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○塩化ビニル樹脂製容器包装の取扱いについて

(昭和五〇年一二月二三日)

(環食化第五三号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省環境衛生局長通達)

食品用塩化ビニル樹脂製容器包装(以下「塩ビ容器包装」という。)については、従来から重金属その他に関する規格(昭和四八年六月厚生省告示第一七八号)を設定して、その品質を規制してきたところであるが、最近、樹脂中に塩化ビニル単量体(以下「塩ビモノマー」という。)が残留し、その残留量によつては食品中に溶出する場合があることが判明したため、関係業界に対して良質の塩ビ容器包装を製造するよう指導するとともに、国立衛生試験所において、塩ビモノマーの食品中への溶出等に関する研究を行つてきたところである。

これまでの実験の結果、塩ビモノマーが食品中へ溶出するおそれのない材質中の塩ビモノマー残留限度及び当該試験法が得られたため、当面左記により関係業者の指導方ご配慮願いたい。

なお、塩ビ容器包装製造業界においては、昨年末以降、食品中に塩ビモノマーが溶出するおそれのないものを製造販売し、さらに、本年一○月一五日以降、塩ビモノマーの残留限度1ppmm以下を自主規格とし、販売される塩ビ容器包装については、すべて、その材質に関する検査を実施するとともに既販売の塩ビ容器包装で自主規格に適合しないものについては回収処置を講じているところであるので念のため申添える。

一 今後、製造、販売される塩ビ容器包装及び食品製造業者が使用する塩ビ容器包装は、別添の試験に適合するものであること。

二 当面、次の食品への使用を目的とする塩ビ容器包装について重点的に指導すること。

しようゆ、ソース、酢、食用油、みりん及びマーガリン

別添

塩化ビニル製容器包装の試験法

a 試験溶液の調製

試料を5mm以下に細切し、その約1gを精密にはかり、20mlのメスフラスコにいれ、テトラヒドロフランを適当量加え冷所に放置し時々振とうする。試料が溶解した後テトラヒドロフランを加えて正確に20mlとする。

テトラヒドロフラン 硫酸第一鉄またはアルミニウムリチウムヒドラートを加えて蒸溜し、試験を妨害する物質を含まないことを確認する。

b 試験

(1) 定性試験

試験溶液及び塩化ビニル標準溶液のそれぞれ10mlづつを用いて、次の操作条件でガスクロマトグラフイーを行い、試験溶液のガスクロマトグラムのピークと塩化ビニル標準溶液のガスクロマトグラムの塩化ビニルのピークの検出時間を比較する。

操作条件一

カラム担体 ガスクロマトグラフ用ケイソウ土(標準網フルイ149~177u)を用いる。

カラム充てん剤 カラム担体に対して Ucon oil LB―550―Xを15~20%含ませる。

カラム管 内径3~4mm、長さ2,000~3,000mmのステンレス管又はガラス管を用いる。

カラム温度 60~70°

試験溶液注入口温度 150°

検出器 水素炎イオン化検出器を用いる。200°付近で操作する。水素及び空気量は検出感度が最高となるように調節する。

キャリヤーガス 窒素ガスを用いる。塩化ビニルが約九○秒で続出する流速に調節する。

操作条件二

カラム充てん剤 クロモソルブ一○四(標準網フルイ149~177u)を用いる。

カラム管 内径3~4mm 長さ1,500mmのステンレス管又はガラス管を用いる。

カラム温度 120°

試験溶液注入口温度 150°

検出器 水素炎イオン化検出器を用いる。150°付近で操作する。水素及び空気量は検出感度が最高となるように調節する。

キャリヤーガス 窒素ガスを用いる。塩化ビニルが約三~四分で流出する流速に調節する。

(2) 定量試験

一 定性試験において試験溶液のガスクロマトグラムのピークと、塩化ビニル標準溶液のガスクロマトグラムの塩化ビニルのピークの検出時間が一致するときは、次の試験を行う。

二 定性試験の操作条件一又は二のうちいずれか適切な条件のもとに得られた試験結果をもととし、試験溶液中の塩化ビニルのピーク面積を測定するとき、その面積は、塩化ビニル標準溶液のピーク面積よりも大きくてはならない。

塩化ビニル標準溶液一 気体採取用1l標準真空びんを図のように組立てたのち、三方コツクを真空ポンプに切り替えて採取用びん内を真空とする。水銀マノメーターが静止して、びん内が真空になつたとき三方コツクを塩化ビニルボンベに切り替え徐々にびん内に塩化ビニルを送りこむ。水銀マノメーターが一気圧に戻つたらボンベのバルブを止め、三方コツクを切り替えて再び真空とする。この操作を三回くり返し、最後に水銀マノメーターが一気圧からわずかに加圧になつたところで止めフツ素樹脂製バルブをしめ、三方コツク、ステンレス注射針を取り去つて、採気びんへの塩化ビニルの採取を終る。

別に、200mlのセラムキヤツプ又はシリコンゴムを装着チルアルコール、ドライアイスで冷却しておく。次に50μlのマイクロシリンジを用いて図の採気びんのシリコンゴム栓を通して塩化ビニル8μlを採取し、あらかじめ冷却しておいたエチルアルコール20ml中に徐々に注入し、溶解させたのちよく振り混ぜ均一としその1mlを取り、冷却したエチルアルコールを加えて正確に20mlとする。

エチルアルコール 硫酸第一鉄を加えて蒸留し、試験を妨害する物質を含まないことを確認する。

気体採取用1l標準真空びん 昭和四七年五月三○日付環境庁告示第九号「悪臭物質の測定方法」に記載のもの。

c 付記

アルミニウムリチウムヒドラード 日本工業規格試薬特級

その他、特に記述した以外の試薬等については、食品、添加物等の規格基準(昭和三四年厚生省告示第三七○号)に示すところによる。