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○食品添加物としてのブチルヒドロキシアニソール及び臭素酸カリウムの取扱いについて

(昭和五七年五月一〇日)

(環食化第一九号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省環境衛生局長通知)

標記については、昭和五七年五月六日に開催された食品衛生調査会毒性部会、同七日に開催された同添加物部会及び同常任委員会において審議された結果、別紙のとおり食品衛生調査会から厚生大臣に意見具申された。

この意見具申に基づき、近く、「食品、添加物等の規格基準」(昭和三四年厚生省告示第三七○号)中食品添加物であるブチルヒドロキシアニソール(以下「BHA」という。)及び臭素酸カリウムに係る使用基準を改正することとしている。

なお、改正に際してはGATTの「貿易の技術的障害に関する協定」により国際的に所定の手続きが必要とされており、この手続きを了した上で、改正することとなるので、改正告示の施行までの間、前記の添加物の使用等について、左記の点につき関係者への周知徹底及び指導方よろしくお願いする。

1 BHAの取扱いについて

BHA及びこれを含む製剤は、パーム油及びパーム核油の製造に用いるパーム原油及びパーム核原油以外の食品には使用しないこと。

2 臭素酸カリウムの取扱いについて

臭素酸カリウム及びこれを含む製剤は、パン以外の食品に使用しないこと。

なお、臭素酸カリウム及びこれを含む製剤の使用量は、臭素酸として小麦粉一kgにつき○・○三g以下でなければならない。

(別紙)

ブチルヒドロキシアニソール及び臭素酸カリウムの取り扱いに関する意見具申

(昭和五七年五月七日食調第一五号)

(厚生大臣あて食品衛生調査会委員長代理意見具申)

食品添加物であるブチルヒドロキシアニソール及び臭素酸カリウムの取り扱いについては、毒性部会及び添加物部会の審議結果報告を受け、常任委員会において総合的な審議を行つた結果、左記のとおり意見を具申する。

1 ブチルヒドロキシアニソールは、毒性部会において各種毒性資料を検討した結果、弱いながらもラットに対し発癌性を示すものと評価された結果に同意する。

ブチルヒドロキシアニソールが過酸化脂質の発生防止に果してきた公衆衛生上の役割は十分評価しなければならないが、ブチルヒドロキシアニソールを最終食品における酸化防止作用を期待して使用した場合には、ブチルヒドロキシアニソールはほぼ確実に食品中に残留しているものとみなされる。

また、臭素酸カリウムも毒性部会においてラットに対し発癌性を示していると評価された結果に同意する。また添加物部会においてはこのものが数十年以上の歴史をもつ添加物であることの有用性を踏まえ、本物質は熱的に不安定であり、このものが品質改良剤として使用された場合、使用量によつては最終的に食品に残留しない場合があるとの検討結果を述べていることにも同意する。

2 ブチルヒドロキシアニソール及び臭素酸カリウムに今回それぞれF三四四ラットに発癌性が認められたことに対し、毒性部会及び添加物部会の「これら添加物が食品に残留することは好ましくない。有用性を評価し、その使用を認める場合は、最終食品にその物質が残留しないことが科学的に立証されていることが必要である。」とする趣旨の見解は当面の考え方としては妥当なものである。

3 安全性評価の問題は科学技術の進歩とともに近年学術的に多種多様な見方がされるようになつてきているが、この問題は、あくまでサイエンスの領域を出ていない。

近年、とりわけ発癌の科学が著しく進歩し、従前の如く単にある種の動物に発癌性があつたか、なかつたかの論議ではなく、発癌性の強度、その物質のもつ他の毒性など、いろいろな角度から発癌性を評価する必要があるとの見方が国際的にも支配的となつてきている。

しかしながら、現時点において発癌性物質に対する無作用量の決定の方法など、科学的議論を進める学術的背景はまだ議論の段階を超えて議決する程には得られておらず、本調査会としては今後検討していく必要があると考える。

4 当調査会の見解に対し、行政的には理解し易い措置で対応することを希望する。