導方よろしくお願いする。

なお、本規範の周知方につき別添のとおり業界団体に対して依頼したところであるので申し添える。

環食第五四―二号

昭和五八年三月三一日

((社)日本食品衛生協会理事長/(社)日本洋菓子協会連合会会長/全国菓子工業組合連合会会長/)殿

厚生省環境衛生局食品衛生課長

洋生菓子の衛生規範について

洋生菓子は、国民の食生活に密着した食品として親しまれているものであり、近年、その種類・数量の増加とともに製造・流通・販売形態も大規模化かつ広域化している実態にある。

一方、消費者嗜好の多様化等食生活の変化に対応して製品の低カロリー化が進み、これが製品の保存性の低下を引き起こしていること、また加熱等の調理をすることなくそのまま摂食される食品特性を持つこと等から洋生菓子の製造加工工程における微生物制御等食品衛生上の管理はますます重要となつてきている。

このような状況を踏まえ、かねてから洋生菓子の製造等に関する全体的衛生水準の向上について検討してきたところであるが、今般、別紙のとおり営業者の指針として「洋生菓子の衛生規範」を定め、その衛生確保及び向上を図ることとしたので、貴職におかれても、この規範の内容に留意の上、貴下の各会員に対し、本規範の周知徹底方よろしくお願いする。

なお、本規範内容の実現に当たつては、各都道府県等による指導も行うこととし、本日別添(写)のとおり、環食第五四号をもつて当職から、各都道府県・政令市・特別区の衛生主管部(局)長あて通知したところであるので、申し添える。

別紙

洋生菓子の衛生規範

第1 目的

本規範は、洋生菓子に係る衛生上の危害の発生を防止するため、微生物の制御を中心にその原料の受入から製品の販売までの各過程全般における取扱い等の指針を示し、洋生菓子に関する衛生の確保及び向上を図ることを目的とする。

第2 適用の範囲

本規範は、洋生菓子、その製造、販売等の施設及び洋生菓子の製造又は販売等を行う営業者について適用する。

第3 用語の定義

本規範において使用する用語の定義は次のとおりとする。

用語

定義

1 洋生菓子

菓子類のうち、ショートケーキ、パウンドケーキ、シュークリーム等小麦粉、卵、牛乳、乳製品、チョコレート、果実等を主要原料としたものであつて出来上がり直後において水分を40%以上含むもの(ただし、あん、クリーム、ジャム、寒天又はこれに類するものを用いたものにあつては、出来上り直後において水分を30%以上含むもの。)をいう。

2 施設

製造施設、運搬・保管施設及び販売施設をいう。(図1参照)

(1) 製造施設

製造場、製品の搬出場(積込み場)、更衣・休憩場、便所、試験・検査室等製造のためのすべての関連施設をいう。

① 製造場

検収場、原材料(添加物及び調味料を含む。以下同じ。)、包装資材等の保管場、前処理場、生産加工場、放冷・保管場、整飾調整場、包装場及び製品の保管場をいう。

ア 検収場

原材料、包装資材等の受入れ及びこれらの品質、数量等の確認を行う場所をいう。

イ 原材料、包装資材等の保管場

原材料、包装資材等を保管する場所をいう。

ウ 前処理場

原材料の選別、解凍、脱殻、さく皮、洗浄、ろ過、浸漬、加熱殺菌等の製品の用途に応じた原材料の処理を行う場所をいう。

エ 生産加工場

原材料の切裁、磨砕、混合、混捏こんねつ、調味、発酵、分割整型、焙焼、煮熟等を行い、製品の組織及び形状を固定化する場所をいう。

オ 放冷・保管場

焙焼、煮熟等を終えた半製品の放冷及び放冷後の半製品を保管する場所をいう。

カ 整飾調整場

フィリング、トッピング、コーティング等の整飾、切裁調整等製品の仕上げを行う場所をいう。

キ 包装場

製品の包装、容器詰等の作業を行う場所をいう。

ク 製品の保管場

製品を出荷するまでの間保管する場所をいう。

② 製品の搬出場(積込み場)

製品を製造場から搬出(積込み)する場所をいう。

③ 更衣・休憩場

製造に従事する者が、製造所内で着用する衣服、はき物等を着替える場所及び製造に従事する者が休憩する場所をいう。

④ 試験・検査室

原材料、製品等の理化学検査等の検査を行う室をいう。

(2) 製品の運搬・保管施設

製造施設から搬出された製品を販売施設に搬入するまでの間の運搬、保管、積替え等を行うための運搬車両、保管場及び製品の保管場に付帯する更衣・休憩場、便所等、運搬・保管のためのすべての施設をいう。

(3) 販売施設

製品の売場及び保管場、更衣・休憩場、便所等販売のためのすべての施設をいう。

3 作業区域

製造施設のうち、製造場及び製品の搬出場(積込み場)、製品の運搬・保管施設のうち、運搬車両の食品収納部及び製品の保管場並びに販売施設のうち、製品の保管場及び売場(以下「作業場」という。)の区域をいう。(図1参照)

(1) 汚染作業区域

製造場のうち、検収場、原材料、包装資材等の保管場及び前処理場をいう。

(2) 非汚染作業区域

 

① 準清潔作業区域

製造施設では、製造場のうち生産加工場及び製品の搬出場(積込み場)、製品の販売施設では、売場をいう。

② 清潔作業区域

製造施設では、製造場のうち放冷・保管場、整飾・調整場、包装場及び製品の保管場、運搬・保管施設では、運搬車両の製品収納部及び製品の保管場、販売施設では、製品の保管場をいう。

4 その他

 

(1) 器具

ミキサー、作業台、その他食品又は添加物の採取、製造、加工、調理、貯蔵、運搬、陳列、授受又は摂取の用に供され、かつ、食品又は添加物に直接接触する機械、器具その他の物をいう。

(2) 器具類

器具及び食品に直接接触しない作業台、機械類その他の物をいう。

場所の範囲

図1 施設内各場所の区分と食品の流れ

第4 施設・設備

A 製造施設

1 施設の位置及び周囲

(1) 施設は、周囲にねずみ、こん虫等の発生源のない清潔な場所に位置すること。

(2) 施設の周囲の地面は、清掃しやすい構造で、かつ、雨水等による水たまり及びじん埃の発生を防止するため、必要に応じ次のような措置が講じられていること。

① 敷地内の道路、駐車場、建物の出入口、検収場及び製品の搬出場(積込み場)の周辺は舗装されていること。

② 雨水等を排水するための排水溝が設けられていること。

③ ①以外の空地等は、防じんのため植樹、植芝等が行われていること。

(3) その他施設の周囲の環境を清潔に保つための必要な措置が講じられていること。

2 ねずみ、こん虫等の侵入等の防止

施設は、ねずみ、こん虫等の侵入及びじん埃等による外部からの汚染を防止するため、次のような措置が講じられていること。

① 外部に開放される窓及び吸排気口には、金網等を設け、また排水口には鉄格子を設ける等ねずみ、こん虫等の侵入を防止するための有効な措置が講じられていること。

② 出入口は、自動開閉式の扉等を設ける等ねずみ、こん虫等の侵入を防止できる構造であること。

③ 出入口には、外部からの汚染を防止するため、必要に応じ靴洗い装置が設けられていること。

3 施設の構造及び設備

(製造場)

(1) 製造場は、食品の製造が衛生的に行われ、かつ、作業の流れが能率的に行われるように、検収場、原材料、包装資材等の保管場、前処理場、生産加工場、放冷・保管場、整飾調整場、包装場、製品の保管場及び製品の搬出場が適切に配置されている構造であること。

(2) 製造場内の検収場等の各場所は、製造量、機械設備の配置状況、作業従事者数等に応じ作業が支障なく行われるように、それぞれ十分な広さを有し、かつ、必要に応じそれぞれが隔壁等により区画されていること。特に汚染作業区域、準清潔作業区域、清潔作業区域はそれぞれ隔壁等により完全に区画されていること。

なお、前処理場、生産加工場及び包装場の床面積は、作業が行ないやすいように製造に用いる器具類等の設備の据付け面積の3.5倍以上であることが望ましい。

(3) 製造場は、隔壁等により住居、事務所等食品の製造に直接関係のない場所と区画されていること。

(4) 製造場内の床、内壁及び天井は、次のような材料及び構造であること。

① 床面は、耐水性で摩擦に強く、かつ、亀裂を生じにくい材料を使用し、平滑で清掃が容易に行える構造であること。特に水を使用する部分にあつては、不浸透性の材料で、かつ、適当な勾配を有し、排水溝を設けるなど排水が容易に行える構造であること。

なお、その勾配は100分の1.5~2.0であることが望ましい。

② 内壁は、その表面が平滑であり窓枠の下部、腰張の上部はホコリが集積かつ、内壁と床面の境界には、図2のようしにくく、な半径5cm以上のアールを設けるなど清掃及び洗浄が容易に行える構造であること。

特に水を使用する場所(室)にあつては、少なくとも床面から1m以上の所までが不浸透性の材料が用いられていること。

図2

③ 天井は、すき間がなく、平滑で清掃が容易に行える構造であること。

なお、各種の配管、ダクト、照明器具等は露出しない構造であること。ただし、やむをえずこれらが露出している場合にあつては、清掃が容易に行える措置が施されていること。

また、天井は、床面から2.4m以上の高さであることが望ましい。

④ 水蒸気、熱気等が発生する場所(室)の壁及び天井は、必要に応じその表面に耐湿性及び耐熱性の材料を用いるとともに断熱材を併用するなど結露、カビの発生等を防止できる構造であること。

(5) 製造場には、作業場所の採光のために十分な広さの窓を有すること。また、採光が十分でない場合及び夜間のための照明設備を有すること。

なお、この場合、作業面で照度100ルクス以上、その他の場所で照度50ルクス以上を得られるものでなければならない。

(6) 製造場には、必要に応じ適当な位置に十分な能力を有する換気装置が設けられていること。

① 水蒸気、熱気、ばい煙、粉じん等の発生源の近くには、フード(金属板製ロート型天がい)、ダクト及び換気扇で構成される強制排気装置が設けられていること。

なお、この場合の排気能力は、フード面で1秒間に0.25~0.5mの吸引能力を有するものであることが望ましい。

また、フードは、清掃が容易に行える構造で、かつ、図3のように、オイル(油)受け及び油脂の通過を防止するためのフイルターが設けられていることが望ましい。

図3

② 換気装置は、汚染作業区域の空気が非汚染作業区域に流入しないよう配慮して設置されていること。

また、排気口は、突風等により外部から汚染された空気の流入を防ぐため、図4のような構造であることが望ましい。

図4

③ 清潔作業区域には、清浄な空気が十分に供給されるよう、換気装置には空気清浄器が設けられていること。

④ 非汚染作業区域には、必要に応じて、室内の温度及び湿度を調整するための温度及び湿度調節装置が設けられていること。

(7) 製造場内の水を使用する場合には、次のような構造の排水溝が設けられていること。

① 排水溝は、清掃が容易に行えるよう十分な幅を有すること。

なお、この場合、その幅は20cm以上であることが望ましい。

② 排水溝は、排水が容易に流れるような勾配を有すること。

なお、この場合、その勾配は100分の2~4であることが望ましい。

③ 排水溝の側面と底面の境界には、図5のようなアールが設けられていること。

図5

(8) 製造場には、原材料、食品、機械器具、容器類を洗浄するために給水・給湯設備を有する洗浄装置が設けられていること。

(9) 製造場には、使用に便利な位置にそれぞれの従事者数に応じた流水式の手洗設備が設けられていること。

① 前処理場、生産加工場、整飾調整場及び包装場には、それぞれ独立した給湯設備を有した手洗設備が設けられており、かつ、これらの手洗設備には、手指の消毒装置が設けられていること。

また、ペーパータオル又は温風乾燥機が設けられていること。

② 受水槽は、手洗いに十分な大きさを有する構造であること。なお、この場合、1蛇口当たり幅60cm、奥行50cm以上であることが望ましい。

③ 給水栓は、足踏式、自動式等により手を使わないで開閉できるもの、又は下カラン式のものであることが望ましい。

(更衣・休憩場)

(10) 製造施設には、製造場の出入口に近接した適当な場所に、従事者の数に応じた十分な広さの更衣室が設けられていること。

(11) 更衣室には、製造場内で使用する白衣、帽子等の作業衣及び靴を保管するための専用のロッカー、靴箱等が設けられていること。

(便所)

(12) 製造施設には、衛生上支障のない適当な位置に、従事者の数に応じた数の便所が設けられていること。

(13) 便所は、隔壁をもつて他の場所と完全に区画されていること。

(14) 便所には、流水式手洗設備が設けられていること。

なお、これらの手洗設備には、手指の消毒装置が設けられていること。

(試験・検査室)

(15) 製造施設には、微生物、食品添加物、異物等について検査を行うための試験検査室が設けられていることが望ましい。

(その他)

(16) 製造施設以外の適当な場所に、廃棄物の集積場を設けるとともに、汚液、汚臭のもれない構造の設備を設けること。

(17) 製造場以外の適当な場所に、清掃用具の保管設備を設け、施設の清掃に必要な清掃用具が備えられていること。

(18) 製造施設には、製品の運搬車両、コンテナー等を洗浄殺菌するために、給水給湯設備を有する洗浄装置が設けられていること。

(19) 給水設備

① 水道水その他飲用に適する水を十分に供給し得る設備を適切に配置してあること。

② 井戸水又は自家用水道を使用する場合には、その水源(井戸等)は、便所、汚水溜、動物飼育場その他地下水が汚染されるおそれのある場所から少なくとも20m以上の距離にあること。

③ 井戸水又は自家用水道を使用する場合には、殺菌装置又は浄水装置が設けられていること。

④ 貯水槽は、不浸透性の材料を用い、密閉構造とし、内部は清掃が容易で、かつ、施錠できる構造であること。

(20) ボイラー、受電設備等ユーテイリテイ関連機器は、製造施設内の衛生上支障のない適当な場所に設置され、それぞれの目的に応じた十分な構造及び機能を有すること。

4 食品等取扱い設備の構造等

(1) 検収場には、原材料が直接床面に接触しないようにスノコ等が設けられていること。

(2) 原材料の保管場所には、その種類及び食品特性に応じて区画して保管できるような間仕切り、棚等が設けられていること。

特に、温度、湿度、日光等により品質が変化しやすい食品を保管する場合には、それぞれ必要な設備が設けられていること。

(3) 製造場には、その食品の種類、製造方法及び製造量に応じた十分な数の器具類が備えられていること。

(4) 製造場内の固定され、又は移動し難い器具類は、製造工程の流れに沿い作業に便利で、かつ、清掃、洗浄、殺菌等が容易に行えるように配置されていること。

(5) 製造場には、作業場ごとに製造に用いる器具類を衛生的に保管することができる戸棚その他の設備が設けられていること。

(6) 器具の食品に直接接触する部分は、衛生的に材質のもので容易に洗浄及び消毒が行える構造であること。

(7) 製造に用いる機械装置にあつては、軸受部分や伝導装置から、潤滑油が食品に混入しないような構造であること。

(8) 加工台(作業台)の台面は、衛生的な材質で平滑に作られ、計画製造量に応じた十分な広さを有し、清掃及び洗浄が容易に行える構造であること。

(9) 原材料及び加工中の食品を加熱し、冷却し、又は貯蔵するための設備については、必要に応じ、温度及び圧力を調節する装置が設けられ、かつ、これらの設備には正確な計器が備えつけられていること。

(10) 製造場には、区画された作業場ごとに必要に応じ正確な温度計及び湿度計が従事者の見やすい場所に設けられていること。

(11) 食品添加物、容器包装及び装飾用具を衛生的に保管するための専用保管設備が設けられていること。

また、製造所内で使用する洗浄及び消毒用の薬剤の専用の保管設備が設けられていること。

(12) 製品の保管場には、次の構造及び機能を有する冷蔵室(庫)又は保冷室(庫)が設けられていること。

① 冷蔵又は保冷する製品の数量に応じた十分な容積を有し、かつ、製品の種類及び特性に応じて区画して保管できるような構造のものであること。

② 製品を冷蔵又は保冷するために必要十分な能力を有する装置及び室(庫)内の温度を室(庫)外から正確に計ることができる温度計が備えられていること。

(13) 製造場には作業場ごとに、必要に応じた数の廃棄物容器が設けられていること。

なお、これらの容器は、不浸透性の材料で作られ、かつ、清掃が容易な構造のものであること。

また、これらの容器は、容易に運搬できる構造のものであること。

B 製品の運搬・保管施設

1 施設の位置及び周囲

(1) 施設は、周囲にねずみ、こん虫等の発生源のない清潔な場所に位置すること。

(2) 施設の周囲の地面は、清掃しやすい構造で、かつ、雨水等による水たまり及びじん埃の発生を防止するため、必要に応じ次のような措置が講じられていること。

① 敷地内の道路、駐車場、建物の出入口及び製品の搬出場(積込み場)の周辺は舗装されていること。

② 雨水等を排水するための排水溝が設けられていること。

③ ①以外の空地等は、防じんのため植樹、植芝等が行われていること。

(3) その他施設の周囲の環境を清潔に保つための必要な措置が講じられていること。

2 ねずみ、こん虫等の侵入等の防止

施設は、ねずみ、こん虫等の侵入及びじん埃等による外部からの汚染を防止するため、次のような措置が講じられていること。

① 外部に開故される窓及び吸排気口には、金網等を設け、また、排水口には、鉄格子を設ける等ねずみ、こん虫等の侵入を防止するための有効な措置が講じられていること。

② 出入口は、自動開閉式の扉等を設ける等ねずみ、こん虫等の侵入を防止できる構造であること。

③ 出入口には、外部からの汚染を防止するため、必要に応じ靴洗い装置が設けられていること。

3 施設の構造及び設備

(保管場)

(1) 保管場は、計画保管量に応じた十分な広さを有し、また隔壁等により住民、事務所等食品の保管に直接関係のない場所と区画されていること。

(2) 保管場内の床、内壁及び天井は、次のような材料及び構造であること。

① 床面は、耐水性で摩擦に強く、かつ、亀裂を生じにくい材料を使用し、平滑で清掃が容易に行える構造であること。

② 内壁は、その表面が平滑であり、窓枠の下部はホコリが集積しにくく、かつ、内壁と床面の境界には、図5のような半径5cm以上のアールを設ける等清掃及び洗浄が容易に行える構造であること。

③ 天井はすき間がなく平滑で清掃が容易に行える構造であること。

④ 壁及び天井の色彩は、淡く明るいものであること。

(3) 保管場は、作業場所の採光のために十分な広さの窓を有すること。この場合、非作業時の遮光のためのブラインド等の装置が設けられていること。

また、採光が十分でない場合及び夜間のための照明設備を有すること。

(4) 保管場には、使用に便利な位置にそれぞれの従事者の数に応じた規模の手指の消毒装置を備えた流水式の手洗設備が設けられていること。

(運搬器具及び運搬車両)

(5) 運搬器具及び運搬車両は、次のような構造等のものであること。

① 製品を直接入れる器具は、衛生的な材質のもので、かつ、洗浄、殺菌が容易に行える構造のものであること。特に、未包装の製品を入れる器具にあつては、輸送中におけるじん埃等外部からの汚染を防止できる構造のものであること。

② 製品の運搬に使用する事両の食品収納部は、じん埃の侵入を防止でき、かつ、清掃が容易な構造であつて第6の3に定められた製品の保存条件を保つための冷蔵又は保冷装置が設けられていること。ただし、保冷、防じん機能を有するコンテナーに収められた製品を運搬する車両にあつては、この限りでない。

なお、冷蔵又は保冷装置が設けられている車両にあつては、食品収納部の温度を測定できる装置が備えられていること。

(更衣・休憩場、便所等)

(6) 保管施設には、保管場の出入口に近接した適当な場所に、従事者の数に応じた十分な広さの更衣室が設けられていること。

また、更衣室には、保管場で使用する白衣、帽子等の作業衣及び靴を保管するための専用のロッカー、靴箱等が設けられていること。

(7) 保管施設には衛生上支障のない適当な位置に、従事者の数に応じた数の便所が設けられていること。

なお、便所は隔壁をもつて他の場所と完全に区画されていること。

また、便所には手指の消毒装置を備えた流水式手洗設備が設けられていること。

(8) 保管場以外の適当な場所に清掃用具の保管場所を設け、施設の清掃に必要な清掃用具が備えられていること。

(9) 保管施設には、製品の運搬車両、コンテナー等を洗浄するために、給水給湯設備を有する洗浄装置が設けられていること。

4 保管場における食品取扱い設備の構造等

(1) 保管場には、製品を入れた容器包装が直接床面に接触しないようにスノコ等が設けられ、かつ、製品の種類及び製品特性に応じて区画して保管できるような間仕切り、柵等が設けられていること。

(2) 製品の保管場には、次のような構造及び機能を有する冷蔵室(庫)又は保冷室(庫)が設けられていること。

① 冷蔵又は保冷する製品の数量に応じた十分な容積を有し、かつ、製品の種類及び特性に応じて区画して保管できるような構造のものであること。

② 製品を冷蔵又は保冷するために必要十分な能力を有する装置及び室(庫)内の温度を室(庫)外から正確に計ることができる温度計が備えられていること。

C 販売施設

1 施設の位置及び周囲

(1) 施設は、周囲にねずみ、こん虫等の発生源のない清潔な場所に位置すること。

(2) 施設の周囲の地面は、清掃しやすい構造で、かつ、周囲の環境を清潔に保つための必要な措置が講じられていること。

2 ねずみ、こん虫等の侵入等の防止

施設は、ねずみ、こん虫等の侵入及びじん埃等による外部からの汚染を防止するため、次のような措置が講じられていること。

① 外部に開放される窓及び吸排気口には、金網等を設け、また、排水口には、鉄格子を設ける等ねずみ、こん虫等の侵入を防止するための有効な措置が講じられていること。

② 出入口は、自動開閉式の扉等を設ける等ねずみ、こん虫等の侵入を防止できる構造であること。

3 施設の構造及び設備

(保管場及び売場)

(1) 売場は、販売に支障のない広さを有し、清掃が容易で、かつ、清潔に保持できる構造であること。

(2) 売場は、必要に応じ、直射日光を避けるための日よけが設けられていること。

(3) 保管場及び売場内の床、内壁及び天井は、次のような材料及び構造であること。

① 床面は、耐水性で摩擦に強く、かつ、亀裂を生じにくい材料を使用し平滑で清掃が容易に行える構造であること。

② 内壁は、その表面が平滑であり、かつ、清掃が容易に行える構造であること。

③ 天井は、すき間がなく平滑で清掃が容易に行える構造であること。

なお、照明器具等は露出しない構造であること。ただし、やむをえずこれらが露出している場合にあつては、清掃が容易に行える措置が施されていること。

④ 壁及び天井の色彩は、淡く明るいものであること。

(4) 保管場及び売場は、作業場所に自然光線を十分に取り入れることができる広さの窓を有するか、また、採光が十分でない場合及び夜間のための照明設備を有すること。

なお、この場合、作業面で照度100ルクス以上を得られるものでなければならない。

(5) 保管場及び売場には、器具類を洗浄するための給水・給湯設備を有する洗浄装置が設けられていること。

(6) 保管場及び売場には、使用に便利な位置にそれぞれの従事者の数に応じた規模の手指の消毒装置を備えた流水式の手洗設備が設けられていること。

(更衣・休憩場、便所等)

(7) 販売施設には、従事者の数に応じた十分な広さの更衣室が設けられていること。

また、更衣室には、保管場及び売場で使用する白衣、帽子等の作業衣及び靴を保管するための専用のロッカー、靴箱等が設けられていること。

(8) 販売施設には衛生上支障のない適当な位置に、従事者の数に応じた数の便所が設けられていること。

なお、便所は、隔壁をもつて他の場所と完全に区画されていること。

また、便所には、手指の消毒装置を備えた流水式の手洗設備が設けられていること。

(9) 販売施設には、保管場及び売場以外の適当な場所に清掃用具の保管場所を設け、施設の清掃に必要十分な数の清掃用具が備えられていること。

4 保管場及び売場における食品取扱い設備の構造等

(1) 保管場には、製品を入れた容器包装が直接床面に接触しないようにスノコ等が設けられ、かつ、製品の種類及び製品特性に応じて区画して保管できるような間仕切り、棚等が設けられていること。

(2) 製品の保管場には、次のような構造及び機能を有する冷蔵室(庫)又は保冷室(庫)が設けられていること。

① 冷蔵又は保冷する製品の数量に応じた十分な容積を有し、かつ、製品の種類及び特性に応じて区画して保管できるような構造のものであること。

② 製品を冷蔵又は保冷するために必要十分な能力を有する装置及び室(庫)内の温度を室(庫)外から正確に計ることができる温度計が備えられていること。

(3) 売場には、次のような構造等を有する製品専用の陳列ケースが備えられていること。

① じん埃等の侵入を防止でき、かつ、衛生的な材質で清掃しやすい構造であること。

② 陳列する製品の数量に応じた十分な容積を有し、かつ、製品の種類及び特性に応じて区画して保管できるような構造のものであること。

③ 製品を冷蔵又は保冷するために必要十分な能力を有する装置及びケース内の温度を正確に計ることができる温度計が備えられていること。

(4) 売場には、販売数量に応じた十分な数の器具類が備えられていること。

(5) 売場には、器具類、容器包装等を衛生的に保管することができる戸棚その他の設備が設けられていること。

第5 施設・設備の管理

1 施設の周囲

(1) 施設の周囲は、1日1回以上清掃し、その環境を常に清潔に保つこと。

(2) 排水溝は、定期的に清掃、補修等を行い、常に排水がよく行われる状態に保つこと。

(3) 施設の周囲にねずみ、こん虫等の発生源が発見された場合は、直ちにその発生源の撤去、埋却覆上、焼却、殺虫剤の散布等の必要な措置を講じること。

なお、その場合、施設内が散布された殺虫剤等により汚染されないよう十分留意すること。

2 施設・設備

(施設・設備全般)

(1) 施設、設備は必要に応じて補修を行い、特に定める場合を除き、1日1回以上清掃し、衛生上支障のないように保持すること。

(2) 施設において、ねずみ、こん虫等の発生源を発見した場合は、直ちにその発生源を撤去するなど必要な措置を講じること。さらに、1月に1回以上巡回点検し、少なくとも半年に1回以上駆除作業を実施すること。

なお、駆除作業に当たつては、食品及び食品取扱い器具が、薬剤等による汚染から完全に防止できる措置を講じた上で実施すること。

また、その実施記録を1年間保存すること。

(3) 施設の出入口は、出入り等必要やむをえない場合以外は閉めておくこと。

(4) 手洗設備には、手洗いに適当な石けん、爪ブラシ、ペーパータオル、消毒液等を定期的に補充し、常に使用できる状態にしておくこと。

(5) 給水設備の管理は、次のように行うこと。

① 井戸水又は自家用水道を使用する場合は、年2回以上水質検査を行い、その成績書を1年間保存すること。ただし、天災等により水源等が汚染されたおそれのある場合には、そのつど水質検査を行うこと。

② 水質検査は、公的機関、食品衛生法に基づく指定検査機関等に依頼して行うこと。また、水質検査の結果、飲用不適とされた場合は、直ちに保健所長の指示を受け、適切な措置を講ずること。

③ 水道水以外の水を使用する場合は、毎日殺菌装置又は浄水装置が正常に作動していることを確認し、その旨を記載すること。

なお、これらの水の消毒は、次亜塩素酸ソーダ又は塩素ガスを用い、末端給水せんで遊離残留塩素0.1ppm以上とすること。遊離残留塩素の測定は、1週に1回定期的に行い、その測定結果を記録し、1年間保存すること。

④ 貯水槽は、清潔を保持するため、年1回以上清掃を行うこと。

(6) 廃棄物の管理は、次のように行うこと。

① 廃棄物容器は、汚液、汚臭がもれないように管理するとともに、作業終了後は速やかに清掃し、衛生上支障のないよう保持すること。

② 廃棄物は、適宜集積場に搬出し、製造場に放置しないこと。

③ 廃棄物集積設備は、廃棄物の搬出後清掃するなど周囲の環境に悪影響を及ぼさないように管理すること。

(7) 便所の管理は、次のように行うこと。

① 1日1回以上清掃し、衛生上支障のないように保持すること。

② 定期的に消毒を行うこと。

(8) 清掃用器材の管理は、次のように行うこと。

① 使用後は、そのつど必ず洗浄し、乾燥させること。

② 作業場以外の専用の場所に保管すること。

(各施設の作業場)

(9) 作業場内の各作業区域においては、清掃、消毒その他の措置により、室内環境を清潔に保ち、空気中の浮遊細菌を極力少なくすること。なお、落下細菌数(生菌数)、落下真菌数(カビ及び酵母の生菌数)は、次のようになるようにすることが望ましい。なお、この測定方法は別紙によること。

① 汚染作業区域は、落下細菌数100個以下

② 準清潔作業区域は、落下細菌数50個以下

③ 清潔作業区域は、落下細菌数30個以下、落下真菌数10個以下

(10) 製造場(発酵室を除く。)は、換気、除湿及び冷房によりできるだけ低湿、低温に保つこと。なお、この場合、湿度を65%以下、温度を20°以下に保つことが望ましい。

(11) 製造場及び製品の保管場には不必要な物品を置かないこと。特に、殺虫剤、殺そ剤等の薬品は、これらの場所以外の定められた場所に保管すること。

(12) 天井及び内壁(床面から1mの所までの部分を除く。)は、定期的に清掃し、衛生上支障のないように保持すること。

(13) 照明設備は、1週1回以上清掃し、照度は、半年に1回以上定期的に測定し記録すること。

(14) 換気装置は、1週に1回以上清掃し、1月に1回以上分解して清掃し、その旨を記録すること。

(15) 排水溝は、少なくとも1日1回以上洗浄し、必要に応じて消毒を行うこと。

(16) 原材料、製品等の保管場は、1週に1回以上清掃を行うこと。

(食品取扱い設備)

(17) 冷凍・冷蔵・保冷室(庫)の管理は、次のように行うこと。

① 次に定める場合を除き、1週に1回以上清掃すること。

ア 食品からの溶出液(ドリツプ)等により汚れた場合は、そのつど清掃すること。

イ 陳列ケースは、1日1回以上清掃すること。

② 温度管理は、次のように行うこと。

ア 冷凍・冷蔵・保冷設備が正常に作動し、必要な温度の保たれるように定期的に点検すること。

なお、温度の測定は、自動的に記録される場合を除き、毎日午前と午後に1度ずつ記録すること。

また、これらの記録は、1月以上保存すること。

イ 食品の収納は、室(庫)内容積の70%以下にとどめること。

ウ 扉の開閉は、迅速に行い、かつ、必要最少限にとどめること。

(18) 温度計、湿度計、圧力計等の計器類は、定期的にその正確度を点検し、その旨を記録し、保存すること。

(19) 器具類は、常に点検し、故障、破損等があるときは速やかに補修し、使用できる状態に整備しておくこと。

(20) 器具は、少なくとも作業終了後及び作業開始前に必ず洗浄し、熱湯等により消毒を行うこと。

(21) 器具のうち伝導装置等から潤滑油等の異物を飛散させるおそれのある機械等にあつては、当該個所を覆う等の防護策を講じること。

(22) 器具は、衛生保持のためその使用目的に応じて、それぞれ専用に使用すること。

なお、汚染作業区域、準清潔作業区域、清潔作業区域ごとにそれぞれ区分して使用することが望ましい。

第6 食品等の取扱い

1 原材料

(1) 原材料の購入にあたつては、その生産・流通過程等を十分配慮して、納入業者において衛生管理が適切に行われているものを選ぶこと。

(2) 原材料は、製造量に応じて、その必要量を計画的に購入すること。

なお、牛乳、クリーム、生鮮果実等品質が変化しやすい原材料は、できるだけ毎日の必要量のみを購入すること。

(3) 検収にあたつては、容器包装の状態、表示、原材料の品質、鮮度等について点検し、その点検結果を記録すること。

なお、必要に応じて第7に定める自主検査を行い、別表1によりその適否を確認すること。

(4) 原材料は、別表2を参考に当該食品に適した方法で保存すること。

(5) 原材料は、相互汚染することがないように取扱い、かつ、それぞれ専用の保管場所に保存すること。

2 製造・加工中の食品等

(前処理)

(1) 原材料の使用に当たつては、その鮮度等の状態を確認すること。特に殻付き卵を使用する場合は、検卵等を十分に行い、不良卵の混入防止に努めること。

(2) 小麦粉、砂糖等粉状の食品及び粒状の食品は、必ずくし別(櫛通し)を行い、異物の混入がないことを確認してから使用すること。

(3) 冷凍卵等凍結している食品の解凍は、飲用適の流水中で行うか、又は10℃以下の低温の室(庫)で行うこと。

(4) 凍結している食品は、製造量に応じた必要量のみを解凍し、解凍後は速やかに製造に用いること。

(5) 果実、豆類等は精選及び洗浄を十分に行い、必要に応じて殺菌を行うこと。

(6) 食品の製造において原材料として用いる缶詰は、開缶部を清潔にした後開缶すること。

(7) 前処理を施した食品は、それぞれ用途に応じた清潔で衛生的な容器に収めること。特に、直接摂食するように加工されたものは、専用の容器に収めること。

(生産加工)

(8) 牛乳、生乳、クリーム、卵、小麦粉又はコーンスターチを原料とした製品であつて、製造時に殺菌効果を有する十分な加熱がなされるもの以外のものにあつては、製造中に62°で30分間、又はこれと同等以上の効力を有する方法で加熱殺菌すること。

(9) 加工中の食品及び器具の食品に直接接触する部分は、床面に落ちた水の跳返りを避けるための適切な措置を講じること。

(10) 製造されたカスタードクリーム及びクリーム(いわゆる生クリーム)は、殺菌された有蓋の容器に収めること。

(11) 牛乳、クリーム、卵、生鮮果実等品質が変化しやすい食品を原料とした半製品は、清潔で衛生的な場所に冷蔵して保存すること。

(12) 計画製造量の生産終了後、追加受注等により生産を再開する場合、生産が昼食時間をはさんで行われる場合など、器具(特に生産機械)が断続的に使用される場合は、当該器具がそのつど洗浄・殺菌されたものであることを確認すること。

(13) 添加物を使用する場合は、食品添加物の規格基準に基づく使用目的、使用方法、使用量等を確認し、正確に秤量して使用すること。

(14) 器具類からの異物の混入を防止するため、生産開始前においては部品のゆるみ、油漏れ等がないことを、また、生産終了後においては部品の欠損等がないことをそれぞれ確認すること。

(放冷及び整飾調整)

(15) 加熱処理したものは、直ちに清潔で衛生的な専用の場所で放冷すること。この場合、空気清浄器を通した空気で放冷することが望ましい。

(16) 製造を終了したものは、器具類の破片等の金属性異物が混入していないことを金属探知器等を用いて確認すること。

3 製品

(1) 製品は次の規格に適合するものであること。

① 細菌数(生菌数)は、製品1gにつき100,000以下であること。

② 大腸菌群が陰性であること(生鮮果実部を除く。)。

③ 黄色ブドウ球菌が陰性であること。

④ 製品に含まれる油脂の酸価が3を超えないものであること。

⑤ 製品に含まれる油脂の過酸化物価が30を超えないものであること。

⑥ 異物の混入が認められないこと。

(2) 製品の保存(運搬及び売場における陳列も含む。以下同じ。)

① 製品は、清潔で衛生的な容器包装に入れ若しくは包むか、又は殺菌・消毒された専用の運搬機具に収めて運搬すること。

② 運搬・保管施設における製品の小分包装は行わないこと。

③ 製品は、直射日光及び高温多湿を避けて保存すること。

④ 製品は、10°以下で保存(以下「冷蔵」という。)することを原則とするが、製品の特性上冷蔵することが不可能なものにあつては、できるだけ低温(18°以下)で保存すること。

⑤ 削除

4 表示等

(1) 容器包装に入れられ販売される製品の表示は、次に定める要件を満たすものであること。

なお、表示事項は、容器包装の見やすい場所に、又は容器包装の上にさらに包装(外装)を行う場合には、中の表示が透視できる場合を除き、外装の見えやすい場所に、邦文で読みやすく、理解しやすい用語により正確に記載すること。

① 名称

ア その内容を適切に表現し、かつ、社会通念上一般化した名称を記載すること。

イ 名称中に原材料名を冠する場合は、主要原材料と一致すること。

② 消費期限等

「消費期限 平成7年4月1日」、「品質保持期限 7.4.1」、「消費期限 07.04.01」、「品質保持期限 1995年4月1日」、「消費期限 95.4.1」、「品質保持期限 95.04.01」等のように記載すること。

また、消費期限又は品質保持期限の記載は次の場所で適正に行うこと。

イ 製造所において容器包装に入れ又は包まれたもの………製造所

ロ 製造所から運搬器具を用いて運搬されたものを販売所において容器包装に入れ又は包まれたもの………販売所

なお、この場合、販売所において、客の求めに応じて詰め合わせ販売するものは含まない。

③ 製造所所在地

住所表示に関する法律に基づく住居表示に従つて、住居番号まで正しく記載することを原則とする。

ただし、川崎市等の指定都市及び道府県庁所在市における道府県名は省略することができる。

④ 製造者名

ア 法人の場合には、法人名を記載すること。この場合、法人であることを明記すること。

ただし、株式会社を「K、K」、又は「株」、合名会社を「名」、合資会社を「資」及び有限会社を「有」と略して記載することができる。

イ 個人の場合には、個人の氏名を記載すること。この場合、屋号等は認められないこと。

⑤ 食品添加物

食品添加物(食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号)別表第2及び化学的合成品以外の食品添加物リストに掲げる物)については、栄養強化の目的で使用されたもの、加工助剤及びキャリーオーバーを除き、原材料表示の一環として、当該食品添加物を含む旨を表示するとともに、同規則別表第5の中欄に掲げる物として使用されるものを含む食品にあっては、同表当該下欄に掲げる用途名を併記すること。

その際、食品添加物を含む旨の表示は、一般に広く使用されている名称を有する食品添加物にあっては、その名称をもって、食品衛生法施行規則別表第5の2の上欄に掲げる物として使用される食品添加物を含む食品にあつては、同表当該下欄に掲げる一括名をもつて、これに代えることができる。

⑥ 保存方法

「保存方法 要冷蔵(10℃以下で保存)」、「保存方法 10℃以下で保存」等のように保存方法を記載すること。

(2) 製品の温度管理等の取扱いについて、販売業者に対し周知徹底する必要がある場合は、製造業者において説明書を作成すること。

第7 検査

1 保存用検体

食中毒等の事故発生時における調査のため、製造ロツトごとに製品1個を検体とし、予想される販売流通期間を考慮して、10°以下で保存すること。

2 営業者の検査

営業者は、次に定めるところにより1月に1回以上検査を行うこと。

(1) 検査の対象は、原材料、製品のほか作業台及び器具類等製造工程に関連するもの及び従事者とする。

(2) 検査は、次の項目のうちから検査対象を考慮して適切に行うこと。

① 微生物の有無及び生菌数

ア 一般細菌数(生菌数)、大腸菌群及びブドウ球菌

イ カビ及び酵母

② 食品添加物の有無及びその量

③ 酸価及び過酸化物価

④ 異物の有無

(3) 検査方法

① 検査は、「食品、添加物等の規格基準1に定められた試験法又は厚生省が通達で示した試験法により定うこと。

② ①の試験方法が定められていないものの検査は、食品衛生検査指針等行政機関の関与のもとに設定された試験法及び衛生試験法注解(日本薬学会編)の試験法で行うこと。

③ 簡易検査は、上記試験法により難い場合に限り行うこと。

3 検査後の措置

(1) 原材料については、検査の結果、不良なものは使用しないこと。

(2) 製品については、第6の3の(1)に適合しなかつた場合は、販売しないこと。また器具類のふき取り検査、従事者の手指等の検査等を行うことにより、その原因究明に努め、今後そのようなものが製造されることがないよう適切な衛生管理を行うこと。

(3) 検査の結果は記録し、1年以上保存すること。

第8 営業者、食品衛生責任者及び従事者

1 営業者

(衛生管理体制の確立)

(1) 営業者は、施設及び洋生菓子の取扱いに係る衛生上の管理運営要領を作成し、作業上の見やすい場所に掲示し、従事者に周知徹底すること。

(2) 営業者は、施設又はその部門ごとに、従事者のうちから、製菓衛生師等洋菓子の衛生管理について知識及び経験を有する者を食品衛生責任者に選任すること。

(3) 営業者は、衛生管理が適切に行われるよう営業者又は営業者の指名する者が最高責任者となり、食品衛生責任者を中心とする衛生管理体制を確立すること。

(4) 営業者は、従事者の数、取扱い数量等を適切に考慮して、各部門を図6の例のように区分すること。

図6 衛生管理体制

(従事者の衛生管理)

(5) 営業者は、従事者の採用時及び採用後にあつては年1回以上定期的に労働安全衛生法で定める健康診断のほか消化器系疾患について健康診断を行い、その健康状態を把握すること。

(6) 保険所長から検便を受けるべき旨の指示があつた場合は、必ず従事者に検便を受けさせること。

(7) 営業者は、従事者が次のような状態にある場合には、製造に従事させないこと。

ア 食中毒の原因となる疾患(化のう性疾患)又は飲食物を介して伝染する恐れのある疾患に感染した場合

イ 従事者若しくはその同居者が法定伝染病患者又はその疑いのある者である場合及び保菌者であることが判明した場合。ただし、従事者当人が保菌していないことが判明した場合を除く。

(食中毒が起きた場合の対応)

(8) 営業者は、食中毒が発生した場合、その拡大及び再発を防止するため、次に定めるところにより、迅速かつ適切に対応すること。

① 営業者は、自己の製品による食中毒事件又はその疑いのある事項について直ちに管轄の保健所に通報し、その指示を受けること。

ア 探知の日時及び方法

イ 発生の日時

ウ 被害者の住所、氏名等

エ 喫食した製品の内容

オ 被害者の主要症状

カ 保存用検体及び被害者の残品の確保状況

② 食中毒事件又はその疑いのある事件に関し、保健所から指示があつた場合は、それを記録し、指示に忠実に従つた措置を取るとともに、その措置の状況も記録しておくこと。

③ 営業者は、事件発生後、直ちに衛生管理体制を活用して、保健所の行う調査に全面的に協力するよう従事者に対して周知徹底を図ること。

④ 営業者は、事件発生後、保健所の指示に従い必要な資料を作成し、保健所に提出すること。

2 食品衛生責任者

(1) 食品衛生責任者は、営業者の指示に従い、生菓子の製造販売が衛生的に行われるよう、施設、設備等の管理及び食品の取扱い等につき衛生管理を行い、また従事者の衛生教育に努めること。

(2) 食品衛生責任者は、知事等が行う講習会又は知事等が指定した講習会を受けなければならない。

3 従事者

(1) 従事者は、上記1の(7)のいずれかに該当する場合は、洋生菓子の製造等に従事しないこと。

(2) 従事者は、次に定める場合には、手指の洗浄及び消毒を行うこと。

① 作業前及び用便後

② 微生物に汚染されていると思われる器具類等に接触した場合

③ 汚染作業区域から非汚染作業区域に移動した場合

④ 同一作業区域にあつても、製品に触れる作業にあたる場合は、その都度行うこと。

(3) 従事者は、作業中は、清潔な外衣を着用すること。作業場内では、専用の清潔で衛生的な頭巾、マスク、及びはきものを用いること。ただし、マスクは必要に応じて使用すること。

(4) 従事者は、作業中のはきもののままで便所に出入しないこと。

(5) 従事者は、汚染作業区域と非汚染作業区域間の移動を極力少なくすること。

(6) 従事者は、必ず常に爪を短く切ること。また作業を行うに当たり、腕及び手指に腕時計、指輪、マニキュア等を付けないこと。

(7) 従事者は、作業場内においては、所定の場所以外で着替え、喫煙、放たん、食事等をしないこと。

(8) 製造場には、訪問者をできる限り立入らせないこと。ただし、やむを得ない場合には、帽子(又は頭巾)及び外衣をつけさせる等従事者と同等の衛生管理上必要な措置を講じさせること。

表1 原材料の成分規格